たまりば

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2023年04月30日

外秩父七峰縦走ハイキング大会の思い出。


さて、今年から、外秩父七峰縦走ハイキング大会は、ヤマスタというアプリを利用するスタンプラリーに変わりました。
私は2017年の大会を最後に参加していません。
2018年から、有料の大会になったと記憶しています。
有料なのも抵抗があるけれど、ゼッケンに名前を書いて、ザックにつけて歩くのはもっと嫌だな・・・。
でも、何より、腰痛と、股関節の痛み、お尻の筋肉に痛みがあるようになり、完歩の自信がなくなってきたことが大きいです。

そうするうちに、コロナ禍となり、大会は中止になりました。
そして、何と、大会の根幹が変わったのが今年です。

「外秩父七峰」で検索してくだされば、すぐに今回の変更の概要はつかめると思いますので詳細は省略します。
簡単に言えば、大会を1日に定めるのではなく、4月から12月の長い期間のいつでも、そして何回に分けてでも、とにかく、小川町駅と7つの峰でヤマスタというアプリを使ってスタンプを受け取れば、それで七峰縦走達成というスタンプラリーになったのです。
秋には、参加者向けの催しもあるとのこと。

ほほお・・・。

コロナ禍が終わらない限り、大会参加はあり得ないと思っていました。
しかし、これなら私でも参加できそうです。

ただ、もう昼間の気温は20℃を越えました。
気温が高いと、長い縦走は無理かなあ・・・。
秋になったら、やってみようかなあ・・・。
それとも、2回に分けて歩こうかなあ。

そんなことを考えながら、さて、私はこの大会に何回参加したのだろうと思い返しました。
昔の記録カードはどこに置いたのでしょう。
そう考えて、全く記憶がないことに呆然としました。
記録カードも地図も、捨てたはずがない。
でも、どこにあるのか、思い出せないのです。

6年経過しているとはいえ、ここまで記憶が空白だとは・・・。
慌てて探したら、ありました、ありました。
記録カードと地図をクリアファイルにひとまとめに保管していました。
ただ、2011年のものからしかありません。
でも、それが最初の挑戦だったわけがないのです。

ここで、このブログに山行記録を書くようになる前の手書きの山行記録を取り出して、読みふけりました。

①2001年4月22日(日)晴れ 第16回大会
これが、初参加でした。
小川町発7:10。
ゴール寄居駅16:55。
出発が遅いのに到着が速い。
これは車道で相当追い抜いてますね。
さすがに若い。
出発時にもらった参加賞は、「チャンピオンベルトみたいなのにポケットが色々ついている青いウエストポーチと白いハンドタオル」とあります。
初参加から、もう参加賞に悪口を言っています。
「完歩したら魚河岸のセリの人みたいな帽子をもらった」と書いてありました。
完歩帽に対しても、冷淡!
若さって恐ろしいですね。

②2005年4月17日(日) 
小川町出発6:50。
ゴール寄居駅17:35。
一度で完歩できて、その後興味を失った様子だったのに、突然この年から再び参加を始めました。
どうしてそんな気持ちになったのかは、記録されていません。
そこ、大事だろう?
参加賞は、灰色でポケットのついた壁掛けみたいなものと白いハンドタオルと記録されています。
灰色の壁掛けみたいなもの・・・。
金具がめちゃくちゃ重かったあれかな・・・。
雑誌「山と渓谷」の記事によれば、この回の参加者は約8000人で、そのうち半数は渋滞のためタイムアウトだったと後日に付記されています。
渋滞との闘いは、すでに始まっていました。
そして、この年からだったのかは定かではありませんが、2年で完歩するという形が許されています。
これも、地獄の渋滞の原因だったろうと想像されます。
秩父高原牧場で牛乳。200円。
釜伏峠で、接待。梅干しと塩漬けのキュウリ。
このキュウリが抜群においしかったと書いてあります。
完歩記念品は、完歩帽か青いポーチ。
青いポーチ!光沢のあるポーチですね。
このポーチ、今でも、4本爪軽アイゼン入れとして使っています。
この時期は、まだ完歩記念タオルマフラーは存在しなかったようです。

③2006年4月23日(日) 曇り一時雨
小川町出発6:50。
ゴール寄居駅16:30。
この年も速い。
タイムは当日の気温に大きく左右されるようです。
参加賞は、黒いショルダーポシェットと白いハンドタオル。
黒いショルダーポシェット・・・。
あー、今も、ザックの影に隠れて壁に提げてあります。
この年より、萩平丁字路から車道の第2コースが用意された、とあります。
昨年度の大渋滞への反省から生まれたものだったのでしょう。
定峰峠でc.c.レモン160円。
定価より10円高いだけの良心的商売。
秩父高原牧場でソフトクリーム大350円。
この時期、ソフトクリームには、大と小がありました。
釜伏峠の接待。梅干し、甘夏、キュウリ、奈良漬け。
豊富な品揃えでした。

④2007年4月22日(日) 晴れて暑い
小川町出発6:55。
白石車庫リタイア。
小川町駅に降り立った6:40分の時点で、まだ受付が始まっていなかったとあります。
何か主催者側のアクシデントがあったのでしょうか。
そのため、駅前は大行列。
最初の2000人が一斉に出発し、山は大渋滞発生となった大会でした。
参加賞は、スプーン・フォーク・ナイフ・缶切りが一体となったもの。
重い・・・。
今も持っていますし、豪華な参加賞だと思いますが、実際に使ったことはありません。
多機能過ぎて実用的ではないんです。
ナイフだけとか、フォークだけなら、喜んで使うのに。
官ノ倉山CPで普段より30分遅い危機的状況でした。
順位は1000番台で決して遅くはないのに、笠山到着も前回より45分遅れ。
そして、その焦りもあってか体調を崩し、堂平山への急登で、嘔吐。
その後、ゆっくりゆっくり歩いて、白石車庫バス停へ。
最初で最後のリタイア体験でした。

⑤2008年4月20日(日) 小雨
小川町出発6:40。
鉢形城歴史館ゴール17:40。
参加賞は、黒いビニールポーチと白いハンドタオル。
黒いビニールポーチ・・・。
思い出しました。
光沢のある黒いビニールの、マチのある直方体っぽいポーチ。
ファスナーの持つところに白い玉がついていたのではなかったかな。
あれは、どこにやったかなあ。
記憶にありませんが、捨ててはいないと思います。
山行記録では、前回と違って軽いことを評価しています。
秩父高原牧場ソフトクリーム大350円。
完歩賞は、完歩帽か、灰緑色のヒップバッグふうの妙なもの、とあります。
これは、今も持っています。
やはりポケットがいくつもついています。

⑥2009年4月19日(日) 晴れて暑い
小川町出発6:35。
鉢形城歴史館ゴール17:50。
参加賞は、青い薄い手袋と、白いハンドタオル(抗菌・消臭製品にバージョンアップ)。
この青い手袋は、薄くて手によくフィットし、かつ滑り止めもついていたので、擦り切れるまで山で重宝しました。
晴れて暑かった大会でした。
定峰峠のペットボトル160円。
秩父高原牧場のソフトクリームは、大小の区別がなくなり、一律300円。
牛乳の他、凍らせたペットボトルも飛ぶように売れていました。
釜伏峠の接待。この年もキュウリがおいしかったと記録されています。
キュウリの浅漬けは、どこか他県の催しで食中毒があったからか、以後、接待には出なくなりました。

⑦2010年4月18日(日) 積雪 第25回大会
この年、山は季節外れの積雪のため、コースを大幅変更。
萩平丁字路まではいつものコース。
その先は、ずっと車道歩きでした。
延々と車道で、そのまま彩の国ふれあい牧場(秩父高原牧場のことです)まで車道。
この時点でまだ13時前だったと記録されています。
そして、15時前にゴールイン。
参加賞は、前年と同じ薄い手袋のオレンジ色バージョン。
これも、山で擦り切れるまでありがたく使用しました。
もう1つの参加賞は、白に紫色の縁取りのあるミニタオルハンカチ。
ハンドタオルが急に小さくなりました。
とはいえ、完歩帽は、いつも通りの深緑のものの他に、第25回大会記念のオレンジ色の帽子がありました。
そして、完歩賞は、完歩帽かタオルマフラー。


⑧2011年4月24日(日) 晴れ
小川町出発6:30。
鉢形城歴史館ゴール18:00。
参加賞は青い折り畳み式のクッション兼トートバッグとミニタオル。
教室の棚の奥を探したら、ありました。
使用感が強くて申し訳ない。


多機能すぎてかえって不便なグッズが多い・・・とこの年も私は文句を書いています。
もらえるうちが花だったのですよと、昔の自分に苦言を呈したい。

牧場のソフトクリーム300円。
釜伏峠接待は、甘夏と奈良漬け。
完歩賞は、完歩帽かタオルマフラー。

⑨2012年4月22日(日) 雨
小川町出発6:30。
酒蔵広場ゴール17:45。
寄居駅近くの酒屋さん横の空き地でした。
参加賞は、緑色の手袋とミニタオル。


この手袋は、てのひら側にゴム引きの滑り止めがあり、厚手で温かく、冬の山歩きに重宝しています。
これは、指先に穴が開いてもつくろって、今も現役です。
この年は、1日雨が降り続いた大会でした。
寒いのに、牧場のソフトクリーム300円を頑張って食べました。
暖かい蕎麦をすすっている人もいると書いてあります。
うらやましかったのでしょうか。
16時を過ぎていたから仕方ないのですが、釜伏山の接待が終わっていて、がっかり。
完歩賞は、勿論、完歩帽かタオルマフラー。

