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2020年10月29日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の接線の方程式。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。円の接線の方程式。

今回は、円の接線の方程式です。
まずは、公式を確認しましょう。

円 x2+y2=r2 上の点A(x1 , y1)における接線の方程式は、
x1・x+y1・y=r2

証明しましょう。
この円の中心は原点Oです。
まず点Aが、x軸・y軸上の点ではないとき、
直線OAの傾きは、y1/x1 となります。
また、接線は、円の半径である線分OAと垂直ですから、接線の傾きは、
-x1/y1 
となります。
垂直に交わる直線の傾きの積は-1だからです。
よって、求める接線は、傾きが -x1/y1 で、点(x1,y1)を通る直線ですから、
y-y1=-x1/y1(x-x1)

これを変形しましょう。
両辺にy1をかけて、
y1(y-y1)=-x1(x-x1)
展開すると、
y1・y-y1の2乗=-x1・x+x1の2乗
移項して、
x1・x+y1・y=x1の2乗+y1の2乗
ここで、点Aはこの円上の点だから、(x1,y1)は、この円の方程式の関係を満たすので、
x1の2乗+y1の2乗=r2
よって、
x1・x+y1・y=r2
これが、接線の方程式です。

なお、点Aが、x軸上にあるとき、接線の方程式は、円の半径より、
x=r または、x=-r です。
上の公式に代入した場合、
(x1,y1)=(r,0)のとき、
rx+0・y=r2
rx=r2
x=r
また、(x1,y1)=(-r,0)のとき、
-rx+0・y=r2
-rx=r2
x=-r
となり、上の公式を用いてよいことがわかります。

点Aがy軸上にあるときも同様に、代入すると、
y=r または、y=-r
という式を得ることができます。


さて、公式を証明できたので、練習してみましょう。

問題 円x2+y2=25がある。
(1) 円上の点(2,√21)における接線の方程式を求めよ。
(2) 円外の点(1,7)からこの円にひいた接線の方程式を求めよ。

(1)は、接線の公式に代入するだけですね。
x1・x+y1・y=r2 に代入して、
2x+√21y=25
これでもう答です。

(2)は、接点がわからないことに注意が必要です。
公式に(1,7)を代入しても、別の式が出来てしまうだけです。
公式を使うだけというわけにいきません。
では、求める式を、何か文字を使って表すことはできないでしょうか?
求める式は、接線ですから、直線の式です。
情報としては、点(1,7)を通ることはわかっています。
直線の公式を思い出してみると、傾きか、あと1点の座標を文字にすれば、仮の式を立てることができそうです。
どちらでもいけそうですが、傾きを文字に置いたほうが簡単そうな気がするので、それでやってみましょう。

求める接線の傾きをmとすると、点(1,7)を通ることより、
y-7=m(x-1)
これを整理すると、
y-7=mx-m
-mx+y+m-7=0
mx-y-m+7=0

あとは、このmの値を求めればよいのです。
mを使った、何か別の方程式を立てましょう。
使っていない情報は・・・。
円の半径をまだ使っていない!
円の中心Oとこの直線との距離が、円の半径5であることを利用できそうです。
点と直線との距離の公式に代入して、
|-m+7|/√(m2+1)=5
両辺に√(m2+1)をかけて、
|-m+7|=5√(m2+1)
両辺を2乗して、
(-m+7)2=25(m2+1)
m2-14m+49=25m2+25
-24m2-14m+24=0
12m2+7m-12=0
(4m-3)(3m+4)=0
m=3/4 , -4/3
よって、求める接線は、
y-7=3/4(x-1)を整理して、y=3/4x+25/4
y-7=-4/3(x-1)を整理して、y=-4/3+25/3

この2本の式が、答です。


ところで、上の接線の公式、中心が原点の円のときですが、もっとそれ以外の点が中心の円でも使えないでしょうか?
そういう公式もあります。

中心が(a,b)、半径がrの円、すなわち、
(x-a)2+(y-b)2=r2 上の点(x1,y1)における接線の方程式は、
(x1-a)(x-a)+(y1-b)(y-b)=r2

これは、平行移動で考えます。
上の円をC: (x-a)2+(y-b)2=r2 とします。
この円を中心が原点になるような平行移動すると、
円C': x2+y2=r2
となります。
この平行移動により、接点A(x1,y1)は、A'(x1-a , y1-b)に移動します。
この点A'における円C'の接線は、公式により、
(x1-a)x+(y1-b)y=r2 です。
この接線をもとに位置に平行移動しましょう。
x軸方向にa、y軸方向にbだけ平行移動すれば戻ります。
よって、求める方程式は、
(x1-a)(x-a)+(y1-b)(y-b)=r2
です。
途中でよくわからないところがあった人は、おそらく、平行移動のところが曖昧になっていると思いますので、見直すと、意味がわかると思います。

問題 円(x-1)2+(y-2)2=25上の点(4,6)における接線の方程式を求めよ。

上の公式に代入すれば求められます。
(4-1)(x-1)+(6-2)(y-2)=25
これを整理します。
3(x-1)+4(y-2)=25
3x-3+4y-8=25
3x+4y=36
これで答です。

では、こんな問題は?

問題 円x2+y2-2x-4y-4=0に接し、傾きが2である直線の方程式を求めよ。

与えられた円の方程式を整理しておきましょう。
(x-1)2+(y-2)2=4+1+4
(x-1)2+(y-2)2=9
よって、この円の中心は(1,2)、半径は3です。

さて、求めるのは接線です。
直線で、傾きが2であることがわかっていますから、文字を用いて、
y=2x+n とおきましょう。

nを求めるために、何か方程式を立てたいです。
円の中心と直線との距離は、円の半径のことですから3です。
これが使えそうです。
y=2x+n を整理すると、
2x-y+n=0
これと点(1,2)との距離は、
|2-2+n|/√(4+1)=3
これを計算すると、
|n|=3√5
n=±3√5
よって、求める直線の式は、
y=2x±3√5

できました。

こういう問題が苦手な人は、とにかく、何か文字を使って、求めたい式を表しておき、その文字に関する方程式を立てるんだ、という解き方の流れを把握しておくと、何をしたらよいか、指針が見えてくると思います。
解き方を丸暗記するには、問題のバリエーションが多いです。
1問1問暗記しても、テストは別の形式の問題が出題されるかもしれません。
覚えるべきは、解き方の指針です。
そして、どんな公式や定理を使うことが多いのか、です。
接線の公式は勿論ですが、これまでに学習した直線の式や、点と直線との距離など、よく使う公式を把握しておくと発想しやすくなります。





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