たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2021年04月28日

府中市の浅間山公園に行ってきました。2021年4月。

府中市の浅間山公園に行ってきました。2021年4月。

2021年4月27日(火)、自転車で府中市の浅間山公園に行ってきました。
先週、井の頭公園で、ムサシノキスゲが開花しているのを見ました。
群生しているところも見たいなあ。

昔、府中の個別指導塾で働いていたことがあったので、ムサシノキスゲの名前は聞いたことがありました。
唯一の自生地が、府中にある。
しかし、その頃は土地勘がなかったのと、今ほどネットも普及していなかったので、府中のどこにある公園なのかもよくわからないまま、深く調べようとすることもありませんでした。
いつか、行ってみたいな。
そう思うだけでした。

今はスマホで「ムサシノキスゲ」と検索するだけで、浅間山公園のことが出てきます。
道路地図で見ると・・・。
都立野川公園のすぐ先です。
野川公園から、あと10分自転車を走らせたところに、ムサシノキスゲが咲いている。
これは、行かねば。

いつものように、武蔵境通りから東八道路へと右折。
都立野川公園を道路の両側に見ながら、さらに東八道路を西へと直進しました。
広大な多磨霊園を左手に見ながら、どんどん先に進み、前原一丁目交差点で左折。
霊園裏門から、多磨霊園の外側を反時計回りに回っていきました。

道なりにかなり進んだところで、細い道路と交差しました。
「浅間山通り」と書いてあります。
地図を見ると、浅間山公園は、多磨霊園の南西にあります。
だとしたら、この道を渡って、右手に見えてくるはず。

しかし、私はここで、致命的なミスをしていて、その後、1時間ほどあたりをさまようことになりました。
右手に緑のこんもりした土地はないか?
自転車をゆっくり走らせながら、進行方向右手を見ていきましたが、そんなものはなく、人見街道に出てしまいました。

来た道を戻り、今度はもう少し手前の辺りを探しました。
そこは住宅街で、道は入り組み、袋小路も多い道でした。
緑の豊かなところだなあと思い、入っていくと、新しくて大きなマンションだったりもしました。

やはりありません。
いったん、東八道路に戻り、小金井街道を左折。
人見街道に出てしまう前に、緑のこんもりしたところはないか?
やはり、先ほどのマンションに出てしまいました。

・・・浅間山公園は、整地されて、マンションが建ってしまったんだろうか?
都立公園じゃないみたいだし・・・。
企業の保有する私有地なのか、企業と民間団体が管理しているようなのです。
そういえば、ネットでヒットしたブログは、どれも4~5年前のものだった・・・。

こんなに探して見つからないのなら、浅間山公園は、もうなくなってしまったのだろうか。
南下すると人見街道まで出てしまい、がっかりして戻る繰り返し。
小さな児童公園で自転車を止めて休憩しながら、ふと思い出していたのは、昔見た、鳥海山に関するドキュメンタリー番組でした。


東北の山、鳥海山。
雪融けを待って春と夏の花が一斉に開く、深く豊かな自然に恵まれた山です。
しかし、観光道路が中腹まで走るようになり、鳥海山の自然が失われることが危惧され始めた頃。
自然保護運動が起こる中でも、大規模なスキー場建設計画が始動しました。
自治体の強力な後押しもあり、スキー場建設計画は着々と進行していきました。
もう、鳥海山の自然は守れないのか・・・。

そんな頃、自然保護運動に参加していた青年の1人が、志半ばで亡くなりました。
周囲の人たちが、さらなる失意の中にあったその翌年。
開発計画地にイヌワシの営巣が確認されました。
イヌワシ。
英名、ゴールデンイーグル。
国の天然記念物に指定された希少動物です。
ただちに開発計画は凍結・白紙撤回となり、鳥海山の自然は守られました。

