たまりば

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2017年10月30日

11月11日(土)、大人のための数学教室を開きます。

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2017年10月28日(土)、大人のための数学教室を開きました。
今回は、いよいよ「複素数」の学習の始まりです。

その前に、「2次方程式」に話を戻して考えてみましょう。
例 x2+2x+5=0 を解きなさい。

解いてみます。
因数分解はできないので、解の公式を使いましょう。
x=-1±√1-5
 =-1±√-4

√の中が負の数になってしまいました。( 一一)
2乗して負の数になる数なんてありません。
だから、この2次方程式は、「解なし」となります。

これが、今までの解き方でした。

実数の範囲では、これで仕方ないのですが、しかし「解なし」というのは少し残念な感じがあります。
解のない方程式があるなんて、美しくないな。
これの解があることにしたらどうでしょうか?
だって、少なくとも数字の上では書き表すことができるのですから。
これが、複素数の最もわかりやすい出発点です。
ピラミッドを作っていた時代から、その数はあるのではないかと問いかけられては否定されてきました。
複素数の歴史を紐解くと、デカルト、オイラー、ガウスといったビッグ・ネームが次々と登場します。
興味がある方は検索して調べてみてもよいかもしれませんが、複素数を知るのが初めての状態ですと異次元の数学世界が広がっていますので、あまりお勧めできません。
物凄くかいつまんで説明しますと、実数というのは、1本の数直線上のどこかに存在する点です。
有理数も無理数も、1本の数直線上に存在します。
しかし、虚数は、実数の数直線上には存在しません。
では、どこに存在するのか?
実数の数直線を含む平面上に存在します。
その平面が、複素数平面です。
この瞬間に、数は、1次元から2次元に拡張されたのです。
複素数は「2元数」ともいいます。
でも、このお話が始まるのは、まだまだはるか先。


では、複素数の定義を見てみましょう。
まずは虚数単位から。

2乗すると-1になる数を i とし、虚数単位と呼ぶ。
すなわち、 i2=-1
また、a>0のとき、
√-a=√a i , -√-a=-√a i とする。

そして、複素数の定義。

a+bi (ただし、a、bは実数。iは虚数単位)
の形で表される数を複素数といい、aを実部、bを虚部という。
b=0のとき、すなわちa+0・i=aで、実数aを表す。
b‡0のとき、すなわち実数でない複素数を虚数という。
また、a=0のとき、すなわち0+bi=bi を純虚数という。

これまで、数の集合は実数の輪を最大のものとして閉じていました。
ベン図にするとわかりやすいです。
まず自然数の集合がありました。
1、2、3、・・・・といった正の整数です。
それを含んで、整数の集合がありました。
負の整数や0が自然数の外側に加わったひと回り大きな輪ですね。
さらにそれを含んで有理数の集合がありました。
整数で表すことができない小数や分数が外側に加わったひと回り大きな輪です。
さらにその外側に実数の輪があります。
実数の輪の内側で、有理数の輪の外側に位置するのが無理数です。
無理数は、有理数ではない数。
すなわち分数で現すことができない数です。
円周率や√2などが無理数でした。
有理数と無理数とをあわせて、実数と呼びました。
実数の大きな集合の輪。
今、その周りに複素数の大きな輪が描かれました。
実数は、複素数の一部です。

さて、ここまで理解できれば、あとは計算です。
複素数の計算ルールは、i2=-1 さえ守れば、あとは実数のルール、特に文字式・方程式のルールに似ていますので、大きな抵抗はないと思います。
実部は実部同士、虚部は虚部同士で足し算できます。
実部×虚部は可能です。
虚部×虚部も可能です。

(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i
(a+bi)(c+di)=ac+adi+bci+bdi2
a、b、c、dは実数。

例 (3-5i)(7+2i) を計算せよ。
=21+6i-35i-10i2
=21-29i-10・(-1)
=21-29i+10
=31-29i

慣れてくれば計算過程は適宜省略し、与式の次は答えでも構いませんが、符号ミスを起こしやすい人は丁寧に解いていったほうが無難でしょう。

例 x=(-1+√5i)/2 、 y=(-1-√5i)/2 のとき、x3+y3+x2y+xy2 の値を求めよ。

これは、様ざまな単元の計算問題で繰り返し出てきた、対称式に関する問題です。
逐一代入しても答えは出るのですが、面倒で時間がかかります。
まず、xとyの和と積を求めるのが定石でした。

x+y=(-1+√5i-1-√5i)/2
   =-2/2
   =-1
xy=(-1+√5i)(-1-√5i)/4
  =(1-5i2)/4
  =(1+5)/4
  =6/4
  =3/2
よって、
x3+y3+x2y+xy2
=(x+y)3-3xy(x+y)+x2y+xy2
=(x+y)3-3xy(x+y)+xy(x+y)
=(x+y)3-2xy(x+y)
=(-1)3-2・(-1)・3/2
=-1+3
=2
これは、対称式の計算のときによく使う、
x3+y3=(x+y)3-3xy(x+y)
という公式を利用した解き方です。

あるいは、先に、
x2+y2=(x+y)2-2xy=(-1)2-2・/32=1-3=-2
を求めているのなら、
x3+y3+x2y+xy2
=(x+y)(x2-xy+y2)+x2y+xy2
=(x+y)(x2-xy+y2)+xy(x+y)
=(x+y)(x2-xy+y2+xy)
=(x+y)(x2+y2)
=-1・(-2)
=2
という求め方も可能です。
これも公式を利用しています。
x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
という公式です。
新しい単元に入っても、既習の公式を覚えていないと実際の問題は解けません。
解答・解説を読んでも、何でそういう変形をしているのか、意味がわかりません。
とにかく、公式は全部頭に入れておきましょう。

ところで、-1+√5i と-1-√5i は、和や積で虚数部分が消えて、その後の計算が随分楽になりましたね。
虚部が異符号なのが良かったですね。
こういう数を「互いに共役な複素数」と言います。
「a+bi と a-bi を互いに共役な複素数という」というのが定義です。


問題 -27の平方根を求めよ。
-27の平方根は、±√-27 です。
±√-27 =±√27i=±3√3i

問題 √-24・√-18 を計算せよ。
√-24・√-18
=√24i・√18i
=2√6・2√3・i2
=2・2・3√2・(-1)
=-12√2

これを
√-24・√-18
=√-24・(-18)
=√24・18
=12√2
としてはいけないのです。
a<0、b<0 のとき、√a・√b=√ab ではありません。
それは、実数のときだけのルールで、虚数ではそれはできません。
必ず、最初に i を使って書き直してから計算していきます。
なぜできないか
だって、上のように計算していいのなら、
-12√2=12√2 となってしまい、矛盾します。
これは背理法で証明できることだと推測できますね。

さて、次回の数学教室のお知らせです。

◎日時  11月11日(土)10:00~11:30
◎内容  数Ⅱ「複素数」を続けます。p.22の問題8までが宿題です。
◎場所  セギ英数教室
       三鷹市下連雀3-33-13
         三鷹第二ビル 305
       春の湯さんの斜め前のビルです。
◎用具   ノート・筆記用具
◎参加費 2,000円
       当日集めさせていただきます。
◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。









  


