たまりば

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2021年04月28日

府中市の浅間山公園に行ってきました。2021年4月。


2021年4月27日(火)、自転車で府中市の浅間山公園に行ってきました。
先週、井の頭公園で、ムサシノキスゲが開花しているのを見ました。
群生しているところも見たいなあ。

昔、府中の個別指導塾で働いていたことがあったので、ムサシノキスゲの名前は聞いたことがありました。
唯一の自生地が、府中にある。
しかし、その頃は土地勘がなかったのと、今ほどネットも普及していなかったので、府中のどこにある公園なのかもよくわからないまま、深く調べようとすることもありませんでした。
いつか、行ってみたいな。
そう思うだけでした。

今はスマホで「ムサシノキスゲ」と検索するだけで、浅間山公園のことが出てきます。
道路地図で見ると・・・。
都立野川公園のすぐ先です。
野川公園から、あと10分自転車を走らせたところに、ムサシノキスゲが咲いている。
これは、行かねば。

いつものように、武蔵境通りから東八道路へと右折。
都立野川公園を道路の両側に見ながら、さらに東八道路を西へと直進しました。
広大な多磨霊園を左手に見ながら、どんどん先に進み、前原一丁目交差点で左折。
霊園裏門から、多磨霊園の外側を反時計回りに回っていきました。

道なりにかなり進んだところで、細い道路と交差しました。
「浅間山通り」と書いてあります。
地図を見ると、浅間山公園は、多磨霊園の南西にあります。
だとしたら、この道を渡って、右手に見えてくるはず。

しかし、私はここで、致命的なミスをしていて、その後、1時間ほどあたりをさまようことになりました。
右手に緑のこんもりした土地はないか?
自転車をゆっくり走らせながら、進行方向右手を見ていきましたが、そんなものはなく、人見街道に出てしまいました。

来た道を戻り、今度はもう少し手前の辺りを探しました。
そこは住宅街で、道は入り組み、袋小路も多い道でした。
緑の豊かなところだなあと思い、入っていくと、新しくて大きなマンションだったりもしました。

やはりありません。
いったん、東八道路に戻り、小金井街道を左折。
人見街道に出てしまう前に、緑のこんもりしたところはないか?
やはり、先ほどのマンションに出てしまいました。

・・・浅間山公園は、整地されて、マンションが建ってしまったんだろうか?
都立公園じゃないみたいだし・・・。
企業の保有する私有地なのか、企業と民間団体が管理しているようなのです。
そういえば、ネットでヒットしたブログは、どれも4~5年前のものだった・・・。

こんなに探して見つからないのなら、浅間山公園は、もうなくなってしまったのだろうか。
南下すると人見街道まで出てしまい、がっかりして戻る繰り返し。
小さな児童公園で自転車を止めて休憩しながら、ふと思い出していたのは、昔見た、鳥海山に関するドキュメンタリー番組でした。


東北の山、鳥海山。
雪融けを待って春と夏の花が一斉に開く、深く豊かな自然に恵まれた山です。
しかし、観光道路が中腹まで走るようになり、鳥海山の自然が失われることが危惧され始めた頃。
自然保護運動が起こる中でも、大規模なスキー場建設計画が始動しました。
自治体の強力な後押しもあり、スキー場建設計画は着々と進行していきました。
もう、鳥海山の自然は守れないのか・・・。

そんな頃、自然保護運動に参加していた青年の1人が、志半ばで亡くなりました。
周囲の人たちが、さらなる失意の中にあったその翌年。
開発計画地にイヌワシの営巣が確認されました。
イヌワシ。
英名、ゴールデンイーグル。
国の天然記念物に指定された希少動物です。
ただちに開発計画は凍結・白紙撤回となり、鳥海山の自然は守られました。

亡くなった青年がイヌワシに生まれ変わり、鳥海山を守ったのではないか・・・。
周囲の人々はそのように語り、今も、鳥海山を見晴らせる丘の上に、青年の墓はあります。


こうしたドキュメンタリーは、一方向からだけものを見ているので、事実とは違う部分もあるのかもしれません。
何年も前に見たものなので、私の記憶違いもあるかもしれませんし。
でも、イヌワシの営巣が1つ発見されるだけで、どんなに大規模な開発計画も凍結されるのは、事実。

だから、日本で唯一ムサシノキスゲが自生する土地に、マンションは建ちません。
昭和中期じゃないんだから、そんな乱暴なことは起こりません。
そんな愚かなことが実行されるわけがない。

バカなことを考えていないで、もう一度地図をよく見よう。
再び、多磨霊園の外周に戻り、「浅間山通り」という道路名を示す標識のある角まで戻ってきました。
標識のそばには、周辺地図も立っていました。
周辺地図と、自分の手元の道路地図とをよく見比べました。
周辺地図に、ただの薄緑の緑地として描かれ、名称が記載されていないここが、浅間山公園なのではないか?
都立公園ではないから、名称を記載しないのでしょうか。
それとも、太陽に当たって、文字のインクが飛んで消えたのでしょうか。
赤で書いてあったのかな?
山道の看板で、「キケン」とか「火の用心」など、大事な部分を赤で書いてあっために、むしろそこだけ完全に消えているものを見ることがありますよね。

多磨霊園は長方形の土地ではありません。
東八道路から、道はまず南西に進み、その後少し方向を変えて南に進むようになり、さらにまた方向変えて、南東に進むようになっていました。
多摩霊園の南西に、浅間山公園はある。
それは、道が南東に向きを変えてから、その右手に公園があるということなのでした。
多磨霊園をどこまでも外回りに回っていくのは、感覚的には、浅間山通りを左折するということでした。

道路は途中で中央分離帯で分離されるようなので、狭い横断歩道をあらかじめ渡って、浅間山通りを左折。
狭い歩道をゆっくり自転車を走らせていくと、突然、右手に小高い緑地が出現しました。
歩道から直接、その緑地に入っていける木段がありました。
「浅間山」の掲示も。

・・・だけど、自転車はどうしたらいいの?

もう少し、先まで行って、確かめてみよう。
上り坂を越えて、その先、大学のグラウンドとの境目に、自転車も入れる広い入り口がありました。
しかし、そこにも駐輪場はありません。
公園内略図の掲示もありません。

自転車をひいて通りかかった人に、距離を取って、
「駐輪場はありませんか?」
と質問しても、さあと首をひねっていました。
「ここに自転車を置いてもいいんでしょうか」
「うーん・・・。鍵をかけてチェーンもかけたら、大丈夫じゃない?」
「ああ・・・」

そうか。
マナーの問題より、盗難のほうが心配なのかな。
自転車に乗っている人でも駐輪場を知らないということは、そもそも駐輪場が存在しないのでしょうか。
では、自己責任で。
邪魔にならないフェンス近くに自転車を置かせてもらって、出発しました。

入り口から、いきなり木段の登りが始まりました。
山道だー。
わくわくするー。
標高80メートルの山頂なので、あっという間についてしまいましたが。
もともと武蔵野台地はそれなりの標高があるので、実際に登った高さは、30メートル程度でしょうか。
山頂には浅間神社の小さな社。
参拝をして、後ろに回ると、街並みを見下ろせる位置にベンチがありました。
山頂にありがちな配置が、標高80mでも再現されています。

そこから、来た道とは別方向の木段を下りていくと、夢の世界が始まりました。
柵のすぐ向こうにキンランが咲いているのです。
雑草のように咲いています。
さらに、ギンランも咲いていました。
山でも一度も見たことのなかった、幻の花です。
当たり前みたいに、キンランとギンランが並んで咲いています。
ここは、楽園か?

木段を下りていくと、今度は、ムサシノキスゲを発見。
これも、柵のすぐそばで咲いていました。
うわあ・・・。

公園内略図も発見。
浅間山公園は、フタコブラクダのような地形で、いったん下った先に、もうひと山ありました。
おお。
正確には、山頂は3つあるのですね。
そして、わあ、駐輪場がある!
私が自転車を置いた位置から見て、公園の対角線の向こう側にありました。
次に来たときは、必ず駐輪場に入れます。
すみませんでした。

山の麓を一周する遊歩道の脇の斜面には、ムサシノキスゲが群生していました。
山がオレンジ色に染まるほどにムサシノキスゲが咲き競うのは、あと1週間は先でしょうか。
例年なら、キスゲフェスティバルが開催されるそうですが、今年は中止との掲示がありました。

そして、ムサシノキスゲの説明板。
「ムサシノキスゲはニッコウキスゲの変種で低地の乾地におりた型である。ユリ科、ワスレグサ属に分類される多年草で、丘陵地の林下、ときには草地に生育し、花は淡橙黄色で、すてきな芳香があり、3~6花を5月上旬から下旬に開く。花は6つにわかれ、花型は、ニッコウキスゲというよりむしろノカンゾウ型で、葉は細長く8月には枯れはじめる。
なお、自生地は現在ここ浅間山だけである。
みなの協力で、ムサシノキスゲを守りましょう。 東京都」

最後の文字は、「東京都」。
・・・え?
都立公園なの?

