たまりば

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2018年02月07日

データの分析。相関表と共分散。



今回も「データの分析」の学習の続きです。
まずは、相関表の読み取りから。
上の板書の左上の図が相関表というものです。
難しそうですが、実はとても簡単で、小学校4年生で学習する内容です。
例えば「衛生検査」の表。
「ハンカチを持っている・持っていない」
「爪を切っている・切っていない」
そういう2種類の分類を縦横に組み合わせた表をご覧になったことがあると思います。
あれが相関表です。

上の図は、そういう相関表をもっと無味乾燥にしたものですが、読み取り方は同じです。
例えば、上の図で、x=2で、y=1の人は、0人。
x=2で、y=2の人は、1人。
xやyの値は、データそのものかもしれませんし、度数分布表の各階級を代表する階級値かもしれません。
上の相関表で赤字で書いてあるのは、それぞれの度数です。
外側の青字で書いてあるのは、その合計です。

xの合計は、横の数字をたしていくとわかります。
つまり、x=2の度数は、0+1+4+3で、合計で8人。
x=1の度数は、16人。
yの合計は、縦にたしていきます。
y=1の度数は、7人。
y=2の度数は、9人。
さらに、青字を横に全部たすと、32人。
青字を縦に全部たしても、32人。
このデータの度数は全部で32人であることがわかります。
簡単ですね。
ヽ(^o^)丿

さて、ここからこのデータの分析に入ります。
まずは、平均を求めましょう。
xの平均は、xの総合計を度数で割れば出ます。
xの総合計は、相関表の外側に青字で書いた度数の小計を使って求めることができます。
x=2の人が8人。つまりこの階級の合計は、2×8=16
x=1の人が16人。合計は、1×16=16
x=0の人が8人。合計は、0×8=0
ゆえに、総合計は、16+16+0=32
度数の合計も32ですから、平均は、
32÷32=1となります。
xの平均は1です。

yも同様に計算できます。
1/32(1×7+2×9+3×9+4×7)=2.5
yの平均は、2.5です。

さて、次に分散を求めましょう。
前回学習した内容です。
分散とは、偏差(そのデータと平均との差)を2乗したものの平均のことでした。
相関表の場合、これも外側に書いた青字の数字が役に立ちます。
x=0の偏差の2乗は、(0-1)2。
それが8人いるのですから、合計で、8(0-1)2となります。
x=1は16人なので、
16(1-1)2
x=2は8人。
8(2-1)2
となります。
それらを全てたして、度数全体の32人で割れば、xの分散となります。
すなわち、
S2x=1/32{8(0-1)2+16(1-1)2+8(2-1)2}
一見複雑な式ですが、0になって消えるところもあるので、計算は案外楽で答えは、0.5。

yの分散も同様に、
S2y=1/32{7(0-2.5)2+9(2-2.5)2+9(3-2.5)2+7(4-2.5)2}=1.125

では次に、前回学習した共分散を求めてみましょう。
共分散は、データに正の相関があるか、負の相関があるかを知るための数値でした。
求め方は、(xの偏差)×(yの偏差)の平均。
順番に求めていきましょう。

まず、x=0で、y=1の度数は3人。
その分の(xの偏差)×(yの偏差)の合計は、
3(0-1)(1-2.5)
x=0で、y=2の度数は4人。
すなわち、4(0-1)(2-2.5)
x=0で、y=3の度数は1人。
すなわち、1(0-1)(3-2.5)
x=0で、y=4の度数は0人。
すなわち、0(0-1)(4-2.5)

こうして見てみると、これらは、(0-1)が共通因数ですね。
だから、こんなふうにくくることができます。
(0-1){3(1-2.5)+4(2-2.5)+1(3-2.5)+0(4-2.5)}
つまりは、xの偏差ごとに、yの偏差を分けてたしていくイメージです。

xの偏差が1-1=0となる2列目は、0に何をかけても0なので、もうさすがに書くのは省略しましょう。
xの偏差が2-1となる、一番上の列は、
(2-1){0(1-2.5)+1(2-2.5)+4(3-2.5)+3(4-2.5)}
これと、さきほどのxの偏差が0-1だった3列目とをたして、32で割れば、共分散となります。
式は複雑そうに見えますが、意味がわかれば楽勝です。
板書の通り、共分散は、12と出ました。
ヽ(^o^)丿

  


  • Posted by セギ at 10:47Comments(0)算数・数学

    2018年02月01日

    データの分析。共分散と相関係数。


    今回も、「データの分析」の学習です。
    今回のメインは「散布図と共分散」。

    散布図は、簡単です。
    2種類のデータに相関関係があるかどうかを見たいときに描くグラフです。

    例えば、定期テストの国語の得点と数学の得点。
    国語の得点が高い子ほど、数学も得点が高い。
    もしそういう傾向があるのならば、それは「正の相関関係がある」と言います。
    逆に、国語の得点が高い子ほど、数学の得点は低い。
    そういう傾向があるならば、それは「負の相関関係がある」と言います。

    1人1人の国語の得点をx、数学の得点をyとして、座標平面上に点を打っていきます。
    それが「散布図」です。
    データの1つ1つが点として打ち込まれます。
    夜空の星のように。
    それが天の川のように帯になって集まり、全体に右上がりの傾向が見られたら、
    「正の相関関係がある」
    点の集合が全体に右下がりの傾向が見られたら、
    「負の相関関係がある」
    と言います。
    バラバラに散っているならば、
    「相関関係はない」
    となります。

    ここまでは易しいですね。
    (*'▽')

    で、例によって、この関係を数値で表そうとする人が現れるのです。
    ・・・・・余計なことを。(笑)
    高校生からも、
    「もう散布図でいいじゃないですか」
    と言われてしまうところです。
    私もそう思います。
    でも、数値にしたいのです。
    数学ですから。
    学問ですから。

    上の画像の、私の板書をご覧ください。
    座標平面を、xの平均とyの平均とで区切り、4つの部分に分割してあります。
    4つの部分のうち、原点に近い左下の部分は、xの値もyの値も平均より小さいデータが集まるところです。
    すなわち、偏差(そのデータの値-平均)は、どちらも負の数。
    左上の部分は、xの偏差は負の数。yの偏差は正の数。
    右下の部分は、xの偏差は正の数。yの偏差は負の数。
    右上の部分は、どちらの偏差も正の数。

    ここで、正の相関関係かあるとき、散布図では、上の画像で赤の斜線で塗った、左下と右上の部分に点が多く打たれているはずです。
    負の相関関係があるとき、散布図では、上の画像で青の斜線で塗った、左上と右下の部分に点が多く打たれているでしょう。
    この赤の部分に共通点はないか?
    青い部分に共通点はないか?

    あるんです。
    それぞれの偏差は正だったり負だったりバラバラですが、偏差の積は?
    正×正=正
    負×負=正
    赤くぬられた左下と右上は、偏差の積はどちらも正の数になります。
    正×負=負
    負×正=負
    青く塗られた左上と右下は、偏差の積はどちらも負の数になります。

    すなわち、xとyの偏差の積によって、相関関係を示すことができます。
    (xの偏差)×(yの偏差)>0 ならば、正の相関関係
    (xの偏差)×(yの偏差)<0 ならば、負の相関関係
    となります。

    全体の傾向を見たいのですから、偏差の積の平均を出せばよいのです。
    すなわち、全てのデータの偏差の積を足して、データの個数で割ります。
    これによって、そのデータの全体の偏差の積が正の数であるか、負の数であるかがわかります。
    それは、このデータ全体の傾向が、正の相関関係であるか、負の相関関係であるかを示す数値となるでしょう。
    この数値を「共分散」と言います。
    共分散を求める公式は、上の画像に書いた通りです。
    共分散が正の数ならば、正の相関関係がある。
    共分散が負の数ならば、負の相関関係がある。
    共分散が0に近づくほど、相関関係が弱い。
    ということが言えます。

    とはいえ、これがまた高校生には不評です。
    ( ;∀;)
    でも、おそらく言葉の意味の理解が追い付かないことが主な原因だと思います。
    聞いたこともない単語が多すぎるのでしょう。
    「共分散とは、偏差の積の平均」
    単語のいちいちが何をどうすることか、頭の中を時間をかけて通さないと、よく意味がわからない。
    そういうことだと思います。
    時間はかかってもいいです。
    じっくり理解を深めてください。


      


  • Posted by セギ at 12:49Comments(0)算数・数学

    2018年01月24日

    データの分析。分散とは何か。


    「データの分析」、本日は、分散と標準偏差について
    データを分析する場合、データの散らばり具合の把握は重要な課題です。
    前回は箱ひげ図で散らばりの様子を見ましたが、どのように散らばっているかを数値化することはできないでしょうか?
    グラフや図を見て分析するのではなく、1つの数字で単純に比較できるようにならないでしょうか。

    そこで、ちょっとおバカさんだけどひらめきのある人が、こんなことを考えたとします。
    「1つ1つの数値と平均値との差を出して、それを合計して、データの個数で割ったら、平均してどれだけ散らばっているか、わかんじゃね?」
    ふむ?
    ではやってみましょう。

    例えば、10人の漢字テストの得点が、
    3点、3点、4点、4点、5点、5点、6点、6点、7点、7点だったとします。
    この平均点は、合計を10で割ればよいのですから、
    1/10(3+3+4+4+5+5+6+6+7+7)=5
    となります。
    では、それぞれのデータと平均点5点との差を足してみましょう。
    (3-5)+(3-5)+(4-5)+(4-5)+(5-5)+(5-5)+(6-5)+(6-5)+(7-5)+(7-5)
    =-2-2-1-1+0+0+1+1+2+2
    =0

    あれ?
    0になっちゃった。
    (*_*)

    これは考えたら当然のことで、平均値というのは、そうなるように出来ています。
    でも、「平均値との差」という発想は悪くないですよね。
    この平均値との差のことを「偏差」と言います。
    プラス・マイナスがあるから、合計0になってしまうけれど、これが、プラス・マイナスに別れない値、すなわち全てプラスの値になるのなら、意味があるのでは?
    どうすれば、そうなるでしょう。

    そうだ。
    2乗すれば。
    (*'▽')
    2乗した値は、実数ならば必ず正の数になります。
    そして、2乗しても、数値の大小関係は変わりません。
    この数値で、データの散らばり方を比べることができます。

    上の例で言えば、
    (3-5)2+(3-5)2+(4-5)2+(4-5)2+(5-5)2+(5-5)2+(6-5)2+(6-5)2+(7-5)2+(7-5)2
    これを、個数の10で割れば、それは、他のデータと比較できる数値となるでしょう。
    この数値、すなわち偏差の2乗の和の平均値を「分散」と言います。

    ところで、これは2乗した値なので、どうせなら、1乗の値に戻したい。
    すなわち、分散の正の平方根を出せば、比較するのに便利な数値となるでしょう。
    この分散の正の平方根を「標準偏差」と言います。

    ゆっくり筋道を追って考えれば、それほど難しくはないです。
    でも、初めて聞くと、用語の意味と計算方法がイメージ的に一致しないこともあって、かなり混乱すると思います。
    ( 一一)
    わかるんだけど、何だか違和感がある。
    わかるんだけど、何だか腑に落ちない。
    そんな感じでしょうか。

    しかも、分散の求め方は、もう1つあり、それは最初の公式を変形しただけのものなのですが、非常に紛らわしいです。
    (分散)=(数値の2乗の和の平均)-(平均の2乗)

    「2乗の和の平均」と「平均の2乗」。
    似ている!
    (+_+)

    公式が2本あることで、
    「1本だけでいい。1本しか覚えない」
    とギブアップする高校生もいます。
    また、高校によっては、最初の公式しか教えないところもあります。
    そんなに難しいことではないので、これも何とか2通り理解すると、その場その場で使い分けできて便利です。

      


  • Posted by セギ at 11:35Comments(0)算数・数学

    2018年01月12日

    データの分析。箱ひげ図の読み取り。


    さて、「データの分析」の続きです。
    データは分析しなくては意味がありません。
    では、どう分析するか。
    大切なのは、他のデータとの比較です。
    比較をするために代表値という概念があります。
    そのデータを代表する値です。
    代表値を用いて、他のデータと比較をします。

    例えば平均値。
    10点満点のテストの得点についての2組のデータについて考えてみましょう。

    Aグループの得点を小さい順に並べると、
    0点、6点、7点、8点、8点、8点、8点、9点、9点、10点。
    Bグループの得点を小さい順に並べると、
    6点、6点、6点、7点、7点、7点、8点、8点、9点、9点。

    Aグループの平均値は、7.3点。
    Bグループの平均値も、7.3点。

    平均値は同じですね。
    しかし、この平均値だけを使って、「AグループとBグループの得点は同じだ」と言っていいのでしょうか?
    Aグループの平均値は、たった1人の0点のせいで下がっています。
    個々のデータを見れば、全体に得点が高いのはAグループです
    平均値だけで語れることには限界があるのは、こうしたデータからわかります。

    他に、そのデータを説明する代表値はないでしょうか?

