たまりば

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2017年05月01日

不等式の範囲に関する問題。


さて、今日はこんな問題から。

問題 次の連立不等式にあてはまるxの値のうち、整数のものが5個あるときの、aの値の範囲を求めよ。
5x-4≦3x+10
3x-2a≧3

「方程式・不等式」の単元でも、関数の単元でも、xやyしか出てこない問題なら解く子が、他の文字、aやmやtが問題文に出てきた途端に、全く手をつけなくなることがあります。
問題が何を言っているのか、わからないと言うのです。
xやyに対する認識もふわふわしている場合、他の文字まで対応できないのかもしれません。

しかし、上の問題の場合、とにかくやれることがありそうなのですが、それもやろうとしないのは残念です。
無論、単純な計算問題ではありませんから思考力は問われますが、見ただけで諦めている様子の子が多いのです。
子どもは、解き方の最後まで見通せないと、1行も答案を書きださないことがあるんですが、そんなことをやっていたら応用問題は解けるようになりません。
とにかく、今できることは何かを考えましょう。
1つ目の不等式は、aを含んでいないので、普通に解けることに気づくはずです。
できることをまずやってみると、問題がほぐれてきます。

5x-4≦3x+10
2x≦14
x≦7

さて、次にどうしましょうか?
下のほうの式も、解けるだけ解いてみたらどうでしょうか?
3x-2a≧3
3x≧2a+3
x≧2/3a+1

よって、xの範囲は、
2/3a+1≦x≦7
とわかります。

最初の問題文に戻ると、xの整数値は5個あるとなっています。
具体的には、3,4,5,6,7がその整数値でしょう。
ということは。
2/3a+1という上の左辺を1つの数ととらえたとき、その数が2であったら、xの整数値に2が含まれてしまいます。
ですから、左辺は2よりは大きいことが必要です。
また、左辺が3より大きくなってしまうと、xの整数値に3が含まれなくなってしまいます。

ゆえに、上の不等式から、
2<2/3a+1≦3
という新しい不等式を導くことができます。
これを解いて、
1<2/3a≦2
3/2<a≦3

これが解答です。

応用問題への姿勢は、子どもによって大きく違ってきますが、代表的なのは2つのタイプです。
1つ目は、応用問題を見た途端に、もう解くことは諦めてしまう子。
小学生からそういう傾向は表れます。
文章題となると、もう全く解かないし、解かなくてもいいと思っている子がときどきいます。
文章題を解かなくても、計算問題だけ解けば、小学校のカラーテストなら70点から80点くらいは取ることができます。
あるいは、以前に何度も書きましたが、
「今はかけ算を勉強しているんだから、かけときゃいいんでしょう?」
という判断で式を立て、それで正解しているだけの子もいます。
それで、そこそこ算数はできると満足しています。

保護者の方も、その点数で「まあまあできているんじゃないの」と思ってしまい、中学受験を考えて塾に入れたりしますと、ここから悲劇が始まります。
中学受験の受験算数は、入試に出る計算問題は2題程度です。
あとは、全て文章題です。
「1行問題」と呼ばれる易しい典型題さえ、そういう子にとっては、難解な応用問題です。
だから、塾から出される宿題は、ほとんど解けません。
また宿題をやっていないと怒られたって、わからないんだから解きようがない。
なんで自分に解けと言うのか、意味がわからない。
ちょうど反抗期と重なっていることもあり、大人の言うことには内心で全部反抗しています。
結果、塾に3年通っても、線分図の描き方1つマスターできない子もいます。

「わからない」と本人は言いますが、わかろうとしているかどうかは、かなり怪しいです。
受験が近づくと、さすがに入試に落ちるのは嫌だと思うからなのか、以前は解かなかった問題を解くようになりますから。
わかろうと努力すればわかることも、実はかなりあるということでしょう。
意欲の問題が大きいのです。
わかるのなら、最初からこれくらいの意欲で3年間学習すれば良かったのにね、と思うのですが、後悔先に立たずは子どもの常です。

これは「カラーテストの点数が80点では中学受験は無理」というような単純な話ではありません。
その80点の取り方の話です。
問題を解く本人の姿勢の問題です。
応用問題は、自分には解けないもの。
そういう限界を決めていない子なら、今がどうであれ伸びていく可能性はあります。