ネットで見た記事には、西武・武蔵野パートナーズの管理公園と、書いてありました。
家に帰って調べると、浅間山自然保護会・府中野鳥クラブ等の協力により保全されている、と書いてある記事もあります。
財団法人東京都公園協会の野川公園サービスセンターが管理している都立公園である、と書いてある記事もあります。

・・・どういうこと?
しかし、このわかりにくさが、むしろ、ムサシノキスゲ最後の自生地を守り抜いた人々の存在を強く感じさせるようにも思います。
キンラン・ギンランの株の大きさ、花芽の多さを見ても、この公園の自然の豊かさは、ただごとではないのです。

遊歩道から、緩やかに斜面を上がっていく道がありました。
やがて、2つ目の山頂。
こちらの山頂には、テーブルとベンチ。
平らな山道を歩いていくと、その先にもベンチがありました。
今日は平日なので、人はまばらでした。
気持ちよく歩いていくことができました。

変な場所に自転車を置いてきてしまった・・・。
そんな意識が邪魔をして、ちょっと気持ちが焦り、足早に入り口に戻りました。
自転車は、止めた位置にありました。
さて、まだ時間があるから、野川公園にも寄ろうかな。

時折訪れたい、楽しみな公園が、また1つ増えました。

  


  • Posted by セギ at 12:56Comments(0)

    2021年04月26日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域。領域に関する文章題。


    問題 2種類の薬品P、Qがある。これら1gあたりのA成分の含有量、B成分の含有量、価格は下の通りである。今、A成分を10mg以上、B成分を15mg以上とる必要があるとき、その費用を最小にするためには、P、Qをそれぞれ何gずつとればよいか。

      A成分(mg)B成分(mg)価格(円)
    P  2    1    5
    Q  1    3    6


    単元が示されずにこの問題を解く場合、これは方程式か不等式の問題だろうとおおよその把握ができれば、最初の一歩が踏めます。
    高校生になっても、文章題を見た瞬間、気持ちが小学生に戻り、いきなり答を求めようとして、式をごちゃごちゃ立てたり、暗算したりしてしまう人がいます。
    そうして、「自分は文章題が苦手」と嘆いています。

    しかし、数学を学んでいる我々には、文字があります。
    方程式・不等式という武器があります。
    これは、決して手放してはいけない武器です。

    今、求めようとしているもの何か?
    P、Qをそれぞれ何gとるか、です。
    では、それを文字にしましょう。

    Pをxg、Qをygとるとする。(x≧0、y≧0)

    この1行目を、とにかく書くことです。
    それが、第一歩です。

    これと似た形の文章題は、中2の連立方程式の頃から出題されているのですが、問題の意味を読み取れずに立式できない人もいます。
    P、Q、A、Bといった要素が多すぎて把握できないようなのです。
    把握できない最大の原因は、本人の「読み癖」にあります。
    文章を、斜め読みしかできない人が一定数存在するのです。
    何度読んでも拾い読み。
    よく読みなさいと言われても、拾い読み。
    1文字1文字精読するということができないようなのです。
    「精読」とは何をどうすることなのかわからないほどに、その癖は脳の芯まで食い込んでいます。
    目が滑り、途中を飛ばして読む読み方しかできないのです。
    小学生の頃は、拾い読みでも何とかなりました。
    そうして文章を精読する習慣がないまま、気がつくと、文章を正確に読むことができなくなっているようです。

    あるいは、何行も書いてある文章を見ると、「ああ、嫌だ」と反射的に感じてしまう。
    こんなのは全部読まないで、必要なところだけ拾い読みしたい、と思ってしまう。
    だから、つい、斜め読みをするが、意味がよくわからない・・・。

    この問題が特別難しいわけではありません。
    本人が、文章を読むことができないだけなのです。
    自分のそういう読み癖に気づいたら、音読してみてください。
    音読のスピードで、心の中でつぶやいて読むのでも大丈夫です。
    ペン先で、1文字1文字指していくのもいいでしょう。
    拾い読みで読解できる内容ではないのに拾い読みして、簡単なことを難しくしているのは自分自身だと自覚すると、少しずつでも改善されます。

    薬品はPとQの2種類があって、それぞれの薬品は、さまざまな成分が混ざっている混合物のようです。
    他の不要な成分も含まれているけれど、薬として必要な、A成分とB成分が、それぞれ一定の割合で含まれています。
    どの程度含まれているのか?
    1gに、それぞれが何mg含まれているのかは、表にまとめられています。
    ついでに、薬として重要な価格も表にまとめられています。
    必要な成分を、できるだけ安い価格でとりたいですよね。

    A成分を10mg以上とる必要がある。
    薬品Pをxgとると、そこに含まれているA成分は、2x mg。
    薬品Qをygとると、そこに含まれているA成分は、y mg。
    合計で、A成分を(2x+y)mgとることができます。
    10mg以上とる必要があるのだから、
    2x+y≧10 ・・・①

    B成分を15mg以上とる必要がある。
    薬品Pをxgとると、そこに含まれているB成分は、x mg。
    薬品Qをygとると、そこに含まれているB成分は、3y mg。
    合計で、B成分をx+3y(mg)とることができます。
    15mg以上とる必要があるのだから、
    x+3y≧15 ・・・②

    この①、②によって、領域が定まりました。
    ①より、y≧-2x+10
    ②より、y≧-1/3x+5
    さらに、定義域のx≧0、y≧0もあわせると、考えられる領域は、上の図の領域Dとなります。
    境界を含みます。

    この領域のどこの点の座標のxとyの値でも、必要なA成分、B成分はとれます。
    ここで、問題を見直します。
    「その費用を最小にするためには」とあります。

    では、費用に関する方程式を考えてみましょう。
    薬品Pは、1g5円。
    薬品Qは、1g6円。
    それぞれ、xg、ygとった場合の費用は、
    5x+6y(円)。
    これの最小値を求めたらよいのです。

    ここまで整理すると、これは、前回の問題が文章題になっているだけだったと気づきます。
    5x+6y=k とおきましょう。
    yについて整理すると、
    6y=-5x+k
    y=-5/6x+k/6

    傾きが-5/6である平行な直線が無数にあるとイメージできます。
    その中で、kが最小であるのは、y切片k/6が最小であるもの。
    勿論、領域Dの範囲内で。
    直線①、②の交点の座標(3 , 4)を通るとき、その直線の傾きは最小になることが図からわかります。
    よって、求めるx、yは、x=3、y=4です。

    答は、薬品P、3g。薬品Q、4g です。 


    今後、まだまだ出題形式は変わっていくだろう共通テストの数学ですが、文章題が出題される可能性は高いです。
    文章題に対して苦手意識のある人は、まず問題文を正確に読むという初心に返ってください。
    あまりにも苦手過ぎるという人は、中学の数学問題集に戻って、文章題だけ拾って演習してみるのも良いと思います。
    何を文字におくか、その初手すらわかっていなかったという場合もあるかと思います。
    求めたいものを文字に置くのが基本です。

    「そうではない場合もあった」という嫌な記憶にとらわれ過ぎないことです。
    そうではなかった場合のことは、1つ1つ、なぜそうではなかったのか、今なら理解できると思うのです。

    中学生の頃は、まだ頭の中が小学生だったため、方程式を立てなければならないのに、小学生の文章題の解き方に戻ってしまっていて、「答を求める式」と「関係を表す式」の間で混乱し、苦肉の策のような奇妙な式を立てがちだった人も多いと思います。
    「問題文に書いてある通りの式を立てればいいのに、なぜ、こんなことをしているの?」
    と、中学生の頃、先生や友達に言われた記憶がある人も、いると思います。
    問題文に「多い」と書いてあるのに、わざわざ引き算の式を立ててしまう。
    「和」と書いてあるのに、わざわざ差を求めてしまう。
    それは、小学校の算数の式がそういうものだったからです。
    それを引きずっていただけです。
    高校生になれば、過去の自分がやっていた、そういうわずらわしい作業の無駄にそろそろ気づくと思います。
    今、中学数学の簡単な文章題で、自分の式の立て方の癖に気づき、直しておくことは、意味のあることだと思います。



