たまりば

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2022年03月16日

高校英語。部分否定。

高校英語。部分否定。

さて、今回は英語。部分否定です。
部分的に否定する。
つまり、「すべてが~なわけではない」「いつも~なわけではない」という言い方です。
世の中のことの多くは、「すべてかゼロか」なわけではないので、この言い方は使い道が多いです。

まずは例文を見てみましょう。
You can tell a child what to do, but he or she doesn't always obey.
子どもに何をしたらよいかを教えることはできるが、その子が必ずしも従うとは限らない。

・・・身につまされる例文です。
この文の but 以降が、部分否定です。
常に完全に従う。
常に従わない。
そのどちらでもないのです。
従う場合もあれば、従わない場合もあります。

部分否定の文は、作り方のルールさえ理解すれば簡単なのですが、苦手に感じる人が多いです。
「部分否定」という文法用語を学ぶのは高校生になってからですが、中学の頃から、こうした文は出てきています。

I like English very much.
私は英語が大好きです。

これの否定文は?

I don't like English very much.

この文を、「私は英語がとても嫌いです」という意味で使ってしまう中学生がいます。
しかし、これは、そういう意味ではありません。
「私は英語があまり好きではありません」
という意味になります。
大好きというわけではなく、大嫌いというわけでもない。
好きという気持ちを部分的に否定しています。
どうしてそうなるのか?
very much という、強める言葉を用いて否定文にしているため、「大好きというわけではない」ということになるからです。

このように、意味の強い言葉や、完全性、全体性を示す言葉を否定文で用いると部分否定になります。

具体的には、上の very の他、all , both , always , necessarily , totally , completely , quite などを用いた否定文が部分否定です。

Not all of the members attended the meeting.
メンバー全員がその会議に出席したわけではなかった。

I haven't read both articles.
私はその記事を両方とも読んだわけではない。

He is not always agree with me.
彼はいつも私に同意するとは限らない。

このように使用します。
ほとんどの場合は、いつもの位置に単語を置いて、それを否定文にすればよいだけですが、 all の場合だけは、not all の配置になります。

All of the members didn't attend the meeting.
としたとき、完全否定である「メンバー全員がその会議に出席しなかった」という意味にとられる可能性があり、紛らわしいからです。


と、ここまで説明して。
以上のことは、わかる人には何でもないことなのですが、英語が苦手な子、勉強が苦手な子は、ここらへんになると定着は難しく、英語学習のいばらの道が続きます。

部分否定の理屈がわからないのか?
いや、それは、説明を聞けばわかるのです。
でも、実際には使えない。
なぜかというと、単語の意味を覚えていないことが1つの原因となっています。
always はどういう意味なのかを確認すると、「ときどき」と答えたりします。
always は、「いつも」です。
全体性を表していることを覚えていないと、その否定文が部分否定になる理屈がそもそもわからない・・・。
necessarily , totally , completely なども、見たことはあるような気がするが、正確な意味を知らない。
quite も、どういう意味なのかわからない。
「静か」と誤答してしまう子も多いです。
それは、quiet 。
しかも「静か」ではなく、「静かな」「静かだ」と語尾まで覚えるよう助言するのですが、そういうのもなかなか治りません。
その単語が名詞なのか形容詞なのか、その覚え方ではわからなくなるのに。

細かいところを正確に覚えていないので、なかなか英語が得意になりません。

最大の原因は、覚えようと思うけれど、覚えられないこと。
単語も熟語も、細かい知識も、覚えたくないわけではないけれど、覚えられない・・・。


話は変わりますが、ここ2年ほどなかった、「タレントが大学受験をしてみる」テレビ企画が、今年、始まりました。
志望校が早稲田大学教育学部というのが、できそうで無理そうな微妙なラインで、視聴者の興味をひく仕掛けになっています。
しかも、それは今のところの第一志望で、徐々に志望を下げても良いらしいです。
タレントの「東大受験」は、もう視聴者が飽きたのかもしれません。
無理なのはわかっていますし。

いつも見ている番組ではないのですが、ちょうど帰宅してテレビをつけるとやっていることがあります。
曜日も番組名も覚えていないのですが。
その中で、英語担当の講師が言っていたことは、私も心より同意しました。
大学受験に必要とされる英単語。
それを覚えれば、受験生の上位10%に入れる。
でも、現実にはなかなか覚えられない・・・。
だから、上位10%に入れない。