    最頻値(モード)。
    これは、そのデータの中で最も多く出てくる数値です。
    度数分布表の中では、最も度数の多い階級の階級値を指します。
    Aグループの最頻値は8点。
    Bグループの最頻値は7点。
    AグループとBグループの得点の傾向が平均値よりも伝わってくる数値です。

    あるいは、中央値(メジアン)。
    これは、そのデータを小さい順に並べたとき(大きい順でも同じです)の中央の値です。
    データの個数が奇数個の場合は、まさに中央の値を出します。
    データの個数が偶数個の場合、中央の2つの値の平均値を中央値とします。
    これも、Aグループは8点。
    Bグループは7点です。

    少し傾向がわかるのですが、もっとデータの様子を示す方法は他にないでしょうか?
    データのばらつきがわかると、より正確にデータを示すことができるのではないでしょうか。
    この「ばらつき」を散布度といいます。

    まずは単純に、最大値と最小値を見てみます。
    最大値-最小値で、ごく単純に散らばりを見ることができます。
    「最大値-最小値」、これを「範囲」(レンジ)と言います。
    Aグループの範囲は、10-0=10(点)
    Bグループの範囲は、9-6=3(点)
    範囲が広いほど、ばらつきは大きいと、言えないことはないです。
    平均点や最頻値とあわせてそれが示されていれば、データの分布を推測することはできます。
    しかし、この範囲の広さは、Aグループのデータの本質を示していないような気もします。
    うーん・・・。( 一一)

    ここで、四分位数という考え方が登場します。
    データを小さい順に並べて、4等分する位置にあるデータを小さいほうから順に、Q1、Q2、Q3、とします。(半角数字は実際には小さく書きます)
    これを順に第1四分位数(Q1)、第2四分位数(Q2=中央値)、第3四分位数(Q3)と呼びます。
    中央値のときと同様、データが偶数個のときは、前後の2つのデータの平均をその数値とします。
    そして、Q3とQ1の差を四分位範囲。
    また、四分位範囲を2で割ったものを四分位偏差と呼びます。
    Aグループは、Q1=7点、Q2=8点、Q3=9点。
    Bグループは、Q2=6点、Q2=7.5点、Q3=8点。
    これで分布の様子がかなり見えてきました。
    Aグループの中で特殊な数値であるにも関わらず平均値や範囲に大きく影響していた0点という1つのデータがほとんど影響していないのが見てとれます。

    これが実際のテスト得点のデータである場合、このただ1人の0点というデータをどうとらえるかはまた別の難しい問題と思います。
    そこを切り捨てるわけにはいきません。
    教育的観点からは、そこに、このAグループの本質が隠れているかもしれないからです。
    しかし、この1人の0点と、残る9人とは本当に何の関係もない場合も考えられます。
    このただ1人の0点のために、残る9人に対して「おまえらは平均点が低い。努力が足りない」等の叱責をするのだとしたら、それはおかしな話です。
    AグループはBグループと比べて、実は高めの得点分布なのだということを示すことができるのが、上の四分位数です。

    さて、この四分位数と四分位範囲、さらに最小値と最大値までを1つの図に示したのが、箱ひげ図です。
    箱ひげ図は縦書きも横書きもありますが、今回は横書きで説明しましょう。
    まず、目盛りを描きます。
    その少し上に、最小値、Q1、Q2(中央値)、Q3、最大値を記録していきます。
    Q1、Q2、Q3を示す縦の線分を少し長く描きます。
    描いた3本の縦の線分を結ぶ横の線分を描き、長方形にします。
    最小値・最大値とその長方形とを線分で結びます。
    と言葉でいくら説明してもよく伝わらないでしょうか。
    実際の図を示しましょう。



    手書きして、それをスマホで撮影したので、全体に斜めになっていて申し訳ありません。
    一番下の矢印のついた線は、実際には目盛りです。
    オレンジ色で書き込んだのは説明で、実際の箱ひげ図には記入しないものです。

    次に、AグループとBグループを箱ひげ図にしたものが、下図です。
    さらに斜めになってしまっていて申し訳ありません。
    定規がないのに急いで描いたら、こんなふうになってしまいましたが、概要は伝わると思います。



    Aグループのほうが明らかに高得点に分布していることが見てとれます。
    箱ひげ図の読み取りで誤解しやすいのは、横の線分が長いと、そこに多くのデータがあるような気がするのですが、全く逆で、線分が長いということは、そこはデータが少ないことを意味します。
    全てのデータを小さい順に並べて四等分して求めているのがQ1、Q2、Q3です。
    最小値からQ1までの幅には、全てのデータの四分の一が入っています。
    その幅が長いということは、そこはデータがまばらに分布していることを示しています。
    だから、Aグループは低い得点に人があまりいないことがわかります。
    ここが、説明していて高校生になかなか伝わらないところです。
    「長いものは大きいもの」という思いこみで図を見てしまうことから脱却できないようなのです。

    箱ひげ図の読み取りのコツはそこに集約されています。
    もう一度説明します。
    最小値、Q1、Q2、Q3、最大値は、データを小さい順に並べて単純に四等分したときに表れる数値です。
    最小値とQ1との間、Q2とQ3の間、Q3と最大値との間には、同じ数のデータが存在しています。
    たから、幅が長いところは、データはまばらに分布しています。
    長方形の部分も同じことです。
    長方形の横の長さが長いところは、データはまばらに分布しています。
    横幅の短い、ぎゅっと詰まった長方形には、データもぎゅっと詰まって存在しているのです。

    箱ひげ図よりも度数分布をそのまま示したヒストグラム(柱状グラフ)のほうが見たまますぐに散らばりを実感できるかもしれません。
    箱ひげ図は、読み取り能力を要求する図です。
    しかし、読み取り方を理解したら、箱ひげ図からヒストグラムの概形をイメージすることができます。
    都立の中高一貫校では、成績データにこの箱ひげ図を用いる学校もあります。
    いずれ、それが当たり前の時代が来るかもしれません。
    慣れれば多くのことが読み取れる箱ひげ図。
    学ぶ価値のある内容だと思います

      


  • Posted by セギ at 12:11Comments(0)算数・数学

    2018年01月10日

    データの分析。相対度数とは何か。


    今回は、「データの分析」です。
    「データを読み取れないから日本人は経済において世界の中で云々かんぬん」
    と上から言われて加えられ、新課程に変わる度に強化されている
    この単元。
    データは読めないよりは読めたほうがいいので、張り切って指導していますが、これを勉強する高校生の表情は、多くの場合、埴輪のようにポカンとしています。
    必要性が実感できないのかもしれません。

    今回は、まず中学の復習。
    度数分布表の作り方と、それをヒストグラムに直す方法を学習しましょう。
    これは中学1年で学ぶ内容ですので、わりと簡単です。

    度数分布表。
    身近な例で言えば、ある学年100人の期末テストの得点を度数分布表に表すとします。

    0点以上10点未満   2人
    10点以上20点未満  4人
    20点以上30点未満  6人
    30点以上40点未満 10人
    40点以上50点未満 32人
    50点以上60点未満  5人
    60点以上70点未満  7人
    70点以上80点未満 23人
    80点以上90点未満  7人
    90点以上100点以下 4人
    合計           100人

    上のように、範囲を区切ってその範囲にデータがいくつあるかを示した表が度数分布表です。
    「20点以上30点未満」のような範囲の1つ1つを「階級」と言います。
    データの個数を「度数」と言います。
    上の例で言えば、20点以上30点未満の階級の度数は、6人です。

    上のように合計がちょうど100人ならわかりやすいですが、実際のデータは、79人とか、83人とか、合計が半端な数であるため、データがどのように分布しているのか、パッと見ただではわかりにくいことがあります。
    そのために「相対度数」という数値を利用します。
    相対度数というのは、割合です。
    全体の中で、その階級にどういう割合でデータが分布しているか。
    合計を1.00とし、各階級の度数を小数で表します。
    各階級の度数÷全体の数=相対度数
    ということです。
    小数で表すからピンとこない子がたまにいるのですが、パーセントで読み直せば、何ということもありません。
    全体が100%。
    上の例で言えば、「20点以上30点未満」の階級の相対度数は、0.06。
    すなわち、全体の6%の人がその階級にいるということです。

    小学生の頃から「割合」が苦手な子は、この段階で「わかんない」と文句を言い始めるのですが、データを読み取りやすくするための数字が相対度数です。
    敵視せず、「この数字は自分の味方」と思ってほしいです。
    1.00=100% を理解するだけで楽になりますから。

    そして、度数分布表をそのままグラフにしたのが、ヒストグラム。
    柱状グラフ、とも言います。
    分布の様子がひと目でわかるので、便利です。

    さて、ここで話が終われば簡単なのですが、ここから少し面倒くさい話になってきます。
    データは、1つのデータだけを見て判断することはほとんどありません。
    他のデータと比較して分析するから、データには意味があります。
    では、どのように比較するのか。

    ここで、「代表値」という概念が登場します。
    1つのデータを1つの数値で代表させたい。
    代表値には色々なものがあり、一番知られているのが、「平均値」です。

    上の例で言えば、1人1人の点数を全部足していって、人数で割れば、平均点が出ます。
    あれ?
    でも、上の表だと、個々の点数がわからない。
    「20点以上30点未満 6人」
    ということしかわからない。
    実際は、1人1人、21点だったり、29点だったりするだろうに、そのデータが手元にない。
    そんなとき、どうやって平均値を出すか?

    ここで使えるのが、「階級値」。
    すなわちその階級の中央の値です。
    「20点以上30点未満」という階級の階級値は、25点です。
    その25点×6人で、その階級の合計とする。
    全ての階級の合計を足して、度数(100人)で割る。
    それを「平均値」としても、まあいいでしょう。
    おそらく、個々の得点を全部足して100で割ったものとは少し違う数値が出るでしょうが、大きな違いではないでしょう。
    これを「加重平均」と言います。

    そうやって、平均値を出すことはできるけれど、しかし、このデータで、平均値はどの程度の意味を持つのでしょうか?
    上の度数分布表を見直していただけるとわかりのですが、データの分布が明らかに割れています。
    平均値は、そうしたデータの分布を表すことができません。
    もっと、データの分布を把握できる数値はないものでしょうか。

    ここから、いよいよ、データの分布をどのように表していくかという話が始まっていきます。

      


  • Posted by セギ at 11:07Comments(0)算数・数学

    2018年01月08日

    三角比と平方根の計算の工夫。



    今回も、三角形の面積の求め方から。

    問題 3辺の長さがそれぞれ、10、17、21である三角形の面積を求めよ。

    S=1/2absinCの公式を利用する場合。
    sinCの値が必要ですが、すぐには求められません。
    だから、まず、cosCの値を求めて、そこからsinCの値を求めます。
    cosCは、余弦定理を利用すれば、3辺の長さから求めることができます。
    cosCの値が出たら、sin2θ+cos2θ=1(2は指数) を利用して、sinCの値を求めます。
    そして、上記のS=1/2absinCの公式に代入します。

    やってみましょう。
    cosC=(102+172-212)/2・10・17
        =(100+289-441)/2・10・17
        =-52/2・10・17
        =-13/85
    これをsin2C+cos2C=1 に代入して、
    sin2C+(-13/85)2=1
    sin2C=1-169/7225
        =7056/7225
    sinC=84/85
    よって、
    S=1/2・10・17・84/85
     =84

    答えは出ますが、計算が面倒くさいっ。
    ( ;∀;)

    この問題、他にも求め方があります。
    ヘロンの公式と呼ばれるものです。
    S=√s(s-a)(s-b)(s-c)
    ただし、s=1/2(a+b+c)
    これに代入すれば、一気に求めることができます。

    上の問題を解いてみましょう。
    s=1/2(10+17+21)
     =24
    よって、
    S=√24(24-10)(24-17)(24-21)
     =√24・14・7・3
     =84
    ああ、このほうがやっぱり楽です。
    (*^^*)

    ところが、ヘロンの公式を使っても、計算に手間取ってしまう高校生がいます。
    そういう子のノートを覗き込むと、
    24×14×7×3
    のかけ算を全部計算して、その後、それを素因数分解して√ の整理をしようとしています。
    そういうときは、かけるよりもさらに分解して、2乗のセットになるものを見つけてすぐに整数にしていくほうが楽に計算できます。

    √24・14・7・3
    √3・8・2・7・7・3
    =7・3・2・2
    =84

    不要なかけ算や割り算をしなくて済むので、計算ミスを減らし、速く正確に計算できます。

    しかし、この工夫が出来ない子は案外多いです。
    ときには、
    「私のやり方でも解けるんですよね?間違ってませんよね?」
    と言われることもあります。

    あれ?
    何か不満を持たれている?
    と感じてしまうのですが、それほど不満があって言っているのではなく、確認したいだけなのでしょう。
    式が間違っているのか、計算の工夫だけの問題なのか。
    式が間違っていないなら、計算は私のやり方でやりたい、という気持ちが働くのでしょうか?

    短時間で済むことをわざわざ遠回りしてしまうのは、時間の限られたペーパーテストを受ける場合に不利です。
    遠回りな計算は、その過程での計算ミスを招きやすく、精度が下がる原因にもなります。
    だから改善してほしいのです。
    しかし、それだけではありません。

    平方根の定義の理解が表面的なものに終わっていて、頭の奥に沁みていないから、そういう計算のやり方になるのではないかという心配もあるのです。
    そういう場合、「平方根の利用」に関する問題で、例えば、

    √180n が自然数となるような自然数nの値を小さいものから3つ求めよ。

    といった問題はハードルが高いようなのです。
    この問題の類題である「もっとも小さい自然数nの値を求めよ」ならば、正解するのですが、nが可能性としては無数にあることが理解しづらい様子です。
    「小さいものから3つ」と言われると、途端にわからなくなります。

    180を因数分解しますと、22・32・5です。(半角数字は指数)
    つまり、√180=6√5
    だから、n=5なら、√180nは自然数になる。
    ここまではほとんどの子が理解できます。
    しかし、他にもnがあることが理解できないようなのです。
    nは、5だけが因数である必要はありません。
    他にも2乗の因数を持っていて構わないのです。
    n=5・22=20 でも、√180nは自然数となります。
    n=5・32=45 でも、√180nは自然数となります。

    これがすんなり理解できる子と、なかなか理解できない子がいます。
    説明をいろいろ工夫していますが、わかる子もいれば、わかったふりをするだけの子もいます。

    不思議なもので、この子はちょっと無理かなあと内心思っていた子が、するっと理解することがあります。
    そんなとき、嬉しくて、思わず、
    「・・・・おまえ、おらが見えるのか?」
    と、私がふざけると、
    「センセイは、何かの妖怪なんですか?」
    と、見事に受けてくれたりします。

    理解力とは案外こんなことかもしれません。
    言葉の通じる相手ならば、説明は届くのです。
    講師との相性というのも、そういうことなのかもしれません。

      


  • Posted by セギ at 10:10Comments(0)算数・数学

    2018年01月01日

    三平方の定理と三角形の面積。無機質な公式をどう感じるか。



    新年明けましておめでとうございます。
    本年もよろしくお願いいたします。
    今年は、太平洋側は晴れた穏やかな元旦を迎えました。
    こんなことなら、山に行けば良かった。
    そう思うのはいつものことですが、八ヶ岳だけ雲が取れないこともあるので、のんびりとしたお正月も良いでしょう。
    今年は受験生が多いので、あまり山の計画をウキウキと立てる気分ではないのも大きいです。

    さて、お正月から数学の話。
    今回は、三角形の面積の話です。
    これも、数Ⅰで学習する「三角比」の単元の内容です。
    △ABCの面積を求める公式は、
    S=1/2absinC=1/2bcsinA=1/2casinB
    となります。
    これに関しては、以前にここで書きましたので、ぜひ、以下のページに飛んでください。
    http://seghi.tamaliver.jp/e434406.html

    三角形は、2辺とその間の角がわかれば、面積を求めることができます。
    それが、S=1/2absinCの公式です。
    証明は、上のページで説明しました。
    小学校からお馴染みの「底辺×高さ÷2」に三角比を当てはめているだけです。

