高校英語。助動詞 may と慣用表現。
今回は、助動詞 may とその慣用表現を確認しましょう。
may と言われて思いつくのは、
May I help you ?
「May I help you ? と、Can I help you ? はどう違うの?」
といった質問をする子は、英語がそんなに得意ではない子に案外多いです。
本気で訊いているのかな?
そういう質問を受けた場合、こちらがまず考えるのはそういうことです。
個別指導の場合、その場で思いついた質問を何でも口にする子がいます。
本人が本当に疑問を抱き、その疑問が解けないことが英語学習の妨げになっているのならこちらも本気になりますが、どうもそんな印象ではないのです。
何でも思いついたことを質問し、答えは全て聞き流す。
そういう不可解な質問の仕方をする生徒もいます。
「個別指導なんだから、どんどんセンセイに質問しなさいよ」
と保護者の方に言われている可能性もあります。
質問するのは良いことなのですが、それは、目の前にある解かねばならない問題に関連して、その問題を解く妨げとなっていることについて質問したほうが学習効果が上がります。
違いを明瞭に意識しなれければならないことなら、学校でも説明されているはずですし、質問を受ける前に私から説明しています。
誰からも説明されないことは、あまり気にしなくて良いこと。
そういう把握ができると、初期の英語学習は楽だと思います。
しかし、質問を拒絶されるのは結構傷つくことです。
誰しも、
「うん。いい質問ですね」
と言われたい。
「それは無意味な質問だな」
と質問内容を否定されたくはないと思います。
だから、私のわかる範囲で質問には答えます。
may というのは、話者が与える許可で、can は周囲の事情が許す許可というのが、基本の意味です。
だから、May I help you ? のほうは、相手の許可を問うという意味で、相手への敬意はより強いと考えられます。
そういう意味で、多少堅苦しい表現でもあるので、口語では、Can I help you ? のほうが好まれます。
とはいえ、May I help you ? という表現のほうを好む人はネイティブにもなおいるので、一概に言い切れるものでもありません。
もともと英語がそんなに得意ではない中学生にそんな解説をすると、途中で目が曇り、眠りかけているのが見てとれます。
だから、そんな質問はしなければいいのに・・・。
テスト前で他にやらねばならないことが沢山あるときに、そんな質問をする子には、
「うん。そういうことに興味があるのなら、大学の英語学科に進むといいよ。そういうことを沢山勉強できるよ」
と言うこともあります。
「いや、別にいい。興味ない」
という反応が返ってくることがほとんどです。
一種の質問封じです。
問題演習を始めると、どうにも解けない。
「どうした?何がわからない?どこがわからない?」
と問いかけても、反応がない・・・。
その子が、本当に質問しなければならないのは、そのタイミングです。
保護者の方が「質問しなさい」と言っているのもそこです。
でも、そういうときには、言葉が出てこない。
なぜなら、何がどうわからないのか、自分で言葉にすることもできないから。
本当に困っているときは、質問もできないのです。
個別指導のパワーは、ここから発揮されます。
何がわからないのか。
どうわからないのか。
生徒の反応を見ながら、さぐりさぐり説明を変えます。
わかるまで説明します。
そういう意味で、質問すること自体はそれほど大切ではありません。
ただ、表情は正直であってほしい。
わかっていないのにわかったふりをする子も、案外多いのです。
「わからない」ということが恥ずかしいのかもしれません。
伸びる子は、沢山質問をする子ではありません。
わからないことにわかったふりをしない子です。
さて、大幅に話がそれました。
今回は、高校で学習する may の用法です。
まず、「祈願の may 」と呼ばれるものがあります。
この may は文頭に来るのが特徴です。
文末はエクスクラメーションマーク(!)がきます。
May you find hapiness !
ご多幸をお祈りします。
これは、かなり格式ばった言い方です。
次に、may well の用法。
「多分~だろう」という、may 単独の場合とあまり変わらない用法もありますが、そんなのはテストに出しにくいので、もう1つの意味のほうが頻出です。
「~するのも当然だ、~するのはもっともだ」という用法です。
この副詞 well には、助動詞のもつ可能性や容認の意味を補強する役目があります。
They may well be proud of their daughter.
