たまりば

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2017年11月24日

三角比と余弦定理。上手な利用の仕方。


「三角比」の学習。いよいよ佳境です。
今回は、余弦定理の学習をしました。

△ABCにおいて、
a2=b2+c2-2bc cosA
b2=c2+a2-2ca cosB
c2=a2+b2-2ab cosC

公式としては、きちんとサイクリックで覚えておいたほうが良いです。
サイクリックとは、ab、bc、ca、といった循環のことです。
caを見ると、必ず「ac」と直そうとする人が、数学が苦手な人の中にときどきいるのですが、それは不要なこと。
a、b、cしか文字がない式の場合、caのほうがサイクリックで美しいのです。
そして、普段からそのような意識を持って文字を見ていれば、余弦定理は、3本あるように見えて、実は1本の公式であることが理解できると思います。
文字を順番に使っているだけなのがわかりますね。

余弦定理の証明はここでは省略しますが、使うのは、三角比と三平方の定理です。
そう難しいものではないですので、興味があれば、検索してみてください。
課題は、やはり余弦定理をどう利用するか、です。

問題 ⊿ABCにおいて、b=1、c=√2、A=45°のとき、aを求めよ。

a2=b2+c2-2bc cosA
に代入すれば良いですね。
というわけで、答案としては、

余弦定理より
a2=1+2-2・1・√2・1/√2
  =1+2-2
  =1
a>0 より
a=1

問題 ⊿ABCにおいて、a=√2、b=2、c=√3-1のとき、Bを求めよ。

角の大きさを求める場合、余弦定理を変形させた式を覚えておくと楽です。
それも含めて余弦定理です。
今回利用するのは、
cosB=(c2+a2-b2)/2ca
という式です。
b2=c2+a2-2ca cosB
を、cosBについて解いた式ですね。

余弦定理より
cosB={(√3-1)2+2-4}/2・(√3-1)・√2
    =(3-2√3+1+2-4)/2√2(√3-1)
    =(2-2√3)/(2√6-2√2)
    =(1-√3)/(√6-√2)
    =(1-√3)(√6+√2)/(6-2)
    =(√6+√2-3√2-√6)/4
    =-2√2/4
    =-√2/2
0°<B<180°より
B=135°

これは、一番地道な解き方で解きました。
しかし、この計算過程を正しくたどれない高校生は多いです。
複雑な式の中で、2乗の乗法公式を忘れてしまう人。
分母が2種類のルートのとき、どうやって有理化するのかわからない人。
単純な符号ミスを起こしやすい人。
複雑な計算をしているとストレスが強くかかるのか、数字の書き間違いをしてしまう人。
エラーの原因は無数に存在します。

一方、数学が得意な人は、答えをある程度予想し、それにそって式を変形します。
上の問題は、「Bを求めよ」と言われています。
Bは角度です。
cosBを求めよと言われているわけではありません。
三角比の表を使わない限り、三角形の角度は、30°、45°、60°、90°、120°、135°のどれかでなければ計算では求められません。
15°や75°などの特殊な角度の三角比を暗記している人もいますが、その暗記を前提とした問題が出題されることはまずありません。
ということは、角度を求める問題ならば、コサインの値は、見慣れた数字のどれかになるものです。
それを見越してまとめていくと、計算はかなり楽になります。

cosB={(√3-1)2+2-4}/2・(√3-1)・√2
    =(3-2√3+1+2-4)/2√2(√3-1)
    =(-2√3+2)/2√2(√3-1)
    =-2(√3-1)/2√2(√3-1)
ここで、分母・分子を(√3-1)で約分して、
    =-2/2√2
    =-1/√2

分母の√3-1 は、三角比としては必要のない数字です。
これは、おそらく約分できるでしょう。
だから、最初から( )を開かないのです。
その方向で分子をまとめていくと、確かに、同じ√3-1の要素が出てきます。
そういうまとめ方です。

地道な解き方でも良いのですが、地道な解き方ほど煩雑な計算に耐えられる計算力が必要です。
しかも、地道に計算すると答えは-√2/2となります。
これが-1/√2 と等しいことがわからず、B=135°と求められない人もいます。
いろいろなことが悲しい結果に終わりがちなのが、余弦定理です。
( 一一)

ところで、cosB= などで始まる余弦定理について、数学が得意な人は、
「こんな式、覚えていなくても、必要になったらいつでも復元できる」
と簡単に言うのですが、四則計算に今ひとつ習熟しきれていない高校生の場合、普通の余弦定理をこの形にすぐに変形できるかというと、残念ながらできない場合があります。
式の変形はなぜそれほどハードルが高いのでしょうか。
方程式なら計算できるのに。

例えば、
3x=2
を解けない高校生はほとんどいないと思います。
数字とxだけの方程式なら解くことができるのです。
けれど、それは解き方を覚えているだけで、等式の原則を理解して操作しているわけではないのかもしれません。
だから、極端な話、
2=3x
という見た目になっただけで、もう計算できなくなる子もいます。
手順を暗記しているだけの人の計算力は脆弱で、少しの揺さぶりに耐えられないのです。

cosB= の形の式を別に暗記しておくのが安全でしょう。
同時に、中学の数学に戻って、「式の変形」を復習すると良いですね。
苦手だから、嫌いだからと言って、避けていなかったでしょうか。
式の変形の仕方さえ理解できていれば、確かに、cosB= の公式なんてすぐに復元できるのです。

ところで、もっと応用問題になって、複雑な図形の中で余弦定理を利用する場合に、aにあたる長さを求めるのに、どちらがbでどちらがcにあたるかわからなくて、混乱してしまう人がいます。
実は、そんなことは、考える必要がないのです。
bとcなんて、どっちがどっちだっていいのです。
余弦定理は、3本も式があることもあって、初めて見ると動揺しがちなのですが、これは、三角形の合同条件と連動して考えれば、とてもシンプルな式です。
一番上のa2から始まる式を例にとって考えてみると、Aというのはその対角、bとcは残る2辺であることがわかります。
すなわち、右辺にあるのは、「2辺とその間の角」なのです。
つまり、余弦定理は、2辺とのその間の角がわかれば、残る1辺の長さは計算できる、という定理です。

bとcが逆転しても、計算の結果には全く影響しません。
どうせ、図を裏返せば、bとcはひっくり返るのですから。
とにかく、2辺とその間の角から残る1辺の長さを計算できるのです。
そういうことが把握できると、余弦定理はざっくりと、そして快適に利用できるようになります。

  


  • Posted by セギ at 13:12Comments(0)算数・数学

    2017年11月22日

    三角比と正弦定理。


    「三角比」の学習も佳境。
    今回は、「正弦定理」を学習しましょう。

    ⊿ABCにおいて、
    a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R
    (ただし、Rは三角形の外接円の半径)
    ∠Aの対辺がa、∠Bの対辺がb、∠Cの対辺がcです。

    これが正弦定理です。
    高校数学の定理としては比較的簡単に証明できるものです。
    図が必要なので、ここでは説明しませんが、検索すればすぐに証明は出てくると思います。
    鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形に場合分けして証明しなければならないのが多少わずらしいでしょうか。
    証明の根拠は、中学三年生で学んだ「円周角の定理」です。

    証明を理解し、納得したら、あとは定理の利用。
    こちらのほうが重要です。
    正弦定理が凄いのは、三角形の合同条件と連動していることです。
    三角形の合同条件の1つに、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」というものがあります。
    その条件を満たす三角形は合同だということ。
    すなわち、そのような三角形は、この世に1つしかないということです。
    この世に1つしかない三角形ならば、残る1つの角の大きさと2つの辺の長さは定まっているでしょう。
    それを計算できるのが、正弦定理です。

    残る1つの角は、三角形の内角の和が180°であることから、楽々と計算できます。
    あとは、正弦定理を用いれば、残る2辺の長さは簡単に出てきます。
    ヽ(^。^)ノ

    問題 ⊿ABCにおいて、a=3、A=60°、B=45°のとき、bおよび外接円の半径Rを求めよ。

    A=60°、a=3がわかっていますから、正弦定理を用いますと、他の辺の長さを求めることができます。
    正弦定理により、
    3/sin60°=b/sin45°
    これをbについて解けば良いのですね。

    しかし、分数計算が苦手な子は、この先で苦労しがちです。
    教科書や問題集の解説は、この後の計算過程の解説が雑です。
    まさか高校生が分数が苦手とは思っていないからでしょうか。
    でも、多くの高校生は、正弦定理がわからないわけではないのです。
    その先の分数計算が上手くできないのです。

    絶対安全なやり方としては、分数=分数 の形の式になったときは、
    左辺の分子×右辺の分母=右辺の分子×左辺の分母
    という、たすきにかけた形の等式に直すと、あとの処理が楽です。
    a/b=c/d のとき、ad=bc です。
    これは、比例式、a:b=c:d のとき、内項の積=外項の積で、
    ad=bc 
    とするのと同じ考え方です。

    上の問題で言えば、
    b・sin60°=3・sin45°
    と書き換えます。
    sin60°=√3/2、sin45°=1/√2 ですから、
    √3/2・b=3・1/√2
    b=3/√2×2/√3
     =6/√6
     =√6

    この通りの計算手順でなければならないわけではないのです。
    計算ルールとして間違っていなければ、他のやり方でも良いのです。
    しかし、計算が苦手な子ほど、なぜかsinの値を早めに代入してしまい、分数の分母がさらに分数という繁分数に自分でしてしまう傾向があります。
    そして、その処理方法がわからなくて行き詰まってしまうのです。
    そんなときには、
    「分数は、割り算に直せるよ。分子÷分母だよ。上÷下だよ」
    とアドバイスするのですが、既にパニックを起こしていて、2を3と書き間違えるようなケアレスミスを繰り返し、何度解き直しても、どうにもこうにも正答に至らないということが起こりがちです。

    あるいは、この問題は分子であるbがわからないのでまだ楽なのですが、分母であるsinの値を求める問題になると、式をどのように変形して良いかわからなくなる人は多いです。
    そうした人のためにも、上のように、「分数=分数」の式を「かけ算=かけ算」の式に変形しておくことをお薦めします。
    うすれば、その先は、どの問題も同じ解き方になるので、いちいち考えなくて済むのです。

    もしも、うっかり繁分数にしてしまい、行き詰まって、しかも分子÷分母を忘れてしまったら、1/3を思い出してください。
    1/3は、1÷3ですか?それとも、3÷1でしょうか?
    1÷3ですよね。
    それで、「分子÷分母だ」と思い出すことができます。
    (*^^)v

    さて、外接円の半径Rも求めるのでした。
    これも正弦定理により、
    2R=3/sin60°
       =3÷√3/2
      =3×2/√3
      =6/√3
      =6√3/3
      =2√3
    R=√3
    この辺りも、代入後の分数の処理、そして、分母の有理化で手間取る高校生は多いです。

    でも、計算しやすいように式を変形することを覚えるだけで、随分楽になります。
    計算が得意な人は、楽に計算できる方法で計算しています。
    困難で複雑な計算方法に立ち向かっていったりはしていないのです。

      


  • Posted by セギ at 12:28Comments(0)算数・数学

    2017年11月17日

    三角比と関数の融合問題。


    三角比と関数の融合問題を今回は扱ってみましょう。

    問題 0°≦x≦180°のとき、 y=2sin2x-2cosx-1 の最大値と最小値を求めよ。

    小学生や中学生は、文章題を見ると、
    「問題が6行も書いてある。こんなの解けるわけない」
    と、問題文の長さだけで解くのを諦めたりします。
    あるいは、中学数学の関数や図形問題で、前提となる問題文を読まず、(1)の短い設問とグラフや図だけを見て、
    「わからない、わからない。難しい」
    とうんうんうなっている子も、珍しくありません。
    問題文を読む習慣のない子は、かなりの割合で存在します。
    どうせ大したことは書いていないと思っているのでしょうか。
    文字を読み取ること自体が苦痛なので、できるだけ省略したいのでしょうか。
    そういうタイプの問題は、問題文を読まないと解けるわけないんですけど。
    (^-^;

    しかし、高校の数学には、もっと別の怖さがあります。
    こういう問題文が1行だけの問題が増えてくるのです。
    何行も問題文が書いてあれば、どこかにヒントがありますが、こんなふうに1行で終わられたら、何もとっかかりがありません。
    何をどうしたらいいのかわからない、という事態に至ります。

    問題が何を言っているのか、わからない。
    何を要求しているのか、わからない。

    何をどうすることがこの問題を解いたことになるのか全くわからない、ということが起こりうるのです。
    教わったときだけは何とか解き方を暗記しても、2か月も経って、校外実力テストや模試でこういう問題が出ていると、この1行を見つめたまま固まることになります。
    そんな高校生は、多いです。
    高校数学に白紙答案があるのは、そういう理由です。
    わざと解かないわけではない。
    どう解いたら良いのか、本当に何もわからないのでしょう。

    この問題は、
    「最大値・最小値って、関数で出てくる用語だよね」
    と気づくと、問題がほぐれてきます。
    そう思って見ると、
    y=2sin2x-2cosx-1
    って、関数ですよね。

    これと似ている関数のイメージは、
    y=2x2-2x-1
    だから、ああ、これは2次関数なのだと気づきます。

    しかし、普通の2次関数と違うのは、xではなく、sinxとcosxが使われていること。
    うん?
    それは、書き換えられたんじゃなかったでしたっけ?
    サインはコサインに、コサインはサインに、転換する方法がありましたよね。
    ここで、三角比の相互関係の公式を用いるのだと気づけば、もう先は見えてきました。
    公式は、こうです。

    sin2θ+cos2θ=1 (2は指数)
    すなわち、
    sin2θ=1-cos2θ
    今回は、角度はθではなく、xが使われていますから、
    sin2x=1-cos2x
    これを代入します。

    y=2sin2x-2cosx-1
     =2(1-cos2x)-2cosx-1
     =2-2cos2x-2cosx-1
     =-2cos2x-2cosx+1

    ああ、これは2次関数ですねえ。
    慣れてくるとこのままでも先に進めますが、見やすくするため、cosx=t と置き換えてみましょう。
    すなわち、
    y=-2cos2x-2cosx+1
     =-2t2-2t+1
    これの最大値と最小値を求めたらいいんだー。
    ヽ(^。^)ノ

    しかし、その先もそう簡単にはいかない人がいます。
    「三角比」の学習に入る頃には「2次関数」で学んだことの大半を忘れてしまっている子が多いのです。
    数学は積み上げ科目なので、一度学習したことは忘れたらダメなのですよー。

    2次関数の最大値と最小値の求め方?
    何をどうするんでしたっけ?
    2次関数のグラフは放物線です。
    まずは定義域を無視して考えるのなら、頂点の y 座標が最小値か最大値になります。
    下に凸の放物線ならば、頂点の y 座標が最小値。
    上に凸の放物線ならば、頂点の y 座標が最大値。

    頂点の座標を求めるためには、平方完成をします。
    平方完成のやり方、覚えていますか?
    高校生が相手ですと、ここでまたドタバタ。
    平方完成という言葉すら忘れていたりします。

    y=-2t2-2t+1
     =-2(t2+t)+1
     =-2(t+1/2)2+1/2+1
     =-2(t+1/2)2+3/2

    すなわち、頂点の座標は、(-1/2 , 3/2) となりますから、
    t=-1/2のとき、最大値3/2となります。

    ところで、これは、定義域にある数なのか?
    そもそも定義域ってあったっけ?
    この確認は大切です。
    t の定義域って?
    cosx=t としたのですから、その定義域を考えればよいわけです。
    問題の最初に書いてある通り、0°≦x≦180°なので、
    cosxの変域は、-1≦cosx≦1。
    すなわち、-1≦t≦1。

    高校生は、ここでさらにドタバタ。
    コサインの変域ということが、どうにもこうにも理解できない人が現れます。
    そこで、単位円を描いて、もう一度、コサインの定義から説明し直しとなる場合が多いです。
    半径1の単位円上の点をP(x,y)とし、動径OPとx軸の正の方向とのなす角をθとすると、
    cosθはxの値そのものでした。
    ですから、θ=0°のとき、すなわち、OPはx軸が重なっているときは、P(1,0)ですから、
    cos0°=1
    θ=90°のときは、P(0,1)ですから、
    cos90°=0
    θ=180°のときは、P(-1,0)ですから、
    cos180°=-1
    このように、0°≦θ≦180° のとき、-1≦cosθ≦1 です。

    さて、コサインの変域が理解できたので。
    定義域は、-1≦t≦1。
    おお、t=-1/2は、定義域内に入っていますね。
    これで、最大値は確定です。

    ところで、最大値を答えるときは、xが何の値のときにyが最大値になるのかも答えなければなりません。
    t=-1/2
    すなわち、cosx=-1/2
    頭の中で単位円を想像して。
    それがまだ無理なら、実際に単位円を描いて。
    cosx=-1/2
    すなわち、x=120°

    次に最小値を考えます。
    放物線は、左右対称です。
    今、放物線は上に凸。
    頂点から離れるほどに、急激に y の値は小さくなっていきます。
    tの変域の内部で、頂点の t の値-1/2から距離があるほうの端の値が、最小値となります。
    -1と1。
    -1/2から遠いのはどちらか?
    もちろん、1ですね。
    ですから、t=1のとき最小値です。
    t=1を代入して、
    y=-2t2-2t+1
    =-2-2+1
     =-3
    さて、t=1すなわち cosx=1のとき、
    またまた、単位円をイメージして。
    x=0°

    したがって、
    x=120°のとき最大値3/2
    x=0°のとき最小値-3

    これが最終解答となります。
    問題に出てくるxとyと、コサインの定義に出てくるxとyとで混乱が起こる人もいます。
    cosθならばわかるけれど、cosxと書いてあるだけで、何のことかわからなくなる人もいます。
    「そんなところでxを使っていいんですか?」
    と不安になり、納得できない様子なのです。
    「きちんと定義してあれば、どんな文字だって使っていいでしょう」
    そう説明しても、頭の中の霧は晴れない様子です。

    数学が苦手な人の頭の中を覆うこうした「霧」の正体は何なのか。
    xやyなど、文字が数学に登場した頃から、実は納得できていなかったのではないか?
    何か使い方にルールがあるはずなのに、自分だけそのルールが理解できないでいる。
    そんな不安があるのだろうかと想像してみるのですが、まだよくわからないことが多いです。
    生徒の言葉の端から想像してみるしかないのです。
    わからないことの何がどのようにわからないのかを明確に語ることができるのなら、それは「わかっている」のと同じでしょう。
    何がわからないのかわからないから、本人も悩んでいるのだと思います。

    不安は、比較的理解力のある高校生の中にもあるようです。
    わからないわけではない。
    説明を聞けばわかるのです。
    でも、自分で解こうとすると、途中で詰まってしまう。
    あれ、何のことだっけ?
    今、何をやっていたんだっけ。
    そうやって何度も詰まる。
    そんな感想の人もいると思います。
    わからなくなる度、なぜそれで解けるのかを考え直し、頭の中に明瞭な筋道を作っていきましょう。
    作業手順だけ覚えてやり過ごそうとしても、作業手順が長すぎて、覚えきれないです。
    覚えることは、これだけではないのですから。

    思うに、希望はあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。
    歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。

    歩くのが自分一人ならば、何回も歩けば、それは道になります。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 12:29Comments(0)算数・数学

    2017年11月09日

    三角比の拡張。ここで三角比は生まれ変わります。



    三角比の始まりは、直角三角形の辺の比です。
    非常に便利なのですが、直角三角形である限り、∠θは鋭角なので、限定的です。
    何とか鈍角でも三角比は使えないでしょうか?