    ところで、昔、生徒の1人から
    「どこが高さかわからなくなる」
    と質問されたことがあります。
    底辺をaと見たときの高さが、bsinCになることは、見やすいからわかる。
    底辺がbのときの高さがcsinA、底辺がcのときの高さがasinBであることが、斜めになっていて見えにくい。
    そう言うのです。

    その子は、公式の証明と解き方そのものとを混同していたのでした。
    1つ1つの問題を解くときに、1つの頂点から垂線を引いて高さをsinで求めてから、三角形の公式にあてはめて解くのだと思っていたのです。
    だから、三角形の向きによっては底辺の位置と垂線の位置が見にくいなあと感じた様子です。

    しかし、そんなふうにいちいち解くのなら、公式は要らないのです。
    そういうことを省略し、さっと立式できるのが公式です。
    公式は問題を簡単に解くために式を定型にしておくものです。

    しかし、突然その定型を示されて、活用せよと言われても、納得のいくものではありません。
    だから、まずはその公式がなぜ正しいかの証明を学びます。
    納得したら、証明からは離れて、スイスイ公式を使うというのが数学学習の流れです。
    公式を利用するときには、どこが底辺でどこが高さであるかを確認する必要はないのです。
    そういうことを考えなくて済むようにしたのが公式です。
    機械的に当てはめて使用するだけです。

    ただ、そういうことに心理的に抵抗がある人は多いのかもしれません。
    実感の伴わない公式に違和感があり、頭に入らない子。
    小学生にもいますね。
    小学校の5年生で学習する「割合」で、まず大きな挫折があるようです。

    割合の3用法のうち、「もとにする量×割合=比べる量」の公式がよくわからない。
    まして、「比べる量÷割合=もとにする量」となると、全くわからないし、使う気がしない。
    どうしても意味がわからないし、頭に入らない。
    かけ算の式を立てていいのか、わり算の式を立てていいのか。
    やればやるほど混乱する。
    そういう嘆きを聞くことがあります。

    あれは、逆算で作った公式なので、意味なんてありません。
    割合の公式で意味があるのはただ1つ。
    「比べる量÷もとにする量=割合」
    これだけです。

    例題 
    Aくんが、サッカーで7本シュートしたところ、5本ゴールできました。Aくんがゴールした割合はどれだけでしょうか。

    これは、5/7ですよね。
    これは、実感できることです。
    これがわからないという小学生に出会ったことがありません。
    では、5/7という分数を式に直すとどうなるか?
    5÷7=5/7 です。
    5は、比べる量。
    7は、もとにする量。
    「比べる量÷もとにする量=割合」
    という公式は、こうした構造でできています。

    割合の根本は分数なんです。
    ここをカチッと押さえたら、あとは、その変形なのだと理解します。
    「もとにする量×割合=比べる量」
    「比べる量÷割合=もとにする量」
    この2本の式は、一番上の式を逆算で変形しているだけです。
    式自体に意味はありません。
    この式は実感できるわけがないのです。
    ただの機械的な操作で生まれている式です。

    だから、式の意味がわからないのは当たり前。
    意味がわからないという感覚は、間違っていません。
    意味なんかないんです。
    変形しておいたほうがすぐに使えて便利だから公式として固定させているだけです。

    多くの大人はもう何十年もこの公式を使っていますので、意味がないことに気がついていません。
    500円の7割は、500×0.7で、350円じゃないの。
    何でこんな簡単なことが、うちの子は理解できないの。
    こんなことの何がわからないって言うの。
    つい、そう思ってしまいます。
    子どもが弁の立つ子で、
    「でも、何でかけるの?何で割合をかけるの?」
    と、核心をつくことができたら、また話が変わってくるのですが、上手く言葉にできず反論できない子もたくさんいます。
    わからなくて当然のことを、わからないからと責められる。
    これでは算数が嫌いになります。

    実感できない公式は、算数・数学にはたくさんあります。
    公式の多くは実感とは関係ないことを理解すると気持ちが楽だと思います。
    公式は、証明できるかどうかです。
    証明できる正しい公式なのだと確認したら、自分の生活感覚からはかけ離れていても使う。
    使うことにためらいを感じない。
    だって、公式なんだから。
    こういう感覚に切り替えられると楽になります。

    使っているうちに、それが当たり前になります。
    慣れてしまえば、割合の公式に疑問を抱かないのですから。
    証明できることさえ確認したら、あとは覚えてガンガン使うのみ。
    それは割合の3用法でも、三角比の公式でも、同じです。

    ごくたまに、公式を全く覚えず、いちいち自力で公式をその場で作り出して解く人がいます。
    後にノーベル賞などを取った人のエピソードで、そういう話を聞くことがあります。
    しかし、これはいわゆる「偉人」のやることです。
    思考スピード、計算スピードが常人とは違います。
    自分でもできそうだなと思ったら真似たら良いですが、無理して真似ると失敗します。
    まして、公式を覚えない言い訳にすると、完全にしくじります。
    公式は、やはり便利です。
    便利に解くために存在します。
    覚えて使えば楽です。

    今年もこんな話と山の話ばかりしていくと思いますが、ご一読願えますと幸いです。
    ヽ(^。^)ノ



      


  • Posted by セギ at 13:17Comments(0)算数・数学

    2017年11月30日

    三角比と測量の問題。図だけで問題を解くのはむしろ難しいです。




    今回も、「三角比」の学習。
    測量への利用です。




    問題  図のように、高さ200mの山頂Pから東方にある地点Aを見たら、俯角が30°であった。また、東から南30°にある地点Bを見たら、俯角が45°であった。
    2地点A、B間の距離を求めよ。

    この問題は、まず問題の意味を理解できるかどうかが1つ目のハードルです。
    こうやってネットに書いた場合、図の画像の粗さとネットの文字の読みにくさと、どちらがより強く影響するかという問題もあると思います。
    しかし、これをテキストで見た場合、図を先に見るか活字を先に見るかは、その人の普段の傾向がそのまま表れるのではないでしょうか。
    図の情報を優先する人と、文字情報を優先する人と。

    高校生の中には、図しか見ない子がいます。
    それではこの問題は解けないでしょう。
    図の上のほうの点線と、それぞれの示す角度が何を意味しているのか、図だけではわからないです。
    むしろ、問題文だけのほうがまだ情報を整理しやすいかもしれません。
    ただ、それにはある程度の読解力が必要なのも事実です。
    文字情報を頭の中で具体的なイメージにすることができないと、問題文だけでは理解しづらいと思います。
    つまりは「ちゃんと両方見なさいよ」という当たり前の話なのですが、それができない高校生は意外に多いのです。

    ここで言う読解力・イメージ力とは、上の問題文を読んだとき、イメージとして自分が山頂Pに立てるかどうか、です。
    図を見る場合でも、自分がスモールライトを浴びて山頂Pに立つと、問題の構造が理解しやすくなると思いす。
    これは中学3年生に理科の「天体」の授業をしているときもそう感じることです。
    月の見え方や金星の見え方に関する問題は、図の中の地球に自分が立って月や金星がどう見えるかをイメージできれば易しいです。
    しかし、それができず、外から地球を眺めているままですと、何でそう見えるのかうまく理解できません。

    さあ、イメージします。
    山頂Pに立ってみましょう。
    標高200m。里の低山でしょうか。
    埼玉県飯能の天覧山が標高197m。
    寄居の羅漢山が標高247m。
    毎日のお散歩コースにこのくらいの山があったらいいなあ。
    それはともかく。
    この山は、南面の見晴らしが良いようです。
    だから、南を向いて立っています。
    すると、東の方向俯角30°にA地点が見えました。
    俯角というのは、水平から下に30°の角度で見えたということです。
    ここで目を転じ、水平に30°南方向に目を向けると、今度は俯角45°にB地点が見えました。
    さて、AB間の距離は?
    という問題なのですね。

    ここで、山頂PとAとBを結んで、△PABで解こうとしてしまうと間違えます。
    ∠APB=30° と誤解しそうですが、そうではないからなんです。
    AとBの間が30°なのは水平での話で、斜めになると角度は変わります。
    山頂Pの真下、標高0mの地点をHとしましょう。
    △HABに着目すると、AB間の距離を求めることができます。

    ∠AHB=30° です。
    AHの長さは?
    これは△PHAに着目します。
    30°、60°、90°の直角三角形ですね。
    PHが200mなので、AHは200√3mです。
    次に、BHの長さは?
    これは△PHBに着目しましょう。
    45°、45°、90°の直角三角形です。
    PHが200mなので、BHも200mです。
    これで、△HABにおいて2辺とその間の角がわかりました。
    これならABの長さは計算で求められますね。

    余弦定理より、
    AB2=AH2+BH2-2・AH・BH・cos∠AHB
       =(200√3)2+2002-2・200√3・200・√3/2
       =40000・3+40000-40000・3
       =40000
    AB>0より 
    AB=200
    よって答えは200mとなります。

      


  • Posted by セギ at 13:58Comments(0)算数・数学

    2017年11月24日

    三角比と余弦定理。上手な利用の仕方。


    「三角比」の学習。いよいよ佳境です。
    今回は、余弦定理の学習をしましょう。

    △ABCにおいて、
    a2=b2+c2-2bc cosA
    b2=c2+a2-2ca cosB
    c2=a2+b2-2ab cosC

    公式としては、きちんとサイクリックで覚えておいたほうが良いです。
    サイクリックとは、ab、bc、ca、といった循環のことです。
    caを見ると、必ず「ac」と直そうとする人が、数学が苦手な人の中にときどきいるのですが、それは不要なこと。
    a、b、cしか文字がない式の場合、caのほうがサイクリックで美しいのです。
    そして、普段からそのような意識を持って文字を見ていれば、余弦定理は、3本あるように見えて、実は1本の公式であることが理解できると思います。
    文字を順番に使っているだけなのがわかりますね。

    余弦定理の証明はここでは省略しますが、使うのは、三角比と三平方の定理です。
    そう難しいものではないですので、興味があれば、検索してみてください。
    課題は、やはり余弦定理をどう利用するか、です。

    問題 ⊿ABCにおいて、b=1、c=√2、A=45°のとき、aを求めよ。

    a2=b2+c2-2bc cosA
    に代入すれば良いですね。
    というわけで、答案としては、

    余弦定理より
    a2=1+2-2・1・√2・1/√2
      =1+2-2
      =1
    a>0 より
    a=1

    問題 ⊿ABCにおいて、a=√2、b=2、c=√3-1のとき、Bを求めよ。

    角の大きさを求める場合、余弦定理を変形させた式を覚えておくと楽です。
    それも含めて余弦定理です。
    今回利用するのは、
    cosB=(c2+a2-b2)/2ca
    という式です。
    b2=c2+a2-2ca cosB
    を、cosBについて解いた式ですね。

    余弦定理より
    cosB={(√3-1)2+2-4}/2・(√3-1)・√2
        =(3-2√3+1+2-4)/2√2(√3-1)
        =(2-2√3)/(2√6-2√2)
        =(1-√3)/(√6-√2)
        =(1-√3)(√6+√2)/(6-2)
        =(√6+√2-3√2-√6)/4
        =-2√2/4
        =-√2/2
    0°<B<180°より
    B=135°

    これは、一番地道な解き方で解きました。
    しかし、この計算過程を正しくたどれない高校生は多いです。
    複雑な式の中で、2乗の乗法公式を忘れてしまう人。
    分母が2種類のルートのとき、どうやって有理化するのかわからない人。
    単純な符号ミスを起こしやすい人。
    複雑な計算をしているとストレスが強くかかるのか、数字の書き間違いをしてしまう人。
    エラーの原因は無数に存在します。

    一方、数学が得意な人は、答えをある程度予想し、それにそって式を変形します。
    上の問題は、「Bを求めよ」と言われています。
    Bは角度です。
    cosBを求めよと言われているわけではありません。
    三角比の表を使わない限り、三角形の角度は、30°、45°、60°、90°、120°、135°、150°のどれかでなければ計算では求められません。
    15°や75°などの特殊な角度の三角比を暗記している人もいますが、その暗記を前提とした問題が出題されることはまずありません。
    ということは、角度を求める問題ならば、コサインの値は、見慣れた数字のどれかになるものです。
    それを見越してまとめていくと、計算はかなり楽になります。

    cosB={(√3-1)2+2-4}/2・(√3-1)・√2
        =(3-2√3+1+2-4)/2√2(√3-1)
        =(-2√3+2)/2√2(√3-1)
        =-2(√3-1)/2√2(√3-1)
    ここで、分母・分子を(√3-1)で約分して、
        =-2/2√2
        =-1/√2

    分母の√3-1 は、三角比としては必要のない数字です。
    これは、おそらく約分できるでしょう。
    だから、最初から( )を開かないのです。
    その方向で分子をまとめていくと、確かに、同じ√3-1の要素が出てきます。
    そういうまとめ方です。

    地道な解き方でも良いのですが、地道な解き方ほど煩雑な計算に耐えられる計算力が必要です。
    しかも、地道に計算すると答えは-√2/2となります。
    これが-1/√2 と等しいことがわからず、B=135°と求められない人もいます。
    いろいろなことが悲しい結果に終わりがちなのが、余弦定理です。
    ( 一一)

    ところで、cosB= などで始まる余弦定理について、数学が得意な人は、
    「こんな式、覚えていなくても、必要になったらいつでも復元できる」
    と簡単に言うのですが、四則計算に今ひとつ習熟しきれていない高校生の場合、普通の余弦定理をこの形にすぐに変形できるかというと、残念ながらできない場合があります。
    式の変形はなぜそれほどハードルが高いのでしょうか。
    方程式なら計算できるのに。

    例えば、
    3x=2
    を解けない高校生はほとんどいないと思います。
    数字とxだけの方程式なら解くことができるのです。
    けれど、それは解き方を覚えているだけで、等式の原則を理解して操作しているわけではないのかもしれません。
    だから、極端な話、
    2=3x
    という見た目になっただけで、もう計算できなくなる子もいます。
    手順を暗記しているだけの人の計算力は脆弱で、少しの揺さぶりに耐えられないのです。

    cosB= の形の式を別に暗記しておくのが安全でしょう。
    同時に、中学の数学に戻って、「式の変形」を復習すると良いと思います。
    苦手だから、嫌いだからと言って、避けていなかったでしょうか。
    式の変形の仕方さえ理解できていれば、確かに、cosB= の公式なんてすぐに復元できるのです。

