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2021年03月18日

高校英語。仮定法。直説法への書き換え。

高校英語。仮定法。直説法への書き換え。

仮定法の単元で、テストによく出るのが、仮定法を直説法に、あるいは直説法を仮定法に書き換える問題です。
やってみましょう。

問題 次の仮定法の文を、同じ意味の直説法の文に書き換えよ。
(1) If I had enough time and money, I would travel around the world.
(2) If my next-door neighbor's TV were not so loud, I could sleep.
(3) If I had left ten minutes earlier, I would not have missed the train.
(4) If my mother had not called me, I might have overslept.

特別な用法ではなく、普通の仮定法過去や仮定法過去完了に関する問題ですので、仮定法の時制についての基本知識が身についていれば大丈夫なはずなのですが、ケアレアミスが多くなるところでもあります。

順番に考えていきましょう。
(1) If I had enough time and money, I would travel around the world.
私に十分な時間とお金があれば、世界中を旅行するだろう。

仮定法過去の文です。
現在の事実に反する仮定を表しています。
直説法にするのですから、現在の事実をそのまま書けばよいのです。

そうすると、接続詞は if ではないので、「~だから」という理由を表す as を用いるのが普通です。
時制は、現在時制に直すこと。
もとの文は事実に反しているのだから、If 節も主節も、肯定文は否定文に、否定文は肯定文に直すこと。
それに気をつければ、問題ありません。

As I don't have enough time and money, I don't travel around the world.
私は十分な時間とお金がないので、世界中を旅行しない。

これを、学校の授業を中途半端に聞いて誤解したのか、肯定文を否定文に変えるのは、if 節か主節のどちらか片方だけだと誤解していた子が以前いました。
その誤解を解くのは、なかなか大変でした。
いきなり英文で解説してもわかりにくいので、まず日本語で、
「私に十分な時間とお金があれば、世界中を旅行するだろう」
は、事実としては、
「私は十分な時間とお金がないので、世界中を旅行しない」
になるよね?
意味から考えてみてね?
と説得を試みましたが、その子は、
いや、事実に反する仮定なのだから、事実は反対なのだ。
だから、
「私は十分な時間とお金がないので、世界中を旅行する」
という文を作るのが正解なのだ。
と主張するのでした。

数学ではよくあることですが、英語でも、このようにつなげるべきでないところを裏返してつなげてしまったメビウスの輪状態というのがあります。
そんな意味をなさない文を作って、どうするの?
と私が問いかけても、その子の目には何の表情も浮かびませんでした。
事実は仮定法の反対なんだから、反対の意味にしないといけないんだ、と主張するのみでした。

事実に反する仮定というのは、そういうことではないのです。
If 節は確かに事実と反対ですが、その後に続く主節によって、全体として語られる意味内容がある。
それと同じことを、事実そのままの形で説明するのが、直説法です。

「私は十分な時間とお金があれば、世界中を旅行するだろう」
という仮定法を、同じ意味の直説法に書き換えます。
事実としては、
「私は十分な時間とお金がないので、世界中を旅行しない」
です。
そういう書き換えをこの問題は要求しています。
ですから、if 節も主節も、肯定文は否定文に、否定文は肯定文に書き換える必要があります。

(1) If I had enough time and money, I would travel around the world.
を直説法に書き換えると、
As I don't have enough time and money, I don't travel around the world.
です。

接続詞を as に変える。
肯定文は否定文に変える。
時制を現在形に変える。
この3点に注意すれば大丈夫です。

しかし、現在形の否定文に変える、という作業が、案外難しい人もいます。
don't がとっさに出てこないのです。
高校生ですから、さすがに、
As I am not have enough time and money,  
ではないことは、気づくようです。
それは、間違い。
何回も何回も、それで間違えた。
一般動詞の否定文に、be動詞は使わない。
しかし、では何だったのか、とっさに出てこない。
don't が出てこない。
英語を学び始めた最初から、don't が出てこない。
don't を使っている文の意味はわかるが、自分から don't を使うことができない。
英語が苦手な子の宿命的弱点です。
何とか意識して強化してください。