    はあ?
    直角三角形に鈍角なんてあるわけないし!
    そんな反応も予想できます。

    それは当然そうなのですが、とにかく便利なので、使えるようにしたいのです。
    その発想が原点です。
    とにかく、1つのことが言えたら、それを一般化したいのです。
    「三角比の拡張」と言いますが、私は飛翔するようなイメージを持っています。
    定義し直すことで、三角比は「空も飛べるはず」なのです。
    (*^^)v



    この図を見てください。
    これがいわゆる単位円ですが、高校1年の数Ⅰ「三角比」では、まだ∠θは0°から180°までなので、上半分しか描きません。
    単位円とは、座標平面上に描いた、原点を中心とした半径1の円です。
    この円周上を動く動点Pの座標を(x,y)とします。
    中心と結んだ線分OPを動径と呼びます。
    「動く半径」ですね。
    Pを円周上のどこにとってもOPは円の半径ですから常に1です。
    Pからx軸に垂線を下ろします。
    そうすると、上の図のような直角三角形を座標平面上に描くことができます。
    斜辺は半径ですから、長さは1です。
    P(x,y)ですから、この直角三角形の対辺の長さはy、底辺の長さはxとなります。
    動径とx軸の正の方向との成す角をθとすると、
    sinθ=y/1=y
    cosθ=x/1=x
    tanθ=y/x
    となります。
    これは便利です。
    サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのものになりますから。
    このように、三角比を定義し直します。

    原点Oを中心として半径rの円において、x軸の正の向きから左まわりに大きさθの角をとったとき定まる半径をOPとし、点Pの座標を(x,y)とする。このとき、
    sinθ=y/r , cosθ=x/r 、tanθ=y/x と定める。
    というのが、拡張した三角比の定義です。

    実際には、上のようにr=1のとき、サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのもの、タンジェントは直線OPの傾きそのものになり、とても便利なので、この単位円で話を進めていきます。

    数学が苦手な高校生は、中学の頃から関数が苦手なことが多いです。
    上の説明では、直角三角形の対辺がyになり、底辺がxになるところが理解しにくい様子です。
    座標と線分の長さとが頭の中で上手くつながらないようなのです。
    中学の数学の座標平面と図形に関する問題も、そこが頭の中でつながらないせいでほとんど得点できない子が多いです。
    「これは応用問題だから、自分はできなくても仕方ないやあ」
    などと軽く考えて避けていると、高校生になるとそこが基本になるので、訳がわからなくなっていきます。
    理解できないので、ただ暗記するだけになります。

    つい先日も、中学生との数学の授業で、点Pのx座標をtと置いて、座標平面上の正方形の辺の長さをtを用いて表し、最終的にPの座標を求めるという典型題の解説・演習をしていたのですが、
    「勝手にtと置いたのに、何でtの値がわかるんですか?」
    「tは定まっていないのに、何でtを求めていいんですか?」
    という、わかるようなわからないような疑問で頭がねじれてメビウスの輪になっている子と議論しました。
    ここのところがどうしてもわからない子と、一度でスルッと理解する子との違いは何なのだろうといつも不思議に思います。

    また、「単位円上の動点Pの座標を(x,y)とする」というのは定義であるのに、
    「どうしてそうなるんですか?」
    「点Pが円周上にないときはどうするんですか?」
    といった不要な質問で頭がいっぱいになって、理解できなくなる高校生も多いところです。
    それは定義なんだから、疑義を挟むところではないんです。
    定義というのは決めたことで、理由はないんです。
    あえて言えば、そう定義することで後々便利だからです。
    しかし、そう言っても、納得できない様子です。
    xやyというのは、もっと使い方に別のルールがあって、そこで勝手に使ってはいけないのではないか?
    そういう思い込みがあるのかもしれません。
    繰り返しますが、これは定義です。
    単位円上の動点Pの座標を(x,y)とすることには、何の問題もありません。
    「単位円上の動点」と決めたので、点Pは、そこから外れることもありません。

    話を戻しましょう。
    x=cosθ
    y=sinθ
    y/x=tanθ
    このように定義し直したら、もう直角三角形から離れ、三角比は1人歩きできます。
    座標平面の第2象限、すなわち、単位円の半円の左側に動径OPが来ても、同じ定義で有効ですね。
    すなわち、鈍角の三角比を求めることができます。
    サインは、点Pのy座標そのもの。
    コサインは、点Pのx座標そのもの。
    タンジェントは、OPの傾き。
    そう把握できるのです。

    点Pが第2象限にあるとき、反対向きの直角三角形を描き、その辺の比を求めようとしてサインとコサインがグチャグチャになってしまう高校生がいます。
    うんうんうなりながら、鏡の中で反転している直角三角形と格闘しているのですが、そういうことではないんです。
    ∠θはあくまでも、x軸の正の方向と動径OPとの成す角です。
    考えるヒントとして反対向きの直角三角形を描いて解説するのは、第1象限の直角三角形とy軸に対して線対称であることを示すためです。
    線対称だから、第1象限に置き換えて考えましょうと説明しているのですが、ノートに第2象限の直角三角形が残るせいか、そっちで求めるのだと誤解している高校生がいます。
    第2象限の三角比は、絶対値を第1象限の直角三角形で把握し、それにプラス・マイナスの符号をつけて求めていくと楽です。
    拡張された定義から明らかですが、サインはyの値ですから、相変わらず正の数です。
    コサインはxの値ですから、負の数。
    タンジェントもxの値が負の数であることが影響し、負の数となるでしょう。
    考えるヒントとして反対向きの直角三角形を使いたい人は使えばよいのですが、それで混乱するのは無駄なことだと思います。
    あげく、「鈍角の左側の直角三角形の辺の比を求めること」と思い込み、「三角比とは直角三角形の辺の比である」というところから全く飛翔できず、三角形の面積を求める頃になって「直角三角形以外では、三角比は使えないですよっ」と言い張る高校生と不毛な議論をしたこともあります。

    実際の問題で考えてみましょう。
    例えば、∠θ=120°のとき。
    P(x,y)は、∠θ=60°のときのPと、y軸について線対称です。
    ∠θ=60°のとき、特別な比の直角三角形をイメージして解くと、
    sinθ=√3/2 , cosθ=1/2 , tanθ=2/1=2 ですから、
    ∠θ=120°のときは、
    sinθ=√3/2 , cosθ=-1/2 , tanθ=-2 となります。

    慣れてしまえば、いちいち描かなくても、頭の中で特別な比の直角三角形をイメージするだけで解けます。
    上手くイメージできない間は、第1象限に直角三角形を描いて解いても良いでしょう。

    スラスラっと説明してきましたが、ここら辺になると、つまずく石は無数に存在し、
    「足元に気をつけて!」
    と注意し続けながら授業を先に進めるような状況となってきます。
    いったん理解したはずなのに、ここでパニックを起こし、三角比は角度のことだと錯誤し、混乱し始める子もいます。
    「苦手な図形」と「大嫌いな関数」が合体したのですから、地獄巡りの心境の子がいるのも無理からぬところです。
    すぐに定義が曖昧になり、何でそれで求められるかわからなくなってしまう子が続出します。
    とにかく学校の問題集だけ解きたい、学校の問題集を解いて提出しなければならないから、その問題だけを解きたい。
    そんな高校生がどんどん増えていきます。

    でも、敗退にはまだ早い。
    まだ、常人に理解できる範囲の数学です。
    繰り返し繰り返し、意味に戻って理解し直せば、三角比は必ずマスターできます。



      


  • Posted by セギ at 11:47Comments(0)算数・数学

    2017年11月01日

    三角比の相互関係の公式。覚えましょう。





    三角比の当面の目標は、三角形の辺や角を計算せずに求めていくことです。
    ならば、まずは三角比が1つわかれば残る2つが求められると便利です。
    サインがわかれば、コサインやタンジェントは計算で求められる。
    コサインがわかれば、サインやタンジェントは計算で求められる。
    タンジェントがわかれば、サインやコサインは計算で求められる。
    そのためにあるのが、三角比の相互関係の公式です。

    tanθ=sinθ/cosθ
    sin2θ+cos2θ=1
    1+tan2θ=1/cos2θ
     (2は指数として読んでください。三角関数の倍角みたいに見えて嫌なんですけど)

    この公式は物凄く重要で、以後、度々登場します。
    使わないと解けない問題が多数あります。
    以後もずっと使い続けます。
    高2の「三角関数」でも、この公式を使います。
    三角比は、地道に計算で解くなどありえない単元です。
    公式を使えるかどうかが全てといっても過言ではありません。
    そういう意味で、公式を覚えるのが苦手な子は、「三角比から拒絶されている」という感覚を抱くことがあるようです。
    「三角比」という単元を無機質に感じ、全く親しみを覚えないようなのです。
    逆に公式さえ覚えれば、三角比は何でもないものなのです。

    と、これくらい強調しても公式を覚えない子がいるのが高校数学の不可解なところです。
    ちょっと努力しないと覚えられないような公式が多いからでしょうか。
    確かに、小学校の頃の三角形の面積の公式のように楽にスルスル覚えられるものではありませんよね。
    そのためか、
    「まあ、今は教科書を見ながら解いて、テスト前に暗記します」
    と悠長に構えている子が多いのです。
    しかし、以後の問題にはこれらの公式を使います。
    問題集の解答・解説は、この公式を使ったことは、いちいち解説されていません。
    解説が省略されていて、何のことかわからない。
    それは、公式を覚えていないことからきている場合が大半です。

    公式は忘れた頃にまた使います。
    「三角比」は「三角比」だけで終わる単元ではありません。
    高校二年になると、「三角関数」という単元があります。
    これは、「三角比」で学習した内容を前提として先に進みます。
    三角比の公式を短期記憶にしかせず、全部忘れていると、翌年えらい目にあいます。
    公式は、早め早めに覚えて、覚えた状態で使い、長期記憶にすることをお勧めします。


    とりあえず、上の3つの公式を証明してみましょう。
    まずは1本目。
    tanθ=sinθ/cosθ から。

    三角比の定義より、上の図で
    sinA=a/c 
    両辺をc倍すると、a=c・sinA
    同様に、
    cosA=b/c 
    よって、b=c・cosA
    ゆえに、
    tanA=a/b=c・sinA/c・cosA=sinA/cosA

    次に、2本目。
    sin2θ+cos2θ=1
    これを証明します。

    三平方の定理より a2+b2=c2
    よって、(c・sinA)2+(c・cosA)2=c2
    c2・sin2A+c2・cos2A=c2
    両辺をc2で割って、
    sin2A+cos2A=1

    3本目はこの sin2A+cos2A=1 の両辺をcos2Aで割ります。
    sin2A/cos2A+1=1/cos2A
    tan2A+1=1/cos2A

    なお、実際に計算する際には、上の公式の両辺を逆数にして、
    cos2θ=1/(1+tan2θ)
    を活用しても良いでしょう。
    また、1本目の公式、tanθ=sinθ/cosθ
    の両辺にcosθをかけて、
    sinθ=tanθ・cosθ
    と変形した式を活用すると計算が楽です。

    では、実際に問題を問いてみましょう。
    問題 sinθ=3/5 を満たす鋭角θの、cosθとtanθの値を求めよ。

    sin2θ+cos2θ=1より
    cos2θ
    =1-sin2θ
    =1-(3/5)2
    =1-9/25
    =16/25
    θは鋭角なので、cosθ>0より
    cosθ=4/5

    cosθ>0 なんて当たり前なのになあと感じるかもしれませんが、この直後に、cosθが負の数になる場合を学習します。
    だから、これは書いておく必要のある1行なんです。

    数学の答案は、何を書いて何を書かないのかよくわからなくて混乱する人がいます。
    数学の答案で必要なのは、なぜそのように解けるのか、その根拠を示していくこと。
    今回は、2乗が16/25なのに、なぜ-4/5は答えではないのかは説明しておく必要があります。
    説明の仕方は多様です。
    一字一句にこだわるようなものではありません。

    さて、問題に戻りましょう。
    sinθは問題の通り、3/5、cosθは4/5 と出ました。
    では、tanθは?
    tanθ
    =sinθ/cosθ
    =sinθ÷cosθ
    =3/5÷4/5
    =3/5×5/4
    =3/4

    簡単ですね。
    あとは練習して慣れていけば大丈夫です。

      


  • Posted by セギ at 13:47Comments(0)算数・数学

    2017年10月26日

    三角比。サイン・コサイン・タンジェントは正確に。


    今回も三角比のお話です。
    まずは三角比の基本の確認から。

    昔、大人のための数学教室で「三角比」を学習したときのことです。
    最初の授業で欠席された方が、欠席した分を自習する際に、三角形の頂点の記号を使ってサイン・コサイン・タンジェントの定義を覚えようとして、凄く難しかったと話していました。
    sinθ=BC/AC
    というように覚えようとされたのですね。
    それは無機質で覚えにくいでしょう。
    中学生のテキストでは直角三角形ABCの頂点Aは上に描くのに、「三角比」の直角三角形の頂点Aは下にあるのでさらに混乱したということでした。
    考えたこともなかった視点でした。

    三角比の覚え方。
    まずは、直角三角形を整地しましょう。
    ∠θが左下に、直角が右下にくるように直角三角形を置きます。
    この位置が、最初は一番理解しやすいです。
    直角三角形の各辺には名前があります。
    直角と向き合う辺が「斜辺」。
    ∠θと向き合う辺が「対辺」。
    残る辺を「底辺」と呼びます。(「隣辺」と呼ぶこともあります)

    そして、
    sinθ=対辺/斜辺
    cosθ=底辺/斜辺
    tanθ=対辺/底辺
    こうして、辺の名称で覚えるのが基本です。

    でも、それでもまだ覚えにくいですね。
    アルファベットの筆記体のsを描くように分母からなぞるのがサイン。
    cを描くようになぞるのがコサイン。
    tを描くようになぞるのがタンジェント、と覚えます。
    広く知られている覚え方です。

    数年前、高校生の男の子にこの覚え方を説明したら、鼻で笑って、
    「先生が考えたんですか」
    と小馬鹿にしたように言うので驚いたことがあります。
    高校生になって遅い反抗期が始まっていた子でした。
    「・・・いや、私が考えたんじゃなくて、これはよくある覚え方なんだけど」
    私がそう説明すると、その子は、否定されたと感じたのか、プライドが傷ついた様子で顔がこわばりました。
    以後、この覚え方が「嫌な記憶」になってしまったのか、意地でもこの覚え方は使わず、その後も延々とサインとコサインが逆になったり正しかったりを繰り返していました。
    しかも、私の前で間違えることが嫌なのか、ノートを手で隠したりもしました。
    単なる直角三角形の三角比をマスターするまで、大変な労力と時間が必要でした。