⑩2013年4月21日(日) 雨のち雪
小川町出発。6:35。
酒蔵広場ゴール18:00。
参加賞は、七峰のイラストの描かれたレジャーシートとミニタオル。
山はうっすらと積雪し、寒さに震えあがった大会でした。
それでも、根性で食べる牧場のソフトクリーム300円。
釜伏山の接待に、この年は間に合いました。
甘夏と奈良漬けでした。
完歩賞は、勿論、完歩帽かタオルマフラー。

⑪2014年4月20日(日) 曇り。気温3月なみ。
小川町出発。6:35。
鉢形城公園ゴール。17:15。
埼玉県のキャラクター、コバトンたちがお出迎えしてくれた大会でした。
参加賞は、紺色の手袋とミニタオル。
前々回の緑色の手袋と同じ仕様のもので、まだ新品のままとっておいてあります。
緑色の手袋が完全に使えなくなったら、大切に使います。
定峰峠。ペットボトル170円。
秩父高原牧場のソフトクリーム300円。
釜伏峠の接待は、甘夏と梅干し。
完歩賞は、勿論、完歩帽かタオルマフラーでした。

⑫2015年4月19日(日) 第30回記念大会。曇り。
小川町出発。6:50。
鉢形城公園ゴール。17:30。
この年は、電車に乗り遅れ、初めてBコースを利用しました。
参加賞は、ピンバッジ。
第30回大会記念ピンバッジ・・・。
世の中には、バッジが好きな方は確実に存在し、だから、山小屋でも沢山売っています。
今回のヤマスタ利用の大会でも、先着何名だったか忘れましたが、缶バッジや完歩ピンバッジの配布があるそうです。
私は、バッジにはあまり興味がないので、テンション低めで出発。
この年も、埼玉県のキャラクターが沢山お出迎えしてくれました。
秩父高原牧場のソフトクリーム300円。
釜伏峠の接待は奈良漬け。
完歩賞は、いつもの深緑の完歩帽の他に、第30回記念の紺色の完歩帽もありました。
そして、タオルマフラーも。

⑬2017年4月23日(日) 晴れ
小川町出発。6:40。
鉢形城公園ゴール18:10。
参加賞 キシリトールガムの試供品。
ついに参加賞がなくなった大会でした。
そして、この年から、申込みはインターネットのみとなりました。
秩父高原牧場ソフトクリーム300円。
釜伏峠の接待、甘夏。
この年、完歩賞もなくなりました。
ただし、完歩帽もタオルマフラーも、有料販売はありました。
タオルマフラー、1000円。
ほほおと眺めるだけで、購入はせず。

そして、翌年より有料大会となり、以後、私は参加していません。
それでも、毎年、この時期になると、私のブログの外秩父七峰縦走ハイキング大会を記録したページ・ビューに動きがあります。
読んで参考にしてくださっている方や、参加した後で余韻を楽しんでいる方がいらっしゃるのだと思います。
ありがとうございます。

以上、参加賞と食べ物ばかりにこだわった、私の外秩父七峰縦走ハイキング大会の思い出でした。


  


  • Posted by セギ at 18:52Comments(0)

    2023年04月27日

    高校数Ⅱ外心の座標の求め方。


    今週の公園は、ギンランが見ごろでした。
    小さなバッタが花に乗り、かわいい。
    上の画像がそれです。

    さて、本日は高校数学。
    外心の座標の求め方です。

    例えば、こんな問題です。

    問題 点A(1, 5)、B(-2 , -1)、C(6 , 0)がある。
    △ABCの外心の座標を求めよ。

    数Ⅱ「図形と方程式」は、その単元名の通り、図形問題を方程式で解いていくものです。
    数Ⅱの学習内容の中では、易しい単元だと思います。
    でも、図形が苦手な子には、苦しいところかもしれません。

    図形が苦手な子は、必要なことが頭に入っていないんです。
    定理を覚えていません。
    言われれば、ああ、そんなのがあった、と思い出せるのですが、自力で思い出すことができません。
    必要なことを覚えていないので、問題を解けないのです。
    「図形センスがない」と言う前に、端的に、勉強不足、演習不足の子が多いです。
    小学生の頃から、嫌いだ苦手だと言って、演習不足なのだろうと思います。

    だから、上の問題でも、「外心」ということがぼんやりとしかイメージできません。

    「外心って何でしたっけね?」
    こういう質問を嫌い、眉をひそめるのも、図形嫌いな子の特徴かもしれません。
    でも、この問題は、根本がわかっていれば、実はとても簡単に解けるのです。

    「外心って何でしたっけ?」
    「・・・二等分・・・」
    数学となると、何を話すのもカタコトで、語尾が不明瞭な子もいます。
    自信がないのだろうと思います。
    「二等分線ですか?何の?」
    「・・・角・・・」
    「三角形の3つの内角の二等分線の交点ですか?それは内心です」
    「・・・!」

    しかし、これは「何の?」という私の誘導が悪いのです。
    何の?と問われれば、「角の」と答えたくなるのでしょう。

    外心は、三角形の3辺の垂直二等分線の交点です。

    ただ、そういう覚え方をしようとするから混乱しやすく、覚え間違えるのだろうと思います。
    もっと本質的なことを理解していたほうがいいと思うのです。

    外心は、三角形の外接円の中心です。
    まず、ここをゆるぎなく理解しておくことが重要です。

    実際に、三角形を描き、外接円を描き、その外接円の中心をOとし、三角形の3つの頂点と点Oとを結んで眺めてみると、わかりやすいのです。
    円の半径はどこでも等しいですから、OA=OB=OCです。
    △OAB、△OBC、△OCAは、どれも二等辺三角形です。
    ここで、重要な定理。
    二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺を垂直に二等分する。
    中学2年で「三角形」を学習したときに出てきた定理ですが、図形が苦手な子は恐ろしいくらいに覚えていない定理です。
    この定理を覚えているかどうかで、図形が得意か苦手か識別できるほどです。
    ともあれ、二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺を垂直に二等分します。
    頂角Oの二等分線が底辺を垂直に二等分する?
    その二等分線は、つまり、△ABCの3辺の垂直二等分線です。
    だから、外心は、三角形の3辺の垂直二等分線の交点なのです。

    もやもやしたら、実際に図を描いて考えてみてください。
    図形が苦手な子は、自分で図を描きません。
    普段から描かないから、ここぞというときに手が動きません。
    描き方がよくわからないと言います。
    そこを変えていけば、図形問題を克服できる手掛かりになります。

    問題に戻ります。
    上の、「三角形の外心は3辺の垂直二等分線の交点」ということを利用して、外心を求めてみましょう。
    まわりくどい解き方ですが、これも練習。
    やってみましょう。

    三角形の3辺の垂直二等分線は1点で交わります。
    それが外心です。
    垂直二等分線は2本あれば十分。
    その交点を求めればいいでしょう。
    3本目もそこを通りますから。
    さて、では、辺ABの垂直二等分線から求めましょう。

    直線の式はどうすれば求めることができますか?
    傾きと、その直線を通る1点の座標がわかれば求められます。

    辺ABの垂直二等分線は、どの点を通るか?
    辺ABの中点を通るでしょう。
    では、まず、中点を求めましょう。

    中点の座標の求め方も、他の何かと混ざって、勘違いしている人がいます。
    あるいは、考え方が小学生に戻ってしまうようです。

    点A(1, 5)、B(-2 , -1)、の中点。
    まずは、x座標から。
    1と-2の真ん中の値は?

    これを考えるのに、まず、1と-2との差を求めて、それを半分に割って、それを小さいほうに足して、といった、小学生みたいな考え方をひきずっている子がいます。
    その考え方と、以前に暗記したはずの中点の求め方とが混線し、2点の座標を引いて2で割ってしまう子もいますが、誤りです。
    中点は、真ん中なのですから、1と-2の平均です。
    たして、2で割ればいいのです。
    真ん中の値は、それで出てきます。

    そのようにすれば、いちいち式を立てなくても、中点の座標は暗算でさっと出てきます。
    たして2で割るだけですから。
    ABの中点は(-1/2 , 2)です。

    あとは、求める垂直二等分線の傾きがわかればいいですね。
    それには、まず、直線ABの傾きを求めましょう。
    直線の傾きは、2点の座標からすぐに求められます。
    直線の傾きは、変化の割合と等しい。
    これも、中学2年「1次関数」で学習した内容です。
    変化の割合は、yの増加量 / xの増加量で求めることができます。

    ところで、この増加量も、公式としてやり方を覚えているだけで、式を立てないと計算できない人がいますが、2点の座標を見るだけですぐに読み取れます。
    点A(1, 5)、B(-2 , -1)、ですから、
    xの増加量は、-3、yの増加量は-6。
    よって、変化の割合は、2。
    これは、読み取れるはずなのです。
    -2-1とか、-1-5といった式を立てなくても。
    あげく、そこで符号ミスをしてしまう子が数学が苦手な子には多くて、悲しくなってしまうのです。

    「x座標は、1が-2になっているんだから、増加量は-3だよね?わかる?」
    「・・・」
    「y座標は、5が-1になったんだから、増加量は-6です」
    「・・・そういうの、わからない・・・」
    「・・・」

    この子は、いったいいつ頃から、作業手順を丸暗記するだけになり、意味を理解しなくなったのだろう・・・。
    おそらく、中1の始め、「正負の数」の数直線を読み取る段階で、もう理解できなくなっている・・・。
    それは、それより以前の小学校の算数の段階で、もう意味を理解しなくなっていたからだろう・・・。
    どうしても無理だという子には、では、変化した後の座標から、変化する前の座標を「引く」のだということ、決して符号を省略しないことを強調して、先に進みます。

    ともかく、直線ABの傾きは2。
    これでうっかり、垂直二等分線の傾きを2としてしまうミスもあります。
    直線ABの傾きが2なのです。
    では、それと垂直に交わる直線の傾きは、-1/2 です。
    垂直に交わる2直線の傾きの積は、-1だからです。

    しかし、学校で学習済みのことなのに、こうしたことに戸惑い、固まってしまう子もいます。
    作業手順を丸暗記する学習の仕方を小学生の頃から続けてきたわりに、突然、こういうことを言われると、なぜそうなのかわからず、その抵抗感で凝固してしまうようなのです。

    垂直に交わる2直線の傾きの積は、なぜ-1なのか?

