たまりば

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2020年03月06日

高校英語。比較表現。~も、~しか、などの表現。

高校英語。比較表現。~も、~しか、などの表現。

高校英語の比較表現、さらに続きます。
今回は、ある数量を「~も」「少なくとも~」「せいぜい~」「~しか」などと評価を付け加えて言う場合の表現です。

現実には同じ数量でも、それをどうとらえるかは人によって、あるいは場合によって違ってきます。

例えば、この3月、学校から長文読解プリントの宿題が1題出ている中学生がいます。
私から見たら、何だ1題しかないのか、サイドリーダーを1冊出してもおかしくないのに、と思います。
サイドリーダーなどの副教材が学校に届く前に突然休校になってしまったのでしょう。
休校が決まり、たった1日で先生が急遽作った渾身の宿題。
少ないけれど、貴重な宿題。
しかし、英語が苦手な子にとっては、3ページ分の長文は、膨大な量なのかもしれません。

多いなあ・・・と感じることを責める気持ちはないのです。
ただ、その子は、翻訳アプリを使って設問に答えていて、それには頭を抱えました。
そのプリントには、「わからない単語は辞書を使って、1文1文正確に読んでいこう。要約を書いてみるのも良いし、全文を訳してみるのも良いでしょう」といった注意書きがありました。
・・・辞書を使っていいのなら、翻訳アプリでもいいのではないか?
そのような判断があったのかもしれません。
翻訳アプリだけれど、学校の先生が推奨する全文翻訳をしようとし、ノートに途中まで全訳を書いていました。
学校の先生の言うことに従う気持ちもあるようなのですが、根本が間違っている・・・。

翻訳アプリを使って良いものかどうか?
そうした判断を狂わせる要因は「宿題の量が多い」「この宿題は自分には無理だ」という価値判断なのだと思います。
簡単にこなせる宿題ならば、翻訳機など使わないでしょう。


そう言えば、以前、こちらは小学生でしたが、算数で「平均」を学習した際に学校の先生が電卓の使用を許可したことがあります。
そういう措置になるのも仕方のない面もあります。
合計÷個数=平均 の学習をしたいのです。
「平均」を求める勉強をしているのであって、例えば2桁の数を10個たすといった合計の「たし算」の勉強をしたいわけではありません。
でも、そこが学習の最大のヤマ場になってしまう子のほうが多いのです。
私が個別指導をするときにも、合計を出すまでに1問で10分以上かかることもあります。
何度やり直しても、たし算の答が合わないのです。
だから、学校の「平均」の授業で特例として電卓を使用することは、あり得ることです。
しかし、それを免罪符と思い込んだ子が、塾の計算プリントを電卓で解いてきたことがあり、それには唖然としました。
「平均」の学習とは関係のない、計算練習のためのプリントでした。
その子の答があまりにも正答とかけ離れていて、普通のケアレスミス・計算ミスとは違うので追及したところ、電卓の打ち間違いと告白しました。
「学校で許されているから」
と言い訳するので、事情がわかったのです。

計算ドリルを電卓で解くことは、学校でも許されていないでしょう?
「平均」の学習が終わっても、あれからずっと、計算は全部電卓でやっていたの?
学校や塾で筆算するときに、前より難しくてつらいと感じていませんでしたか?
いつも電卓でやっていたら、自分で筆算する力がどんどん衰えていきますよ?
懇々と説き伏せ、保護者にも連絡したので、算数に電卓を使用することは以後なくなりました。

こちらも、根本にあるのは、本人にとって、計算の宿題は量が多くてつらい、という気持ちだったと思います。
そこに「電卓利用可」という言い訳が入り込み、間違った判断に至ったのでしょう。
週に2ページの計算の宿題は、計算が苦手な子には心の負担なのかもしれません。
計算間違いが多いので、授業中にその解き直しをするから、2ページしか出せない、という気持ちが私にはあるのですが。


同じ数量でも、その人、そのときの主観によって、多かったり、少なかったりする。
私は「2ページしか」と思っていても、その子にとっては「2ページも」になる。

今回は、そういう主観をもとにした数量表現の話です。
はい。
ここから英語の話に戻ります。


例えば、「私は5,000円持っています」。
何の評価も下さないなら、これはそのままです。
I have 5,000 yen.