      


  • Posted by セギ at 11:21Comments(0)算数・数学

    2021年04月23日

    井の頭公園にムサシノキスゲが咲きました。2021年4月。


    2021年4月22日(木)、ウォーキングに行ってきました。
    夏日の予報が出ているので、日焼け止めを念入りにし、帽子をかぶって出発。
    風が強いので、歩いている限りはそれほど暑さを感じませんでした。

    三鷹駅南口から風の散歩道へ。
    今日は玉川上水の左岸を歩きました。
    左岸は途中で歩道が途切れてしまうからか、歩く人が少ないので、すれ違いのわずらわしさが少ないのです。
    川のほとりに、ムラサキカタバミ。
    どこかの庭から逃げてきたのでしょうか。
    ときどき、ニリンソウ。
    もう花の終わる時期なので花が少ないのかもしれません。
    三鷹でも、ニリンソウを見ることができるんだ・・・。
    いや、厳密には、ここは武蔵野市ですか。

    万助橋を渡って、玉川上水緑道をさらにてくてく歩きました。
    平日の夏日なので、人の姿はほとんどありません。
    左岸は、舗装の箇所がしばらくありますが、そこを過ぎると、再び土の道が始まります。
    道路と交差し、今度こそもうすべて舗装道路かと思うと、階段を上がってまた土の道が始まります。
    桜の季節が終わり、白い花をつける木が目につくようになりました。
    ミズキかな?
    ガマズミ?
    ウラジロノキ?
    葉の形で見分けられるのですが、覚えていないので、ポケット植物図鑑を持ってくれば良かった、と後悔。

    足元のハナニラの名前は、覚えました。
    白いハナニラの他、薄紫色のハナニラも咲いていました。

    風が強く、木の枝が揺れてゴーゴーと音を立てます。
    山でこの音を聞くと、結構怖いのです。
    風の音はストレスなのだと、昔、雪山ツアーのガイドさんが教えてくれました。
    そして、何がストレスであるかを認識しておくことは、ストレス軽減に有効だ、と。
    自分は風の音にストレスを感じているのだと知っておくことは、その後の正確な行動につながる。
    何かわからないまま、ただつらい気持ちになっているのではなく、何がどうつらいのか、分析すること。
    知っておくこと。
    客観視しておくこと。
    コロナ禍の今、改めて必要なことなのかもしれません。

    大きな交差点まで歩き、そこでUターンしました。
    来た道を戻るのでも、そんなに退屈しませんでした。
    新緑が目に眩しい。
    歩いていて本当に気持ちのよい季節です。
    土手の草。
    名前を知らない草が大半です。
    被子植物単子葉類。
    被子植物双子葉類離弁花類。
    心の中で指さしてみたりします。

    そういえば、今年から新指導要領になり、理科中3の「生物と遺伝」の学習の中で、「優性・劣性」という言葉は「顕性・潜性」に言い換えられることになりました。
    もともと、そんな言葉よりも、子の代、孫の代の計算問題をすることのほうが学習の中心だったので大きな影響はないですが、うっかり「優性」と言ってしまいそうです。

    とりとめもなくそんなことを考えているうちに、井の頭公園まで戻ってきました。
    木立の中を抜け、道路を渡って、井の頭公園へ。
    今回も、真っ先に、山野草のスペースに向かいました。
    ひと月来ていなかったので、花の様子は完全に変わっています。
    イカリソウ。
    ホウチャクソウが大群落を作っています。

    石段を下りていき、目立つオレンジ色のユリに似た花を見て、棒立ちになりました。
    そばに立つ、植物名の掲示を凝視。
    ・・・ですよね?
    これ、ムサシノキスゲですよね?
    ニッコウキスゲとどこが違うのか、私のような素人にはほぼわからない、あのムサシノキスゲですよね?
    上の画像がそれです。
    まだ大半は固いつぼみですが、ぽつんぽつんと3輪ほど、花開いていました。

    本当に咲くんだ、ムサシノキスゲ。
    植物名の掲示は、以前から見ていたのです。
    でも、「本当に咲くの?」と疑っていました。
    本当に咲いた、ムサシノキスゲ。

    ほれぼれと眺めて、写真を撮って、さて、池を1周。

    ・・・菜の花が咲いている。

    そんなふうに目の端でぼんやり認識して、振り返り、驚愕しました。
    違う。
    菜の花ではありません。
    これは、キンラン。
    あまりにも何気なく咲いているので、通り過ぎるところでした。
    すぐそばに、細い緑のプラスチック棒が立てられ、棒の先には赤いテープが巻いてありました。

    ここにキンランが咲いていることを、管理者は認識している。
    勝手に盗るなー。

    そのような意図のものだと思います。
    山のキンランも、形は違いますが、同じような印がほどこされていることが多いです。

    大きくて立派なキンランでした。
    井の頭公園、凄いなあ。

    野川公園と井の頭公園は、月に一度は来て、何が咲いているか確認しよう。
    改めて思い、帰路につきました。

      


  • Posted by セギ at 13:33Comments(0)

    2021年04月21日

    高校英語。話法。疑問文の伝達。


    さて、話法。
    今回は、伝達内容が疑問文の場合です。
    まずは、直接話法から。

    She said to me, "What are you doing here now?"
    彼女は私に、「あなたは今ここで何をしているの」と言った。

    すべての文を伝達内容が平叙文のように書き換えてしまうミスをする人がいます。
    そうしたい気持ちはわかりますが、「違うのだ」ということをまず強く意識しましょう。
    よその国の言葉を、自分の都合で簡略化してはいけない。
    敬意をもって、その複雑さを楽しみましょう。

    伝達内容が疑問文のときは、平叙文とは異なる書き換え方をします。
    that 節を用いることはできません。
    伝達内容が疑問文・・・。
    思い出してください。
    中学で学習しています。
    間接疑問文。
    それです。

    間接疑問文の語順は、主節の主語・動詞の後、「疑問詞+主語+動詞」でした。
    すなわち、疑問詞が先頭にきますが、あとは肯定文の語順です。
    伝達動詞は、ただのsay や tell ではなく、「尋ねる」という意味の ask に変えます。

    したがって、上の文は間接話法に書き換えると、
    She asked me what I was doing there then.
    となります。
    並べて比較しましょう。

    She said to me, "What are you doing here now?"
    =She asked me what I was doing there then.

    人称代名詞を変換する。
    時制の一致を考慮する。
    場所を表す語句、時を表す語句についても変換する。
    1つの文を書き換えるのに、やることが色々あります。

    もう1つやってみましょう。

    He said to me, "Who brought it to me?"
    彼は私に「誰がそれを私に持ってきたの」と尋ねた。

    疑問詞で始まる疑問文が中学生の頃から苦手な人は、特にこのように主語が疑問詞でもある疑問文が上手く作れないことが多いです。
    普通、疑問詞で始まる疑問文は、「疑問詞+疑問文の語順」です。
    疑問文の語順とは、主語よりも前に何か1単語が出てくるのが基本です。
    be動詞か助動詞が主語の前に出てきます。

    しかし、主語を問う疑問文の場合、疑問詞=主語です。
    疑問詞で始まる疑問文は、「疑問詞で始まる疑問文」という名称通り、疑問詞で始めなければなりません。
    疑問詞が先頭なのは絶対のルールなので、その前に何か1単語出すわけにはいきません。
    結局、主語である疑問詞を言ってしまったら、その後は普通に動詞を言うしかありません。
    それは、肯定文の語順と同じになります。
    主語が疑問詞である疑問文はそういう理屈でこの語順になっています。

    さて、そのように作られている直接話法の文を、間接話法にするには、どうしたらいいか?

    He said to me, "Who brought it to me?"
    =He asked me who had brought it to him.