    しかし、こうしたことの証明は、数学が苦手でその抵抗感で凝固してしまう子が、
    「わあ、そういうことなんだ!よくわかった!」
    と瞳を輝かせるような種類の証明ではありません。
    文字ばかりの式が続き、証明されたのか、されなかったのか、本人にはよくわからず、感動も何もないことのほうが多いです。
    高校数学で使用する定理の大半がそうである、と言えるかもしれません。
    定理の証明は、時間ばかりかかって、感動はなく、モヤモヤが残るだけなので、週1回90分の授業時間内であまり扱いたくないのが本音です。

    意味を無視して丸暗記を繰り返してきた子が、なぜ、こういうところで突然意味を求めるのか・・・。
    定理の理解は、学校でやってきてくれると正直ありがたい・・・。
    そうした定理をどう使うのか、どうやって問題を分析して解くのか、塾では、そこに力を入れたい・・・。

    それでも、ここで説明しないと、先に進めないのだろうなあ・・・。
    授業進度を気にしながらも、説明することになります。

    垂直な2直線の傾きの積は、なぜ-1なのか?

    説明しましょう。
    直線y=ax+bと、直線y=cx+dが、垂直に交わっているとします。
    それぞれを、原点を通るように平行移動させましょう。
    直線y=axと、直線y=cxも垂直です。
    直線y=axは、点D(1 , a)を通ります。
    直線y=cxは、点E(1 , c)を通ります。
    そしてこの2直線は、原点で交わります。
    今、原点O、点D(1 , a)、E(1 , c)の3点を結んで三角形ODEを作ります。
    2直線は垂直に交わっているのですから、この三角形は直角三角形で、三平方の定理が成り立ちます。
    よって、OD^2+OE^2=DE^2
    ここで、2点間の距離を求める公式を用いましょう。
    1^2+a^2+1^2+c^2=(1-1)2+(c-a)2
    a^2+c^2+2=c^2-2ac+a^2
    よって、-2ac=2
    ac=-1

    こんな証明を面白いと感じるのは、もともと数学が好きな人だけです。
    説明しても、案の定、生徒は微妙な表情を浮かべてしまうのが普通です。
    証明するために用いる考え方や別の定理がわからない、ということも多いです。
    例えば、平行移動しても2直線は垂直のままであるということがわからない。
    あるいは、2点間の距離の求め方がわからない・・・。

    「何かわからないところはありますか?」
    「・・・ありません」
    「では、垂直な2直線の傾きの積は-1ということで、いいですか」
    「いいです・・・」

    ・・・今、諦めましたね?
    そう思うことは多いです。
    数学は積み上げ科目。
    掘り下げれば掘り下げるほど、わからないことは増えていきます。
    それを解決するには、数学的な基礎力が必要です。
    でも、定期テストのために解き方を丸暗記し、翌日には忘れてしまっているような勉強を何年も続けてきた子の場合、その基礎力がないのです。

    でも、疑問を持つことは大切です。
    自分は疑問の答を理解するための基礎知識もないのだと自覚することも、次のステップだと思います。
    疑問は捨てない。
    でも、あまり突き詰めない。
    あまり必死になりすぎると、逆に、
    「自分はもうダメだ。数学なんてわからないんだ」
    と思って、全部捨ててしまうことになってしまいかねません。
    わからなかったら、ここは、
    「何かよくわからなかったけど、証明できるらしいので、垂直な2直線の傾きの積は-1ということで今はいいや」
    と思うのも、1つの知恵だと思います。
    数学の問題を自力で解けるようになってくれば、こうした式ばかりの証明も少し面白く感じるようになりますから。


    問題に戻ります。
    2直線が垂直に交わっているとき、傾きの積は-1。
    今、直線ABの傾きが2ですから、求める垂直二等分線の傾きは、-1/2 です。
    つまり、求めたかった垂直二等分線は、(-1/2 , 2)を通り、傾きが-1/2 の直線。
    y-2=-1/2(x+1/2)

    ・・・これがわからない、という場合は、直線の式の求め方の復習をしてください。
    その後、上の式を整理すると、
    y=-1/2x+7/4 ・・・①

    さて、垂直二等分線は、もう1本求める必要があります。
    次に、直線BCの垂直二等分線を求めましょう。
    BCの中点の座標は(2 ,-1/2)、
    直線BCの傾きは1/8だから、
    求める垂直二等分線の傾きは、-8。
    よって、求める直線の式は、
    y+1/2=-8(x-2)
    これを整理すると、
    y=-8x+31/2 ・・・②

    直線①と②の交点が、求める外心です。
    ①、②を連立して、
    -1/2x+7/4=-8x+31/2
    これを解いて、
    x=11/6

    これを①に代入して、
    y=5/6

    よって求める外心の座標は(11/6 , 5/6) です。


    あー、大変だった・・・。
    こんな面倒くさい解き方しかないものですかね?

    数Ⅱ「図形と方程式」という単元は、直線の学習が終わると、円の方程式の学習に進みます。
    そのとき、再びこうした問題を解くことになります。
    上の問題は、円の方程式を利用して解くことも可能です。

    もう一度問題を見てみましょう。
    問題 点A(1, 5)、B(-2 , -1)、C(6 , 0)がある。
    △ABCの外心の座標を求めよ。

    前にも書きましたが、外心というのは三角形の外接円の中心です。
    では、その外接円の方程式を求めれば、その円の中心の座標も求めることができます。

    円の方程式がわからないという人は、まず基本を復習してから以下を読んでください。

    3点の座標から円の方程式を求めるには、円の方程式を展開した形を用います。
    △ABCの外接円の方程式を、x^2+y^2+ax+by+c=0 とおくと、
    点A(1, 5)を通ることから、
    1+25+a+5b+c=0
    整理すると、a+5b+c=-26 ・・・①
    同様に、点B(-2 , -1)を通ることより、
    -2a-b+c=-5 ・・・②
    点C(6 , 0)を通ることより、
    6a+c=-36 ・・・③

    この3本の式を連立して解くと、
    a=-11/3
    b=-5/3
    c=-14

    まだ答ではありません。
    よって、外接円の方程式は、
    x^2+y^2-11/3x-5/3y-14=0

    円の中心の座標がわかるように、この式を平方完成して整理します。
    (x-11/6)2+(y-5/6)2=14+121/36+25/36
    よって、外心の座標は、(11/6 , 5/6)


    計算過程は省略しました。
    しかし、この計算過程が厄介で、途中で計算ミスをする子が続出します。
    そもそも、3元1次方程式で正答を出したことなど一度もないという強者もいます。
    あれこれと本人なりに工夫して計算しやすくしようとして考え込み、ためらい、結局符号ミスをしてしまう人もいます。


    それにしても、外心の座標というのは、こんな面倒な計算をしなければ求められないものでしょうか。
    垂直二等分線を求める練習、円の方程式を求める練習として解く場合は、それは計算練習だからそれでいいのですが、そういう課題がなく、ポンとこの問題が出されたのであれば、もっと簡単な解き方があります。


    外心というのは、その三角形の外接円の中心。
    前のほうでも書きましたが、円の半径は等しいので、OA=OB=OCです。
    OA、OB、OCは、どれも0より大きい値ですから、各辺を2乗して、
    OA^2=OB^2=OC^2
    これは、2点間の距離の求め方で求めることが可能です。

    上の垂直な2直線の傾きの積が-1であることの証明でも用いましたが、2点間の距離の求め方は、中3の「三平方の定理」で学習している内容です。
    座標平面上で2点を結び、その線分を斜辺とし、底辺と対辺はそれぞれx軸、y軸と平行な線分をひいて、直角三角形を作ることから斜辺の長さを求める方法です。
    底辺の長さは、2点のx座標の差、対辺は、2点のy座標の差となります。
    それを三平方の定理にあてはめます。
    2点(x1,y1) , (x2,y2)間の距離の2乗は、
    (x1-x2)2+(y1-y2)2 です。

    ということは、上の問題では、OA^2=OB^2=OC^2
    外心の座標を(x,y)とおくと、
    (x-1)2+(y-5)2=(x+2)2+(y+1)2=(x-6)2+y^2

    これを解いて、
    x=11/6
    y=5/6

    よって求める外心の座標は(11/6 , 5/6) です。

    うん。
    この解き方が一番簡単ですね。
    この先の「軌跡と方程式」でもこの考え方を使う問題は多いです。
    外心ということの意味を理解していれば、このように簡単に求めることが可能です。