    ところで、もっと応用問題になって、複雑な図形の中で余弦定理を利用する場合に、aにあたる長さを求めるのに、どちらがbでどちらがcにあたるかわからなくて、混乱してしまう人がいます。
    実は、そんなことは、考える必要がないのです。
    bとcなんて、どっちがどっちだっていいのです。
    余弦定理は、3本も式があることもあって、初めて見ると動揺しがちなのですが、これは、三角形の合同条件と連動して考えれば、とてもシンプルな式です。
    一番上のa2から始まる式を例にとって考えてみると、Aというのはその対角、bとcは残る2辺であることがわかります。
    すなわち、右辺にあるのは、「2辺とその間の角」なのです。
    つまり、余弦定理は、2辺とのその間の角がわかれば、残る1辺の長さは計算できる、という定理です。

    bとcが逆転しても、計算の結果には全く影響しません。
    どうせ、図を裏返せば、bとcはひっくり返るのですから。
    とにかく、2辺とその間の角から残る1辺の長さを計算できるのです。
    そういうことが把握できると、余弦定理はざっくりと、そして快適に利用できるようになります。

      


  • Posted by セギ at 13:12Comments(0)算数・数学

    2017年11月22日

    三角比と正弦定理。


    「三角比」の学習も佳境。
    今回は、「正弦定理」を学習しましょう。

    ⊿ABCにおいて、
    a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R
    (ただし、Rは三角形の外接円の半径)
    ∠Aの対辺がa、∠Bの対辺がb、∠Cの対辺がcです。

    これが正弦定理です。
    高校数学の定理としては比較的簡単に証明できるものです。
    図が必要なので、ここでは説明しませんが、検索すればすぐに証明は出てくると思います。
    鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形に場合分けして証明しなければならないのが多少わずらしいでしょうか。
    証明の根拠は、中学三年生で学んだ「円周角の定理」です。

    証明を理解し、納得したら、あとは定理の利用。
    こちらのほうが重要です。
    正弦定理が凄いのは、三角形の合同条件と連動していることです。
    三角形の合同条件の1つに、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」というものがあります。
    その条件を満たす三角形は合同だということ。
    すなわち、そのような三角形は、この世に1つしかないということです。
    この世に1つしかない三角形ならば、残る1つの角の大きさと2つの辺の長さは定まっているでしょう。
    それを計算できるのが、正弦定理です。

    残る1つの角は、三角形の内角の和が180°であることから、楽々と計算できます。
    あとは、正弦定理を用いれば、残る2辺の長さは簡単に出てきます。
    ヽ(^。^)ノ

    問題 ⊿ABCにおいて、a=3、A=60°、B=45°のとき、bおよび外接円の半径Rを求めよ。

    A=60°、a=3がわかっていますから、正弦定理を用いますと、他の辺の長さを求めることができます。
    正弦定理により、
    3/sin60°=b/sin45°
    これをbについて解けば良いのですね。

    しかし、分数計算が苦手な子は、この先で苦労しがちです。
    教科書や問題集の解説は、この後の計算過程の解説が雑です。
    まさか高校生が分数が苦手とは思っていないからでしょうか。
    でも、多くの高校生は、正弦定理がわからないわけではないのです。
    その先の分数計算が上手くできないのです。

    絶対安全なやり方としては、分数=分数 の形の式になったときは、
    左辺の分子×右辺の分母=右辺の分子×左辺の分母
    という、たすきにかけた形の等式に直すと、あとの処理が楽です。
    a/b=c/d のとき、ad=bc です。
    これは、比例式、a:b=c:d のとき、内項の積=外項の積で、
    ad=bc 
    とするのと同じ考え方です。

    上の問題で言えば、
    b・sin60°=3・sin45°
    と書き換えます。
    sin60°=√3/2、sin45°=1/√2 ですから、
    √3/2・b=3・1/√2
    b=3/√2×2/√3
     =6/√6
     =√6

    この通りの計算手順でなければならないわけではないのです。
    計算ルールとして間違っていなければ、他のやり方でも良いのです。
    しかし、計算が苦手な子ほど、なぜかsinの値を早めに代入してしまい、分数の分母がさらに分数という繁分数に自分でしてしまう傾向があります。
    そして、その処理方法がわからなくて行き詰まってしまうのです。
    そんなときには、
    「分数は、割り算に直せるよ。分子÷分母だよ。上÷下だよ」
    とアドバイスするのですが、既にパニックを起こしていて、2を3と書き間違えるようなケアレスミスを繰り返し、何度解き直しても、どうにもこうにも正答に至らないということが起こりがちです。

    あるいは、この問題は分子であるbがわからないのでまだ楽なのですが、分母であるsinの値を求める問題になると、式をどのように変形して良いかわからなくなる人は多いです。
    そうした人のためにも、上のように、「分数=分数」の式を「かけ算=かけ算」の式に変形しておくことをお薦めします。
    うすれば、その先は、どの問題も同じ解き方になるので、いちいち考えなくて済むのです。

    もしも、うっかり繁分数にしてしまい、行き詰まって、しかも分子÷分母を忘れてしまったら、1/3を思い出してください。
    1/3は、1÷3ですか?それとも、3÷1でしょうか?
    1÷3ですよね。
    それで、「分子÷分母だ」と思い出すことができます。
    (*^^)v

    さて、外接円の半径Rも求めるのでした。
    これも正弦定理により、
    2R=3/sin60°
       =3÷√3/2
      =3×2/√3
      =6/√3
      =6√3/3
      =2√3
    R=√3
    この辺りも、代入後の分数の処理、そして、分母の有理化で手間取る高校生は多いです。

    でも、計算しやすいように式を変形することを覚えるだけで、随分楽になります。
    計算が得意な人は、楽に計算できる方法で計算しています。
    困難で複雑な計算方法に立ち向かっていったりはしていないのです。

      


  • Posted by セギ at 12:28Comments(0)算数・数学

    2017年11月17日

    三角比と関数の融合問題。


    三角比と関数の融合問題を今回は扱ってみましょう。

    問題 0°≦x≦180°のとき、 y=2sin2x-2cosx-1 の最大値と最小値を求めよ。

    小学生や中学生は、文章題を見ると、
    「問題が6行も書いてある。こんなの解けるわけない」
    と、問題文の長さだけで解くのを諦めたりします。
    あるいは、中学数学の関数や図形問題で、前提となる問題文を読まず、(1)の短い設問とグラフや図だけを見て、
    「わからない、わからない。難しい」
    とうんうんうなっている子も、珍しくありません。
    問題文を読む習慣のない子は、かなりの割合で存在します。
    どうせ大したことは書いていないと思っているのでしょうか。
    文字を読み取ること自体が苦痛なので、できるだけ省略したいのでしょうか。
    そういうタイプの問題は、問題文を読まないと解けるわけないんですけど。
    (^-^;

    しかし、高校の数学には、もっと別の怖さがあります。
    こういう問題文が1行だけの問題が増えてくるのです。
    何行も問題文が書いてあれば、どこかにヒントがありますが、こんなふうに1行で終わられたら、何もとっかかりがありません。
    何をどうしたらいいのかわからない、という事態に至ります。

    問題が何を言っているのか、わからない。
    何を要求しているのか、わからない。

    何をどうすることがこの問題を解いたことになるのか全くわからない、ということが起こりうるのです。
    教わったときだけは何とか解き方を暗記しても、2か月も経って、校外実力テストや模試でこういう問題が出ていると、この1行を見つめたまま固まることになります。
    そんな高校生は、多いです。
    高校数学に白紙答案があるのは、そういう理由です。
    わざと解かないわけではない。
    どう解いたら良いのか、本当に何もわからないのでしょう。

    この問題は、
    「最大値・最小値って、関数で出てくる用語だよね」
    と気づくと、問題がほぐれてきます。
    そう思って見ると、
    y=2sin2x-2cosx-1
    って、関数ですよね。

    これと似ている関数のイメージは、
    y=2x2-2x-1
    だから、ああ、これは2次関数なのだと気づきます。

    しかし、普通の2次関数と違うのは、xではなく、sinxとcosxが使われていること。
    うん?
    それは、書き換えられたんじゃなかったでしたっけ?
    サインはコサインに、コサインはサインに、転換する方法がありましたよね。
    ここで、三角比の相互関係の公式を用いるのだと気づけば、もう先は見えてきました。
    公式は、こうです。

    sin2θ+cos2θ=1 (2は指数)
    すなわち、
    sin2θ=1-cos2θ
    今回は、角度はθではなく、xが使われていますから、
    sin2x=1-cos2x
    これを代入します。

    y=2sin2x-2cosx-1
     =2(1-cos2x)-2cosx-1
     =2-2cos2x-2cosx-1
     =-2cos2x-2cosx+1

    ああ、これは2次関数ですねえ。
    慣れてくるとこのままでも先に進めますが、見やすくするため、cosx=t と置き換えてみましょう。
    すなわち、
    y=-2cos2x-2cosx+1
     =-2t2-2t+1
    これの最大値と最小値を求めたらいいんだー。
    ヽ(^。^)ノ

    しかし、その先もそう簡単にはいかない人がいます。
    「三角比」の学習に入る頃には「2次関数」で学んだことの大半を忘れてしまっている子が多いのです。
    数学は積み上げ科目なので、一度学習したことは忘れたらダメなのですよー。

    2次関数の最大値と最小値の求め方?
    何をどうするんでしたっけ?
    2次関数のグラフは放物線です。
    まずは定義域を無視して考えるのなら、頂点の y 座標が最小値か最大値になります。
    下に凸の放物線ならば、頂点の y 座標が最小値。
    上に凸の放物線ならば、頂点の y 座標が最大値。

    頂点の座標を求めるためには、平方完成をします。
    平方完成のやり方、覚えていますか?
    高校生が相手ですと、ここでまたドタバタ。
    平方完成という言葉すら忘れていたりします。

    y=-2t2-2t+1
     =-2(t2+t)+1
     =-2(t+1/2)2+1/2+1
     =-2(t+1/2)2+3/2

    すなわち、頂点の座標は、(-1/2 , 3/2) となりますから、
    t=-1/2のとき、最大値3/2となります。

    ところで、これは、定義域にある数なのか?
    そもそも定義域ってあったっけ?
    この確認は大切です。
    t の定義域って?
    cosx=t としたのですから、その定義域を考えればよいわけです。
    問題の最初に書いてある通り、0°≦x≦180°なので、
    cosxの変域は、-1≦cosx≦1。
    すなわち、-1≦t≦1。

    高校生は、ここでさらにドタバタ。
    コサインの変域ということが、どうにもこうにも理解できない人が現れます。
    そこで、単位円を描いて、もう一度、コサインの定義から説明し直しとなる場合が多いです。
    半径1の単位円上の点をP(x,y)とし、動径OPとx軸の正の方向とのなす角をθとすると、
    cosθはxの値そのものでした。
    ですから、θ=0°のとき、すなわち、OPはx軸が重なっているときは、P(1,0)ですから、
    cos0°=1
    θ=90°のときは、P(0,1)ですから、
    cos90°=0
    θ=180°のときは、P(-1,0)ですから、
    cos180°=-1
    このように、0°≦θ≦180° のとき、-1≦cosθ≦1 です。

    さて、コサインの変域が理解できたので。
    定義域は、-1≦t≦1。
    おお、t=-1/2は、定義域内に入っていますね。
    これで、最大値は確定です。

    ところで、最大値を答えるときは、xが何の値のときにyが最大値になるのかも答えなければなりません。
    t=-1/2
    すなわち、cosx=-1/2
    頭の中で単位円を想像して。
    それがまだ無理なら、実際に単位円を描いて。
    cosx=-1/2
    すなわち、x=120°

    次に最小値を考えます。
    放物線は、左右対称です。
    今、放物線は上に凸。
    頂点から離れるほどに、急激に y の値は小さくなっていきます。
    tの変域の内部で、頂点の t の値-1/2から距離があるほうの端の値が、最小値となります。
    -1と1。
    -1/2から遠いのはどちらか?
    もちろん、1ですね。
    ですから、t=1のとき最小値です。
    t=1を代入して、
    y=-2t2-2t+1
    =-2-2+1
     =-3
    さて、t=1すなわち cosx=1のとき、
    またまた、単位円をイメージして。
    x=0°

    したがって、
    x=120°のとき最大値3/2
    x=0°のとき最小値-3

    これが最終解答となります。
    問題に出てくるxとyと、コサインの定義に出てくるxとyとで混乱が起こる人もいます。
    cosθならばわかるけれど、cosxと書いてあるだけで、何のことかわからなくなる人もいます。
    「そんなところでxを使っていいんですか?」
    と不安になり、納得できない様子なのです。
    「きちんと定義してあれば、どんな文字だって使っていいでしょう」
    そう説明しても、頭の中の霧は晴れない様子です。

    数学が苦手な人の頭の中を覆うこうした「霧」の正体は何なのか。
    xやyなど、文字が数学に登場した頃から、実は納得できていなかったのではないか?
    何か使い方にルールがあるはずなのに、自分だけそのルールが理解できないでいる。
    そんな不安があるのだろうかと想像してみるのですが、まだよくわからないことが多いです。
    生徒の言葉の端から想像してみるしかないのです。
    わからないことの何がどのようにわからないのかを明確に語ることができるのなら、それは「わかっている」のと同じでしょう。
    何がわからないのかわからないから、本人も悩んでいるのだと思います。

    不安は、比較的理解力のある高校生の中にもあるようです。
    わからないわけではない。
    説明を聞けばわかるのです。
    でも、自分で解こうとすると、途中で詰まってしまう。
    あれ、何のことだっけ?
    今、何をやっていたんだっけ。
    そうやって何度も詰まる。
    そんな感想の人もいると思います。
    わからなくなる度、なぜそれで解けるのかを考え直し、頭の中に明瞭な筋道を作っていきましょう。
    作業手順だけ覚えてやり過ごそうとしても、作業手順が長すぎて、覚えきれないです。
    覚えることは、これだけではないのですから。

    思うに、希望はあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。
    歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。

    歩くのが自分一人ならば、何回も歩けば、それは道になります。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 12:29Comments(0)算数・数学

    2017年11月09日

    三角比の拡張。ここで三角比は生まれ変わります。



    三角比の始まりは、直角三角形の辺の比です。
    非常に便利なのですが、直角三角形である限り、∠θは鋭角なので、限定的です。
    何とか鈍角でも三角比は使えないでしょうか?

