Dの音

セギ

2011年06月22日 23:52



今日は、「英語耳」の話。
都立でも私立でも、英語の高校入試には、多くの場合、リスニング問題が出題されます。
全体の2割程度の配点ですが、これは無視できません。
そして、このリスニング。苦手な子は、本当に苦手です。
昔と比べて、今の子は、音感もリズム感もよく、カラオケに行けばそこそこ歌え、ダンスをすればそこそこ踊れる子が圧倒的に多いのですが、英語が聞き取れるかというと、これはもう、「人による」としか言えません。
聞き取れる子は、聞き取れる。
聞き取れない子は、聞き取れない。

英語が聞き取れない子の原因は何かと言ったら、それはもう単純で、普段から、英語を聞く習慣がありません。
日本語と英語は、音韻体系が違いますから、日本語ばかり聞いている耳では、英語の音が聞き取れません。
日本語の中に存在する、似ている音に、耳が勝手に置き換えてしまう。
まさかと思う人もいるかもしれませんが、今の中学生でも、なお、b(ビー)とd(ディー)を聞き分けられない場合があります。
bとdの書き分けができない中学生も多いですけど、音も聞き分けられません。
なぜかというと、b(ビー)という音は、日本語にありますが、d(ディー)という音は、日本語にありません。
ない音なので、全部、b(ビー)に聞こえてしまう。
それが、「日本語耳」です。

数学も教える私は、「線分ADが、線分ABと垂直であるとき」なんて説明をすることがあるわけですが、これが聞き取れない子、多いんです。
え?
私の発音が悪いから?
そんなー。
発音が良くなればなるほど、聞き取れない子が増えるんです。
むしろ、ベタベタに、「線分えーでーが、線分えーびーと・・・」と発音したほうが、聞き取ってもらえます。
ベテラン数学教師で、こういうベタベタな発音をして、生徒たちに陰で笑われている人がいるかもしれませんが、今の現役教師の年齢で、dの発音が本当にできない人がいるとは考えられない。
生徒が聞き取れないからやっているんですね。
この首都東京に生きる、21世紀の中学生が、bとdを聞き分けられない。
ある意味、ホラーかもしれません。

テレビ放送もそうです。
CMで、「リポビタン、でー」と叫んでいる人が、dを正しく発音できないわけがない。
先週は、30代のアナウンサーが、やはり、若干照れながら、「A、B、C、でー」と発音しているのを見ました。
日本人に、確実に一度で伝えるためには、「でー」なんですね。
日本人が聞き取れないから、あえて、やっているんでしょう。
高齢者に聞き取ってもらうための配慮というだけではありません。
若年層も、かなりの割合で、聞き取れないんです。

さて、そんな日本で、この夏、セギ英数教室の中3夏期講習は、リスニングプログラムを用意して、秋からの模試対策をいたします。
教科書準拠のCDを買っても、封も切っていない。
NHKラジオ講座「基礎英語」がいいと聞いても、ラジオに触ったこともない。
英語教科書の音読と、ネイティブのALTが苦手。
心は、いまだに鎖国中。
そんな、「日本語耳」の皆さんを、お待ちしております。



写真は、那須三本槍岳へと登る途中から眺めた、アズマシャクナゲごしの朝日岳。






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