  • Posted by セギ at 13:26Comments(0)大人のための講座

    2017年10月26日

    三角比。サイン・コサイン・タンジェントは正確に。


    今回も三角比のお話です。
    まずは三角比の基本の確認から。

    昔、大人のための数学教室で「三角比」を学習したときのことです。
    最初の授業で欠席された方が、欠席した分を自習する際に、三角形の頂点の記号を使ってサイン・コサイン・タンジェントの定義を覚えようとして、凄く難しかったと話していました。
    sinθ=BC/AC
    というように覚えようとされたのですね。
    それは無機質で覚えにくいでしょう。
    中学生のテキストでは直角三角形ABCの頂点Aは上に描くのに、「三角比」の直角三角形の頂点Aは下にあるのでさらに混乱したということでした。
    考えたこともなかった視点でした。

    三角比の覚え方。
    まずは、直角三角形を整地しましょう。
    ∠θが左下に、直角が右下にくるように直角三角形を置きます。
    この位置が、最初は一番理解しやすいです。
    直角三角形の各辺には名前があります。
    直角と向き合う辺が「斜辺」。
    ∠θと向き合う辺が「対辺」。
    残る辺を「底辺」と呼びます。(「隣辺」と呼ぶこともあります)

    そして、
    sinθ=対辺/斜辺
    cosθ=底辺/斜辺
    tanθ=対辺/底辺
    こうして、辺の名称で覚えるのが基本です。

    でも、それでもまだ覚えにくいですね。
    アルファベットの筆記体のsを描くように分母からなぞるのがサイン。
    cを描くようになぞるのがコサイン。
    tを描くようになぞるのがタンジェント、と覚えます。
    広く知られている覚え方です。

    数年前、高校生の男の子にこの覚え方を説明したら、鼻で笑って、
    「先生が考えたんですか」
    と小馬鹿にしたように言うので驚いたことがあります。
    高校生になって遅い反抗期が始まっていた子でした。
    「・・・いや、私が考えたんじゃなくて、これはよくある覚え方なんだけど」
    私がそう説明すると、その子は、否定されたと感じたのか、プライドが傷ついた様子で顔がこわばりました。
    以後、この覚え方が「嫌な記憶」になってしまったのか、意地でもこの覚え方は使わず、その後も延々とサインとコサインが逆になったり正しかったりを繰り返していました。
    しかも、私の前で間違えることが嫌なのか、ノートを手で隠したりもしました。
    単なる直角三角形の三角比をマスターするまで、大変な労力と時間が必要でした。

    助言には耳をかさず、自分のやり方で解こうとし、そしてさらに誤解を深めていく・・・。
    教える方も多少厄介に感じますが、教わる側はもっと辛かったのではないかと思います。
    教わっているのに素直に聞くことができないのですから。


    少し前、定時制高校出身の芸人さんたちが集まって体験や思い出を語り合うテレビ番組がありました。
    少し古い時代の、主に関西の定時制高校の様子が語られていました。
    定時制高校には、年齢も境遇も様々な人が通います。
    中学で不登校だった子。
    成績不良でどうしても全日制高校に合格できなかった子。
    非行を繰り返してきた子。
    そして、経済的事情のために高校進学できず、数十年後にその夢を叶えた大人の人たち。

    いわゆる不良少年たちは、定時制高校でも、教室で弱い者に暴力をふるったそうです。
    そのとき、50代の韓国人女性が割って入り、叫んだというのです。
    「ここには敵はいない」
    殴られる側だったその芸人さんは、そんな言葉が通用する相手じゃないと思ったのですが、その不良はその女性に抱きしめられて号泣したというのです。
    以後、学校で暴力をふるうことはなくなったそうです。

    ここには敵はいない。

    1対1の個別指導塾に敵など存在するわけもないのですが、そこに緊張関係を持ち込んでくる生徒がいないわけではありません。
    「そうだよ、私がこの覚え方を考えたんだよ。凄いだろう」
    とでも言ってふざけてあげたら良かったのかなあ。
    私をバカにすることで、その子は留飲が下がったのかなあ。
    もう何年も前の話ですが、悔いが残ります。

    何よりも、その子が三角比を覚え直し、何とかマスターするまでの時間の長さ、その損失の大きさに悔いが残るのです。
    以後は、覚え方を教えるときは、
    「これは有名な覚え方で、参考書にもよく載っているね」
    と前置きをして説明するようにしています。
    私が考えた覚え方のときでも、そう説明することもあります。
    そう説明することで素直に聞いて利用してくれるなら、それが一番良いことだからです。


    集団指導塾で教えていたときは、その覚え方が有効なものである限り、秀才少年たちが、
    「覚えやすいな、これ」
    「これは初めて聞いた」
    などとつぶやいてくれました。
    それで教室の風向きが作られ、これを覚えることが良いことだという空気が生まれました。
    塾に通う秀才は実利を優先します。
    教え方がわかりやすく、覚えやすい限り、友好的です。

    ただ、その一方、一般的には十分にわかりやすい説明や覚えやすいやり方でも、わからない子や覚えられない子はいます。
    そうした子は、集団塾では、そのことを口にすることができません。
    皆が「わかりやすい」と盛り上がっている中で、自分一人、わからないと感じる。
    それを表情に出すこともできない。
    そんな子もいます。

    こちらはこれ以上はないくらいに噛み砕いて説明したつもりでも、
    「わからない」
    と言われてしまうのが、個別指導です。
    これなら絶対覚えられるはずの覚え方を教えても、
    「でも、自分は覚えられない」
    と言われてしまうこともあります。

    でも、むしろ、そのほうが健全な状態なのかもしれません。

    個別指導でも、学生バイトが中心で、若くてカッコいい男の先生や可愛い女の先生が親切に教えてくれるところでは、気がひけてしまって、わからなくてもわからないと言えず、わかったふりをして迎合してしまう生徒がいます。
    理解力はあるが勉強が嫌いな生徒は、素敵な先生に教わるだけでやる気が出て成績があがります。
    でも、そういうことでは解決のつかない生徒もいます。
    わからないままなので、いくら通っても成績が上がりません。

    「わからない、わからない、わからない」
    と生徒が言い、私に迎合しないのは、1つの信頼の形なのかもしれません。
    遅々とした歩みですが、今回の中間テストは、これまで50点未満が指定席だった子たちが、全員、50点を突破しました。
    何がわからないのか。
    わからないことの一番奥にあるものは何なのか。
    ときにはため息の出るようなやりとりもありますが、少しずつ結果は出ています。


    三角比に話を戻します。
    慣れてくれば、サインとコサインは、とにかく分母は斜辺で、サインの分子はθと関係のないほう、コサインはθと関係あるほうと把握できるようになります。
    そうなれば、直角三角形が寝そべっていようが逆立ちしていようが、何でもなくなります。
    まずは、そこは目指しましょう。
      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学

    2017年10月22日

    三角比は何に使うのか。誤解や思いこみとの闘い。



    今回は、三角比の話。
    高校生の中には、三角比から数学が全くわからなくなる子がいます。
    原因は色々考えられますが、いきなりタンジェントの定義から学習が始まることも1つの理由なのでしょうか。
    タンジェント自体はわからなくはない。
    でも、三角比とは何なのか?
    何のために三角形の辺の比を求めたりするのか?
    それが何だかよくわからない。
    わからないまま、とにかく言われたことをやらなければならない。
    そういう形で勉強が進みます。

    中学の数学から、あるいは小学校の算数から、勉強なんてとっくにそういうものになっている子は、諦めて黙々と勉強するのかもしれません。
    でも、中学までは、それなりに数学の学習の意味がわかっていた子が、この三角比で意味を見失い、数学につまずくのかと感じることがあります。

