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2021年05月05日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域の応用問題。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。軌跡と領域の応用問題。

奇跡と領域。今回も、応用問題です。

問題 直線 y=2ax+a^2 について、aがすべての実数値をとって変化するとき、この直線が通りうる領域を図示せよ。

a^2 は、「aの2乗」という意味です。


x と y と数字だけの式ならまだ何とかするけれど、他の文字が入ると、解ける気がしない・・・。
こうした悩みを抱えている人もいると思います。

「文字アレルギー」は、中学の数学から始まっている場合が多いです。
数学に文字が出てくることを、心のどこかで納得しきれていないのかもしれません。

例えば、「文字式」の計算で、3x+5x=8x という問題ならまだ解けるのです。
しかし、それを一般化した、ax+bx=(  )x という穴埋め問題は解けない・・・。
ax+bx=abx と書いてしまう子がいます。

「十の位の数がx、一の位の数がyである2桁の整数を表しなさい」という問題では、
10x , y
という答案を書いてしまいます。
「・・・カンマはそういう使い方はしないんです。例えば、38という数を、30 , 8とは表さないですね。30+8でしょう?」
そのように解説しても、首をかしげています。
「+という記号を書きましょう。ax+bx=(a+b)x です。十の位が x で一の位が y の2桁の整数は、10x+y です。なぜ、+を書かないと思ったの?」
「・・・+は、省略するから」
「・・・え?」

一体いつ、そんなことを学んだのだろう?
正負の数の学習のときに、
(+3)+(+5)=+8
は、+の記号を省略して、
3+5=8
とすることを指しているのでしょうか。

多項式の各項を示す問題で、例えば、
3x+4y+5 といった多項式の各項はと問われたら、
3x , 4y , 5
と答える。
この答え方は覚えたけれど、意味がよくわかっていないから、混線しているのでしょうか。

それとも、文字式を学習したときに、a×bは、ab と書くことと混同しているのでしょうか。
a+b=a・(+b)=ab という誤解が抜けず、混乱し続けているのでしょうか。
しかし、その子が、3+5=3・(+5)=15 としているのは、さすがに見たことがないのです。
数ならばわかることが、文字だとわからない・・・。

やはり、文字が天敵なのです。
「数学だから数を扱う科目のはずなのに、文字ばっかり出てきておかしい」
という違和感、抵抗感を払拭できないせいなのか・・・。
あるいは、数の代わりに文字を用いるという抽象化がまだうまく呑み込めないのか。

小学生の多くは、この抽象化を理解できません。
数の代わりに文字を用いるということが、そもそも何のことかよくわからない。
文字ではなく☐や△を使えば大丈夫かといえば、そこそこ大丈夫ですが、☐を使った式を正しく立てて解くことができる子は、実際にはかなり限られてきます。
☐を使った式を立てなさい、と命令されればそうするけれど、自らそんな発想をする小学生は少ないのです。
本人の意識の中に、そんなものは存在しない・・・。

中学に入学したからもう文字を使うことが理解できるはずだ、というものでもないでしょう。
こういうことには個人差があります。
文字を多用されると、気持ちがついていかない・・・。

しかし、高校生ともなれば、さすがに数学に文字を使うことは許容できるようになっているはずです。
その必要性も。
その効能も。
まだ残る違和感・抵抗感は、幼かった頃の気持ちの残滓です。
立ち向かいましょう。

センター試験では、例年、数ⅠAの大問1から、2次方程式や2次関数の式に文字 a が含まれていました。
共通テストも、そうです。
高校数学の入試問題はそれが普通です。
まず、そのように意識を変えていきましょう。
これが標準。
これを解きましょう。


もう一度、問題を見てみましょう。

問題 直線 y=2ax+a^2 について、aがすべての実数値をとって変化するとき、この直線が通りうる領域を図示せよ。

数学の問題は、できるだけ具体的にイメージすることで、むしろ発想を飛躍できます。
問題の正体がつかめるまで、具体的にイメージすることです。
よくわからなかったら、a に具体的な数字を入れて、式のイメージをもつことが重要です。
a=1なら、y=2x+1
a=-2なら、y=-4x+4
これは、普通の1次関数ですね。

この直線は、傾きが2aで、y切片が a^2 の、普通の1次関数。
普通の直線です。
え?
だったら、座標平面のすべてを通るんじゃないの?
直線は無限に描けるでしょう?

・・・雑なイメージですが、まずそんなところからでも、考え始めることが大切です。

いや、待て。
a^2 が、y 切片?
あ。
だったら、y切片が負の数である直線は、ダメなのか。
2乗して負の数になる数は、実数ではありません。
実数は、有理数と無理数までが範囲。
虚数は含みません。
だとすると、座標平面の中で、どこか通れないところがありそうです。

・・・x軸より下半分は全部ダメ?
いや、y切片は正の数だけれど、直線が延長されていく先はx軸より下にいくということは、ありえる・・・。
そういう直線で、領域のかなりの範囲は塗りつぶされていくけれど、それでも、どうしても通れないところがある。
y軸の原点より下の部分周辺は、通れない。
その範囲を特定できればいいんだ。

そこまでイメージできたら、まずは十分です。


aはすべての実数。
aは、実数。

・・・ここで、何かが記憶に引っかかってきます。
実数。
実数解・・・。
2次方程式が実数解を持つための条件を求めるときは・・・。
判別式!

この問題は、y と x との1次関数とだけ見ていると、正体が見えてこないのです。
aがすべての実数値をとって変化する。
aがすべての実数であるときの、x と y の値の条件とは?
これは、a に関する問題なのです。

aについて、降べきの順に整理してみましょう。

a^2+2ax-y=0

これは、a についての2次方程式です。
この a が、実数解を持たなければ、そもそも問題が成立しません。
この2次方程式の判別式をDとすると、D≧0。
D/4=x^2+y≧0
これをyについて解くと、
y≧-x^2

この条件をみたせば、a は実数解を持つのです。
逆に言うと、この条件をみたさない場合、a は実数解を持たない。
問題の不等式を成り立たせる a が存在しないので、その場合の x と y の値の組の存在しない。
だから、そこは領域ではない。

上の不等式の領域を図示するのは簡単です。
y=-x^2 という放物線をまず描きます。
頂点が原点で、上に凸の放物線です。
y≧-x^2 なので、その放物線より上が領域です。
境界を含みます。

最初にイメージした通り、y軸の原点より真下部分が白く抜かれた領域となりました。
うん。
これでイメージ通り。
正解です。



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    Posted by セギ at 14:07│Comments(0)算数・数学
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