たまりば

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2019年08月25日

数Ⅱ「式と証明」。等式の証明その2。



今回も「等式の証明」です。

問題 a/b=c/d のとき、(a2+c2)/(b2+d2)=ac/bd であることを証明せよ。

前回の問題よりも複雑になってきました。
このように与えられた式が分数のときは、どう証明すれば良いのでしょうか。
例えばaについて解いても、その結果は分数になり、しかも文字が3種類残るので、左辺=右辺を示すことは難しそうだと見通せます。
こんなとき、別の文字に置き換えるというテクニックがあります。

a/b=c/d=k とおく。
すなわち、a=bk、c=dk。
これを代入して、
左辺=(b2k2+d2k2)/(b2+d2
   =k2(b2+d2)/(b2+d2
   =k2
右辺=bk・dk/bd
   =k2
よって、左辺=右辺

このテクニックは、とても便利ですので、覚えておきたいものです。
もう1つ問題を解いてみましょう。


問題 x/3=y/4=z/2‡0 のとき、(x-y)2/(y2+z2) の値を求めよ。

これも、与えられた式が分数です。
ということで、これもkを使ってみましょう。
x/3=y/4=z/2=k とおくと、
x=3k、y=4k、z=2k。
これを代入して、
与式=(3k-4k)2/(16k2+4k2
   =k2/20k2
   =1/20
わあ、約分でkが消えて、式の値が出てきましたー。
やはり便利です。
このテクニックは、忘れた頃にまた別の単元で使うことがあります。

こうしたテクニックを覚えておきましょうと話すと、
「でも、数学は暗記科目じゃないし、解き方の暗記じゃダメだと言っていたくせに」
という反論もあるかと思います。
勿論、意味もわからず丸暗記しているのではダメです。
意味を理解した上で、でも暗記もしましょうということなのです。

意味がわからないのに暗記だけする。
小学生の頃から、算数・数学はそのような勉強をしてしまう子は多いです。

例えばこんな問題の場合。

問題 5/3dLで2/3㎡の壁を塗れるペンキがあります。2dLでは、何㎡の壁を塗ることができますか。

かけ算なのか、わり算なのか、問題文を見てもわからない・・・。
この問題は2段階の計算が必要だということもわからず、一度で答えが出ると思い込んでしまう子も多いです。
この問題は、まず、1dLあたりの面積を求めます。
2/3÷5/3=2/3×3/5=2/5(㎡)
だから、2dLでは、
2/5×2=4/5
答は、4/5㎡ です。

このように単位量あたりの問題の数値が分数になると、かけ算なのかわり算なのか、式の立て方が全くわからない場合。
こうした問題は、わかりにくかったら整数に直して考えてみましょう。
「4dLで2㎡の壁を塗れるペンキがあります。3dLでは、何㎡の壁を塗れますか」
1dLあたりの面積を求めるには、
2÷4
これがピンとくるようなら、それは整数でも分数でも同じなのだから、単位量あたりを求めるにはわり算だと判断できます。
ただ、整数に置き換えても、この式が立てられない子もいます。
わり算は、大きい数を小さい数でわるものと丸暗記している子たちです。
その子たちは、2÷4 の式を立てることができません。
小学生の段階で既に、算数は意味を考えて解くものではなく、解き方を暗記して解くものになっている子は案外多いです。
単位量あたりの学習をするのが、5年生。
それに分数のかけ算・わり算が加わるのが、6年生。
それまでに、もう何年も、算数は解き方を暗記するだけになっているのです。

丸暗記ではなく、意味を考えて解きましょう。
そういう子に、そのように声をかけても、ほとんど定着しません。
そのようなアプローチをしたことがないからでしょうか。
意味を考えて解くということが、よくわからないようなのです。
いえ。
それは話が逆で、意味を考えて解くことができないから解き方を丸暗記し、算数がわかっているふりを長い間続けてきたと見るべきなのかもしれません。
教科書に載っている、2本の半直線に目盛りをつけたもので説明すると、それが整数の間は何とか理解できるのですが、分数になると目が泳ぎ始める子は多いです。
その半直線の示す、2倍、3倍ということは理解できても、3/2倍、4/5倍といったことが、そもそも理解できない気配も感じます。
しかし、学校のテストは明日。
そんなとき、まずいとは知りつつも、私もこんな教え方をしてしまうことがあります。

まず、2dLで、8㎡の壁をぬるペンキは、1dLでは何㎡の壁を塗れるかという問題を考えてみて。
それは、8÷2だよね?
それはわかるよね?
8÷2をよく見て。
2は、2dLの2だね。
1dLあたりの量を求めるとき、dLのついている数字で割っているね。
単位あたり量を求めるときには、その単位のついている数字で、割るんだよ。
1dLあたりの量を求めるなら、dLという単位のついている数字で、割るんだよ。
もしも、1㎡あたりの量を求めるなら、㎡という単位のついている数字で、割るんだよ。
そうすると、単位量あたりが出るよ。
それは、いつでも必ずそうなるよ。

意味を幾度説明しても理解できなかった子が、この説明で見違えるように正答できるようになります。
わり算は、大きい数÷小さい数。
そうした、誤った丸暗記からもバージョンアップできます。
しかし、これもまた新たな丸暗記に過ぎないのかもしれません。
暗記の魔力は本当に恐ろしい。
低学年から丸暗記で算数をこなしてきた子は、理解を促してもほとんど進歩しない一方、単なる解き方だけを教えた途端に異様なほど定着するのです。