    はあ?
    直角三角形に鈍角なんてあるわけないし!
    そんな反応も予想できます。

    それは当然そうなのですが、とにかく便利なので、使えるようにしたいのです。
    その発想が原点です。
    とにかく、1つのことが言えたら、それを一般化したいのです。
    「三角比の拡張」と言いますが、私は飛翔するようなイメージを持っています。
    定義し直すことで、三角比は「空も飛べるはず」なのです。
    (*^^)v



    この図を見てください。
    これがいわゆる単位円ですが、高校1年の数Ⅰ「三角比」では、まだ∠θは0°から180°までなので、上半分しか描きません。
    単位円とは、座標平面上に描いた、原点を中心とした半径1の円です。
    この円周上を動く動点Pの座標を(x,y)とします。
    中心と結んだ線分OPを動径と呼びます。
    「動く半径」ですね。
    Pを円周上のどこにとってもOPは円の半径ですから常に1です。
    Pからx軸に垂線を下ろします。
    そうすると、上の図のような直角三角形を座標平面上に描くことができます。
    斜辺は半径ですから、長さは1です。
    P(x,y)ですから、この直角三角形の対辺の長さはy、底辺の長さはxとなります。
    動径とx軸の正の方向との成す角をθとすると、
    sinθ=y/1=y
    cosθ=x/1=x
    tanθ=y/x
    となります。
    これは便利です。
    サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのものになりますから。
    このように、三角比を定義し直します。

    原点Oを中心として半径rの円において、x軸の正の向きから左まわりに大きさθの角をとったとき定まる半径をOPとし、点Pの座標を(x,y)とする。このとき、
    sinθ=y/r , cosθ=x/r 、tanθ=y/x と定める。
    というのが、拡張した三角比の定義です。

    実際には、上のようにr=1のとき、サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのもの、タンジェントは直線OPの傾きそのものになり、とても便利なので、この単位円で話を進めていきます。

    数学が苦手な高校生は、中学の頃から関数が苦手なことが多いです。
    上の説明では、直角三角形の対辺がyになり、底辺がxになるところが理解しにくい様子です。
    座標と線分の長さとが頭の中で上手くつながらないようなのです。
    中学の数学の座標平面と図形に関する問題も、そこが頭の中でつながらないせいでほとんど得点できない子が多いです。
    「これは応用問題だから、自分はできなくても仕方ないやあ」
    などと軽く考えて避けていると、高校生になるとそこが基本になるので、訳がわからなくなっていきます。
    理解できないので、ただ暗記するだけになります。

    つい先日も、中学生との数学の授業で、点Pのx座標をtと置いて、座標平面上の正方形の辺の長さをtを用いて表し、最終的にPの座標を求めるという典型題の解説・演習をしていたのですが、
    「勝手にtと置いたのに、何でtの値がわかるんですか?」
    「tは定まっていないのに、何でtを求めていいんですか?」
    という、わかるようなわからないような疑問で頭がねじれてメビウスの輪になっている子と議論しました。
    ここのところがどうしてもわからない子と、一度でスルッと理解する子との違いは何なのだろうといつも不思議に思います。

    また、「単位円上の動点Pの座標を(x,y)とする」というのは定義であるのに、
    「どうしてそうなるんですか?」
    「点Pが円周上にないときはどうするんですか?」
    といった不要な質問で頭がいっぱいになって、理解できなくなる高校生も多いところです。
    それは定義なんだから、疑義を挟むところではないんです。
    定義というのは決めたことで、理由はないんです。
    あえて言えば、そう定義することで後々便利だからです。
    しかし、そう言っても、納得できない様子です。
    xやyというのは、もっと使い方に別のルールがあって、そこで勝手に使ってはいけないのではないか?
    そういう思い込みがあるのかもしれません。
    繰り返しますが、これは定義です。
    単位円上の動点Pの座標を(x,y)とすることには、何の問題もありません。
    「単位円上の動点」と決めたので、点Pは、そこから外れることもありません。

    話を戻しましょう。
    x=cosθ
    y=sinθ
    y/x=tanθ
    このように定義し直したら、もう直角三角形から離れ、三角比は1人歩きできます。
    座標平面の第2象限、すなわち、単位円の半円の左側に動径OPが来ても、同じ定義で有効ですね。
    すなわち、鈍角の三角比を求めることができます。
    サインは、点Pのy座標そのもの。
    コサインは、点Pのx座標そのもの。
    タンジェントは、OPの傾き。
    そう把握できるのです。

    点Pが第2象限にあるとき、反対向きの直角三角形を描き、その辺の比を求めようとしてサインとコサインがグチャグチャになってしまう高校生がいます。
    うんうんうなりながら、鏡の中で反転している直角三角形と格闘しているのですが、そういうことではないんです。
    ∠θはあくまでも、x軸の正の方向と動径OPとの成す角です。
    考えるヒントとして反対向きの直角三角形を描いて解説するのは、第1象限の直角三角形とy軸に対して線対称であることを示すためです。
    線対称だから、第1象限に置き換えて考えましょうと説明しているのですが、ノートに第2象限の直角三角形が残るせいか、そっちで求めるのだと誤解している高校生がいます。
    第2象限の三角比は、絶対値を第1象限の直角三角形で把握し、それにプラス・マイナスの符号をつけて求めていくと楽です。
    拡張された定義から明らかですが、サインはyの値ですから、相変わらず正の数です。
    コサインはxの値ですから、負の数。
    タンジェントもxの値が負の数であることが影響し、負の数となるでしょう。
    考えるヒントとして反対向きの直角三角形を使いたい人は使えばよいのですが、それで混乱するのは無駄なことだと思います。
    あげく、「鈍角の左側の直角三角形の辺の比を求めること」と思い込み、「三角比とは直角三角形の辺の比である」というところから全く飛翔できず、三角形の面積を求める頃になって「直角三角形以外では、三角比は使えないですよっ」と言い張る高校生と不毛な議論をしたこともあります。

    実際の問題で考えてみましょう。
    例えば、∠θ=120°のとき。
    P(x,y)は、∠θ=60°のときのPと、y軸について線対称です。
    ∠θ=60°のとき、特別な比の直角三角形をイメージして解くと、
    sinθ=√3/2 , cosθ=1/2 , tanθ=2/1=2 ですから、
    ∠θ=120°のときは、
    sinθ=√3/2 , cosθ=-1/2 , tanθ=-2 となります。

    慣れてしまえば、いちいち描かなくても、頭の中で特別な比の直角三角形をイメージするだけで解けます。
    上手くイメージできない間は、第1象限に直角三角形を描いて解いても良いでしょう。

    スラスラっと説明してきましたが、ここら辺になると、つまずく石は無数に存在し、
    「足元に気をつけて!」
    と注意し続けながら授業を先に進めるような状況となってきます。
    いったん理解したはずなのに、ここでパニックを起こし、三角比は角度のことだと錯誤し、混乱し始める子もいます。
    「苦手な図形」と「大嫌いな関数」が合体したのですから、地獄巡りの心境の子がいるのも無理からぬところです。
    すぐに定義が曖昧になり、何でそれで求められるかわからなくなってしまう子が続出します。
    とにかく学校の問題集だけ解きたい、学校の問題集を解いて提出しなければならないから、その問題だけを解きたい。
    そんな高校生がどんどん増えていきます。

    でも、敗退にはまだ早い。
    まだ、常人に理解できる範囲の数学です。
    繰り返し繰り返し、意味に戻って理解し直せば、三角比は必ずマスターできます。



      


  • Posted by セギ at 11:47Comments(0)算数・数学

    2017年11月01日

    三角比の相互関係の公式。覚えましょう。





    三角比の当面の目標は、三角形の辺や角を計算せずに求めていくことです。
    ならば、まずは三角比が1つわかれば残る2つが求められると便利です。
    サインがわかれば、コサインやタンジェントは計算で求められる。
    コサインがわかれば、サインやタンジェントは計算で求められる。
    タンジェントがわかれば、サインやコサインは計算で求められる。
    そのためにあるのが、三角比の相互関係の公式です。

    tanθ=sinθ/cosθ
    sin2θ+cos2θ=1
    1+tan2θ=1/cos2θ
     (2は指数として読んでください。三角関数の倍角みたいに見えて嫌なんですけど)

    この公式は物凄く重要で、以後、度々登場します。
    使わないと解けない問題が多数あります。
    以後もずっと使い続けます。
    高2の「三角関数」でも、この公式を使います。
    三角比は、地道に計算で解くなどありえない単元です。
    公式を使えるかどうかが全てといっても過言ではありません。
    そういう意味で、公式を覚えるのが苦手な子は、「三角比から拒絶されている」という感覚を抱くことがあるようです。
    「三角比」という単元を無機質に感じ、全く親しみを覚えないようなのです。
    逆に公式さえ覚えれば、三角比は何でもないものなのです。

    と、これくらい強調しても公式を覚えない子がいるのが高校数学の不可解なところです。
    ちょっと努力しないと覚えられないような公式が多いからでしょうか。
    確かに、小学校の頃の三角形の面積の公式のように楽にスルスル覚えられるものではありませんよね。
    そのためか、
    「まあ、今は教科書を見ながら解いて、テスト前に暗記します」
    と悠長に構えている子が多いのです。
    しかし、以後の問題にはこれらの公式を使います。
    問題集の解答・解説は、この公式を使ったことは、いちいち解説されていません。
    解説が省略されていて、何のことかわからない。
    それは、公式を覚えていないことからきている場合が大半です。

    公式は忘れた頃にまた使います。
    「三角比」は「三角比」だけで終わる単元ではありません。
    高校二年になると、「三角関数」という単元があります。
    これは、「三角比」で学習した内容を前提として先に進みます。
    三角比の公式を短期記憶にしかせず、全部忘れていると、翌年えらい目にあいます。
    公式は、早め早めに覚えて、覚えた状態で使い、長期記憶にすることをお勧めします。


    とりあえず、上の3つの公式を証明してみましょう。
    まずは1本目。
    tanθ=sinθ/cosθ から。

    三角比の定義より、上の図で
    sinA=a/c 
    両辺をc倍すると、a=c・sinA
    同様に、
    cosA=b/c 
    よって、b=c・cosA
    ゆえに、
    tanA=a/b=c・sinA/c・cosA=sinA/cosA

    次に、2本目。
    sin2θ+cos2θ=1
    これを証明します。

    三平方の定理より a2+b2=c2
    よって、(c・sinA)2+(c・cosA)2=c2
    c2・sin2A+c2・cos2A=c2
    両辺をc2で割って、
    sin2A+cos2A=1

    3本目はこの sin2A+cos2A=1 の両辺をcos2Aで割ります。
    sin2A/cos2A+1=1/cos2A
    tan2A+1=1/cos2A

    なお、実際に計算する際には、上の公式の両辺を逆数にして、
    cos2θ=1/(1+tan2θ)
    を活用しても良いでしょう。
    また、1本目の公式、tanθ=sinθ/cosθ
    の両辺にcosθをかけて、
    sinθ=tanθ・cosθ
    と変形した式を活用すると計算が楽です。

    では、実際に問題を問いてみましょう。
    問題 sinθ=3/5 を満たす鋭角θの、cosθとtanθの値を求めよ。

    sin2θ+cos2θ=1より
    cos2θ
    =1-sin2θ
    =1-(3/5)2
    =1-9/25
    =16/25
    θは鋭角なので、cosθ>0より
    cosθ=4/5

    cosθ>0 なんて当たり前なのになあと感じるかもしれませんが、この直後に、cosθが負の数になる場合を学習します。
    だから、これは書いておく必要のある1行なんです。

    数学の答案は、何を書いて何を書かないのかよくわからなくて混乱する人がいます。
    数学の答案で必要なのは、なぜそのように解けるのか、その根拠を示していくこと。
    今回は、2乗が16/25なのに、なぜ-4/5は答えではないのかは説明しておく必要があります。
    説明の仕方は多様です。
    一字一句にこだわるようなものではありません。

    さて、問題に戻りましょう。
    sinθは問題の通り、3/5、cosθは4/5 と出ました。
    では、tanθは?
    tanθ
    =sinθ/cosθ
    =sinθ÷cosθ
    =3/5÷4/5
    =3/5×5/4
    =3/4

    簡単ですね。
    あとは練習して慣れていけば大丈夫です。

      


  • Posted by セギ at 13:47Comments(0)算数・数学

    2017年10月26日

    三角比。サイン・コサイン・タンジェントは正確に。


    今回も三角比のお話です。
    まずは三角比の基本の確認から。

    昔、大人のための数学教室で「三角比」を学習したときのことです。
    最初の授業で欠席された方が、欠席した分を自習する際に、三角形の頂点の記号を使ってサイン・コサイン・タンジェントの定義を覚えようとして、凄く難しかったと話していました。
    sinθ=BC/AC
    というように覚えようとされたのですね。
    それは無機質で覚えにくいでしょう。
    中学生のテキストでは直角三角形ABCの頂点Aは上に描くのに、「三角比」の直角三角形の頂点Aは下にあるのでさらに混乱したということでした。
    考えたこともなかった視点でした。

    三角比の覚え方。
    まずは、直角三角形を整地しましょう。
    ∠θが左下に、直角が右下にくるように直角三角形を置きます。
    この位置が、最初は一番理解しやすいです。
    直角三角形の各辺には名前があります。
    直角と向き合う辺が「斜辺」。
    ∠θと向き合う辺が「対辺」。
    残る辺を「底辺」と呼びます。(「隣辺」と呼ぶこともあります)

    そして、
    sinθ=対辺/斜辺
    cosθ=底辺/斜辺
    tanθ=対辺/底辺
    こうして、辺の名称で覚えるのが基本です。

    でも、それでもまだ覚えにくいですね。
    アルファベットの筆記体のsを描くように分母からなぞるのがサイン。
    cを描くようになぞるのがコサイン。
    tを描くようになぞるのがタンジェント、と覚えます。
    広く知られている覚え方です。

    数年前、高校生の男の子にこの覚え方を説明したら、鼻で笑って、
    「先生が考えたんですか」
    と小馬鹿にしたように言うので驚いたことがあります。
    高校生になって遅い反抗期が始まっていた子でした。
    「・・・いや、私が考えたんじゃなくて、これはよくある覚え方なんだけど」
    私がそう説明すると、その子は、否定されたと感じたのか、プライドが傷ついた様子で顔がこわばりました。
    以後、この覚え方が「嫌な記憶」になってしまったのか、意地でもこの覚え方は使わず、その後も延々とサインとコサインが逆になったり正しかったりを繰り返していました。
    しかも、私の前で間違えることが嫌なのか、ノートを手で隠したりもしました。
    単なる直角三角形の三角比をマスターするまで、大変な労力と時間が必要でした。

    助言には耳をかさず、自分のやり方で解こうとし、そしてさらに誤解を深めていく・・・。
    教える方も多少厄介に感じますが、教わる側はもっと辛かったのではないかと思います。
    教わっているのに素直に聞くことができないのですから。


    少し前、定時制高校出身の芸人さんたちが集まって体験や思い出を語り合うテレビ番組がありました。
    少し古い時代の、主に関西の定時制高校の様子が語られていました。
    定時制高校には、年齢も境遇も様々な人が通います。
    中学で不登校だった子。
    成績不良でどうしても全日制高校に合格できなかった子。
    非行を繰り返してきた子。
    そして、経済的事情のために高校進学できず、数十年後にその夢を叶えた大人の人たち。

