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2022年09月20日

助動詞+have+過去分詞 と使いまわしのきく知識。

助動詞+have+過去分詞 と使いまわしのきく知識。

助動詞+have +過去分詞 は、高校で学習する「助動詞」という単元の中でも出題頻度の高い文法事項です。
基本的な助動詞は、「許可・義務」系の意味と「推量」系の意味の2系統があり、「推量」系の意味は未定着な人が多いので、それをあわせて問うことができます。
そんなの、テストに出るに決まっています。

まず、基本を確認しましょう。
「許可・義務」系の意味とは?
それは、中学で最初に学習する意味なので、覚えている人もわりと多いのです。

must は、「~しなければならない」
should は、「~するべきだ」
may は、「~してもよい」
can は、「~できる」

では、「推量」系の意味とは?
同じ基本助動詞でも、もう1つの意味がそれぞれあるのです。
すなわち、
must は、「~に違いない」
should は、「~のはずだ」
may は、「~かもしれない」
can は、「~でありうる」

中学の教科書でも一度は出てきているのですが、こちらは覚えていない子が多いのです。
文法事項としてまとめて学習したわけではなく、教科書本文中にこの使い方がさらっと出てきただけなので、記憶が薄いのでしょう。

これらは、日本語でどう訳すのかも含めて正確に覚えておいたほうが、問題を解く際に楽です。
大体のニュアンスで把握しているだけでは、しくじります。
英語を日本語に訳す問題は近年めっきり減りましたが、日本語を英語に直す問題は今も定期テストなどにはよく出題されます。
日本語を見た瞬間、その訳語としての英語を思い浮かべることができないと、正答できません。

今どきの高校生は、「~に違いない」や「~のはずだ」の意味がよくわからない、という子もいます。
普段、そんな言葉遣いをしませんから。
本を読みませんので、そんな言葉遣いを見慣れてもいません。
だから、これは、覚えるしかありません。
この文法事項に限っては、日本語と英語とをイコールで結び、どちらの意味も理解し、覚えましょう。
これは、現実の使える英語の話ではありません。
テスト、特に高校の「論理・表現」のテストでしっかり得点するために行うことです。

もう1点。
must 「~に違いない」の反対は、must not ではありません。
このことは、強く意識して覚えないと、覚えられないのです。
must 「~に違いない」の反対は、cannot 「~のはずがない」です。
これに、should 「~のはずだ」も混ざってくるので、ここで大混乱してしまう子もいます。
間違えやすいところは、ここです。
強く強く意識して、ここを覚えましょう。


さて、そのように基本を確認したところで、いよいよ、「助動詞+have+過去分詞」の用法に入ります。
これは、過去の出来事について、推量的な判断を現在行っている場合に用いるものです。

まずは、普通の文から。

He may read the book.
彼は、その本を読むかもしれない。

これは、現在形。
助動詞の後ろは動詞原形しかきません。
この文は、現在の動作に対して、現在の判断をしていることになります。

でも、過去のことをついて判断したいときもあります。
過去の出来事について、現在の判断をする。
「彼は、その本を読んだかもしれない」
という文を作りたいとき、どうするか?

「かもしれない」という判断をしているのは現在ですから、may は、そのままです。
may を過去形 might にしたところで、過去の意味にはなりません。
意味が和らいで、柔らかい表現になるだけです。

この文は、助動詞を過去形にして解決することではありません。
判断しているのは現在です。
過去の出来事について、現在の判断を下しているのです。

でも、助動詞の後ろを過去形にすることはできない。
それは、英語の根本ルールです。
こんなときに使われるのが、have +過去分詞です。

He may have read the book.
彼は、その本を読んだかもしれない。

これで、過去の出来事を現在判断する文を作ることができました。

これらの用法を、
must have+過去分詞    ~したに違いない。
should have+過去分詞   ~したはずだ。
should have+過去分詞   ~すべきだったのに。
cannot have+過去分詞   ~したはずがない。
may have +過去分詞    ~したのかもしれない。
need not have+過去分詞  ~する必要はなかったのに。

と丸暗記するのがわかりやすいというのなら止めません。
ただ、個々の助動詞の推量系の意味をしっかりと覚え、かつ、have+過去分詞は、過去の出来事について現在の判断をしているのだという把握をしたほうが整理しやすいと思います。

原形を使わなければならない場面で、しかし、過去の意味合いをもたせたいときに、「have+過去分詞」の形を用いるのは、英語の大原則の1つです。
このことを知っていて使いまわせると、今まで覚えにくい、難しいと感じていたところが、一気に簡単になります。

過去の意味合いをもたせたいときに、「have+過去分詞」の形を用いる。
厳密にいえば、時制を1つ古くしたいときは、「have+過去分詞」の形を用いる。

繰り返しますが、これは重要ポイントです。
しかし、授業時に解説し板書しても、そのことの重要性に気づかないしノートに取らない子は多いです。
一番大切なところを聞き逃し、ノートにも書かない。
大切なのは、上に書いたような、

must have+過去分詞    ~したに違いない。
should have+過去分詞   ~したはずだ。
should have+過去分詞   ~すべきだったのに。
cannot have+過去分詞   ~したはずがない。
may have +過去分詞    ~したのかもしれない。
need not have+過去分詞  ~する必要はなかったのに。