彼らが娘の自慢をするのはもっともだ。
続いて、may as well は、「~したほうがいい」という用法。
訳だけですと、had better と同じようですが、may as well のほうが意味が弱く、「したくないならしなくてもいいけど、したほうがいいのでは」という助言の意味となります。
覚え方としては、had better と同じ2語の may well のほうは全然意味が違っていて、語数の違う3語の may as well のほうが had better と意味が似ていると、そこを強く意識して覚えると混乱を避けられます。
You may as well tell her the truth.
彼女に本当のことを言ったほうがいい。
may as well A as B。
これは、「BするよりAするほうがいい」という用法です。
you may as well do your homework now as do it later.
宿題を後でするよりも今やったほうがいい。
上の文は、Aのほうがお薦めな内容で、Bはダメな内容ですが、どちらもダメな内容ということもあります。
そのニュアンスのときは、訳し方が少し変わってきます。
「BするくらいならAしたほうがましだ」と訳した方がぴったりきます。
You may as well throw away the money as lend it to him.
彼に貸すくらいなら、金を捨てたほうがましだ。
「お金を捨てる」というA内容と、「彼にお金を貸す」というB内容のどちらもお薦めではない場合です。
なお、この文は、結局、彼に金を貸すことも金を捨てることもしないと思います。
実現性が乏しい場合、may よりも might のほうが使われることが多いです。
沢山あり過ぎて覚えられない・・・。
そうやってこのような熟語や慣用表現をすぐ捨てる人がいるのですが、それは愚挙です。
中学英語レベルの基本なんか、ほとんど出ないのです。
テストに出るのは、ここです。
テストに出るのがわかりきっている、こういうところを覚えましょう。
英文法問題攻略の鉄則です。
さて、ここでこんな問題を考えてみましょう。
問題 ( )に適語を補充せよ。
(1) She spoke loudly so that the people in the back ( ) hear.
(2) She spoke loudly in order that the people in the back ( ) hear.
どちらも「彼女は、後ろの人に聞こえるように大きな声で話した」という意味です。
主節が spoke と過去形なので、従属節も時制の一致で過去形にしましょう。
では、どちらも答えはcould かな?
・・・いいえ。
(1)は、could 。
(2)は、might です。
・・・何それ。( 一一)
これが、私立大学入試レベルです。
重箱の隅とはこういうことを言います。
so that も in order that も、「~のために」と目的を表すthat 節を導く用法です。
so that は口語的で、文意の通りの助動詞を入れればよいのですが、in order that は文語的で、may を入れます。
ただ、so that にmay を用いることもあります。
後半は堅苦しい文語表現になってしまいますが、間違っているわけではないので、(1)でmight は、別解としてはありえます。
難関私立の問題で、どうも助動詞を入れる空所で何を入れたら良いかわからないときは、とりあえず might を入れましょう。
時制ミスをクリアできる点でも、might はさらに正答率が上がります。
時制の一致のときも、現在形だが文意を和らげるときも、どちらでも使えますから。
might 最強。
ヽ(^。^)ノ
私は、こういう重箱の隅はあまり好きではありません。
勿論、センター試験などの文法の基本問題は得点しなければなりません。
文法知識は、英語の基本の構造を把握する意味でも重要です。
でも、こんな難問は解けなくても、読解で多数正答できれば、どこの入試も資格試験も合格します。
こんな問題に振り回されて、英語がわからない、英文法が苦手、などと思う必要はないと思っています。
ただ、重箱の隅とはいえ、これは、高校生が学校から渡されている文法の参考書には載っています。
学校の授業では使わないので、学校のロッカーの中や部屋の本棚の隅においやられている文法参考書。
あれには、こういう「重箱の隅」が沢山載っています。
索引から may で引いても、出てこないかもしれません。
しかし、in order that で引けば、どの参考書にも載っているのです。
細かいところが気になる。
こういうレベルの問題を正答したい。
そういう人は、なぜそれで正解なのかわからない問題を見つける度に参考書で索引を引いて調べることをお薦めします。
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