    いわゆる不良少年たちは、定時制高校でも、教室で弱い者に暴力をふるったそうです。
    そのとき、50代の韓国人女性が割って入り、叫んだというのです。
    「ここには敵はいない」
    殴られる側だったその芸人さんは、そんな言葉が通用する相手じゃないと思ったのですが、その不良はその女性に抱きしめられて号泣したというのです。
    以後、学校で暴力をふるうことはなくなったそうです。

    ここには敵はいない。

    1対1の個別指導塾に敵など存在するわけもないのですが、そこに緊張関係を持ち込んでくる生徒がいないわけではありません。
    「そうだよ、私がこの覚え方を考えたんだよ。凄いだろう」
    とでも言ってふざけてあげたら良かったのかなあ。
    私をバカにすることで、その子は留飲が下がったのかなあ。
    もう何年も前の話ですが、悔いが残ります。

    何よりも、その子が三角比を覚え直し、何とかマスターするまでの時間の長さ、その損失の大きさに悔いが残るのです。
    以後は、覚え方を教えるときは、
    「これは有名な覚え方で、参考書にもよく載っているね」
    と前置きをして説明するようにしています。
    私が考えた覚え方のときでも、そう説明することもあります。
    そう説明することで素直に聞いて利用してくれるなら、それが一番良いことだからです。


    集団指導塾で教えていたときは、その覚え方が有効なものである限り、秀才少年たちが、
    「覚えやすいな、これ」
    「これは初めて聞いた」
    などとつぶやいてくれました。
    それで教室の風向きが作られ、これを覚えることが良いことだという空気が生まれました。
    塾に通う秀才は実利を優先します。
    教え方がわかりやすく、覚えやすい限り、友好的です。

    ただ、その一方、一般的には十分にわかりやすい説明や覚えやすいやり方でも、わからない子や覚えられない子はいます。
    そうした子は、集団塾では、そのことを口にすることができません。
    皆が「わかりやすい」と盛り上がっている中で、自分一人、わからないと感じる。
    それを表情に出すこともできない。
    そんな子もいます。

    こちらはこれ以上はないくらいに噛み砕いて説明したつもりでも、
    「わからない」
    と言われてしまうのが、個別指導です。
    これなら絶対覚えられるはずの覚え方を教えても、
    「でも、自分は覚えられない」
    と言われてしまうこともあります。

    でも、むしろ、そのほうが健全な状態なのかもしれません。

    個別指導でも、学生バイトが中心で、若くてカッコいい男の先生や可愛い女の先生が親切に教えてくれるところでは、気がひけてしまって、わからなくてもわからないと言えず、わかったふりをして迎合してしまう生徒がいます。
    理解力はあるが勉強が嫌いな生徒は、素敵な先生に教わるだけでやる気が出て成績があがります。
    でも、そういうことでは解決のつかない生徒もいます。
    わからないままなので、いくら通っても成績が上がりません。

    「わからない、わからない、わからない」
    と生徒が言い、私に迎合しないのは、1つの信頼の形なのかもしれません。
    遅々とした歩みですが、今回の中間テストは、これまで50点未満が指定席だった子たちが、全員、50点を突破しました。
    何がわからないのか。
    わからないことの一番奥にあるものは何なのか。
    ときにはため息の出るようなやりとりもありますが、少しずつ結果は出ています。


    三角比に話を戻します。
    慣れてくれば、サインとコサインは、とにかく分母は斜辺で、サインの分子はθと関係のないほう、コサインはθと関係あるほうと把握できるようになります。
    そうなれば、直角三角形が寝そべっていようが逆立ちしていようが、何でもなくなります。
    まずは、そこは目指しましょう。
      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学

    2017年10月22日

    三角比は何に使うのか。誤解や思いこみとの闘い。



    今回は、三角比の話。
    高校生の中には、三角比から数学が全くわからなくなる子がいます。
    原因は色々考えられますが、いきなりタンジェントの定義から学習が始まることも1つの理由なのでしょうか。
    タンジェント自体はわからなくはない。
    でも、三角比とは何なのか?
    何のために三角形の辺の比を求めたりするのか?
    それが何だかよくわからない。
    わからないまま、とにかく言われたことをやらなければならない。
    そういう形で勉強が進みます。

    中学の数学から、あるいは小学校の算数から、勉強なんてとっくにそういうものになっている子は、諦めて黙々と勉強するのかもしれません。
    でも、中学までは、それなりに数学の学習の意味がわかっていた子が、この三角比で意味を見失い、数学につまずくのかと感じることがあります。

    ただ、中学の数学までは学習の意味がわかっていたというのは、おそらく誤解でしょう。
    「学習の意味」がわかっていたのではなく、「学習する内容」が本人にとってわかりやすいものだったのだと思うのです。
    自分が理解できることは、意味のあること。
    自分が理解できないことは、無意味なこと。
    そういうことにしてしまいたい気持ちは働いていないでしょうか。

    学ぶことの意味も、生きることの意味も、うまくいっていないときに考えることのように思うのです。
    考えることに意味はあると思いますが、知識がなく視野が狭い状態で考えると、あまり良いことは待っていないです。
    極端なことを考えてしまいがちです。
    まだ高校1年生なのですから、「何か意味があるんじゃないの?今はわからないだけで」くらいの感じて、ゆとりをもって臨みましょうよ。
    (*^^)


    三角比の使いみちは多様です。
    ひと口には言えないことですが、当面の目標としては、
    「三角形の角の大きさや辺の長さや面積を、ものさしや分度器で測らないで求めようとしているんだよ」
    ということでいいんじゃないかと思います。

    中学で、三角形の合同条件を学びます。
    3組の辺がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。

    合同である、ということは、そういう形と大きさの三角形は、この世に1つしかないということです。
    1つしかないものならば、その三角形のすべての角、全ての辺の数値は、決定しています。
    それは、計算で求められるのではないか?

    だから、
    3辺がわかっていれば、3つの角は計算できるはずです。
    2辺とその間の角がわかっていれば、残る1辺と、残る2角は計算できるはずです。
    1辺とその両端の角がわかっていれば、残る2辺と1角は計算できるはずです。
    そして、その全てにおいて、面積は計算できるはずです。

    三角比という単元の目標は、それです。
    とりあえず、そこに向かって学習が進みます。

    しかし、その目標達成のために、
    最初は直角三角形の辺の比の話を始めていたかと思ったら、
    サイン・コサイン・タンジェントの関係を表す公式が登場して、式の計算が始まります。
    じゃあ式の計算とか方程式の単元なのかなと思っていると、
    突然「単位円」なるものが表れ、座標平面上に描かれます。
    じゃあ、関数なのか?
    と思っていると、直角ではない三角形の話になってしまいます。
    この流れに飲み込まれ、混乱しませんように。


    「そうは言っても、現実生活に三角比なんか使わないし」
    そういう高校生もいますが、私は三角比を現実生活の中で利用しています。
    例えば、地形図に磁北線を引くときです。
    無雪期に、登山者の多い普通の登山道を歩くだけなら、「地形図」ではなく昭文社「山と高原地図」などの登山地図で事足ります。
    緑と茶色で色分けされた地形の上に登山道が赤で記され、何分かかるかコースタイムが記されている地図です。
    どこの書店でも、山のガイドブックなどが置かれているコーナーにあります。
    私も、普段の山歩きでは、ほとんどこの地図を使っています。
    何しろわかりやすいです。

    しかし、登山道ではない道を歩くとき。
    当然、道しるべはありません。
    あるいは、積雪期の山を歩くとき。
    すべて雪に覆われ、登山道は見えません。
    風雪のため、視界不良の可能性があります。
    そのような状況でも目的地に向かって進むために、2万5千分の1地形図とコンパス(方位磁石)を使います。
    地形図は、大きな書店や登山用具店に置いてあります。
    薄い引き出しが何重にも重なっている棚のようなものがお店の隅っこにあったら、開けてみてください。
    地形図がぎっしり詰まっています。
    あるいは、ネットで購入し、プリントアウトすることもできます。

    しかし、地形図は、買ってきただけでは、単に等高線が詰まっただけの紙です。
    コンパスを使うためには磁北線を書き入れなければなりません。
    というのも、「地図は上が北」とは言うけれど、コンパスの矢印が指す先は、正確には北ではないからなんです。
    地球は、巨大な磁石。
    しかし、その大きな磁石の極は、北極と南極ではなく、少しズレています。
    そのズレの角度は、地域によって異なります。
    しかも、年々、ほんのわずかですが変化します。
    その、磁石上の北、すなわち磁北をコンパスは北として指します。
    それを表す線を地形図上に描いておかないと、コンパスを正確に使用できません。
    その線が、磁北線です。

    どうせそんなの大した差じゃないんだろうと思うかもしれません。
    山梨県あたりで、「西傾6度10分」くらい。
    磁石上の北は、6度西に傾いています。
    地形図にそれを描くと、随分斜めなんで、びっくりします。
    この磁北線を引くときに使うのが、タンジェントです。

    例えば、こんなふうに引きます。
    まず、地形図の縦の長さをものさしで測ります。
    うむ、およそ42cm。
    三角比の表で、タンジェント6°を調べます。
    本当は6度10分だから、0.108くらいでいいかな。
    地形図上に斜辺が磁北線となる直角三角形をイメージします。
    右上に直角がある縦に細長い直角三角形ですね。
    直角を挟む縦の辺が42cm。
    横がxcmとすると、
    tan6°=X/42
    x=42×0.108
     =4.536
    なので、地形図の上部右端から、4.5cmのところに印をつけ、下部右端と直線で結びます。
    あとは、好みの問題ですが、私は5cm間隔でそれの平行線を引いています。
    これで磁北線の入った地形図の完成です。
    ヽ(^。^)ノ
    今は、パソコン上で磁北線を入れた上でプリントアウトするサービスもありますが、手書きできる技術を身につけておくことは全てにおいて有効です。


    地図は上が北。
    そのことで思い出す女の子がいます。
    大手の個別指導塾で働いていた頃、小6の女の子に社会科を教えていました。
    彼女は、中学受験生でしたが、8方位が理解できていませんでした。
    「東南」「北西」などの方角がわからないのです。
    ときどきは正解します。でも、またできなくなります。

    東と西の区別がつかない子は小学生に多いですが、理解できていないのではありません。
    西と東が逆になってしまうだけですし、それの覚え方はあります。
    でも、彼女の場合、それとは違うようでした。
    北と南もときどき逆になります。
    本気で取り組んでいるのに、8方位が理解できないのです。

    私は、試しに地図のコピーに東西南北を書き込んでみました。
    「これで練習しよう」
    と言うと、彼女は、不機嫌に答えました。
    「これは、違う。北は上だよ」
    彼女は、天を指差しました。

    「地図は、上が北」と言います。
    しかし、上とは、何なのか。
    そこから説明してもらえたことが一度もなかったから、彼女は誤解していたのです。
    子どもは、ときどき、大人が驚くような誤解をしています。
    いえ。
    彼女のは、誤解ではなかったのかもしれません。
    空に輝く北極星。
    あれが北だと、理科では教わるのですから。
    地球の外から北を把握し、1枚の地図にまでズームアップするとき、北の意味が本当に把握できるのです。
    地図は、上が北。
    そこまでクリアになったとき、彼女は、もう方位は間違えませんでした。

      


  • Posted by セギ at 12:45Comments(0)算数・数学

    2017年10月18日

    2次関数の解の正負に関する問題。


    高校数Ⅰの「2次関数」のラストを飾るにふさわしい応用問題と言えば、これ。
    2次関数の解の正負に関する問題です。

    問題 2次方程式 x2-2ax+a+2=0 が2つの正の解をもつとき、aの値の範囲を求めよ。

    発展的な問題とはいえ典型題ですので、解法パターンをしっかり把握しておきたいものです。
    それには、なぜそれで解けるのか、一度しっかり理解することが大切です。
    まず、F(x)=x2-2ax+a+2 という2次関数を考えます。
    このグラフは下に凸の放物線です。
    それが、x軸の正の部分と2点で交われば、上の2次方程式は2つの異なる正の解をもちます。
    そのような放物線を座標平面上に描いてイメージします。
    このとき、x軸・y軸との位置関係が重要なので、それらもしっかりと描いておくことが必要です。
    きちんと描いた上で、放物線がこのような位置にくる条件を考えていきます。
    x軸と2点で交わることから真っ先に思い浮かぶのは判別式でしょう。
    判別式が0より大きいならば、x軸と2点で交わるのでした。

    ここで「え?」となってしまう場合、判別式のところに戻って復習したほうが良いと思います。
    応用問題を解く中で、以前に学習した基本が身についていないことに気づくことはよくあることですが、そこに戻って復習することを嫌う子は多いです。
    「まあ、いいから、そういうことなんだとしよう」
    と目先の応用問題ばかり気にかけ、解き方だけ暗記しようとします。
    しかし、判別式とx軸との共有点の関係がピンとこなくなっているのなら、この応用問題は形が少し変わればもう解けないと思います。
    ならば、前に戻って復習し、せめて判別式に関する基本問題で得点することを目指すほうが現実的です。

    [1]判別式D/4>0より
    a2-(a+2)>0
    a2-a-2>0
    (a+1)(a-2)>0
    a<-1,2<a ・・・①

    しかし、これだけでは、放物線はx軸の正の位置でも負の位置でもどこでも、とにかく2点で交わることしか決定しません。
    では次に、放物線の軸の位置を決定してはどうでしょうか。
    軸が正の位置にあるなら、それより右側の共有点は、正の位置に確定するでしょう。

    [2]軸の方程式より
    x=2a/2>0
    a>0 ・・・②

    ここで、
    「え?今、何をやったの?何かの公式?」
    とうろたえる生徒も多数出ます。
    軸の方程式という言葉の意味さえわからないということもあり得ます。

    2次関数の学習が始まった最初のほうで、2次関数の頂点の座標を求める練習をしています。
    平方完成ですね。
    一般式でいうなら、
    y=ax2+bx+c
     =a(x2+b/ax)+c
     =a(x+b/2a)2-a(b/2a)2+c

    本当はもっと整理するのですが、今はx座標だけ見れば良いので、ここまでとします。
    頂点のx座標は、-b/2a です。
    したがって、この放物線は、x=-b/2a という直線を軸として線対称です。
    この直線の式を「軸の方程式」と呼ぶのでした。