の一覧だと思い、そして、それはテキストに載っているからまあいいやと、それも書かない。
結果、ノートは真っ白。
勉強が本当に下手なんだなあと思うのです。

時制を1つ古くしたいときは、「have+過去分詞」の形を用いる。
これは、本当にしばしば使われる英語の大原則なのです。

例えば、「完了形の不定詞」と呼ばれる文法事項。
They seem to build this house. であれば、
「彼らがこの家を建てるようだ」
と、現在の出来事を「~のようだ」と現在判断している文です。
これを、
「彼らがこの家を建てたようだ」
と、過去の出来事を現在判断している文にしたい。
しかし、to の後ろは、動詞の原形しかこないのが不定詞のルール。
このときに、
時制を1つ古くしたいときは、「have+過去分詞」の形を用いる。
という大原則が生きてきます。
すなわち、
They seem to have built this house. 
これで、
「彼らがこの家を建てたようだ」
と過去の出来事を現在判断している文になります。
それが、「完了形の不定詞」という形です。

完了形の不定詞は単純な過去ではなく、「その文の動詞の時制よりも1つ古い時制」を表すものです。
しかし、まずはざっくりと過去になると理解していれば、「1つ古い時制」という無機質な知識も頭に入りやすくなります。


次に、完了形の動名詞。
He is proud of being a mayor.
「彼は、市長であることを誇りに思っている」
現在市長であることを、現在誇りに思っているという文です。

これを、
「彼は、市長だったことを誇りに思っている」
という文にしたいとき。
誇りに思っているのは現在ですが、市長だったのは、過去のことです。
どうしましょう?
動名詞の過去形?
wasing ?
いいえ、そんな形はありません。

He is proud of having been a mayor.
「彼は、市長だったことを誇りに思っている」
1つ古い時制のことを動名詞で表したいときは、「have+過去分詞」のhave の部分をing 形にすればいいのです。
それが、「having+過去分詞」の形です。
時制を1つ古くしたいときは、「have+過去分詞」の形を用いる という大原則が生きてきます。


次に、分詞構文。
まずは、分詞構文を用いる前の、接続詞を用いた文から。
Because she read the novel, she knows the ending of it.
「彼女はその小説を読んだので、その結末を知っている」

その小説を読んだのは、過去のこと。
その結末を知っているのは、現在のこと。

これを分詞構文にしたときに、
Reading the novel, she knows the ending of it.
とすると、時制のズレを表すことができません。
分詞構文にすると、主節の動詞の時制と自動的にそろってしまうからです。
過去のことであることを表したい。
ここで、時制を1つ古くしたいときは「have+過去分詞」の形を用いる という大原則が生きてきます。

Having read the novel, she knows the ending of it.
「彼女はその小説を読んだので、その結末を知っている」

この場合、もとの文が現在完了形だったという把握もできますが、大原則を利用しているのだと頭の隅で理解しておくことで、応用範囲が広がります。


最後に、仮定法。
まずは、仮定法過去。
If I had enough time and money, I would travel around the world.
「十分な時間とお金があれば、私は世界中を旅するだろう」

仮定法のことがわからない場合は、別に仮定法のページをご覧いただければと思いますが、これは仮定法過去。
現在の事実に反する仮定を述べている文です。
現在の事実に反するので、その心理的距離間を時制のズレで表しているのだろうと言われています。
if 節は、過去形。
主節は、主語+助動詞過去形+動詞原形。
この形で、現在の事実に反する仮定を表します。

しかし、人は、過去の事実に反する仮定を言いたいときもあります。
あのとき、ああだったらなあ、と。
言っても仕方のない「たら・れば」ですが、言いたいときはあります。
それが、仮定法過去完了。
過去の事実に反する仮定を表すものです。
過去よりも1つ時制を古くするのなら、if 節は、過去完了形。
それは、ピンときます。
でも、主節は?
助動詞に過去完了の形などあるはずがありません。
そして、助動詞の後ろは、動詞原形でなければなりません。
ここで登場するのが、「have+過去分詞」です。

If I had had enough time and money, I would have traveled around the world.
「私に十分な時間とお金があったら、私は世界中を旅しただろう」

時制を1つ古くしたいときは、「have+過去分詞」。
この原則が、他の文法事項、特に覚えにくいところで多用されています。
大原則を理解すれば楽になります。
英語の秀才は、そこを理解しています。

しかし、そのことに気づかず、むしろ、何だか似たようなことを前にも習ったようで、混ざって余計に混乱する、としか把握できない・・・。
勉強が下手というのは、そういうことです。
そして、前に学習したことを定期テストが終われば簡単に記憶から消去しているから、そういうことになるのでもあるのだと思うのです。

忘れてはいけない。
一度頭に入れた知識は、忘れないように反復しましょう。
そういう知識は、「3日前の夕飯は何を食べた」といった、どうでもいい記憶とは区別して、しっかり覚えておきましょう。
全部短期記憶にして、全部捨てていくことを、自分の中で肯定するのはやめましょう。

学力が低い人は、記憶がないのです。
本当に、不可解なほど、何も覚えていないのです。
まず、記憶を確保しましょう。



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