    やはり、語順は変わらないのです。
    むしろ、この文は、時制が難しいですね。
    伝達している時点で、伝達内容は過去のことでした。
    だから間接話法にすると、伝達内容は過去の過去、つまり大過去にする必要があります。
    大過去、すなわち過去完了形を用います。


    もう少し見ていきましょう。
    疑問文には、上のように疑問詞で始まる疑問文の他に、疑問詞を使わない疑問文、つまり、返事は yes か no になる、「イエス・ノー疑問文」というものがあります。
    疑問文は、大きく、この2種類に分かれます。
    疑問詞で始まる疑問文。
    イエス・ノー疑問文。
    この2種類です。

    伝達内容が、このイエス・ノー疑問文の場合は、どうなるでしょうか。

    I said to him, "Are you alone?"
    私は彼に、「あなたは独りなのか」と言った。

    まず日本語で間接疑問文を考えるのならば、
    「私は彼に独りなのかどうかを尋ねた」
    となります。

    この「~かどうか」を表すのが、接続詞の if または、whether です。
    この2つは使い分けがありますが、どちらでも良い場合も多いです。
    使い分けが心配な人は、とりあえず、if のほうが使い道が狭い、if が使えない場合がある、ということだけでも覚えておくとよいでしょう。
    今回は、どちらでも大丈夫です。

    I said to him, "Are you alone?"
    =I asked him if he was alone.

    if または whether から始まる間接疑問文も、その後は、主語・動詞の語順、すなわち肯定文の語順です。
    あとは、いつものように、人称代名詞や時制に気をつけると、書き換え完成です。

      


  • Posted by セギ at 14:05Comments(0)英語

    2021年04月18日

    都立野川公園にキンランが咲きました。2021年4月。


    2021年4月16日(金)、野川公園を歩いてきました。
    例によって自転車で30分走って、野川公園へ。
    空は思いのほかどんよりしていますが、あまり晴れると暑い季節に入ってきましたので、これはこれで散歩日和です。
    駐輪場に自転車をおいて、早速お目当ての自然観察園に向かいました。
    ゲートで掲示されている、今咲いている花の写真に、今回も驚愕。
    ・・・え?こんな花が咲いているの?
    凄すぎないですか?

    ゲートから木道に入ると、オドリコソウの大群落が広がっていました。
    木道から見晴らせる限り、オドリコソウのピンク色の花畑です。
    オドリコソウって、こんなにわさわさ生えて、わさわさ花をつけるものなんだ・・・。
    フェンスに守られた自然観察園は、植物の別天地です。

    木道の反対側、花の少ない地帯に、目立つ花が1つ。
    赤に近い濃いピンク色の花を輪のようにつけて、すくっと立っていました。
    クリンソウです。
    山で見たのは、いつだったか。
    もうずっと前、確か日光かどこかの山奥の麓の道で見たきりです。
    珍しい花が咲いているなあ。

    そして、木道の反対側は、ゲンゲの花畑。
    俗称レンゲです。
    近くで見るのは初めてです。
    木道にしゃがみこみ、まじまじと見ました。

    少し行くと、今度はイチリンソウの群落。
    ニリンソウと名前が似ていますが、イチリンソウは、花が大きいです。
    イチリンソウは、でかいなあ。
    むしろクサイチゴと見間違うサイズです。

    木道の曲がり角のところでは、イカリソウを発見しました。
    イカリソウは、奥高尾や中央線沿線の山で、これからの季節に沢山見かける花です。
    しかし、ここでは、イカリソウは、1つしか見ませんでした。
    ここは自然界とは異なる偏りがあって、面白いです。
    もともとはどこかから慎重に移植してきた植物か、種をまいたものなのでしょうか。
    一方で繁殖力の強い帰化植物は丁寧に除草しているのだと思います。

    木道から土の道に変わると、ついにお目当てのキンランを発見。
    道から少し遠いので、精いっぱい手を伸ばして撮影しました。
    まだつぼみで、見ごろはあと数日後でしょうか。
    ここのキンランは盗掘の心配がないので、安心して見ていられます。
    奥高尾のキンランは、毎年盗掘との闘いのようで、パトロールが出ています。

    昔、山のバスツアーに参加したときに、隣りに座った人が最近花屋で働き始めたという人で、しかも、組織的に山に盗掘に行くことを全く悪気もなく話すのに驚いたことがあります。
    何ならこのツアーで見つけた花を、職場に報告しようという勢いでした。
    山野草などを扱う花屋だったようです。
    「そういうのは、犯罪ですよ」
    と言っても、
    「違うの。花盗人は罪にならないのよ」
    と笑っていました。
    罪悪感がないことが、何より怖かったです。
    働き始めたばかりの職場の「常識をくつがえすものの考え方」が新鮮で、簡単に洗脳されたのでしょう。
    盗掘した花を売る花屋が存在するのだということもあわせ、恐ろしい経験でした。


    何周しても楽しいので、ぐるぐる回って、同じ植物を何回も撮影して、飽きることがありません。
    入った直後は少し人が多かったのですが、雨がぽつぽつと降りだして、人の姿が消えました。
    傘をさすほどではありません。
    人を気にせず、のんびりと観察し、満足して自然観察園を出ました。

    歩数計を見ると、9,000歩ほど。
    もうちょっと歩きたい。
    橋を渡って、野川の南側に入りました。

    都立野川公園は、昭和の頃はゴルフ場だったそうですが、そういわれるとなるほどそのような地形です。
    なだらかな起伏の芝生が広がっています。
    その芝生が、タンポポの花畑になっていました。
    「いちめんのなのはな」
    という詩の1節がありますが、
    「いちめんのタンポポ」
    もいいなあ。

    野川のほとりに下りて、東へと歩いていきました。
    調整池の整備のために、野川の右岸は、途中で通行止めになっています。
    そこから橋を渡って左岸に回り、舗装された遊歩道を歩いていきました。
    コデマリの垣根。
    モッコウバラの咲く家。
    どんどん行くと、工事中の調整池が見えてきました。
    工事中なのに、カモが泳いでいます。
    カモには工事なんて関係ないですもんね。

    工事中の場所を過ぎると、野川は再びのんびりとした道に。
    サギが飛来しています。
    川遊びに来た幼稚園児らしき3人ほどが、飛び立つサギを追いかけて川のほとりを走っていました。
    右岸には八重桜の大木があり、枝を野川に投げかけています。
    花が散り始めていて、周辺はピンクに染まっていました。
    その隣りには、ハナミズキの白い花、ピンクの花。

    時計を見ると、午後1時半。
    野川の左岸は、中学の通学路のようで、中学生たちが下校してくるのが見えました。
    こんなにきれいな場所が通学路なのはいいなあ。
    本人たちにとっては、何でもない日常なのでしょうけれど。

    さて、そろそろ帰ろう。
    夕方から、私も授業です。


      


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    2021年04月17日

    高校数学。数A「整数の性質」から、倍数に関する難問。


    今回は、「整数の性質」に戻って、ちょっと発展的な問題を考えてみます。

    問題 30! が3のk乗でわりきれるときのkの最大値を求めよ。ただし、kは自然数とする。

    これは、発展問題とはいえ、まだ典型題です。
    この問題は、つまり、30!の中に、3という因数が何個あるのかということです。

    30!=30・29・28・・・・・・9・8・7・6・5・4・3・2・1

    全てかけ算ですから、どれかの数が3で割り切れれば、全体30!も3で割り切れます。
    では、何回3で割り切ることができるか?

    3という因数を持っている数は、30、27、24、・・・、3。
    それは何個あるでしょうか?
    30・29・28・・・と続いていく数字の中の、3個に1個は、3という因数を持っています。
    だから、
    30÷3=10
    つまり、3の因数は10個あります。

    では、k=10 でいいのでしょうか?
    それだけで、大丈夫でしょうか?
    1つの数字で、3という因数を2個持っているものがありますよね。
    例えば9。
    9=3・3 です。
    このように、1つの数字で、3という因数を2個持っているものも、この中にあります。
    その分だけ、さらに3で割り切ることが可能です。
    そういう数は何個あるでしょうか?
    これは、9回に1回出てくる数です。
    すなわち、30÷9=3あまり3 で、3個。

    ・・・それですべてでしょうか?
    1つの数字で、3という因数を3個持っているものはないでしょうか?
    あります。
    27=3・3・3
    30までの数のうち、27は、3という因数を3個持っています。

    3・3・3・3=81なので、さすがに、30!の中には、3という因数を4個持っている数はないです。

    よって、30!の中に、3の因数は、10+3+1=14(個)あります。
    すなわち、30!は、3の14乗で割り切れます。
    上の問題の答は、k=14です。

    よし。
    これでウォーミングアップはできました。
    次に進みましょう。
    ただし、次の問題は、数B「数列」の公式を最後に使用しますので、まだ数列を学習していない人は、そこのところはわからないと思います。
    ご了承ください。
    大学入試問題は、入口は数Aみたいな顔をしているのに、実は数Ⅱや数Bの知識がないと解けない問題もあります。


    問題 pを素数、nを正の整数とするとき、(pのn乗)!は、pで何回割りきれるか。

    ・・・うわあ、全部文字だ。
    何を言っているのか、意味がわからない・・・。

    こんなときは、問題の意味を把握するために、具体的な文字をあてはめて考えてみることをお勧めします。
    具体的な文字といっても、1とか2では、別の特殊な法則性が見えてしまう可能性があるので、もう少し大きい数がいいですね。
    例えば、p=3、n=4をあてはめて、考えてみましょう。

