たまりば

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2013年01月29日

甘え風邪


インフルエンザが猛威をふるうこの頃、皆様、お元気ですか?
私は、喉を壊し、咳がガホゴホ出ています。
冬期講習そして入試シーズンで授業がたてこんで、しゃべり過ぎて喉がおかしくなってしまっただけなので、感染しませんから、皆さまご安心を。
咳ばっかり出て仕事にならないので、咳止めを処方してもらったら、これが非常に眠くなる成分が含まれていて、薬をあまり飲まない身体には劇的に効き、最近いつも眠いです。

とはいえ、個別指導は、集団指導と比べると、生徒の風邪がうつる可能性が高い指導形態です。
私も、長年の間には、普通の風邪からインフルエンザ、果ては、子どもに流行している肺炎まで感染しました。
職業ごとに、ある種の危険はつきまといますが、子ども相手の仕事は、風邪との闘いなのだと、この仕事を始めて30年、冬になる度、思います。
命の危険や「職業病」と呼んで構わないような重い肉体的危険があるわけではないので、恵まれているほうだと思います。

相手にうつすまいと努力している人と、うつりたくないときちんと用心している人との間では、感染は起こりにくいんです。
三鷹は、やはり、そういう点で、ご家庭の教養度が高いのでしょう。
三鷹に教室を開いてからは、生徒を前に、
「ああ、この子の風邪は、絶対に私にうつる」
と絶望のため息をついたことはありません。
以前勤めていた塾の生徒の中には、なかなかのモンスターっぷりをみせてくれた子たちがいました。

一番多かったのは、風邪をひいているのに、マスクをしてこない子。
「風邪ひいちゃったーん」
と、なぜか陽気に塾に現れます。
マスクをしないで、ウィルスたっぷりの嫌な感じの咳を、狭いブース中にまき散らされますと、それだけで絶望的な気持ちになりました。
「どうしてマスクをしないの?」と訊くと、
「もう風邪をひいているんだから、マスクは必要ない」
と判で押したように同じ応えでした。
マスクは耳が痛いし、呼吸がしにくいから、嫌がる子どもは多いですね。
・・・・・・悪魔が来たりて、ウィルスを吹く。
私は、そのように心の中でつぶやき、あとは私の体力勝負、と自分に祈ったものでした。

鼻のかみ方が、危険な子もいました。
鼻をかまなくちゃ。
かんだら、ティッシュをごみ箱に捨てに行かなくちゃ。
気持ちがあせるのか、この2つが一緒になって、立って鼻をかみます。
結果、私の頭上で鼻をかむ。
ウィルスをたっぷりふくんだ目に見えない霧が、頭の上から降ってくる。
この、頭上鼻かみ攻撃を受けた場合は、一撃で、2~3日以内に高熱が出ました。
これは、もう私の体力がどうのこうのというレベルを越えていました。
(^_^;)

ティシュの使い方がおかしい子もいました。
ティッシュをきちんと折って鼻をおおって使うことができず、鼻がティッシュからはみ出してしまいます。
そんな状態でも、おしゃべりな子は、私のほうを見て、ずっと何かしゃべっています。
そして、私めがけて、鼻をかみます。
これは、頭上鼻かみ攻撃ほどひどくないですが、それでも、感染の可能性がきわめて高い鼻のかみ方です。
鼻をかむときは、人のいない方向を向くことも、わかっていない子は、案外わかっていません。

念のため申しますが、これらは皆、小学校低学年の話ではなく、小学校高学年から、中学生の話です。

なんて書くと、私が非常に神経質で虚弱体質みたいですが、私自身は、ほおっておけば、一生風邪などひかない体質です。
この頑健な肉体を撃沈させるのが、子どものウィルス。
体力のない子どもの体内で、ウィルスは小躍りし、強さを増しているのでしょうか。
至近距離で指導しているという特殊な環境がそれに拍車をかけます。
(^_^;)

子どもの風邪、特にインフルエンザが流行しやすいのは、1つには子どもの抵抗力の弱さがあるのでしょうが、もう1ついえば、上に書いたように、何をすれば他人に感染するのか、あまりよくわかっていない子が多いこと。
他人にうつしてはいけないことがわかっていない子もいること。