    ただ、中学の数学までは学習の意味がわかっていたというのは、おそらく誤解でしょう。
    「学習の意味」がわかっていたのではなく、「学習する内容」が本人にとってわかりやすいものだったのだと思うのです。
    自分が理解できることは、意味のあること。
    自分が理解できないことは、無意味なこと。
    そういうことにしてしまいたい気持ちは働いていないでしょうか。

    学ぶことの意味も、生きることの意味も、うまくいっていないときに考えることのように思うのです。
    考えることに意味はあると思いますが、知識がなく視野が狭い状態で考えると、あまり良いことは待っていないです。
    極端なことを考えてしまいがちです。
    まだ高校1年生なのですから、「何か意味があるんじゃないの?今はわからないだけで」くらいの感じて、ゆとりをもって臨みましょうよ。
    (*^^)


    三角比の使いみちは多様です。
    ひと口には言えないことですが、当面の目標としては、
    「三角形の角の大きさや辺の長さや面積を、ものさしや分度器で測らないで求めようとしているんだよ」
    ということでいいんじゃないかと思います。

    中学で、三角形の合同条件を学びます。
    3組の辺がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。

    合同である、ということは、そういう形と大きさの三角形は、この世に1つしかないということです。
    1つしかないものならば、その三角形のすべての角、全ての辺の数値は、決定しています。
    それは、計算で求められるのではないか?

    だから、
    3辺がわかっていれば、3つの角は計算できるはずです。
    2辺とその間の角がわかっていれば、残る1辺と、残る2角は計算できるはずです。
    1辺とその両端の角がわかっていれば、残る2辺と1角は計算できるはずです。
    そして、その全てにおいて、面積は計算できるはずです。

    三角比という単元の目標は、それです。
    とりあえず、そこに向かって学習が進みます。

    しかし、その目標達成のために、
    最初は直角三角形の辺の比の話を始めていたかと思ったら、
    サイン・コサイン・タンジェントの関係を表す公式が登場して、式の計算が始まります。
    じゃあ式の計算とか方程式の単元なのかなと思っていると、
    突然「単位円」なるものが表れ、座標平面上に描かれます。
    じゃあ、関数なのか?
    と思っていると、直角ではない三角形の話になってしまいます。
    この流れに飲み込まれ、混乱しませんように。


    「そうは言っても、現実生活に三角比なんか使わないし」
    そういう高校生もいますが、私は三角比を現実生活の中で利用しています。
    例えば、地形図に磁北線を引くときです。
    無雪期に、登山者の多い普通の登山道を歩くだけなら、「地形図」ではなく昭文社「山と高原地図」などの登山地図で事足ります。
    緑と茶色で色分けされた地形の上に登山道が赤で記され、何分かかるかコースタイムが記されている地図です。
    どこの書店でも、山のガイドブックなどが置かれているコーナーにあります。
    私も、普段の山歩きでは、ほとんどこの地図を使っています。
    何しろわかりやすいです。

    しかし、登山道ではない道を歩くとき。
    当然、道しるべはありません。
    あるいは、積雪期の山を歩くとき。
    すべて雪に覆われ、登山道は見えません。
    風雪のため、視界不良の可能性があります。
    そのような状況でも目的地に向かって進むために、2万5千分の1地形図とコンパス(方位磁石)を使います。
    地形図は、大きな書店や登山用具店に置いてあります。
    薄い引き出しが何重にも重なっている棚のようなものがお店の隅っこにあったら、開けてみてください。
    地形図がぎっしり詰まっています。
    あるいは、ネットで購入し、プリントアウトすることもできます。

    しかし、地形図は、買ってきただけでは、単に等高線が詰まっただけの紙です。
    コンパスを使うためには磁北線を書き入れなければなりません。
    というのも、「地図は上が北」とは言うけれど、コンパスの矢印が指す先は、正確には北ではないからなんです。
    地球は、巨大な磁石。
    しかし、その大きな磁石の極は、北極と南極ではなく、少しズレています。
    そのズレの角度は、地域によって異なります。
    しかも、年々、ほんのわずかですが変化します。
    その、磁石上の北、すなわち磁北をコンパスは北として指します。
    それを表す線を地形図上に描いておかないと、コンパスを正確に使用できません。
    その線が、磁北線です。

    どうせそんなの大した差じゃないんだろうと思うかもしれません。
    山梨県あたりで、「西傾6度10分」くらい。
    磁石上の北は、6度西に傾いています。
    地形図にそれを描くと、随分斜めなんで、びっくりします。
    この磁北線を引くときに使うのが、タンジェントです。

    例えば、こんなふうに引きます。
    まず、地形図の縦の長さをものさしで測ります。
    うむ、およそ42cm。
    三角比の表で、タンジェント6°を調べます。
    本当は6度10分だから、0.108くらいでいいかな。
    地形図上に斜辺が磁北線となる直角三角形をイメージします。
    右上に直角がある縦に細長い直角三角形ですね。
    直角を挟む縦の辺が42cm。
    横がxcmとすると、
    tan6°=X/42
    x=42×0.108
     =4.536
    なので、地形図の上部右端から、4.5cmのところに印をつけ、下部右端と直線で結びます。
    あとは、好みの問題ですが、私は5cm間隔でそれの平行線を引いています。
    これで磁北線の入った地形図の完成です。
    ヽ(^。^)ノ
    今は、パソコン上で磁北線を入れた上でプリントアウトするサービスもありますが、手書きできる技術を身につけておくことは全てにおいて有効です。


    地図は上が北。
    そのことで思い出す女の子がいます。
    大手の個別指導塾で働いていた頃、小6の女の子に社会科を教えていました。
    彼女は、中学受験生でしたが、8方位が理解できていませんでした。
    「東南」「北西」などの方角がわからないのです。
    ときどきは正解します。でも、またできなくなります。

    東と西の区別がつかない子は小学生に多いですが、理解できていないのではありません。
    西と東が逆になってしまうだけですし、それの覚え方はあります。
    でも、彼女の場合、それとは違うようでした。
    北と南もときどき逆になります。
    本気で取り組んでいるのに、8方位が理解できないのです。

    私は、試しに地図のコピーに東西南北を書き込んでみました。
    「これで練習しよう」
    と言うと、彼女は、不機嫌に答えました。
    「これは、違う。北は上だよ」
    彼女は、天を指差しました。

    「地図は、上が北」と言います。
    しかし、上とは、何なのか。
    そこから説明してもらえたことが一度もなかったから、彼女は誤解していたのです。
    子どもは、ときどき、大人が驚くような誤解をしています。
    いえ。
    彼女のは、誤解ではなかったのかもしれません。
    空に輝く北極星。
    あれが北だと、理科では教わるのですから。
    地球の外から北を把握し、1枚の地図にまでズームアップするとき、北の意味が本当に把握できるのです。
    地図は、上が北。
    そこまでクリアになったとき、彼女は、もう方位は間違えませんでした。

      


  • Posted by セギ at 12:45Comments(0)算数・数学

    2017年10月18日

    2次関数の解の正負に関する問題。


    高校数Ⅰの「2次関数」のラストを飾るにふさわしい応用問題と言えば、これ。
    2次関数の解の正負に関する問題です。

    問題 2次方程式 x2-2ax+a+2=0 が2つの正の解をもつとき、aの値の範囲を求めよ。

    発展的な問題とはいえ典型題ですので、解法パターンをしっかり把握しておきたいものです。
    それには、なぜそれで解けるのか、一度しっかり理解することが大切です。
    まず、F(x)=x2-2ax+a+2 という2次関数を考えます。
    このグラフは下に凸の放物線です。
    それが、x軸の正の部分と2点で交われば、上の2次方程式は2つの異なる正の解をもちます。
    そのような放物線を座標平面上に描いてイメージします。
    このとき、x軸・y軸との位置関係が重要なので、それらもしっかりと描いておくことが必要です。
    きちんと描いた上で、放物線がこのような位置にくる条件を考えていきます。
    x軸と2点で交わることから真っ先に思い浮かぶのは判別式でしょう。
    判別式が0より大きいならば、x軸と2点で交わるのでした。