    3の4乗の階乗は、3で何回割り切れるか。

    これは、そういう構造の問題なのだとわかってきます。
    3の4乗=3・3・3・3=81
    81!は、3で何回割り切れるか?
    このように考えれば、上の問題と構造は同じです。
    81・80・79・・・・・3・2・1
    この中で、3という因数を少なくとも1つもっている数は、
    81÷3=27(個)
    3という因数を少なくとも2つもっている数は、
    81÷9=9(個)
    3という因数を少なくとも3つもっている数は、
    81÷27=3(個)
    3という因数を4つもっている数は、
    81÷81=1(個)
    よって、この場合、27+9+3+1=40 となり、3で40回割り切れます。

    さて、ここで、ずっと避けてきたのですが、そろそろ限界なので、ネット上の累乗の表記法を私も使用したいと思います。
    数学に関することをネットで検索して読む人にとって、ネット上での数学独特の表記は、理解を妨げることがあります。
    数学好きな人たちが作り出した上手な表記法なのですが、それを知らない人には読み取れません。
    表記法を知らないと読み取れないのでは、理解を妨げる。
    私のブログは、数学があまり好きではないけれど、数学が得意になりたい人に読んでほしい。
    だから、誰でも読み取れるように表記してきました。
    とはいえ、そろそろ限界です・・・。
    Word ならば、指数表記ができるのですが、このブログは、指数表記ができません。
    今回の(pのn乗)!という表記は、読むように書いてはいますが、かえって読みにくい・・・。

    ネット上では、例えば、「3の2乗」は、「3^2」と書きます。
    「pのn乗」は「p^n」と書きます。
    この先は、この表記でいきたいと思います。
    毎回注記をすれば、ご理解いただけるでしょう。

    さて、問題に戻ります。

    問題 pを素数、nを正の整数とするとき、(pのn乗)!は、pで何回割りきれるか。

    p^n !の各数を並べて表したものをイメージしてください。
    先ほどの例で見てきたことが参考になると思います。
    まず、先頭は、p^n 。その次は、それより1だけ小さい数。すなわち p^n-1。
    次は、それより2だけ小さい数。すなわち p^n-2 。
    それを並べて書いてみます。

    p^n , p^n-1 , p^n-2 , ・・・・3 , 2 , 1

    これらの数の中で、pという因数を少なくとも1つもっている数は、p回に1回出てくるでしょう。
    その個数は、
    p^n ÷ p=p^(n-1)
    pという因数を少なくとも2つ持っている数は、最小でp^2ですから、p^2回に1回出てきます。
    その個数は、
    p^n ÷p^2 =p^(n-2)
    ・・・・これを、
    p^n ÷ p^n=1
    まで行います。
    その答の総和が、p^n の中のpという因数の個数です。

    その答の総和を表す式は、

    p^(n-1)+p^(n-2)+p^(n-3)+・・・・+p^3+p^2+p+1

    ・・・うん?
    何だか見たことがあるような?
    後ろの項から逆に書いたほうが、わかりやすいでしょうか?

    1+p+p^2 +p^3 +・・・・+p^(n-3)+p^(n-2)+p^(n-1)

    これは、数列の和ではないか?
    等比数列の和ですね。
    初項1、公比pの等比数列の、初項から第n項までの和です。
    では、等比数列の和の公式にあてはめましょう。

    1・(p^n -1) / p-1==p^n-1 / p-1

    これが、答です。
    具体的に考えていけば、こんなに抽象的な問題も、基礎知識だけで解いていくことができます。
    まだ数ⅡBを学習していない人にはわからないところがあると思いますが、数Ⅱ「指数関数」と数B「数列」を学習した後なら、これは基礎知識だけで解ける問題です。
    基礎知識だけで解けるのに、見た目が難しい。
    数学の応用問題は、実はそういうものが多いです。

      


  • Posted by セギ at 13:01Comments(0)算数・数学

    2021年04月12日

    中高生の基礎英語 in English は味わい深いです。


    新年度が始まり、NHKラジオ講座も新学期となりました。
    中学生向けとしては、「中学生の基礎英語1」「中学生の基礎英語2」は従来通りの構成の番組ですが、興味深いのは「中高生の基礎英語 in English」。

    この番組、お勧めです。
    対象は中3から高1。
    学年相当の英語力のある子なら、テキスト無しで聴くことができる番組です。
    学校が定期テストの範囲にこの番組を加える場合はテキストを購入したら良いですが、そうでないならば、テキストはむしろ邪魔かもしれません。
    聴くことに集中するには、文字情報はないほうが良いのです。
    テキストがあると、どうせそれを読めばいいと思うから、真剣に聴かない。
    それでいて、テキストを真剣に読むわけでもない。
    どっちつかずの無駄な15分を過ごしながら「ラジオ講座なんて意味がない」と思ってしまう・・・。
    そうならないためには、テキスト無しでチャレンジしたほうがよいでしょう。
    この番組、すべて英語で進行します。
    日本語が途中で出てくることがないのです。
    そうした番組の特性からも、聴くことに集中したほうがよいと感じます。

    新学習指導要領に沿って、英語授業をすべて英語で行う試みが学校でも進行中です。
    すべて英語で英語を教えると、どういうことになるのか?
    その可能性と問題点のすべてが、この番組に詰まっていると感じます。

    番組には、英語が堪能な日本人講師とネイティブ講師、そして日本人の生徒が出演しています。
    生徒役は、2021年度・2022年度は、鈴木福くん。
    適役でした。
    英語が上手すぎるということがない。
    年齢から考えて、下手過ぎるというわけでもない。
    子役としてのキャリアは長いですから、自分の番になれば何かしゃべるという仕事は、しっかりこなせます。
    でも、少し間違うのです。
    それを講師たちが、褒めそやし、励ますのが、番組の骨子です。
    "Very good." "Good job."と、"Almost correct." の連呼で番組が進行していきます。
    なお、鈴木福くんは大学生になってしまい、2023年度は、中村陸くんが生徒役をやっています。
    番組の性格は変わっていません。
    2024年度は、数年前に『パプリカ』を歌っていた女の子が生徒役です。

    番組は、1週間5回分が1単位となっています。
    模範の会話文は同じまま、その内容に関して角度を変えた質問を講師が発し、生徒はそれに答えるという構成になっています。
    会話中の重要文を生かした練習をしたり。
    会話の内容について考えたり。
    同じ内容を、視点を変えながら細かく把握し、それについての自分の考えも英語で述べる。
    この反復学習は、効果的です。
    これだけ繰り返せば、最初は聴きとれなかったことも聴きとれるようになっていきます。
    それを実感することが可能というだけでも、学習効果絶大です。

    しかし、課題もあります。
    番組の課題というよりも、英語で英語を教えることの根本的課題です。
    生徒が少しでもブロークンな英語で答えてしまうと、講師は、"Almost correct!" とは言いながら、必ず訂正します。
    つまり、文法的な間違いを見逃すわけではないのです。
    しかし、それは、生徒が、ある程度の文法は理解していることが前提となります。
    訂正されても、何を訂正されているのか、なぜ訂正されるのかを理解できない子は、文法を理解できないまま、授業が進行していくのです。

    英文に出てくる未習の単語の意味については、より平易な英語での言い換えがなされます。
    しかし、文法解説は、基本なされません。
    英文法を英語で解説するのはハードルが上がり過ぎるので、行うことができないのでしょう。
    「英語ではまず主語を置き、次は動詞を置くのだ」
    といったシンプルな事実すら、それを英語で説明されたら、理解できる子は限られます。
    数えられる名詞は、単数ならば冠詞をつけ、複数ならば複数形にするのだといった説明を英語でなされて、理解できる子がどれほどいるか。
    動詞と形容詞は働きが違うということは、英語で説明されて理解できるものなのか。
    三人称単数現在の場合は動詞にsをつけるといったことは、中学生に理解できる平易な英語で解説可能なことなのか?
    日本語で説明されても理解しない子もいる現状で。

    英語の構造やルールが理解できず、日本語と同じ順番で英語を組み立ててしまう子は、その場では訂正された通りに言い直しても、なぜ自分の英語が間違いなのか理解できないままかもしれません。
    これは、格差がまた開きそうです・・・。