      


  • Posted by セギ at 12:18Comments(0)算数・数学

    2023年04月24日

    古里駅から御岳山に登り、日ノ出山に縦走しました。2023年4月。


    2023年4月23日(日)、御岳山に行ってきました。
    4年ぶりです。
    青梅線の古里駅着8:52。
    下車する人が案外多く、改札左手のトイレも行列になっていました。
    ともかく、支度をして、出発。9:10。
    駅からまずは直進して表通りに出ます。
    信号を渡って、駐車場が広いコンビニに少し道を阻まれる感じにはなりますが、基本は直進。
    万世橋を渡ります。
    この橋は歩道と車道との境にガードレールがなく、歩道が一段高くなっているだけなので、いつも少し緊張します。
    無事に渡り切り、丹三郎門の前を過ぎて、「ここは登山道ではない」という表示も過ぎると、右手に上り坂があり、道しるべもそこに見えています。
    道しるべの通りに右折。
    坂道を登っていくと、登山口です。
    害獣除けの柵を開いて通り、またしっかり閉めました。9:25。
    登山口からいきなり急登が始まります。
    九十九折の坂道が延々と続きます。
    ここは、御岳神社の参道の1つ。
    今もよく整備されていますが、歩く人は少なく、快適な山歩きができました。
    気温も低めで空気が冷たく、気持ちいい。
    マスクなしで歩けるのが、何よりありがたいです。

    同じような坂道が延々と続き、ようやく傾斜が緩くなってくると、林道。10:00。
    直前に道を譲った人が、林道に出るところで立ち止まって、地図を見ていました。
    この林道が通って、まだ10年くらいだと思うので、地図には反映されていないのかもしれません。
    私の奥多摩登山地図は、2013年のものなので、反映されているはずもありません。
    これでも、一度買い替えたんですが、山地図は気がつくと10年くらい経っています。

    予想外の林道に驚くにしろ、驚かないにしろ、林道のすぐ向かい側に再び登山口がありますし、その掲示もあるので、迷うことはありません。
    登山道が再び始まり、また上っていくと、昔、大きな杉があったことを記す掲示板。10:15。
    そこからひと登りで、ようやく支尾根に乗りました。
    新緑の下の平らな尾根の上で、ちょっと休憩。
    凍らせてきたゼリー飲料を飲んで、ほっとひと息つきました。
    登り坂に少し耐性がついてきたのか、ここまでそんなに苦労なく登ってこられました。
    ようやく身体が山に慣れてきた気がします。

    そこからは、滴るような新緑の中の尾根道。
    道は細くなったり、また広くなったり。
    緩くなったり、急になったり。
    山道を楽しんで歩いていくと、分岐。
    道は3つに分かれます。
    そのうちの真ん中の登り道を行きます。
    崩れかけた木段を用心して登っていくと、広い休憩舎が見えてきて、さらにひと登りで、大塚山。10:55。
    ベンチやテーブルもあるので、ここは食事中の人がたまっていました。
    とっとこ通り過ぎて、そのまま下り道に入りました。
    通り過ぎた先にもまたベンチがあり、そこで静かに煮炊きしている人もいました。
    歩きやすい道を行くと、観光地らしい雰囲気になってきました。
    人も増えてきました。
    御岳山。11:30。

    御岳神社は人が多いので、下から拝んで、道しるべを確認し、日ノ出山に向かいました。
    春の日ノ出山への道の歩きやすさ!
    前は、冬の時期に歩くことが多かったので、積雪や凍結を気にしながらでしたが、そんな心配がないこの道は遊歩道レベルの歩きやすさです。
    るんたったと歩いていくと、少し岩がちの箇所があり、やがて、木段の登りになりました。
    さすがに息を切らして登っていくと、日ノ出山。12:00。

    山頂は若い人たちで大にぎわいでした。
    やはり、若者は、1つの山に集中します。
    易しい山には若者が多いです。
    御岳山とか、三頭山とか、丹沢の鍋割山とか、箱根の金時山とか。
    そして、煮炊きの道具をしっかり持っています。
    のんびり煮たり焼いたりするのが楽しみで、易しい山を歩いているのでしょう。

    一番東側の、風上のベンチが1つ空いていたので、そこに座って昼食をとりました。
    本日は、カレーヌードルです。
    食べ終わって、お茶を飲んで、さて出発。12:30。

    ここから吉野梅郷へと下りました。
    まずは、山頂の一番東の階段を下りていきます。
    最初は歩きやすい階段なのですが、徐々に段差が急になります。
    咲き残った山桜が、風に吹かれて一斉に散っていきました。
    山の桜の花びらの滞空時間は長い。
    空中に止まっているように見えます。
    思わず立ち止まり、飽きず眺めました。

    木の根の作る段差など、ちょっと歩きにくい道を下っていくと、分岐。
    尾根道のほうには、「登山道」という道しるべがつけられていました。
    広いまき道には何の表示もなし。
    これは、初めて歩く人は、尾根道しか歩けないような印象になりそうですね。
    私は、無論、まき道一択。
    でも、尾根道は、新緑が美しかっただろうと思います。

    以前にこのまき道を歩いたときは、露出感や高度感のあるところもあったのですが、外側に朽ちた木が置かれたりもするようになり、露出感は軽減され、歩きやすい道になっていました。
    やがて、尾根道と合流。
    合流点には、まき道を指して「一般登山道」と記された道しるべも立っていました。
    さらに行くと、何か建物が見えてきました。
    地図によれば、無線中継所。
    そこから道は舗装され、緩い舗装道をしばらく下っていくと、梅ノ木峠。13:25。
    再び山道に入った入り口付近にベンチが並び、休憩適地です。
    樹木が途切れると、眺望が広がります。
    あの遠い山は、丹沢かな?
    ぽつんと離れているのが、丹沢大山で、その右が丹沢山塊。

    三室山のところで、再び道は分かれ、今回もまき道を選択。
    尾根道と合流後は道は少し細くなり、下り坂が増えてきました。
    そして、琴平神社。
    小さな社があります。
    登山の安全を祈願して、道しるべを見て、吉野梅郷のほうに下りました。

    そうだ。
    忘れていましたが、ここから道が突然険しくなるのでした。
    登山口付近だけ変にややこしく険しい道であるのは、低山あるある。
    こういう段差は、奥高尾ではあまり見ないなあという段差を注意して降りていきました。
    一度転びました。
    うわー、失敗失敗。
    怪我がなくて良かった。

    そうして、左手のフェンス越しにゴルフ場が見えてきて、木段を下っていき、鳥居の先は、舗装道路でした。14:35。
    さて、熊鈴を片付けて、マスクをして。
    右手に梅の公園を見上げながら、舗装道路を道なりにどんどん下っていきました。
    新緑の季節の梅の公園を見るのは、初めてです。
    きれいだなあ。
    でも、やはり季節外れなので、訪れる人は少ないようです。

    さて、道なりにどんどん行くと、大きな通りに出ました。
    ここで、油断による道迷い発生。
    大きな通りをつい右折してしまいました。
    しかも、左右の建物に見覚えがあり、道を間違っているという自覚が全くないまま、橋を2つ渡りました。
    バス停の近くに地図が掲示されていたので、それを見ると、私は、宮ノ平駅に向かって吉野街道を歩いていたのでした。
    おいおいおい。

    生徒によく言うんです。
    何度も同じことを同じように間違えるのは、間違った記憶が自分の中に残っているからだよー。
    間違った解き方をなぞっているのに、その記憶が強いから、それで正しいみたいな気になってしまうんだよー。

    多分、私は、ここを以前も間違えて歩いています・・・。
    しかも、間違えたことを忘れていました。
    ダメである。

    とことこと来た道を戻りました。
    正しくは、大きな通り、すなわち吉野街道に出たら、左折。
    次の梅郷4丁目の交差点を右折。
    山地図をよくよく見ると、確かにその通りなのです。
    でも、道しるべを1本、つけてくれないかなあ・・・。
    駅から観光地への道しるべは豊富なのですが、観光地から駅への道しるべは、不足しているところが多いように思います。
    盲点なのでしょうね。
    遠くから山を越えて、突然観光地に降りてくる徒歩の客がいるとは思わないですよね。

    さて、とことこ歩いて大きな橋を渡りました。
    ここの橋は、歩道が広いので怖くないです。
    下を流れるのは、多摩川。
    川幅が広いです。
    山肌には、藤の花。
    新緑の緑に紫の花が鮮やかです。

    橋から信号を渡ってからの駅への掲示は親切で、その通りに歩いていくと、すぐ駅でした。
    そして、もたもたとスイカを出しているうちに、「立川方面の電車が参ります」というアナウンスが!
    慌てて改札を抜けるとすぐに電車が入ってきました。15:22。
    おお、ホームが1つしかないのが幸いしました。
    道迷いしてもしなくても、同じ電車だったことも幸いでした。
    さらに、その電車は、わずか2駅先の青梅駅までしか行かないのですが、青梅駅では向かい側ホームに青梅線直通の東京行き快速が待っていました。
    三鷹まで、1本。
    明るいうちに三鷹に到着しました。
      


  • Posted by セギ at 16:15Comments(0)