    ここで「え?」となってしまう場合、判別式のところに戻って復習したほうが良いと思います。
    応用問題を解く中で、以前に学習した基本が身についていないことに気づくことはよくあることですが、そこに戻って復習することを嫌う子は多いです。
    「まあ、いいから、そういうことなんだとしよう」
    と目先の応用問題ばかり気にかけ、解き方だけ暗記しようとします。
    しかし、判別式とx軸との共有点の関係がピンとこなくなっているのなら、この応用問題は形が少し変わればもう解けないと思います。
    ならば、前に戻って復習し、せめて判別式に関する基本問題で得点することを目指すほうが現実的です。

    [1]判別式D/4>0より
    a2-(a+2)>0
    a2-a-2>0
    (a+1)(a-2)>0
    a<-1,2<a ・・・①

    しかし、これだけでは、放物線はx軸の正の位置でも負の位置でもどこでも、とにかく2点で交わることしか決定しません。
    では次に、放物線の軸の位置を決定してはどうでしょうか。
    軸が正の位置にあるなら、それより右側の共有点は、正の位置に確定するでしょう。

    [2]軸の方程式より
    x=2a/2>0
    a>0 ・・・②

    ここで、
    「え?今、何をやったの?何かの公式?」
    とうろたえる生徒も多数出ます。
    軸の方程式という言葉の意味さえわからないということもあり得ます。

    2次関数の学習が始まった最初のほうで、2次関数の頂点の座標を求める練習をしています。
    平方完成ですね。
    一般式でいうなら、
    y=ax2+bx+c
     =a(x2+b/ax)+c
     =a(x+b/2a)2-a(b/2a)2+c

    本当はもっと整理するのですが、今はx座標だけ見れば良いので、ここまでとします。
    頂点のx座標は、-b/2a です。
    したがって、この放物線は、x=-b/2a という直線を軸として線対称です。
    この直線の式を「軸の方程式」と呼ぶのでした。

    「ちょっと何言ってるのかわからない」
    という感想の場合、ここらへんが曖昧になっていると思いますので、復習したほうがいいのです。
    「2次関数」は大きい単元なので、テスト範囲が1学期末と2学期中間に分かれることがあります。
    そうなると、2学期中間テストの勉強をしていて、既に1学期末テスト範囲だったところがわからなくなっている子もいます。
    しかも、「テスト範囲ではないから」と言って、前半の振り返りをしないのです。
    基本がわからなくなっているのに、応用問題の解き方だけは丸暗記して済ませたい。
    こういう無理をする子がいます。
    でも、できるわけないですよね。
    ( ;∀;)

    [3] F(0)>0より
    F(0)=a+2>0
    a>-2 ・・・③

    さて、これは軸の左側の共有点のことを考えています。
    軸がx軸の正の位置にあっても、左側の共有点は負の位置に来る可能性はありますね。
    それを阻止するには、どうするか。
    放物線が、y軸と正の位置で交われば良いのです。
    そうすれば、必ずその右側でx軸と交わっています。

    以上で、放物線は確かにx軸の正の部分で2つの共有点を持つように固定できました。

    ①、②、③より a>2
    最後は、数直線上に3つの条件を整理して、3つとも満たすところだけを範囲とします。
    ここで、見誤って、2つしか満たしていないところを答えとしてしまう人も多いです。
    連立2次不等式を解く際にも同じ作業をするのですが、そこでも数直線を上手く読み取れない人がいます。
    そこが弱点だなと感じたら、自力で正答できる自信が持てるまで重点的に練習してください。


    さて、もう1つのパターンを見てみましょう。

    問題 2次方程式 x2-ax+a=0 が異符号の解をもつときのaの範囲を求めよ。

    これも3つの条件なのかな?
    と考えてしまいがちですが、実はこれ、ただ1つの条件を満たせば良いのです。
    F(x)=x2-ax+a という2次関数のグラフは下に凸の放物線です。
    これがx軸と正の位置と負の位置の2か所で交わるのなら、F(0)<0 です。
    これだけを満たせば、大丈夫です。
    「うそだー」
    と思う場合、y軸と負の位置で交わるのに、x軸の交点は正と負の2か所ではない放物線を描いてみましょう。
    描けませんよね?
    F(0)<0 だけが条件であることがそれで実感できると思います。

    すなわち、F(0)=a<0
    よって、a<0 が答えとなります。

    「2次関数」は、繰り返し問題を解いて慣れてしまえば、高校数学の中でも特にわかりやすい得点源です。
    (*^^)v

      


  • Posted by セギ at 12:37Comments(0)算数・数学

    2017年10月15日

    10月28日(土)、大人のための数学教室を開きます。


    今月号の『山と渓谷』は高尾山特集です。
    奥高尾のメインストリートの他、北高尾や南高尾など、山地図から読み取れるほぼ全コースを案内しています。
    周辺の山からのロングコースも。
    高尾山に初めて来た山岳ライターの記事が面白かったです。
    難しい顔で名物のお団子を食べています。( *´艸`)

    さて、10月14日(土)、大人のための数学教室を開きました。
    前回欠席された方がご出席。
    前回の演習から始め、最後の5分で、新しいところに突入しました。
    こんな問題です。

    問題 a+b=4 のとき、3a2+b2≧12 を証明せよ。

    a+b=4 という新しい種類の条件が提示されましたが、この使い方は何となくわかりますね。
    おそらく、代入して、文字を1種類に整理するのでしょう。
    a+b=4 より b=4-a 
    これを代入して、
    3a2+b2
    =3a2+(4-a)2
    =3a2+16-8a+a2
    =4a2-8a+16
    ここでいつものように平方完成してみましょう。
    =4(a2-2a)+16
    =4(a-1)2-4+16
    =4(a-1)2+12
    お?右辺と同じ12が出てきましたね。
    これで証明の方向が定まりました。
    (a-1)2≧0 より 4(a-1)2+12≧12
    等号はa=1のときですね。
    ならば、bも決定します。
    b=4-a=4-1=3
    よって、等号は、a=1、b=3のときに成立する。

    不等式の証明を学習していて、よく受ける質問に、
    「どのやり方で証明するのか、判断がつかない」
    というものがあります。
    パッと見た瞬間にこの問題はこのやり方、あの問題はあのやり方で証明する、と判断する基準は何なのか?
    それを求める高校生が多いのです。
    例えば、相加平均≧相乗平均 の定理を使うときと使わないときの違い、その基準は何なのか?