    英語は、英語で学ぶ時間も日本語で学ぶ時間も両方必要なのではないか?
    英語のみで行われる英語の授業は、そのライブ感、高揚感だけをとっても、学習効果は高いです。
    しかし、細かいところを丁寧に正確に教えることは不可能に近い。
    1つの番組を聴くだけで、英語で英語を教えることの課題がわかってくる気がします。


    では、ラジオ講座での文法学習は、どうしましょうか。
    これは、「ラジオ英会話」がお勧めです。
    平日の夜の9時半から、この2番組は連続して聴くことができます。
    これも、中3から高1にお勧めの番組です。
    英文法を柔らかくかみ砕いて解説しています。
    講師の先生は、本人が独自に再構成した英語ルールであるかのように説明していますが、学校で学ぶ英文法とそんなに大きなズレはありません。
    頭の良い子は、英文法をこのように柔らかく生き生きと理解しているものです。
    普通に正しい英文法を、柔らかく説明する。
    だから、学校の英語学習の邪魔になりません。

    本文解説は最小限。
    テキストのリピート練習など、従来通りの英語学習の時間はなく、英文を自分で作って言ってみる時間が多く取られています。
    その日学習した内容に関連して、要求された英語をその場で発する練習です。
    能動的に学習できます。

    さて、ここまでは、標準的な英語力の中3・高1にお勧めの番組でした。
    良い番組なのは認めるけれど、このレベルでは物足りない・・・。
    そうした人には、「ニュースで学ぶ『現代英語』」がお勧めです。

    これは英語ニュースを教材に、現代英語を学ぶ講座です。
    この番組、月曜日・火曜日の「反訳トレーニング」が絶品なのです。
    学んだ英文を使って、日本語訳から逆に英語を復元するのが反訳トレーニングです。

    なお、番組では、口頭で言ってみる反訳トレーニングで終わっていますが、その後、自分で「書く」も加えることをお勧めします。
    テキストはありませんが、NHKのサイトに英文も訳も乗っています。
    その日本語訳を見て、英文を書いてみるのです。
    ペーパーテスト対策として、これは外せないことです。
    番組を聴く+反訳トレーニングで、合計40分から50分。

    私は、昔、中1の「基礎英語」からそれをやっていました。
    番組を聴いた後、日本語訳を見ながら、その英文が言えるように練習する。
    その後、日本語訳を見ながら、その英文を書き、本文を見て自己採点。
    ごく易しいものから少しずつレベルが上がったので、そんなに苦しくありませんでした。
    英語の語順は、日本語とは根本的に違うこと。
    動詞の時制や前置詞や冠詞に細心の注意を払わなければならないこと。
    そうしたことをその練習で学び続けました。

    しかし、途中からこれを始めると、最初はかなり苦痛を伴うかもしれません。
    上手く覚えられない、苦しい、と諦めてしまうことも多いと思いますが、苦しいから効果があります。
    筋トレと同じです。
    楽な運動をいくらやっても、筋肉はつきません。

    それと同時に、完璧を目指さないことも重要です。
    日本語訳を見て英文を書いてみたけれど、間違いだらけで嫌になり、もうやめた、とならないことです。
    最初は間違いだらけでも、続けていけば、間違いは減っていきます。
    完璧じゃないと嫌だからと自分へのテストや力試しをしないでいると、学校のテストや模試や入試で嫌な目にあうのです。
    そのほうが本当に嫌です。

    しかし、お経を唱えるように意味もわからず丸暗記するような暗唱では、効果は半減します。
    うちの塾生にもいました。
    例えば、「今、何時ですか?」という英語は、おそらく小学生の頃に丸暗記したのでしょう、
    What time is it now?
    と、すらすら口をついて出てきました。
    しかし、「ロンドンではそのとき何時だったのですか?」という英文を作ることができませんでした。
    「何時ですか?は、どういうんだっけ?」
    と問いかけても、出てきません。
    「What time でしょう?」
    と言うと、
    「あ。What time is it now?」
    と答えます。
    「うん。でも、is it now ではないよね?これは過去の話だね?」
    と問いかけると、また無言・・・。
    「is を過去形にしましょう。is の過去形は?」
    「・・・did?」
    「・・・」
    お経のように丸暗記した英文が頭の中にあるだけで、英文法を理解していないので、応用が利きませんでした。

    英文を暗唱する場合は、文法や、英語特有の語順や時制、前置詞や冠詞に注意を払いながらしっかり暗唱し、その後、日本語から英文を復元する学習が効果的です。
    そういう頭の働かせ方をして英文を見るのだ、という姿勢もあわせて学ぶ反訳トレーニングをしてください。


    さらに、もう1つ良いのが、「ラジオビジネス英語」。
    内容は、本当にビジネス英語です。
    日本人が海外のビジネスで活躍する話です。
    高校生には違和感があるかもしれませんが、高校生のうちに英検準1級を取っておきたいのなら、特にリスニングは、オフィスでの英語にも慣れておいたほうがいいでしょう。

    また、この番組は、金曜日のゲストへのインタビューが秀逸です。
    教科書の範読のような、プロの話し手のクリアな英語は聴きとれるのだが、生の英語が聴きとれない・・・。
    志望校の入試はリスニングの配点が高く、しかも、インタビューや大学の講義などの生の英語が問題に使われる。
    その対策ができない。
    英語で映画やドラマを見ようとしてみるのだが、全く聴きとれなくて、効果を感じない。
    そういう人にお勧めです。
    癖の強い話者の生の英語を聴くことができます。
    番組内で同じインタビューが2回繰り返されますので、初めはただ聴くだけ、次はテキストを見て聴くといった形で活用できます。

    杉田敏先生の「実践ビジネス英語」が終わってしまったのは残念です。
    ビジネス英語と言いながら、ビジネスの話は少なく、その時代ごとの社会問題について、しっかりした英文を学ぶことができました。
    大学入試の英文が小説・随筆から現代の評論に大きく舵を切った頃、さらに、英検や大学入試でも200語程度の英作文が出題されるようになった頃に、私もどれだけ助けられたか。

    とはいえ、「杉田敏の現代ビジネス英語」という季刊テキストが発売されています。
    音声はテキストを購入すれば無料ダウンロードできます。
    3か月に1度の刊行で、1冊で4つのビニェット。
    放送があった頃は月に2つのビニェットだったので、少し減りましたが、あるだけでもありがたい。
    英検や入試対策で、まとまった英文を書く必要
    があるが、英語で書く以前に、自分の考えというものがない、何を書いていいかわからないという人は、この本文を真似るだけで内容のある英文を書くことができるようになります。

      


  • Posted by セギ at 11:40Comments(0)英語

    2021年04月09日

    玉川上水に春の花咲く。2021年4月。


    2021年4月8日(木)、春期講習も終わり、3月の指導レポートも書き終わり、久しぶりに散歩をしてきました。
    ソメイヨシノの一番良い時期は、ずっと春期講習で、見に行くことができませんでした。
    しかし、桜はソメイヨシノばかりではない。
    まだ何か咲いていないかな?

    三鷹駅北口から、玉川上水緑道を西へと向かいました。
    左岸は舗装されていませんので、気持ちよく歩いていくことができます。
    あ、咲いていた。
    対岸に咲いていたので、橋を渡って、木に近づいていきました。
    八重桜です。
    青空に映える、薄いピンク色の大きな花でした。

    交差点を渡って、緑道は、浄水場の横を並走していきます。
    ここは歩道が広く、新緑が目に優しく、ところどころベンチも設置されています。

    桜橋の交差点を渡って、玉川上水緑道は再び道幅が狭くなりますが、緑が濃い道です。
    ガードレールの脇に、ジャーマンアイリスの白い花。
    これは、誰かが植えているのかな?
    足元にも、白い花が咲いていました。
    花の小径という印象です。
    この白い花は、近年、線路脇などによく咲いているのを見ます。
    はっきりくっきりした印象の、白い花。
    名前を知らないけれど、園芸種が野生化したものなのでしょうか。
    昔は、道端で見ることはなかった花だと思います。
    園芸種に詳しい人にとっては、常識に類する花なのかもしれません。
    (追記 それはハナニラだと、教えていただきました)

    外国産の園芸種の中には本当に強いものもいて、野生化し、日本の野草を駆逐します。
    そういう目で見ると、足元は、華やかに咲いているものはどれも帰化植物でした。
    名前を知らない白い花。
    その隣に咲くこの薄紫色の花は、確か、オオアラセイトウ。
    俗称、ハナダイコン。
    ピンク色の、これもパリッとした可愛らしい花は、確か、ムラサキカタバミ。
    玉川上水緑道にわざわざ種をまいたとは思えないので、いずれも野生化し、上水脇の豊かな土に根付いたのでしょう。
    そして、誰もが知る、西洋タンポポ。

    花が悪いわけではないのです。
    日本の植物も、外国で帰化植物となり、大暴れする場合もあると聞きます。
    花はどれもきれいで、春の上水緑道を華やかに彩っていました。
    歩いていて、うきうきとしてきます。
    都会の狭い土に帰化植物が頑張って咲いているのは、もういいでしょう。
    白・ピンク・薄紫・黄色。
    春らしい配色。
    そして、顔をあげると、たまに、遅咲きの山桜や八重桜。

    この道を歩くのは、もう3度目ですが、季節を変えると全く飽きることがありません。

    玉川上水が五日市街道と合流したところで、右岸に回りました。
    こちらのほうが車の交通量が少ないので、静かな雰囲気を楽しめます。
    道幅も、左岸よりも少し広いです。
    上水の土手には、変わらず白い花。
    この花は、本当に凄い繁殖力だなあ・・・。

    ・・・え?

