たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2023年05月04日

高校生の学習上の課題。

高校生の学習上の課題。

長年、小学生から高校生までを教えていますが、高校生を教えるのは、小学生や中学生を教えるのとはまた別の難しさを感じます。

高校入試と比較すると、大学入試は多岐に渡っていて、指導する側が焦点を絞りにくいのが、1つの原因です。
どのような大学受験を考えているのか。
高校の成績を高く維持して、学校推薦か総合型選抜で大学を受けるのか。
それとも、国立大学を一般受験するのか。
あるいは、私立大学を一般受験するのか。
早めに志望を確定してくれれば、早めにそれに合わせて対策をしていけるのですが、高校2年生の秋頃になってようやく確かな答えをもらえることも多いです。

結局、本人も、わからないのかもしれません。
だから、
「とりあえず学校に進度を合わせて、定期テストの勉強をきちんとやっていきたいです」
といった返事しかもらえないことがありますが、これは少々危険です。

定期テストは、範囲のある勉強。
しかし、テスト範囲の内容しか覚えず、テストが終われば、すぐ忘れる子がいます。
驚くべき短期記憶。

しかも、本当にテスト範囲の勉強をしっかりやってくれるのならまだいいのですが、あまり余計な勉強をしたくない言い訳に「学校に進度を合わせて定期テストの勉強をしたい」を使っている子の場合、結局、テスト範囲の勉強も甘いことがあります。

例えば、英語。
多くの高校は、英語コミュニケーションという教科で、教科書とは別に単語集が配布され、週に1度、授業時間内に単語の小テストが行われます。
そして、その小テスト範囲全部が、定期テストの範囲になる学校が多いのです。
週に1度の単語テストでもやっつけ仕事的に、ギリギリでどうにか覚えている子は、定期テストの単語の範囲を実にあっさりと捨てます。
何百という単語のテスト範囲の広さに、諦めてしまうんです。
あるいは、「小テストのときに1度覚えたから大丈夫」という謎の自信を持つ子もいます。
子どもの中には、そういう意味で本当に幼く、記憶ということの実態を理解していない子もいるのです。
1度覚えたら、もう忘れないと思っているんでしょうか。
あるいは、覚えても忘れることは知っている。
覚えてもどうせ忘れるので、単語なんか覚えても無駄だ、と愚かなことを考える子もいます。
要するに、単語を覚えるのが苦しくて嫌だから、そういうふうになってしまうのでしょう。

もっと簡単に単語を覚えられる方法があるはずなのに、学校の先生も、塾の先生も、後れていて、そういうことがわかっていない。
どうにかして、単語を簡単に覚える方法を見つけたいのに、出会えない。
自分は不運だ。
単語を簡単に覚える方法は、この世に絶対にあるはずなのに・・・。

・・・そんな夢を見ている限りは、単語は覚えられないです。
ネットにあふれている、金もうけ目的の甘い言葉に騙されて、課金して、単語力はつかずに終わっていくばかりです。
努力しなければダメなことに対し、努力せずに済ます方法をただ探している。
そうしているうちに時間だけが過ぎていきます。

英語コミュニケーションのテストの中での、単語テストの配点は、10点~20点。
ここを捨てたら、高い得点を取ることはもう不可能です。
テストの他の出題は、まず、教科書の本文に関する問題。
そして、初見の長文問題を出題する高校も多いです。
これは実力が露骨に得点に反映されます。
単語力がついていないと、そもそも本文を読めません。
毎日頑張って英語を勉強している子以外は、パッとしない得点になります。

「入試は厳しそうだから」
「受験勉強は大変そうだから」
という理由で学校推薦を望んでも、そんな怠け者は、普段の定期テストも、結局パッとしない・・・。
憧れの大学の学校推薦はもらえない。
総合型選抜を受けるにも、評定平均が足りない。
評定平均は、3年間の高校での全教科を5段階評価したものの平均であることが多いです。
憧れの大学・学部は高い数字を要求します。

でも、一般入試は厳しそうだから、やはり嫌だ。
となると、どうなるか?
自分の評定平均で合格できる大学に学校推薦または総合型選抜で受験する、という形に落ち着きます。

それは悪いことではありません。
現実的な良い判断だと思います。
賢い選択です。

しかし、ここで悪夢のような現実が立ちふさがります。
自分の成績では、総合型選抜で合格できる大学がない・・・。
少なくとも、行きたい大学・学部で、自分の成績で総合型選抜で合格できる大学はない・・・。
一般入試しか道がないのです。