さらにもう1つ言えば、受験生など、風邪など絶対にひくわけにいかない事情を抱えている子以外は、風邪の1つもひけば、学校を休めて楽しいな、くらいのゆるいモードでいる場合が多いのも原因かもしれません。
自分の子どもの頃のことを考えましても、そんなに緊張感をもって風邪をひかないようにしていたとは言い難いです。

風邪をひくと、学校を休めます。
学校が嫌いなわけじゃないけれど、休めると、やっぱり嬉しいです。
大人のように、風邪をひいて熱が出ると身体の節々が痛くてつらい、なんて年寄りくさい苦しみはあまりないですし。

それに、風邪をひくと、親が優しいです。
私が子どもの頃は、医院に行って注射を打ってもらった帰りには、書店に寄って、マンガとか本とか、1冊好きなのを選ばせてもらえました。
たまご雑炊とか、鍋焼きうどんとか、熱々のおいしいご飯も出てきました。
桃の缶詰とか、アイスクリームとか、プリンとか、おいしいデザートもつきました。
子どもの風邪ひきさんは、良いことばっかりです。
そりゃ、ひと冬に1度は風邪をひかなきゃ損である。
(*^_^*)

これを甘え風邪と申します。

では、風邪をひくとデメリットだらけになるようにすれば、子どもは風邪をひかなくなるのかというと、それはかなりの確率でそうなると思いますが、風邪をひいた子どもを叱るようなのは、やっぱり、可哀そうです。
子どもの頃の、風邪をひいた日の思い出は、大人になると、不思議と懐かしい。
良い思い出の1つです。

ただ、両親とも働いているのが普通の昨今、自分が風邪をひいたら親が困る、という自覚のある子どももいます。
何か言われるわけじゃないけど、困っている親の気持ちがわかってしまう。
だから、自分は病気になるわけにいかない。
そのように思う子どもは、少し痛々しいですが、でも、愛おしいです。
甘ったれている子どもよりも、他人のことを一生懸命考えている子どもは、愛おしい。
それは、どんな場面でも、そうですね。

とりとめのない風邪話でした。
  


  • Posted by セギ at 14:31Comments(0)講師日記

    2013年01月14日

    思い違いをする脳


    先日、ラジオを聴いていたら、脳科学者がこんなことを話していました。

    人間の脳には、全く関係のない2つのことを関連づけてしまう性質がある。
    身近なパターンに当てはめることで、未知のものに速く対応しようとする。
    複雑なものを、自分が理解できるように単純化しようとする。
    思い違いは、そこから生まれる。

    例として挙げられていたのが、有名な「重いコンダラ」でした。
    (*^_^*)
    何のことかというと、アニメ『巨人の星』のオープニングです。
    「思いこんだら」という歌詞の背景で、野球部員たちが、グランドで整地ローラーを引いているのを見て、「重いコンダーラ」と勘違いをした少年たちが当時の日本で多数発生し、整地ローラーのことを「コンダーラ」というのだと誤解し、その言葉が部活等で使われるに至り、今や辞書にも載りかねないほど定着しつつあるということ。

    思い込んだら試練の道を行くが男のど根性

    私も『巨人の星』は毎回見ていましたが、そんな誤解をしたことはありませんでした。
    おそらく、歌詞が上のように文脈上正確なものだったからだと思います。
    何でも文脈で読んでしまう私は、文脈から外れたことがぽつんと出てくる歌詞だと、むしろ誤解してしまうことがあります。
    私は、『悲しい色やね』の歌詞を、「hold me tight  大阪ベーブ・ルース」だと、ずっと思っていました。
    相手に呼び掛けている歌詞なのだから、ここで出てくるのは、相手の名前であるだろう。
    つまり、ここに出てくる男は「大阪ベーブ・ルース」という愛称の野球選手なのだな。
    阪神か阪急のバッターなのかな。
    「浪速のロッキー」がいるんだから、「大阪ベーブ・ルース」がいてもおかしくない。
    大阪の人は、そういうの、好きそうだ。
    で、今、大スランプで、自分が今までどうやってヒットを打っていたのか、もう訳がわからなくなってしまった。
    そこまで明確にプロ野球選手じゃなくても良く、社会人野球でも、かつての高校球児でも、草野球でも何でもよいのですが、多少のからかいがあるにせよ何にせよ、多くの愛情を込めて「大阪ベーブ・ルース」と呼ばれる存在。
    その人が、今、苦しんでいる。
    で、彼女に、「オレのこと好きか」なんて聞いてしまう。
    そんなことさえ、わからんようになったんか。
    と返す彼女のこの言葉は、深いなあ。
    いい歌だ。