    気持ちはわかるんです。
    でも、そういうことはもっと演習しないと、基準や違いの説明を聞いてもピンとこないと思います。
    むしろ、そっちを覚えるほうが難しいです。
    とにかく試行錯誤してみることのほうを勧めます。
    「どのやりかたを使っていいのかわからないから、イライラする。解くのが苦痛だ」
    ではなく、
    「どのやりかたを使うのかわからないから、色々試してみる。それが面白い」
    だと思うんです。
    数学を楽しむ態度とはそういうものではないかなあと思うんですよ。

    小学校の算数や中学の数学は比較的良く出来たし得意だったという人が、高校数学が急に苦手になる原因の1つも、もしかしたらそれではないかと思うことがあります。
    中学の数学までなら、問題を読めばパッと解き方がわかった。
    数学とはそういうものだと思っていた。
    だから、色々考えないと解き方が見つからない高校数学が嫌いだ。
    自分には向いていないと感じる。
    そういうことなのではないかと思うのです。

    でも、色々考えるのが数学の楽しさです。
    (*^^)v

    さて、次の問題。
    問題 a>1、b>1、a+b=1 のとき、不等式 ax2+by2≧(ax+by)2 を証明せよ。

    まずは、上の問題と同様に代入してみましょうか。
    a+b=1 より b=1-a
    これを左辺-右辺 の式に代入して、
    ax2+by2-(ax+by)2
    =ax2+(1-a)y2-{ax+(1-a)y}2
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy(1-a)-y2(1-a)2
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2(1-2a+a2)
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2+2ay2-a2y2

    うわあ・・・・。
    この先、やりようがあるのかもしれませんが、ちょっと迂回したくなってきました。
    これは、1回戻って考え直したほうが良さそうです。

    バラバラにしたのが良くなかったのかもしれません。
    代入前に戻って整理し直してみます。
    ax2+bx2-(ax+by)2
    =ax2+bx2-(a2x2+2axby+b2y2)
    =ax2+bx2-a2x2-2axby-b2y2
    =(a-a2)x2-2abxy+(b-b2)y2
    =a(1-a)x2-2abxy+b(1-b)y2

    ここで、あっとひらめくのです。
    a+b=1より、1-a=bですし、1-b=aです。
    この両方をそれぞれに代入します。
    =abx2-2abxy+aby2
    =ab(x2-2xy+y2)
    =ab(x-y)2≧0
    よって、ax2+bx2≧(ax+by)2
    等号は、x-y=0、すなわちx=yのとき成立する。

    そんなやり方、思いつかないよ。
    最初はそういう感想で当然だと思います。
    このテクニック、頭の引き出しに入れておきましょう。
    類題を解くときに使うかもしれません。

    さて、次回の数学教室のお知らせです。
    次回はいよいよ複素数について学習します。
    新しい数の登場ですよー。

    ◎日時  10月28日(土)10:00~11:30
    ◎内容  数Ⅱ「複素数」に入ります。p.19の問題21までが宿題です。

    ◎場所  セギ英数教室
           三鷹市下連雀3-33-13
             三鷹第二ビル 305
           春の湯さんの斜め前のビルです。
    ◎用具   ノート・筆記用具
    ◎参加費 2,000円
           当日集めさせていただきます。
    ◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。



      


  • Posted by セギ at 15:48Comments(0)大人のための講座

    2017年10月12日

    場合の数と確率。思考の幻影と闘う。


    「場合の数」という単元は、小学校6年生で最初に学習します。
    「ならべ方・組合せ方」といった単元名で、全ての場合を書きだして求めるのが基本です。
    樹形図の基本もここで学びます。

    中学2年生で、「場合の数と確率」を学びます。
    「順列」「組合せ」「確率」という用語が登場しますが、この時期も基本は全て書きだして場合の数を求めることが多いです。
    中高一貫校では、この時点で公式も教えますが、公立中学では、樹形図などを用いて全て書きだしていくのが基本です。
    都立入試の問題も、そのような構造の問題が多いです。
    例えば、以下のような問題です。

    問題 サイコロを2回投げて出た目の和が6となる確率を求めなさい。

    1つのサイコロで出る目は1から6の6通り。
    よって、2つのサイコロで出る目の場合の数は、6×6=36(通り)
    このうち、目の和が6となるものは、順番に書きだしていくと、
    (1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1) の5通り。
    よって、確率は、5/36。

    簡単な問題に見えて、間違える子は案外多いです。
    間違える子の多くは、以下のように間違えます。
    和が6になるのは、(1,5),(2,4),(3,3) の3通りだけれど、順番が逆なのもあるので、
    3×2=6(通り)
    だから確率は、6/36=1/6。
    (3,3)は1通りしかないことに気づかないのですね。

    こういう思考をする子は、数学が特別できないわけではないのです。
    全部書き出して済ますのではなく、何とか計算しようと工夫しています。
    しかし、詰めが甘い。
    全部書き出していくのが嫌なら、( )内の最初のほうの数字だけに注目して、1から5までだな、それなら5通りだなと瞬時に判断するほうがよりシャープな思考だと思います。

    地道で丹念であること。
    よりシャープな思考を選択すること。
    「場合の数と確率」の単元は対極にあるような上の2つを同時に要求される単元なのだと思います。

    「何だ5通りかあ。だまされた」
    などとブツブツ言いながらも納得する子も多いですが、
    「え?6通りでしょう?(3,3)は2通りあるじゃないですか」
    と主張する子もいます。
    「いえ。(3,3)は、1通りしかないですよ」
    「2通りありますよ。こっちの(3,3)と、あっちの(3,3)は、違う(3,3)じゃないですか」
    と言うのです。
    もう1つの(3,3)の幻影が見えている様子です。
    一度この幻影が見えてしまった子は、なかなか説得できません。
    「場合の数と確率」という単元は、こういう思考上の幻影が見えてしまうのも1つの特徴なのかもしれません。


    高校数学になると、順列も組合せも公式を用いて計算するようになりますが、上のような幻影はさらに濃くなり、多くの人を翻弄します。
    数年前、高校生に組み合わせの計算を少し簡単にする方法を指導したときのことです。

    問題
    12人の生徒を7人のAグループと5人のBグループに分ける方法は何通りあるか。

    その子は、まず、12C7という式を立てました。(12や7は、実際にはCより小さく書きます)
    そこで私は、少し計算が楽になる助言をしました。
    「12人から7人を選ぶ組み合わせは、12人から5人を選ぶ組み合わせと同じだから、そっちで式を立てたほうが、約分が少なくて楽だよ」
    「ええっ?」
    「・・・・・・え?」
    その子の驚き方があまりに大きかったので、逆に私が驚いたくらいだったのですが、この話、その後が長くなりました。
    「え?どういうことですか?」
    「だから、12人から7人を選ぶということは、12人から5人を選ばないということと同じことだから、選ばない5人を選んでも、同じことなんだよ」
    「え?それは、計算するとたまたまそうなるということですか?約分するとどうせ消えるからということですか?」
    「・・・・・・たまたまじゃなくて、当然そうなるよ。12人から7人を選ぶことと、12人から5人を選ばないということは、同じことなんだよ」
    「ええ?」
    「わからない?」
    「わかりません」
    「・・・・・・・・そうか。じゃあ、とにかく、好きなようにやってみよう」
    「見捨てないくださいよ!」
    「いや、見捨ててないよ。自分のわかるやり方でいいよ」

    それともう1つ。
    これほど理解できないということは、彼女は何か他に誤解していることがあると感じたのです。
    それを見極めれば、その子が理解できる説明があるかもしれません。
    その子は、首を傾げながら、再びその問題を解き始めました。
    彼女が書き終えた式は、12C7+12C5というものでした。

    「待て。なぜ、それを足すの?」
    「え、だって、Bグループも選ばないと」
    「・・・・・12C7・12C5なら、まだわかる。いや、それも誤解なんだけれど、まだ意味がわかる。でも、たし算って何?」
    「えー?」
    「この問題は、12C5だけで答えが出るよ」
    「ええっ。何でですか?」