    助言には耳をかさず、自分のやり方で解こうとし、そしてさらに誤解を深めていく・・・。
    教える方も多少厄介に感じますが、教わる側はもっと辛かったのではないかと思います。
    教わっているのに素直に聞くことができないのですから。


    少し前、定時制高校出身の芸人さんたちが集まって体験や思い出を語り合うテレビ番組がありました。
    少し古い時代の、主に関西の定時制高校の様子が語られていました。
    定時制高校には、年齢も境遇も様々な人が通います。
    中学で不登校だった子。
    成績不良でどうしても全日制高校に合格できなかった子。
    非行を繰り返してきた子。
    そして、経済的事情のために高校進学できず、数十年後にその夢を叶えた大人の人たち。

    いわゆる不良少年たちは、定時制高校でも、教室で弱い者に暴力をふるったそうです。
    そのとき、50代の韓国人女性が割って入り、叫んだというのです。
    「ここには敵はいない」
    殴られる側だったその芸人さんは、そんな言葉が通用する相手じゃないと思ったのですが、その不良はその女性に抱きしめられて号泣したというのです。
    以後、学校で暴力をふるうことはなくなったそうです。

    ここには敵はいない。

    1対1の個別指導塾に敵など存在するわけもないのですが、そこに緊張関係を持ち込んでくる生徒がいないわけではありません。
    「そうだよ、私がこの覚え方を考えたんだよ。凄いだろう」
    とでも言ってふざけてあげたら良かったのかなあ。
    私をバカにすることで、その子は留飲が下がったのかなあ。
    もう何年も前の話ですが、悔いが残ります。

    何よりも、その子が三角比を覚え直し、何とかマスターするまでの時間の長さ、その損失の大きさに悔いが残るのです。
    以後は、覚え方を教えるときは、
    「これは有名な覚え方で、参考書にもよく載っているね」
    と前置きをして説明するようにしています。
    私が考えた覚え方のときでも、そう説明することもあります。
    そう説明することで素直に聞いて利用してくれるなら、それが一番良いことだからです。


    集団指導塾で教えていたときは、その覚え方が有効なものである限り、秀才少年たちが、
    「覚えやすいな、これ」
    「これは初めて聞いた」
    などとつぶやいてくれました。
    それで教室の風向きが作られ、これを覚えることが良いことだという空気が生まれました。
    塾に通う秀才は実利を優先します。
    教え方がわかりやすく、覚えやすい限り、友好的です。

    ただ、その一方、一般的には十分にわかりやすい説明や覚えやすいやり方でも、わからない子や覚えられない子はいます。
    そうした子は、集団塾では、そのことを口にすることができません。
    皆が「わかりやすい」と盛り上がっている中で、自分一人、わからないと感じる。
    それを表情に出すこともできない。
    そんな子もいます。

    こちらはこれ以上はないくらいに噛み砕いて説明したつもりでも、
    「わからない」
    と言われてしまうのが、個別指導です。
    これなら絶対覚えられるはずの覚え方を教えても、
    「でも、自分は覚えられない」
    と言われてしまうこともあります。

    でも、むしろ、そのほうが健全な状態なのかもしれません。

    個別指導でも、学生バイトが中心で、若くてカッコいい男の先生や可愛い女の先生が親切に教えてくれるところでは、気がひけてしまって、わからなくてもわからないと言えず、わかったふりをして迎合してしまう生徒がいます。
    理解力はあるが勉強が嫌いな生徒は、素敵な先生に教わるだけでやる気が出て成績があがります。
    でも、そういうことでは解決のつかない生徒もいます。
    わからないままなので、いくら通っても成績が上がりません。

    「わからない、わからない、わからない」
    と生徒が言い、私に迎合しないのは、1つの信頼の形なのかもしれません。
    遅々とした歩みですが、今回の中間テストは、これまで50点未満が指定席だった子たちが、全員、50点を突破しました。
    何がわからないのか。
    わからないことの一番奥にあるものは何なのか。
    ときにはため息の出るようなやりとりもありますが、少しずつ結果は出ています。


    三角比に話を戻します。
    慣れてくれば、サインとコサインは、とにかく分母は斜辺で、サインの分子はθと関係のないほう、コサインはθと関係あるほうと把握できるようになります。
    そうなれば、直角三角形が寝そべっていようが逆立ちしていようが、何でもなくなります。
    まずは、そこは目指しましょう。
      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学

    2017年10月22日

    三角比は何に使うのか。誤解や思いこみとの闘い。



    今回は、三角比の話。
    高校生の中には、三角比から数学が全くわからなくなる子がいます。
    原因は色々考えられますが、いきなりタンジェントの定義から学習が始まることも1つの理由なのでしょうか。
    タンジェント自体はわからなくはない。
    でも、三角比とは何なのか?
    何のために三角形の辺の比を求めたりするのか?
    それが何だかよくわからない。
    わからないまま、とにかく言われたことをやらなければならない。
    そういう形で勉強が進みます。

    中学の数学から、あるいは小学校の算数から、勉強なんてとっくにそういうものになっている子は、諦めて黙々と勉強するのかもしれません。
    でも、中学までは、それなりに数学の学習の意味がわかっていた子が、この三角比で意味を見失い、数学につまずくのかと感じることがあります。

    ただ、中学の数学までは学習の意味がわかっていたというのは、おそらく誤解でしょう。
    「学習の意味」がわかっていたのではなく、「学習する内容」が本人にとってわかりやすいものだったのだと思うのです。
    自分が理解できることは、意味のあること。
    自分が理解できないことは、無意味なこと。
    そういうことにしてしまいたい気持ちは働いていないでしょうか。

    学ぶことの意味も、生きることの意味も、うまくいっていないときに考えることのように思うのです。
    考えることに意味はあると思いますが、知識がなく視野が狭い状態で考えると、あまり良いことは待っていないです。
    極端なことを考えてしまいがちです。
    まだ高校1年生なのですから、「何か意味があるんじゃないの?今はわからないだけで」くらいの感じて、ゆとりをもって臨みましょうよ。
    (*^^)


    三角比の使いみちは多様です。
    ひと口には言えないことですが、当面の目標としては、
    「三角形の角の大きさや辺の長さや面積を、ものさしや分度器で測らないで求めようとしているんだよ」
    ということでいいんじゃないかと思います。

    中学で、三角形の合同条件を学びます。
    3組の辺がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。

    合同である、ということは、そういう形と大きさの三角形は、この世に1つしかないということです。
    1つしかないものならば、その三角形のすべての角、全ての辺の数値は、決定しています。
    それは、計算で求められるのではないか?

    だから、
    3辺がわかっていれば、3つの角は計算できるはずです。
    2辺とその間の角がわかっていれば、残る1辺と、残る2角は計算できるはずです。
    1辺とその両端の角がわかっていれば、残る2辺と1角は計算できるはずです。
    そして、その全てにおいて、面積は計算できるはずです。

    三角比という単元の目標は、それです。
    とりあえず、そこに向かって学習が進みます。

    しかし、その目標達成のために、
    最初は直角三角形の辺の比の話を始めていたかと思ったら、
    サイン・コサイン・タンジェントの関係を表す公式が登場して、式の計算が始まります。
    じゃあ式の計算とか方程式の単元なのかなと思っていると、
    突然「単位円」なるものが表れ、座標平面上に描かれます。
    じゃあ、関数なのか?
    と思っていると、直角ではない三角形の話になってしまいます。
    この流れに飲み込まれ、混乱しませんように。


    「そうは言っても、現実生活に三角比なんか使わないし」
    そういう高校生もいますが、私は三角比を現実生活の中で利用しています。
    例えば、地形図に磁北線を引くときです。
    無雪期に、登山者の多い普通の登山道を歩くだけなら、「地形図」ではなく昭文社「山と高原地図」などの登山地図で事足ります。
    緑と茶色で色分けされた地形の上に登山道が赤で記され、何分かかるかコースタイムが記されている地図です。
    どこの書店でも、山のガイドブックなどが置かれているコーナーにあります。
    私も、普段の山歩きでは、ほとんどこの地図を使っています。
    何しろわかりやすいです。

    しかし、登山道ではない道を歩くとき。
    当然、道しるべはありません。
    あるいは、積雪期の山を歩くとき。
    すべて雪に覆われ、登山道は見えません。
    風雪のため、視界不良の可能性があります。
    そのような状況でも目的地に向かって進むために、2万5千分の1地形図とコンパス(方位磁石)を使います。
    地形図は、大きな書店や登山用具店に置いてあります。
    薄い引き出しが何重にも重なっている棚のようなものがお店の隅っこにあったら、開けてみてください。
    地形図がぎっしり詰まっています。
    あるいは、ネットで購入し、プリントアウトすることもできます。

    しかし、地形図は、買ってきただけでは、単に等高線が詰まっただけの紙です。
    コンパスを使うためには磁北線を書き入れなければなりません。
    というのも、「地図は上が北」とは言うけれど、コンパスの矢印が指す先は、正確には北ではないからなんです。
    地球は、巨大な磁石。
    しかし、その大きな磁石の極は、北極と南極ではなく、少しズレています。
    そのズレの角度は、地域によって異なります。
    しかも、年々、ほんのわずかですが変化します。
    その、磁石上の北、すなわち磁北をコンパスは北として指します。
    それを表す線を地形図上に描いておかないと、コンパスを正確に使用できません。
    その線が、磁北線です。

    どうせそんなの大した差じゃないんだろうと思うかもしれません。
    山梨県あたりで、「西傾6度10分」くらい。
    磁石上の北は、6度西に傾いています。
    地形図にそれを描くと、随分斜めなんで、びっくりします。
    この磁北線を引くときに使うのが、タンジェントです。

    例えば、こんなふうに引きます。
    まず、地形図の縦の長さをものさしで測ります。
    うむ、およそ42cm。
    三角比の表で、タンジェント6°を調べます。
    本当は6度10分だから、0.108くらいでいいかな。
    地形図上に斜辺が磁北線となる直角三角形をイメージします。
    右上に直角がある縦に細長い直角三角形ですね。
    直角を挟む縦の辺が42cm。
    横がxcmとすると、
    tan6°=X/42
    x=42×0.108
     =4.536
    なので、地形図の上部右端から、4.5cmのところに印をつけ、下部右端と直線で結びます。
    あとは、好みの問題ですが、私は5cm間隔でそれの平行線を引いています。
    これで磁北線の入った地形図の完成です。
    ヽ(^。^)ノ
    今は、パソコン上で磁北線を入れた上でプリントアウトするサービスもありますが、手書きできる技術を身につけておくことは全てにおいて有効です。


    地図は上が北。
    そのことで思い出す女の子がいます。
    大手の個別指導塾で働いていた頃、小6の女の子に社会科を教えていました。
    彼女は、中学受験生でしたが、8方位が理解できていませんでした。
    「東南」「北西」などの方角がわからないのです。
    ときどきは正解します。でも、またできなくなります。

    東と西の区別がつかない子は小学生に多いですが、理解できていないのではありません。
    西と東が逆になってしまうだけですし、それの覚え方はあります。
    でも、彼女の場合、それとは違うようでした。
    北と南もときどき逆になります。
    本気で取り組んでいるのに、8方位が理解できないのです。

    私は、試しに地図のコピーに東西南北を書き込んでみました。
    「これで練習しよう」
    と言うと、彼女は、不機嫌に答えました。
    「これは、違う。北は上だよ」
    彼女は、天を指差しました。

    「地図は、上が北」と言います。
    しかし、上とは、何なのか。
    そこから説明してもらえたことが一度もなかったから、彼女は誤解していたのです。
    子どもは、ときどき、大人が驚くような誤解をしています。
    いえ。
    彼女のは、誤解ではなかったのかもしれません。
    空に輝く北極星。
    あれが北だと、理科では教わるのですから。
    地球の外から北を把握し、1枚の地図にまでズームアップするとき、北の意味が本当に把握できるのです。
    地図は、上が北。
    そこまでクリアになったとき、彼女は、もう方位は間違えませんでした。

      


  • Posted by セギ at 12:45Comments(0)算数・数学

    2017年10月18日

    2次関数の解の正負に関する問題。


    高校数Ⅰの「2次関数」のラストを飾るにふさわしい応用問題と言えば、これ。
    2次関数の解の正負に関する問題です。

    問題 2次方程式 x2-2ax+a+2=0 が2つの正の解をもつとき、aの値の範囲を求めよ。

    発展的な問題とはいえ典型題ですので、解法パターンをしっかり把握しておきたいものです。
    それには、なぜそれで解けるのか、一度しっかり理解することが大切です。
    まず、F(x)=x2-2ax+a+2 という2次関数を考えます。
    このグラフは下に凸の放物線です。
    それが、x軸の正の部分と2点で交われば、上の2次方程式は2つの異なる正の解をもちます。
    そのような放物線を座標平面上に描いてイメージします。
    このとき、x軸・y軸との位置関係が重要なので、それらもしっかりと描いておくことが必要です。
    きちんと描いた上で、放物線がこのような位置にくる条件を考えていきます。
    x軸と2点で交わることから真っ先に思い浮かぶのは判別式でしょう。
    判別式が0より大きいならば、x軸と2点で交わるのでした。

    ここで「え?」となってしまう場合、判別式のところに戻って復習したほうが良いと思います。
    応用問題を解く中で、以前に学習した基本が身についていないことに気づくことはよくあることですが、そこに戻って復習することを嫌う子は多いです。
    「まあ、いいから、そういうことなんだとしよう」
    と目先の応用問題ばかり気にかけ、解き方だけ暗記しようとします。
    しかし、判別式とx軸との共有点の関係がピンとこなくなっているのなら、この応用問題は形が少し変わればもう解けないと思います。
    ならば、前に戻って復習し、せめて判別式に関する基本問題で得点することを目指すほうが現実的です。

    [1]判別式D/4>0より
    a2-(a+2)>0
    a2-a-2>0
    (a+1)(a-2)>0
    a<-1,2<a ・・・①

    しかし、これだけでは、放物線はx軸の正の位置でも負の位置でもどこでも、とにかく2点で交わることしか決定しません。
    では次に、放物線の軸の位置を決定してはどうでしょうか。
    軸が正の位置にあるなら、それより右側の共有点は、正の位置に確定するでしょう。

    [2]軸の方程式より
    x=2a/2>0
    a>0 ・・・②

    ここで、
    「え?今、何をやったの?何かの公式?」
    とうろたえる生徒も多数出ます。
    軸の方程式という言葉の意味さえわからないということもあり得ます。

    2次関数の学習が始まった最初のほうで、2次関数の頂点の座標を求める練習をしています。
    平方完成ですね。
    一般式でいうなら、
    y=ax2+bx+c
     =a(x2+b/ax)+c
     =a(x+b/2a)2-a(b/2a)2+c

    本当はもっと整理するのですが、今はx座標だけ見れば良いので、ここまでとします。
    頂点のx座標は、-b/2a です。
    したがって、この放物線は、x=-b/2a という直線を軸として線対称です。
    この直線の式を「軸の方程式」と呼ぶのでした。

    「ちょっと何言ってるのかわからない」
    という感想の場合、ここらへんが曖昧になっていると思いますので、復習したほうがいいのです。
    「2次関数」は大きい単元なので、テスト範囲が1学期末と2学期中間に分かれることがあります。
    そうなると、2学期中間テストの勉強をしていて、既に1学期末テスト範囲だったところがわからなくなっている子もいます。
    しかも、「テスト範囲ではないから」と言って、前半の振り返りをしないのです。
    基本がわからなくなっているのに、応用問題の解き方だけは丸暗記して済ませたい。
    こういう無理をする子がいます。
    でも、できるわけないですよね。
    ( ;∀;)

    [3] F(0)>0より
    F(0)=a+2>0
    a>-2 ・・・③

    さて、これは軸の左側の共有点のことを考えています。
    軸がx軸の正の位置にあっても、左側の共有点は負の位置に来る可能性はありますね。
    それを阻止するには、どうするか。
    放物線が、y軸と正の位置で交われば良いのです。
    そうすれば、必ずその右側でx軸と交わっています。

    以上で、放物線は確かにx軸の正の部分で2つの共有点を持つように固定できました。

    ①、②、③より a>2
    最後は、数直線上に3つの条件を整理して、3つとも満たすところだけを範囲とします。
    ここで、見誤って、2つしか満たしていないところを答えとしてしまう人も多いです。
    連立2次不等式を解く際にも同じ作業をするのですが、そこでも数直線を上手く読み取れない人がいます。
    そこが弱点だなと感じたら、自力で正答できる自信が持てるまで重点的に練習してください。


    さて、もう1つのパターンを見てみましょう。

    問題 2次方程式 x2-ax+a=0 が異符号の解をもつときのaの範囲を求めよ。

    これも3つの条件なのかな?
    と考えてしまいがちですが、実はこれ、ただ1つの条件を満たせば良いのです。
    F(x)=x2-ax+a という2次関数のグラフは下に凸の放物線です。
    これがx軸と正の位置と負の位置の2か所で交わるのなら、F(0)<0 です。
    これだけを満たせば、大丈夫です。
    「うそだー」
    と思う場合、y軸と負の位置で交わるのに、x軸の交点は正と負の2か所ではない放物線を描いてみましょう。
    描けませんよね?
    F(0)<0 だけが条件であることがそれで実感できると思います。

