たまりば

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2014年11月24日

小学生と英語。



英検受検の低年齢化は、前々から一部であったのですが、年々加速し、拡大しているように感じます。

本来の英検レベルは、
5級が中1程度
4級が中2程度
3級が中3程度
準2級が高1程度
2級が高校卒業程度
準1級が大学程度
となっています。

現在も問題のレベルはそのままなのですが、該当学年より上の級をできるだけ早く取ろうとする子が増えています。
小学生が、英検2級に挑戦する時代。
それをあおる子ども向けの英語塾も増えてきました。

語学は、順番に学習を積み重ねていけば、そのレベルに到達できます。
だから、小学生が英検2級を取得するのは不可能なことではありません。
ただ、それは、低学年から英語を学び始めて、小学校6年生で2級を取得するというもので、3~4年かかります。
中1から英語を勉強し始めた子が、英検2級レベルに到達するのに、やはり3~4年かかりますから、同じことです。
「小学校6年生が英検2級」というと何か凄いことのような気がするだけで、4年もやれば、優秀な子は、それくらいのレベルに到達します。
小学生であるとか、高校生であるとかは、語学に関しては関係ないのです。

しかし、4年間英語を学習した全員が2級を取れるわけではありません。
ある英語塾が公開している情報によれば、小学校6年生で2級を取得できた子は、生徒の1割。

これを、
「1割も2級を取れるの?凄い」
と思うか、
「9割も落ちこぼしているのか」
と受け取るかは、微妙な問題です。

子どもの中には、競争することで無限に伸びる子がいます。
テストを繰り返し、ランキングし、クラス分けすることで、上のクラスに入った子は、さらに競いあい、伸びていきます。
その果ての英検2級取得のようです。

問題は、そうならなかった9割。
英検3級をどうにか取得する大半の小学生たちの、その後です。

英検の1次試験は、2級まではすべて記号問題です。
しかも、リスニングの割合が大きく、全体で7割程度正解できれば合格します。
合格基準はかなりゆるいです。
英検3級は取得しているが、中学の英語の成績は「3」か、良くて「4」。
そういう子は多いです。

細部に対する意識が低いので、時制ミス、三単現ミスを繰り返す。
be動詞と一般動詞の区別がつかない。
日本語の語順で英文を作ってしまう。
疑問文を作れない。
そういう学力の子が、英検3級取得者にはたくさんいます。
それでも、本人は、「自分は英語が得意」と思っています。

子どもは、主観的ですから、自分が得意なことは価値のあること、自分が苦手なことは価値の低いこと、と思いがちです。
だから、学校のテストの点数がぱっとしなくても、「英語が得意」というプライドは持ち続けます。
文法問題は正解できないし、スペルミスは多いけれども、自分はリスニングやスピーキングは得意だし、そのほうが価値があると思っています。
でも実際は、英文の読み書きがきちんとできる中・高生のほうが、リスニングやスピーキングの能力も高いです。
「英語が得意」と思っている子のリスニングやスピーキングは、「お子様レベル」から脱却できていないことが多いんです。
自分が一番褒められていた頃の英語力から、一歩も先に進めないのかもしれません。
発音は、ちょっと良いんですが。


近年、うちの塾でも、小学生で英検を受けたいのでその対策をしてほしいという依頼がときどきあります。
英語教育熱にかられたお母様たちが無理に子どもにやらせているのかというと、どうも違うようです。
これは、子どもたちの間の流行のようなのです。

同じクラスの友達が英検3級を取った。
羨ましいので、自分も取りたくなった。
子どもに「英検3級を取りたい」と言われると、良い機会だから英語を勉強させようか、とお母様も考え始める。
そういう流れのようです。

これが、例えば同じクラスの友達がバイオリンを弾けるのが羨ましいから自分も習いたい、という話ならば、こうはならないのでしょう。
わずかな練習でその友達と同じくらいにバイオリンが弾けるようになれると本人が思っていたら、周囲の大人は、いやそういうものではないからと言い聞かせるはずです。
本人も、そういうものではないなと理解できるでしょう。

しかし、英語の場合、小学校で誰もが一応授業を受けているせいか、他の子が3級を取ると、自分も取れると思ってしまうようです。
相手が何年も英語を学んでいるという事実をすっ飛ばして、対等な気持ちになってしまうのでしょう。
特に、他の勉強で負けていない場合は。

小学生が英検3級を取るまでに、最短でも1年、そのための学習期間が必要です。
現在、小学校の英語の授業は音声英語が中心です。
それ以外に特別な勉強をしていない場合、中3レベルの単語はまず読めません。
文法はそれほどわかっていなくても英検3級は取れますが、さすがに単語が読めず意味がわからない場合は、どうにもなりません。
そのための1年が必要です。

しかも、そうやって英検3級に合格したからといって、その後、中学生としてどうなるのかというと、前述のような、「ちょっと面倒くさいプライドをもつ、英語ができない子」になってしまう可能性も高いのです。
英語を勉強するなら、ちゃんとやりましょう。

小学生から英語を学ぶことには賛成です。
ただ、目標は英検ではなく、中学・高校で通用する英語力。
大学入試に通用する英語力。
社会人として通用する英語力。
英検は、そのための目安で、目標ではありません。

最後に、中学受験で忙しく、英語の早期教育からは一歩引いている小学生たちの場合。
中学合格の後、最初の半年ほどは、内部進学生の英語力に圧倒されることがあります。
しかし、英語も学校の教科の1つ。
勉強ができる子が、結局英語もできるようになります。
小学生で英検2級を取得した一部の子にはかなわないかもしれません。
しかし、中途半端に得意意識を持っているだけの子なら、1年以内で射程距離に入ります。
中学2年になれば、抜き去ることができるんです。

英語を小3から導入し、小5からは正式科目とする。
先日、文科相は中央教育審議会にそう諮問しました。
新指導要領に向けて、英語教育はまた転換点を迎えています。
しかし、大学入試が変わらない限り、中学・高校の英語の授業は本質的に変わりようがありません。
今も、入試にリスニング問題すらない私立大学は案外多いです。
まして、スピーキングを大学入試にどう導入できるのか。
現在の高校課程で「コミュニケーション英語」と名前を変えても、昔ながらの「リーダー」とほとんど変わっていない現状を、どう転換できるというのか。
注意深く見守っていきたいと思います。




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