    12人から7人を選べば、5人が残ります。
    残った5人が自動的にBグループになるので、それを計算する必要はありません。
    Aグループに入る人を選んだ後で、さらにBグループに入る人をわざわざ選ぶ必要はないのです。
    足すこともかけることも不要です。
    12人からBグループの5人のほうを先に選んでもいい。
    選ばれなかった7人が残ります。
    その人たちが自動的にAグループになります。
    だから、人数の少ないBグループを計算するほうが少し楽なんです。

    しかし、いったん誤解し、思考がねじれてしまっている子が、上の話を理解してくれる可能性は低いのです。
    「場合の数と確率」の単元で、生徒が見てしまった幻影を消すのは大仕事です。
    例えるならそれは、シャツのアイロンかけをするとき、普通の洗濯じわなら簡単にまっすぐに伸びるのに、アイロンで誤って作ってしまったアイロンじわはなかなか取れないようなものでしょうか。

    ただ、上の話は理解してもらえなくても、理解してもらえる別の説明の仕方があります。
    12人から7人を選ぶ選び方は12C7。
    そのそれぞれに対して、Bグループは残った5人から5人を選ぶから、5C5。
    だから式は、12C7・5C5。
    でも、5C5=1なので、わざわざ書かなくてもいいですね。
    12C7=12C5 は、約分するとどうせそうなるからという理解でもいいです。
    一般式として証明するときは、そういう証明の仕方をしますから。

    この説明をすると、
    「最初からそう言ってくれれば、わかったのに」
    「・・・・・・・はい」
    そのように理解してくれる生徒は多いです。
    Bグループを選ばないままにしておくことは、どうしても納得できないので、5人から5人を選んであげると、頭の中がスッキリする様子です。
    そこがスッキリすると、12C7=12C5 の件は、大した問題ではなくなるようなのです。

    わかりやすさの基準はどこにあるのか。
    使っている言葉は、ほとんど変わらないのに。
    言葉を組み変えたり説明を変えたり、いろいろ試行錯誤をし、どれかがヒットするのを待つのですが、それでも伝わったり、伝わらなかったり。
    最初は伝わらかったことが、時間をおくと伝わったり。
    でも、それが面白いから、この仕事が好きなのかもしれません。


    最後にもう1問。これは少し難問です。

    問題 4人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率を求めよ。

    シャープな思考と地道で丹念な解き方は、最終的に一致するものです。
    こういう漠然とした問題は、まずは具体的に地道に考えます。
    人を、A君・B君・C君・D君と名付けましょう。
    4人の手の出し方は、1人が3通りですから、全部で、3×3×3×3=81(通り)です。
    その中であいこになるのは、大きく分けて2通りあります。
    「全員が同じ手になる場合」と「3つの手が同時に出ている場合」です。

    まず、全員が同じ手になる場合は、
    全員がグー、全員がチョキ、全員がパーの3通り。

    次に、3つの手が同時に出ている場合。
    グー・チョキ・パーのどれかの手を2人が出し、あとは1人ずつでしょう。
    まず、グーを2人が出し、あとの手は1人ずつと考えてみましょう。
    A、B、C、Dを横に並べて、グー・グー・チョキ・パーのどの手を出すかを割り振っていきます。
    同じものを含む順列の公式で割り振ることができます。
    4!/2!=4・3=12(通り)
    これは、チョキを2人が出す場合も、パーを2人が出す場合も同じ数となるでしょう。
    だから、12・3=36(通り)

    よって、あいこになる場合の数は、
    3+36=39
    したがってあいこになる確率は、
    39/81=13/27 となります。

    このように、より具体的に考えていくことで立式が可能になります。
    高校数Aの「場合の数と確率」の問題は、より具体的に考えることが幻影を見ないコツだと思います。

      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)算数・数学

    2017年10月09日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と共有点を持たない場合。


    問題 2x2+x+5>0 を解け。

    これの、xの右の2は指数として読んでください。
    この種の問題は、テキストの解説・解答を読むと、いきなり判別式を書いて判断していると思います。
    なぜ、最初から、他の不等式とは違う解き方をするのか?
    他の不等式とどこが違うのか?
    自学自習をする上で、困惑する点の1つは、そういうところだと思います。

    でも、実は、こういう不等式も、他の不等式と同じ解き方から考え始めるのです。
    まずは普通の2次不等式のように、左辺を因数分解して解くことを考えます。
    しかし、因数分解はできないと気づきます。
    そこで、2次方程式の解の公式を使って解いていきます。
    すると、解の公式の分子の部分の√ の中、つまり判別式にあたる部分が負の数になってしまいます。
    そこで、ああ、この2次不等式は、普通のと違うぞと気づく。
    その流れで大丈夫なんです。

    ただ、慣れてくれば、そんなことをする前に、まず判別式だけ暗算することも可能です。
    というよりも、2次不等式を見た瞬間に、判別式は負の数になるなあとピンとくるんです。
    判別式 D=b2-4ac
    aは正の数となるように不等式は整えてあります。
    そこでcの正負が後半の-4acの正負を決定します。
    cが負の数ならば、-4acは正の数となり、b2-4ac全体も正の数なります。
    問題は、cが正の数のときです。
    cが正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きいと、D<0となります。
    正確にかけ算しなくても、ひと目で大体のことは判断できます。
    そういうこともあり、数学のテキストは、いきなり判別式を用いての解説が始まっています。

    しかし、このことを高校生に教えるのは難しいときがあります。
    cか正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きくなればいい。
    このことをなかなか理解できない子がいます。
    判別式を暗記していないため、書いてみないとわからない子もいます。
    bの2乗と4acのどちらが大きいかは、きちんと計算しなければわからない、と主張する子もいます。
    「こういうのは、私はきちんと計算しないと嫌なんですっ!」
    と、キレ気味の反応をする子もいます。

    結局、
    「わからないから、普通に解きます」
    と言われてその話は終了、というのはよくあることです。
    ( ;∀;)

    でも、それでも構わないんです。
    最初に書いたように、まずは因数分解できるのかなあと考え、ダメなら、2次方程式の解の公式で解いてみて、√ の中身が負の数になることに気づき、ああ、特別なタイプの2次不等式だと気づくという順番で、一向に構わないと思います。

    問題に戻りましょう。
    2x2+x+5>0 を解け。
    判別式D=1-4・2・5=-39<0
    判別式が負の数ですから、放物線y=2x2+x+5 は、x軸と共有点を持たないですね。
    軸と共有点を持たない、下に凸の放物線です。
    x軸の上空を放物線が浮いているイメージですね。
    では、そのyの値は常にy>0でしょう。
    ということは、すべてのxについてy>0、すなわち2x2+x+5>0 が成り立つということです。
    よって、この不等式の解は、すべての実数です。

    ここでの課題は、やはりどうしても y>0 と2x2+x+5>0 とが頭の中で一致しないことでしょう。

    x座標とy座標との関係について、何かが頭の中で詰まっていて、つながらない。
    そういう子は多いです。
    先日も、中学生に「1次関数」の授業をしていました。

    問題 直線y=1/3x+5・・・① がある。x軸上の点Pを通るx軸に垂直な直線と直線①との交点をQとする。
    点Pのx座標をtとするとき、PQの長さをtを用いて表せ。
    ただし、t>0とする。

    問題より、P(t,0)ですから、その真上にある点Qのx座標もtです。
    そして、点Qは直線①上の点ですから、Q(t,1/3t+5)と表すことができます。
    よって、PQ=1/3t+5 が答えです。

