たまりば

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2017年01月13日

三平方の定理と暗記


中学3年生が今の時期に学習する「三平方の定理」。
定理そのものは、それほど難しいものではありません。
「相似」で悪戦苦闘した後ですと、むしろ易しく感じるのではないでしょうか。

そんな中で、少し厄介なのが特別な比の三角形でしょう。
三角定規になっている、2種類の三角形です。
その角度は、小学校で覚えます。
そして中3になると、辺の比を覚えることになります。

この「覚える」という作業が、算数・数学とはなじまないと感じる子がいて、
「数学って、考えるものでしょう?何で覚えるの?」
と、一応もっともなことを言ったりします。
意味のわからないことを覚えろと言っているのではないので、最低限、理解したことは覚えないと、その先の問題は何1つ解けなくなってしまうのですが、覚えるのが本当に嫌いな子はいます。

特別な比の直角三角形は、3:4:5や、5:12:13のような、覚えておけば便利という程度のものもありますが、三角定規の三角形の辺の比は、覚えないとどうにもなりません。
1辺の長さから他の2辺の長さを求める問題が当たり前に出題されます。
これは、比を覚えていないと解けません。
内角が45°、45°、90°の直角三角形の辺の比は、1:1:√2。
内角が30°、60°、90°の直角三角形の辺の比は、1:2:√3。
絶対に覚えなければならないのが、この2つです。
(*^_^*)

1:1:√2 のほうはまだわかりやすいのですが、1:2:√3 は、2にあたる辺と√3にあたる辺を取り違える子が多く、ミスの出やすいところです。
あの直角三角形は、背中合わせに並べると、1つの正三角形になります。
そのイメージさえもっていれば、2にあたる辺がどちらであるかを間違えることはないのですが、機械的に暗記しているだけだと、しばしば間違えます。
また、この三角形の学習に慣れてしまった後、角度が明示されていない普通の直角三角形にこの辺の比を誤用してしまう子も現れます。
「何か似ているから、使っていいと思った」
と言うのです。
見た目が少し似ていても、30°とか60°とか、角度が明示されていない直角三角形にこの辺の比を利用してはいけないんだよ、違う三角形なのだからと説明しても、へえ、そんなものなのかあ、何でかなあという顔をしています。


高校の「三角比」も「三角関数」も、この比をガンガン使います。
というよりも、ほとんどこればかりです。
この比は非常に重要です。
しかし、以前、中3の生徒にその話をしたとき、どうにも話が通じなかったことがあります。
「まあ、そのうち覚えます」
という返事で、なかなか覚えないんです。
覚えるか覚えないかを判断するのは自分であると言いたげな妙な「ゆとり」が口調から感じられ、あまりにも話が通じなくて困惑しました。
(^_^;)
長くつきあってみると、その子は、ものを覚えるのが本当に苦手で、でも、そのことを悟られまいとして、人をくったような偉そうな物言いになってしまい、損をしている子だったのでした。


数学は暗記科目ではないというけれど、覚えなければならないことはあります。
そもそも、「暗記科目」というくくりが本当は妙なので、歴史でも地理でも、興味を持って勉強している子は、「暗記しなければ」という自覚は特になく、重要なことは自然に覚えてしまいます。
そういう子にとっては、歴史も地理も「暗記科目」ではありません。
単なる知識が重要なのではなく、1つのことが他のことに波及していくその関係、その大きな流れが読みとれるから歴史や地理は面白いと、そういう子は知っています。

興味があることに関しては、覚えることは苦になりません。
勉強以外のことを例にするもっとわかりやすいと思います。
私より下の世代の人たちは、子どもの頃にポケモンのゲームで遊んだり、アニメが好きだったりしたので、出てくるモンスターの名前をほぼ全部覚えている人が多いです。
去年の夏にスマホゲームになって、その衰えない人気が証明されましたね。
ポケモンが好きな人にとっては、モンスターの名前を覚えることは苦行でも何でもなく、当たり前に覚えられることです。
暗記しようと努力したわけではないでしょう。
そしてその記憶は、今後もずっと維持されて、彼らは老人になってもポケモンの名前は忘れないでしょう。