    2023年04月19日

    勉強しやすい時代になりました。


    公園に、ギンランが咲き始めました。
    上の画像がそれです。

    さて、今回は、高校が新課程になって、非常に勉強しやすくなったという話です。

    この春から、高校2年生も新課程。
    そこで、英語コミュニケーションの教科書ガイドを探しに書店に行ってきました。
    教科書ガイドは、教科書本文が全文掲載されているものなら購入することにしています。
    そうではない場合やそもそも教科書ガイドが発売されていない場合は、生徒から教科書を1週間借りてコピーさせてもらう、ということはさすがにできないので、スマホで教科書本文を撮影して使用します。
    そうして、私が全訳し、重要文に下線を引き、暗唱してもらいます。

    書店で、教科書ガイドを見て驚きました。
    新課程の英語コミュニケーションの教科書ガイドは、教科書全文を意味のまとまりごとにスラッシュで区切り、その下に全訳がついていました。
    昔の「読んで訳して、読んで訳して」のリーダーの授業だったら、これで予習の必要がなくなります。
    ありえないほど親切な教科書ガイドになっていました。
    中学生向けの教科書ガイドは全訳がついているのが当たり前でしたが、高校生向けの教科書ガイドで全訳がついているものを今まで見たことがありませんでした。

    これは、新課程になり、学校の英語学習の方向が変わったからなのです。
    読んで訳すことが学習の第一義ではありません。
    ですから、高校の先生が教科書の全訳プリントを渡してくれる学校も今は多いのです。
    教科書ガイドが全訳を載せていることは、学校の授業妨害でもなければ、生徒の学習の機会の損失でもないのです。
    これでこそ、英語学習がはかどるというもの。

    ただし、です。
    これは以前も書きましたが、新しい英語学習の本質をつかめていない子も多いのです。
    全訳を学校でもらえることに安心しきってしまうのです。
    日本語を見て意味がわかったから、自分はその英文を理解した、と誤解してしまうようです。
    学校で学習済みの教科書本文を、
    「では、教科書の英文を日本語に直してみて。英語の順番のままで。意味のまとまりごとでいいですよ」
    そのように指示して、生徒に訳してもらおうとすると、絶句し、何も訳せない子が、新課程の子の中にいます。
    新出単語の意味も、重要表現の意味も、理解していない・・・。
    表面をふわっとなでているだけなのにわかったつもりでいる学習をしているのです。
    無論、重要文を日本語から英文に戻す暗唱もしっかり宿題にしないとやってきません。
    テスト前にやればいいと思っているようですが、テスト前になれば、テスト範囲の広さに投げだしてしまう可能性のほうが高いのです。
    全訳を眺めて、内容は理解したから大丈夫と言い訳してしまうのが関の山かもしれません。

    そもそも、英語を英語のまま理解するというのは崇高な理想ですが、私たちは日本人です。
    日本語に直せない英文は、本当に理解していることになるのでしょうか?
    私は英文を読むとき、いちいち日本語に直しませんが、直せと言われたら、すぐに日本語に直せます。
    それが、英語が理解できているということだと思うのです。

    全訳の載っている教科書ガイド。
    あるいは、学校の先生がくれた、全訳プリント。
    そんな最高の教材があるからこそ、教科書本文を自力で日本語に直したり、逆に、全訳から英文を復元する練習をすることが可能です。
    昔は、そういう練習をするために、まず自分でノートを作らねばなりませんでした。
    そのノート作りに、英語学習の時間の大半を奪われる結果にもなっていました。
    今は、そこを省略して次の段階にすぐ進めるのです。

    さらに言えば、新課程は、高校の教科書もQRコードで本文の音声を聴くことができます。
    高校教科書の音声副教材というものは、以前は存在しませんでした。
    それが聴き放題です。
    しかし、なぜか、活用している子は少ないように感じます。
    いや、それは私の目の前にいる生徒たちが活用していないだけで、日本中を見渡せば、活用している子たちが沢山いるのでしょう。
    これまで、家庭の事情で英語学習の機会が少なかった子たちにとって、無料で、あるいは極めて小さな費用で、豊かな英語学習が可能なのです。
    私なら使い倒します。
    教科書音声にあわせて音読。
    それから、シャドーイング。
    何度も何度もやります。
    どれほど英語力が上がることか。
    そこから這い上がってくる子は、きっと多い。
    目の前に最高の教材があるのに、使おうともせずぼんやりしている子たちもいる一方で。


    さらに、高校の数学教材のコーナーに移動し、棚を見ました。
    高校2年生が新課程に突入したので、青チャート数ⅡBも、新課程版が発売されているかな?

    ・・・ありました、ありました!
    そして、数ⅠAと同様、例題全問の解説動画を無料で見られるようになっています。

    旧課程でも、例題の解説動画は存在したのですが、無料で見られるのはそのうちの数問で、あとは有料でした。
    青チャート本体よりも高い価格で解説動画を販売していたのです。
    高い・・・。
    とはいえ、無料版を見る限りですが、この解説動画、とてもいいものでした。
    素人ユーチューバーがアクセス稼ぎ目当てにやっている数学動画は、早口で聞きづらかったり、間違っていたりして、あぶなっかしい。
    扱う問題も簡単すぎます。
    青チャートの動画は、青チャート学習者のレベルにあっていて、明瞭簡潔です。
    テストによく出る応用問題の典型題も解説されています。
    これなら、基礎力のある子なら、数学の自学自習が可能です。

    自学が可能だなんて、塾経営の危機ではないのか?

    いや、そうでもありません。
    高校生に数学を指導していて困難を感じるのは、宿題を出しても、全問不正解か白紙である場合があることです。
    そもそも学校の授業が理解できない。
    学校の問題集は、解答解説がついていても自力では理解できない。
    そういう課題を抱えている子は多いです。
    それでいて、
    「個別指導だから、わからないことは全部教えてもらえる」
    と生徒は思っているようです。
    1週間に90分の授業で、宿題がほぼ白紙では、次に進めません。
    宿題解説だけで授業は終わり、学校でもう学習しているのだからと次のページを宿題に出しても、やはり、全問不正解・・・。
    その状態が続いても、
    「個別指導だから、わからないことは全部教えてもらえる」
    「わからないことは、塾で勉強すればいい」
    という信念はなぜか揺らぐことなく、むしろ、独りで学習していたときよりも家庭学習の時間が減ってしまう高校生がいます。
    そのほうが、楽だからなのかもしれません。
    そういう子は、授業動画は見ないのです。
    見てもわからないと言います。
    やはり、個別指導が必要なのです。
    数学への取り組み方や意識を変えることも含めての個別指導が。

    数学がわからないのは、授業動画で全面解決。
    というわけにいかないのは、英語の教科書ガイドと同じです。
    結局、使い方なのです。
    授業動画は、青チャートこそ有料だったものの、旧課程の子でも、学校全体で加入していたり、個人で加入していたりして、実は、別の有料の授業動画を視聴可能な環境にいる高校生は多かったのです。
    そのわりに、活用していませんでした。
    学校の問題集も、塾の宿題も、わからなかったら類題の解説動画を探して自分で解決したらいいのに、そういうことをしない。
    学習姿勢が受け身で、活用しないのです。
    あるいは、類題の解説を上手く見つけられないのかもしれません。
    類題のどういうところが類題なのか。
    その分析ができるのは、ある程度数学がわかっている子たちです。
    個別指導しなければならない子は、変わらず多いです。
    むしろ、そうした子たちに、動画や音声の使い方を指導することで、授業をより効率的なものに変えていくことがこれからの個別指導の課題かもしれません。

    さらに、一点。
    大人の人で、高校数学をもう1度勉強したいと考えている人には、テキストと授業動画がセットになっている教材は使いやすいと思います。
    これは、朗報です。

    教科書ガイドと青チャートを購入し、ほくほくして私は教室に向かいました。


      


  • Posted by セギ at 13:48Comments(0)講師日記算数・数学英語

    2023年04月13日

    英文の意味が上手く取れない人の課題。


    公園にキンランが咲き始めました。
    見頃は来週でしょうか。

    さて、今回は、英文の内容理解に関する話。

    英語を英語のまま、理解する。
    崇高な理想ですが、ネイティブではないので、そんなことはできない場合のほうがやはり多いのです。

    たとえば、こんな英文。
    これは、子どもの体育教育に関する文章中の1文です。
    子どもには学校でもっと運動をさせる必要があるのだが、どうもうまくいかない、という内容の文章です。
    そんな中の1文。

    Schools can only fit so many things into a day, and often, testing and other areas of education are more important than physical education.

    学校はあまりにも多くのことを1日に詰め込むことがあり、そして、しばしば、テストと他の分野の教育が体育よりも重要なのだ。

    この英文を受けての、四択問題が以下のものです。

    問題 本文の内容と一致するものとしてもっとも適切なものを以下から選べ。
    (1) It is surprising that students have many things for physical education.
    (2) It is unfortunate that physical education is more important than other subjects.
    (3) It is surprising that school teachers are doing many things to improve kids' fitness.
    (4) It is unfortunate that schools are too busy to leave enough time for physical education.