亡くなった青年がイヌワシに生まれ変わり、鳥海山を守ったのではないか・・・。
周囲の人々はそのように語り、今も、鳥海山を見晴らせる丘の上に、青年の墓はあります。


こうしたドキュメンタリーは、一方向からだけものを見ているので、事実とは違う部分もあるのかもしれません。
何年も前に見たものなので、私の記憶違いもあるかもしれませんし。
でも、イヌワシの営巣が1つ発見されるだけで、どんなに大規模な開発計画も凍結されるのは、事実。

だから、日本で唯一ムサシノキスゲが自生する土地に、マンションは建ちません。
昭和中期じゃないんだから、そんな乱暴なことは起こりません。
そんな愚かなことが実行されるわけがない。

バカなことを考えていないで、もう一度地図をよく見よう。
再び、多磨霊園の外周に戻り、「浅間山通り」という道路名を示す標識のある角まで戻ってきました。
標識のそばには、周辺地図も立っていました。
周辺地図と、自分の手元の道路地図とをよく見比べました。
周辺地図に、ただの薄緑の緑地として描かれ、名称が記載されていないここが、浅間山公園なのではないか?
都立公園ではないから、名称を記載しないのでしょうか。
それとも、太陽に当たって、文字のインクが飛んで消えたのでしょうか。
赤で書いてあったのかな?
山道の看板で、「キケン」とか「火の用心」など、大事な部分を赤で書いてあっために、むしろそこだけ完全に消えているものを見ることがありますよね。

多磨霊園は長方形の土地ではありません。
東八道路から、道はまず南西に進み、その後少し方向を変えて南に進むようになり、さらにまた方向変えて、南東に進むようになっていました。
多摩霊園の南西に、浅間山公園はある。
それは、道が南東に向きを変えてから、その右手に公園があるということなのでした。
多磨霊園をどこまでも外回りに回っていくのは、感覚的には、浅間山通りを左折するということでした。

道路は途中で中央分離帯で分離されるようなので、狭い横断歩道をあらかじめ渡って、浅間山通りを左折。
狭い歩道をゆっくり自転車を走らせていくと、突然、右手に小高い緑地が出現しました。
歩道から直接、その緑地に入っていける木段がありました。
「浅間山」の掲示も。

・・・だけど、自転車はどうしたらいいの?

もう少し、先まで行って、確かめてみよう。
上り坂を越えて、その先、大学のグラウンドとの境目に、自転車も入れる広い入り口がありました。
しかし、そこにも駐輪場はありません。
公園内略図の掲示もありません。

自転車をひいて通りかかった人に、距離を取って、
「駐輪場はありませんか?」
と質問しても、さあと首をひねっていました。
「ここに自転車を置いてもいいんでしょうか」
「うーん・・・。鍵をかけてチェーンもかけたら、大丈夫じゃない?」
「ああ・・・」

そうか。
マナーの問題より、盗難のほうが心配なのかな。
自転車に乗っている人でも駐輪場を知らないということは、そもそも駐輪場が存在しないのでしょうか。
では、自己責任で。
邪魔にならないフェンス近くに自転車を置かせてもらって、出発しました。

入り口から、いきなり木段の登りが始まりました。
山道だー。
わくわくするー。
標高80メートルの山頂なので、あっという間についてしまいましたが。
もともと武蔵野台地はそれなりの標高があるので、実際に登った高さは、30メートル程度でしょうか。
山頂には浅間神社の小さな社。
参拝をして、後ろに回ると、街並みを見下ろせる位置にベンチがありました。
山頂にありがちな配置が、標高80mでも再現されています。

そこから、来た道とは別方向の木段を下りていくと、夢の世界が始まりました。
柵のすぐ向こうにキンランが咲いているのです。
雑草のように咲いています。
さらに、ギンランも咲いていました。
山でも一度も見たことのなかった、幻の花です。
当たり前みたいに、キンランとギンランが並んで咲いています。
ここは、楽園か?