    この問題、わかる人には本当に何でもない問題なのですが、わからない子にとっては、もしかしたら一生理解することはないのではないというくらいわからないようなのです。
    点Pのx座標がtというのがまず少し抵抗があるようですが、それは問題にそう書いてあるので、仕方ないから諦めるようです。
    pの真上の点Qのx座標が同じtであることも少しモヤモヤしているようですが、まあギリギリ理解できるようです。
    しかし、Qのy座標が 1/3t+5 になることは理解できないのです。
    まして、PQ=1/3t+5 になることとなると全く理解できない様子です。

    「直線上の全ての点のx座標とy座標には、その直線の式と同じ関係があるんだよ。直線は、そういう性質の点の集合なんだから」
    「そうなんですか?」
    「うん。だから、y=1/3x+5 という関係が成り立つので、xがtのときは、yは1/3t+5になるんだね」
    「代入すればいいってことですか」
    「すればいいっていう言い方はちょっと引っかかるんだけど。本当にわかる?」
    「いや、全然わかんないです」
    「どこがわからない?」
    「いや、もうそれでいいってことで」
    「・・・・もう1回説明しますよ」

    このような中学生は多いです。
    理解していないので、問題の形式が少し変われば、もうそのことを利用できません。
    関数の応用問題が解けない子は、多くの場合、ここでつまづいています。
    座標平面上の点のx座標とy座標との関係を利用できません。
    その点がどの直線上にあるかに着目すれば、その直線の式を用いて、y座標を表すことができるのです。
    しかし、多くの子は、その点がどの直線上の点であるかに着目することができません。
    直線の式を用いるという発想を持つことができません。
    わかる子は一度の説明でスルッと理解するのですが。
    ここで、関数がわかる子とわからない子との間に大差がついていきます。
    何としても、中学のこの段階で関数の根本を理解しておいてください。
    高校数学を学ぶときに、大きく影響しますから。

      


  • Posted by セギ at 12:33Comments(0)算数・数学

    2017年10月05日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と接する場合。


    さて、「2次不等式」の話の続きです。

    問題 x2-4x+4≧0 を解け。

    これは左辺が平方の形に整理されます。
    (x-2)2≧0
    2次関数 y=(x-2)2 を
    グラフにしてみると、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線となります。
    この放物線は、すべてのxについてy≧0が成り立ちます。
    よって、もとの不等式の解はすべての実数です。


    問題 x2+6x+9>0 を解け。
    (x+3)2>0 と整理できます。
    放物線y=(x+3)2 は、点(-3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=-3のときだけは、y=0となり、y>0を満たしません。
    だから、この不等式の解は、x=-3をのぞくすべての実数となります。


    問題 x2-6x+9≦0 を解け。
    (x-3)2≦0 と整理できます。
    放物線y=(x-3)2 は、点(3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=3 のときだけy=0となり、y≦0を満たしますが、それ以外は全てy>0となり、y≦0を満たしません。
    よって、解は、x=3 となります。
    「不等式なのに解が1つだけでいいの?」
    と納得しない高校生もいるところですが、あてはまるところが1つしかないのですから仕方ありません。

    問題 x2-4x+4<0 を解け。
    (x-2)2<0 と整理できます。
    放物線y=(x-2)2 は、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、どのような場合にもy<0を満たしません。
    よって、解はない、となります。


    このようなタイプの問題を整理すると、

    (x-a)2≧0 のとき、 xはすべての実数
    (x-a)2>0 のとき、 xはaを除くすべての実数
    (x-a)2≦0 のとき、 x=a
    (x-a)2<0 のとき、 解はない

    上の( )の次の2は、指数として読んでください。
    この4パターンを理解するのにかなり時間がかかる子がいます。

    時間がかかっても正しく理解してくれたらそれで良いのですが、覚え間違えてしまう子もいます。
    奇跡的なほどに、逆に逆にものごとを覚えてしまう子がときどきいるんです。
    もういっそ、最初から逆に教えたら、むしろ正しく定着するんじゃないか、というほどに。
    解説を聞いて、そのときは理解しても、1週間経つと、また逆になっています。
    やればやるだけ混乱してしまう様子です。
    ( 一一)


    初期に覚え間違えると一生混乱するということはあります。
    私も、そういうのが1つあります。
    「熊」のアクセントがいまだによくわかりません。
    動物の「熊」と、目の下の「くま」の、どちらか頭高型アクセントだったか、混乱しがちです。
    これ、テレビを見ていても、アナウンサーやナレーターによってアクセントがバラバラであるように思うんですよ。
    私が混乱しているからそう思うのかなあ。
    ( 一一)

    最初に覚え間違えると、一生たたります。
    以前、あるタレントさんが「警視庁」と「警察庁」のどちらが何だったか、最初に覚え間違えて、よくわからなくなっているとぼやいていました。
    むしろ、世間一般では、警察庁というものの存在がほとんど認識されていないので、そこの混乱は起こりにくいのですが。
    高学歴タレントならではの不思議な混乱でした。


    左辺が平方になる2次不等式に話を戻して。
    「解はすべての実数」「解はない」などが答となる場合に、
    え、そんなのが答えでいいの?
    と納得しない高校生もいます。
    「解いた気がしない」
    と言うのです。

    すべての実数というのは、結局なんでもいいということだから、そんなのは答えと言えないのではないか。
    そんなふうに考えてしまうようです。
    そういう子は、x<3 というような答えでも、実は不満で、何ではっきり定まらないのが答えなんだろうと口にすることがあります。
    まだ小学校の算数の意識が残っているのかもしれません

    不等号に対する概念が小学生のままなのだと思うのです。
    不等号は、小学校では、大きさ比べ以外では使いません。

    3<5

    というようなことですね。
    実際には、
    2/7<0.3
    というように、小数と分数の大きさ比べなど、上の例よりは難しいことで使いますから、何かもっともらしいことをしている気がしますが、結局、小学生の間は、大きさ比べをしているだけです。

    しかし、x<3 が表しているのは、大きさ比べではありせん。
    「xは、3未満のすべての実数である」という意味なのです。
    これを、答えが定まっていないように思うのは誤解で、明確に定まっているんです。
    しかし、
    「xと3とを比べると、xのほうが小さい」
    というふうにしか思わないと、xの値はぼんやりしていて、じゃあなんなの?と感じてしまうようです。

    同様に、
    「解はすべての実数」
    というのも、解として明確に定まっています。
    解はすべての実数として、定まっているのです。
    しかし、そのことが理解しづらい子もいるようです。

    本人の理解不足から、
    「数学って何か変」
    「数学っておかしい」
    と不満を抱くようになり、数学を否定し始めることがあります。
    数学を否定し、数学を勉強しない言い訳にし、数学で受験できないようになってしまうのは、しかし、勿体ないです。
    全てを理解できないとイライラするのかもしれませんが、わかるところとわからないところがあっても数学全体は否定せず、何とかつきあっていってほしいなあと思うのです。

    難しい内容に対して、
    「学校でそんなのやってない」
    と主張する子もいます。
    これは微妙な話です。
    本当に学校で習っていないこともあるからです。
    進学校でない場合、こういう難しいところは省略してしまうことはあるでしょう。
    本人が数学を入試科目に使用する可能性が皆無であれば、無理に教える必要はないと私も判断します。

    しかし、本人が「やっていない」と思いこんでいるだけで、実は、学校で習っている可能性も高いのです。
    授業を聞いていない。
    授業が理解できていない。
    だから、何を学習し、何を学習していないのか、よくわからない。
    そういうことは珍しくありません。