    前にも書きましたが、英語が苦手な子たちは、そもそも英文の内容をほとんど理解していないために、こういう問題では、本文と同じ、または似ている語句が使われている選択肢を選んでしまいます。

    選択肢を訳してみましょう。
    (1) 生徒たちが体育のための多くのものを持っているのは驚くべきことだ。
    (2) 体育が他の科目よりも重要であるのは、不運なことだ。
    (3) 学校の先生たちが子どもの健康を改善するために多くのことを行っているのは驚くべきことだ。
    (4) 学校があまりにも忙しくて体育のための十分な時間を残せないのは不運なことだ。

    こう訳してみると簡単です。
    正解は(4)です。

    英語が苦手な子たちが選ぶのは、例によって(1)か(2)です。
    本文と同じ語句の含有量が多い選択肢を選びます。
    真逆の内容であることなど、知ったことではない。
    意味がわかっていませんから、内容が真逆であることに気づかないのです。

    そういう選び方をしている限り、こういう読解問題の正答率は低いままです。
    内容がわからないなら、むしろ本文と同じ語句の含有量の少ない選択肢を選んだほうが、まだ正答率は上がるよと解説すると、さすがに憮然とする子が多いのは、良いことだと思います。
    バカにするな。
    自分は、英文の意味をわかるようになりたいんだ、ということでしょう。
    その気持ち、よし。

    内容をわかりたいのなら、では、日本語にしてみましょう。
    和訳問題ではないので、そんなに正確な訳でなくていいよ。
    直訳でいいよ。
    日本語の順番に整えなくてもいいよ。
    そのように促しても、上手くいかない子は多いです。

    Schools can only fit so many things into a day, and often, testing and other areas of education are more important than physical education.

    「学校は、1日の多くのことと合うことができる。体育よりも重要なのは、他の地域の教育と味見だ。」

    ・・・何だそれ?

    Schools can only fit so many things into a day, の部分は、確かに難しい。
    fit ~into ・・・で、「~を・・・に詰め込む」という意味になりますが、それを知らないと、fit をどう訳していいのか苦慮することになります。
    でも、そういう難しいところはわからなくてもいいのです。
    教えたら済むことです。
    むしろ、課題が多いと感じるのは、後半の訳が奇妙なことです。

    testing and other areas of education are more important than physical education.
    「体育よりも重要なのは、他の地域の教育と味見だ」

    ・・・なぜ、後ろから訳すのだろう?

    新課程の子たちですから、中学の頃から、英文の和訳はほとんど要求されていないはずなのですが、訳すとなると、和訳を逐一要求されていた昔の子どもたちと同じ課題を抱えています。
    自分で訳すことはなくても、先生が訳してくれるのを聞いたり、先生から教科書本文の全訳プリントを渡されてそれを読むことは多いからでしょうか。
    日本語と英語は順番が違うので、英語の順番で訳してはいけないと思っているようです。
    それでいて、では、どういう順番で訳すべきなのか、そのルールは知らない・・・。
    だから、とにかく後ろから訳すのが正しいと思っていたり、あるいは、目についた単語を適当に組み合わせて訳そうとしたりします。

    例えば、「A and B」という内容を日本語に訳してもらうと、「BとA」と訳す子は意外に多いです。
    後ろから訳さなければならないと誤解しているようなのです。
    AとBは対等ですから、Bから訳すのは絶対に間違いだとは言いませんが、やはり普通は「AとB」です。
    この子は、日本語に訳すということについて、何か誤解しているのだなあと感じます。

    そういう誤解は簡単には解決しません。
    意味のまとまりごとに英語の順番のままで訳していいと言っても、相当練習した後でないと、その指示が生徒に伝わっていきません。
    「どこからどこまでが意味のまとまりなのか、わからないかな?意味のまとまりというのは、つまり、SVOCMです。文の成分です。どこからどこまでがS?まず、Sを訳しましょう」
    そのように、手取り足取り指導していくと、前から順番に訳していくことが徐々にできるようになっていきます。

    そういう訳し方の順番のおかしさ以外にも、上の和訳は課題を感じます。

    testing を「味見」と訳していること。
    other areas を「他の地域」と訳していること。

    そして、そんな奇妙な訳をしても、訂正する気持ちが働いていないこと。
    自分の和訳が奇妙であることに気づいても、放置してしまうのです。

    教育の話をしているのに、なぜそこに唐突に「味見」が出てくるの?
    それは変じゃないかな?
    「他の地域の教育」?
    地域ごとの教育格差の話はしていないよ?
    その1つの学校の中で、体育と他の何かを比較しているんだよ?

    それでも、訳せと言われると、1語1語の直訳にこだわり、文脈を無視するのです。
    testing 「テストすること」と、 tasting 「味見」とを見間違えるのは、似ているから仕方ないです。
    しかし、見間違えた後で、「いや、そんなの変だろう」と自分で気づくことができれば訂正可能です。
    自分が見間違えたことに対して、自分で訂正する機能が働きにくいのは、学力の低い子に多い傾向です。
    自分の間違いを自分で修正することも含めて、それを能力と呼びます。
    ケアレスミスに自分で気づく。
    何か変だなと感じて、見直す。
    細部を見ているのと同時に全体を俯瞰しているから可能なことです。
    そういうことができず、「味見」で押し通してしまうのです。

    英単語の意味が日本語と1対1対応になっているのも課題です。
    area というと「地域」という訳しか覚えていない。
    「体育という科目と比較して other areas と言っているのだから、具体的な地域や場所のことじゃないよ。場所じゃなくて、もっと抽象的なエリアのことだよ?」
    そのようにヒントを出しても、憮然とし、だんだんと機嫌が悪くなっていく子もいます。
    抽象的という言葉が難しいのか・・・。
    私の説明がそもそも抽象的でわからないのか・・・。
    高校生なのに、そうか・・・。
    そう思うこともあります。

    全く勉強していないわけではないのです。
    本人なりに努力しているのは感じます。
    でも、その読み方では、結局、英文の意味はわからない・・・。

    本来、「地域」という意味を1つわかっていれば、それを具体的な「地域」と限定せず、抽象的な領域、「分野」ととらえることが可能です。
    そのように理解していれば、その英文ごとに最適な日本語が見つかります。
    そういう単語理解をしてほしいのです。
    でも、そのこと自体が難しい。
    そして、英文の意味を「他の地域の教育」と思っている限りは、設問に対して(4)という正答を選ぶことはできません。


    ところで、近年、私立大学入試では「和訳せよ」という出題はほとんど見られません。
    国立大学の2次試験にはまだ多く残っていますが、2024年度入試が旧課程最後の入試。
    新課程になれば、国立大学も入試問題の傾向を変えていくかもしれません。
    新課程では、高校の授業もテストも、和訳問題のない学校が増えています。
    つまり、生徒は和訳の練習をほとんどしていません。
    その状態で国立大学だけ和訳問題を出題し続ける場合、特別な勉強が必要となります。
    内容に関する四択問題でこれほどの困難がありますから、和訳問題になると、さらなる苦難が待っています。

    例えば、こんな和訳問題です。

    問題 以下の文を日本語に直せ。
    This article contains a lot of experience I gathered when I was in Japan.

    まずは直訳してみましょう。
    「この記事は、私が日本にいたときに私が集めた多くの経験を含んでいます」

    意味を取るだけなら、これでいいと思います。
    しかし、和訳問題というのは、そういうことではありません。

    まず気になるのは、「私が集めた経験」という表現です。
    経験を集めるとは、どういうことでしょうか?
    この人は、日本にいたときに、「経験大募集!私はさまざまな人の経験を集めています!」と呼びかけて経験を集めたのでしょうか?

    違うと思います。

    上のような直訳をした生徒に、私は尋ねました。
    「経験というのは、集めるものでしょうか?日本語では、経験は、どうするものですか?」
    「・・・」
    「経験は、『積む』ものです」
    「・・・!!」
    「和訳問題は、直訳で大丈夫ならば直訳を優先しますが、それよりも大切なことがあります。日本語として正しいことです。日本語として不自然な表現は避けること。日本語として不自然な表現は減点されます」
    「あ、それはつまり」
    と、その生徒は、なぜか、私が解説したことを自分なりの言葉で言い換えて咀嚼する癖があり、そのときも、言い換えました。
    「それはつまり、易しい日本語に直す、ということですか」
    「・・・違います。易しい日本語でも、難しい日本語でもいいのです。観点はそこじゃない。正しい日本語かどうかです」
    「・・・それは、つまり、わかりやすい日本語に直すということですか」
    「違います。わかりやすくてもわかりにくくても構いません。正しい日本語に直すんです」

    正しいを易しいと言い換えてしまう・・・。
    その言語感覚では、和訳がブレてしまいかねません。

    和訳問題は、英語能力問題であると同時に、日本語能力問題です。
    日本語として不自然なものにセンサーが働くかどうか、です。
    これは、現代の高校生には困難な課題です。

    「この記事は、私が日本にいたときに私が積んだ多くの経験を含んでいます」

    さて、ここまで直したとして。
    おそらく、この程度の答案で多くの加点があると思いますし、緩い採点基準ならば、正解になると思います。
    しかし、ここでもう一歩攻めたい。
    上のような文を、日本人が日本語で書くでしょうか?
    無生物主語の文ですね。

    「この記事には、私が日本にいたときに積んだ多くの経験が含まれています」

    多分、これで大丈夫です。
    もっと言い換えてもいいかもしれませんが、あまりにも言い換えると本体が消えてしまうので、この程度でよしとしましょう。
    正答例の許容範囲にぎりぎりすべりこめばいいのです。

    こういう気の遣い方をしなければならないので、和訳問題は私自身あまり好きではありません。
    新課程入試に変わったら国立大学の2次試験も和訳問題が減るといいなあと思うのですが、本人の英語力と日本語力を最も評価できる問題は和訳問題であることも否定できません。

      


