たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2022年04月15日

大西泰斗の英会話定番レシピが今年は熱いです。

大西泰斗の英会話定番レシピが今年は熱いです。

新学期になり、NHKの語学講座も新年度を迎えました。
今年のイチ押しは、ラジオではなく、テレビの英語講座です。
「大西泰斗の英会話定番レシピ」です。
放送は月曜日から木曜日まで、週4回。
午前11:10~11:20。
午後23:20~23:30の、1日2回放送しているテレビ英会話番組です。

去年もこの番組は放送されていたのですが、学習目標が明確でなく散漫な印象があり、私は数回見て離脱していました。
しかし、今年リニューアルされたこの番組は、面白いです。
学習目標は、「話すための英文法」。
日本人が英語を話せないのは、英文法をわかっていないから。
単語をどの順番で口に出していいか、わからない。
だから、いざとなると絶句する。
あくまでも話すための英文法なので、文法用語を用いたガチガチの文法講義ではなく、非常に大雑把なのがこの番組の特徴です。

この大西先生の「英文法」には、感心しない部分もあります。
「指定ルール」、すなわち指定は前に置く。
「説明ルール」、すなわち説明は後ろに置く。
そうは言いますが、「指定」と「説明」は何がどう違うのか、明確な定義がありません。
たとえば「赤いリンゴ」という言葉。
リンゴの中でも「赤い」リンゴだと指定する。
リンゴの中でも「赤い」リンゴだと説明する。
それは、どう違うんでしょうか?
同じじゃないですか?
だから、ご都合主義の印象は否定できません。
ただ、文法用語をできるだけ使わずに文法を理解させるには、このほうがいいのは理解できます。

生徒の中には、形容詞とか副詞と聞くだけでもうわからなくなる文法アレルギーの強い子や、そういうのは自分は理解しなくていいと思い込んでいる頑固ちゃんたちが沢山います。
自分は日本語の文法はわからないが日本語を話せる、という誤解にもとづく信念が彼らをそうさせてしまうのかもしれません。
いえ、日本語のネイティブである私たちは、日本語の文法を体得していて、だから話すことができるのです。
ただ、その実感がないだけなのです。
文法がわからないと、その言語は話せないのです。
しかし、文法の価値だけは絶対に認めない頑固さで英語をとらえている子たちは多いです。
だから、不定詞も分詞も関係代名詞も使えない。
英文の中で出てきても理解できない。
そういう難しいものは、テスト範囲のときだけは勉強するけれど、ずっと使うものではないと思っているようにも見えます。

それは、小学生が、算数で「分数」を勉強する際に、分数を使うのは「分数」の単元のときだけだと思っているのとも似ています。
他の単元のときは、相変わらず小数を使うと思い込んでいて、分数を使うと知ると嫌な顔をします。
単元が変わると、話は変わると思っている・・・。
それは英語でもそうで、関係代名詞の学習が終われば、もう忘れてしまいます。
だから、英語コミュケーションの教科書本文に関係代名詞が使われていると嫌な顔をします。
そんなのは不当だと思うようなのです。
関係代名詞は、日常会話ですら普通に使うものなのですが。

そこらへんは、もう、「関係代名詞」という言葉を使わずに関係代名詞を理解させるしか突破口がありません。
「関係代名詞」という言葉で定義されることによって、その内容を深く理解できる子たちもいるのですが、それではダメな子たちもいます。


今年、高校1年生は新課程に入りました。
英語の科目名も変わりました。
従来の「コミュニケーション英語」は、「英語コミュニケーション」になりました。
「英語表現」は、「論理表現」に。