    違う。
    これは、あのはっくりくっきり観賞用の白い花とは違う。
    これは、ニリンソウ。

    上の画像がそれです。

    まじまじと見て、土手にニリンソウの群落が広がっていることに、驚愕しました。
    玉川上水、やっぱり凄いです。
    こんな街中に、ニリンソウの群落。
    急に山の麓を歩いているような気持ちになりました。

    ニリンソウの群落はそこだけでは終わらず、途切れ途切れに続いていき、眺めている間に、都立小金井公園に到着しました。
    橋を渡って、信号を渡って、小金井公園の中へ。
    入り口にも、大きなヤマザクラの木。

    平日の公園は空いていて快適でした。
    今日は、今まで歩いたことのなかった、公園の東側を歩いてみよう。
    舗装された広い遊歩道を道なりに行くと、小高く盛り上がった場所があり、そこへの階段が整備されてありました。
    登ってみると、そこは、富士見の丘と呼ばれるところでした。
    今はもう富士山は見えそうにないですが、公園を見晴らせる気持ちのよい場所でした。
    そこから、なだらかな坂道をくだっていくと、八重桜の木がぽつぽつと植えてありました。
    そこだけを切り取ったら、山道を歩いているような気分になれる場所でした。
    遊歩道を離れ、木立の中を歩いていくと、公園の東の外れに到達。
    ここまで随分歩きました。
    やはり、都立小金井公園は広い。

    さあ、そろそろ帰ろう。
    出入口に戻り、信号を渡って、玉川上水緑道に戻りました。

      


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    2021年04月06日

    高校英語。話法。直接話法と間接話法。平叙文の伝達。


    さて、今回は話法です。
    話法には、直接話法と間接話法があります。
    直接話法は、発言者の実際のセリフをそのまま伝える方法です。
    日本語では、「 」というカギカッコを用いて伝えます。
    英語では、" "というダブルクォーテーション・マークを用います。

    He said to me, "I want you to play the piano for me."
    彼は私に、「君に僕のためにピアノを弾いてもらいたい」と言った。

    彼が実際に口にしたセリフそのまです。
    これが直接話法です。
    子どもでも使える話し方です。
    聞いたセリフをそのまま繰り返せばよいのですから。
    臨場感がある一方、少し幼い印象もある話法です。


    これを間接話法に変えると、
    He told me that he wanted me to play the piano for him.
    彼は私に、自分のために私にピアノを弾いてほしいと言った。

    この文を言っている、または書いている「私」の立場から、彼のセリフを組み直して語っているのがわかると思います。
    これが間接話法です。
    人間関係を正しく把握して、人称代名詞を使いこなしているので、少し上級感があります。

    当然、「話法」のテストでは書き換え問題が中心となります。
    どのように書き換えているか、もう一度並べて見てみましょう。

    He said to me, "I want you to play the piano for me."
    He told me that he wanted me to play the piano for him.

    まず、文全体の主語は、これは変えようがありません。
    次に、伝達動詞。
    say を tell に変えていることに注意が必要です。

    これは、伝達相手が明示されていない場合は、say のままでよいのです。
    I said, "I am tired."
    =I said that I was tired.
    です。

    しかし、誰に語ったのかが示されている場合は、動詞を say から tell に変えます。
    過去形ならば、said から told に変えます。
    say は、「誰々に」という意味を付け加えるときは、say to 誰々という形になりますが、tell は他動詞なので、前置詞は不要です。
    こうした細かい知識も必要となります。

    次に、伝達内容の中の人称代名詞を変えます。
    これは、人間関係を考えて変更していかなければなりません。
    彼が私に語ったセリフの中の「私」とは、誰なのか。
    それは、「彼」でしょう。
    彼が私に語ったセリフの中の「あなた」とは、誰なのか。
    それは、「私」でしょう。
    そうしたことを考えて、人称代名詞を変えていく必要があります。
    ケアレスミスが頻出するところです。

    さらに、時制の一致。
    直接話法ならば、言ったセリフそのままでいいですが、間接話法は、時制の一致が必要です。
    主節が過去形ならば、that 節もそれにあわせて時制を一致させなければなりません。

    He said, "I don't like that idea."
    =He said that he didn't like that idea.

    また、主節が過去時制で、伝達内容も過去だった場合は、伝達内容は、発話したときよりもさらに過去のときのことですから、大過去となります。
    Mike said to me, "I took my brother to the zoo."
    =Mike told me that he had taken his brother to the zoo.

    これだけでは終わりません。
    伝達内容の「時」「場所」「指示語」にも神経を払う必要があります。

    He said, "I will come back here tomorrow."
    =He said that he would come back there the next day.

    伝達内容の「時」は、
    now は then に。
    today は that day に。
    yesterday は the day before また the previous day に。
    tomorrow は the next day または the following day に。
    last night は the night before または the previous night に。
    next week は the next week に。
    three years ago は three years before に。

    伝達内容の「場所」は、
    here は there に。

    伝達内容の「指示語」は、
    this は that に。

    こうした細部まで気をつけて書き換えていかなければなりません。
    これまでの総合力を試されているのを感じると思います。


    近年、こうした細かい文法事項に関する問題は入試でも定期テストでも出題が減ってきているのは事実です。
    そのため、こうした基本的な文法練習を軽視する人もいます。
    文法問題より、リスニング、リーディング、そしてライティングが、ペーパーテストでは多く出題されるし、重要だ、というのです。
    それはその通りなのですが、しかし、ライティングは、文法力が問われます。

    例えば、都立高校の入試問題で毎年出題される、3つの英文を書く問題。
    何かテーマを与えられ、それについて、3つの英文で説明します。
    英作文ですから、勿論、内容も重要です。
    テーマに沿った内容であるか。
    筋道の通った内容であるか。
    そうした観点から、加点されます。
    しかし、その加点の後、減点されるということを知らない子は案外多いです。
    単語のスペルミス1つにつき、1点減点。
    文法ミス1つにつき、1点減点。
    内容が伝わらないほどのひどい文法ミスならば、そもそも加点がありません。
    結局、正しいスペルで、正しい文法で英文を書く力がないと、英作文の得点はパッとしないのです。
    しかも、英作文の配点は、テスト全体の中でかなり高い。

    都立自校作成校になれば、英作文は、3文では済みません。
    50語、100語といった単語数で英作文を要求されます。
    さらに、大学入試になると、200語程度の英作文が2問、といった場合も少なくありません。

    英検もそうですね。
    3級以上は英作文があり、要求される語数はどんどん上がっていきます。

    正しい文法で書いていない英文は、内容が伝わりません。
    加点はなく、減点ばかりが増えていく。
    英作文には、単語力と文法力が必要です。

    いきなり正しい英文を書けるわけがありません。
    文法の基礎練習の中で、自力で書くことのできる英文を地道に増やしていくのが、遠回りのようで近道です。


      


  • Posted by セギ at 12:13Comments(0)英語

    2021年04月03日

    高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域。領域における最大・最小。


    単元の名前として「軌跡と領域」と出ていますが、さて、領域とは何でしょうか。
    まずは、領域の定義から。

    例えば、方程式 3x+2y=12 は、座標平面上では直線として描かれます。
    式を変形すると、もっとわかりやすいでしょうか。
    2y=-3x+12
    y=-3/2x+6
    この方程式は、傾きが-3/2で、y切片が6の直線です。