    すなわち、F(0)=a<0
    よって、a<0 が答えとなります。

    「2次関数」は、繰り返し問題を解いて慣れてしまえば、高校数学の中でも特にわかりやすい得点源です。
    (*^^)v

      


  • Posted by セギ at 12:37Comments(0)算数・数学

    2017年10月12日

    場合の数と確率。思考の幻影と闘う。


    「場合の数」という単元は、小学校6年生で最初に学習します。
    「ならべ方・組合せ方」といった単元名で、全ての場合を書きだして求めるのが基本です。
    樹形図の基本もここで学びます。

    中学2年生で、「場合の数と確率」を学びます。
    「順列」「組合せ」「確率」という用語が登場しますが、この時期も基本は全て書きだして場合の数を求めることが多いです。
    中高一貫校では、この時点で公式も教えますが、公立中学では、樹形図などを用いて全て書きだしていくのが基本です。
    都立入試の問題も、そのような構造の問題が多いです。
    例えば、以下のような問題です。

    問題 サイコロを2回投げて出た目の和が6となる確率を求めなさい。

    1つのサイコロで出る目は1から6の6通り。
    よって、2つのサイコロで出る目の場合の数は、6×6=36(通り)
    このうち、目の和が6となるものは、順番に書きだしていくと、
    (1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1) の5通り。
    よって、確率は、5/36。

    簡単な問題に見えて、間違える子は案外多いです。
    間違える子の多くは、以下のように間違えます。
    和が6になるのは、(1,5),(2,4),(3,3) の3通りだけれど、順番が逆なのもあるので、
    3×2=6(通り)
    だから確率は、6/36=1/6。
    (3,3)は1通りしかないことに気づかないのですね。

    こういう思考をする子は、数学が特別できないわけではないのです。
    全部書き出して済ますのではなく、何とか計算しようと工夫しています。
    しかし、詰めが甘い。
    全部書き出していくのが嫌なら、( )内の最初のほうの数字だけに注目して、1から5までだな、それなら5通りだなと瞬時に判断するほうがよりシャープな思考だと思います。

    地道で丹念であること。
    よりシャープな思考を選択すること。
    「場合の数と確率」の単元は対極にあるような上の2つを同時に要求される単元なのだと思います。

    「何だ5通りかあ。だまされた」
    などとブツブツ言いながらも納得する子も多いですが、
    「え?6通りでしょう?(3,3)は2通りあるじゃないですか」
    と主張する子もいます。
    「いえ。(3,3)は、1通りしかないですよ」
    「2通りありますよ。こっちの(3,3)と、あっちの(3,3)は、違う(3,3)じゃないですか」
    と言うのです。
    もう1つの(3,3)の幻影が見えている様子です。
    一度この幻影が見えてしまった子は、なかなか説得できません。
    「場合の数と確率」という単元は、こういう思考上の幻影が見えてしまうのも1つの特徴なのかもしれません。


    高校数学になると、順列も組合せも公式を用いて計算するようになりますが、上のような幻影はさらに濃くなり、多くの人を翻弄します。
    数年前、高校生に組み合わせの計算を少し簡単にする方法を指導したときのことです。

    問題
    12人の生徒を7人のAグループと5人のBグループに分ける方法は何通りあるか。

    その子は、まず、12C7という式を立てました。(12や7は、実際にはCより小さく書きます)
    そこで私は、少し計算が楽になる助言をしました。
    「12人から7人を選ぶ組み合わせは、12人から5人を選ぶ組み合わせと同じだから、そっちで式を立てたほうが、約分が少なくて楽だよ」
    「ええっ?」
    「・・・・・・え?」
    その子の驚き方があまりに大きかったので、逆に私が驚いたくらいだったのですが、この話、その後が長くなりました。
    「え?どういうことですか?」
    「だから、12人から7人を選ぶということは、12人から5人を選ばないということと同じことだから、選ばない5人を選んでも、同じことなんだよ」
    「え?それは、計算するとたまたまそうなるということですか?約分するとどうせ消えるからということですか?」
    「・・・・・・たまたまじゃなくて、当然そうなるよ。12人から7人を選ぶことと、12人から5人を選ばないということは、同じことなんだよ」
    「ええ?」
    「わからない?」
    「わかりません」
    「・・・・・・・・そうか。じゃあ、とにかく、好きなようにやってみよう」
    「見捨てないくださいよ!」
    「いや、見捨ててないよ。自分のわかるやり方でいいよ」

    それともう1つ。
    これほど理解できないということは、彼女は何か他に誤解していることがあると感じたのです。
    それを見極めれば、その子が理解できる説明があるかもしれません。
    その子は、首を傾げながら、再びその問題を解き始めました。
    彼女が書き終えた式は、12C7+12C5というものでした。

    「待て。なぜ、それを足すの?」
    「え、だって、Bグループも選ばないと」
    「・・・・・12C7・12C5なら、まだわかる。いや、それも誤解なんだけれど、まだ意味がわかる。でも、たし算って何?」
    「えー?」
    「この問題は、12C5だけで答えが出るよ」
    「ええっ。何でですか?」

    12人から7人を選べば、5人が残ります。
    残った5人が自動的にBグループになるので、それを計算する必要はありません。
    Aグループに入る人を選んだ後で、さらにBグループに入る人をわざわざ選ぶ必要はないのです。
    足すこともかけることも不要です。
    12人からBグループの5人のほうを先に選んでもいい。
    選ばれなかった7人が残ります。
    その人たちが自動的にAグループになります。
    だから、人数の少ないBグループを計算するほうが少し楽なんです。

    しかし、いったん誤解し、思考がねじれてしまっている子が、上の話を理解してくれる可能性は低いのです。
    「場合の数と確率」の単元で、生徒が見てしまった幻影を消すのは大仕事です。
    例えるならそれは、シャツのアイロンかけをするとき、普通の洗濯じわなら簡単にまっすぐに伸びるのに、アイロンで誤って作ってしまったアイロンじわはなかなか取れないようなものでしょうか。

    ただ、上の話は理解してもらえなくても、理解してもらえる別の説明の仕方があります。
    12人から7人を選ぶ選び方は12C7。
    そのそれぞれに対して、Bグループは残った5人から5人を選ぶから、5C5。
    だから式は、12C7・5C5。
    でも、5C5=1なので、わざわざ書かなくてもいいですね。
    12C7=12C5 は、約分するとどうせそうなるからという理解でもいいです。
    一般式として証明するときは、そういう証明の仕方をしますから。

    この説明をすると、
    「最初からそう言ってくれれば、わかったのに」
    「・・・・・・・はい」
    そのように理解してくれる生徒は多いです。
    Bグループを選ばないままにしておくことは、どうしても納得できないので、5人から5人を選んであげると、頭の中がスッキリする様子です。
    そこがスッキリすると、12C7=12C5 の件は、大した問題ではなくなるようなのです。

    わかりやすさの基準はどこにあるのか。
    使っている言葉は、ほとんど変わらないのに。
    言葉を組み変えたり説明を変えたり、いろいろ試行錯誤をし、どれかがヒットするのを待つのですが、それでも伝わったり、伝わらなかったり。
    最初は伝わらかったことが、時間をおくと伝わったり。
    でも、それが面白いから、この仕事が好きなのかもしれません。


    最後にもう1問。これは少し難問です。

    問題 4人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率を求めよ。

    シャープな思考と地道で丹念な解き方は、最終的に一致するものです。
    こういう漠然とした問題は、まずは具体的に地道に考えます。
    人を、A君・B君・C君・D君と名付けましょう。
    4人の手の出し方は、1人が3通りですから、全部で、3×3×3×3=81(通り)です。
    その中であいこになるのは、大きく分けて2通りあります。
    「全員が同じ手になる場合」と「3つの手が同時に出ている場合」です。

    まず、全員が同じ手になる場合は、
    全員がグー、全員がチョキ、全員がパーの3通り。

    次に、3つの手が同時に出ている場合。
    グー・チョキ・パーのどれかの手を2人が出し、あとは1人ずつでしょう。
    まず、グーを2人が出し、あとの手は1人ずつと考えてみましょう。
    A、B、C、Dを横に並べて、グー・グー・チョキ・パーのどの手を出すかを割り振っていきます。
    同じものを含む順列の公式で割り振ることができます。
    4!/2!=4・3=12(通り)
    これは、チョキを2人が出す場合も、パーを2人が出す場合も同じ数となるでしょう。
    だから、12・3=36(通り)

    よって、あいこになる場合の数は、
    3+36=39
    したがってあいこになる確率は、
    39/81=13/27 となります。

    このように、より具体的に考えていくことで立式が可能になります。
    高校数Aの「場合の数と確率」の問題は、より具体的に考えることが幻影を見ないコツだと思います。

      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)算数・数学

    2017年10月09日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と共有点を持たない場合。


    問題 2x2+x+5>0 を解け。

    これの、xの右の2は指数として読んでください。
    この種の問題は、テキストの解説・解答を読むと、いきなり判別式を書いて判断していると思います。
    なぜ、最初から、他の不等式とは違う解き方をするのか?
    他の不等式とどこが違うのか?
    自学自習をする上で、困惑する点の1つは、そういうところだと思います。

    でも、実は、こういう不等式も、他の不等式と同じ解き方から考え始めるのです。
    まずは普通の2次不等式のように、左辺を因数分解して解くことを考えます。
    しかし、因数分解はできないと気づきます。
    そこで、2次方程式の解の公式を使って解いていきます。
    すると、解の公式の分子の部分の√ の中、つまり判別式にあたる部分が負の数になってしまいます。
    そこで、ああ、この2次不等式は、普通のと違うぞと気づく。
    その流れで大丈夫なんです。

    ただ、慣れてくれば、そんなことをする前に、まず判別式だけ暗算することも可能です。
    というよりも、2次不等式を見た瞬間に、判別式は負の数になるなあとピンとくるんです。
    判別式 D=b2-4ac
    aは正の数となるように不等式は整えてあります。
    そこでcの正負が後半の-4acの正負を決定します。
    cが負の数ならば、-4acは正の数となり、b2-4ac全体も正の数なります。
    問題は、cが正の数のときです。
    cが正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きいと、D<0となります。
    正確にかけ算しなくても、ひと目で大体のことは判断できます。
    そういうこともあり、数学のテキストは、いきなり判別式を用いての解説が始まっています。

    しかし、このことを高校生に教えるのは難しいときがあります。
    cか正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きくなればいい。
    このことをなかなか理解できない子がいます。
    判別式を暗記していないため、書いてみないとわからない子もいます。
    bの2乗と4acのどちらが大きいかは、きちんと計算しなければわからない、と主張する子もいます。
    「こういうのは、私はきちんと計算しないと嫌なんですっ!」
    と、キレ気味の反応をする子もいます。

    結局、
    「わからないから、普通に解きます」
    と言われてその話は終了、というのはよくあることです。
    ( ;∀;)

    でも、それでも構わないんです。
    最初に書いたように、まずは因数分解できるのかなあと考え、ダメなら、2次方程式の解の公式で解いてみて、√ の中身が負の数になることに気づき、ああ、特別なタイプの2次不等式だと気づくという順番で、一向に構わないと思います。

    問題に戻りましょう。
    2x2+x+5>0 を解け。
    判別式D=1-4・2・5=-39<0
    判別式が負の数ですから、放物線y=2x2+x+5 は、x軸と共有点を持たないですね。
    軸と共有点を持たない、下に凸の放物線です。
    x軸の上空を放物線が浮いているイメージですね。
    では、そのyの値は常にy>0でしょう。
    ということは、すべてのxについてy>0、すなわち2x2+x+5>0 が成り立つということです。
    よって、この不等式の解は、すべての実数です。

    ここでの課題は、やはりどうしても y>0 と2x2+x+5>0 とが頭の中で一致しないことでしょう。

    x座標とy座標との関係について、何かが頭の中で詰まっていて、つながらない。
    そういう子は多いです。
    先日も、中学生に「1次関数」の授業をしていました。

    問題 直線y=1/3x+5・・・① がある。x軸上の点Pを通るx軸に垂直な直線と直線①との交点をQとする。
    点Pのx座標をtとするとき、PQの長さをtを用いて表せ。
    ただし、t>0とする。

    問題より、P(t,0)ですから、その真上にある点Qのx座標もtです。
    そして、点Qは直線①上の点ですから、Q(t,1/3t+5)と表すことができます。
    よって、PQ=1/3t+5 が答えです。

    この問題、わかる人には本当に何でもない問題なのですが、わからない子にとっては、もしかしたら一生理解することはないのではないというくらいわからないようなのです。
    点Pのx座標がtというのがまず少し抵抗があるようですが、それは問題にそう書いてあるので、仕方ないから諦めるようです。
    pの真上の点Qのx座標が同じtであることも少しモヤモヤしているようですが、まあギリギリ理解できるようです。
    しかし、Qのy座標が 1/3t+5 になることは理解できないのです。
    まして、PQ=1/3t+5 になることとなると全く理解できない様子です。

    「直線上の全ての点のx座標とy座標には、その直線の式と同じ関係があるんだよ。直線は、そういう性質の点の集合なんだから」
    「そうなんですか?」
    「うん。だから、y=1/3x+5 という関係が成り立つので、xがtのときは、yは1/3t+5になるんだね」
    「代入すればいいってことですか」
    「すればいいっていう言い方はちょっと引っかかるんだけど。本当にわかる?」
    「いや、全然わかんないです」
    「どこがわからない?」
    「いや、もうそれでいいってことで」
    「・・・・もう1回説明しますよ」

    このような中学生は多いです。
    理解していないので、問題の形式が少し変われば、もうそのことを利用できません。
    関数の応用問題が解けない子は、多くの場合、ここでつまづいています。
    座標平面上の点のx座標とy座標との関係を利用できません。
    その点がどの直線上にあるかに着目すれば、その直線の式を用いて、y座標を表すことができるのです。
    しかし、多くの子は、その点がどの直線上の点であるかに着目することができません。
    直線の式を用いるという発想を持つことができません。
    わかる子は一度の説明でスルッと理解するのですが。
    ここで、関数がわかる子とわからない子との間に大差がついていきます。
    何としても、中学のこの段階で関数の根本を理解しておいてください。
    高校数学を学ぶときに、大きく影響しますから。

      


  • Posted by セギ at 12:33Comments(0)算数・数学

    2017年10月05日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と接する場合。


    さて、「2次不等式」の話の続きです。

    問題 x2-4x+4≧0 を解け。

    これは左辺が平方の形に整理されます。
    (x-2)2≧0
    2次関数 y=(x-2)2 を
    グラフにしてみると、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線となります。
    この放物線は、すべてのxについてy≧0が成り立ちます。
    よって、もとの不等式の解はすべての実数です。


    問題 x2+6x+9>0 を解け。
    (x+3)2>0 と整理できます。
    放物線y=(x+3)2 は、点(-3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=-3のときだけは、y=0となり、y>0を満たしません。
    だから、この不等式の解は、x=-3をのぞくすべての実数となります。


    問題 x2-6x+9≦0 を解け。
    (x-3)2≦0 と整理できます。
    放物線y=(x-3)2 は、点(3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=3 のときだけy=0となり、y≦0を満たしますが、それ以外は全てy>0となり、y≦0を満たしません。
    よって、解は、x=3 となります。
    「不等式なのに解が1つだけでいいの?」
    と納得しない高校生もいるところですが、あてはまるところが1つしかないのですから仕方ありません。

    問題 x2-4x+4<0 を解け。
    (x-2)2<0 と整理できます。
    放物線y=(x-2)2 は、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、どのような場合にもy<0を満たしません。
    よって、解はない、となります。


    このようなタイプの問題を整理すると、

    (x-a)2≧0 のとき、 xはすべての実数
    (x-a)2>0 のとき、 xはaを除くすべての実数
    (x-a)2≦0 のとき、 x=a
    (x-a)2<0 のとき、 解はない

    上の( )の次の2は、指数として読んでください。
    この4パターンを理解するのにかなり時間がかかる子がいます。

    時間がかかっても正しく理解してくれたらそれで良いのですが、覚え間違えてしまう子もいます。
    奇跡的なほどに、逆に逆にものごとを覚えてしまう子がときどきいるんです。
    もういっそ、最初から逆に教えたら、むしろ正しく定着するんじゃないか、というほどに。
    解説を聞いて、そのときは理解しても、1週間経つと、また逆になっています。
    やればやるだけ混乱してしまう様子です。
    ( 一一)


    初期に覚え間違えると一生混乱するということはあります。
    私も、そういうのが1つあります。
    「熊」のアクセントがいまだによくわかりません。
    動物の「熊」と、目の下の「くま」の、どちらか頭高型アクセントだったか、混乱しがちです。
    これ、テレビを見ていても、アナウンサーやナレーターによってアクセントがバラバラであるように思うんですよ。
    私が混乱しているからそう思うのかなあ。
    ( 一一)