木段を下りていくと、今度は、ムサシノキスゲを発見。
これも、柵のすぐそばで咲いていました。
うわあ・・・。

公園内略図も発見。
浅間山公園は、フタコブラクダのような地形で、いったん下った先に、もうひと山ありました。
おお。
正確には、山頂は3つあるのですね。
そして、わあ、駐輪場がある!
私が自転車を置いた位置から見て、公園の対角線の向こう側にありました。
次に来たときは、必ず駐輪場に入れます。
すみませんでした。

山の麓を一周する遊歩道の脇の斜面には、ムサシノキスゲが群生していました。
山がオレンジ色に染まるほどにムサシノキスゲが咲き競うのは、あと1週間は先でしょうか。
例年なら、キスゲフェスティバルが開催されるそうですが、今年は中止との掲示がありました。

そして、ムサシノキスゲの説明板。
「ムサシノキスゲはニッコウキスゲの変種で低地の乾地におりた型である。ユリ科、ワスレグサ属に分類される多年草で、丘陵地の林下、ときには草地に生育し、花は淡橙黄色で、すてきな芳香があり、3~6花を5月上旬から下旬に開く。花は6つにわかれ、花型は、ニッコウキスゲというよりむしろノカンゾウ型で、葉は細長く8月には枯れはじめる。
なお、自生地は現在ここ浅間山だけである。
みなの協力で、ムサシノキスゲを守りましょう。 東京都」

最後の文字は、「東京都」。
・・・え?
都立公園なの?

ネットで見た記事には、西武・武蔵野パートナーズの管理公園と、書いてありました。
家に帰って調べると、浅間山自然保護会・府中野鳥クラブ等の協力により保全されている、と書いてある記事もあります。
財団法人東京都公園協会の野川公園サービスセンターが管理している都立公園である、と書いてある記事もあります。

・・・どういうこと?
しかし、このわかりにくさが、むしろ、ムサシノキスゲ最後の自生地を守り抜いた人々の存在を強く感じさせるようにも思います。
キンラン・ギンランの株の大きさ、花芽の多さを見ても、この公園の自然の豊かさは、ただごとではないのです。

遊歩道から、緩やかに斜面を上がっていく道がありました。
やがて、2つ目の山頂。
こちらの山頂には、テーブルとベンチ。
平らな山道を歩いていくと、その先にもベンチがありました。
今日は平日なので、人はまばらでした。
気持ちよく歩いていくことができました。

変な場所に自転車を置いてきてしまった・・・。
そんな意識が邪魔をして、ちょっと気持ちが焦り、足早に入り口に戻りました。
自転車は、止めた位置にありました。
さて、まだ時間があるから、野川公園にも寄ろうかな。

時折訪れたい、楽しみな公園が、また1つ増えました。




  • 同じカテゴリー()の記事画像
    府中市の浅間山公園に行ってきました。2024年4月。
    上川乗から笹尾根を経て三国山、鎌沢入口へと歩きました。2024年4月。
    多摩湖自転車歩行者道から、八国山に行ってきました。2024年4月。
    ヤゴ沢から景信山、明王峠から与瀬神社に下りました。2023年5月。
    外秩父七峰縦走ハイキング大会の思い出。
    古里駅から御岳山に登り、日ノ出山に縦走しました。2023年4月。
    同じカテゴリー()の記事
     府中市の浅間山公園に行ってきました。2024年4月。 (2024-04-26 14:01)
     上川乗から笹尾根を経て三国山、鎌沢入口へと歩きました。2024年4月。 (2024-04-15 13:42)
     多摩湖自転車歩行者道から、八国山に行ってきました。2024年4月。 (2024-04-07 16:12)
     ヤゴ沢から景信山、明王峠から与瀬神社に下りました。2023年5月。 (2023-05-29 16:39)
     外秩父七峰縦走ハイキング大会の思い出。 (2023-04-30 18:52)
     古里駅から御岳山に登り、日ノ出山に縦走しました。2023年4月。 (2023-04-24 16:15)

    Posted by セギ at 12:56│Comments(0)
    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    府中市の浅間山公園に行ってきました。2021年4月。
      コメント(0)