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2022年04月09日

高校数学A「場合の数と確率」。最大数の期待値。

高校数学A「場合の数と確率」。最大数の期待値。

さて、期待値の学習を続けましょう。
例えば、こんな問題。

問題 1から9までの整数が1つずつ書かれたカードが9枚ある。この中から7枚のカードを取り出して得られる7つの整数のうちの最大のものをXとする。Xの期待値E(X)を求めよ。

・・・え?

こういう問題になると呆然として、何をどう考えていいのかわからない人もいるかと思います。
場合の数や確率の問題を解くコツは、できるだけ具体的に考えることです。
具体的に考えることができるから、抽象化もできるのです。
最初から抽象的に考えてしまう人は、むしろ問題を正確に把握できていないことが多く、正答に至りません。

9枚のカードから7枚のカードを取り出す。
最大の整数は、どんな数が考えられるでしょうか。
1から9まで9通りある?
本当に?
まず、それに気づくことが第一歩です。

7枚も選ぶのですから、最大のものが1であるわけがありません。
2であるわけもないでしょう。
最大の整数の可能性は?
7と8と9。
この3通りしかありません。

・・・え?え?え?
と混乱してしまうでしょうか。

「場合の数と確率」が苦手な人は、まずこの第一段階をクリアできないことがあります。
自力で発想できないだけでなく、説明されても理解できないことがあるのです。
目の前に、問題の通りの9枚のカードを用意して、では、この中の7枚を選んで、最大が6になる場合を具体的に示してくださいと言えば、ああでもない、こうでもないとカードを選んで、それでようやく、どうやら、どうしても最大の数は7以上の数になると気づくのです。
実際にやってみれば、問題の条件の意味に気づくことができます。
できるだけ小さいカードを順番に選んでいっても、1から7までとなる。
当然、最大の数は7。
それより小さくはなりません。

そのことに気づき、「わあっ」と驚きを感じ、それに自分が気づかなったことも含めて何か「感動」のようなものがあれば、数学は少し面白くなると思います。
そして、それを頭の中でできるようになれば、「場合の数と確率」の問題を解けるようになっていきます。
頭の中にクリアに9枚のカードと問題の条件をイメージできればよいのです。
繰り返します。
「場合の数と確率」は、どこまで具体的にイメージできるかが重要なのです。


さて、期待値を求めるのですから、それぞれの確率が必要です。
最大のカードが7になる確率。
最大のカードが8になる確率。
最大のカードが9になる確率。
それをそれぞれ求めましょう。

まず、起こりうるすべての場合の数は?
9枚のカードから7枚を選ぶすべての場合の数です。
これは、9枚から7枚を選ぶ組み合わせです。
9C7=9C2=(9・8) / (2・1)=36(通り)

このうち、最大が7になる場合の数は、1から7までの7枚を選んだ1通りだけです。
よって、最大のカードが7になる確率は、1/36。

続いて、最大が8になる場合は?
これも、明確なイメージをもつことが大切です。
7枚のうち1枚は、8のカード。
残りの6枚は、1から7までの7枚のカードのうちから6枚選びます。
9を選んではいけません。
それを選んだら、最大の数は9になってしまいます。
よって、場合の数は、7枚から6枚を選ぶ組み合わせとなります。
7C6=7C1=7
最大のカードが8になる確率は、7/36。

最大が9になる場合は?
7枚のうち1枚は、9のカード。
残りの6枚は、1から8までの8枚カードのうちから6枚選ぶ。
場合の数は、8枚から6を選ぶ組み合わせとなります。
8C6=8C2=(8・7) / (2・1)=28
よって、最大のカードが9になる確率は、28/36

これは、余事象の確率でも求められます。
7、8、9しか可能性がないのですから、そのどれかになる確率は、全体1。
そこから、7になる確率と8になる確率を引くと、
1-1/36-7/36=28/36

よって、求める期待値は、
E(X)
=7×1/36+8×7/36+9×28/36
=1/36(7+56+252)
=315/36
=35/4

です。





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    Posted by セギ at 12:21│Comments(0)算数・数学
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