今は仕方ない。
また、復習のときに。
忸怩たる思いが胸をよぎります。
あるいは、幾度復習しても、小学生の間は理解できないかもしれません。
この解き方の意味を理解するのは、もしかしたら大人になってからかもしれません。
でも、正しい解き方を知っていたら、いつか、必ず理解できる日がきます。


こんな問題もあります。

問題 厚さ2㎝の板を用いて、ふたのない直方体の容器を作った。容器の外側の縦が28㎝、横が32㎝、高さが18㎝のとき、この容器の容積は何㎤か。

この問題で、こういう式を立てた子がいました。
26×30×17

厚さが2㎝であることに気づいていないだけだと思い、
「板の厚さは2㎝だよ」
と助言しても、その子は、
「え?容器のときは、縦と横は-2、高さは-1するんだよ」
と、逆に私に説明しました。
「・・・それは、板の厚さが1㎝のときでしょう?」
「え?」
その後、正しい内のりの長さの求め方を説明しても、理解してもらうまでに長い時間が必要でした。
この問題には、実際は挿し絵がついていましたので、それを用いながら説明すれば簡単に理解してもらえそうなものでしたが、図の内のりのここからここまでがと差し示して説明しても、しきりに首をひねり、理解できないようなのでした。
つまり、学校の教科書やテストでは、容器の内のりを自分で求める問題でも、板の厚さは1㎝と決まりきっている場合がほとんどですので、その解き方だけを丸暗記していたのです。
だから、板の厚さが2㎝になると、もう正しい式を立てられないのです。
板の厚さが2㎝だから、容器の内のりの縦と横は-4、深さは-2をすることが、理解できなかったのです。
なぜ引くのか、その根本を理解せず、ただ解き方だけ暗記していたのでした。


解き方の丸暗記は、文章題だけに限りません。
計算も丸暗記で処理し、本質を理解していないことは多いです。
そのため、やり方を間違って暗記している場合は、繰り返し同じことを同じように間違えてしまいます。

例えば 1/3(9x-2)+1/2(8x-4)

文字式の計算です。
そんなに難しくないはずなのですが、間違える子は、ほぼ同じようにこう間違えてしまいます。
=3x-2+4x-4
何をどう間違えているのか?
前半で言えば、1/3と( )の中の9xだけをかけて、-2はそのままにしてしまうのです。
1/3が( )内の各項に平等にかかっていくことが理解できていない様子です。
後半も同様です。

また別の問題。

2(3x-4)3(2x+7)
 5      2
ちょっと見にくいですが、5や2が分母である分数だと思ってください。
これは、分母が異なるので、通分が必要です。
そこでは、こういうミスをしてしまう子がいます。
=4(6x-8)-15(10x+35)

まず、分母を払うために、全体を10倍したのだろうと想像されます。
これが方程式ならば、左辺と右辺の両方を10倍しても関係は変わりませんが、今回は文字式ですので、全体を10倍することはできません。
しかし、やり方を丸暗記し、なぜそれをやっていいのか理解していない子は、文字式でも同じことをしてしまいます。
また、上の答案の場合、前半の分母の5を10にするために、分子の2を×2して4にしたのと同時に、( )の中にも、全て×2をしています。
後半も同様に、逐一×5をした様子です。

何でさっきの問題では、( )の中の片方しかかけないという不平等なことをやっておきながら、今度は必要もないところに逐一×2をするのだろう?
それは、やはり、どういう性質を利用してそれをやっているのか、本質を理解せず、ただ解き方を暗記しているためだろうと思うのです。

通分ではこのミスはしない子も、例えば方程式の「割合」に関する文章題で作った式を整理するときに、同じ性質のミスをしがちです。
割合に関する文章題では、下のような形の式になることは多いです。
(x-1/10)(x-2/10)=7
これを整理するとき、
(10x-1)(10x-2)=70
としてしまうミスは、中学の数学の成績が「4」の子の中にも見られます。
( )を1つずつ10倍したということは、全体を100倍したということだから、右辺は700だよと教えても、きょとんとしてしまいます。
何でそうなるのか、わからない様子なのです。
説明すると、そのときは理解した表情にはなるのですが、ひと月もすれば、また同じミスをしてしまいます。
計算上そんなことはあり得ない、ということを感覚的に把握できるほどの深い理解に至らないのです。
こういう計算はしてもいい、これはしてはいけないと1つ1つ暗記するしかなく、覚えきれずに失敗するのでしょう。
何かが理解できていないのです。
しかし、それは言葉で説明してもなかなか伝わりません。
わかった顔はしますが、忘れた頃にまた同じミスが復活します。

数に対する正しい感覚がどうして形成されないのか。
逆に、上のようなミスは決してしない子の、数に対する感覚は、どのように養われたものなのか。
小学生時代に何をすれば、上のようなミスはしない子になるのか。
あるいは、中学や高校からでも、どのような学習をすれば、数理の本質を理解できるようになるのか。
難しい課題です。



  


  • Posted by セギ at 15:08Comments(0)算数・数学