たまりば

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2018年11月23日

高校数A「整数の性質」公倍数・公約数に関する問題。



今回も高校数A「整数の性質」。
「最小公倍数・最大公約数」の性質について。
例えば、こんな問題です。

問 最小公倍数が144、積が864である自然数の組(a,b)をすべて求めよ。ただしa<bとする。

まずは受験算数の解き方で解いてみます。
2つの数aとbの連除法をイメージした図を描いてみます。

☐) a b
  A B

☐は、最大公約数です。
本来、共通に割れる数で何段階にも割っていったものの積が最大公約数ですが、一気に最大公約数を見つけたのなら、こうして一段で連除法が終わっても良いでしょう。
連除法のこの図からわかるように、最小公倍数は☐×A×B。
問題によれば、これが144なのですから、
☐×A×B=144 ・・・① となります。
さらに、上の図から、
a=☐×A。
b=☐×B も読み取れます。
よって、2数の積は、
a×b=☐×A×☐×B。
問題によれば、これが864ですから、
☐×A×☐×B=864 ・・・② となります。
①、②より
☐=864÷144=6
①に代入して、6×A×B=144 となりますので、
A×B=144÷6
A×B=24
AとBとはもう公約数はないのですから、候補としては、
1と24、または3と8でしょう。
2と12や、4と6は、まだ共通に割り切れる数があるので、上の連除法の図に当てはまらなくなってしまいます。
よって、A=1、B=24のとき、a=6、b=144。
A=3、B=8のとき、a=18、b=48。 
よって、(a,b)=(6,144),(18,48)
これが答えとなります。

高校数Aの解き方もこれと同じで、小学生よりも少し大人っぽく文字を使用するだけです。

まず、aとbとの最大公約数をgとすると、
a=ga'
b=gb'と表すことができます。
(a'、b'は互いに素な自然数で、a'<b')
最小公倍数から、
ga'b'=144 ・・・・①
また、積が864だから、
ab=864
よって、ga'gb'=864・・・・②
②÷①より
g=864÷144=6・・・・③
③を①に代入して
6a'b'=144
a'b'=24
となります。
a'とb'は互いに素な自然数で、a'<b'ですから、
(a'、b')=(1、24)、(3、8)です。
それぞれ6倍して、
(a、b)=(6、144)、(18、48)


解き方は小学生も高校生も同じです。
連除法を知らないと、論理展開についていくのが少しつらいかもしれません。
自然数を他の自然数の積の形として見ることに慣れていると楽に解けます。
これは、計算の工夫の上でも必要な感覚ですが、自然数が他の自然数の和に見える「和の感覚」だけでなく、自然数が他の自然数の積の形に見えている「積の感覚」が身についていると、こうした問題は楽に解けると思います。
簡単に言えば、15=3×5 という形に見えていること。
因数分解した形が常に見えているということです。

これは中3の「平方根」の単元でも重要な感覚です。
例えば、
√45×√40
=3√5×2√10
=3・2・5√2
=30√2
という計算は、この「積の感覚」があるからできることです。
この感覚が育っていないため、
√45×√40
=√1800
ここで、素因数分解の筆算をして、
=30√2
という形でしか計算できない子は案外多いです。
どちらでも正しい答えを導けますが、上の解き方のほうが暗算がやりやすく精度が高いです。

小学校4年生で学ぶ「計算のきまり」という単元も、この「積の感覚」があると、工夫を思いつきやすいです。
問題 12×25 を工夫して計算しなさい。
そう言われても普通に筆算することしか思いつかない、工夫を考えている時間に筆算できるのに・・・という子が案外多いのです。
12×25
=3×4×25
=3×100
=300
というのが、期待されている工夫です。
小学4年生がこの単元で習得することを期待されているのは、表面的には「交換法則」と「分配法則」ですが、交換法則をより効果的に利用するには、このように自然数を積の形に分解できることが必要となります。

この「積の感覚」は、教わっていなくても自然と身についていることも多いのですが、教わっても身につかないこともあります。
言われればわかるけれど、自分で思いつくことはできないようです。
1つには、算数というのは、もっと単純に1つの解き方に統一されるべきなのだという思い込みがあるのかもしれません。
色々な解き方があるというのが好きではない。
色々覚えなければならないのは面倒だから、そういうのはやめてほしい。
そういう気持ちが根底にあるような気がします。

だから、どれほど教わっても進んで活用しようという気持ちになれない。
一応は理解しても、そういう「他の解き方」というのが好きではない。

私はいついつまでも、地道に計算します。
それ以外のことを勧められても迷惑です。

中学3年で「平方根」を学習する頃には、すでにそのように凝り固まってしまう子も多く、上の解き方を説明しても、
「いいの!私はこのやり方じゃないとわからないの!」
と拒絶されたこともあります。
作業手順だけを暗記しているので、他のやり方を勧められても混乱するからやめてくれ、という気持ちだったのでしょう。
「他の解き方」が好きではないのは、それを理解する余裕がなくなっていることの表れであり、算数・数学がわからなくなってきているサインととらえて良いと思います。
全ての単元に共通する数理の根本がわかっていないので、1つ1つの単元ごとの解き方を別べつに暗記するしかなく、それがとても苦しくなっているサインではないかと思うのです。

気持ちに余裕がなくなっている。
それは計算が速い遅いの話とは違います。
精度の話ともまた違います。
計算は遅いし、計算ミスも多いけれど、気持ちに余裕のある子はいます。
考えるのにとても時間がかかるけれど、考え続けることはできる。
表面的なテストの点数はともかく、「他の解き方」を受け入れられる。
そういう子はいずれ開花するので、あまり心配はいらないのです。





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