たまりば

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2019年12月08日

数A「不定方程式」のさまざまな解き方。アクティブラーニング的に。

数A「不定方程式」のさまざまな解き方。アクティブラーニング的に。

今回は、少し戻って、数Aの「不定方程式」について考えてみましょう。
こんな問題です。

問題 130x+31y=1 の整数解を求めよ。

不定方程式は、具体的なxとyの値を1組見つければ、そこから解いていくことができます。
基本の解き方は、このブログの過去ページ、「数A不定方程式」を参照してください。
https://seghi.tamaliver.jp/e461561.html

以降は、不定方程式の基本の解き方は理解していることを前提の説明となります。
基本の考え方を丁寧に説明するわけではありませんので、根本が曖昧な場合は、上の該当ページから順次、不定方程式のページをご覧ください。

さて、この方程式が成立するxとyの値を1組見つけましょう。
簡単なものなら暗算で求めることができますが、上の方程式は係数が大きいので、暗算ではなかなか解にたどりつきません。
こんなとき、どう求めたら良いでしょうか。

ここで最もシンプルな解き方が、互除法を利用する解き方です。
これは、全ての高校で学習する解き方です。

130=31・4+6 より 6=130-31・4
31=6・5+1   より 1=31-6・5

これを利用して、上の方程式と同じ構造の式を1本作っていきます。
1=31-6・5
=31-(130-31・4)・5
=31-130・5+31・20
=130・(-5)+31・21

130・(-5)+31・21=1 という式を得ることができました。

与えられた方程式とこの式の辺々を引きます。

  130x    +31y =1
-)130・(-5)+31・21=1
  130(x+5)+31(y-21)=0

この先は、いつも通りの解き方です。
130(x+5)=-31(y-21) 
130と31は互いに素ですから、x+5は、31の倍数でなければ、この式は成立しません。
x+5=31k(kは整数)
よって、
x=31k-5
y=-130k+21 (kは整数)

繰り返しますが、この答案を読んでいて、「え?なぜ?」と思う方は、基本の解き方が曖昧になっているかもしれません。
該当ページに戻ってご確認ください。


さて、解の値の1組を暗算で求められないときの解き方は、このように互助法を利用するのが一般的ですが、これしか求め方がないわけではありません。
問題の解き方は1つではないのです。
他の解き方を考えたり、他の人の解き方を見て、どうやって求めているのか論理の流れを理解したりするのも面白い勉強です。
回り道な解き方には首を傾げたり。
ハッとするようなスマートな解き方に感動し、自分もその解き方を以後取り入れたり。
アクティブラーニングです。
今回は、この問題の他の解き方の例をいくつか見ていきましょう。


1つには、130という係数をもう少し小さくし、暗算しやすくする方法があります。
もう一度、上の問題を確認しましょう。

問題 130x+31y=1

この130という係数が大き過ぎて、暗算に向きません。
まずは、31に揃えることを考えてみます。
130=31・4+6 ですから、
(31・4+6)x+31y=1
ここでいったん展開し、31でくくります。
31・4x+6x+31y=1
31(4x+y)+6x=1
4x+y を1つの数とみなして、この方程式が成立する整数を考えます。
31と6という係数ならば、その和が1になる数を見つけるのは比較的容易です。
4x+y=1、x=-5 のとき、この方程式は成立します。
そこで、x=-5を、4x+y=1に代入すると、
x=-5、y=21
これで、1組の整数解を見つけることができました。
あとは普通の不定方程式の解き方と同じです。
  130x   +31y=1
-)130・(-5)+31・21=1
  130(x+5)+31(y-21)=0
130(x+5)=-31(y-21)
130と31は互いに素だから、
x=31k-5
y=-130k+21 (kは整数)

先程と同じ解になりました。


最後に、飛び道具的に登場するのが、合同式による解法です。
合同式は発展的内容で、高校によっては学習しないこともあります。
中高一貫校でも、都立自校作成校でも、数Aを最初に学習する段階では、学習しない高校が増えてきました。
しかし、理解できれば悪魔的に物事が簡単になるのが合同式です。
合同式の考え方については、過去ページ
https://seghi.tamaliver.jp/e460234.html
を参考にしてください。