    最初に覚え間違えると、一生たたります。
    以前、あるタレントさんが「警視庁」と「警察庁」のどちらが何だったか、最初に覚え間違えて、よくわからなくなっているとぼやいていました。
    むしろ、世間一般では、警察庁というものの存在がほとんど認識されていないので、そこの混乱は起こりにくいのですが。
    高学歴タレントならではの不思議な混乱でした。


    左辺が平方になる2次不等式に話を戻して。
    「解はすべての実数」「解はない」などが答となる場合に、
    え、そんなのが答えでいいの?
    と納得しない高校生もいます。
    「解いた気がしない」
    と言うのです。

    すべての実数というのは、結局なんでもいいということだから、そんなのは答えと言えないのではないか。
    そんなふうに考えてしまうようです。
    そういう子は、x<3 というような答えでも、実は不満で、何ではっきり定まらないのが答えなんだろうと口にすることがあります。
    まだ小学校の算数の意識が残っているのかもしれません

    不等号に対する概念が小学生のままなのだと思うのです。
    不等号は、小学校では、大きさ比べ以外では使いません。

    3<5

    というようなことですね。
    実際には、
    2/7<0.3
    というように、小数と分数の大きさ比べなど、上の例よりは難しいことで使いますから、何かもっともらしいことをしている気がしますが、結局、小学生の間は、大きさ比べをしているだけです。

    しかし、x<3 が表しているのは、大きさ比べではありせん。
    「xは、3未満のすべての実数である」という意味なのです。
    これを、答えが定まっていないように思うのは誤解で、明確に定まっているんです。
    しかし、
    「xと3とを比べると、xのほうが小さい」
    というふうにしか思わないと、xの値はぼんやりしていて、じゃあなんなの?と感じてしまうようです。

    同様に、
    「解はすべての実数」
    というのも、解として明確に定まっています。
    解はすべての実数として、定まっているのです。
    しかし、そのことが理解しづらい子もいるようです。

    本人の理解不足から、
    「数学って何か変」
    「数学っておかしい」
    と不満を抱くようになり、数学を否定し始めることがあります。
    数学を否定し、数学を勉強しない言い訳にし、数学で受験できないようになってしまうのは、しかし、勿体ないです。
    全てを理解できないとイライラするのかもしれませんが、わかるところとわからないところがあっても数学全体は否定せず、何とかつきあっていってほしいなあと思うのです。

    難しい内容に対して、
    「学校でそんなのやってない」
    と主張する子もいます。
    これは微妙な話です。
    本当に学校で習っていないこともあるからです。
    進学校でない場合、こういう難しいところは省略してしまうことはあるでしょう。
    本人が数学を入試科目に使用する可能性が皆無であれば、無理に教える必要はないと私も判断します。

    しかし、本人が「やっていない」と思いこんでいるだけで、実は、学校で習っている可能性も高いのです。
    授業を聞いていない。
    授業が理解できていない。
    だから、何を学習し、何を学習していないのか、よくわからない。
    そういうことは珍しくありません。


    必ず持ってくるように言っても教科書を持ってきません。
    学校のノートもありません。
    学校の問題集だけは、塾で学校の宿題をやりたいなと期待して持ってきているので、それで調べます。
    「ここに、この問題が載っているけれど、本当に習っていないの?」
    そのように具体的に質問していくことで、ようやく本人の記憶が戻ってきたりします。
    「あ。やったかもしれない」

    ( ;∀;)


    「実数」という言葉が突然出てくると、えーと、実数って何?と言い出す子もいます。
    用語がいろいろありすぎて、だんだんわからなくなってくるという話は、少し前にもここでしました。
    しかし、数学の用語を使わないと、説明はもっとわからなくなります。

    以前にこんなこともありました。
    中学3年生と図形問題を解いていたときのことです。
    「この問題、補助線が要るね。どう補助線を引く?」
    と私が問いかけたところ、その子は、
    「真ん中の棒に、それと同じ幅の棒を、何かえーと、同じ幅になるように書いて・・・・・」
    と説明し始めました。
    「・・・・・待て。何を言っているのか、わからないよ」
    「だから、ここの棒を」
    「・・・・・・線分ACのことなの?中3が、数学の時間に、『線分』を『棒』と言ったらダメだよ」

    さらに彼の説明を聞くと、彼がしきりに「同じ幅」と説明していたことは、平行線のことだろうかと思ったのですが、実は、点Pから線分ACに垂線を下ろすことだったのです。
    さすがに、それは伝わらない。
    ( ;∀;)

    数学用語がたくさんあり、そのすべてについて厳密に定義されているのは、必要があってのことです。
    本人が使用している言葉の意味が、他人の理解とは異なる場合、伝えたいことが伝わらなくなります。
    だから、数学用語を正しく理解し、正しく使用することは、意味のあることなんです。

    教える側が、「すべての実数」という言葉を使わず、
    「なんか、何でもいいやつ」
    などと説明したら、おそらく、誰も理解できませんよね。
    (^-^;

    自然数、整数、有理数、無理数、実数。
    そして、この先に、虚数。
    用語の意味がわからなくなったら、その都度定義に戻って、正しい用語を正確に使用していきましょう。

      


  • Posted by セギ at 13:17Comments(0)算数・数学

    2017年09月27日

    2次不等式の解法。




    画像は、3年前、日影沢で撮影したキツリフネです。
    かなりピンボケですが。

    今日は2次不等式の話。
    例えば、こんな問題です。

    問題 x2-3x+2≧0 を解け。

    実際に解くときには簡略化して、作業手順だけの解き方になりますが、ここではじっくり考えてみましょう。
    まずは左辺を2次関数とします。
    =x2-3x+2
    この放物線はx軸とどのように交わるでしょうか。
    y=0を代入してみましょう。
    x2-3x+2=0
    (x-1)(x-2)=0
    x=1,2
    よって、上の放物線は、x軸と点(1,0)、(2,0)で交わるとわかります。

    x軸と2点で交わる下に凸の放物線をイメージしてください。
    ここで、不等式x2-3x+2≧0に戻りましょう。
    この不等式の解の範囲は、放物線で、x軸上とそれより上の部分ということになりますね。

    ここで「え?」「え?」となってしまう高校生は多いです。
    x2-3x+2の値というのは、yの値なのであるということが頭の中で上手く繋がらないのかもしれません。
    y=x2-3x+2
    としたのですから、x2-3x+2の値はyの値です。
    したがって上の不等式は、放物線で y≧0の部分ということになります。

    xについて解く練習ばかりしてきたせいか、x2-3x+2という式自体が何かの値を表しているということがピンとこない子は多いです。
    それがyとイコールであることも、頭の中で上手くつながりません。
    y=x2-3x+2
    と書いてあるんだから、そうでしょう?
    と説明しても、ポカンとしています。

    「え?じゃあ、x≧0が解?」
    と高校生に質問されて、ぎょっとしたりするのですが、そういうことではありません。
    y≧0の部分のxの範囲が解です。
    では、どの部分かというと、x軸で点(1,0)、(2,0)で交わっているのですから、x座標でいうと、1以下の部分と2以上の部分で、放物線はx軸上とそれより上となります。
    よって、解は、
    x≦1,2≦x
    となります。

    x軸上とそれより上の部分の放物線の各点のx座標が、この不等式の解です。
    このことを理解してもらうためにはかなり根気よく説明しなければなりません。
    ここでは、実際に放物線を用いて説明していないからわかりにくいという面もありますが、放物線を用い、わかりやすいテキストを見ながら解説しても、上手く理解できない子もいます。
    「学校でやったけど、意味がわからなかった」
    と相談を受けることが多い箇所です。

    中学生のときに関数と座標平面について確かな感覚を養ってこなかった子は、放物線上のそれぞれの点にx座標とy座標があることが曖昧なのかもしれません。
    x座標やy座標を活用するタイプの問題に弱い傾向があります。
    放物線は点が上下に動いているように見えるので、上下の方向、すなわちy座標のことしか考えられなくなるのでしょうか。
    放物線上の点には、x座標とy座標があります。
    y≧0 である範囲の放物線上の点の、x座標が解なのです。
    それをx軸上に落として説明しているテキストは多いです。
    しかし、x座標で考えることができない子は多いです。

    中学の間は、関数と方程式は、ほとんどつながりがありません。
    唯一、中2の「1次関数」で、「連立方程式のグラフによる解法」という内容を扱います。
    その際に、
    「関数をやってたはずなのに、急に連立方程式の話になるから、意味わかんない」
    と愚痴を言う中学生がいます。
    「連立方程式なんて計算で解けばいいのに、それをグラフで何かぐちゃぐちゃやっているから、意味がわからない」
    というのです。
    その「グラフで何かぐちゃぐちゃ」が、実は大切な部分なのですが、問題を解くことに短絡的にはつながりません。
    無駄に思えて無視してしまう子は多いです。
    数学の各分野でそれを繰り返すうちに、頭の中に残っているのは個々の問題の解き方だけになってしまいます。
    海の上に浮かんでいる島だけが見えていて、それが海底で全部つながっていることがわかっていない状態です。
    本人の頭の中では、島どうしがつながっていませんから、全て不安定な浮島です。
    より高度な内容が入ってきたときに、それでは処理できなくなります。
    本当に大切なのは、島ではなく、海底を作る作業でしょう。

    今回学習した2次不等式は、最初は理解してもそのうち作業手順だけになりがちなところです。
    2次不等式を実際に解くときは、いちいちグラフは描きません。
    不等号の向きだけで単純に処理していきます。
    そのせいもあって、時間が経つと途中の考え方が頭の中から消えていきます。
    海底が消え、浮島だけが残ってしまいます。
    なぜそれで解けるのか、わからなくなります。
    そうして、わからなくなっていることに、ある日突然、自分で気がつき、不安になります。
    そうなってから、先生に質問します。
    しかし、不安を感じながら聞く説明は、もう最初のときほど理解しやすいものではなくなっています。

    海底を作る作業は、本当に難しい。
    小学生の頃から、ある意味頭の回転が速く、作業を手順化して短絡的に結びつけることに慣れているタイプの子ほど、あっという間に海底が消えていくことがあります。
    全ては海底でつながっていることを常に意識して問題を解いていきたいですね。


      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学

    2017年09月22日

    2次方程式の解と係数。


    2次方程式 ax2+bx+c=0 の2つの解をα、βとすると、
    α+β=-b/a , αβ=c/a

    これが「2次方程式の解と係数の関係」と呼ばれるものです。
    非常に単純なことであるにも関わらず、全く理解できない子や、そのときは理解してもすぐ忘れてしまい活用できない子の多いところです。
    何がいけないのだろうと考えるに、まず「α」「β」という文字遣いがいけないのでしょうか。
    もっと親しみやすい文字だったら、もう少しとっつきやすいのかもしれません。

    α(アルファ)やβ(ベータ)はギリシャ文字です。
    数学では他にギリシャ文字のɤ(ガンマ)、ω(オメガ)、θ(シータ)、Σ(シグマ)などを良く使います。
    「何でそんなの使うの!余計にわからなくなる」
    と頭の硬いタイプの子は不平を言いいます。
    でも、種類の異なる事柄を語る際には、アルファベットとは種類の異なる文字を使ったほうが、むしろわかりやすいと思います。

    ギリシャ文字を使うのは、これが初めてのわけでもありません。
    中学1年生から馴染んでいる円周率π(パイ)。
    あれも、ギリシャ文字です。
    なぜπにはあまり抵抗感を抱かないのでしょう。
    こんな文字は使いたくないと怒りだす中学生は見たことがありません。
    それは、πがあまりにも便利だから、その喜びに、他のことはどうでもよくなるからでしょうか。
    ×3.14の計算からこれで解法されるという喜びが、「πって見たことないけど何なの?」という違和感を凌駕するのでしょう。
    結局、違和感や抵抗感は、本人の気持ちの問題なのでしょう。
    それを数学嫌いの口実に使うのは、自分の将来を狭めるだけで、勿体ないです。

    とは言え、テキストに突然ギリシャ文字が表れて、何の説明もなされないとなると、違和感があるのも事実。
    仲間内の集まりと聞いていたのに突然知らない人が参加していて、誰も何にも説明してくれないような感じはするでしょうか。
    だから、最初に出てきたときに、紹介してあげれば良いのでしょう。

    ギリシャ文字のアルファとベータが今後は登場します
    aやbなどの英文字を使っているところに、それとは種類の違う数量を表したいときに使います。
    アルファは、上からひと続きで書きます。
    ベータの書き順は、下からひと続きです。
    お見知りおきを。

    これくらいの紹介をするだけで、案外すんなり受け入れてもらえるものなのかもしれません。

    さて、本題に戻って。
    解と係数の関係に関する問題を少し解いてみましょう。

    問題 2x2+bx+c=0の2つの解が1と3であるとき、b、cの値を求めなさい。

    これの地道な解き方としては、x=1、x=3をそれぞれ代入して、2本の式を作り、連立方程式として解く方法があります。
    x=1を代入すると、
    2+b+c=0 ・・・・①
    x=3を代入すると、
    18+3b+c=0 ・・・②

    ②-①をすると
    16+2b=0
       2b=-16
        b=-8 ・・・③
    ③を①に代入して
    2-8+c=0 
         c=6
    よって、b=-8、c=6

    しかし、以下のように解くこともできます。
    x=1,3 である2次方程式の1つは、
    (x-1)(x-3)=0 である。
    これを展開して、
    x2-4x+3=0
    全体を2倍して、
    2x2-8x+6=0
    これは 2x2+bx+c=0 と同じものだから、係数を比較して、
    b=-8、c=6

    はるかに簡単に同じ答えが出てきました。
    x=1,3 が、なんで (x-1)(x-3)=0 になるのかわからないという質問をときどき受けるのですが、これは、2次方程式を解く作業を逆転させていると考えてください。
    (x-1)(x-3)=0
    と因数分解された2次方程式の解は、x=1,3 ですね。
    その逆を行っています。

    ここまでくると、一番上で説明した解と係数の関係もわかってきたかと思います。

    証明してみましょう。
    2次方程式 ax2+bx+c=0 の2つの解をα、βとすると、
    (x-α)(x-β)=0 が成り立つ。
    これを展開して、
    x2-αx-βx+αβ=0
    x2-(α+β)x+αβ=0 ・・・・①
    ここで、ax2+bx+c=0 の全体を1/a倍すると、
    x2+b/ax+c/a=0 ・・・②
    ①と②は同じものであるから、係数を比較して、
    α+β=-b/a 、αβ=c/a
    これが、解と係数の関係です。

    こんなの何に使うのかというと。
    忘れた頃に応用問題でガンガン使うことになります。
    どうぞ、お見知りおきを。
      


  • Posted by セギ at 11:01Comments(0)算数・数学

    2017年09月13日

    2次関数。放物線と直線の交点。


    放物線と直線の交点に関する問題は、中3の「2乗に比例する関数」でまず学習します。
    放物線の式と直線の式とを連立して解けば、交点の座標を求めることができます。
    そんなに難しい内容ではないのですが、このことに対する理解は大きく3段階に分かれます。
    どうしてそのようにして求められるのか、深く理解している子。
    どうしてそのようにして求められるのかはあまり理解できないが、作業手順として覚えている子。
    作業手順もなかなか覚えられない子。

    作業手順として覚えているのなら正解は出せるのだからまだ良いのではないかという考え方もありますが、深い理解をしていない場合、この知識を座標平面上の図形などの応用問題に活かせないことが多いのです。
    応用問題を解く際に、
    「とにかく、今求められるものを求めてみよう。その値は絶対使うから」
    などと声をかけても、何を求められるのかわからず、ぼんやりしてしまう子は、作業手順だけを覚えてきた子です。

    「放物線と直線の式は問題に書いてあるでしょう?だから、交点の座標は求められるよね?」
    「え?そうなんですか?」
    「そうだよ」
    「え?どうやって求めるんですか?」
    「・・・・・」

    基本問題の作業手順として覚えただけなので、他の場面では使えないのでしょう。
    作業手順は、しばらく作業しないでいるとやり方を忘れてしまうのも欠点ですが、使い回しが効かないのが一番残念な点です。

    放物線も直線も、それぞれ、同じ性質を持った点の集合です。
    その性質とは、その点のx座標とy座標との関係が同じということです。
    その関係を表しているのが放物線や直線の式です。
    放物線y=2x2上の点は、どの点もそのx座標とy座標は、y=2x2という関係があります。
    直線y=-x+3上の点は、どの点もそのx座標とy座標は、y=-x+3という関係があります。
    だから、その放物線と直線との交点は、その2つの式の両方の関係を持っています。
    2本の式を連立して解けば両方の性質を持っているxとyが出てきます。
    交点の座標が求められるのは、そのためです。

    こうした説明が深く入っていく様子がないのが、作業手順を覚えることに流れてしまう子の特徴です。
    上の説明の何かがわからないということはない様子です。
    しかし、上の説明の内容の重要性が理解できない。
    深く入っていかない。
    他のことと結びつかないのです。

    ですから、
    「次の放物線と直線の交点を求めなさい」
    という基本問題ならば解けるのですが、応用問題の中でそのことを活かしていくことができないのです。
    頭の回転は速いのに、何でそうなってしまうのかなあと不思議に感じる子は多いです。
    小学生の頃から、「勉強することは作業手順を覚えること」という頭の働かせ方をしてきたのかなあと想像するのですが、確証はありません。