    必ず持ってくるように言っても教科書を持ってきません。
    学校のノートもありません。
    学校の問題集だけは、塾で学校の宿題をやりたいなと期待して持ってきているので、それで調べます。
    「ここに、この問題が載っているけれど、本当に習っていないの?」
    そのように具体的に質問していくことで、ようやく本人の記憶が戻ってきたりします。
    「あ。やったかもしれない」

    ( ;∀;)


    「実数」という言葉が突然出てくると、えーと、実数って何?と言い出す子もいます。
    用語がいろいろありすぎて、だんだんわからなくなってくるという話は、少し前にもここでしました。
    しかし、数学の用語を使わないと、説明はもっとわからなくなります。

    以前にこんなこともありました。
    中学3年生と図形問題を解いていたときのことです。
    「この問題、補助線が要るね。どう補助線を引く?」
    と私が問いかけたところ、その子は、
    「真ん中の棒に、それと同じ幅の棒を、何かえーと、同じ幅になるように書いて・・・・・」
    と説明し始めました。
    「・・・・・待て。何を言っているのか、わからないよ」
    「だから、ここの棒を」
    「・・・・・・線分ACのことなの?中3が、数学の時間に、『線分』を『棒』と言ったらダメだよ」

    さらに彼の説明を聞くと、彼がしきりに「同じ幅」と説明していたことは、平行線のことだろうかと思ったのですが、実は、点Pから線分ACに垂線を下ろすことだったのです。
    さすがに、それは伝わらない。
    ( ;∀;)

    数学用語がたくさんあり、そのすべてについて厳密に定義されているのは、必要があってのことです。
    本人が使用している言葉の意味が、他人の理解とは異なる場合、伝えたいことが伝わらなくなります。
    だから、数学用語を正しく理解し、正しく使用することは、意味のあることなんです。

    教える側が、「すべての実数」という言葉を使わず、
    「なんか、何でもいいやつ」
    などと説明したら、おそらく、誰も理解できませんよね。
    (^-^;

    自然数、整数、有理数、無理数、実数。
    そして、この先に、虚数。
    用語の意味がわからなくなったら、その都度定義に戻って、正しい用語を正確に使用していきましょう。

      


  • Posted by セギ at 13:17Comments(0)算数・数学

    2017年10月03日

    10月14日(土)、大人のための数学教室を開きます。


    9月30日(土)、大人のための数学教室を開きました。
    今回は、「絶対値を含む不等式の証明」を学習しました。
    「絶対値」という言葉は、中学1年生の「正負の数」の最初のほうで学びます。
    数直線上での原点からの距離をその数の絶対値と呼びます。
    だから、+3も-3も絶対値は3です。
    したがって、絶対値とはその数の符号を外した数、すなわち正の数ととらえることができます。

    ここまでならシンプルな話なのですが、絶対値に文字がからむと途端にわかりにくくなるようです。
    例えば、高校数Ⅰで学習する以下の内容。

    |a|≧a
    |a|≧-a
    |a||b|=|ab|
    |a+b|2=a2+2ab+b2

    パッと見て、「そりゃそうだ。当たり前だ」と感じる子と、「え?え?何?」と焦る子とがいます。
    1つには、文字が正負の記号を含みこんでいることが理解しきれていないせいかもしれません。
    aという文字は、a≧0の可能性とa<0の可能性とがあります。
    そう説明されれば、「それは知っている。わかっている」と言うのですが、実際に問題を解くときには、わかっていないことが露呈してしまいます。
    aは正の数。
    -aが負の数。
    そういう感覚で解いてしまう子がいるのです。

    「aという文字が何なのか決まっていないのに、何で大小が言えるんですか?」
    そう質問されて、その質問がどういう意図のものかわからず、困惑したこともあります。
    「不等式の証明」の学習の始まりには、そういう疑問はもたない様子で、それなりに解いていたのです。
    しかし、絶対値を含む不等式になると、その質問が口をついて出てしまう。
    絶対値がわからないのか?
    最初から不等式がわからなかったのか?

    不等式の学習の最初に、全ての不等式が証明できるわけではなく、証明できる不等式だけを扱っているのですよと説明してあります。
    aという文字が何なのか決まっていなくても、大小が言える不等式だけを証明しているのです。
    でも、その説明をしても、その子の顔がパッと晴れることはないのです。

    おそらく、その質問は今どきの言葉で言えば「芯を食っていない」のでしょう。
    だから、私の説明も相手を納得させることがない。
    本人が質問したいことは、そのことではないのだと思います。
    では、何を問いたいのでしょう?
    わからないことの核心は、何なのでしょう?
    おそらく、わからないことの核心は、高校数学ではなく、中学の数学、あるいは小学校の算数の時代にあるのではないかと思うのですが、深すぎてなかなか届かないのが悩みです。


    ともかく、数Ⅱの実際の問題にあたってみましょう。

    問題 |a-b|≧|a|-|b| を証明せよ。

    この問題は、テキストでは、その上に例題が載っていて、それが、
    |a|+|b|≧|a+b|
    なのです。
    その解説を聞いた上で、実際に解くのがこの問題なのは、テキストの構成に若干悪意があるかもしれません。
    単純に例題の解法をなぞって解いてもダメですよ、という警告なのでしょうか。
    見た目が似ているので、同じように解いてしまう高校生は多いのですが。

    上の問題と例題とは、違うのです。
    では、何が違うのか?
    |a|+|b|≧|a+b|
    は、左辺も右辺も、正の数です。
    正の数での大小の比較ですから、それぞれ2乗して大小を比較することで単純に判断できます。
    しかし、
    |a-b|≧|a|-|b|
    は、左辺は正の数ですが、右辺は、負の数かもしれません。
    単純に2乗して大小を比較することはできません。
    ここは、場合分けして判断していかなければなりません。

    1) |a|-|b|<0 すなわち |a|<|b| のとき
    |a-b|>0、|a|-|b|<0だから、
    |a+b|>|a|-|b|

    2) |a|-|b|≧0 すなわち |a|≧|b| のとき
    (左辺)2-(右辺)2
    =|a-b|2-(|a|-|b|)2
    =a2-2ab+b2-(|a|2-2|a||b|+|b|2)
    =a2-2ab+b2-a2+2|ab|-b2
    =-2ab+2|ab|
    =2|ab|-2ab
    =2(|ab|-ab)
    ここで、|ab|-ab の正負について考えてみましょう。
    aとbが同符号あるいは0のとき、すなわち ab≧0 のとき、
    |ab|=ab となり、|ab|-ab=0 です。
    aとbが異符号のとき、すなわちab<0 のとき
     -ab>0 となり、|ab|-ab>0 です。
    よって、
    2(|ab|-ab)≧0
    ゆえに、
    |a-b|2≧(|a|-|b|)2
    したがって、
    |a-b|≧|a|-|b|
    1)、2)より、
    |a-b|≧|a|-|b|
    等号は|ab|=ab すなわち ab≧0 かつ|a|≧|b|のときに成り立つ。

    いかがでしょうか?

    さて、今回ご出席の方は、次回は欠席のご連絡を受けました。
    次回の授業は、まずは今回の内容に関して質問を受けます。


    ◎日時  10月14日(土)10:00~11:30
    ◎内容  数Ⅱ「等式・不等式の証明」を続けます。p.19の問題17までが宿題です。

    ◎場所  セギ英数教室
           三鷹市下連雀3-33-13
             三鷹第二ビル 305
           春の湯さんの斜め前のビルです。
    ◎用具   ノート・筆記用具
    ◎参加費 2,000円
           当日集めさせていただきます。
    ◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。




      


  • Posted by セギ at 15:29Comments(0)大人のための講座