基本の考え方は、ある自然数で割った余りが同じ数同士は合同である、ということ。
これを利用して、上の問題を解きます。

問題 130x+31y=1

ここで、31y≡0 (mod31) です。

31yは、31の倍数です。
つまり、31yを31で割ったら、余りは0です。
だから、他の、余りが0の数と合同です。
それを上のように、31y≡0 (mod31) と書き表します。

これを上の方程式に代入すると、
130x≡1 (mod31) となります。

「はあ?何?何?」となる人が多いかもしれません。
31で割った余りに着目すると、左辺の余りは、31yの部分の余りは0なので、130xを31で割った余りだけを考えれば良いのです。
一方右辺は、1なので、31で割った余りは1です。
よって、
130x≡1 (mod31) となります。

ここで、130xをもう少し整理できないでしょうか?
130xを31で割ってみましょう。
130x=31・4x+6x です。
31・4x は31の倍数で、この部分の余りは0ですから、余りとして着目されるのは6xの部分のみです。
よって、
130x≡6x (mod31) となります。
右辺は変わらず1ですから、
6x≡1 (mod31) です。

ところで、合同式は、
a≡b、のとき、a+c≡b+c、 a-c≡b-c、 ac≡bc (a、b、cは整数)
という性質があることが証明されています。
その証明は、式の変形と代入で証明するタイプのもので、実感を伴うものではありません。
数学が嫌いな子は、その証明を見ても納得も感動もせず、嫌な顔をすることのほうが多いです。

定理の証明がそういうものであるのは、高校数学では本当に多いです。
小学校で学習する、三角形の面積の公式のように、証明がそのまま解き方の意味である、というものではありません。
数学が好きな人は、証明の筋道を確認し、ああ、本当に証明されている、だから使っていいとなると、あっけらかんと使用します。
しかし、数学が嫌いな人は、そういう証明の筋道を追うことが心の負担です。
本当に証明されているのかどうか、読んでいてよくわからないのかもしれません。
証明がよくわからないことに心の負担が増し、定理を丸暗記して使うことにも抵抗があり、その定理を上手く使用できないということがあるようです。

解き方の丸暗記はやめよう、意味を理解しよう、と今まで頑張ってきたけれど、もう意味がわかりません。
疲れました・・・。
今までありがとうございました・・・。
みたいな表情を浮かべる生徒に対し「待て、待て、待て。待ちなさい」と私は必死に声をかけることになります。
大丈夫、ゆっくり見ていけばわかるから。
必ずわかるから。
わかって、納得できれば、そんな証明は忘れていいんだから。
定理を証明しろという問題はテストには出ないから。
こんな定理を自力で証明したのは数学者で、ある意味ちょっとどうかしている人たちだから、気にしなくていいのです。

ここでは証明は省略します。
興味のある方は、検索するか、高校数Aの教科書・参考書をご覧ください。

戻りましょう。
6x≡1
これをxについて解きたいのですが、x≡1/6 というわけにはいきません。
31で割った余りに着目しているのに、分数が出てきたらおかしなことになります。
合同式の性質に、両辺を同じ数で割っても成立する、というものはないのです。
そこで、31で割った余りが見やすいように、いったん5倍します。
余りが見やすくなれば何でもいいのですが、今回は5倍が妥当でしょう。
30x≡5
30=31・1-1 ですから、30≡-1 です。
よって、30x≡-x
すなわち、-x≡5
ここで、両辺に-1をかけて、
x≡-5 (mod31)
つまり、xは、31で割ると5不足する数なのです。
よって、x=31k-5 (kは整数) と表すことができます。

これを問題の不定方程式に代入します。
130x+31y=1 に代入して、
130(31k-5)+31y=1
130・31k-130・5+31y=1
yについて解きます。
31y=-130・31k+650+1
31y=-130・31k+651
y=-130k+21

よって、
x=31k-5
y=-130k+21 (kは整数)
  
解説を加えながら解いていったので、かなり長くなりましたが、この合同式を利用した解き方は、答案としては一番短いのです。
慣れれば、おそろしく簡単に解を求めることができるのが、合同式による解法です。
発展的な内容になればなるほど、答案はシンプル。
数学はかくも美しいのです。




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