    「ちょっと何言ってるのかわからない」
    という感想の場合、ここらへんが曖昧になっていると思いますので、復習したほうがいいのです。
    「2次関数」は大きい単元なので、テスト範囲が1学期末と2学期中間に分かれることがあります。
    そうなると、2学期中間テストの勉強をしていて、既に1学期末テスト範囲だったところがわからなくなっている子もいます。
    しかも、「テスト範囲ではないから」と言って、前半の振り返りをしないのです。
    基本がわからなくなっているのに、応用問題の解き方だけは丸暗記して済ませたい。
    こういう無理をする子がいます。
    でも、できるわけないですよね。
    ( ;∀;)

    [3] F(0)>0より
    F(0)=a+2>0
    a>-2 ・・・③

    さて、これは軸の左側の共有点のことを考えています。
    軸がx軸の正の位置にあっても、左側の共有点は負の位置に来る可能性はありますね。
    それを阻止するには、どうするか。
    放物線が、y軸と正の位置で交われば良いのです。
    そうすれば、必ずその右側でx軸と交わっています。

    以上で、放物線は確かにx軸の正の部分で2つの共有点を持つように固定できました。

    ①、②、③より a>2
    最後は、数直線上に3つの条件を整理して、3つとも満たすところだけを範囲とします。
    ここで、見誤って、2つしか満たしていないところを答えとしてしまう人も多いです。
    連立2次不等式を解く際にも同じ作業をするのですが、そこでも数直線を上手く読み取れない人がいます。
    そこが弱点だなと感じたら、自力で正答できる自信が持てるまで重点的に練習してください。


    さて、もう1つのパターンを見てみましょう。

    問題 2次方程式 x2-ax+a=0 が異符号の解をもつときのaの範囲を求めよ。

    これも3つの条件なのかな?
    と考えてしまいがちですが、実はこれ、ただ1つの条件を満たせば良いのです。
    F(x)=x2-ax+a という2次関数のグラフは下に凸の放物線です。
    これがx軸と正の位置と負の位置の2か所で交わるのなら、F(0)<0 です。
    これだけを満たせば、大丈夫です。
    「うそだー」
    と思う場合、y軸と負の位置で交わるのに、x軸の交点は正と負の2か所ではない放物線を描いてみましょう。
    描けませんよね?
    F(0)<0 だけが条件であることがそれで実感できると思います。

    すなわち、F(0)=a<0
    よって、a<0 が答えとなります。

    「2次関数」は、繰り返し問題を解いて慣れてしまえば、高校数学の中でも特にわかりやすい得点源です。
    (*^^)v

      


  • Posted by セギ at 12:37Comments(0)算数・数学

    2017年10月12日

    場合の数と確率。思考の幻影と闘う。


    「場合の数」という単元は、小学校6年生で最初に学習します。
    「ならべ方・組合せ方」といった単元名で、全ての場合を書きだして求めるのが基本です。
    樹形図の基本もここで学びます。

    中学2年生で、「場合の数と確率」を学びます。
    「順列」「組合せ」「確率」という用語が登場しますが、この時期も基本は全て書きだして場合の数を求めることが多いです。
    中高一貫校では、この時点で公式も教えますが、公立中学では、樹形図などを用いて全て書きだしていくのが基本です。
    都立入試の問題も、そのような構造の問題が多いです。
    例えば、以下のような問題です。

    問題 サイコロを2回投げて出た目の和が6となる確率を求めなさい。

    1つのサイコロで出る目は1から6の6通り。
    よって、2つのサイコロで出る目の場合の数は、6×6=36(通り)
    このうち、目の和が6となるものは、順番に書きだしていくと、
    (1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1) の5通り。
    よって、確率は、5/36。

    簡単な問題に見えて、間違える子は案外多いです。
    間違える子の多くは、以下のように間違えます。
    和が6になるのは、(1,5),(2,4),(3,3) の3通りだけれど、順番が逆なのもあるので、
    3×2=6(通り)
    だから確率は、6/36=1/6。
    (3,3)は1通りしかないことに気づかないのですね。

    こういう思考をする子は、数学が特別できないわけではないのです。
    全部書き出して済ますのではなく、何とか計算しようと工夫しています。
    しかし、詰めが甘い。
    全部書き出していくのが嫌なら、( )内の最初のほうの数字だけに注目して、1から5までだな、それなら5通りだなと瞬時に判断するほうがよりシャープな思考だと思います。

    地道で丹念であること。
    よりシャープな思考を選択すること。
    「場合の数と確率」の単元は対極にあるような上の2つを同時に要求される単元なのだと思います。

    「何だ5通りかあ。だまされた」
    などとブツブツ言いながらも納得する子も多いですが、
    「え?6通りでしょう?(3,3)は2通りあるじゃないですか」
    と主張する子もいます。
    「いえ。(3,3)は、1通りしかないですよ」
    「2通りありますよ。こっちの(3,3)と、あっちの(3,3)は、違う(3,3)じゃないですか」
    と言うのです。
    もう1つの(3,3)の幻影が見えている様子です。
    一度この幻影が見えてしまった子は、なかなか説得できません。
    「場合の数と確率」という単元は、こういう思考上の幻影が見えてしまうのも1つの特徴なのかもしれません。


    高校数学になると、順列も組合せも公式を用いて計算するようになりますが、上のような幻影はさらに濃くなり、多くの人を翻弄します。
    数年前、高校生に組み合わせの計算を少し簡単にする方法を指導したときのことです。

    問題
    12人の生徒を7人のAグループと5人のBグループに分ける方法は何通りあるか。

    その子は、まず、12C7という式を立てました。(12や7は、実際にはCより小さく書きます)
    そこで私は、少し計算が楽になる助言をしました。
    「12人から7人を選ぶ組み合わせは、12人から5人を選ぶ組み合わせと同じだから、そっちで式を立てたほうが、約分が少なくて楽だよ」
    「ええっ?」
    「・・・・・・え?」
    その子の驚き方があまりに大きかったので、逆に私が驚いたくらいだったのですが、この話、その後が長くなりました。
    「え?どういうことですか?」
    「だから、12人から7人を選ぶということは、12人から5人を選ばないということと同じことだから、選ばない5人を選んでも、同じことなんだよ」
    「え?それは、計算するとたまたまそうなるということですか?約分するとどうせ消えるからということですか?」
    「・・・・・・たまたまじゃなくて、当然そうなるよ。12人から7人を選ぶことと、12人から5人を選ばないということは、同じことなんだよ」
    「ええ?」
    「わからない?」
    「わかりません」
    「・・・・・・・・そうか。じゃあ、とにかく、好きなようにやってみよう」
    「見捨てないくださいよ!」
    「いや、見捨ててないよ。自分のわかるやり方でいいよ」

    それともう1つ。
    これほど理解できないということは、彼女は何か他に誤解していることがあると感じたのです。
    それを見極めれば、その子が理解できる説明があるかもしれません。
    その子は、首を傾げながら、再びその問題を解き始めました。
    彼女が書き終えた式は、12C7+12C5というものでした。

    「待て。なぜ、それを足すの?」
    「え、だって、Bグループも選ばないと」
    「・・・・・12C7・12C5なら、まだわかる。いや、それも誤解なんだけれど、まだ意味がわかる。でも、たし算って何?」
    「えー?」
    「この問題は、12C5だけで答えが出るよ」
    「ええっ。何でですか?」

    12人から7人を選べば、5人が残ります。
    残った5人が自動的にBグループになるので、それを計算する必要はありません。
    Aグループに入る人を選んだ後で、さらにBグループに入る人をわざわざ選ぶ必要はないのです。
    足すこともかけることも不要です。
    12人からBグループの5人のほうを先に選んでもいい。
    選ばれなかった7人が残ります。
    その人たちが自動的にAグループになります。
    だから、人数の少ないBグループを計算するほうが少し楽なんです。

    しかし、いったん誤解し、思考がねじれてしまっている子が、上の話を理解してくれる可能性は低いのです。
    「場合の数と確率」の単元で、生徒が見てしまった幻影を消すのは大仕事です。
    例えるならそれは、シャツのアイロンかけをするとき、普通の洗濯じわなら簡単にまっすぐに伸びるのに、アイロンで誤って作ってしまったアイロンじわはなかなか取れないようなものでしょうか。

    ただ、上の話は理解してもらえなくても、理解してもらえる別の説明の仕方があります。
    12人から7人を選ぶ選び方は12C7。
    そのそれぞれに対して、Bグループは残った5人から5人を選ぶから、5C5。
    だから式は、12C7・5C5。
    でも、5C5=1なので、わざわざ書かなくてもいいですね。
    12C7=12C5 は、約分するとどうせそうなるからという理解でもいいです。
    一般式として証明するときは、そういう証明の仕方をしますから。

    この説明をすると、
    「最初からそう言ってくれれば、わかったのに」
    「・・・・・・・はい」
    そのように理解してくれる生徒は多いです。
    Bグループを選ばないままにしておくことは、どうしても納得できないので、5人から5人を選んであげると、頭の中がスッキリする様子です。
    そこがスッキリすると、12C7=12C5 の件は、大した問題ではなくなるようなのです。

    わかりやすさの基準はどこにあるのか。
    使っている言葉は、ほとんど変わらないのに。
    言葉を組み変えたり説明を変えたり、いろいろ試行錯誤をし、どれかがヒットするのを待つのですが、それでも伝わったり、伝わらなかったり。
    最初は伝わらかったことが、時間をおくと伝わったり。
    でも、それが面白いから、この仕事が好きなのかもしれません。


    最後にもう1問。これは少し難問です。

    問題 4人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率を求めよ。

    シャープな思考と地道で丹念な解き方は、最終的に一致するものです。
    こういう漠然とした問題は、まずは具体的に地道に考えます。
    人を、A君・B君・C君・D君と名付けましょう。
    4人の手の出し方は、1人が3通りですから、全部で、3×3×3×3=81(通り)です。
    その中であいこになるのは、大きく分けて2通りあります。
    「全員が同じ手になる場合」と「3つの手が同時に出ている場合」です。

    まず、全員が同じ手になる場合は、
    全員がグー、全員がチョキ、全員がパーの3通り。

    次に、3つの手が同時に出ている場合。
    グー・チョキ・パーのどれかの手を2人が出し、あとは1人ずつでしょう。
    まず、グーを2人が出し、あとの手は1人ずつと考えてみましょう。
    A、B、C、Dを横に並べて、グー・グー・チョキ・パーのどの手を出すかを割り振っていきます。
    同じものを含む順列の公式で割り振ることができます。
    4!/2!=4・3=12(通り)
    これは、チョキを2人が出す場合も、パーを2人が出す場合も同じ数となるでしょう。
    だから、12・3=36(通り)

    よって、あいこになる場合の数は、
    3+36=39
    したがってあいこになる確率は、
    39/81=13/27 となります。

    このように、より具体的に考えていくことで立式が可能になります。
    高校数Aの「場合の数と確率」の問題は、より具体的に考えることが幻影を見ないコツだと思います。

      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)算数・数学

    2017年10月09日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と共有点を持たない場合。


    問題 2x2+x+5>0 を解け。

    これの、xの右の2は指数として読んでください。
    この種の問題は、テキストの解説・解答を読むと、いきなり判別式を書いて判断していると思います。
    なぜ、最初から、他の不等式とは違う解き方をするのか?
    他の不等式とどこが違うのか?
    自学自習をする上で、困惑する点の1つは、そういうところだと思います。

    でも、実は、こういう不等式も、他の不等式と同じ解き方から考え始めるのです。
    まずは普通の2次不等式のように、左辺を因数分解して解くことを考えます。
    しかし、因数分解はできないと気づきます。
    そこで、2次方程式の解の公式を使って解いていきます。
    すると、解の公式の分子の部分の√ の中、つまり判別式にあたる部分が負の数になってしまいます。
    そこで、ああ、この2次不等式は、普通のと違うぞと気づく。
    その流れで大丈夫なんです。

    ただ、慣れてくれば、そんなことをする前に、まず判別式だけ暗算することも可能です。
    というよりも、2次不等式を見た瞬間に、判別式は負の数になるなあとピンとくるんです。
    判別式 D=b2-4ac
    aは正の数となるように不等式は整えてあります。
    そこでcの正負が後半の-4acの正負を決定します。
    cが負の数ならば、-4acは正の数となり、b2-4ac全体も正の数なります。
    問題は、cが正の数のときです。
    cが正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きいと、D<0となります。
    正確にかけ算しなくても、ひと目で大体のことは判断できます。
    そういうこともあり、数学のテキストは、いきなり判別式を用いての解説が始まっています。

    しかし、このことを高校生に教えるのは難しいときがあります。
    cか正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きくなればいい。
    このことをなかなか理解できない子がいます。
    判別式を暗記していないため、書いてみないとわからない子もいます。
    bの2乗と4acのどちらが大きいかは、きちんと計算しなければわからない、と主張する子もいます。
    「こういうのは、私はきちんと計算しないと嫌なんですっ!」
    と、キレ気味の反応をする子もいます。

    結局、
    「わからないから、普通に解きます」
    と言われてその話は終了、というのはよくあることです。
    ( ;∀;)

    でも、それでも構わないんです。
    最初に書いたように、まずは因数分解できるのかなあと考え、ダメなら、2次方程式の解の公式で解いてみて、√ の中身が負の数になることに気づき、ああ、特別なタイプの2次不等式だと気づくという順番で、一向に構わないと思います。

    問題に戻りましょう。
    2x2+x+5>0 を解け。
    判別式D=1-4・2・5=-39<0
    判別式が負の数ですから、放物線y=2x2+x+5 は、x軸と共有点を持たないですね。
    軸と共有点を持たない、下に凸の放物線です。
    x軸の上空を放物線が浮いているイメージですね。
    では、そのyの値は常にy>0でしょう。
    ということは、すべてのxについてy>0、すなわち2x2+x+5>0 が成り立つということです。
    よって、この不等式の解は、すべての実数です。

    ここでの課題は、やはりどうしても y>0 と2x2+x+5>0 とが頭の中で一致しないことでしょう。

    x座標とy座標との関係について、何かが頭の中で詰まっていて、つながらない。
    そういう子は多いです。
    先日も、中学生に「1次関数」の授業をしていました。

    問題 直線y=1/3x+5・・・① がある。x軸上の点Pを通るx軸に垂直な直線と直線①との交点をQとする。
    点Pのx座標をtとするとき、PQの長さをtを用いて表せ。
    ただし、t>0とする。

    問題より、P(t,0)ですから、その真上にある点Qのx座標もtです。
    そして、点Qは直線①上の点ですから、Q(t,1/3t+5)と表すことができます。
    よって、PQ=1/3t+5 が答えです。