    問題 放物線 y=kx2+2x+5 と直線 y=-2x+3 の共有点の個数を求めよ。

    これは、高校数学Ⅰの2次関数の問題です。
    共有点とは、交点ないし接点ということです。
    上の放物線と直線の共通の性質を持っている点ということですから、2本の式を連立して解けばいいですね。
    どちらもy=  の形ですから、代入法を用いて、
    kx2+2x+5=-2x+3
    とします。
    これは2次方程式ですね。
    左辺に集めましょう。
    kx2+4x+2=0
    これの解が、放物線と直線の共有点のx座標です。
    ですから、解が2つあれば、共有点は2個あります。
    解が1つならば、共有点は1個です。
    解がないならば、共有点はありません。

    解の個数が、共有点の個数。
    だったら、判別式が使えますね。
    上の2次方程式の判別式をDとすると、
    D/4=4-k・2=4-2k
    4-2k>0とすると、
     -2k>-4
       k<2
    よって、
    k<2のとき、共有点2個
    k=2のとき、共有点1個
    k>2のとき、共有点はない。

    これが上の問題の解答となります。

    この問題、説明を聞いている間は理解できたはずなのに、時間が経つと、ふっとわからなくなる人がいます。
    「あれ?判別式って、放物線とx軸の共有点の個数を判別するものなのに、何で放物線と直線の共有点の個数も判別式でわかるんだろう?直線は斜めになっているのに・・・」

    ここでもう一度確認したいのは、判別式というのは「放物線とx軸との共有点の個数を判別するもの」という定義は誤りだということです。
    そのために使うことはできるけれど、そのためのものではありません。
    判別式は、2次方程式の解の個数を判別するものです。
    上の問題では、まず放物線の式と直線の式とを連立して2次方程式を作りました。
    その解の個数は、放物線と直線との式との共有点の個数を表します。
    だから、判別式を利用して共有点の個数を判別できるのです。

    この説明も、深く理解できる子もいれば、もうわからないから作業手順だけ覚えますという子もいます。
    作業手順だけ覚えていくには、この先の内容は複雑過ぎるので、何とか少しでも理解を深めてほしいところです。
    まだ理解できるはずのところで諦めてしまうと、この先は大変なんですよ。
    ( ;∀;)

      


  • Posted by セギ at 13:22Comments(0)算数・数学

    2017年09月01日

    判別式とは何か。


    画像は、数年前に訪れた朝日連峰に咲いていたトモエシオガマ。
    今年の夏は全く山に行けなかったですが、また何日もかかる大きな山を歩きたいなあ。

    さて、本日は判別式の話です
    判別式は、2次方程式の解の公式の√ の中身の部分です。
    すなわち、2次方程式 ax2+bx+c=0 の判別式Dは、
    D=b2-4ac
    bが偶数である場合は、もう1本の解の公式の√ の中身を使います。
    4/D=(-b')2-ac

    これらの判別式、何を判別するのかというと、この2次方程式の実数解の個数を判別します。
    2次方程式の解の公式を確認しましょう。
    x=-b±√b2-4ac /2a ですね。

    もしも、√ の中身が0であるなら、この解は、
    x=-b/2a±√0
     =-b/2a
    となってしまいます。
    すなわち、これが重解。
    解が1つの場合です。

    √ の中身が負の数の場合はどうでしょうか。
    2乗して負の数になる数は、実数の中には存在しません。
    例えば、√-2 などの数は、実数には存在しませんね。
    だから、この2次方程式の実数解はないということになります。

    √ の中身が正の数の場合は、普通に、解は2個存在します。

    このように、√ の中身が0か、0未満か、0より大きいかで、解の個数が判別できます。
    そこで、√ の中身の部分を判別式と呼んでいるのです。

    まとめると、
    D>0のとき、実数解2個
    D=0のとき、実数解1個
    D<0のとき、実数解はない

    実数解の個数なんて、方程式を解けばわかることなのに、こんなの何に使うんだろう。
    判別式を初めて学習し、解の個数を判別するだけの基本問題を解いているとき、高校生は、そんなふうに感じてしまうことがあるようです。
    ひどく無意味なことをやらされている気がするのでしょうね。
    しかし、基礎訓練に意味を求めても仕方ないのです。
    教えられたことを理解しているかどうかの確認をしているだけですから。

    判別式は、2次方程式を解いている間は、さほど意味をなさないものです。
    問題は、ここから。
    2次関数と2次方程式との関係をまず考えてみましょう。
    ax2+bx+c=0
    という2次方程式は、
    y=ax2+bx+c
    という2次関数のy=0のとき、と考えることができます。
    y=0とは、どんなときでしょうか。
    それは、座標平面で言うなら、x軸上にあるとき、ということです。
    すなわち、2次方程式 ax2+bx+c=0 の解とは、
    2次関数 y=ax2+bx+c とx軸との交点のx座標であるということができます。

    ここで、数学が苦手な高校生の反応は例によって、
    「言っていることが全くわからない」
    か、
    「言っていることが当たり前すぎて、何にも刺さらない。だから、何?」
    となりがちです。

    そして、このことの重大さが理解できず、何となく通り過ぎた先に、これが大切なことだと認識できなかったために理解できなくなる多くのことが立ちはだかるのです。

    もう一度書きます。
    2次方程式 ax2+bx+c=0 の解とは、
    2次関数 y=ax2+bx+c とx軸との交点のx座標です。

    ここで、「え?」「え?」「え?」となってしまう人の中には、y=0の点はy軸上にあるという誤解をしている子もいます。
    こういう誤解はしつこく本人を苦しめるようで、そのときは理解しても、また何度でも混乱が起こります。
    一度間違えて覚えてしまったことはなかなか消えず、どちらが正しかったか、またわからなくなるようなのです。
    その度、そういう誤解をしているのではないかと察して補足説明をしてあげると、その先に進むことができます。

    「x軸との交点」とか「x座標」という言葉遣いがわかりづらくて苦手という子もいるようです。
    これらは一度きちんと定義されていますので、この用語を使うからこそ内容が正確に伝達できるものなのですが、その定義をきちんと覚えなかった子にとっては、難しい用語ばかり使われるのでわからない、となるようです。

    中学3年生に乗法公式の授業をしていたあるとき、その子が、
    「先生、この式もほぐすんですが?」
    と訊いてきたことがあります。
    「ほぐす?」
    「だから、ほら」
    「・・・・ほぐすって?」
    「ええと、どういうんでしたっけ」
    「・・・・展開するということですか?」
    「そうそう、それ」
    「・・・・ほぐすでは、伝わらないですよ」
    「えー。どうしてですか。感じが出ていませんか」
    「ニュアンスで数学を語っても、他人には伝わりませんよ」
    私は意地悪で理解しなかったのではなく、その子が何を言っているのか、本当にわからなかったのです。
    自分だけが理解できる表現で伝えても、他人には伝わりません。
    特に数学のように、緻密な内容を正確に伝えなければならないとき、自分だけが理解できる表現で伝えるのは無理があります。
    だから正確に定義された用語が必要となります。
    しかし、中高生は、まだ主観的な感覚から客観的な感覚へと脱却する途中にある子が多く、正確に定義された用語をむしろ嫌うのかもしれません。
    先人が正確に定義した用語よりも、自分の感覚で作った表現のほうが好ましいのでしょうか。

    これは英語の例になりますが、文法を学習していて、
    「これは知覚動詞だから、SVOCのCは原形不定詞か分詞になるでしょう。だから、この四択問題は、原形が正解なんですよ」
    といった説明をしていたところ、生徒が目を白黒させていたので、
    「うん?わからない?どこからわからない?」
    と質問しますと、
    「いや、時間をかければわかるんですけど、『チカクドウシ』と聞くと、他の字が頭の中に浮かぶんです」
    「・・・・どんな?」
    「地殻変動の地殻とか・・・」
    「・・・・今、地殻変動の話はしていないと思いますが」
    「わかっているけど、浮かぶんです」
    「・・・・・」

    英語が得意な子には「これは知覚動詞だから」まで説明すれば一瞬で通じることが、苦手な子には「知覚動詞」という用語がむしろ障壁になることがあるのかもしれません。
    用語の定義を覚えられない。
    頭の中で漢字変換すらできず、混乱する。
    それはわかるんですが、だからといって、書店などで売られている「こうすれば英文法がスラスラわかる」的な本に、
    「僕は、この動詞を『感じる動詞』と呼ぶことにしています」
    などと書いてあると、むしろ、あなたのくだらない造語を私に押し付けるのは勘弁してくれと思うのです。
    そんな使いまわしの効かない言葉を覚えるくらいなら、まっすぐ「知覚動詞」という言葉を覚えるほうが近道です。
    どの文法書にもその言葉は使ってあり、それで説明してあるのですから。
    それがわかるほうが有益でしょう。
    わかりやすく説明することとくだらない迎合とは別のことだと思うのです。
    とっつきにくく感じるからといって正しい用語を全て馴染みやすい別の言葉に言い換えていたら、定義がブレて、正しい知識の伝達ができなくなる可能性があります。
    「知覚動詞」と言うだけで、それが何を意味するか共通の認識が持てます。
    だから、正確な説明ができます。

    専門用語は無駄に使っているわけではなく、必要だから使っているということが、主観的な子たちにはなかなか理解できないことなのかもしれません。
    必要性がわからないから、覚える気がしないという側面もあるのでしょう。
    専門用語は使うけれど、意味がわかっていないようなら逐一定義に戻る。
    そうやって授業をしています。
    それも個別指導の良いところでしょう。

      


  • Posted by セギ at 14:13Comments(0)算数・数学

    2017年08月18日

    2次方程式と判別式。


    2次方程式の基本は中学3年生で学習します。
    平方完成による解き方。
    因数分解による解き方。
    そして解の公式。
    「ゆとり教育」の時代に除外されていた解の公式も、今では中学3年生できちんと学習します。
    高校で新出の内容というと、2本目の解の公式。
    ax2+bx+c=0
    のbが偶数の場合に使用される公式です。
    ax2+2b'x+c=0のとき、
    x=-b'+√b'2-ac
    という式です。
    普通の解の公式でも同じ解になるのですが、途中のルート内の計算が2桁×2桁などになりがちで煩雑な上、最終的には約分もしなければなりません。
    2本目の公式を覚えて利用できたほうが圧倒的に有利です。

    しかし、ここで、
    「覚えなくてもいいんでしょう?」
    と言い出す生徒が必ずいます。
    数学が苦手な子ほど、そういうことを言う傾向があります。
    公式を覚えるのが本当に苦手で苦痛で、1本目の公式でも解けるのなら、それしか覚えたくないのでしょう。
    そうして煩雑な計算をし、時間もかかり、計算ミスをして間違えます。
    ( 一一)

    一方、2本目の公式を使えば計算が楽だし速いと実感できる子は、私が強制しなくても、嬉々として覚え、使うのです。
    それを使わずに問題を解くことなど考えられないのでしょう。
    だって、とても便利なんですから。
    こうした1つ1つのことが積み重なって、計算力に差がついていきます。

    2本目の公式を覚えなさいと言われれば覚えるけれど、テストが終われば普通の解の公式も忘れてしまう子もいます。
    公式が頭の中に残らないようなのです。
    サラサラと流れる水のように入っては忘れていきます。
    数学の勉強をしていても、何も積み上がっていきません。
    そういう手応えのなさを講師が感じ始める最初も、2次方程式の解の公式であるような気がします。

    忘れたくて忘れているわけではないのはわかるのです。
    しかし、努力して覚えようとしている気配も感じません。
    覚えなくても、その場その場で必要ならばまた覚え直していけば何とかなると思っているのでしょうか。
    しかし、高校の数Ⅱで、覚えにくい公式がどれほど大量に出てくるか、教える側は知っていますので、2次関数の解の公式くらいで「覚えられない」と弱音を吐かれると困ってしまうのです。
    そんなふうでは、この先には絶望しかないのに。
    数学が本当に好きで、公式なんか一度見れば覚えられる人や、数学に対して特別な才能があり、テスト中でも公式を自力で再生できる人ならともかく、そうでないのなら石にかじりついても公式を覚えるという強い意志が必要です。
    そうでない限り、先には闇しか待っていないのです。
    足許を照らす光を自ら手放しているのですから。

    解の公式とあわせて理解したいのが、「判別式」です。
    判別式は、要するに解の公式の√ 内の部分です。
    ここが、正の数か、0か、負の数かで、2次方程式の実数解の個数を判別できます。
    「2次方程式」の単元だけでなく2次不等式でも、それ以降の単元でも、判別式はよく使うものです。
    数Ⅱの「軌跡と方程式」などでも使いますね。
    「判別式を使う」というテクニックが頭の中に知識として存在していないと、判別式を使う問題は自力では一切解けないという事態に立ち至ります。
    ですから、忘れるとまずいものの筆頭なのですが、これもなかなか定着しません。
    判別式が大切だという感覚すら定着しないことがあり、苦慮するところです。

    判別式はDで表します。
    Dは、discriminantのDです。
    意味は、そのまんま「判別式」です。

    discrimination 区別・差別
    discriminate 区別する・差別する
    といった単語が連想されますね。
    英語も一緒に覚えられて、お得です。
    ヽ(^。^)ノ

    数学のこういう文字使いに目覚めた中学生が、
    「センセイ、点PのPって、ポイントですか?」
    「あー、はい。そうですね」
    「おお、すげえっ。じゃあ、Lって、ラインですか?」
    「うん、そうですよ」
    「あー、やっぱりそうか。すげえっ」
    と、1つ1つに感動することがあり、微笑ましいものです。
    何でもいいから、何かをフックに数学に興味をもって勉強してください。
    (*^-^*)

      


  • Posted by セギ at 12:24Comments(0)算数・数学

    2017年08月02日

    2次関数の最大・最小。




    今回は、「2次関数」の佳境、係数に文字を含む2次関数の最大値・最小値についての学習です。
    しかし、これの解説には放物線を示しながらの解説が不可欠です。
    ブログではちょっと説明しきれないのを感じます。
    ここはぜひとも授業を受けて理解してほしい部分なのですが、できる限り説明してみます。

    問題 y=x2-2ax+a (0≦x≦2) の最大値・最小値を求めよ。

    解き方を全て書いていくのは難しいのですが、とにかく、与えられた式を平方完成します。
    y=(x-a)2-a2+a
    よって、頂点は(a,-a2+a)、軸はx=a。

    定義域は、0≦x≦2です。
    この定義域の間で、yの値の最大値はいくつで、最小値はいくつなのかというのが問題の意味です。

    え?そんなのx=0のときが最小値でx=2のときが最大値じゃないの?