    後年、この歌詞が、「hold me tight Osaka bay blues」であると知り、落胆しました。
    何だ、つまんない歌詞だなあ。
    いえ、私が考え過ぎていただけですけどねー。

    私のこんな勘違いなど、実生活には何にも影響しないのですが、子どもたちの勉強がらみの勘違いは、成績に影響しますので、深刻です。
    毎年、都立を受ける中3には、希望があれば理科や社会も教えます。
    都立の理科や社会は、基本問題しか出ませんから、簡単です。
    覚えるべきことをさくっと覚えて、後は、正しい判断をさくさくしていけば、あんなもん、90点は楽勝です。
    ・・・・・と思うのですが、生徒にとっては、なかなかそうもいかないのが現状です。

    毎年のようにみられる、生徒の錯誤。
    例えば、歴史分野でよくある誤解。
    「でも、センセイ、高度経済成長って、バブルのことでしょう?」
    「・・・・・・はあ?」
    「朝鮮戦争って、日清戦争のことでしょう?」
    「・・・・・・え?」
    「書院造って、寝殿造の別名ですよね」
    「・・・・・・何ですと?」

    歴史が苦手な子の、この乱暴なくくり方に、毎年頭を悩ませています。
    ちょっと似ているくらいのことで、何でここまで混同するんだろう。
    大丈夫なのか?

    地理を勉強すれば、
    「福岡と福島って、似てるから、どっちがどっちか、覚えられない」
    「・・・・・もしもし。福しか似てないですよ?」

    理科で「地震」を勉強すれば、
    「センセイ、ほら、関東ロームってあるじゃないですか。あれは、地震にどう影響するんですか」
    「関東ローム?関東ローム層?粘土層が、地震にどう影響するかなんて、そんな専門的なこと、私はわからないよ」
    「え?でも、テレビでよくやってますよ」
    「関東ローム層と地震の関係を、テレビでよくやっている?見たことないけど?」
    「え、違うのかな。何か、そういうの、ありませんでしたっけ?」
    「・・・・・・・・もしかして、南海トラフ?」
    「あ、そうそう、それ」
    「関東ロームと、南海トラフのどこが似ているのー!」
    関東ロームと南海トラフが似ているのだったら、青山テルマだって似ています。

    この程度の類似性で混同されたら、学習なんかできません。

    似ていることの細かい違いを把握し、区別して認識するのが、学習ではないのか。
    それが出来ないということは、根本的な能力の問題なのかなあ。
    だったら、勉強不足を怒っても、意味がないのかなあ。

    そんなふうに思うこともあったのですが、最初に話しました、ラジオに出演した脳科学者は、こんなことを言っていました。
    思い違いは、知的能力とは、関係ない。
    思い違いは、知能の高い人でも起こす。

    では、何が原因なのかというと、そもそも、その分野に対して、関心がない。
    関心がないので、複雑なものを、なるべく自分が理解できる単純なものに変えてしまう。

    あー。

    確かに、あの子たちは、社会科や理科に関心がない。
    だから、あんな粗雑な勘違いを平気でする。
    それは、全くその通りです。

    では、どうすればいいのかというと、しかし、その先は、脳科学者の仕事ではないのでしょう。
    受験に必要だということは理解しているはずなのに、それでも、社会科や理科に関心のない子を、どうすれば良いのか。
    そこから先は、教育の問題だと思います。

    正しく覚えて、正しく識別すれば、都立の社会や理科なんて、本当に簡単なんだけれどなあ。
    (^_^;)

    最後に、もう1つ、歌詞にまつわる話。
    去年くらいからでしょうか、年末になると、JRが、「ふるさと行きの乗車券」というキャンペーンをはっています。
    中島みゆきさんの歌から来ているのは、間違いのないところ。
    でも、あの歌詞、故郷に帰れない人の歌ですよね。
    私がそう言うと、知り合いが、「いや、あれは帰っている」と言うんです。

    いや、帰れなかっただろう。
    街に挨拶している間に、最終列車に乗り遅れて、ホームに取り残されているだろう、と私が力説しても、何を言っているんだという顔をされます。
    納得がいかない。
    私も、「大阪ベーブ・ルース」の前科がありますので、あまり強く言えないのですが、あれは、絶対、列車に乗り遅れている。

