たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2020年12月10日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。放物線と円の接点・共有点。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。放物線と円の接点・共有点。

急いで描いたこともあって、あまりにも下手な図で、申し訳ありません。
しかし、今回は、こんな図を描いてイメージを明確にして解く問題です。

問題 放物線 y=x2+a と円 x2+y2=9 が接するとき、定数 a の値を求めよ。

放物線と円が接するとはどういうことか?
頭の中だけで上手く思い描けないときは、実際に図を描いて考えてみます。
この問題では、円の方程式は明確に定まっていますので、まずそれを描きます。
式から、中心が(0 , 0)で、半径が3の円であることがわかります。
その円を座標平面上に描きます。

この円に接する放物線とは、どのようなものか?
与えられた放物線の式は、軸が y 軸の放物線だとわかります。
すなわち、円も、放物線も、y 軸において対称です。
具体的にそう考えることで、上の図の3本の放物線を描くことができると思います。
雑に描いたので、y軸が対称の軸に見えない放物線もあるかと思いますが、心の目で補正してください。

このように描いてみると、放物線と円が接するときは、放物線の頂点の1点で接する場合と、頂点以外の2点で接する場合とがあることがわかります。
その2つに分けて考えてみましょう。

すなわち、
[1] 放物線の頂点で接する場合
図より、点(0 , 3)で接する場合と、点(0 , -3)で接する場合とがあります。
放物線 y=x2+a の頂点は、(0 , a)ですから、
a=±3
となります。

[2] 放物線と円が2点で接する場合
接点といえば、判別式。
与えられた放物線の方程式と円の方程式を連立し、判別式を考えましょう。
接するということは、判別式D=0 です。
y=x2+a を変形して、
x2=y-a
これを x2+y2=9 に代入して、
(y-a)2+y2=9
y2+y-a-9=0
判別式 D=1-4(-a-9)=0
1+4a+36=0
4a=-37
a=-37/4

よって、解答は、a=±3 , -37/4 となります。


関数の問題でも、図形の問題でもそうなのですが、
「座標平面を描いて考えてみて」
「図を描いて考えましょう」
と声をかけても、なかなか手が動かず、描きだせない人がいます。

グラフなどを手早く描くコツを知らないということがまず大きいでしょう。
例えば放物線を描くなら、まず頂点を打ち込み、次にy切片(y軸との交点)を打ち込み、さらに上に凸か下に凸かを確認したら、それでもうサッと描いていけます。
x軸、y軸を描き始めてから、放物線を描き終わるまで、1分程度で済む作業です。
しかし、そうした描き方を、知識として知らないのだと思います。

中学生の頃に方眼紙に描いたように、点をいくつも打ち込んでいかなければならないと思っている人もいるかもしれません。
方眼紙に放物線を描くのなら、確かに、そのようにしなければなりません。
そういう意味では、方眼紙なんて、放物線を描くためには、むしろ足かせです。
真っ白な紙に放物線を描くのなら、それは概念図であり、書いた者勝ちなのです。
放物線の向きと、頂点の位置、y切片さえ正しければ、それでいいのです。
また、今回は違いますが、放物線は、x軸やy軸を描く必要がないことも多いです。
2次関数の最大値・最小に関する問題などがそうですね。
問題を解くため、自分のために描いている図です。
必要ない部分は描かなくても良いのです。
そういう自由があることを知っているだけで、かなり楽になると思うのですが、
「描く以上は正確でなければならない」
という思い込みの強い人もいるようです。

センター試験・共通テストでありがちなのですが、図形問題で自分が描いた図が、実際と異なってしまう人もいます。
実際は鈍角三角形なのに、鋭角三角形を描いてしまっていることが多いのです。
「どうやって判断するのか、わからない」
と相談されることがあります。
「・・・問題に書いてあるコサインの値が負の数ですから、それは、鈍角でしょう」
と説明すると、驚愕した表情を浮かべます。
三角比のそうした単純な知識が、図を描くことと結びついていないのです。
間違った図でもいいから、まず描いてみましょう。
描いてみないと、どういう知識が足りず、何が描けないのか、判断できません。
実際に描いてみると、正しい図と何がどう違うか確認できます。
その練習を重ねることで、正しい図を描けるようになります。

練習しても、「絵」として上手くなるとは限りません。
私の図も、上の通り、下手です。
下手でも、問題を解くのに差支えはありません。
ならば、それで良いのです。
変なところでの完璧主義はやめましょう。
「描くなら、きれいに描かなければならない」
という思い込みは、数学の問題を解くのには邪魔です。

「どうせ図を描いたって解けない」
という思い込みも邪魔なものの1つです。
それは、実際に自分で図を描いたことで数学の問題を自力で正答できた経験がないからなのかもしれません。
学校の問題集でも、解答解説の図を見て、解き方を真似て解くだけで、自力で解いたことは一度もない。
数学が苦手な人の多くはそうかもしれません。
図やグラフを描いたから問題が解けた、という成功体験がない。
描いても描かなくても、正答できないことに変わりがない。
これでは、図やグラフを描くことへのモチベーションは高まらないかもしれません。