その続きとして話された、「英単語の覚え方」。
語源的な覚え方が紹介されていました。
しかし、あのやり方は、万能ではありません。
覚えることが苦手な子は、まず語源的な最小単位を覚えられないのです。
番組でやっていたのは、uni がつく語はどういう意味になるか、でした。
そういうことを、覚えられない子も、多いです。
そもそも、そういうことにそれほど興味を示しません。
現実の高校生は、そういうことを「えー。面白い。わかりやすい」とは言わないのです。
「面白い」の基準が違うのだと思います。
知的な面白さにあまり興味がないのかもしれません。
そういうことに興味を示す子は、それこそ上位10%の子たちです。

あれは、東大受験のドラマでも扱われていて、面白いな、そういう覚え方を学生の頃に教えてほしかったなと思った方もいらっしゃると思います。
ドラマを見た方、今、uni の意味を覚えていますか?
記憶力の良い方は覚えているでしょう。
でも、
「あれ?何だったかな?あのときは面白いと思ったんだけど」
という方も多いのではないかと思います。
記憶というのは、反復しないとすぐに消えていくのです。
興味深いことであっても。

どんな覚え方でも、英語を覚えるのは大変です。
それでも、覚えてしまえば、英語の成績は上がります。
でも、覚えられないから、英語の成績が上がらない。
この当たり前の真理に、どうくさびを打ち込むか。

単語を覚えるためのトレーニングスケジュールを塾で組むことがあります。
それほどの苦しさは要求していません。
毎日1時間、CDを聴きながら、テスト形式でトレーニングするだけです。
しかし、本人にとっては、それがとても苦しいのかもしれません。
地道に続けていける子なら、3か月で、大学受験に必要な単語力がつきます。
それだけのことが、しかし、実行できない。
毎日1時間を3か月。
それに、耐えられないのです。
言われた通りのやり方をせず、勝手にアレンジして、効果のある方法を骨抜きにしてしまう子は多いです。
別に毎日やらなくても良くない?
そんなことしている時間はないし。
そのように考え、効果のあるやり方を無効にしているのは本人なのに、「やっぱり効果がない」と不満を抱くようになります。
不満というよりも、それをやらない言い訳にしてしまうのかもしれません。
どこかに、もっと簡単に英語が身につく魔法の方法があると思っているのならば、特に。
この先生は、それを知らないから、こんな地道なことを要求してくるんだと思っていたら、努力はできないのでしょう。
まさに、
You can tell a child what to do, but he or she doesn't always obey.
なのです。

朝ドラでヒロインひなたは、「手っ取り早く英語を話せるようになりたい」と、駅前留学し、書店で英語の本を買い込み、聞き流し教材に手を出そうとして貯金が尽きてしまっていました。
母親るいがラジオ英会話で英語を習得している、良い見本が身近にあっても、なお。

今、甘い誘惑はさらに多種多様です。
ゲームをするだけで、英語が身につく。
LINE で会話するだけで英語が身につく。
AIが分析してくれて、弱点を補強してくれるから、簡単に成績が上がる。
神授業動画を見るだけで、するすると英語がわかるようになる。
英文法なんかわからなくても、この本を読めば英語はできるようなる。
この単語集なら、誰でも単語を覚えられる。

現代の視点からなら、駅前留学も聴き流し教材も効果はないとわかっているのですが、それがわかっている人でも、新しい英語学習法の宣伝を見ると、これなら効果があるのではないかと思ってしまう。
だって最新の学習方法だから。
AIを使っているそうだから、と。

金儲けしたい人たちの宣伝文句が自分に都合のいいものであるときは、それを利用するわけではなくても、その宣伝文句だけは自分の内側に取り込んでしまい、地道な努力ができず、大学受験までの期間を空費していく子は多いです。
どんなやり方でも、一定期間努力しなければ英語は身につきません。
でも、そのことをどうしても受け入れられない。
だから、上位10%には、入れない。

才能の差はあまり感じません。
ただ、性格の違いは、あるのかもしれません。

いよいよ今年から、高校も新学習指導要領に入ります。
ひと足早く新学習指導要領で授業が行われている公立中学のテスト結果を見る限り、「ゆとり教育」の再来と思われる事態が起こり始めているように思います。
どんな問題が出るかを前もって教えるなどして、平易な定期テストが行われた場合、テスト結果は、80点台か90点台に大きな山があるヒストグラムになっています。
しかし、今まで通りの難度のテストを行っている科目では、「ふたこぶラクダ」の兆候が表れています。
どちらも、ゆとり教育の時代によく見たテスト結果です。
アクティブラーニングは、優秀な子はさらに主体的で深い学びができる一方、その他の子は、授業で何をやっているのかよくわからない事態に陥りやすいのです。

勉強がわからない。
では、どうするか?
ここで、楽なほうに流れる子が、さらに増えていくのかもしれません。
楽で、新しそうな方向に。
それでも、しばらくは様子を見守るしかないのでしょうか。




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    Posted by セギ at 13:02│Comments(0)英語
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