    皆さんは、どう思いますか。
    (*^_^*)
      


  • Posted by セギ at 14:22Comments(0)講師日記

    2013年01月12日

    方程式の文章題をスマートに解く


    小学校の算数から、中学の数学になって、一番変わるのは、方程式という概念の導入だと思います。
    もちろん、その前に、小学校では習わなかった負の数を学ぶのですが、それは、小学校の算数とは地続きで、計算ミスをする子は多いものの、理解できない子は少ないです。

    しかし、方程式は、下手をすると根本的に学びそこねてしまう子が現れます。
    では、方程式の何が小学校の算数とは違うのか。
    大きな違いは、小学校の算数は、答を求めるための式を立てるということ。
    何本かに式を分けるとしても、小学生の立てる式は、最終的に、求めたい答を出すための式です。
    ところが、方程式は、関係を表す式。
    答を求めるための式ではありません。

    例をあげるとわかりやすいかもしれません。

    例題1
    鉛筆を9本購入し、1000円札1枚を払い、おつりを10円もらいました。鉛筆は1本いくらでしたか。

    小学生の立てる式は、以下のようになります。
    まず、代金を求める。
    1000-10=990
    これが、鉛筆9本分の代金なのだから、1本分は、
    990÷9=110
    なので、答は110円。

    小学生の立てる式は、このように、まっすぐ答に向かっていく式です。
    言い換えれば、その式で答が出るか、最後まで見通していないと、式を立てることができません。

    同じ問題を方程式で解くと、このようになります。

    鉛筆1本の代金をx円とする。
    9x+10=1000
       9x=990
        x=110
          答 110円

    このように、方程式は、どうすればxを求められるかを考えて立てるものではありません。
    とりあえず、与えられた情報から、等しい関係を読み取り、関係を表す式を立てます。
    ですから、関係を表す式を立てている段階では、どう計算すれば答が出るかを考える必要がありません。
    でも、立ててしまえば、こっちのもの。
    あとは、方程式の解き方のルールを守ってそれを解けば、xの値がわかります。

    方程式に慣れている大人にとっては何でもないことですが、中学生になって、方程式を学び始めた子どもたちにとっては、これは、大転換。
    当然、この転換についていけない子が現れます。

    方程式の計算方法は、一応身についています。
    でも、立てる式は、こんな式です。

    (1000-10)÷9=x

    宿題全部をこんな式で解いている子のノートを覗き込み、「どわっ」と私はのけぞるのですが、私が驚いている理由が、その子にはわからなかったりします。


    例題2
    90円の鉛筆と、120円のボールペンをあわせて20本購入したところ、合計の代金は、2070円でした。ボールペンは何本購入しましたか。

    一見易しいようですが、普通の小学生は、この問題を解くことができません。
    これは、「つるかめ算」と呼ばれるもの。
    小学校で習う算数ではありません。

    ですから、このあたりから、方程式の凄さに気がつく子どもは多くなります。

    ボールペンをx本購入したとする。
    120x+90(20-x)=2070
    120x+1800-90x=2070
               30x=270
                 x=9
                        答9本

    小学生の頃は、どう解いたら良いのか見当もつかなかった問題を、方程式を使って解く自分。
    どうしたら答が出るかは考えなくてもいいんだ。
    関係を表す式を立てたら、あとは自動的に解けるんだ。
    うーん、かっこいい。
    大人である。


    方程式の計算はできるけれど、文章題の式が立てられないという子は、この転換がうまくいっていない場合が多いです。
    小学生の発想から脱却できず、答を求める式を立てようとしてしまいます。
    小学生ふうの発想で式が立つほど、方程式の文章題の構造は簡単ではありません。
    だから、式が立たないのです。
    そういう場合は、ぜひ、塾へ。
    文章題の各パターン別の立式を一緒に学びましょう。


    さて。
    2学期の期末テスト範囲が方程式の文章題だった学校は多かったです。
    そんな学校の1つで、期末テストにこんな問題が出されました。
    数値は少し変えてあります。

    問題
    あるお店のチョコクッキーは、材料125gのうち、ココアパウダーが25g含まれています。
    また、バターは、材料全体の35%の割合で使用します。
    今、ココアパウダーを550g使用してチョコクッキーを作ります。
    バターは何g使用すれば良いですか。

