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2021年04月17日

高校数学。数A「整数の性質」から、倍数に関する難問。

高校数学。数A「整数の性質」から、倍数に関する難問。

今回は、「整数の性質」に戻って、ちょっと発展的な問題を考えてみます。

問題 30! が3のk乗でわりきれるときのkの最大値を求めよ。ただし、kは自然数とする。

これは、発展問題とはいえ、まだ典型題です。
この問題は、つまり、30!の中に、3という因数が何個あるのかということです。

30!=30・29・28・・・・・・9・8・7・6・5・4・3・2・1

全てかけ算ですから、どれかの数が3で割り切れれば、全体30!も3で割り切れます。
では、何回3で割り切ることができるか?

3という因数を持っている数は、30、27、24、・・・、3。
それは何個あるでしょうか?
30・29・28・・・と続いていく数字の中の、3個に1個は、3という因数を持っています。
だから、
30÷3=10
つまり、3の因数は10個あります。

では、k=10 でいいのでしょうか?
それだけで、大丈夫でしょうか?
1つの数字で、3という因数を2個持っているものがありますよね。
例えば9。
9=3・3 です。
このように、1つの数字で、3という因数を2個持っているものも、この中にあります。
その分だけ、さらに3で割り切ることが可能です。
そういう数は何個あるでしょうか?
これは、9回に1回出てくる数です。
すなわち、30÷9=3あまり3 で、3個。

・・・それですべてでしょうか?
1つの数字で、3という因数を3個持っているものはないでしょうか?
あります。
27=3・3・3
30までの数のうち、27は、3という因数を3個持っています。

3・3・3・3=81なので、さすがに、30!の中には、3という因数を4個持っている数はないです。

よって、30!の中に、3の因数は、10+3+1=14(個)あります。
すなわち、30!は、3の14乗で割り切れます。
上の問題の答は、k=14です。

よし。
これでウォーミングアップはできました。
次に進みましょう。
ただし、次の問題は、数B「数列」の公式を最後に使用しますので、まだ数列を学習していない人は、そこのところはわからないと思います。
ご了承ください。
大学入試問題は、入口は数Aみたいな顔をしているのに、実は数Ⅱや数Bの知識がないと解けない問題もあります。


問題 pを素数、nを正の整数とするとき、(pのn乗)!は、pで何回割りきれるか。

・・・うわあ、全部文字だ。
何を言っているのか、意味がわからない・・・。

こんなときは、問題の意味を把握するために、具体的な文字をあてはめて考えてみることをお勧めします。
具体的な文字といっても、1とか2では、別の特殊な法則性が見えてしまう可能性があるので、もう少し大きい数がいいですね。
例えば、p=3、n=4をあてはめて、考えてみましょう。

3の4乗の階乗は、3で何回割り切れるか。

これは、そういう構造の問題なのだとわかってきます。
3の4乗=3・3・3・3=81
81!は、3で何回割り切れるか?
このように考えれば、上の問題と構造は同じです。
81・80・79・・・・・3・2・1
この中で、3という因数を少なくとも1つもっている数は、
81÷3=27(個)
3という因数を少なくとも2つもっている数は、
81÷9=9(個)
3という因数を少なくとも3つもっている数は、
81÷27=3(個)
3という因数を4つもっている数は、
81÷81=1(個)
よって、この場合、27+9+3+1=40 となり、3で40回割り切れます。

さて、ここで、ずっと避けてきたのですが、そろそろ限界なので、ネット上の累乗の表記法を私も使用したいと思います。
数学に関することをネットで検索して読む人にとって、ネット上での数学独特の表記は、理解を妨げることがあります。
数学好きな人たちが作り出した上手な表記法なのですが、それを知らない人には読み取れません。
表記法を知らないと読み取れないのでは、理解を妨げる。
私のブログは、数学があまり好きではないけれど、数学が得意になりたい人に読んでほしい。
だから、誰でも読み取れるように表記してきました。
とはいえ、そろそろ限界です・・・。
Word ならば、指数表記ができるのですが、このブログは、指数表記ができません。
今回の(pのn乗)!という表記は、読むように書いてはいますが、かえって読みにくい・・・。

ネット上では、例えば、「3の2乗」は、「3^2」と書きます。
「pのn乗」は「p^n」と書きます。
この先は、この表記でいきたいと思います。
毎回注記をすれば、ご理解いただけるでしょう。

さて、問題に戻ります。

問題 pを素数、nを正の整数とするとき、(pのn乗)!は、pで何回割りきれるか。

p^n !の各数を並べて表したものをイメージしてください。
先ほどの例で見てきたことが参考になると思います。
まず、先頭は、p^n 。その次は、それより1だけ小さい数。すなわち p^n-1。
次は、それより2だけ小さい数。すなわち p^n-2 。
それを並べて書いてみます。

p^n , p^n-1 , p^n-2 , ・・・・3 , 2 , 1

これらの数の中で、pという因数を少なくとも1つもっている数は、p回に1回出てくるでしょう。
その個数は、
p^n ÷ p=p^(n-1)
pという因数を少なくとも2つ持っている数は、最小でp^2ですから、p^2回に1回出てきます。
その個数は、
p^n ÷p^2 =p^(n-2)
・・・・これを、
p^n ÷ p^n=1
まで行います。
その答の総和が、p^n の中のpという因数の個数です。

その答の総和を表す式は、

p^(n-1)+p^(n-2)+p^(n-3)+・・・・+p^3+p^2+p+1

・・・うん?
何だか見たことがあるような?
後ろの項から逆に書いたほうが、わかりやすいでしょうか?

1+p+p^2 +p^3 +・・・・+p^(n-3)+p^(n-2)+p^(n-1)

これは、数列の和ではないか?
等比数列の和ですね。
初項1、公比pの等比数列の、初項から第n項までの和です。
では、等比数列の和の公式にあてはめましょう。

1・(p^n -1) / p-1==p^n-1 / p-1

これが、答です。
具体的に考えていけば、こんなに抽象的な問題も、基礎知識だけで解いていくことができます。
まだ数ⅡBを学習していない人にはわからないところがあると思いますが、数Ⅱ「指数関数」と数B「数列」を学習した後なら、これは基礎知識だけで解ける問題です。
基礎知識だけで解けるのに、見た目が難しい。
数学の応用問題は、実はそういうものが多いです。




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