  • Posted by セギ at 15:18Comments(0)英語

    2023年04月12日

    上川乗から笹尾根を越えて、三国山まで歩きました。2023年4月。


    2023年4月9日(日)、山を歩いてきました。
    日曜日の山歩きは1年半ぶりです。

    前日に調べて驚いたのは、ホリデー快速あきかわ号が廃止になっていたことでした。
    今年の3月半ばの時刻表改定で廃止になったそうです。
    ホリデー快速おくたま号は今まで通り。
    だから、今までのホリデー快速に乗って、拝島で乗り換えれば、ホームの上り下りも必要なく、すぐ乗り換えられて、今まで通りの武蔵五日市駅9時発のバスにも間に合います。
    そんなに不便ということはないのかな。

    バスは、1年半前と同じように、立っている客がまばらにいる状態で出発。
    何となくの印象ですが、若者の登山客が随分減ったような気がします。
    この3年で、若者は山歩きからキャンプにシフトしたのでしょうか。
    それとも、若者はなぜか1か所の山に集中する傾向があるので、今日もどこかの山は若者で大混雑しているのでしょうか。

    上川乗バス停下車。9:35。
    降りたのは、私1人。
    まずはバスの進行方向に少し歩き、その先はバスと別れて左折して橋を渡ります。
    橋の手前のミツバツツジと枝垂れ桜がきれいでした。
    今年は本当に季節の進みが早いなあ。
    2週間は早いようです。

    緩い上り坂の舗装道路を歩いていくと、左手に登山口が見えてきました。
    道しるべがなければ、見過ごしてしまいそうな細い登山口です。
    支度をして出発。
    細い上り坂を歩きだし、すぐに木橋を渡ります。
    後は山肌に沿った崖っぷち道です。
    久しぶりに熊鈴をリンリン鳴らす山歩きです。

    昔と比べて登山道を細く感じるのは、私の錯覚か、それとも、2019年の台風で実際に削られているのか。
    この道を長いと感じるのは、明らかに私の錯覚でしょう。
    急な登りが終わって道が広くなり祠を越えたあたりからはもう平坦な道が続いてすぐに浅間峠に到着したような記憶があるのですが、実はそんなことはなく、その後も緩い上りは続き、道は崖っぷちで案外細く、そして長い。

    浅間峠。10:50。
    以前よりも15分も遅い到着に、「嘘でしょ」とつぶやきました。
    そして、浅間峠のあずまやが、建て替えられているような気がします。
    建て替えられたとしても時間は経過している様子で、既に真新しさはない。
    でも、ここのあずまやは峠全体の雰囲気を暗くするくらいに老朽化していたのです。
    上の画像がそれです。
    春の明るい陽射しの中で、気持ちのよい休憩所となっていました。

    さて、出発。
    笹尾根を、生藤山方面へと歩き出しました。
    ここから、三国山まで、途中に5つのピークがあります。
    笹尾根は、上って下ってまた上る繰り返し。
    以前の記憶では、ここが本当に苦しく、吐きそうになることすらあったのですが、今回は案外そんなこともないのが不思議でした。
    昔は、上り始めにスピードを出し過ぎて、中盤でバテていたのかもしれません。
    季節の進みが早いわりに、今日の気温がそんな高くないことも一因でしょうか。
    新緑の木陰が多いことも。
    まずは1つ目の881mピーク。
    ここは、そもそもそんなに下っていないので、わりとすぐに上れます。

    ここから大きく下って、大きく上り返して、879mピーク。
    後ろから、トレイルランナーがやってきました。
    立ち止まって道を譲ると、3mは離れた位置から、
    「ありがとうごさいます。申し訳ありません」
    はきはきそう言って、すれ違うときは無言で会釈。
    マナー、いいなあ。

    高尾あたりをグループで走っているトレイルランナーは、初心者が多いからか、はしゃぎ過ぎで、山を走れる自分に対する自惚れや勘違いがあるのか、横柄な連中もいます。
    一方、奥多摩を1人で走っているランナーに不快な思いをしたことは一度もありません。
    技術的にも精神的にもはるかに上の人のほうが、謙虚でマナーがいい。
    結局、どの分野でも、そういうものかもしれません。

    続いて、1人で歩いている男性客にも道を譲りました。
    新しいザックなのですが、昔ふうの帆布のもので丸みがあり、帽子も生成りで、後ろ姿が春の山に映えている人でした。
    ああ、写真を撮れば良かったなあ。

    大きく下って、上り返して、851mピーク。
    上れば下る。
    下れば上る。
    笹尾根はそういうものだと諦めているし、スピードも出していないので、思ったほど苦しくはありませんでした。
    もう少し苦しい箇所があったような気がするのだが、と思いながら、また下って登っていくと、トウゴクミツバツツジのピンク色の花が満開の脇を過ぎ、空が開けて、熊倉山。11:50。

    以前の到着時刻より、やはり15分遅れたまま。
    ということは、浅間峠から熊倉山までは、以前のタイムで歩いているということです。
    熊倉山は、背の高いベンチがあって、狭いですが休憩適地。
    中高年女性のグループがにぎやかに昼食中でした。

    ここでの休憩は諦めて、早速下ります。
    ちょっと滑りやすい下り道を行くと、カタクリの花が咲いていました。
    カタクリは、そういえば都立野川公園でも、都立神代植物園植物多様性センターでも見たことがなかった気がします。
    東京に自生する花ではないのかな?

    そうだ。
    カタクリ開花の時期ですから、登山客の多くは今日は奥多摩に行っているのかもしれません。
    登山道にまではみ出してカタクリが咲きみだれている御前山の登山道を思い浮かべながら、淡々と下り、淡々と上ると、神社の奥宮に到着。
    え、もう?
    樹間から、春らしい淡い富士山も見えています。

    そこから、もう1つピークがあります。
    ここの上りの記憶を、もっと前のピークへの上りと錯誤していました。
    さすがにここは苦しいなあと思いながら、でももうここまでくれば三国山はすぐだとわかってもいます。
    三国山。12:25。
    以前の記録では、ここに12:30に到着しています。
    おや、上り始めの15分の遅れを、5分早めまで挽回している・・・。

    三国山は、ソメイヨシノが元気だった頃は、桜の花の向こうに富士山が見える展望地でした。
    テングス病でソメイヨシノは咲かなくなってしまいましたが、富士山は変わらず。
    以前は、登山道にはみ出して座り込んでいる人もいるほど大勢の登山客がいた場所でした。
    今日は、ベンチは埋まっている、というくらいです。
    お花見には、1週間遅かったので、そのせいかもしれません。
    本当に季節の進みが早すぎます。

    ともあれ、すぐに下山開始。
    「鎌沢」の道しるべを確認し、下り道を行きます。
    よく整備された広い登山道をとことこ下っていき、甘草水の分岐のベンチが無人だったので、ここで昼食にしました。12:40。
    茶色の葉がもう出ていますが、桜が咲き残っていました。
    テングス病に強い山桜が植えられ、桜並木が復活されています。
    桜を見上げながら、おにぎりを食べ、ほうじ茶を飲んでいると、ウグイスの鳴き声。
    静かな良い山歩きです。

    さて、出発。
    登山道に舞い散る桜の花びらを楽しく眺めながらとっとこ下っていくと、またベンチがあり、視界が開けて富士山がよく見えました。
    「桜のプロムナード」の看板のあるところです。
    テングス病のことや、桜並木再生のことが説明されています。

    そういえば、街の桜並木も気がつくとソメイヨシノ以外の桜であることが増えてきています。
    季節の進みにこのブログ自体が追い付かず、実は、桜満開の時期に玉川上水から三鷹まで桜並木を歩いたのですが、もうそんなのは遠い昔の話。
    今の街は、ハナミズキと八重桜が満開。
    山も歩きたいが、公園も散歩したい。
    春は見たい花が多くて忙しい。

    舗装道路に出ました。13:45。
    ミツバツツジと枝垂れ桜。
    枝垂れ桜は満開は過ぎていますが、肉眼で見る限りではまだまだ見ごたえがありました。
    トレッキングポールを片付けて、あとは舗装道路をとっとこ下ります。
    今日歩いた中でも、ここが結局一番急だなと感じながら下っていきました。

    バス停。14:15。
    次のバスは、14:31。
    ちょうどよい時間に下山できました。
    バスが2台登っていきました。
    これが和田から折り返してやってくるはず。
    バス停は上り方向に1つしか設置されていないので、バス停の向かい側の道路で待っているとバスがやってきました。
    バスの中は立っている人もいます。
    「2台目のバスがすぐに来ます」
    運転手さんがそう言ってくれたので、次のバスを待つことにしました。
    なるほど、2台目はがらあきでした。

    途中に、陣馬山登山口バス停があります。
    20人以上の行列ができていました。
    陣場山登山口から藤野駅なら、先週も歩いた距離。
    とはいえ、ちょうどいい時間のバスがあるなら、私もバスに乗るかな。
    そう思ううちに、藤野駅に到着。14:50。
    トイレを済ませ、ホームに上がって、山肌の「緑のラブレター」のオブジェを眺めながら電車を待ちました。

      


  • Posted by セギ at 12:33Comments(0)

    2023年04月05日

    陣馬山一ノ尾根から高尾へと縦走しました。2023年4月。


    2023年4月3日(月)、奥高尾を縦走しました。
    中央線を乗り継いで、藤野駅下車。
    支度をして出発。9:10。
    前回、一ノ尾根を歩いたのは、1年半前の秋でした。
    春にこの道を歩くのは、3年ぶりです。

