たまりば

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2020年07月30日

高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その4。

高校数Ⅱ「図形と方程式」。直線の方程式の求め方。その4。



問題 直線 y=2x+1に関して、点A(3,2)と対称な点Bの座標を求めよ。

さて、応用問題に入ってきました。

解き方がすぐにピンときたなら必要ありませんが、わからないときは、グラフを描いて考えるのが得策です。
グラフを描くのが苦手で、時間がかかり、かつ間違ったグラフを描いてしまいがちな人もいると思います。
しかし、そこでひるんでグラフを描くのをやめてしまうと、この先の問題を自力で解くのはかなり難しくなります。
グラフは描き慣れれば速く描けるようになりますし、正しく描けるようにもなります。
練習あるのみです。

高校生がグラフを描くのを見たとき、これまでで一番驚いたのは、普通の横罫線のノートに、定規で x 軸と y 軸を引いてから、そこに5ミリおきに目盛りを書き込み、それから、これまた定規を使って直線を引いた子を見たときです。
「高校生は、グラフはフリーハンドで描きましょう。センター試験では、定規の使用は禁止されています。学校のテストも、定規は使用できないでしょう?」
と声をかけると、それは知っていて、石のように固い表情になりました。
フリーハンドでは上手く描けない。
見た目が汚い。
だから、自分のノートでは定規を使いたいというのです。

不器用でありながら、潔癖。
テストのときは定規を使ってはいけないと知っているが、自分のノートくらいはきれいに描きたい。
そういう思いが強いようでした。
「問題を解くための参考にするだけのグラフをそんなに丁寧に描いたら、1題解くのに30分くらいかかりませんか」
そう声をかけても、固い表情のままでした。
「テストのときには定規を使えないんですから、普段から使わない練習をしていないと、テストのときに余計な心の負担や緊張が生まれませんか」
そう説得しても、ダメでした。

しかし、しばらくして、同じ単元を復習したときに、グラフをフリーハンドで描くようになっていました。
どういう気持ちの変化があったのかは、わかりません。
学校で何か言われたか。
友達から助言されたか。


中学までは、直線のグラフは、方眼紙に定規を使って描きます。
格子点から1ミリずれていたら、減点、あるいはバツといった厳しい採点基準があります。
あれも、鬱陶しい話です。
定規を格子点の真上に当ててしまう子は、そのまま直線を引いてしまい、必ずズレます。
ペンの幅というものを考えていないのです。
置き方が適当だと、さらにズレます。
そういう子たちには、定規の使い方の指導をする必要があります。

小学校では、筆算のときに引く横線は定規を使え、分数の横線も定規を使え、と訳のわからない要求をする先生もいるようです。
首を傾げざるを得ない指導ですが、そういう指導をしないと、ぐにゃぐにゃと曲がった線を描き、筆算がどんどん斜めになっていき、計算ミスをしてしまう子がいるのも事実。
そのための指導なのだとは思います。
定規ばっかり使っているから、いつまでもきれいな直線が引けないのだ、とも言えますが。
三鷹の学校の先生でそういう人がいるという話を聞いたことがないのは幸いですが、以前、筆算の横線に必ず定規を使う小学生の女の子に出会ったことはあります。
まだ小学生なので、使いたいものは使えばいいやとほおっておいたら、そのうち使わなくなりました。


なぜ高校数学では、グラフは定規を使わずに描くのか?
正確な理由はわかりません。
あまり勉強が得意ではない生徒の通う高校の数Ⅰの宿題プリントが方眼紙だったのを見たこともあります。
そこに定規でグラフを描く宿題でした。
方眼紙と定規を使わないとグラフを描けない子もいる。
それも事実だろうと思います。

ただ、放物線は、定規では描けません。
この先の数Ⅱで学習するその他の曲線になったらもっとそうです。
問題を解くのに特に必要としない正確さや手間を省くには、フリーハンドで目盛なしのグラフを描くのが便利です。
曲線はフリーハンドなのに、一緒に描く直線だけ定規というのも、変に直線だけ目立って不格好です。
全部フリーハンドでいいんじゃないんでしょうか。