    バツのついた答案を、私は眉を寄せて睨みつけていました。
    その子の式は、こんなふうでした。

    バターをxg使用するとする。
    25/125 : 35/100 = 550 : x

    沈黙がつらかったのか、その子が言いました。
    「友達に、考え方が根本的に間違っていると言われました」
    「・・・・・あ?」
    友達が、この式を、根本的に間違っていると言った?
    「・・・・・友達は、どんなふうに解いたの?」
    「えーと。えー・・・・・・」
    「・・・・・君の式は、完璧ですよ」
    「ええっ」
    「よく、こんなスマートな式を、テスト中に立てられたね」
    「え」
    「でも、計算が間違っているね」
    「ええっ」
    xを使った比例式を立てるのは、方程式の文章題の中でも、かなり高度なテクニックです。
    普通は、比例式を立てる度胸はなく、普通の式しか発想できません。
    しかも、割合の用法に習熟していないと、この左辺は作れません。

    それなのに、なんで、35×550の計算を間違えるんだろう。
    (^_^;)

    「この式の意味がわからないような友達は、どんな式を立てたって言うの。わざわざもとにする量を求めるような、まぬけな式を立てたんじゃないの?」
    そうと言い切る根拠は何もないのですが、腹が立っていると、私は口が悪くなります。
    「そんな奴が正解で、このスマートな式で1点も取れないなんて」
    あああああ、と私は、怒り心頭なのでした。

    計算力も、鍛えましょうね。
    (*^_^*)
      


  • Posted by セギ at 00:38Comments(0)算数・数学

    2013年01月03日

    赤岳に登ってきました。2013年1月。


    皆様、明けましておめでとうございます。
    昨年中は、大変お世話になりました。
    本年もよろしくお願いいたします。

    セギ英数教室も、お正月休み。
    なので、元旦から、八ヶ岳に行ってきました。
    今回は、南八ヶ岳です。

    クリスマスのときと同じ、あずさ3号に立川から乗車。
    関東は日本晴れの元旦でしたが、車窓から見る八ヶ岳だけが雲に覆われていました。
    あーあ。
    高い山は、その山だけ雲がはりついて離れないことがあるので、厄介です。
    茅野駅9:51下車。
    バス停が1階にある茅野駅西口のビルも、元日は閉まっていて、トイレも閉まっていることにがく然。
    窓口でバスの乗車券を買うときに、トイレの位置を教えてもらいました。
    バス停から、もう1度駅側に道路を渡って、駅の下の交番の後ろに公衆トイレがありました。
    美濃戸口行きバスは、10:25発。
    乗ったのは、私も含め5人ほど。
    大晦日と元旦を山で過ごしたい人は多いので、年末は、席が埋まるくらいには乗車するんだと思いますが、元旦は、バスもすいていました。
    終点、美濃戸口下車。
    支度をし、登山届をポストに入れて、まずは林道を美濃戸まで歩きだしました。11:10。
    美濃戸に駐車場がありますので、そこまで、車で上がる人も多いです。
    そのため、林道は、雪がタイヤでこすられ、凍ってつるつる。
    南八ヶ岳へ行くときの、最初の難関がこれです。(^_^;)
    アイゼンをつけたら楽勝なんですが、こんな麓でアイゼンなんかつけたくない。
    つけたら、ろくに歩けない初心者と思われる。
    そんなわけで、痩せ我慢して、アイゼンをつけません。
    小屋まで、アイゼンなんかつけない。
    北八ヶ岳と違い、南八ヶ岳は、雪山経験のある人が多いので、この痩せ我慢、かなり浸透しています。
    いえ、痩せ我慢ではなく、実際、そんなもの必要としない人が多いんでしょう。
    私は、痩せ我慢派です。(^_^;)
    これからのことを考えたら、バランスよく歩く練習になりますし。

    下りてくる人が続々と現れます。
    大晦日から元旦の山は、やはり大賑わいだった様子です。

    美濃戸山荘。12:20。
    年末年始は、外にまきストーブがたかれ、外テーブルに、熱いお茶の入ったポットも置いてあります。
    ここで5分ほど、暖をとりながら、ちょっとベンチを借りて、昼食。
    今朝買ったコンビニおにぎり、この上まで持っていくと凍る可能性があるので、ここで食べました。
    さて、ここから、赤岳鉱泉をめざし、分岐を北沢へと進みました。
    まだしばらくは広い林道。
    やがて、山道に入っていきます。
    冬期に北沢を登るのは、4回目。
    来る度に様子が違います。
    雪が多かったり、少なかったり。
    雪が多いと、橋は、トレースが深ければ安心感が増すのですが、階段は、雪が埋まってスロープになり、それが凍結していると、かなり歩きにくくなります。
    今回は、雪が少なめで、新雪で、歩きやすかったです。
    切れ切れに青空ものぞいてきました。