    1次関数の感覚でそんなことをうっかり考えてしまいそうですが、これは2次関数。
    x2の係数が1ですから、下に凸の放物線です。
    0≦x≦2 という定義域が、放物線のどのあたりに位置しているかによって、どれが最小値でどれが最大値かが違ってきます。

    まず考えられるのが、0≦x≦2 が、放物線の頂点より右側の部分である場合。
    このときは、x=0で最小値、x=2で最大値となるでしょう。
    ところで、aがどんな値のときに、放物線の頂点より右側が定義域になるでしょうか?
    この放物線は、頂点が(a,-a2+a)、軸がx=a の放物線です。
    aの値によって、軸の位置も変わり、定義域との関係も変わってくるということです。
    ですから、aの値によって場合分けが必要だとわかります。

    放物線の頂点より右側に定義域があるときというのは、x=0が、x=aより右側にあるということです。
    すなわち、a<0のとき。
    このとき、x=2で最大値、x=0で最小値です。
    このx=2やx=0を2次関数の式に代入するとyの値が出ます。
    関数の値とは、yの値ということです。
    与式に代入しても、平方完成した式に代入しても同じ値が出ますので、代入しやすいほうを選びましょう。
    与式にx=2を代入して、
    y=4-4a+a=-3a+4
    与式にx=0を代入して、
    y=0-0+a=a
    よって、a<0のとき、
    x=2で最大値-3a+4
    x=0で最小値a

    さて、次は放物線のどんな位置に定義域が存在する場合を考えましょうか。
    頂点を含んで定義域が存在する場合を考えてみましょう。
    頂点のところが最小値になることはすぐ判断できます。
    しかし、最大値は?
    定義域の範囲が、放物線の軸を挟んで右側のほうが高く上がっている場合は、右側が最大値となりますが、左側のほうが高く上がっていたら、左側が最大値となりますね。
    そして、頂点を挟んで、左右がつりあっている場合は、その両方が最大値となるでしょう。
    だから、頂点を含んでいるというだけでなく、もっと細かく場合分けが必要となります、

    軸を挟んで、右側のほうが高く上がっている定義域というのは、軸x=aとの関係はどうなるのでしょうか?
    え?0<a<2 でいいんじゃないの?
    そう思うでしょうか?
    しかし、それでは上に挙げた3通りの場合は全部そうじゃないでしょうか?
    もっと細かい場合分けが必要となります。

    どうしたら良いのでしょうか?
    ここで、重要なのは、定義域0≦x≦2 の中央の値、1です。
    定義域の中央の値と軸との関係によって、右に傾いたり左に傾いたりします。
    すなわち、0≦a<1のときに、放物線は、軸の右側が高く上がっていきます。

    ここらへんで、「え?」「え?」となる人が多いところですので、実際に放物線を描いて確認することをお薦めします。
    この問題は、必ず放物線を描いて解くものです。
    描く放物線は、x軸もy軸も必要ありません。
    どこにx軸やy軸があるのかわからないのですし、問題を解くのに関係ないからでもあります。
    下に凸の放物線を点線で描き、そこに軸を描き、定義域の部分を実線で描き、x=0、a、1、2の位置を書き込んでいくだけで十分です。

    さて、a=1のとき、そこは放物線の軸と重なります。
    定義域は左右対称となり、最大値は両端の2か所となります。
    1<a≦2のときには、定義域の放物線は左側が高くなるでしょう。
    すなわち、
    0≦a<1のとき、x=2で最大値-3a+4、x=aで最小値-a2+a 
    a=1のとき、  x=0、2で最大値1、   x=aで最小値0
    1<a≦2のとき、x=0で最大値a、     x=aで最小値-a2+a

    a=1のときは、aが明確になった分、最大値・最小値も文字の残らない数字になることにも注意が必要です。

    最後に、定義域が軸よりも左側にある場合は、2<a ということですから、
    2<aのとき、x=0で最大値a、x=2で最小値-3a+4

    以上をまとめると、
    a<0のとき    x=2で最大値-3a+4  x=0で最小値a
    0≦a<1のとき x=2で最大値-3a+4   x=aで最小値-a2+a
    a=1のとき    x=0、2で最大値1     x=aで最小値0
    1<a≦2のとき x=0で最大値a        x=aで最小値-a2+a
    2<aのとき    x=0で最大値a       x=2で最小値-3a+4

    この問題の解き方は、
    ①まず放物線を5通り描く。
    ②その放物線ごとのaの値の範囲を決定する。
    ③それぞれの場合の最大値・最小値を計算する。

    最近の親切な問題は、その5通りに場合分けをしてくれているのですが、むしろそれで混乱する子もいます。
    自力で5通りに場合分けして、問題の場合分けと一致していることを確認したほうがしっかり理解しながら解けると思います。
    なお、「最大値のみ」「最小値のみ」の場合は、放物線は3通りになります。
    定義域の中央の値である「1」が関係するかどうかは、放物線が上に凸か下に凸か、と最大値か最小値かでそれぞれ異なってきますので、実際に放物線を描いて判断します。

    これだけの説明を丁寧に行って、もう大丈夫、さて演習しましょうとなったとき。
    ところが、私が説明したのとは違う解き方を始めてしまう生徒がいるのです。
    ( ;∀;)
    やはり、テキストの問題が親切すぎるので、結局、問題にあるaの値の範囲の場合分けを優先して解こうとして、xの定義域とaの変域とで混乱が起こり、どう放物線を描いていいかわからなくなってしまいます。
    まず自分で場合分けしましょう、と強調したつもりでも、伝わっていないことは多いです。

    「まず、放物線を5つ、最初に描いて場合分けしましょう。問題に書いてある場合分けは、その後で、確認のために使ってください」
    私がそう言うと、不審そうな顔をする子もいます。
    「だって、先生が、さっき、こういう順番で解いていたじゃないですか?」
    「え・・・・?いえ、私は先に放物線を描いて、それで自分で場合分けするように言ったんですよ」
    「え?さっきはそうじゃなかったですよ」
    「え・・・?」
    これには動揺します。
    どうして全く逆のことが記憶されてしまうのだろう?
    おそらく、私が説明している間、その子は、テキストに書いてある場合分けを見ているのでしょう。
    そうして、私がテキストの場合分けに沿って説明しているのだと思いこんでいるのだと思います。
    私が、
    「テキストの場合分けは見ないで、自分で場合分けするんですよ」
    と説明しているのを聞いていないか、あるいは、自分の思いこみに反するそうした情報は聞き流してしまうのかもしれません。

    何かを正確に伝えることは、本当に難しいです。


    例えば、中学生の場合でも、こんなことがあります。
    中学1年生にとって、1学期は、小学校時代の「算数」から中学の「数学」に移行する大切な時期です。
    しかし、本人たちには、その違いがよくわかりません。
    だから、小学校時代の意識のまま、数学の問題を解いてしまいます。
    これは小学生の答案だなと感じる最たるものは、問題を解くのに式を書いていないこと。
    解き方を思いつくと、式を書くのを忘れてしまうらしいのです。
    くしゃくしゃ筆算して、答えだけ書いています。
    式を書く解答欄がなければ式を書かなくていいと思っている子は多いです。
    どういう公式や定理を使って、どういう流れで解いたのか、それでは何も読み取れない。
    そんなのは、数学の答案ではありません。

    それを直すために、特に私立中学の数学の先生は、中学1年生に高圧的な答案指導をすることがあります。
    かなり強く言わないと、子どもは直さないですから。
    「こう書かないと、テストは全部バツ」
    「これを書いていなければ、0点」
    そういう指導になりがちです。
    「うちの学校の先生、すごくうるさい」
    と口を尖らせて言う子のノートを見ると、ごく当たり前の答案が書かれていて、
    「何もうるさくない。これが普通です。良い答案を指導してくれる先生ですね」
    と説明することはよくあることです。

    しかし、ときどき奇妙な答案の書かれたノートに出会います。
    例えば、式の値を求める問題。
    「x=5、y=-2であるとき、3x-4yの値を求めよ」
    この問題の答案の1行目で目が止まってしまいました。
    「xを5、yを-2に代入して」
    ・・・・・・え?('_')
    わかると言えばわかるのですが、何かモヤッとする日本語です。
    これ、「を」と「に」が逆ですよね。
    「xに5、yに-2を代入して」
    このほうが良いでしょう。

    これは、その数学の先生に国語力がないために起きていることなのか、この子が勘違いしているのか、どちらなのだろうと困惑してしまいます。
    普通に考えれば、その子のミスなのですが。
    いずれにしろ、
    「x=5、y=-2を代入して」
    と書けば、そういう混乱は回避できます。
    しかし、その子にそう助言しても、
    「学校の先生がこうでなければダメだと言った!」
    と強く主張し、直しません。

    また別の問題。
    それは、式による証明の問題でした。
    「連続する3つの偶数の和は6の倍数になることを説明しなさい」
    この問題の答案の書き出し。

    「整数をnとすると、2n-2、2n、2n+2とかける」
    ・・・・・え?
    「整数をnとすると」
    この書き出しに、まず「え?」と思ってしまいました。
    「整数をnとすると」ではなく、「nを整数とすると」のほうが適切です。
    そして、最後の「かける」にも違和感がありました。
    「かける」とは「書ける」ということなのだと思うのですが、なぜ、書くこと限定なんだ?
    何だか、微妙に気持ち悪いです。
    間違っているとは言えないのですが、違和感があるなあ。
    間違っているわけではないから、まあいいのですが。

    これの標準的な書き方は、
    「nを整数とすると、連続する3つの偶数は、2n-2、2n、2n+2と表される」
    となります。
    「学校の先生が、こう書いているの?」
    と尋ねると、その子は黙ってうなずきました。
    しかし、学校の先生が本当にそう書いているのか、疑問の余地があるのです。
    板書の見間違いや写し間違いを、していないでしょうか。
    あるいは、本人の国語力が、学校の先生の模範解答を歪めていないでしょうか。
    学校の先生は「表される」と板書したのに、その子の語彙の中にそのような表現がない。
    本人としては「表される」という言い回しに、むしろ違和感がある。
    そのため、本人の中での「正しい日本語」に勝手に変換し、「かける」と直してしまった。
    しかも、自分がそのように書き換えたことが記憶の中から消え、先生がそのように板書したという記憶として残っている。
    そういうことなのではないかという推測もできるのです。

    しかし、確証はありません。
    私立中学に入学したお子さんの数学の勉強を見ようとして、こういうことで困っている保護者の方もいらっしゃるのではないかと思います。
    学校の授業の細部を、保護者は確かめることができません。
    子どもの記憶とノートが、情報の全てであることは多いです。
    そうした中で、多くの子どもは、
    「絶対に、こうだった」
    と言い張ります。
    学校の先生から、
    「こう書かないと0点」
    というプレッシャーを受けていますので、これは違うんじゃないのと言われても、認めません。
    「その書き方じゃなくても大丈夫だよ」
    と教えても、いや、あの先生は、絶対そういうのは許さないんだと決めつけたりもします。
    子どもの勉強を見ようとして、こういう反発にあい、教えることができなくなってしまう。
    そんなことが、起きていないでしょうか。

    数学の答案の筋道というものを理解させようとして、学校の先生たちは、ある程度生徒たちに強要します。
    しかし、それが、場合によっては、微妙に奇妙な答案を定着させてしまう。
    学校の先生が生徒たちに伝えようとしていることの核心は、そういうことではないのです。
    表現方法は何通りもあります。
    ただ、どうしても答案に書かねばならないことがある。
    どういう公式や定理を使って、どのように解いているか。
    それがわかる答案であることが、数学の答案には必要です。
    細部の表現に右往左往し、かえって日本語として誤った書き方をしてしまっている中学1年生に、1日も早く本質を伝えたいのですが、これがなかなか難しいです。

    経験から言えば、とにかく、その子の数学的能力を高めなければなりません。
    本質が見えていないのは、数学というものがよくわかっていないからだと思うのです。
    数学の能力が高まれば、自然に、こういう課題からは解放されていきます。
    ついでに言えば、もうちょっと国語力がつくといいかなあ。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 22:34Comments(0)算数・数学

    2017年07月20日

    3元1次方程式と計算力。


    3元1次方程式とは、すなわち、x、y、zなど、3種類の文字を含む方程式のことです。
    3本を連立すれば、解くことができます。
    例えば、こんな問題です。

    2x -y +z=8 ・・・・① 
     x+3y+2z=5 ・・・・② 
    4x+2y-3z=-3 ・・・・③

    中学2年で連立方程式を習うときにも、その応用として少し演習するのですが、本格的には、高校数Ⅰ「2次関数」で、3点の座標から2次関数の式を求めるときに学習します。

    この3元1次連立方程式、2元1次連立方程式よりも文字が1つ増えるだけで、なぜか正答率がガクンと下がります。
    解き方は、そんなに難しくありません。
    3本の式を組み合わせて、どれかの文字を消した2本の式を作るのがまず目標です。
    例えば、zを消すと決めたら、上の例で言えば、
    ①×2-②より
     3x-5y=11 ・・・・④
    ①×3+③より
     10x-y=21 ・・・・⑤ 
    こうやって、まずはxとyだけの2本の連立方程式にします。
    ここからは、2元1次連立方程式の解き方と同じです。
    ④-⑤×5
       3x-5y=11
    -)50x-5y=105
    -47x   =-94
           x=2 ・・・⑥
    ⑥を⑤に代入して
    20-y=21
      -y=1
       y=-1 ・・・⑦
    x、yの値がわかったところで、最初の式のうちの1本を選んで代入し、zの値を求めましょう。
    ⑥、⑦を①に代入して、
    4+1+z=8
         z=3
    よって、
    x=2、y=-1、z=3

    手間はかかりますが、そんなに難しくはありませんよね。
    ヽ(^。^)ノ

    でも、数学の苦手な高校生の中には、3元1次連立方程式をほとんど正答できない子もいます。
    解き方がわからないわけではないのですが、途中でミスしてしまうのです。

    よくあるミスとしては、1本目の式でzを消し、2本目の式ではxを消してしまう子。
    できた2本の式を並べてみると、文字は1つも消えていないことになってしまいます。
    どうやったら楽に解けるか、変に迷っていつまでもいつまでも考えて、なかなか式を立てない子が、結局そんな式を立ててしまうことがあるのです。
    「zを消すのでいいんじゃないの?」
    とヒントを出しても、何か考え込んでいて、手が動かないのです。

    この問題、式全体を何倍かしなければならないので、どの文字を消すにしても、そんなに楽ではありません。
    しかし、どの係数の文字なら消しやすいか、考え過ぎてしまう子がいるのです。
    いったんzを消すことに決めて、式を2本作っても、そうやってできた2本の式の係数が揃うことはまずありません。
    それを見て、計算しづらいことにひるんでしまうようで、また最初から別の文字を消して解き直したりもします。
    あげく、単純な符号ミスで間違えたりします。

    どう解いたところでそんなに楽ではない。
    だから、こう解くと決めたら、あとは機械的に淡々と解いていったほうが速く正確です。
    間違える子は、数学の問題を解きながら、やたらと感情が動き、ひるんだり動揺したりして、途中で計算ミスをしてしまう様子です。
    冷静に解いていくことができないことが、エラーを招く原因なのだと思います。
    見ていても、ペン先がためらってくるくる回っていて、なかなか書き出さないのです。
    何でさっさと書いていかないのか不思議なのですが、本人の中にためらいや混乱があって、スッと書き出していくことができない様子です。
    不安なんだろうと思います。
    結局、正答する自信がないことが一番の原因なのかもしれません。

    突飛な省略をしたり、無理な暗算をしたりと、ミスしやすいようなやり方で計算しているから起こるミスについては指導します。
    自分が何をどうミスしやすいか自覚しなさいと注意もします。
    しかし、全て指導しても、それでも符号を見落とす、式を書き間違えるというミスが繰り返される子は、もうそれでいいやと開き直るのも1つの方法だと思います。
    ミスをしやすい自分とつきあっていく。
    ケアレスミスがあることを見込んで、テストの得点を予測していく。
    そのように気持ちを切り替えることも、あるいは必要かと思います。

    数学的なセンスを感じる子でケアレスミスの多い子に関しては、
    「まあ、いいんじゃない?次の問題を解こう」
    という指導をしていると、気がつくとケアレスミスも減っていることが多いです。
    その子がケアレスミスを気にしていても、私は気にしていないのが大きいのかもしれません。
    その子のマイナス要素より、伸びしろの大きさに私は目がいっています。
    ピグマリオン効果というものですかね。

    気にして、突ついていると悪化するのがケアレスミス。
    そういうこともあるのかもしれません。

      


  • Posted by セギ at 14:38Comments(0)算数・数学

    2017年07月13日

    2次関数の文章題


    画像はギンリョウソウ。
    今の時期、日陰の林床で見られる植物です。

    さて、今回は「2次関数の利用」。
    文章題です。
    文章題を解く際に、子どもは語彙の面でつまずくことがあります。
    例えば、こんな問題です。

    幅16cmのトタン板を折り曲げて、切り口が長方形のといを作る。切り口の面積が最大となるようにするには、といの深さを何cmにすればよいか。またそのときの面積も求めよ。

    この問題、高校数Ⅰの問題としては易しいのですが、解けない子は多いです。
    問題を熟読している様子なので、考えているのかなあと様子を見ていると、かなり時間が経ってから質問してきます。

    「・・・・・・といって、何ですか?」
    「とい?雨どいのことでしょう」
    「何ですか、それ?」
    「家の屋根の下につけてある、雨水を受けるものだよ。見たことない?」
    「ありませんね」

    高1でも、日本語の名詞の中で知らないものがたくさんあります。

    一応、といの件は理解して。
    それでも手が動きません。
    しばらくして、また質問。
    「トタン板って何ですか?」
    「金属の薄い板だね。鉄かな。錆びないように何かでメッキしてあるんだと思うよ」
    「何かって、何ですか?」
    「知らない。興味があるなら、自分で調べたらいいよ」
    「知らないと、わからないじゃないですか!」
    「トタン板の成分は、この問題を解くのに必要ないでしょう」
    「・・・・・・・・」

    現代の子どもがトタン板を知らないのは、仕方ないかもしれません。
    辞書で調べたら、鉄を亜鉛でメッキしてあるものだそうです。

    私も、トタン板とは何なのか、曖昧にしか理解していませんでした。
    でも、問題を解くのに不都合を感じません。
    そもそも、この問題、テキストでは、横に挿絵があるのです。
    言葉による説明だけでは、わかりにくいからでしょう。
    それでも、言葉でつまずく子がいます。
    知らない言葉があると混乱し、もう解けないと思ってしまうようです。
    自分の知らないことがたくさんあることを不安に思っていて、だから、そういう反応になってしまうのでしょうか。

    言葉の意味がわからないだけではないのでしょう。
    文章題は苦手だと思いこんでいる子の多くは、解法パターンを把握していません。
    文章題を解いていく方法はどれも同じです。

    ➀何をxとするかを決める。
    ➁xを用いて、何かの数量を表す式を立てる。
    ➂式を解く。
    ➃解が問題の答えとして適切かを確認して解答する。

    文章題が苦手な子は、この解法パターンを理解していません。
    毎回、
    「何をxとしますか?」
    と声をかけないと、全く手が動かない子は多いです。
    彼らは、では、何を考えて、どう解こうとして悩んでいるのでしょうか。
    おそらく、文章題を見ると小学生に戻ってしまい、小学生として答えを出す式をうんうん考えているのではないかと推測します。
    それは難しいでしょうね。
    上の問題を、小学生として解くのは、普通の小学生には無理だと思います。
    受験算数の訓練を積んでいれば、面積図を描いて強引に解く方法はあるでしょう。