でも、ゲームに興味のない私がポケモンの名前を覚えなければならないとしたら、これは苦行です。
(^_^;)
全く興味がないので、かなり努力しないと覚えられないでしょう。

ファッションもそうですね。
ブランド名などは、私はほとんど覚えられません。
興味がないものは頭に残らないのです。
必要ないから記憶に残さないようにしている傾向もあります。
どんなことでもとにかく努力して覚えたら、その先に面白いことが待っているんだろうなあとも感じるのですが、他に覚えなければならないことが沢山あるからなあといつも後回しにしてしまいます。

数学が暗記科目ではないというのも、同じ意味だと思います。
数学に興味がある人は、公式や定理は意味を理解すれば自然に覚えてしまいます。
だから「数学は暗記科目ではない」と言います。
でも、実際には、興味がなかったら覚えられません。
そういう意味では、数学も、歴史や地理と同じです。
興味がないので無理をしなければ公式を暗記できない子は、とにかく意味を理解したら無理に暗記して、使えるようになりましょう。
使えるようになって、正解を出せるようになって、苦手意識がなくなっていけば、「大きな流れ」とか、他のこととの関係とか、興味がわいてくると思います。
「公式だから」とあきらめて使っていたことの本当の意味に、ある日気がついて、衝撃的な開眼をする日も来るかもれしません。


「ゆとり教育」の影響はそろそろ薄れてきていますが、それでも「暗記」を軽視する子は減りません。
覚えることが苦手で、新しい公式や定理をなかなか暗記せず、教科書を開いて単に代入して問題を解き、それで勉強は完了したような勘違いをしてしまう子は多いです。
理解することが勉強の全てになっていて、公式を覚えていないのです。
テスト本番で、自力では全く解けないことに気づき、呆然とテスト用紙と向き合うことになってしまっています。


数年前、小学4年生に確認テストを解いてもらっている間、その子の算数の教科書をパラパラめくっていたら、面白いことが載っていました。
「大きな数」のページでした。
大きな数の単位としては、小学校で理解しなければならないのは、千兆の位までです。
子どもの中には、数の単位を唱えさせると、
「一、十、百、千、万、十万、百万、一億、一兆」
と、謎の跳び方をする子がいます。
千兆の位までの数を算用数字でも漢数字でも正しく書けて読めて、位取りの関係が理解できることがこの単元の学習目標です。

ゆとり教育の頃は、「大きな数」について学校で学んできた子が、なぜか自慢げに、兆より大きい数について私に教えてくれることが何度かありました。
「センセー、千兆の次の位を知ってる?」
「京だねえ」
「その次は?」
「垓」
「その次は?」
「何だっけ。聞いたことあるんだけど、覚えていないなあ」
「知らないのー?無量大数って言うんだよー」
「・・・・・・え?早くない?」
「無量大数って言うんだよ。学校で覚えさせられたもん」
「・・・・・・へえ」
こうした会話を、ゆとり教育の時代に複数の生徒と交わしています。
現実問題としては、京より大きな桁の数は、10の累乗を用いて表すのが普通なので、あまり使い道のない知識ですが、しかし、「垓」の次がすぐ「無量大数」というのは、あっけないですね。
大きな数の桁の名称は、もっとあるでしょう。

新課程の教科書には、大きな数の桁の一覧が載っています。

京 けい 
垓 がい 
禾予 じょ 
穣 じょう  
溝 こう 
澗 かん  
正 せい  
載 さい  
極 ごく   
恒河沙 ごうがしゃ
阿僧祇 あそうぎ
那由他 なゆた
不可思議 ふかしぎ
無量大数 むりょうたいすう

全ての新課程教科書がそうなのかどうかはわかりません。
これは発展的内容で、絶対に覚えるべきことではありません。
でも、何だか見ているだけでワクワクしました。
高校で学ぶ指数や対数は、言わばデジタル表記なので、自分の扱っている数字がどれほどの大きさなのか、計算しているのに実感できないことがほとんどです。
この大げさな桁の名称は、大きな数の大きさを実感させます。
そして、私自身、実はそんなに知らなかったこの大きな数の知識が、この一覧表を見ているだけでスルスル頭に入ってきました。
覚える覚えないは好き好きですが、これは私にとっては魅力的な知識なんだなあと改めて感じた経験でした。




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