その現実に、気づいてほしいのです。
遅くとも、高校1年生のうちに。
高校の成績の大半が「5」の子が、学校推薦や総合型選抜を目標としていることに対しては、私は全力で応援しています。
英語だけが4だ、数学だけが4だ、何とかしたいという要望には全力で応えています。

学校選抜や総合型選抜で大学進学をすることを考えているのであれば、定期テストその他、成績に関係のあることには、本当に本気で3年間必死に取り組んでほしいです。
それができないのであれば、一般入試で合格できるような勉強を早い時期から始めてほしい。
勉強を怠けたいがためのどっちつかずの立ち位置が、一番危ないのです。


単語の話に戻ります。
中学生の頃に覚えた単語は、教科書に何回も出てきますし、高校入試のために反復もしたので、そこそこ覚えている子は多いです。
しかし、高1の教科書に出てくる単語は、次にもう1度出てくるのは3か月後ということも多いので、覚えていない高2は多いです。
高3になっても同じこと。
高校側は、それではまずいと、高1の頃から単語集を生徒に与え、それを小テストしたり、定期テストの範囲に加えたりしています。
そうした先生たちの配慮を有効活用できない。
小テスト対策はやっつけ仕事。
定期テストでは単語の範囲は捨てる。
結果、高校生になっても単語力は中3レベルのままという子も多いです。
本人が、学校の進度に合わせて学校の教科書の勉強をしていきたいというから、それにつきあって個別指導していると、こういう英語力になってしまうことがあります。
そして、模試を受けて、低い偏差値に衝撃を受けて、大騒ぎになってしまいます。
本人の落ち込み方も激しいですが、親が、子どもの学力がそこまで低いことに気がついていなかったための衝撃も大きいです。
でも、そんな学力になってしまう勉強をしているのですから、当然、そうなります。


数学も同じことです。
定期テストの範囲は勉強し、そこそこの点数を取っているかもしれません。
近年、特に私立高校の定期テストの問題は易しいですし。
でも、テストが終われば、公式も何もかも、忘れてしまいます。
1つ覚えれば、1つ忘れる。
何も積み上がっていきません。
そして、模試を受けます。
何の単元の、何の公式を使う問題なのかさえ、わからない。
全く解けません。

「学校の定期テスト」だけが目標になっているので、間口の狭い勉強になり、実力がついていない。
復習もしないので、そのままです。

こういう子に、
「教科書以外の英文も読めるように練習しよう」
「夏休みは、数学で、今までの総復習をしよう」
と呼びかけても、生返事のことが多いのです。
宿題に出しても、結局、やってきません。
何のためにそんなことをしなくてはならないのか、わからないからでしょうか。
大学の一般入試は受けたくないので、受験勉強的なことはしたくない。
しかし、学校推薦や総合型選抜がどの程度の成績を要求するのか、現実が見えていない。
目先のテスト勉強をそこそこすることで、大学受験の準備をしているような勘違いを本人はしている・・・。

高校生になると、それぞれ、やりたいことが出てきます。
無限に時間を喰うような趣味にはまってしまうこともあります。
ネットでの友達づきあいに、毎日数時間を割いてしまう子もいます。
教わることの質も量も、中学の頃とは桁違いなのに、勉強に向かう姿勢が、むしろ後退していきます。
でも、もう頭ごなしに叱れる年齢ではないと感じるからか、親も、「本人の意志を尊重し」と言いがちです。
実際、説得は難しい。


高校時代は、一番勉強しなければならない時期です。
どうか、愚直に、ひたむきに、勉強してください。
学校の勉強も、塾の勉強も、自分で買った問題集も。
間口の狭い勉強を「能率的」と勘違いした瞬間に、敗北への道を歩み始めてしまいます。



  • 同じカテゴリー(講師日記)の記事画像
    ケアレスミスをしがちな子に多い傾向。
    2024年度入試結果です。
    質問しても、しなくても、大丈夫。
    勉強を自分でどう進めていくか。
    言葉が通じない若者というけれど。
    手段と目的が転倒する人。
    同じカテゴリー(講師日記)の記事
     ケアレスミスをしがちな子に多い傾向。 (2024-05-04 13:06)
     2024年度入試結果です。 (2024-03-01 11:27)
     質問しても、しなくても、大丈夫。 (2024-02-25 14:59)
     勉強を自分でどう進めていくか。 (2024-02-13 21:51)
     言葉が通じない若者というけれど。 (2023-12-02 12:36)
     手段と目的が転倒する人。 (2023-11-12 15:47)

    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    高校生の学習上の課題。
      コメント(0)