学習負担の軽量化と、その効果。
画像は、都立小金井公園の大漁桜。
早咲きの桜で先週満開でした。
この時期になると、教育関係の記事が特に増えて、その中には有益なものもあるのですが、
「それはどうなんだろう?」
と思うものも、無いわけではありません。
勿論、それはどうなんだと思う私の考えもまた1つの私見であり、絶対なものではないのですが。
興味深かったのは、英単語の覚え方に関するある記事。
単語集そのままでは、
「これを1冊覚えなければならないのか」
というプレッシャーが強くなり、覚えにくいというのです。
だから、単語集の単語とその意味を、ルーズリーフに書き写す。
単語とその意味をルーズリーフに書きとると、わずか20ページ程度になる。
「何だ、これを覚えればいいんだ」
と気持ちが楽になり、覚えられる、というのです。
心理的負荷を減らすという意味で、ある種の説得力があるやり方ですし、それで効果のある人もいると思います。
覚える能力自体には問題のない人は、これで成功する可能性があります。
やる気が出なくて困っている人は、このように目先を変えてみましょう、という話だと思うのです。
しかし、挫折の可能性も目に見えています。
まず、単語集の単語をルーズリーフに書き写すというその作業に、何日かかるのだろう、という点。
単語集を書き写すことも挫折する子。
単語を書き写しただけで満足し、覚えるという作業には移行できない子。
覚えようとすると、やっぱり覚えられないので、挫折してしまう子。
そういう子のほうが多いだろうと、私は思います。
ルーズリーフに書き写すという作業時間が、全て無駄になります。
英単語を覚えられない根本の問題は、大抵の人にとって(私も含めて)、英単語が非常に覚えにくいということ。
努力しても、努力しても、記憶が消えていきます。
どうやっても、覚えにくいものは覚えにくいのです。
本をルーズリーフに変えたところで、覚えられないことは変わりません。
心理的負担を減らしたところで、能力的負担は、変わらないのです。
もの覚えが悪いということが、どれほどのことか。
頭の良い人は、それを理解していないのです。
英単語を覚えるには、その単語に触れる機会をとにかく増やす必要があります。
だから、心理的負担を乗り越えて、毎日単語集そのものを開いて、繰り返し見て、音源を聴いて、聴き込んで、自分へのテストを繰り返す人は、今よりは単語を覚えられます。
それがルーズリーフになったところで、毎日繰り返し見て、自分へのテストを繰り返す作業は必要です。
わずか20ページのルーズリーフになったところで、反復しなければ覚えられません。
「わずか20ページのルーズリーフすら覚えられない自分」と直面し、闘う覚悟が必要です。
能力不足は努力で補う。
しかし、若さのせいで、その「能力不足」に簡単に傷ついて、何もかも投げ出してしまうことは多いです。
根本にあるのは、それです。
別に、能力が足りないのは自分だけではないので、そんなくだらないことで傷ついていられない。
そう見切ることができるほどに、精神的に成長できていない生徒は多いです。
まだ10代ですから、仕方ないのですが。
やるか、やらないか。
結局、それだけです。
それを理解したうえでの「ルーズリーフ作戦」は、やってみてもいいと思います。
ただ、どうせ単語集の単語を何かに書き写すなら、フラッシュカード方式のほうが良いかもしれません。
要するに、単語帳ですね。
小さいカードの表に英単語、裏にその意味を書いて、自分にテストをしながらどんどんめくっていきます。
意味を言えた単語と言えなかった単語を別に分けて、意味を言えなかった単語へのテストを繰り返します。
カードなので、そうした整理が簡単です。
これも、勿論、カードを作っただけで満足していては、無意味。
繰り返しこのカードを使う必要があります。
反復が重要です。
これ、アプリでも、そういうことができるようになりつつあるとの話です。
正解できた単語も混ぜながら、正解できなかった単語のほうが優先的に前に出てくるように、常に順番を変えてテスト形式で出してくれるアプリ。
自分で入力するのは大変ですから、単語集を販売している教材会社が、そのアプリも提供してくれるようになると良いですね。
ゲーム形式で得点が出ると、励みになるかもしれません。
ただ、これも、結局は英単語なので、「つまらない」と言えばつまらない。
そんなのより、もっと面白いゲームをやりたい、という志向の人には向かないアプリかもしれません。
さらに、数学では、「チャート式数学」を5周やる、という方法をネットで見ました。
解くときに、時間はかけない。
問題文を読んで、10秒ないし15秒考えても解き方がわからない問題は、すぐに解答・解説を見る。
そうやって、次の問題、次の問題と解いていく。
これも、数学が苦手な人にとっては、ライトな勉強法で、「これならできる」と思う人もいそうです。
わからなかったら、すぐ答を見たらいいのですから。
しかし、これも、頭のいい人の勉強法だなあと、ある意味感心しました。
10秒なんてすぐ経ちます。
どれだけ自分の頭の回転の速さを基準にものを言っているのだろう?
