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2020年11月19日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式の応用。円の極線に関する問題。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の方程式の応用。円の極線に関する問題。

今回は、ちょっと難問です。
わかっていれば、簡単な解き方があるのですが、少し理解しにくい問題です。
「円の極線」という用語は習わないかもしれませんが、学校の問題集のB問題あるいは発展問題としては出題されていることの多い問題でもありますす。


問題 点(5,6)から円 x2+y2=9 に引いた2つの接線の接点をP、Qとするとき、直線PQの方程式を求めよ。

まずは、普通に発想できる地道な解き方で考えてみます。
直線PQの方程式を求めるには、点P、Qの座標がわかればいい。
その考え方で、まずは2つの座標を求めてみます。

点(5,6)を通る、円x2+y2=9 の接線の接点を(p,q)とおく。
この接点は、円上の点であるから、
p2+q2=9 ・・・①
また、点(x1,y1)を通る接線の方程式は、x1・x+y1・y=r2 だから、
px+qy=9 ・・・②
②の直線は、点(5,6)を通るから、代入して、
5p+6q=9
これを変形して、
5p=-6q+9
p=-6/5q+9/5 ・・・③
③を①に代入して、
(-6/5q+9/5)2+q2=9
これを計算します。
36/25q2-2・6/5・9/5q+81/25+q2=9
61/25q2-108/25q+81/25=9
61q2-108q+81=225
61q2-108q-144=0
解の公式で解きましょう。
q=(54±√2916+8784) / 61
=(54±30√13) / 61
この2つの値を③に代入すると、pの値も2つ求めることができます。
よって、接点は、
(45+36√13 / 61 , 54-30√13 / 61) と、
(45-36√13 / 61 , 54+30√13 / 61)です。
この2点を通る直線は、直線の式の公式に代入すれば、求めることができます。
式が煩雑なので、変化の割合の公式で、傾きだけ先に求めてみましょう。
さすがに、ネットで表示するには煩し過ぎるので、答だけ書くと、
この直線の傾きは、-5/6 となります。
計算過程が鬱陶しいわりに、シンプルな答となります。
そこで、傾きが-5/6で、点(45+36√13 / 61 , 54-30√13 / 61)を求める式を立て、計算します。
これも計算過程が非常に鬱陶しいので省略しますが、
y=-5/6x+3/2
という式を求めることができます。
このままでも構いませんが、全体を6倍して整理しておくと、
5x-6y-9=0 
です。

求めることはできるのですが、上の解き方は、ネットに書き込むこともできないほどに煩雑な計算過程があります。
試しに紙に書いて実際に解いてみてください。
計算してみると、その煩雑さは、ひどいものです。
途中のどこかで、符号ミスや計算ミスをおかす可能性が高いです。
もっと、楽な求め方はないものでしょうか?

あるのです。
手品のように簡単な解き方があります。
しかし、理解しづらい点もあります。
一度の説明では理解してもらえず、「え?」と声を出す生徒が多いです。
詭弁を弄された。
何かおかしい。
そう感じるらしいのです。

もう一度問題を見てみましょう。

問題 点(5,6)から円x2+y2=9 に引いた2つの接線の接点をP、Qとするとき、直線PQの方程式を求めよ。

先ほどの解き方でも使いましたが、
円 x2+y2=r2 上の接点(x1 , y1)における接線は、x1・x+y1・y=r2
という公式があります。
この公式については、以前に解説しました。

今回の解き方も、まずはそれを使います。
2つの接点の座標を、P(p , q)、Q(s , t)とします。
上の公式を利用すると、それぞれの接線は、
px+qy=9
sx+ty=9
となります。
これらが、点(5 , 6)を通るから、代入すると、
5p+6q=9 ・・・①
5s+6t=9 ・・・②
これは、2点P、Qが、直線5x+6y=9 上にあることを示しています。
したがって、直線PQの方程式は、
5x+6y=9

・・・はい?
今、何が起きたの?

生徒は呆然とし、以後、授業が先に進まないことがあります。


①、②の2本の式を求めたところまでは、理解できると思います。
その後の、「これは、2点P、Qが、直線5x+6y=9 上にあることを示している」が謎。
そういう感想の人が多いのではないかと思います。
ここのところで、何か理屈がくるんと裏返る印象があるのでしょう。

接線の式を求めて、そこに代入して得た式なのだから、これは接線の式だ。
そこにとらわれ、脳が惑わされてしまうのでしょう。
①、②の2本の式は、接線の式ではありません。
x も y もないのに、接線の式のわけがありません。
①、②の式は、接点P、Qの x 座標と y 座標がどのような関係にあるかを示している式です。
p と q、そして s と t のそれぞれの関係を表している式です。
この2点の x 座標と y 座標は、
5p+6q=9
5s+6t=9
という同じ構造の関係を満たしています。
だとしたら、この2点を通る直線は、
5x+6y=9
となります。

それでも、まだよく呑み込めない、という場合。
では、接線の式ということを離れて、こんな問題だったら、どうでしょうか?