細かいところでは、仮定法の主節の would を、直説法では will に書き換えてしまう人もいます。
will が入ると、文意に主語の意志が加わってしまいます。
文意からわかることですが、これは意志の問題ではありません。
事実として、世界中を旅行をしない、というだけです。
仮定法の主節は助動詞の過去形が必要ですが、直説法は、その必要がありません。
だから、will は用いません。

気持ちはわかるのです。
will の他、can を入れてしまう人もいます。
文意を考えすぎて、何か工夫したくなってしまうのですね。
その気持ち、よし。
そのセンスは、自由英作文で発揮しましょう。


(2) If my next-door neighbor's TV were not so loud, I could sleep.
隣人のテレビの音がそんなに大きくないならば、私は眠れるのだが。

これを事実に書き換えると、
「隣人のテレビの音がとても大きいので、私は眠ることができない」
となります。
その方向で、直説法に書き換えていけばよいわけで、やり方は同じです。
if を as に書き換える。
仮定法過去なので、時制を現在形に変える。
肯定文は否定文に、否定文は肯定文に。
これで大丈夫です。

As my next-door neighbor's TV is so loud, I can't sleep.

主節の助動詞は残さないって言ったのに!
・・・いいえ、残さないのは、助動詞 would だけ。
その他の助動詞には、それぞれの意味がありますから、必要ならば残します。


(3) If I had left ten minutes earlier, I would not have missed the train.
10分早く出発していたら、その電車に乗り遅れなかっただろう。

if 節が、過去完了形。
これは、仮定法過去完了の文です。
過去の事実に反する仮定を述べています。

直接法に書き変えるには、
if を as に変える。
時制を過去形に変える。
肯定文は否定文に、否定文は肯定文にする。

As I didn't leave ten minutes earlier, I missed the train.
私は10分早く出発しなかったので、その電車に乗り遅れた。

ルールは単純なはずですが、苦労する人、ケアレスミスする人が多いです。
完了形を、過去形のしかも肯定文や否定文に書き換える、という作業がスムーズにいかない。
文法の基礎、根本の力を問われると、案外弱い。
内容的には中学英語なのですが、中学生のときに文法練習を沢山やっておかないと、手が上手く動かないかもしれません。


(4) If my mother had not called me, I might have overslept.
母が起こしてくれなかったら、私は寝過ごしていたかもしれない。

これも、仮定法過去完了。
過去の事実に反する仮定です。

As my mother called me, I didn't oversleep.
母が起こしてくれたので、私は寝過ごさなかった。

would 以外の助動詞は残せと言ったのに、残してない!

・・・仮定法過去完了の「~だったかもしれない」というニュアンスは、直説法では残しようがないです。
過去の事実ですから。
とはいえ、このあたりのことは、機械的には行えないですから、難しいですね。

練習あるのみです。




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    Posted by セギ at 16:29│Comments(2)英語
    この記事へのコメント
    > 「私は十分な時間とお金がないので、世界中を旅行する」

    数学の答案でも、このように正しい間違っている以前に「日本語の文として意味が取れない」解答は結構見かけます。明らかに意味が取れないのになぜそれを答案に書くのかを同僚と議論したことがあり、彼らはそもそも「文章を読んで理解した」経験がなく、基本的に文章はきちんと理解できないので、自分が書いている文が意味がとれるかどうかに無頓着である、という仮説が出ました。
     twitterやlineでのやり取りでは、その場のノリで何となく大雑把な雰囲気が伝われば十分で、日本語の文としてはあきらかにおかしいものが普通です。そういった文しか読んだことがないので、すべての文は何となくの雰囲気でしか取られられず、「どこかがおかしい」と気が付く感覚が身についていないように思います。
    Posted by saitou at 2021年03月20日 15:44
    コメントありがとうございます。
    意味をなさない答案、数学ではさらに増えますね。
    論理的なことを書き進めていくことが本当に苦手な様子で、そもそも論理ということがわかっていないのかもしれないと思うこともあります。
    だから、例題や問題集の解答にふわっと似せた答案を書き、それが正解になることを漠然と夢見ているのかもしれません。
    Posted by セギセギ at 2021年03月20日 22:27
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      コメント(2)