大体でいいのが、フリーハンドの利点です。
この図は大体の図です。
概念図です。
フリーハンドは、そういう合図なのだと思います。


なぜ高校数学では、グラフは定規を使わずに描くのか?
ネットで少し調べてみましたが、
「グラフは定規を使わずに描くものだ」
「直線や円くらいはフリーハンドで正確に描け」
といった上から目線の書き方のものが多く、うわー、数学好きの悪いところ丸出しだなあと、恥ずかしくなってしまいました。
理屈を好むわりに、自分が確信している大元のところを問われると、高圧的になる。
ダメダメ、そういうのは。

いずれ、パソコンやタブレットで問題を解くのが常態になれば、フリーハンドで直線を引くことそのものがありえない時代もくるかもしれません。
共通テスト試行試験では、太郎と花子がパソコンソフトで放物線を動かしている問題が出題されました。
今は、そういう時代です。
2点を決定すれば、画面に直線が描かれます。
中心と半径を決定すれば、画面に円が描かれます。
そうした時代に、フリーハンドで直線や円を正確に描くことは、なお要求される能力なのかどうか。
要求されるかもしれない。
要求されないかもしれない。
そうしたことを改めて考えてもよいのではないかと思います。

しかし、現状、高校の数学のテストで定規の使用は許されていません。
テストは、パソコン画面ではなく、紙で行われます。
定規を使わずにグラフを描く練習は必要です。
その辺は現実的な対応をしましょう。

問題に戻りましょう。

問題 直線 y=2x+1に関して、点A(3,2)と対称な点Bの座標を求めよ。

グラフを描きましょう。
x軸とy軸をまず描きます。
目盛は入れません。
そこに、y切片が1で、右上がりの直線をささっと描きます。
適当でいいんです。
その座標平面に、点A(3,2)を打ち込みます。
パッと感覚的に、この点は直線の右下にあるなとわかればそれでよいのです。
わからなければ、計算します。
この直線上で、x=3のとき、y=5です。
(3,2)は、(3,5)より下の位置にあります。
これも、神経質な人は、正確に(3,2)の点を打とうとして、グラフとのバランスが取れず、ああ、グラフが間違っていたんだと癇癪を起こしたように全部消して最初からやり直したりする人がいます。
(3,2)は、座標平面の第1象限に入っていれば、大丈夫です。
ちょっと歪んでいるのは、心の目で補正しましょう。
それも耐えられないなら、x軸、y軸を描くのを止めるという手もあります。
右上がりの直線だけを描く。
それでも大丈夫です。

次に、この点Aと対称な点Bを大体のイメージで良いですから、座標平面上に打ち込んでみます。
「線対称」は、小学6年生で最初に学習する内容です。
線対称というのは、どういう性質があったでしょうか?
線対称のとき、対応する点と点とを結ぶ線分は、対称の軸と垂直に交わる。
線対称のとき、対応する点と対称の軸との距離は等しい。

6年生の段階で、はっきりとこれらのことを学んでいるのですが、忘れている人も多いと思います。
このことを利用し、
「図の中で、垂直に交わっている直線はどれとどれですか?」
「図の中で長さの等しい線分はどれとどれですか?
といった問題を解いたはずですが、個々の問題の解き方だけ覚え、根本のルールは記憶から消えている人もいるかもしれません。

小学生のときも、中学1年でも、まるでドリルのように繰り返し解いた問題。
そこで終わってしまうので、小6や中1の頃は、
「だから何なの?当たり前じゃん」
という印象だった問題。
いよいよ、この知識が結実するのです。
繰り返し解いたドリルのような問題は、根本のルールを理解し、脳の奥深くに浸透させ、やがて高校数学で使うためにあったのです。