    駅前テラスから高尾方面に戻るように歩き始めました。
    しばらく行くと、踏切があり、左折。
    すぐに隧道が見えてきます。
    歩道も設置されていますが、車がトンネル内を通り抜けるときの音が凄いので、こわごわ通過。
    平日だと、隧道内の車の行き来は休日よりは多いようです。

    トンネルを抜けると、沢沿いの温泉街の落ち着いた風景が広がります。
    桜は、もう葉桜。
    とことこ歩いて、温泉の大きな看板のところに登山道の道しるべもあり、右折。
    一ノ尾根の道しるべをよく見て、すぐに左折。
    この先もまだしばらく舗装道路ですが、急登が始まります。
    花桃が華やかに咲いている、山の麓ののどかな道を歩いて、一ノ尾根登山口。10:00。


    ここには小さな広場的なスペースもあり、ちょっと休憩。
    大きな桜の木からはらはらと花びらが散り、地面は水玉模様。
    そこから歩きだす登山道も、桜の水玉模様の道です。
    今年は季節の進みが本当に早くて、高尾山頂の桜が3月29日に満開になったとネットで見て、慌てて山行予定を立てました。

    まずは穏やかな登山道を行きます
    そこから、岩がちなS字カーブ。
    また、穏やかな登山道。
    そして、急登のS字カーブ。
    一ノ尾根はその繰り返しで高度を上げていきます。
    この辺り、桜はあっても木が高くて、しかも、もう葉桜でした。

    一ノ尾テラス。10:45。
    ここまで、登山口で登山客1人を追い抜いただけでしたが、ここはさすがに4人グループが休憩していました。
    私も少し離れたベンチで休憩。

    道は緩やかで良い道とはいえ、この3年、平らな散歩道に慣れきっているので、緩やかな登りを、ああ登り坂だなあと意識してしまいます。
    上り下りに敏感です。
    道の様子を以前よりも一歩一歩確かめられるようになったのだと、ここはポジティブにとらえて、先に進みました。
    木の根の段差とその脇の平らな踏み跡に分かれている急登を越えると、道は再び緩やかになり、別の登山口からの道と合流。
    立派なベンチもあるので、また休憩しました。11:20。

    そこからは、山肌を回り込むような急登の先、視界が開けると、長い木段が待っています。
    空が開けて道は明るいので、ゆっくり歩けば案外あっけなく茶屋の前まで来て、そのまま細い道をたどると、展望地に到達しました。
    陣馬山頂です。11:50。

    ここの桜は、さすがにこれから満開を迎える様子です。
    五分咲きというところでしょうか。
    見頃の木もありました。
    春霞の先に淡く富士山の姿。
    春らしい眺めでした。

    レジャーシートを敷いて、のんびり座って、カップラーメンの昼食。
    山を歩かなくなって、カップラーメンやカロリーメイト、アルファ米といった非常食の備蓄が家からなくなりました。
    災害に備えて買っておいたほうがいいのですが。
    備蓄しながら順番に使っていくのが、非常食の備蓄の理想です。
    でも、半年なんてすぐに経ってしまって、消費するのが大変だから、ついつい後回しになってしまいます。
    その心配も今後はなくなるでしょうか。
    安心して備蓄しても順番に山で使っていけるようになるかな。

    さて、出発。12:10。
    ここからは奥高尾縦走路です。
    冬の間はドロドロ道だったのだろう陣馬山周辺の登山道です。
    網のマットが登山道にかぶせられていました。
    土の中に適度に沈み込み、上手く滑り止めになっている様子です。
    登山道のこうしたものも、昔と比べると進化していると感じます。

    木段の道などもトントンと下り、明王峠。12:45。
    桜の名所です。
    ベンチに座って、飽かず見上げました。

    まき道を選んで歩いていくと、景信山前の大きな分岐。
    看板が立っていました。
    要約すると、この分岐はまき道ではなく、作業道。
    道迷いが発生しやすいので、入ってはいけないとのこと。

    わかるー。

    ここで、私も以前に道に迷いました。
    だんだん道が細くなって、進退極まり、来た道を戻りました。
    景信山へのまき道は、その直後の分岐なんです。
    景信山に普通に登るのには木段道が2か所ありますが、その前半の木段道をカットできます。
    ちょっと道が細くなる箇所があるまき道で、バランスに不安のある人は入らないほうがいいと思いますが、普通の山歩きができる人なら大丈夫な、よく踏まれている道です。

    というわけで、そのまき道を選んで、景信山までのアップダウンをかなりカットし、途中から普通の登山道と合流。
    その先、もう一度分岐があり、右のまき道を行くと、景信山を完全にまくことになります。

    どうしようかなあ・・・。
    山歩きが久しぶりすぎて、ちょっと疲れたなあ・・・。
    今日、景信山に登っても、茶店もやってないだろうし、もう富士山も見えなくなっているだろうし。

    景信山は、『鬼滅の刃』の何とかいう名前の柱(雑な記憶の仕方!)の出身地なのだそうで、それで「聖地」になっていて、茶店もそれに応えてグッズを用意したりしているそうです。
    景信山出身って、どういうこと?
    麓の民家で育ったということ?
    それは、小仏出身じゃないの?
    ・・・と、原作を知らないので、色々と疑問は頭に浮かぶのですが、まあそういうのは無粋というもの。

    疲れたから、景信山は、まこう。
    そう決めて、右のまき道を選びました。
    とことこ歩いていくと、景信山直下の四つ辻に合流。14:05。
    そこに、グループがたまっていました。
    「え、どう行くの?」
    という声が聞こえます。
    私が現れたのを見て、
    「こっちの道は関係あるの?」
    と言っている人も。

    奥高尾を歩くのが初めてという人も、まだまだいるのだなあ。
    目があった人に、景信山山頂方向の上り坂を指さして、黙礼し、またとことこ歩きました。

    景信山に登らなくて後悔したのは、尾根から身を投げるように咲く一本桜の絶景を見逃したこと。
    桜の季節、景信山から下山中に見える印象的な一本桜は、その光景をご存じの方なら、
    「ああ、あの桜ね」
    とわかってくださると思います。
    あれは、景信山の下り道から見るのが一番きれいです。
    代わりに、その木の根元から桜を見上げました。

    滑りやすい土の道も段差をつけて歩きやすくしてくださっていて、随分楽です。
    S字カーブも乾いているから難なく通過し、小仏峠。14:35。
    そこから、狭い木段の急登を登って、相模湖を見張らせるベンチへ。
    平日のもう午後なので人の姿もなく、相模湖を独り占めしました。

    緩い登り道をしばらく行くと、再び急登の始まりです。
    小仏城山をまいていく道は、2019年の台風で崩落したまま、もう修復不可能なのでしょう。
    木の柵が作られて、完全に閉じられていました。
    樹林帯の中の急登を頑張ると、大きな電波塔が見えてきて、小仏城山。
    満開の桜に出迎えられました。14:55。
    口を開けて見上げ、しばらくその場から立ち去れないほどの桜でした。



    小仏城山は、茶店のご主人が庭を整備されているので、天空の園です。
    相模湖方向に少し下ると、ツツジや花桃がたくさん植えられています。
    山道とは思えない華やかさです。
    印象的なモクレンの木も満開。
    冒頭の画像がそれです。

    さて、ここからは奥高尾縦走路の中でも特に桜の多い道です。
    もう葉桜になっている木も多く、本当に今年は季節の進みが早いです。
    足元の木段を見つめたり、桜を見上げたりと忙しく、なかなか先に進めません。

    さて、再び分岐へ。
    右の道は紅葉台へと登る、階段道。
    左はまき道。
    さすがにもう葉桜が多いし、疲れたし、左のまき道を行きました。
    でも、尾根道のミツバツツジだけは見たいなあ。
    まき道の途中から、ツツジ直通の登り道があるので、そこから登って尾根に出ました。

    紅葉台の尾根のミツバツツジも、ご存じの方が多いと思います。
    これも2019年の台風の影響なのでしょうか、随分登山道から後退し、藪の奥のほうに咲くようになり、木全体が痩せたようにも感じました。
    でも、3年ぶりに見られて良かった。
    本当に、3年ぶりの高尾の春です。

    再びまき道に戻りました。
    まき道といっても、登らないわけでは決してなく、疲れます。

    どうにか、高尾山直下のベンチに到着。15:55。
    ここからもまいて、今回は、1号路を下山することにしました。
    久しぶりの高尾薬王院。
    石段脇の枝垂れ桜も満開でした。

    あとは、舗装された1号路をとっとこ下山。
    疲れていると足が前に出ないので、意識して大股で歩いていくと、水がしみだしている場所に親子連れがいて、何か写真を撮っています。
    姿は見えないけれど、岩の奥から、グエエ、ゴエエと鳴き声が聞こえます。
    「この声、何ですか?」
    通りがかりにそう質問されました。
    「ああ、カエルです。今、名前を忘れてしまったけれど」
    「え。カエルなんですか?」
    「はい」
    会釈して、またとっとこ下山しながら、何という名前のカエルだったかなあと考えました。
    高尾では有名なカエルだから、
    「高尾山 春 カエル 鳴き声」
    で検索すればすぐ出てくるかなあ。
    ああ、そう教えたら良かった。
    でも、気づいて、自分で検索するかなあ。
    そんなことを思ううち、火の用心の横断幕が見えてきて、高尾山口に無事に下山しました。17:10。

    ちなみに、家に帰ってその通りに検索したら、やっぱり出てきました。
    名前は、タゴガエルです。


      


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