    では、不等式 3x+2y≦12 は、座標平面上でどう表されるでしょうか。
    この不等式を整理すると、
    y≦-3/2x+6
    つまり、y は、右辺で表されている-3/2x+6 という値と等しいか、それより小さいか、ということになります。
    y=-3/2x+6 なら、左辺と右辺は等しいです。
    ということは、y≦-3/2x+6 の y は、上の直線のyと等しいかそれより下の部分に位置します。
    座標平面上では、直線 y=-3/2x+6 を含んでそれより下の部分すべて、ということになります。
    このように、平面上のある広がりをもった範囲を「領域」といいます。

    例えば、
    不等式 3x+2y≦12 の領域を示せ。
    という問題ならば、座標平面上に、直線 y=-3/2x+6 を描き、それより下の部分を斜線で示し、「境界を含む」と書き添えれば、それでOKです。
    領域に関する問題は、このように、やり方さえ理解すれば、それほど難しくありません。

    さあ、応用問題に進みましょう。


    問題 連立不等式x≧0、y≧0、3x+2y≦12、x+2y≦8の表す領域をDとする。
    (1) (x , y)∈Dのとき、x+yの最大値を求めよ。
    (2) (x , y)∈Dのとき、2x-5yの最大値を求めよ。

    とりあえず、Dという領域を図示するのが最優先です。
    こんなものを頭の中でうんうんうなって考えていてはいけません。
    図を描くこと。
    それへの抵抗感がいつまでもある人は、まずそれを払拭してください。
    図を描くことを避けている間は、数学の問題は解けないのです。

    しかし、そう言うと、
    「だって、描き方がわからない」
    という反応が返ってくることがほとんどです。
    「領域Dを表すんですよ。それはできるよね?」
    と問うと、
    「それはできるけれど、その先がわからない」
    という反応が返ってきます。

    ・・・その先がわからないから、とりあえず図を描いてみるのです。
    図を描かないと、問題の意味はわかりません。
    しかし、その先がわからないのなら、図を描いてもどうせ無駄だと思ってしまう人たちがいます。
    どうせわからないからと、答案を白紙にしてしまいます。

    数学の問題は、算数とは違います。
    答が出るところまで見通してから、答を計算する式を立てるのが、小学校の算数。
    数学は、できることをやっていくと、やがて解法が見えてきます。
    発想を転換させてください。
    数学が苦手な人の話をよくよく聞くと、数学の問題に対する姿勢が小学生のままであることが多いのです。

    実利的なことを言えば、この問題の場合、領域Dを図示してあれば、テストではそれなりの加点があります。
    何もしないから、0点なのです。

    もう一度問題を見ましょう。

    問題 連立不等式x≧0、y≧0、3x+2y≦12、x+2y≦8の表す領域をDとする。
    (1) (x , y)∈Dのとき、x+yの最大値を求めよ。
    (2) (x , y)∈Dのとき、2x-5yの最大値を求めよ。

    連立不等式の表す領域。
    それぞれの式の領域を考え、それの重なる部分を限定していきましょう。
    まずは、等式で考えます。
    x=0
    それは、y軸ということです。
    では、x≧0 は、座標平面上で、y軸を含んでその右側すべてです。

    y=0
    それは、x軸です。
    では、y≧0は、x軸を含んでその上の部分すべてです。

    3x+2y≦12
    先ほども解きました。
    直線y=-3/2x+6を描き、境界を含んでその下の部分すべてです。

    x+2y≦8
    これを解くと、
    2y≦-x+8
    y≦-1/2x+4
    直線y=-1/2x+4を描き、境界を含んでその下の部分すべてです。

    これら4つの領域の重なっている部分が、Dです。
    一番上の図を見てください。
    x軸、y軸を2辺にもつ、四角形Dの内側が領域となります。
    境界を含みます。


    ・・・いや、そこまでは自力でできるんだよ。
    そこまでは、言われなくてもやってるよ。
    そこからが、わからないんだ。
    そのような不満の声も聞こえてきそうです。

    そうですね。
    ここからが、この問題の難しいところです。


    (1) (x , y)∈Dのとき、x+yの最大値を求めよ。

    (x , y)という座標の点が、領域Dの範囲内にある。
    このときの、x+yの最大値・・・。

    ここで、たまに見る不可解な答案があります。
    x+yより、y=-xとして、
    直線y=-xを描いている答案。
    とりあえず移項しようと思ったらしいのです。

    「・・・それは、x+y=0 と決めつけていますね。
    x+yは、文字式なので、移項はできません。
    x+y=0 は、方程式です。
    x+y=0ならば、y=-xと変形できます。
    でも、本当に、x+y=0なんですか?
    だったら、最大値も何も、x+yは最初から0になってしまいますよ?」

    そのように問いかけても、何を言われたのかわからず、きょとんとする人もいます。
    ふっと誤解してしまったことというのは、なかなか解決しません。
    以後、「え?」「え?」と言う相手に、延々と解説することになってしまう場合があります。
    中1数学の「文字式」「等式の性質」や「方程式」が本当には理解できていなかったことが、ここにきて噴出したのでしょう。
    文字式と方程式の違いが理解できていなかったのです。
    中学数学は大切です。

    y=-x 、という解き方が間違っているなら、じゃあどうしたらよいのか?

    x+y がわからなくて、それを求めようとしているのです。
    では、それを文字を用いて表したらよいでしょう。

    ・・・そんなことをしていいの?

    結局、いつも、それがネックとなります。
    良いのです。
    定義すれば、どんな文字をどれだけ使ってもよいのです。

    x+y=k とおいてみましょう。
    これで移項できます。
    y=-x+k
    これは、傾き-1、y切片kの直線であることがわかります。

    でも、kがわからないから、そんな直線は、描けない・・・。

    確かに、1本には定まらないです。
    y切片によって異なる、平行な直線が、無数に描けます。

    そこで、k、すなわち y 切片が最大で、しかも領域Dを通る直線をイメージします。
    図に実際に描いてみます。
    それが、kが最大値のときの直線です。
    そのときのkを求めたらよいのです。
    kが最大で、領域Dを通る。
    図から、直線3x+2y=12と、x+2y=8の交点を通るとき、kは最大であることが読み取れます。

    では、2直線の交点を求めましょう。
    式の辺々を引いて、
    2x=4
    x=2
    これをx+2y=8に代入して、
    2+2y=8
    2y=6
    y=3
    よって、2直線の交点の座標は、(2 , 3) です。
    この点を通るとき、kは最大となります。

    直線x+y=kで、(2 , 3)を通るのですから、
    K=2+3=5
    よって、x+yの最大値は、5です。


    (2) (x , y)∈Dのとき、2x-5yの最大値を求めよ。

    解き方の基本は同じですね。
    2x-5y=kとおくと、
    -5y=-2x+k
    y=2/5x-1/5k

    これは、先ほどと同じく(2 , 3)を通ればkが最大値でしょうか?
    うん?
    直線の向きが何だか違わない?

    先ほどの直線は、右下がりでした。
    しかし、今回の直線は、右上がりです。

    では、右上がりの直線で、y切片が最大のところを見ればよいのでしょうか?

    いや、この直線のy切片は、-1/5kです。
    kの係数が負の数になっています。
    これでは、y切片が最大のときは、kは最小になってしまうでしょう。
    では、y切片が最小のとき、kは最大になる。
    領域Dを通り、傾き2/5で、y切片が最小というと・・・。
    x軸上の点、(4,0)を通るとき、y切片が最小になることが、図からわかります。

    2x-5y=kに、(x , y)=(4 , 0)を代入して、
    8-0=k
    k=8
    よって、2x-5yの最大値は、8です。


    すらすらっと解説してきましたが、kを勝手に定めて、それが結局最大値で問題の答になるという「やり口」がどうにもこうにも理解できない、という人も多いところです。
    勝手にそんなことをしていいのか、という気持ちが強いことが、1つのネックなのかもしれません。
    文字を勝手に定義することへの抵抗感が強い。
    自分1人で、そんな発想は絶対に持てない。
    だから、自力で解ける気がしない・・・。

    人類で最初にこの問題を解く人と同じくらい不安になってしまうのかもしれません。
    しかし、こんなのは典型題です。
    まずは筋道を繰り返し把握し、どこも間違っていないことを確認してください。

    どうやら筋が通っている。
    正しいようだ。
    ならば、この解き方は自分の武器としてストックしておこう。

    そのように考えてください。
    またどこかで、この武器を使うことになると思います。
    解くための武器が頭の中になく、ゼロから発想しようとして、その都度諦める。
    数学が苦手な人は、実は毎回途方もないことをやっているのかもしれません。

    すらすら問題を解いている人は、頭の中に解くための武器が沢山詰まっているのです。



      


  • Posted by セギ at 12:13Comments(0)算数・数学