応用問題への態度としてよくある、もう1つのタイプ。
これは、応用問題の典型題ならば解けるタイプです。
応用問題も、教科書や参考書の例題として解説されているものは典型題です。
典型題として認識し、解法パターンを記憶すれば、解けるようになる子は多いです。
そういう子は、よく勉強し、努力もしているので、中学生ならば、定期テストの成績は良いことが多いです。

しかし、入試問題はそのような典型題ばかりとは限りません。
私立の学校では、学校の方針として、あえて典型題ばかりで入試問題を構成し、努力しているかどうかを評価する場合もありますが、見たことのないタイプの応用問題を入試に出す学校も多いです。
本当はそれも典型題を2~3種類組み合わせた問題であり、全く新しい問題というわけではないのですが、子どもが「この問題は前に解いたことがある」と感じる種類の問題ではありません。
高校入試でも、都立自校作成校の数学の問題は、後半は全てそのような問題になります。
見たことのある問題、解いたことのある問題しか解けないタイプの秀才は、都立自校作成校の問題にはほとんど歯が立ちません。
もっとも、都立自校作成校の数学の過去問は100点満点で30点から40点しか取れないとしても、合格の可能性がないわけではありません。
他の受験生も大半がそんなものだからです。
とにかく高い内申を取ることと、他の科目で取れる点を確実に取ることを実行できれば、数学が30点でも自校作成校に合格は可能です。

しかし、それは数学的には敗北しているということです。
上のよくある2パターンではなく、第3のパターンに進みたいですね。
「初見の応用問題を自力で解くことができる」
そういう、本物の学力を持ちたいものです。

そのためには、普段から応用問題への姿勢を変えていく必要があります。
解法をすぐ見て、解き方を覚えるのではなく、まずは考えてみたいです。
自分で何とかしようとすることが大切です。
上の問題で言えば、与えられた連立不等式のうち、1本はすぐ解けるのだから、とにかく解いてみること。
2本目もどうなるかわからなくても、とりあえず解いてみること。
解けないのかもしれなくても、試行錯誤をしてみること。
やれることをとりあえずやってみると、その先のステージに進むことができ、そこから何ができるかを考えることができます。
途中で詰まってその先に進めないことも多いかもしれません。
でも、いつかは最後までたどりつけます。
そういう姿勢で練習を繰り返すことで、初見の応用問題を解けるようになっていきます。

解き方がわからないと、全く手が動かない。
最後まで解ける見通しがないと、1行も答案を書かない。
答案は白紙で、何もやった跡がない。
解説を聞いて納得し、同じ問題は解けるようになるが、また別の応用問題には立ち往生。
毎回、その繰り返し。
それでは、入試問題を解けるようにはならないと思います。

「だって、どうやるのか、本当に全くわからない」
そういう声も聞くのですが、そういう子は、何かを考えている様子が見られないことが多いです。
考えている様子はなく、ただ困っているようです。
そして、私がしびれを切らして説明するのを待っています。
そんなふうに見えてしまうことが多いのです。
できることの選択肢が頭の中にザッと並び、それを取捨選択している気配が目の色にうかがえないのです。
これは感覚的なものなのですが、目が意識の内側を向いているように見えるとき、この子は本当に考えているという手応えを得ることがあります。
全く動きはないが、この子は考えている。
分析と判断を、今、繰り返している。
そういう表情というのは、確かにあります。
考えているふりをしているときの表情とは本質的に異なるものです。
「考えているふり」の表情を作っても、せいぜい1分しかもちませんし。
人間、本気で考えている場合、5分なんてすぐに過ぎますし、本人の体感ではそんなのは30秒にもならないのですから。


「何をどう考えていいのか、わからない」
これももっともな話なのですが、まず「今、何ができるか」を考えることから始めてみましょう。
応用問題を解ける人は完全に最終解答まで見通して問題を解いている。
そのように誤解している子は多いですが、解き方を知っている問題を解くのでない限り、そんなことはほとんどありません。
最後までは見通せないまま解きだしている場合が多いのです。
とにかく、できることをやってみる。
整理できることは整理する。
どうゴールするかを考えるのではなく、とにかくスタートすることから始めてほしいと思います。
上の問題で言えば、まず1つ目の不等式を解いてみることを発想できるかどうか、だと思うのです。






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