    やがて、アイスキャンディーが見えてきて、赤岳鉱泉到着。午後2:40。
    アイスキャンディーは、アイスクライミング用に人工的に造られた氷の壁です。
    青い氷は、ガリガリ君ソーダ味を思い出させます。

    バスに乗ってきた乗客が少なかったので、小屋はすいているかと思ったら、案外人が多く、午後3時前なのに、くつろいでいる人がたくさんいました。
    昨夜からの連泊の人たちなのでしょう。
    元日の赤岳は、登る人が多いので、かなり渋滞するのだと思います。
    その日のうちに下山するのは無理かもしれないので、連泊を予定しておいたほうが、安心ですね。
    部屋に案内されて、隣りの布団の人と挨拶して、お話。
    今年から雪山を始めた人でした。
    知り合いの山岳会の人に連れてきてもらったそうです。
    元旦の赤岳。
    ガスで景色は何も見えなかったけれど、登れたとのこと。
    うらやましい。

    八ヶ岳最高峰の赤岳。
    山頂部が岩稜なので、若干ハードルが高いものの、一般ルートならば、初心者でも、ベテランに補助してもらえば、登れる山です。
    ところが、私は、1度も冬期の赤岳に登頂したことがありません。
    一般ルートをたくさん歩く前に、アルパインのほうに移行したので、赤岳は、主稜を登ることが最初の目標となりました。
    赤岳主稜は、アルパイン・クライミングの入門ルートです。
    ところが、私の知り合いのガイドさんは、年末年始はツアーを率いる大きな仕事が入っていました。
    それ以外の連休となると、私は、2月の連休しかありません。
    2月の八ヶ岳。
    2回挑戦しましたが、2回とも、主稜取り付き付近は、なだれの巣。
    では、一般ルートから登頂しようとしても、凄い風。
    結局、2回とも敗退しました。
    2月の赤岳鉱泉なんて、山岳ガイドが客を連れてきているか、エキスパートのクライマーしかいませんし、夕食も、焼き魚ばっかりで、楽しくありませんでした。
    (^_^;)

    でも、今回は、お正月。
    赤岳鉱泉の夕食メニューは、ステーキと豚汁。
    肉厚の霜降り肉。標準的な1枚分のサイズ。
    それが切ってあって、自分で、1切れずつ焼いて食べます。
    旅館みたいです。
    カボチャ・玉ねぎ・シイタケなどの付け合せもあるし、サラダや果物もついているし、豚汁とご飯はおかわり自由。
    ビバ、お正月の赤岳鉱泉。

    夕食後、歯磨き粉抜きの歯磨きをするために外に出ると、雲が取れて、空は満天の星でした。
    足元がよろけるくらい空を見上げながらの、歯磨きタイムでした。

    布団も、羽毛布団の様子。毛布ももこもこ。
    ストーブが消えても暑いくらいの状態で、ほかほかの就寝。

    さて、翌朝。
    空はどんより曇り空。
    日本海側を低気圧が通過中。
    あーあ。
    1人で来ても、お正月に来ても、赤岳には登れないのか。
    そんなわけで、小屋でもたもた支度をしました。

    でも、このまま下山する時間でもないので、行者小屋まで行ってみることにしました。
    行者小屋到着。8:35。
    前を歩いていた2人組に話しかけると、阿弥陀岳に登るとのことでした。
    そうか。
    そうだなあ。
    曇りだけれど、空はそんなに暗くないしなあ。
    赤岳も阿弥陀岳も、ガスで全然見えないけど。
    行者小屋前のベンチには、支度をしている人が他にもいて、これは、行くべきだなと覚悟して、支度。
    行けるところまで、行ってみることにしました。
    さすがに、地蔵尾根から登るのは、稜線歩きが長くて、突風が吹くと怖いので、文三郎尾根から赤岳南峰にさくっと登って、往路を下山、できたらいいなー。

