たまりば

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2023年04月19日

勉強しやすい時代になりました。

勉強しやすい時代になりました。

公園に、ギンランが咲き始めました。
上の画像がそれです。

さて、今回は、高校が新課程になって、非常に勉強しやすくなったという話です。

この春から、高校2年生も新課程。
そこで、英語コミュニケーションの教科書ガイドを探しに書店に行ってきました。
教科書ガイドは、教科書本文が全文掲載されているものなら購入することにしています。
そうではない場合やそもそも教科書ガイドが発売されていない場合は、生徒から教科書を1週間借りてコピーさせてもらう、ということはさすがにできないので、スマホで教科書本文を撮影して使用します。
そうして、私が全訳し、重要文に下線を引き、暗唱してもらいます。

書店で、教科書ガイドを見て驚きました。
新課程の英語コミュニケーションの教科書ガイドは、教科書全文を意味のまとまりごとにスラッシュで区切り、その下に全訳がついていました。
昔の「読んで訳して、読んで訳して」のリーダーの授業だったら、これで予習の必要がなくなります。
ありえないほど親切な教科書ガイドになっていました。
中学生向けの教科書ガイドは全訳がついているのが当たり前でしたが、高校生向けの教科書ガイドで全訳がついているものを今まで見たことがありませんでした。

これは、新課程になり、学校の英語学習の方向が変わったからなのです。
読んで訳すことが学習の第一義ではありません。
ですから、高校の先生が教科書の全訳プリントを渡してくれる学校も今は多いのです。
教科書ガイドが全訳を載せていることは、学校の授業妨害でもなければ、生徒の学習の機会の損失でもないのです。
これでこそ、英語学習がはかどるというもの。

ただし、です。
これは以前も書きましたが、新しい英語学習の本質をつかめていない子も多いのです。
全訳を学校でもらえることに安心しきってしまうのです。
日本語を見て意味がわかったから、自分はその英文を理解した、と誤解してしまうようです。
学校で学習済みの教科書本文を、
「では、教科書の英文を日本語に直してみて。英語の順番のままで。意味のまとまりごとでいいですよ」
そのように指示して、生徒に訳してもらおうとすると、絶句し、何も訳せない子が、新課程の子の中にいます。
新出単語の意味も、重要表現の意味も、理解していない・・・。
表面をふわっとなでているだけなのにわかったつもりでいる学習をしているのです。
無論、重要文を日本語から英文に戻す暗唱もしっかり宿題にしないとやってきません。
テスト前にやればいいと思っているようですが、テスト前になれば、テスト範囲の広さに投げだしてしまう可能性のほうが高いのです。
全訳を眺めて、内容は理解したから大丈夫と言い訳してしまうのが関の山かもしれません。

そもそも、英語を英語のまま理解するというのは崇高な理想ですが、私たちは日本人です。
日本語に直せない英文は、本当に理解していることになるのでしょうか?
私は英文を読むとき、いちいち日本語に直しませんが、直せと言われたら、すぐに日本語に直せます。
それが、英語が理解できているということだと思うのです。

全訳の載っている教科書ガイド。
あるいは、学校の先生がくれた、全訳プリント。
そんな最高の教材があるからこそ、教科書本文を自力で日本語に直したり、逆に、全訳から英文を復元する練習をすることが可能です。
昔は、そういう練習をするために、まず自分でノートを作らねばなりませんでした。
そのノート作りに、英語学習の時間の大半を奪われる結果にもなっていました。
今は、そこを省略して次の段階にすぐ進めるのです。

