たまりば

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2016年06月03日

平方根の計算


平方根とは何でしょうか?
「2乗するとaになる数をaの平方根という」
これが定義です。
2乗すると4になる数は、2と、-2。
すなわち、±2が4の平方根です。

簡単なことのようなのですが、子どもには難しい内容です。
小学生に平方根に関する問題を出すとその難しさがよくわかります。
勿論、「平方根」という言葉は使いません。
例えば、こんな問題です。

問題 面積が16平方cmの正方形の1辺の長さを求めなさい。

多くの小学生は、この問題を正しく解くことができません。
16÷2=8
答え 8cm としてしまいます。

「うん?もしも1辺が8㎝なら、面積は8×8=64となってしまうよ?」
そう説明すると、それは理解できるのですが、ではどうやって求めたら良いかはやはりわからず呆然としてしまいます。

□×□=16
この式を立ててあげると、
「そんな式、立てていいの?」
と驚き、
「どうやって解くの?」
と言います。
□を求めるための式が必要だという固定観念がある様子です。
何重もの壁に阻まれ、答えを求められないのです。

□を求めるための式は必要ではない。
上の式の次は、□=4でいいんだよ。
たし算でもひき算でもかけ算でもわり算でもないから、式は必要ない。
□×□=16となる数を頭の中で探すんだよ。
そう説明しても、腑に落ちない様子の子は多いです。

こうした問題は、中学受験のための受験算数で出題されます。
普通の小学生が学ぶ内容ではありません。
でも、受験生でも上のような反応になり、正解が出せないことが多いのです。

子どもの脳は日に日に成長していきますから、小学生の間は理解できなかったことも、中3になると多くの子は理解します。
しかし、「平方根の利用」の学習に進むと、やはり理解が表面的だったのかなあと思うことも多いです。

例えば、こんな問題。

√20nが整数となるような自然数nを小さいものから順に3つ答えよ。

この問題に関しては、何回説明を聞いてもわからない、何の話をしているのかさっぱりわからないという子も、かなりの割合で存在します。

20を素因数分解すると、20=2×2×5
したがって、20の中に既に2の2乗が存在します。
あとは、5の処理。5も2乗になればいい。
nが、20の中にある5にとってのペアであればいい。
だから、nが5であれば、√20nは、整数になることができます。

ここまでは、何とか理解できないこともない。
しかし、その後の「小さいものから3つ」が難解です。

答えは、5しかないでしょう?
他に何があるの?
固定観念にとらわれると、もうそれ以上は出てこなくなります。

√20nが整数になる場合のnは、無限に存在します。
確かに、nは、5でもいい。
でも、5×2×2=20でもいい。
5×3×3=45でもいい。
20nが全体として何かの2乗になればいいのですから、nの中にも、何かの2乗が含まれていて良いのです。

これが「何の話をしているのか、さっぱりわからない」という中学生の場合、作業として平方根の計算を身につけていても「平方根とは何か」の根本が揺らいでいる可能性が高いです。
だから、何で2乗にするのかがわからないのでしょう。
2乗にするためのペア探し?
何の話をしているの?
何で素因数分解するの?
そんな状態である場合が多いように感じます。

もう1つ。
答えが1つに決まらないことが理解できない。
理解できなくてイライラする。
そんなもの求めて何になるのと言い始める。
だから、数学は嫌いなんだと言う。

「わかる」「わからない」の話を、「好き」「嫌い」の話にすりかえてしまいます。
中学生が勉強をする際に困難なのは、そういうところもあります。

わかれば、面白い。
わかるから、できるから、好きだ。
子どものそういう気持ちも共感できます。
でも、わからないことの、そのわかりにくさが好きだ。
簡単にわかるようじゃ、面白くない。
難しいから、面白いんだ。
なかなか上達しないから、続けるんだ。
そういうことを、子どもたちに実感してもらいたいなあと思います。
  


  • Posted by セギ at 11:55Comments(0)算数・数学