    徐々に登りがきつくなります。
    風も吹いてきました。
    途中まで後ろからきていた男性が、帰っていくのが見えました。
    前を行く2人連れが、敗退の相談を始めました。

    登れるか登れないかは、個人の力で判断します。
    一般的に登れるかどうかではなく、自分が登れるかどうかです。
    判断基準は、風の強さと視界。
    赤岳主稜を敗退したときの風は、もっと、とんでもなかった。
    今のところ、風は、敗退の理由にはなりません。
    曇っているけれど、視界は、50mくらいはある。
    鎖に導かれていく文三郎尾根なら、迷う心配はない。
    私は、まだ進むことに決めました。

    以前、2月に登ったときは、急坂が、坂の限界を超えて、雪壁になっている箇所がありました。
    あのときは、ガイドさんに、
    「ピッケルのピックを雪壁に刺して、アイゼンの前爪で登ってください」
    とこともなげに言われ、びっくりしました。
    「ロープで確保してくれないんですか?」
    と問い返すと、
    「こんなところで、ロープは必要ないでしょう」
    と、これも、こともなげに言われ、さらに驚愕。
    アイスクライミングを一応経験しておいて良かった、全く冗談じゃないよ、と思いながら、必死に雪壁を登り終え、
    「し、死ぬかと思った」
    とつぶやくと、
    「こんなところで落ちる客なら、もともと連れてきませんよ」
    と、さらにこともなげに言われました。
    そ、そうですか?
    えへへへへー。
    山岳ガイドの飴と鞭は凄い。
    仕事の参考にしよう、と三度驚愕した雪壁体験でした。

    あ。
    アルパインクライミングではなく、赤岳一般ルート登頂を目指している客を連れていく山岳ガイドさんは、行者小屋からロープで確保してくれると思います。

    文三郎尾根は、鎖が手すりのように張られた鉄階段がずっと続いている道です。
    鉄階段はほぼ隠れてスロープとなり、鎖が道路の縁石のように見えるので、風が強くトレースがすぐ消えてしまう山の上部でも、わかりやすく歩きやすい道です。
    前を行く人が、2人見えていました。
    どちらも、単独行の様子。
    初心者を連れている人は、もう戻る状況かもしれません。

    私は、大丈夫かな。
    怖いと感じていないから、まだ、大丈夫だな。
    とりあえず、山頂への分岐の道標のところまで、行くことにしました。

    稜線上にある、赤岳山頂と阿弥陀岳への分岐の道標。
    風の強さがまた増したのを感じましたが、身体を持っていかれるような強さではありません。
    これは、まだ行ける。
    前を行く人も、あきらめる様子がないので、ここで、私だけ敗退したらバカみたいです。
    行くことにしました。
    稜線上のなだらかな道が少しあった後、岩稜帯に入ります。
    ところどころに張られてある鎖も適宜使って、アイゼンの爪をよく効かせて。
    ピッケルでうまくバランスを補助して。
    基本を思い出しながら、一歩一歩岩場を進んでいきました。

    ついに山頂。10:30。
    記念に1枚、と携帯を出しました。
    何とか1枚撮影したのが、上の画像です。
    もう1枚、と思ったら、携帯のバッテリーが切れました。
    バッテリーは、寒さに弱くていけない。
    赤岳南峰に登ったことのある方は、おそらくわかってくださる、山頂標識とお社です。
    (^_^;)

    さて下山。
    山は、登るより、下るほうが難しい。
    急傾斜の新雪なので、一歩一歩が確実に止まる感じがありません。
    慎重に慎重に。
    視界不良なので、高度感がないのが、むしろ楽でした。

    樹林帯に戻り、傾斜も緩んで、ひと安心。
    行者小屋着。12:00。
    下りが苦手なので、時間がかかりました。
    美濃戸口のバスは、14:45発。
    次は、16:30発なので、出来れば、早いバスに乗りたいです。
    なので、アイゼンを外さず、そのまま、早歩きで、下山開始。
    本来、アイゼンは行者小屋で外し、下山もスタイリッシュに決めたいところですが、そんなことを言っている時間はありません。
    というのは言い訳で、本当は、つるつるの林道をアイゼンなしで下るのが、本当に嫌なのでした。
    (^_^;)

    美濃戸口到着。14:30。
    無事、バスに乗って、八ヶ岳をあとにしました。
      


  • Posted by セギ at 15:17Comments(2)