せめて、1分考えたら?
1分考えて、解き方が何も浮かばない問題は、解答・解説を見る。
・・・本人の地頭が良く、ものを考える力のある場合は、効果があるかもしれない、と思います。
解き方がわからない問題はすぐに解答解説を見る。
頭の良い人は、解答解説を見ることによって、その解法が頭の中にストックされるのです。
それも、応用の効く形で。
だから、類題でその解法を利用できます。
1つの問題集を5周もすれば、いくら何でも、解法が頭の中に残るだろう・・・。
それもまた、頭の良い人の実感であり、現実とは異なります。
そもそも、1分考えてすぐに解答解説を読んでも、その咀嚼に時間がかかる人のほうが多いでしょう。
見るだけでは済まず、自分で解答解説を見ながらでも解いてみないと納得できないという人は多いので、結局時間がかかります。
しかも、時間がかかるのに、1週間後には、きれいに忘れているのです。
時間がかかるから、問題集を1周するのに、半年はかかる。
そして、1周が終わった半年後には、その大半を忘れている。
下手をすると、何も身につかないうちに、入試になってしまう・・・。
上手くいって、3周程度はできたとして。
解答解説を読んで、その解き方を暗記できたところで、応用が効かない暗記の仕方では、数値が違うだけの同じ形式の問題にしか対応できない場合も多いです。
数学が苦手というのは、そういうことです。
応用が効かないのは、蓄積がないからです。
高校数学が苦手な人の多くは、中学で学習した公式や定理を忘れています。
数ⅡBを学習する頃には、数ⅠAで学習した公式や定理を忘れています。
頭の中に残らないのです。
残そうとしても、何だかスルスルと消えていくのです。
消えていくものは消えていくのだから、仕方がないのです。
本当に数学が得意になりたいのなら、1問について、最低1時間はねばって考えてほしいのです。
たとえ1時間後、結局わからなくて解答解説を見ることになっても、1時間考える間に、脳細胞が繋がって、繋がって、頭が良くなります。
頭をよくするためには、時間をかけて考えることが必要です。
うわ滑りしがちな思考にクサビを打ち込み、地頭を良くするには、そうした苦痛を伴う作業が必要になります。
そして、頭が良くなれば、記憶力も良くなります。
そうなれば、上のような負担の軽い勉強法でも、ある程度の効果を期待できるようになるかもしれません。
向き不向きはありますから、
「やってみたい」
「やってみようかな」
と思う勉強法があったら、やってみたら良いと思います。
見た目を軽くし、負担を軽くする勉強法は、今どきの子どもたちには向いているかもしれない、とも思うのです。
たったこれだけでいいんだから、とりあえずやってみよう。
そういうことも、大切です。
ただ、本当に効果のある学習法は、基本「重い」です。
しかも、効果が表れるまで時間がかかります。
そのことは、知っていてほしいことだとも思います。
関連記事