しかし、これを言う子が、まだ子どもで、月決めのお小遣いをもらったばかりなら、
「私は5,000円も持っている」
と言いたくなるでしょう。

一方、これを言うのが大人で、今日はこれから友達とお茶を飲んでから映画を見て、それから食事をする、となった場合、手持ちのお金が5,000円では心許ないかもしれません。
「私は5,000円しか持っていない」
と言いたくなります。

このように、現実は同じ5,000円でも、その評価は立場や状況によって異なります。
そのように付加される評価をどう表現するか、です。

最も低い評価からいきましょう。
「私は5,000円しか持っていない」
I have no more than 5,000 yen.
=I have only 5,000 yen.

言い換え表現とあわせて覚えておきましょう。
no more than =only です。

「~しか」とまでは言わないけれど、ややマイナス評価なのが、「多くても~、せいぜい~」です。
「私はせいぜいで5,000円持っている」
I have not more than 5,000 yen.
=I have at most 5,000 yen.

次に、ややプラス評価なのが、「少なくとも~」です。
「私は少なくとも5,000円持っている」
I have not less than 5,000 yen.
=I have at least 5,000 yen.

最もプラス評価なのが、「~も」です。
「私は5,000円も持っている」
I have no less than 5,000 yen.
=I have as much as 5,000 yen.

no less than =as much as です。
ただし、much は、数えられない数量に対して使用します。
数えられるものの場合は、as many as となります。

お金は数えられるんじゃないか?と中学生から質問されることがあるのですが、お金は数えてもその価値が伝わりません。
「私は、コインを10枚持っている」
と言っても、それは1円玉が10枚なのか、500円玉が10枚なのかによって、価値が変わってきます。
お金は、枚数を数えるものではないのです。
だから、値段を訊くときは、How much ~?と訊きますよね。
そこまで説明すると、「あー」と気がつき、納得する中学生が大半ですが、しかし、翌週の英作文では、また、
I have many money.
と書いている・・・。
知識の定着は、なかなか難しいです。

さて、上の4つのパターンのうち、言い換え表現のほうを除いて並べると、
no more than ~しか
not more than 多くて~、せいぜい~
not less than 少なくとも~
no less than ~も
となります。

似ているので、覚えにくいですが、これは数直線上にまとめて整理すると理解しやすいです。
数直線を描き、真ん中は、ニュートラル。
価値評価をつけない原点、とします。
左方向がマイナス評価。
右方向がプラス評価。
上の4つの表現、どれも先頭は no か not です。
no と not は、本来使い方の異なる否定語ですが、このように使用する場合は、no のほうが否定の意味が強い、と思ってください。
だから、no から始まるほうは、原点より遠い位置におきます。
not から始まるほうは、それよりも原点に近い位置に置きます。
したがって、
no more than が、最もマイナスの意味が強く、「~しか」という意味。
not more than は、それよりは原点に近く、「多くて~、せいぜい~」という意味。

これまでも何回か出てきましたが、not less と、否定語を2回用いると、肯定の意味になります。
not less than は、原点よりややプラスの位置で、「少なくとも~」という意味になります。
no less than は、それよりも原点より遠い、強いプラス評価の位置で、「~も」という意味になります。

あとは、その下に、その言い換え表現を書き加えていけば、理解しやすいと思います。
日本語でもそうですが、at most 「多くて~」がマイナス評価であること。
at least「少なくとも~」がプラス評価であること。
こうしたことで混乱する人もいます。
よくわからないときは、上の例文のように、「多くて5,000円」「少なくとも5,000円」などと、具体的な数値とセットで考えてみると、理解しやすいと思います。

ただ、そもそも、そのように価値を付加した表現をしたことがないという、言葉の痩せている子もいます。
「超やべー。今日、5,000円」
そういう物言いが日常の子もいるのです。
その「やべー」はプラス評価なのか?
マイナス評価なのか?
なぜ、プラス評価とマイナス評価に同じ単語を用いるのでしょうか。
本人の日本語の語彙が、そもそも痩せているのではないか?

しかし、語彙が痩せているだけであって、感覚が鈍磨しているわけではないのです。
ある数量をプラス評価したりマイナス評価したり、ということ必ずやっているはずです。
英語を学習するのとあわせて、日本語の語彙を豊かにしていきましょう。
日本語訳を見て初めて知った日本語を自分の中に蓄積していくのは有効だと思います。





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