    「何をxとしたらいいのかわからない」
    と言う子もいます。
    「求めたいものをxとするんですよ」
    「でも、そうじゃないときもあった」
    「うん。増減に関する方程式の問題は、例えば昨年の女子の生徒数をx人としますね。でも、あれは、読めばすぐ増減に関する問題だとわかりますから、区別できますよ。それ以外は求めたいものをxとするのでほとんど大丈夫ですよ」
    「でも、そうじゃないときもあった」
    「・・・・どんなとき?」
    「忘れた」
    「・・・・・・・」

    彼らは、数学に対してネガティブで、裏切られた記憶ばかりが濃く残り、標準的な解き方を信じることができないのかもしれないと思うことがあります。
    易しいことを難しくしているのは、自分の心かもしれません
    文章題だからどうせ難しいなんて思いこみは、捨ててしまいましょう。

    上の問題で言えば、求めるのはといの深さですから、深さをxcmとします。
    式はxではない数量を表す式を立てます。
    ここでxに頭がとらわれ、xを表す式を立てようとする子がいますが、それは小学校の算数。
    立てる式は、xそのものではない数量を表すのだということを理解しているだけで、問題はかなりほぐれてきます。
    この問題の中で、といの深さではない数量というと。
    1つはトタンの板の長さ。
    もう1つは、といの切り口の面積。

    どちらにするかは、センスの問題もあります。
    数学が嫌いな子に、この二択を選ばせると、「トタン板の長さ」と答える子は確かに多くて、がっかりしてしまうのも本当です。
    そちらのほうが求めやすそうだから選んでしまうのでしょうか。
    目先の求めやすさを選び、問題を解くにはどちらが有効かという判断ができないのだと思います。
    この問題では、切り口の面積も求めるのですから、面積を表す式を立てるという判断が妥当でしょう。
    といの切り口は長方形。
    その長方形の縦の長さはといの深さであるxcm。
    では横の長さは?
    トタン板の長さ16cmから、深さとして折り曲げたx㎝2個分を取り除いたものが、長方形の横の長さになります。
    したがって、横の長さは16-2x(cm)。

    よって、切り口の面積は、
    x(16-2x)。
    これが最大になれば良いのです。
    xの値によって、この式全体の値も変わっていきます。
    ですから、これは、2次関数の最大値に関する問題ですね。
    グラフの形や頂点を把握しましょう。
    平方完成が必要です。

    F(x)=x(16-2x) とします。
       =16x-2x2
       =-2x2+16x
    ここで平方完成をします。
       =-2(x2-8x)
       =-2(x-4)2+2・16
       =-2(x-4)2+32

    「何で平方完成するの?」
    と質問されることがあるんですが、最大値や最小値を求めるのには頂点の座標が必要だからです。
    しかし、それだけでなく、とりあえず2次関数を見たら平方完成して、軸や頂点の座標を把握してみるのは意味のあることです。
    それを習慣にしておけば何も問題はないのです。
    どんなときに平方完成したらいいかわからない、などと言わず、とりあえずどんなときも平方完成することをまず考えてみたら良いと思います。
    数学が苦手な子は、この「とりあえずやってみる」ができない子が多いように思います。

    上の式を2次関数としてとらえれば、
    頂点は(4,32)、上に凸の放物線だとわかります。
    すなわち、X=4のとき、最大値32です。

    この問題、何を求めるんでしたっけ?
    切り口の面積が最大となるときのといの深さと、そのときの面積でしたよね。
    0<2x<16
    0<x<8
    という問題の条件に、この頂点の数値は一致します。
    よって、といの深さは4cm、面積は32平方cmです。

    「え?」
    ここで固まってしまう高校生は多いです。
    平方完成しただけで、何でもう答えが出てしまうのか、わからない。
    何か物凄い飛躍がある。
    全然わからない。
    そういう表情で固まってしまうのです。

    「何で32が、といの切り口の面積になるの?」
    「この式は、といの切り口の面積を表す式だからだよ。その最大値が32なんだから、といの面積の最大値は32だね」
    「ちょっと、何言ってるかわからない」
    「・・・・・・・」

    この深い断絶をつなぐ言葉が、なかなか見つかりません。
    2次関数に関して普通のことが、彼らの頭の中で繋がっていないのを感じます。
    といの深さをxcmとしたこと。
    といの切り口の面積を表す式を立てたこと。
    そうした最初の前提と計算の結果とが上手く繋がらないようなのです。
    2次関数の最大値・最小値を求めなさいという計算問題ならば解けるのに、文章題になるとその考え方を利用できない子は多いです。
    最大値・最小値に関する問題は、今後の単元でも、忘れた頃に出てきます。
    その度、
    「これは、最大値を求めよと言っているんでしょう。だったら、2次関数として解くだけだよ」
    とヒントを出せば済む子と、答案を全て板書して詳しく解説しても理解した表情を見せない子がいます。


    文章題になると、理解できなくなる。
    それは小学生も同様です。
    何年か前の小6対象の全国学力調査の算数に出題された文章題。
    そこに、謎の言葉が登場しました。

    「親指と人差し指を直角に広げ、その両端を結んだ長さを、ひとあた、と言います」
    そのように、問題文中で説明されていました。
    挿絵もありました。
    「ひとあた」という見慣れない単位の意味を理解すれば、問題そのものは簡単でした。
    「割合」に関する易しい問題です。
    でも、言葉でつまずくタイプの子は、あの問題は解けなかったと思います。
    知らない言葉が出てくると、「習っていない」「習っていないことがテストに出た」「習っていないから、わからない」となってしまう子は、真面目な秀才の中にもいます。

    大人でも、「ひとあた」は、耳慣れない言葉です。
    使いやすい箸の長さは「ひとあた半」と説明されると、ああ、そう言えばそんなことを聞いたことがあると、ようやく思い出す言葉だと思います。

    でも、知らなくたって、いいんです。
    問題文の中で説明されているんですから。
    それなのに、問題の中でどれだけ説明されていても、自分が知らないことは解けない子がいます。

    受験算数ですと、「約束記号」の問題が苦手な子は、そういうタイプの子です。

    「大きいほうの数を小さいほうの数で割って、その商を3倍することを、記号◎を使って表すとします。例えば、2◎10=15 です。以下の問いに答えなさい」

    こういう問題、受験算数としては簡単なことが多く、得点源なのですが、わからない子は全くわからない様子です。
    問題の意味がわからないというのです。

    「だから、そういう意味の記号なんだね」
    「知らない。そんな記号、あるの?」
    「いや、このときだけの記号だよ」
    「知らない」
    「だから、この問題だけの記号だから、覚える必要なんかないし、知らなくていいんだよ」
    「何それ。そんなことして、いいの?」

    新しい情報を飲み込めない。
    頭が固い。
    頑固である。
    文章題が苦手な子の特徴の一つといっていいかもしれません。

    もう何度も書いてきたことですが、大人よりも子どものほうが、むしろ保守的で頑固です。
    視野が狭く、融通がききません。
    視野を広げ、より柔軟になるために、人は学ぶのでしょう。

    それでも、やはり子どもは柔軟です。
    子どもの持つ柔軟さとは、自分の知らないことに失敗し傷ついたときの、そこからの回復力を指すのではないでしょうか。
    自分の間違いに気づいてそれを受け入れる力は、子どもは圧倒的です。
    今日の自分の固定観念なんて、明日は踏みつけて生きていけるはずです。
    文章題が難しいなんてのも、くだらない固定観念かもしれませんよ。
      


  • Posted by セギ at 13:32Comments(0)算数・数学

    2017年06月28日

    2次関数と平方完成。


    2次関数は、y=a(x-p)2+q の形にすることで、どのような放物線であるかが明らかになります。
    上のような形になっていれば、軸は直線x=p、頂点の座標は(p,q)と読み取れます。
    ですから、問題の中で、y=aX2+bx+c の形で示された場合は、とにかく上の形に直すことが必要となります。
    そのために行うのが平方完成です。

    例題 2次関数 y=x2+4x-5 のグラフの軸と頂点の座標を答えよ。

    この見た目では頂点の座標はわかりませんから、平方完成しましょう。
    平方完成で使用するのは、中3で学習した因数分解の公式です。
    a2+2ab+b2=(a+b)2
    a2-2ab+b2=(a-b)2
    ですね。
    ただし、平方完成は因数分解ではないので、定数項が( )からはみ出して構いません。
    y=x2+4x-5
     =(x2+4x+4)-4-5
     =(x+2)2-9
    これが平方完成です。
    軸は直線x=-2、頂点の座標は(-2,-9)です。

    無いものを勝手に足して、同じものを勝手に引いて、それで辻褄を合わせるやり方が理解できずに苦労する高校生が多いところです。
    等しいというのはそういうことだから何も問題はないよと言っても、「わからない」「わからない」「わからない」という反応ばかりの子もいます。
    授業が全く進まないことがあります。

    そういうこともあり、高校生に対しては、基本的には、塾では復習中心で授業を進めます。
    数Ⅰと数Aと、数学は2科目ありますので、週1回の授業では予習先行したくてもすぐに学校に追いつかれてしまうという事情も大きいです。
    しかし、何より、「わからない」「わからない」「わからない」とつぶやく生徒と1対1で対話していると、時間ばかりかかって先に進まないのです。
    初めて学ぶ内容に違和感が強く、抵抗感も大きいのでしょう。
    とにかく補助するから練習してみようと声をかけても、手を動かしてくれません。
    やりながらわかってくることがあるよと言っても、反応がありません。
    「どこがわからない?何が疑問?」
    と訊いても、黙り込む子も多いです。
    何がわからないのか、それすらわからない。
    違和感がありすぎて、フリーズしてしまう。
    そういうことかもしれないと想像しています。

    しかし、同じことでも、学校で一度授業を受けていると、「わからない」と言いながらも練習することには抵抗しません。
    やり方を間違えている場合は多いですが、とにかく手を動かしてくれます。
    「そこのやり方は、こうだよ」
    と説明すると、素直に聞いてくれます。
    「こうやると間違えないよ」
    と説明すると、熱心に聞いてくれます。
    「すげえ。わかりやすい!」
    と言ってくれることすらあります。
    予習をする場合と同じ説明をしているのですが。

    とにかく、新しい事柄に抵抗があるのでしょう。
    高校数学は、最初に教える者が損をする科目かもしれません。
    「学校の先生もこんなふうに教えてくれたらいいのに」
    と言ってもらえることもあります。
    ・・・・いや、そういうことではないよ。
    最初に教わるときにはあなたはパニックを起こしているんだよ。
    そう思いますが、まあそれは本人には言わず、にこにこしております。
    ヽ(^。^)ノ

    定理や公式の説明は学校の先生に任せて、塾では、それを使ってどう正確に解くか、どうスピーディに解くか、そのテクニックの伝授に時間をかけたい。
    そういう気持ちもあります。
    でも、数学が苦手な子ほど、予習をしてほしがります。( 一一)
    学校の授業がわからなくて不安だからという気持ちはわからなくはないんです。
    学校の授業がわかるようになると安心するのでしょう。
    しかし、その先、定着するかどうはまた別の問題です。
    「わかる」ことと「解ける」ことはイコールではありません。
    予習ばかりして定着を確認できない授業形態では、テスト前になってようやく復習をしようというとき、予想通り何にも身についていないことがわかって、もう打つ手なしという場合もあります。

    学校の授業がわからなくて不安なら、授業の前に数学の教科書を読み、例題を自分で解いてみるのがお勧めです。
    何がわからないのか自覚でき、そこを中心にしっかり授業を聞くことができます。
    しかし、授業に不安を感じながらも、そういうことはしない子が多いです。
    自分で予習もして、学校の授業も受けて、宿題もこなして、塾にも行くのでは、数学に時間をかけすぎで、無駄に感じるのかもしれません。
    どこかを重ねて、一石二鳥で済ませたいのでしょう。
    そう考えると、予習と塾を重ねるのが、一番無駄がない。
    そして、復習は、学校指定の問題集を提出用ノートに解くことで、一石二鳥。
    本人はそれを合理的ととらえているのでしょうか。
    しかし、それは、自ら可能性を封じるやり方です。
    小学校の算数ならそれで大丈夫なのですが、高校数学でそれをやってしまうと、多くの場合、数Ⅱや数Bはほとんど何もわからない状態に陥っていきます。
    予習は予習で自分でやる。
    学校の授業を聞く。
    塾で演習する。
    塾の宿題をやる。
    学校の指定問題集は解答解説を見ないで自力で解く。
    余裕があれば、市販の問題集も自分で購入して復習する。
    何も重ねないことで、幾度も復習でき、定着します。
    こういう学習サイクルが理想です。


    話を平方完成に戻しましょう。
    y=x2+4x-5
    説明としては、上に書いたように
     =(x2+4x+4)-4-5
    となりますが、この書き方は説明のための書き方で、実際に解く際には解きにくいように感じます。
    いや、これに慣れているし、これで解きやすい、ミスもしないというのならそれで良いのですが、4xから「2」という数字を導きだして、しかもそれを2乗した「4」を書かねばならないのは、頭の中でやることが多すぎるのでケアレスミスが出やすいのです。
    y=x2+4x-5
     =(x+2)2-4-5
     =(x+2)2-9
    と書いていくほうが頭が少し楽なように私は思います。
    4xの係数の「4」を2で割った「2」という数字が、因数分解の公式の(a+b)2のbになります。
    a2+2ab+b2
    の2abの部分が4xに当たり、そのうちにxはaにあたりますから、4は2bにあたります。
    だから、bは、4xの4を2で割れば導かれます。
    これはいつでもそうなので、xの係数を2で割ればいいだけと単純化したほうが楽なのです。
    そこで、
    y=(x+2)2
    まで、まず書いてしまいます。
    そして、次に、a2+2ab+b2 のb2の部分を引いて辻褄を合わせます。
    y=(x+2)2
    と既に書いてありますから、bは2で、b2=4と見た目ですぐにわかります。
    だから、
    y=(x+2)2-4
    まで、スムースに書いていくことができます。
    考える時間は不要。
    秒殺の作業です。
    後は、もともとある-5を書き加えます。
    y=(x+2)2-4-5
     =(x+2)2-9
    こうすれば、平方完成は特に考え込む必要のない作業です。

    例題 2次関数 y=3x2-3x+5 のグラフの頂点の座標を求めよ。

    x2の係数が1ではない場合はどうしましょうか?
    これは、まず文字項を3でくくります。
    このとき、定数項+5はほおっておきます。
    定数項はどうせ( )の外に出るものなので、最後に考えます。

    y=3x2-3x+5
     =3(x2-x)+5
     =3(x-1/2)2-3・1/4+5
     =3(x-1/2)2-3/4+20/4
     =3(x-1/2)2+17/4
    よって、頂点の座標は(1/2,17/4)

    まず3でくくって、3(x2-x)。
    xの係数が-1なので、bにあたる数は-1/2。
    b2にあたる数は1/4。
    しかし、( )の前に3がありますから、それをさらに3倍したものを引かねば辻褄が合いません。
    だから、-3・1/4をすることで辻褄をあわせます。
    後の+5と通分するので、慌てて計算する必要はありません。
    1つ1つ目に見える形で書いていくことでむしろ速く正確に解いていくことができます。

    やり方そのものを「わからない」「わからない」と言っていた子が、この段階になると、上のように丁寧に書かず、何なら与式の次は答えの式を書こうとする飛躍を始めるのも一つの傾向です。
    無理な飛躍をするからケアレスミスをするのですが、そこを改めない子は多いです。
    書くのが面倒くさいらしいのです。
    暗算するほうが面倒くさいし、時間も余計にかかるし、間違いも多いのですが。
    子どもの中には「暗算ができることが数学ができること」という不可解な神話にとらわれている子がいますが、暗算は最優先の課題ではありません。

    一方、暗算しても書いていくのと同じスピードがあり、正答できる子はそれでいいのです。
    数字や数式をわざわざ書かなくても脳裏に映像として見えている子はいます。
    見えているものは省略してもミスしません。
    精度の維持が最優先事項です。
    やり方に「絶対」はありません。


    例題 2次関数 y=-1/2x2+4x+2 のグラフの頂点の座標を求めよ。

    y=-1/2x2+4x+2
     =-1/2(x2-8x)+2
     =-1/2(x-4)2+8+2
     =-1/2(x-4)2+10
    よって頂点の座標は(4,10)

    -1/2でくくるところが難しいです。
    -1/2(x2+2x)などとしてしまうミスが目立つところです。
    ( )の中のxの係数が-8になるということがピンとこないのかもしれません。
    符号ミスも多いです。
    「何でそうなるんですか?」
    と質問するので、展開して戻してみなよと言うと、一瞬で理解し、
    「あっ」
    と驚く子は、まだ理解の速い子。
    「展開って何のことですか?」
    など、会話がなかなか先に進まず説明に時間がかかることもあります。
    一応は理解した後も、類題を解くとまた同じミスをしてしまうところでもあります。

    平方完成は、2次関数の全ての基本。
    符号ミスや指数の書き忘れにも注意しましょう。
    ヽ(^。^)ノ


      


  • Posted by セギ at 11:15Comments(0)算数・数学