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2022年05月06日

高校数Ⅱ「指数関数」。指数法則。

高校数Ⅱ「指数関数」。指数法則。

今回は、数Ⅱ「指数関数・対数関数」です。
ここで指数の拡張が行われるのですが、それ以前に普通の指数法則が身についていない人には、ちょっとつらいところかもしれません。

指数に関するよくある誤解が2倍と2乗の区別がついていないミス。
2^2=4
が混線のもとなのかもしれません。
3^2=6
としてしまうのです。
中1の初めにこの誤解をしてしまうと、忘れた頃にこの誤解が舞い戻っていて、高1になっても、高2になっても、結局それをやってしまう人がいます。
わかっていてもついうっかりということもありますね。

もっと面倒くさい誤解は、
(2^2)3=2^8
としてしまうミスです。
指数の累乗、と考えてしまうようです。
2の3倍ではなく、2の3乗だから8乗、としてしまうのです。
一番上のような問題で、「指数はかけ算ではない。指数だ」と強く強く意識し過ぎたせいで、指数どうしをかけ算できないのかもしれません。
(2^2)^3
=(2×2)^3
=(2×2)×(2×2)×(2×2)
=2^6
と説明すると、そのときは「あっ」と声に出して驚き、理解した顔をするのですが、翌週解いてきた宿題はまた誤解した状態に戻っていて、がっかりしてしまうことは多いです。
本人の中で長年強く頭にこびりついた誤解は、1度や2度の解説で直るものではないのでしょう。
そして、このような誤解が、指数関数・対数関数をひどくわかりにくいものにしているのだと思います。

指数法則は、中1の最初から学習していますし、高1でも、再度確認しています。
基本ルールは3つです。
もう一度確認しましょう。

m、nが正の整数のとき、
a^m × a^n =a^(m+n)

(a^m)^n =a^mn

(ab)^n =a^n・b^n

これしかないので、まずはしっかりこの基本を覚えておいてください。
この先、土台を揺るがす事態が次々と起こりますが、それでも、すべて基本通りですので、基本を正しく理解していれば大丈夫です。


さて、指数の拡張。
指数はこれまで上のように正の整数だけでしたが、これからの指数は0も負の整数も分数も含みます。

まずは基本。
2^1=2
2^2=4
2^3=8
2^4=16

このことは大丈夫ですね。
右辺は、上から、
2、4、8、16となっています。
2倍、2倍、2倍とそれぞれ2倍ずつされているのがわかると思います。

この数列を右から左に逆に見ていくと、1/2、1/2、1/2、1/2になっています。
この法則通り、さらに、1/2ずつしたもの2の左側につけ加えていくならば、
右辺は、
・・・ , 1/16 , 1/8 , 1/4 , 1/2 , 1 , 2 , 4 , 8 , 16 , ・・・
といった数列になります。

では、左辺は、どんな規則性が見られるでしょうか?
2^1 , 2^2 , 2^3 , 2^4 , ・・・
指数だけを見ていくと、1、2、3、4、・・・と1ずつ増えていく規則性が見えます。
同じルールを用いて、左側をつけたすと、
・・・-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、・・・
となります。
つまり、
・・・ , 2^-4 , 2^-3 , 2^-2 , 2^-1 , 2^o , 2^1 , 2^2 , 2^3 , 2^4 , ・・・
というルールだとすると、整合性が取れます。

すなわち、
2^-4=1/16
2^-3=1/8
2^-2=1/4
2^-1=1/2
2^o =1
2^1 =2
2^2=4
2^3=8
2^4=16
なのです。

まとめましょう。

a ≠ 0 , nを正の整数として、
a^0=1 , a^-n=1/a^n

負の数の累乗は逆数になるんだなあとざっくり理解すると覚えやすいかと思います。


では、2倍、2倍という規則性ではなく、√2倍、√2倍だったとしたら、どういう数列になるでしょうか。
1、√2、2、2√2、4、4√2、8、・・・
これに対応する指数表記は?
まず、現時点でわかるところだけ書き、それ以外は□で表すと、
2^0 , □ , 2^1 , □ , 2^2 , □ , 2^3 , ・・・
この間にを埋めるとなると、
2^0 , 2^1/2 , 2^1 , 2^3/2 , 2^2 , 2^5/2 , 2^3 , ・・・
と、分数にすると整合性が取れます。
すなわち、
2^0=1
2^1/2=√2
2^1=2
2^3/2=2√2
2^2=4
2^5/2=4√2
2^3=8
となります。

まとめましょう。

a>0 , mを整数、nを正の整数とすると、
a^1/n =n√a (aのn乗根)
a^m/n =(n√a)^m=n√(a^m)


ここで、累乗根について少し解説します。
このブログでは非常に書きにくく、読みにくいのですが。
何の印もついていない √  を中学3年で学習しました。
「平方根」というものです。
「平方」というのは、2乗ということ。
つまり、あれは、2乗根でした。
√a は、2乗したらaになる正の数のことでした。

この √ の記号は、実は2乗根だけに使うものではないのです。
例えば、3乗してaになる数は、aの3乗根。
√ の記号の左側、ちょっと肘を曲げててのひらを上に向けているように見える部分に小さく「3」と書いて表します。
そんなものを書き表す機能はないので、3√ とここで書いてみることにします。
3√27=3
となります。
3乗して27になる数は、3ということです。


さて、練習です。

問題
次の計算をせよ。
(1) a^5 × a^-3 ÷ a^2
(2) (a^5・b^-2)^3 ÷ (a^-2・b)^-5
(3) 3^-5 ÷ (3^-2)^4
(4) (64^2/3)^1/2

(1)から。
かけ算はすぐわかりますが、割り算はどう処理しましょうか。
a^m / a^n =a^(m-n) です。
それがわかっていれば、指数どうしのたし算・引き算で処理できます。
すなわち、
a^5 × a^-3 ÷ a^2
=a^(5-3-2)
=a^0
=1
となります。

(2)は。
(a^5・b^-2)^3 ÷ (a^-2・b)^-5
=(a^15・b^-6) ÷ (a^10・b^-5)
=a^(15-10)・b^(-6+5)
=a^5・b^-1
=a^5 / b

(3)は。
3^-5 ÷ (3^-2)^4
=3^-5 ÷ 3^-8
=3^(-5+8)
=3^3
=27

(4)は。
(64^2/3)^1/2
=64^2/3・1/2
=64^1/3
=3√64
=4

結局、今までと同じルールを、指数が負の数になっても、分数になっても使うということです。
だから、今までのルールをしっかり理解し、ぶれないことが重要です。




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    Posted by セギ at 13:28│Comments(0)算数・数学
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