求めたい点Bの座標を(p,q)としましょう。
このpとqの値を求めれば良いわけです。
直線ABの傾きは、q-2/p-3 と表されます。
直線の傾きは、変化の割合と等しく、yの増加量/xの増加量 だからです。
この直線ABは、対称の軸である、y=2x+1 と垂直に交わりますから、傾きの積は-1です。
よって、2・q-2/p-3=-1
これを変形して、pとqの関係を表す式を1本導いておきましょう。
両辺に p-3 をかけて、
2(q-2)=-(p-3)
2q-4=-p+3
p+2q=7 ・・・①

pとqの値を求めるには、もう1本、pとqに関する式があれば良いです。
線対称の性質には、もう1つ、対称の点から対称の軸までの距離は等しいというものがありました。
言い換えれば、2点の中点は対称の軸上にあります。
点A(3,2)と点B(p,q)の中点の座標は、(p+3 /2,q+2 /2)。
これは対称の軸上の点ですから、このx座標とy座標は、y=2x+1 の関係を満たします。
よって、
q+2 / 2=2(p+3 / 2)+1
これを整理すると、
q+2 / 2=p+3+1
q+2=2p+8
-2p+q=6 ・・・②

この①、②を連立して解くと、
p=-1、q=4
よって点Bの座標は(-1,4) です。


応用問題とはいえ、まだ易しい。
そんなに複雑な問題ではないはずなのですが、この問題、以前、大人のための数学教室で解いたときは、かなり難渋しました。
解説を終えて、
「質問はありますか」
と問いかけたところ、
「何をやっているのか全くわからない」
という感想を参加者の方が口にしたのです。

何をやっているのか、全くわからない?
え?
何で?

後になって振り返ると、分岐点は、①の式を作るときにありました。
垂直に交わるのだから、傾きの積は-1になりますよね?
と、
q-2 / p-3 ・2=-1
という式を板書したときに、質問があったのです。
「それ、直線ABの傾きは、-1/2 である、という式にしていいですか?」
つまり、q-2 / p-3 =-1/2 という式にしたいと言うのです。
私は、内心、何でわざわざそうするのだろう?
と微かな違和感を抱きました。

なぜ、そんなアレンジをするのか?
これから式を整理するのだから、わざわざ直線ABの傾きは-1/2であることを暗算した上での式など立てなくても良いのだが?

しかし、参加者の方が書きたいと言った式は、間違った式ではありません。
その式にして良いかと問われて、ダメという理由はないのです。
「あ。いいですよ」
と、私は軽く受け流したのですが、後から考えれば、ここが分岐点だったのです。

どういうことだったのか?
参加者の方は、そのとき、p、qに関する式を作ろうとしていたのではなく、直線ABの式を求めようとしていたのです。
直線ABの式を求めようとしているのに、解説がその方向にいかず、pとqの式を整理したりしている。
何のために何をやっているのか、全くわからない・・・。

その誤解がようやく解けてから、私は、参加者に尋ねました。
「何で直線ABの式を求めようと思ったんですか?」
「今まで、ずっと直線の式を求めていたから」
「・・・・なるほど」

この問題は、点Bの座標を求める問題です。
B(p,q) と定めたら、後は p と q に関する式を2本作って連立方程式にすればいい、という解き方の流れが、私には見えていました。
しかし、教わる側は、その流れが見えていなかったのです。

解説はしたつもりでした。
点B(p,q) としましょう。
この p と q の値を求めれば良いですよね?と。

しかし、初めて見る問題の解説を聞きながらノートも取るという状態では、解説のなかの何が重要で、どれがキーワードであるのかの判断を誤ることがあるのだと思います。

大人のための教室は、このようにいつも示唆的でした。
数学の問題を解説していて、これは誤解の余地などないはずだと私が思っていることも、誤解の余地はあるのだということを教えてもらいました。
数学が苦手な子どもの多くは、何がわからないのかを語る言葉を持ちません。
日常会話ではおしゃべりな子も、論理的なことを正確に語るのは難しいことも多いです。
「どこがわからない?」
という質問は、その字面通りの質問なのですが、どんなに柔らかい口調で尋ねてもなお、
「なんでこれがわからないんだ?」
と責められているように感じることがあるようです。
もともと言葉で説明するのが苦手な子どもが、さらに責められていると感じたら、黙り込んでしまうのも当然なのかもしれません。

板書を1行ずつ指差しながら、
「ここはわかる?ここはわかる?何行目がわからない?」
と、私は、わからなくなっている行を明確にしようとするのですが、こちらのそういう意図を理解してくれず、黙り込んでしまう子もいます。
「まあ、いいや。次いこう、次」
と、勝手に諦める子もいます。

