たまりば

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2020年04月26日

平方根について。


平方根について。


「平方根」は、中学3年生で初めて学習します。
そして、ほぼ毎年、平方根が全く呑み込めない子が現れます。

x2=aであるとき、xをaの平方根という。

この定義は、確かにわかりにくいです。
字面を目で追っても意味が伝わってこない。
それは私も共感できるのです。
だから、まずは具体例で説明します。

6を2乗すると36になります。
そして、-6も2乗すると36になります。
言い方を少し変えると、2乗すると36になる数は、6と-6です。

ここが実は重要で、上のように言い方を逆にしただけで、理解できなくなる子がいます。
日本語の助詞の働きを読み取ったり聞き取ったりできない子が一定数いるのかもしれません。
単語の羅列でしか言葉を理解していないので、語句と語句の関係を把握するのが苦手な様子です。
だから、ちょっと語順を変えて、原因と結果が逆になっている文になると理解しづらく、眉を寄せたり、頭を抱えたりします。
「6を2乗すると36になる」
は理解できるのですが、
「2乗すると36になる数は、6と-6」
はすんなりとは飲み込めないのです。
かなり苦しそうです。

それでも、何とか理解するのを待ちます。
2乗すると36になる数は、6と-6。
36の平方根は、6と-6。
2乗するとaになる数が、aの平方根。
4の平方根は、±2。
9の平方根は、±3。
ここまで丁寧に説明すると、新しい学習内容にちょっと抵抗を示しながらでも、一応理解できるという子が多いです。


では、2の平方根は?
△×△=2 となるときの△にあたる数です。
え?
そんな数ある?
1.5くらい?
1.4くらい?
はい。
大体1.4くらいの数です。
1.4×1.4=1.96
1.41×1.41=1.9881
1.414×1.414=1.999396
どんどん2に近づいてはくるのですが、しかし、小数で表している限り、どこまでいっても2乗して正確に2なることはありません。
2乗して2になる数は、小数で表すことはできないのです。
これを√ という記号を用いて表すことにします。
2乗してaになる数を±√a と表す。
つまり、aの平方根が±√a です。
2の平方根は、±√2 。
√2 を2乗すると2になるということ。
-√2 も2乗すると2になります。
新しい記号である√ に、かなりの抵抗があり、話はさらに難しくなってきました。

√2を2乗すると2。
-√2を2乗すると2。
つまり、2の平方根は±√2。
前後をあえて逆にして、その行ったり来たりが本人の頭の中で上手くいっているか確認します。
何とか大丈夫そうです。


ここでようやく問題練習に入りますが、それでも、大きくつまずく子もいます。
問題を解き始めると、理解していたはずのことが一気に崩れ、混乱が起こるのです。

問題 √36 を整数に直しなさい。

√36=6 です。
わかっている者にとっては、これの何が難しいのか、むしろそれが逆にわからないくらいにシンプルな問題なのですが、これがわからない子は案外多いのです。
√36 というのは、36の平方根のうち、正の数ということ。
2乗して36になる数のうちの正のほうの数は、6です。
そう説明しても、意味がその子に伝わっている様子が見られません。

では、答えは何だと思う?
何を誤解しているのか確認しようとして問うと、そういうのは別にないと言うのです。
ただ、わからない。
√36 という書き方がわからない。
何を言っているのかわからない。
そう言うのです。

√4=2 です。
-√9=-3 です。
いくつかの具体例から共通のルールを本人が見つけることがあるかもしれないと、ボードにありったけ書いていっても、やはりわからないというのです。

本来、√36なんて書き方はしなくてもいいのです。
36の平方根は±6だから。
整数になるのだから、√ を使わなくてもいいのです。
この問題は、整理する前の形をあえて書いているだけですよ。
そう説明しても、表情に変化はなく、目に光は宿りません。

授業が膠着状態に入り、生徒から、ようやく自分の考えが述べられることもあります。
「√36は、2乗したら36なんだから、36だと思う」
「・・・・え?いや、√36 は、2乗したら36になるので、まだ36にはなってないんですよ。2乗する前の段階、1乗の段階だから、6なんです」
「ちょっと何言ってるかわからない」
( ;∀;)

平方根が理解できないのは、数学的なことが理解できないというよりも、本人の国語力・言語能力に負うところが大きいと思います。
説明が理解できない。
説明されている言葉が理解できない。
平方根の壁は、言葉の壁だと感じます。


もっとわかりやすく説明する方法はないだろうかと、数学に関する本を書店で探したことがあります。
「平方根が子どもにとってわかりにくいのは、それが身近にあるものだと知らないからです」
なんて書いてあったりします。
だから、数学の授業の初めに、平方根を使った実例を説明すればいいと言うのです。
ほほお?
興味をもって読み進めると、その実例は、コピー用紙などの紙の規格。
A4、B5といった規格は、どのサイズも縦と横の比が√2:1になっているという話が説明されていました。

