高校英語。名詞構文。名詞構文とは何か。

セギ

2021年07月17日 12:39


さて、今回は名詞構文です。
こういう単元になると、
「今、学校で何をやっているの?」
と質問しても、
「よくわからない」
という答が返ってくることがあります。
不定詞、分詞、関係代名詞などの学習なら、単元名をスパンと答えられる子でも、
「今は名詞構文をやっています」
とスパンと答えることができないのです。
単元の名前を覚えていない。
教科書も持ってきていない。
何を学習しているのか、当人もよく理解していない。
塾の授業としては八方ふさがりとなりかねません。

非常に困ってしまうのではありますが、状況としては理解できます。
名詞構文というものが、何なのか、わかりづらい。
例文を見ても、何を学習しているのか、ピンとこない。
ピンとこないので、単元名も覚えられない。
そういうことのようです。

名詞構文とは、
「動詞または形容詞が名詞化されて文に組み込まれた構文」
というのが定義です。


まずは名詞構文ではない話から。
英語というのは、わりと気楽に名詞を動詞化して使う言語です。
S・V・Oといった文の成分の位置が確定している言語ですから、Vの位置におけば動詞っぽく見えるので、意味が伝わります。

例えば、
I will water the plants.
私はその植物に水をやるつもりだ。

water は通常「水」という名詞ですが、この位置に置けば、どう考えても動詞なので、これは「水をやる」という意味なのだなと理解できます。

I will friend him.
私は彼と(SNSで)友達になるつもりだ。

friend は、ここでは「ネット上の友達になる」という意味。
日本の学校英語・受験英語に慣れた身には違和感がありますが、この言い回しが定着してきているそうです。

どんな名詞でもそのまま動詞として使っていいかというと、そうではありません。
言語は生き物です。
その使い方に何だか魅力があり、使う人が多くなると、それが正しい表現になります。
1つの言い回しが流行し、定着していきます。

日本語の場合は、熟語や外来語の名詞に「する」をつければ名詞化するという便利なルールがあります。
「運転」は名詞。
「運転する」は動詞。
「ツイート」は名詞。
「ツイートする」は動詞。
英語のことをとやかくいえない。
これもかなり安易なルールかもしれません。


英語の話に戻ります。
このように、名詞は、そのままの形で動詞になることがあります。
では、その逆、動詞を名詞化したいときは、どうするのでしょうか。

動詞を名詞化したいときは?

・・・別にそんなに難しいことではないのです。
中学で学習しています。
to 不定詞にする。
動名詞にする。
この2つのやり方で、簡単に動詞は名詞化されます。
このやり方にはパワーがありますので、動詞を動詞の原形のまま主語の位置や目的語の位置に置くことで動詞を名詞化するということは、普通行われません。
主語の位置に動詞の原形を置いたら、命令文だと思われかねません。
動詞の原形は、どこに置いても動詞としての意味が強い。
相手に自分の意図がうまく伝わりません。
to 不定詞や動名詞にすれば簡単に伝わります。


ところで、「名詞構文」というのは、そういう話でもないのです。
実は、動詞や形容詞には、名詞形があるものが多いのです。
それを用いているのが、今回学習する名詞構文です。

例えば、まずは名詞構文ではない文から。

I hope that you will recover quickly.
あなたが早くよくなりますように。

これはこれで、正しい英語ですが、これを名詞構文で表現することが可能です。
名詞に変えるのは、従属節の動詞 recover です。
recover の名詞形は、recovery。
それを使うと、

I hope for your quick recovery.

となります。
意味は上の文と同じです。
これが、名詞構文です。

元の文と比較とするとわかると思いますが、名詞構文は、動詞の名詞形さえ使えばよいというものではありません。
もともとは従属節だった内容を名詞句に変えています。
だから、名詞化された動詞には、もともとは主語だったものや修飾語だったものが、修飾語として付随しています。
you will recover quickly は、your quick recovery に転換されます。

えー?
つまり、動詞の名詞形をいちいち覚えなければならないということ?
面倒くさっ。
動詞なんだから、to 不定詞や動名詞にすればいいのに。
I hope for you to recover quickly.
じゃダメなんですか?

それはそれで、正しい英語だと思います。

えー?
じゃあ、それでいいじゃないですか。

表現は何通りあってもいいんです。
ネイティブがそれをやり、その表現が魅力的なら、広く使われるようになり定着します。
ネイティブではない人が使った英語がチャーミングで、広がっていくこともあります。
日本のスポーツ選手が、「緊張して口から心臓が飛び出しそう」と英語でインタビューに応え、その表現が面白くて広がった例があります。
その表現が魅力的かどうか、ですね。
あとは、文法的に間違っていても、それを使う人が多くなれば、それが正しい表現になります。
言語は生き物です。

例えば頻度の副詞、often , sometimes などや、それと同じ位置に置く already など。
頻度の副詞は一般動詞の前、助動詞・be動詞の後ろ。
日本の学校で、それをくどいほど正確に丁寧に学習し、それを含んだ乱文整序問題の3番目と6番目の語句を正しく選ぶ問題などを頑張って正解してきても。
実際の英語では、ネイティブは、頻度の副詞も already も平気で文末に置きます。
そんなものです。
分詞による修飾は、単独の分詞ならば名詞の前に。分詞句ならば、名詞の後に。
それを一所懸命学習してきたというのに、ネイティブは、全部後置修飾。
ネイティブって、バカなの?
正しい英語を使えないの?
・・・そんなものです。
日本人も、そんなに正しい日本語を使っていませんし。
言語はそれを母国語とする人たちによって変わっていくものなのだから、それでいいんだと思います。
そうは言っても、わざわざ間違った英語を学ぶ必要はないので、まずは正しい英語を学ぶことにも意味はありますし。


もう1つ名詞構文の例文を。
まずは普通の文から。
I noticed that he was absent from the meeting.
私は、彼がそのミーティングに出ていないことに気づいた。

これを名詞構文にすると、
I noticed his absence from the meeting.
となります。

形容詞 absent の名詞形は、absence。
このように、形容詞も名詞化し、主語や修飾語だったものをそれに付随させて、従属節を名詞句に置き換えることができます。
これが名詞構文です。


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