生徒がどこでつまずいているのかを知りたい。
何がわからないのかを知りたい。
何を誤解しているのかを知りたい。
それがわかれば、解決策はある・・・。



直線の式に関するさまざまな公式など、直線の式を求めることをずっとやっていると、応用問題でも、絶対に直線の式を求めるものだと思い込んでしまう・・・。

わからない原因が、そんなところにあったとは。

板書に書いてあること・テキストに書いてあることと、何か少しでも違うことを生徒がやろうとしているとき、生徒の頭の中で何か異変が起きている可能性を考えること。
微かな違和感を大切にすること。
それを改めて感じた出来事でした。

ところで、上の問題ですが、では、直線の式を求めてはいけないのか?
いえ、いけないことはありません。
そうやって解く方法もありえます。

もう一度問題に戻って考えてみましょう。

問題 直線y=2x+1に関して、点A(3,2)と対称な点Bの座標を求めよ。

線対称の性質から、直線y=2x+1と直線ABとは垂直に交わります。
それを利用して、直線ABの式を求めてみましょう。
傾きは-1/2で、点A(3,2)を通る直線ですから、公式に代入して、
y-2=-1/2(x-3)
これを整理して、
y=-1/2x+3/2+2
y=-1/2x+7/2
次に、直線ABと、y=2x+1の交点を求めましょう。
2本の式を連立して、
-1/2x+7/2=2x+1
これをxについて解きます。
-x+7=4x+2
-5x=-5
x=1
これをy=2x+1に代入して、
y=2・1+1
 =3
よって、2本の直線の交点の座標は、(1,3)。

さて、ここからどうするか?
点Aとこの交点との距離は、この交点と点Bとの距離と等しいです。
すなわち、点Aからこの交点への移動は、この交点から点Bへの移動と等しくなります。
点A(3,2)から交点(1,3)へは、x軸方向に-2、y軸方向に1だけ移動しています。
よって、交点の座標を同じだけ移動させると、
x座標は、1-2=-1。
y座標は、3+1=4。
よって、点B(-1,4)

あれ?
この解き方のほうがわかりやすいし、解きやすい。
そう思うでしょうか?

いいえ。
必要のない直線の式をわざわざ求める、遠回りな解き方です。
また、この解き方は、中点の座標が分数になったりすると、計算がかなり面倒くさくなりそうです。
さらに、今後のさらなる応用問題の解き方とのつながりがありません。

けれど、直線の式を求めることしか発想できないならば、とにかく直線の式を求めて、そこからその先を考える。
そういう試行錯誤が見られるという意味で、高校生が自力でこのように発想して解いたのなら素晴らしいと思います。
数学の応用問題を解けるようになるには、自力で問題を解いた経験を増やしていくことが何よりの糧になります。
いつも解答解説を見て解いている人が、テストのときだけ自力で問題を解くのは不可能です。
自力で解法を発見することが大切です。

けれど、それはそれとして、模範解答を読み、その解き方の良さに気づき、取り入れるとさらに力がつきます。
特に、ABの中点の座標が直線を通ることを用いる解き方は、汎用性があります。
この先の学習のために身につけておきたい解き方です。

高校3年生には、同じ入試問題を解くのでも、どう解けば時間を短縮できるのか、どの解き方が計算ミスが少なく楽なのかという方針で授業を進めるようになります。
基礎学力はあるので、普通の解き方ならもう説明は不要な子には、どうブラッシュアップしていくかがその先の課題です。

例えば、反復試行の確率と条件付き確率の混合問題などで、
「私もこれを自分で解いたとき、うっかり数値をそのまま代入しちゃって、計算がウザくてウザくて大変だったんだけど、ここは数値をいったん文字にして式を整理すると、すぐにスッキリするよね」
といった解説をすると、
「ははあー。文明開化の音がしますね」
といった反応がある子には、手応えを感じます。
解き方は1つではない。
より洗練された解き方は、どういうものか?
それを模索していくのも、数学の楽しみの1つだと思います。





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