たまりば

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2022年07月31日

市販の問題集の劣化。



しばらく前、書店に市販の問題集を探しに行ったことがありました。
中3の生徒の歴史の定期テスト問題が、長い問題文の中の空所を補充する形式の問題が多いので、何か良いものはないかと探しに行ったのです。
私自身が中学生の頃といえば、学校からは「A級問題集」を渡されて、それが宿題でもありましたが、それだけでは足りないので、普段の学習には、受験研究社の参考書と問題集を使っていました。
「馬のマークの参考書」というCMソングを覚えている方もいらっしゃるかと思います。
あの頃は、参考書がテレビCMを打っていたんですね。
そういえば、春先には、学生服とか鉛筆のCMもよく見ました。

そんな昔話はともかく。
長い問題文が書いてあって、それに下線が引いてあったり、空所が空いていて語句補充をしたりする。
そういう形式の問題が、昔は、市販の問題集に普通にたくさん載っていました。
テストに出るのだから、生徒にもその形式の問題を解いてもらいたい。
そう思って書店で探したのですが、そんなものが書棚には一切なく、驚きました。
あれ?
A級問題集は、もう世の中から消えたのでしょうか。
5年くらい前まではあったと思うのですが。
受験研究社の問題集も、以前は沢山並んでいました。
しかし、そういったものは、1つもありませんでした。
書棚は、市販の教科書準拠ワークがとにかく幅をきかせていました。
教科書準拠ワークならば、塾用のほうがぶ厚くて内容も濃いのです。
それ以外にあったのは、「5分で完成」などと銘打った、短問短答形式の薄い問題集ばかりでした。
そういうのが欲しいわけじゃない・・・。

中学生向けの歴史の市販の問題集が、薄手でお手軽タイプのものに変質してしまっているということ?

でも、実際の定期テスト問題は、そんなお手軽なものではなく、昔ながらの、まとまった文章の中に下線が引かれ、空所がある、そういうタイプの問題なのです。
昔と変わりません。
定期テストがそうなのだから、それにあわせた形式の問題集を作らなくちゃダメなんじゃないの?
そう考えてさらに気づきました。

そのほうがいいとわかっていても、そういう問題集は売れないから、売っていないのか・・・。

たまたまその書店にそんな問題集しかなかったのかもしれません。
昔ながらのまとまった文章の問題集も、都心のもっと大きな書店に行けばあるのかもしれません。
だから、簡単に言い切れることではないのですが、ちょっとぞっとする事態でした。

短問短答形式の問題も、基礎知識の確認には便利ですから、それはそれでいいのです。
でも、それしかやっていない状態でテストに臨み、いきなり定期テストで文章を読んで問いに答えなくてはならない場合、その違和感から上手く解けないということもあるでしょう。
1行問題で知識を確認したら、その後は、テストと同じ形式の問題も解いておくほうがいいのです。
でも、中学生は、そのことに気づかないのでしょうか。
書店に問題集を買いに行っても、安手のものしか買わない。
長い問題文を社会科の問題集で読む気がしない。
だから、1問1答形式の「5分で完成」と銘打った安手のものしか買わない。

市販されていない塾用の問題集は、文章形式の問題も載っています。
中3から社会もうちの塾で学習するようになった子が、必要なことは1行問題のページで暗記し、その後しっかりした文章の載っている問題を解くようになり、テストの得点は爆発的に上がりました。
そうなると私も欲が出て、その子のためにと久しぶりに市販の問題集を見に行ったら、まるで浦島太郎でした。
日頃、高校生用の参考書は物色することが多いけれど、中学生用の棚に目を向けることがなかったのです。
今までは塾用の問題集ですべて用は足りていたのです。
もっともっと問題がほしいと思って書店に行ったら、塾用の問題集と同レベルのものがありませんでした。
市販の問題集が、塾用の問題集に比べると、非常に劣る。
塾としてはありがたいことですが、教育の平等という点で、どうなのだろうとも思います。

そうは言っても、中学生が買わないのだから、仕方ない。
中学生自身に選ばせると、お手軽で役に立たなそうなものしか、買わない。
そして、いくら良い教材でも、売れないものは、棚には置けない・・・。

高校生向けのものは、昔と変わらず、良い問題集もそれなりに書店に揃っています。
中学生向けの参考書や問題集は、どうしてこんな「痩せた」状態になってしまったのだろう・・・。

この時代、自力で勉強するのは大変な時代なのかもしれません。
良い教材が、そもそも自力では手に入らない。
本人に良い教材を見る目がないから、勉強しても成績が上がらない。
学力の劣化。
それが、こんなふうに目に見える形になっているとは。

私は、歴史は得意科目でした。
重要事項を暗記するだけで、欲しいだけ得点できる、楽な科目でした。
しかし、問題文を繰り返し読み、出来事の流れを理解していたという背景が私にはあったのではないか?
何気なく問題文を読み、問題を解いていただけ。
本当にそれだけで、実は勉強になっていたのかもしれません。




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    Posted by セギ at 17:51│Comments(0)講師日記
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