問題 2点(p , q) , (s , t)があり、
5p+6q=9
5s+6t=9
の関係を満たすことがわかっている。
2点を通る直線の式を求めよ。

先ほどの問題の印象がまだ残って、それにとらわれて、これもまた「わからない」「わからない」となってしまう人もいるかもしれません。
しかし、ごく単純な気持ちで、この式を見てください。
直線の式は、ax+by+c=0 という形のものです。
今、定数 c を右辺に移項するなら、
ax+by=-c
です。
その x と y に、この直線上の具体的な点の座標が入ります。
今、上の(p , q) , (s , t)が、x と y の具体的な中身です。
具体的な中身というわりに、文字なのがやや難点ですが。
1点(p , q)だけなら定まらない。
しかし、2点ともが、
5p+6q=9
5S+6t=9
と、同じ数を用いた関係である場合、この2点を満たす式は、
5x+6y=9
以外にはないでしょう。

逆に考えてみると、さらにわかりやすいかもしれません。
5x+6y=9
という直線の式があるとします。
その直線上の2点(p , q) , (s , t)の座標を用いて、式を立てろと言われたら、
5p+6q=9
5S+6t=9
という式を立てるのではありませんか?

では、逆に、
5p+6q=9
5S+6t=9
という関係を満たす2点(p , q) , (s , t)を通る式は、
5x+6y=9
以外にありえないでしょう。
2点を通る直線の式は、1本しかありません。
これ以外の式が、成立するわけがないのです。

・・・脳が揺れる。

以前、この問題を解説したとき、このような感想を述べた高校生がいました。
悪くない感想だと思います。
脳が揺れる。
何か騙されている気がする。
でも、何をどう騙されているのかは、わからない。

何も騙していないですよ?

1つわかりやすい混乱の要因としては、円外の点(5 , 6)から、円x2+y2=9にひいた接線の式を、
5x+6y=9
と誤解してしまうこと。
5x+6y=9
をこの円の接線と感じて、「それは求める答ではない」と除外してしまうようなのです。

円x2+y2=r2 上の接点(x1 , y1)を通る接線の式は、
x1・x+y1・y=r2
です。
しかし、この公式のどこに何を代入したら良いのかで混乱しやすい人がいます。
そうした人は、この式が、円外の点(5 , 6)を通ると言われたときにも、
5x+6y=r2
という式を立ててしまうのです。
式のどこに何を代入するかで混乱してしまうのです。
点(5 , 6)を通る接線に関連して成立可能な式は、
5x1+6y1=r2
なのですが、xとx1、yとy1は何が違うのかよくわからず、あるいは見間違いを起こして、混乱してしまうのでしょう。
だから、そういう人にとって、
5x+6y=r2
は、何がどうなっても接線の式なのだと思います。
そういうこともあって、思考は、迷宮に入っていくようです。

「それは違うよ」
と根拠をもって指摘されたとき、自分の考え違いに気づき、「あっ」と声をあげてすぐに改善できる人もいます。
しかし、一度間違えてしまうと、そこは違うと指摘されても、迷宮に入っていく人もいます。

DVDやブルーレイに、一度録画するともう上書きできないタイプのものと、繰り返し消去したり録画したりできるものとがあります。
それに似て、一度間違えると、もう上書きできない脳の癖というものがあるのだろうかと不審に感じることがあります。

自分が何をどう間違えたのか、なかなか納得できないだけではありません。
時間が経つと、自分が間違えたことのほうを正答と誤認したのか、同じところを同じように間違い続ける人もいます。
幾度解いても、同じことを同じように間違えます。
これは、学習上の大きな障壁となります。
意識して取り除きたい障壁です。

本当は納得していないから、そういうことが起きているとも考えられます。
現代の子は、対人関係をとにかく気にしますから、納得していないのに、わかったふりをすることがあります。
とにかく、今のこの場面だけを穏便に切り抜けたいと思うからなのか、わかったふりをしがちです。
しかし、本当はわかっていなかったので、自分で問題を解くときにそれがぶり返すのでしょう。

対人関係ばかり気にしてわかったふりをすると、むしろ、後日、同じところを同じように間違えていることに先生は眉を寄せ、対人関係は逆にピリピリする、という可能性もあるのですが、とにかく問題を先送りしたいという気持ちがあり、そうなってしまうのかと想像します。

別に何度同じところを間違えてもいいですし、何度でも説明するのが教える者の仕事ですが、それよりも、わからないことは、わかったふりをせず、最初から「わからない」と声を上げたほうがいいのです。
不思議なもので、
「わからない」
と生徒が声を上げた瞬間に、人間関係は逆転するのです。
わかるように説明できない先生が悪いのですから。
本当のことを口にした方が、常に圧倒的に強いのです。


円外の点(p , q)から、円x2+y2=r2にひいた接線の2つの接点を通る直線は、
px+qy=r2 
です。
これを、円の極線と呼びます。
このとき、点(p , q)を、円の極点と呼びます。
これは、ただ丸暗記するのではなく、なぜそうであるのか、理屈を理解してください。




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