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2020年04月12日

高校数Ⅱ「式と証明」。高次方程式。

高校数Ⅱ「式と証明」。高次方程式。


今回も「因数定理・高次方程式」に関する問題です。

問題 方程式 x4-3x3+ax2+bx-4=0 がx=1、2を解にもつとき、定数a、bの値と他の解を求めよ。

中3の「2次方程式」の頃から、このタイプの問題はよく出題されていますね。
その頃と解き方も同じです。
x=1、2が解なのですから、もとの方程式にx=1とx=2を代入できます。
やってみましょう。

x=1 を代入して、
1-3+a+b-4=0
整理しましょう。
a+b=6 ・・・➀
x=2を代入して、
16-24+4x+2b-4=0
整理すると、
4a+2b=12
両辺を2で割って、
2a+b=6 ・・・➁
文字はaとbの2種類。式は2本。
これは連立方程式として解けます。
➁-➀
 a=0 ・・・➂
➂を➀に代入して
b=6

ここで問題を見直します。
何を求めるんでしたっけ?
他の解も求めるのですね。

では、a、bの値をもとの方程式に代入します。
x4-3x3+6x-4=0
この4次方程式を解きます。
x=1、2は既にわかっていますので、それを利用して組立除法をしましょう。

1 -3   0   6 -4  |1
   1  -2 -2  4
1 -2 -2 4  0   |2
   2   0 -4
1  0 -2   0

よって、与式は、
(x-1)(x-2)(x2-2)=0 と因数分解できます。
x2-2=0 の場合、
  x2=2
   x=±√2 です。
したがって、この問題の解答は、a=0、b=6、他の解 x=±√2 となります。


問題 実数係数の方程式x3+ax2+bx+6=0がx=1+√2 i を解にもつとき、定数a、bの値と他の解を求めよ。

あれ?文字が2つなのに、与えられた解が1つしかない?
しかも、解が複素数なので、計算がごちゃごちゃしそうです。
ここで登場するのが、「共役な複素数」です。
複素数を最初に学習したときに出てきた言葉でした。
複素数a+√b i と共役な複素数は、a-√b i です。
これは定義ですので、「なぜ?」という質問は不要です。
「共役の複素数」と呼ぶと決めただけのことなので、それ以上の理由はありません。
と説明すると不審そうな顔をする高校生もいるのですが、それはおそらく「共役」という言葉が耳慣れず、その言葉の意味を説明してほしくて質問しているのかもしれません。
どのへんが共役なのかというと、
x=a+√b i が解である方程式は、x=a-√b i も解なのです。

これを本格的に証明しようとすると、いろいろと面倒くさいことになるのですが、感覚的には理解しやすいことだと思います。
2次方程式の解の公式を思い出してください。
x=-b±√b2-4ac /2
この解の公式を眺めていると、ルートの前の符号が+と-の2つの解が同時に得られますね。
共役な2つの解が同時に得られるのです。
証明せよと言われない限り、そういう把握で十分です。

上の問題に戻りましょう。
x=1+√2 i が解のとき、それと共役なx=1-√2 i も解です。
したがって、上の方程式の左辺は、
{x-(1+√2i)}{x-(1-√2i)}(x+p)
と因数分解できます。
前半の2つの{ }を展開して1つの( )にまとめてみましょう。
複素数ではない、簡単な式に整理できるんです。
{x-(1+√2i)}{x-(1-√2i)}
=x2-(1+√2i+1-√2i)x+(1+√2i)(1-√2i)
=x2-2x+1-√22i2
=x2-2x+1+2
=x2-2x+3
よって、上の方程式の左辺は、
(x2-2x+3)(x+p)
となります。
展開しましょう。
x3+px2-2x2-2px+3x+3p
xについて降べきの順に整理しましょう。
=x3+(p-2)x2+(-2p+3)x+3p
これがもとの方程式の左辺と等しいのですから、
x3+ax2+bx+6=x3+(p-2)x2+(-2p+3)x+3p
係数を比較して、
a=p-2 ・・・➀
b=-2p+3 ・・・➁
6=3p ・・・➂
という3本の式が得られます。
文字が3種類、式が3本。
連立方程式として解くことができます。
➂より p=2
これを➀に代入して、a=0
➁に代入して、b=-1
他の解も求めなければなりませんが、今回は、もとの式に代入して組立除法で解き直す必要はありません。
もとの方程式の左辺は、途中で p を用いた因数分解をしてありましたので、
(x2-2x+3)(x+p)=0
ということです。
では、解の1つはx=-p、すなわち、x=-2です。
忘れてはいけないのは、最初に見つけた共役な複素数もxの解であること。
よって、この問題の解答は、
a=0、b=-1、他の解x=1-√2i、-2 となります。




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    Posted by セギ at 13:54│Comments(0)算数・数学
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