いやいやいや。(-_-)

中学生でA4・B5の紙のサイズの話をして通じる子は、平方根の話も1度で通じると思います。
そういう話を目を輝かせて聴く子は、そういうエピソードがなくても平方根は理解できるのです。
「A4とか知らない」
平方根が理解できない子の多くは、その一言でおしまいです。

一般に、理解の遅い子は、世の中のことや身の回りのことへの関心が薄い傾向があります。
音楽・アニメ・ゲームなどのサブカルチャーやスポーツなど、特定のことには興味があるのだと思いますが、現実のものごとへの関心は低く、興味を持って耳を傾けてくれることはあまり期待できないのです。

ルーズリーフを使っている子に、
「その袋にB5って書いてあるでしょう?それが紙の規格なんですよ。ノートの片面のサイズがB5です」
そう説明すれば目を輝かせるかというと、
「袋なんか見ない」
それで話は終わってしまいます。

そこで、紙の規格について1から説明したところで、それは本人にとって関心のあるエピソードではありません。
平方根の説明だけでもわからないのに、紙の規格という謎の知識が加わって、さらに負担が増すのです。
紙の規格が身近な知識になるのはコピーを取る必要が生じる大学生以降で、中学生にとってはほとんど関係ないことですから、知らないのは責められないです。
中学生に紙の規格の話をするのは徒労感が強いです。
平方根を教えるには、平方根で教えるしかないのです。
だから、毎年、理解したとは到底思えない状態で初回の授業が終わります。

それでは、平方根はマスターできないままで終わるのか?
案外そうでもないのが不思議なところです。

1週間後の授業では、あれほどの混乱が嘘のように収まっていることが多いのです。
学校の授業で理解したのでしょうか?
いえ、学校の授業がわからなかったから、塾で平方根について質問し、その説明も理解できなかったのです。
でも、1週間後、理解できているように見えるのです。
家で教わった?
友達に教わった?
そんな気配もありません。
理解の遅い子は、私に忖度しません。
「平方根がわかるようになったね」
と褒めたとき、それが学校の授業のおかげや友達のおかげであるなら、
「学校の授業でわかった」
「友達に教わった」
と言います。
なぜか、そこははっきりさせておくべきだと感じる子が多いようです。
褒められて、ただ黙っているのは、なぜ理解できるようになったのか、自分でもよくわからないからだろうと思います。

1つ考えられること。
これは、脳の働きなのではないか。
脳というのは不思議なもので、睡眠をとると情報が整理され安定するらしいのです。
だから、勉強したら、その後よく寝ることが大切。
その場では咀嚼できなかった多くの情報。
しかし、一晩寝たら、何がわからなかったのか不思議なくらいに理解し、安定する。
そういうことなのではないか?
結局、平方根を理解するために必要なことは、説明を聞くだけ聞いたらよく寝ることかもしれません。

そんなわけで、紙の規格の話は、平方根がわからない中学生にはあまり効果がないのですが、この話自体は大人には興味深い点もあると思いますので、ここで説明します。

紙には規格があります。
一番大きいサイズがA0。
縦と横の辺の比が√2:1の、約1㎡の紙です。
これを半分に切ったサイズがA1。これも辺の比は、√2:1です。
さらに半分に切ったのがA2。これも辺の比は、√2:1。
このように、半分、半分、半分と切り分けていっても、どれも辺の比は、√2:1となります。
つまり、全て相似な長方形の紙となるのです。

これは、他の比ではうまくいかないのです。
例えば、縦と横の比を3:2としてみましょう。
半分に切ったとき、縦と横の比は、1.5:2=3:4。
縦長に向きを直すと4:3。
もう3:2にはなりません。
1回切っただけで、もう元の紙と相似な長方形ではなくなるのです。
√2:1の場合。
半分に切ったとき、縦と横の比は、√2/ 2:1=√2:2=1:√2。
縦長に向きを直すと、無事に√2:1の相似の長方形になります。
√2だからこそできる技です。
こりゃ凄いですね。ヽ(^。^)ノ

A版の他にもう1つB版という規格があります。
全く別の規格なのかというと関係性があります。
A4の対角線の長さが、B4の長いほうの辺の長さなのです。

A4の辺の長さを仮に√2、1としてみましょう。
対角線の長さは、三平方の定理により、√3 と計算できます。
その√3が、B4の長いほうの辺の長さなのです。
ということは、A4とB4の辺の比は、√2:√3。
すなわち相似比が√2:√3 ということです。
面積比は、相似比の2乗ですから、2:3。
B4は、A4の1.5倍の大きさの紙であることがわかります。
うーん。いろんなことが美しい。
それも、平方根があるからこそです。
ヽ(^。^)ノ



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