しかし、科目の名前が変わろうとも、進学校であればあるほど、実質は「リーディング&リスニング」と「グラマー&ライティング」です。
そうでなければ、大学入試に対応できません。
文法がわかるから、英文の内容を大づかみに把握していくことができるのです。
読むための文法、書くための文法が必要です。
うかうかと「論理表現」の検定教科書を使うわけにはいかないのが現場の論理です。
あんな散漫な教科書を使っていたら、学習目標が生徒に伝わりません。
理屈を理解できる子たちには、理屈を教えるのが早道です。
何を学ぶべきなのかをストレートに伝えることによって、学習は合理的かつスムーズに進みます。

今年も、「論理表現」という散漫な教科書は教科書として、副読本としてがっつりと文法テキストとワークと参考書のセットを生徒の持ち物から発見し、私はガッツポーズをとりました。
よし。
これなら大学に行ける。
授業で実際に使うのは、副読本のほう。
教科書は使わないでしょう。

その一方で、文法学習が肌に合わない子たちが多いことも実感しています。
学校で英文法を学んでも、理屈が頭を素通りしていく様子の子たちです。
理屈の価値を認めないのです。
しかし、生徒がどれだけ拒否しても、英文法を理解してもらわなければ、英語力は伸びません。
突破口は、文法ではないふりをして、文法を教えることです。


番組に話を戻します。
番組構成は、まず、ネイティブ2人による会話劇があります。
英語テロップは出ていますが、画期的なことに、その会話の日本語訳はありません。
おそらく、テキストには書いてあるのだろうと思いますが。
そういえば、ラジオ講座も、日本語訳をしない番組が増えてきました。

その会話劇を見た日本人出演者が、大体こういう会話だろうと、聴き取ったことをまとめます。
台本なのか実力なのかはわかりませんが、合っています。
そして、会話の中の重要文をピックアップし、大西先生の解説が始まります。
「説明ルール。説明は後ろに置く」
など、とても簡単な解説です。

そのルールに沿って、練習問題。
1週目は乱文整序問題でした。
2週目は質問されたことを否定で答える練習もあり、乱文整序もありました。
テレビで見る乱文整序問題は、活字で見るよりちょっとわくわくします。
出演者も、今のところ全問正解です。

番組の最後は、ラジオ英会話のほうの出演者と一緒にワンポイント解説するコーナー。
1週目は前置詞 at のイメージ把握。
2週目は前置詞 about のイメージ。
わかりやすいです。

あっという間の10分。
これなら、ラジオ語学講座が続かない人も続けられそうです。
1日10分。1週間まとめても40分。
ラジオよりもテレビのほうが手軽に録画でき、自分の都合のよいときに見ることができるかもしれませんし。

現在完了や不定詞などは普通に出てきますので、対象は新中3以上と思われます。
高校生は、英語が苦手な子ほど見る価値があります。
文法にアレルギーがあり、文法を避け、「文法なんかわからなくても英語はできるようになる」という世迷言に騙され、英語の成績が思わしくない高校生の救世主です。
言語の骨組みを理解していないのに、その言語を理解できるわけがない。
でも、過度に複雑な文法用語を理解する必要もないのです。





  • 同じカテゴリー(英語)の記事画像
    英語の重要文を暗唱する学習法。
    誤読のメカニズム。主観で文章を読む子。
    質問しても、しなくても、大丈夫。
    共通テストで失敗したと感じたら。2024年1月。
    「覚える」ということが、何をどうすることか、わからない。
    英語長文読解。具体例から論理を推理する。
    同じカテゴリー(英語)の記事
     英語の重要文を暗唱する学習法。 (2024-04-18 12:08)
     誤読のメカニズム。主観で文章を読む子。 (2024-03-20 10:57)
     質問しても、しなくても、大丈夫。 (2024-02-25 14:59)
     共通テストで失敗したと感じたら。2024年1月。 (2024-01-16 14:24)
     「覚える」ということが、何をどうすることか、わからない。 (2023-11-24 12:15)
     英語長文読解。具体例から論理を推理する。 (2023-10-20 13:13)

    Posted by セギ at 14:05│Comments(0)英語
    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    大西泰斗の英会話定番レシピが今年は熱いです。
      コメント(0)