さらに言えば、新課程は、高校の教科書もQRコードで本文の音声を聴くことができます。
高校教科書の音声副教材というものは、以前は存在しませんでした。
それが聴き放題です。
しかし、なぜか、活用している子は少ないように感じます。
いや、それは私の目の前にいる生徒たちが活用していないだけで、日本中を見渡せば、活用している子たちが沢山いるのでしょう。
これまで、家庭の事情で英語学習の機会が少なかった子たちにとって、無料で、あるいは極めて小さな費用で、豊かな英語学習が可能なのです。
私なら使い倒します。
教科書音声にあわせて音読。
それから、シャドーイング。
何度も何度もやります。
どれほど英語力が上がることか。
そこから這い上がってくる子は、きっと多い。
目の前に最高の教材があるのに、使おうともせずぼんやりしている子たちもいる一方で。


さらに、高校の数学教材のコーナーに移動し、棚を見ました。
高校2年生が新課程に突入したので、青チャート数ⅡBも、新課程版が発売されているかな?

・・・ありました、ありました!
そして、数ⅠAと同様、例題全問の解説動画を無料で見られるようになっています。

旧課程でも、例題の解説動画は存在したのですが、無料で見られるのはそのうちの数問で、あとは有料でした。
青チャート本体よりも高い価格で解説動画を販売していたのです。
高い・・・。
とはいえ、無料版を見る限りですが、この解説動画、とてもいいものでした。
素人ユーチューバーがアクセス稼ぎ目当てにやっている数学動画は、早口で聞きづらかったり、間違っていたりして、あぶなっかしい。
扱う問題も簡単すぎます。
青チャートの動画は、青チャート学習者のレベルにあっていて、明瞭簡潔です。
テストによく出る応用問題の典型題も解説されています。
これなら、基礎力のある子なら、数学の自学自習が可能です。

自学が可能だなんて、塾経営の危機ではないのか?

いや、そうでもありません。
高校生に数学を指導していて困難を感じるのは、宿題を出しても、全問不正解か白紙である場合があることです。
そもそも学校の授業が理解できない。
学校の問題集は、解答解説がついていても自力では理解できない。
そういう課題を抱えている子は多いです。
それでいて、
「個別指導だから、わからないことは全部教えてもらえる」
と生徒は思っているようです。
1週間に90分の授業で、宿題がほぼ白紙では、次に進めません。
宿題解説だけで授業は終わり、学校でもう学習しているのだからと次のページを宿題に出しても、やはり、全問不正解・・・。
その状態が続いても、
「個別指導だから、わからないことは全部教えてもらえる」
「わからないことは、塾で勉強すればいい」
という信念はなぜか揺らぐことなく、むしろ、独りで学習していたときよりも家庭学習の時間が減ってしまう高校生がいます。
そのほうが、楽だからなのかもしれません。
そういう子は、授業動画は見ないのです。
見てもわからないと言います。
やはり、個別指導が必要なのです。
数学への取り組み方や意識を変えることも含めての個別指導が。

数学がわからないのは、授業動画で全面解決。
というわけにいかないのは、英語の教科書ガイドと同じです。
結局、使い方なのです。
授業動画は、青チャートこそ有料だったものの、旧課程の子でも、学校全体で加入していたり、個人で加入していたりして、実は、別の有料の授業動画を視聴可能な環境にいる高校生は多かったのです。
そのわりに、活用していませんでした。
学校の問題集も、塾の宿題も、わからなかったら類題の解説動画を探して自分で解決したらいいのに、そういうことをしない。
学習姿勢が受け身で、活用しないのです。
あるいは、類題の解説を上手く見つけられないのかもしれません。
類題のどういうところが類題なのか。
その分析ができるのは、ある程度数学がわかっている子たちです。
個別指導しなければならない子は、変わらず多いです。
むしろ、そうした子たちに、動画や音声の使い方を指導することで、授業をより効率的なものに変えていくことがこれからの個別指導の課題かもしれません。

さらに、一点。
大人の人で、高校数学をもう1度勉強したいと考えている人には、テキストと授業動画がセットになっている教材は使いやすいと思います。
これは、朗報です。

教科書ガイドと青チャートを購入し、ほくほくして私は教室に向かいました。





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