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2020年03月01日

高校数Ⅱ「式と証明」。剰余の定理と因数定理。

高校数Ⅱ「式と証明」。剰余の定理と因数定理。

今回も引き続き「剰余の定理」「因数定理」の学習です。

問題 f(x)=4x3-3x2+ax+b がx2-2x-3 で割り切れるように定数a、bの値を定めよ。

割り切れるということは、
f(x)=(x2-2x-3)(   )
という形に因数分解できるということです。
さらに、最初の( )をさらに因数分解すると、
f(x)=(x-3)(x+1)(  )
という形になります。
これは因数定理が使えますね。

この式に、x=3 を代入すると、
f(3)=(3-3)(3+1)(  )
という形になります。
最初の( )の中は、3-3=0 となります。
0に何をかけても、0ですから、
f(3)=0 となります。
これが因数定理です。

f(3)=0 になりますから、問題で与えられたもとの式に、x=3 を代入しましょう。
f(3)=4・33-3・32+3a+b=0
これを整理して、
108-27+3a+b=0
3a+b=-81 ・・・①

また、同様に、f(-1)=0 でもありますから、
f(-1)=4・(-1)3-3・(-1)2-a+b=0
これを整理して、
-4-3-a+b=0 
-a+b=7 ・・・②

あとは、aとbの連立方程式として解きます。
中学2年で学習した内容です。
①-②
4a=-88
a=-22
これを②に代入して、
22+b=7
b=-15
よって、a=-22、b=-15 となります。


問題 整式 f(x)をx-1でわると-1余り、x-4で割ると5余るという。f(x)を(x-1)(x-4)で割ったときの余りを求めよ。

これは上の問題と異なり、整式 f(x)が何字式なのかわかりません。
だから、(x-1)(x-4)で割った商が何次式であるかもわかりません。
なので g(x)と表します。
fの次だから g で、この文字の使い方にそれ以上の意味はありません。
何でもいいんです。
一方、(x-1)(x-4)という2次式で割っているので、余りは1次式です。
それを ax+b とおきます。
だから、
f(x)=(x-1)(x-4) g(x)+ax+b とおくことができます。

ここで剰余の定理が利用できます。
x-1で割ると余りが-1なのですから、
f(1)=-1です。
すなわち、
f(1)=a+b=-1 ・・・①
同様に、
f(4)=4a+b=5 ・・・②
②-①
3a=6
 a=2
これを①に代入して、
2+b=-1
  b=-3
余りをax+bと表したのでした。
よって、余りは、2x-3 となります。

問題 x9-12 を x2-4 で割ったときの余りを求めよ。
これもg(x)を用いて、
x9-12=(x2-4)g(x)+ax+b と表すことができます。
割る式を因数分解して、
x9-12=(x+2)(x-2)g(x)+ax+b
剰余の定理を用いましょう。
x=-2を代入すると、
(-2)9-12=-2a+b
左辺と右辺を取り換えながら、式を整理すると、
-2a+b=-512-12
-2a+b=-524 ・・・①
また、x=2を代入すると、
29-12=2a+b
2a+b=500 ・・・②
①+②
2b=-24
 b=-12
これを②に代入して、
2a-12=500
    2a=512
     a=256
よって、余りは、256x-12

問題 x6 を(x-1)2 で割ったときの余りを求めよ。
今まで通り、まずはg(x)を用いて式を表してみましょう。
x6=(x-1)2g(x)+ax+b ・・・① とおく。
剰余の定理を用います。
x=1を代入して、
1=a+b ・・・②
さて、ここまでは順調なのですが、割る式が(x-1)2なので、剰余の定理で代入できる値はx=1しかありません。
あれ?
このまま、もう何も動かない?
( ;∀;)

ここで「同じ値を2回代入するぞ方式(仮)」とでも呼ぶべきテクニックを使います。
勿論、同じ式に同じ値を代入しても同じ結果しか得られません。
だから、式自体に変化を与えます。
まずは、②を変形します。
a+b=1
b=1-a
この値を①に代入します。
x6=(x-1)2g(x)+ax+1-a
x6=(x-1)2g(x)+a(x-1)+1
x6-1=(x-1)2g(x)+a(x-1)
・・・お?
右辺は、 x-1 でさらにくくることができそうです。
x6-1=(x-1){(x-1)g(x)+a}
そして、左辺も、x-1という因数を持っているのではないでしょうか?
左辺を因数分解してみましょう。
(x3+1)(x3-1)=(x-1){(x-1)g(x)+a}
(x3+1)(x-1)(x2+x+1)=(x-1){(x-1)g(x)+a}
やはり、左辺にもx-1という因数が存在します。
ならば、両辺からx-1という因数を除いた残りの部分も等しいはずです。
すなわち、
(x3+1)(x2+x+1)=(x-1)g(x)+a
もとの式と似ているようですが、次数が低くなったので、これは別の式です。
だから、x=1を代入した値も別の値が出ます。
これにx=1を代入してみましょう。
(1+1)(1+1+1)=a
よって、a=2・3=6 
です。
これを②に代入して、
b=1-6=-5
よって、余りは、6x-5です。

ほとんど手品のようなこの解き方。
「ないわー」
「そんなの絶対思いつかない」
と、高校生には大不評です。
こういうテクニックがあるということを、まずは覚えてください。
文字を減らし、次数を変えれば、同じ値を代入しても結果は同じではないのです。

とはいえ、実際の模試や入試問題でこの問題がポコッと出題されたときに、このテクニックを使えるかどうかは微妙です。
こんな解き方、覚えられない。
x6を(x-1)2で割った余りを求めるんでしょう?
実際に筆算で割っていけばいいんじゃないの?
はい。
何にも発想できないときには、その解き方、私も賛成です。
何もしないのが一番良くない。
とにかく何かをしてみましょう。
x6をx2-2x+1で筆算しても、結果は勿論、余りが6x-5と出てきます。



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    Posted by セギ at 12:07│Comments(0)算数・数学
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