    この問題、わかる人には本当に何でもない問題なのですが、わからない子にとっては、もしかしたら一生理解することはないのではないというくらいわからないようなのです。
    点Pのx座標がtというのがまず少し抵抗があるようですが、それは問題にそう書いてあるので、仕方ないから諦めるようです。
    pの真上の点Qのx座標が同じtであることも少しモヤモヤしているようですが、まあギリギリ理解できるようです。
    しかし、Qのy座標が 1/3t+5 になることは理解できないのです。
    まして、PQ=1/3t+5 になることとなると全く理解できない様子です。

    「直線上の全ての点のx座標とy座標には、その直線の式と同じ関係があるんだよ。直線は、そういう性質の点の集合なんだから」
    「そうなんですか?」
    「うん。だから、y=1/3x+5 という関係が成り立つので、xがtのときは、yは1/3t+5になるんだね」
    「代入すればいいってことですか」
    「すればいいっていう言い方はちょっと引っかかるんだけど。本当にわかる?」
    「いや、全然わかんないです」
    「どこがわからない?」
    「いや、もうそれでいいってことで」
    「・・・・もう1回説明しますよ」

    このような中学生は多いです。
    理解していないので、問題の形式が少し変われば、もうそのことを利用できません。
    関数の応用問題が解けない子は、多くの場合、ここでつまづいています。
    座標平面上の点のx座標とy座標との関係を利用できません。
    その点がどの直線上にあるかに着目すれば、その直線の式を用いて、y座標を表すことができるのです。
    しかし、多くの子は、その点がどの直線上の点であるかに着目することができません。
    直線の式を用いるという発想を持つことができません。
    わかる子は一度の説明でスルッと理解するのですが。
    ここで、関数がわかる子とわからない子との間に大差がついていきます。
    何としても、中学のこの段階で関数の根本を理解しておいてください。
    高校数学を学ぶときに、大きく影響しますから。

      


  • Posted by セギ at 12:33Comments(0)算数・数学

    2017年10月05日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と接する場合。


    さて、「2次不等式」の話の続きです。

    問題 x2-4x+4≧0 を解け。

    これは左辺が平方の形に整理されます。
    (x-2)2≧0
    2次関数 y=(x-2)2 を
    グラフにしてみると、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線となります。
    この放物線は、すべてのxについてy≧0が成り立ちます。
    よって、もとの不等式の解はすべての実数です。


    問題 x2+6x+9>0 を解け。
    (x+3)2>0 と整理できます。
    放物線y=(x+3)2 は、点(-3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=-3のときだけは、y=0となり、y>0を満たしません。
    だから、この不等式の解は、x=-3をのぞくすべての実数となります。


    問題 x2-6x+9≦0 を解け。
    (x-3)2≦0 と整理できます。
    放物線y=(x-3)2 は、点(3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=3 のときだけy=0となり、y≦0を満たしますが、それ以外は全てy>0となり、y≦0を満たしません。
    よって、解は、x=3 となります。
    「不等式なのに解が1つだけでいいの?」
    と納得しない高校生もいるところですが、あてはまるところが1つしかないのですから仕方ありません。

    問題 x2-4x+4<0 を解け。
    (x-2)2<0 と整理できます。
    放物線y=(x-2)2 は、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、どのような場合にもy<0を満たしません。
    よって、解はない、となります。


    このようなタイプの問題を整理すると、

    (x-a)2≧0 のとき、 xはすべての実数
    (x-a)2>0 のとき、 xはaを除くすべての実数
    (x-a)2≦0 のとき、 x=a
    (x-a)2<0 のとき、 解はない

    上の( )の次の2は、指数として読んでください。
    この4パターンを理解するのにかなり時間がかかる子がいます。

    時間がかかっても正しく理解してくれたらそれで良いのですが、覚え間違えてしまう子もいます。
    奇跡的なほどに、逆に逆にものごとを覚えてしまう子がときどきいるんです。
    もういっそ、最初から逆に教えたら、むしろ正しく定着するんじゃないか、というほどに。
    解説を聞いて、そのときは理解しても、1週間経つと、また逆になっています。
    やればやるだけ混乱してしまう様子です。
    ( 一一)


    初期に覚え間違えると一生混乱するということはあります。
    私も、そういうのが1つあります。
    「熊」のアクセントがいまだによくわかりません。
    動物の「熊」と、目の下の「くま」の、どちらか頭高型アクセントだったか、混乱しがちです。
    これ、テレビを見ていても、アナウンサーやナレーターによってアクセントがバラバラであるように思うんですよ。
    私が混乱しているからそう思うのかなあ。
    ( 一一)

    最初に覚え間違えると、一生たたります。
    以前、あるタレントさんが「警視庁」と「警察庁」のどちらが何だったか、最初に覚え間違えて、よくわからなくなっているとぼやいていました。
    むしろ、世間一般では、警察庁というものの存在がほとんど認識されていないので、そこの混乱は起こりにくいのですが。
    高学歴タレントならではの不思議な混乱でした。


    左辺が平方になる2次不等式に話を戻して。
    「解はすべての実数」「解はない」などが答となる場合に、
    え、そんなのが答えでいいの?
    と納得しない高校生もいます。
    「解いた気がしない」
    と言うのです。

    すべての実数というのは、結局なんでもいいということだから、そんなのは答えと言えないのではないか。
    そんなふうに考えてしまうようです。
    そういう子は、x<3 というような答えでも、実は不満で、何ではっきり定まらないのが答えなんだろうと口にすることがあります。
    まだ小学校の算数の意識が残っているのかもしれません

    不等号に対する概念が小学生のままなのだと思うのです。
    不等号は、小学校では、大きさ比べ以外では使いません。

    3<5

    というようなことですね。
    実際には、
    2/7<0.3
    というように、小数と分数の大きさ比べなど、上の例よりは難しいことで使いますから、何かもっともらしいことをしている気がしますが、結局、小学生の間は、大きさ比べをしているだけです。

    しかし、x<3 が表しているのは、大きさ比べではありせん。
    「xは、3未満のすべての実数である」という意味なのです。
    これを、答えが定まっていないように思うのは誤解で、明確に定まっているんです。
    しかし、
    「xと3とを比べると、xのほうが小さい」
    というふうにしか思わないと、xの値はぼんやりしていて、じゃあなんなの?と感じてしまうようです。

    同様に、
    「解はすべての実数」
    というのも、解として明確に定まっています。
    解はすべての実数として、定まっているのです。
    しかし、そのことが理解しづらい子もいるようです。

    本人の理解不足から、
    「数学って何か変」
    「数学っておかしい」
    と不満を抱くようになり、数学を否定し始めることがあります。
    数学を否定し、数学を勉強しない言い訳にし、数学で受験できないようになってしまうのは、しかし、勿体ないです。
    全てを理解できないとイライラするのかもしれませんが、わかるところとわからないところがあっても数学全体は否定せず、何とかつきあっていってほしいなあと思うのです。

    難しい内容に対して、
    「学校でそんなのやってない」
    と主張する子もいます。
    これは微妙な話です。
    本当に学校で習っていないこともあるからです。
    進学校でない場合、こういう難しいところは省略してしまうことはあるでしょう。
    本人が数学を入試科目に使用する可能性が皆無であれば、無理に教える必要はないと私も判断します。

    しかし、本人が「やっていない」と思いこんでいるだけで、実は、学校で習っている可能性も高いのです。
    授業を聞いていない。
    授業が理解できていない。
    だから、何を学習し、何を学習していないのか、よくわからない。
    そういうことは珍しくありません。


    必ず持ってくるように言っても教科書を持ってきません。
    学校のノートもありません。
    学校の問題集だけは、塾で学校の宿題をやりたいなと期待して持ってきているので、それで調べます。
    「ここに、この問題が載っているけれど、本当に習っていないの?」
    そのように具体的に質問していくことで、ようやく本人の記憶が戻ってきたりします。
    「あ。やったかもしれない」

    ( ;∀;)


    「実数」という言葉が突然出てくると、えーと、実数って何?と言い出す子もいます。
    用語がいろいろありすぎて、だんだんわからなくなってくるという話は、少し前にもここでしました。
    しかし、数学の用語を使わないと、説明はもっとわからなくなります。

    以前にこんなこともありました。
    中学3年生と図形問題を解いていたときのことです。
    「この問題、補助線が要るね。どう補助線を引く?」
    と私が問いかけたところ、その子は、
    「真ん中の棒に、それと同じ幅の棒を、何かえーと、同じ幅になるように書いて・・・・・」
    と説明し始めました。
    「・・・・・待て。何を言っているのか、わからないよ」
    「だから、ここの棒を」
    「・・・・・・線分ACのことなの?中3が、数学の時間に、『線分』を『棒』と言ったらダメだよ」

    さらに彼の説明を聞くと、彼がしきりに「同じ幅」と説明していたことは、平行線のことだろうかと思ったのですが、実は、点Pから線分ACに垂線を下ろすことだったのです。
    さすがに、それは伝わらない。
    ( ;∀;)

    数学用語がたくさんあり、そのすべてについて厳密に定義されているのは、必要があってのことです。
    本人が使用している言葉の意味が、他人の理解とは異なる場合、伝えたいことが伝わらなくなります。
    だから、数学用語を正しく理解し、正しく使用することは、意味のあることなんです。

    教える側が、「すべての実数」という言葉を使わず、
    「なんか、何でもいいやつ」
    などと説明したら、おそらく、誰も理解できませんよね。
    (^-^;

    自然数、整数、有理数、無理数、実数。
    そして、この先に、虚数。
    用語の意味がわからなくなったら、その都度定義に戻って、正しい用語を正確に使用していきましょう。

      


  • Posted by セギ at 13:17Comments(0)算数・数学

    2017年09月27日

    2次不等式の解法。




    画像は、3年前、日影沢で撮影したキツリフネです。
    かなりピンボケですが。

    今日は2次不等式の話。
    例えば、こんな問題です。

    問題 x2-3x+2≧0 を解け。

    実際に解くときには簡略化して、作業手順だけの解き方になりますが、ここではじっくり考えてみましょう。
    まずは左辺を2次関数とします。
    =x2-3x+2
    この放物線はx軸とどのように交わるでしょうか。
    y=0を代入してみましょう。
    x2-3x+2=0
    (x-1)(x-2)=0
    x=1,2
    よって、上の放物線は、x軸と点(1,0)、(2,0)で交わるとわかります。

    x軸と2点で交わる下に凸の放物線をイメージしてください。
    ここで、不等式x2-3x+2≧0に戻りましょう。
    この不等式の解の範囲は、放物線で、x軸上とそれより上の部分ということになりますね。

    ここで「え?」「え?」となってしまう高校生は多いです。
    x2-3x+2の値というのは、yの値なのであるということが頭の中で上手く繋がらないのかもしれません。
    y=x2-3x+2
    としたのですから、x2-3x+2の値はyの値です。
    したがって上の不等式は、放物線で y≧0の部分ということになります。

    xについて解く練習ばかりしてきたせいか、x2-3x+2という式自体が何かの値を表しているということがピンとこない子は多いです。
    それがyとイコールであることも、頭の中で上手くつながりません。
    y=x2-3x+2
    と書いてあるんだから、そうでしょう?
    と説明しても、ポカンとしています。

    「え?じゃあ、x≧0が解?」
    と高校生に質問されて、ぎょっとしたりするのですが、そういうことではありません。
    y≧0の部分のxの範囲が解です。
    では、どの部分かというと、x軸で点(1,0)、(2,0)で交わっているのですから、x座標でいうと、1以下の部分と2以上の部分で、放物線はx軸上とそれより上となります。
    よって、解は、
    x≦1,2≦x
    となります。

    x軸上とそれより上の部分の放物線の各点のx座標が、この不等式の解です。
    このことを理解してもらうためにはかなり根気よく説明しなければなりません。
    ここでは、実際に放物線を用いて説明していないからわかりにくいという面もありますが、放物線を用い、わかりやすいテキストを見ながら解説しても、上手く理解できない子もいます。
    「学校でやったけど、意味がわからなかった」
    と相談を受けることが多い箇所です。

    中学生のときに関数と座標平面について確かな感覚を養ってこなかった子は、放物線上のそれぞれの点にx座標とy座標があることが曖昧なのかもしれません。
    x座標やy座標を活用するタイプの問題に弱い傾向があります。
    放物線は点が上下に動いているように見えるので、上下の方向、すなわちy座標のことしか考えられなくなるのでしょうか。
    放物線上の点には、x座標とy座標があります。
    y≧0 である範囲の放物線上の点の、x座標が解なのです。
    それをx軸上に落として説明しているテキストは多いです。
    しかし、x座標で考えることができない子は多いです。

    中学の間は、関数と方程式は、ほとんどつながりがありません。
    唯一、中2の「1次関数」で、「連立方程式のグラフによる解法」という内容を扱います。
    その際に、
    「関数をやってたはずなのに、急に連立方程式の話になるから、意味わかんない」
    と愚痴を言う中学生がいます。
    「連立方程式なんて計算で解けばいいのに、それをグラフで何かぐちゃぐちゃやっているから、意味がわからない」
    というのです。
    その「グラフで何かぐちゃぐちゃ」が、実は大切な部分なのですが、問題を解くことに短絡的にはつながりません。
    無駄に思えて無視してしまう子は多いです。
    数学の各分野でそれを繰り返すうちに、頭の中に残っているのは個々の問題の解き方だけになってしまいます。
    海の上に浮かんでいる島だけが見えていて、それが海底で全部つながっていることがわかっていない状態です。
    本人の頭の中では、島どうしがつながっていませんから、全て不安定な浮島です。
    より高度な内容が入ってきたときに、それでは処理できなくなります。
    本当に大切なのは、島ではなく、海底を作る作業でしょう。

    今回学習した2次不等式は、最初は理解してもそのうち作業手順だけになりがちなところです。
    2次不等式を実際に解くときは、いちいちグラフは描きません。
    不等号の向きだけで単純に処理していきます。
    そのせいもあって、時間が経つと途中の考え方が頭の中から消えていきます。
    海底が消え、浮島だけが残ってしまいます。
    なぜそれで解けるのか、わからなくなります。
    そうして、わからなくなっていることに、ある日突然、自分で気がつき、不安になります。
    そうなってから、先生に質問します。
    しかし、不安を感じながら聞く説明は、もう最初のときほど理解しやすいものではなくなっています。

    海底を作る作業は、本当に難しい。
    小学生の頃から、ある意味頭の回転が速く、作業を手順化して短絡的に結びつけることに慣れているタイプの子ほど、あっという間に海底が消えていくことがあります。
    全ては海底でつながっていることを常に意識して問題を解いていきたいですね。


      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学