描いても解けないかもしれないが、描かなかったら、絶対に解けない。
「どうせ」という自分の気持ちを客観的に分析し、乗り越えていってほしいと思います。
10代は心の問題が学習に大きく影響します。
そのときは本当に切実な問題でも、大人になって振り返れば、
「何でそんなことで・・・」
と思うようなことばかりです。
試しに、自分のノートに、
「どうせ図を描いても解けないと思うので、図は描かない」
と書いてみてください。
自分の考えていることのアホらしさに、気づくと思います。
文字にするだけで、自分のことを少し客観的に見ることができると思います。

描きたい気持ちはある。
描き方がわからないんだ。
・・・そうなると、このブログの一番上に戻るのですが、問題文を読み取る力と数学的な知識に課題があるということです。
この問題で言えば、円のグラフは描けるということに気づかない人がいます。
「まず、円は描けるよね?」
と声をかけても、呆然としています。
円のグラフの描き方を忘れたか?
問題文に円の方程式が書かれていることに気づいていないのか?
あるいは、円は描けることはわかるけれど、それと放物線の関係がわからない限り描くことはできないという、これもまた謎の思い込みをしてしまう人もいるようです。
ものごとを分割して考えることができないのでしょう。
常に1つのまとまりにしか見ることしかできない。
それで混乱しやすいのだと思います。

方程式などの立式をするときでも、計算しながら立式するので、1行目から意味がわからない数値だらけになってしまう人がいます。
しかも符号ミスや計算ミスをしてしまったり、途中から式の意味がねじれていき、わからなくなってしまうこともあります。
「立式と計算は分割しなさい。立式は立式。計算は計算と分けるほうが、正確だよ」
と私に言われても、それがどういうことなのかわからず、呆然としてしまう・・・。
ものごとを分割して考えることができない。
したことがない。
混乱しやすいだろうし、パニックも起こしやすいだろうし、ろくなことがないなあと思います。
そういうのは思考の癖なので、意識して改善していかないと変わらないのです。
統合する力は、分割する力。
作業を分けて考えることができるようになると、数学の問題を自力で解くことに近づいていきます。



問題 放物線 y=x2+a と円 x2+y2=9 が異なる4個の交点をもつような定数aの値の範囲を求めよ。

一番上の問題と、放物線と円の方程式は同じです。
同じ図で考えていくことが可能です。
放物線と円は、どのような状態のときに、4個の交点を持つでしょうか。
円は固定されています。
放物線は、式から明らかなとおり、軸はy軸です。
y軸を軸として、上下することしかできません。

上の図からわかるように、放物線の頂点が(0 , 3)のとき、放物線と円は1点で接するのみです。

それより少し下に放物線が移動すると、放物線と円は2点で交わります。
放物線を少しずつ下に移動しても、しばらく2点で交わる状態が続きます。

変化が起こるのは、放物線の頂点が(0 , -3)のとき。
このとき、放物線の頂点は円と接します。
それだけでなく、この放物線は2点で円と交わります。
すなわち、このとき、放物線と円の共有点は3個です。

そこより、少し下に下がると、放物線と円の共有点は4個になります。

その後、上の図の一番下の位置まで下がり、放物線と円が2点で接するとき、共有点は2個になります。
そして、それ以降、放物線と円は共有点を持たなくなるのです。

だから、放物線と円が共有点を持つのは、放物線の頂点が(0 , -3)だったところから、放物線と円が2点で接するところまで、となります。

放物線の頂点が(0 , -3)のとき、a=-3。
放物線と円が2点で接するとき、a=-37/4

よって、求めるaの範囲は、
-37/4<a<-3
です。

こんな問題は、図を描かないとわかるわけがないのです。
図を描きましょう。
下手でも、いいのです。
最初は間違っていてもかまいません。
問題を解くのに必要な図を描いて考える習慣を持ってください。




  • 同じカテゴリー(算数・数学)の記事画像
    倍数とあまりに関する受験算数の問題を、高校数学で解く。
    数学で壁を越えられない子のやりがちなこと。
    通過算の難問。
    中1数学「正負の数の乗法」。旅人は東を目指す。
    考えて問題を解く習慣のない子。
    図形問題の攻略。
    同じカテゴリー(算数・数学)の記事
     倍数とあまりに関する受験算数の問題を、高校数学で解く。 (2024-04-23 12:18)
     数学で壁を越えられない子のやりがちなこと。 (2024-03-31 18:25)
     通過算の難問。 (2024-03-26 17:35)
     中1数学「正負の数の乗法」。旅人は東を目指す。 (2024-03-12 12:23)
     考えて問題を解く習慣のない子。 (2024-03-06 13:57)
     図形問題の攻略。 (2024-02-18 17:25)

    Posted by セギ at 12:32│Comments(0)算数・数学
    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式。放物線と円の接点・共有点。
      コメント(0)