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2019年12月31日

高校数Ⅱ「式と証明」。複素数。解と係数の関係。その2。

高校数Ⅱ「式と証明」。複素数。解と係数の関係。その2。

数Ⅱ「複素数」の「解と係数の関係」の続きです。

問題 2次方程式 x2-(a-1)x-2a=0 の解の差の平方が17のとき、aの値を求めよ。

こういうサラッと1行で終わる問題、怖いですね。
何の手がかりもないと感じるので、何をどう解いていいか、わからない。
高校数学、特に模試などで0点を取る人がいるのも、このように何をどうして良いのか全くわからない問題が並んでいるからでしょう。

しかし、中学までは、逆に、問題文が何行もある問題が苦手な人が多かったと思います。
文字を読むことそのものがあまり好きではない人は、ついつい問題文を読み飛ばし、大事な情報を読まないで解いたりして失敗することも多かったのではないでしょうか。
以前、下のような反比例の問題を生徒と解いていたときのことです。

問題 A町からB町まで行くのに、1時間に3km進むと4時間かかります。かかる時間は、1時間に進む道のりに反比例します。
(1) 1時間に進む道のり xkm と、かかる時間 y 時間との関係を式に表しなさい。

問題文に「反比例します」と書いてありますし、比例定数は3×4=12であることも明白です。
文章題としても、これくらいコンパクトな内容ならば、読み通すのも難しくありません。
それなのに、何分経っても考え込んでいて、手が動かない。
まさかと思いながらも、その子のテキストの大問の問題番号の横を指さして、
「ここ、読んだ?」
と訊くと、首を横に振りました。
(1)から読み、その上の問題文を読んでいなかったのでした。

大問のところに書いてある文は、国語の場合などは特に、「以下の文章を読んで後の問いに答えなさい」といった、読んでも読まなくても変わりはないことしか書いてない場合があるのも事実です。
そのため、大問のところの文字は読まない癖がついている子は案外多いようです。
大問の問題番号の付近の文字は読まない。
(1) の後からしか読まない。
そんなことが習慣になっているのです。

「・・・いや、問題番号の横に、A町とかB町とか、3kmとか4時間とか、記号や数字が書いてあるのを目の端に感じたら、それは読みましょう。それは大事な情報ですよ。それを読まなかったら解けないですよ」
そう説明したのですが、問題文を読まない癖というのは、小学校の低学年から長い年月をかけて熟成されてしまった癖なので、1度そんな癖がついてしまったら、以後長くその子の足枷になる可能性があります。

読まないから解けない。
問題文を読めば、解ける。
その当たり前のことに気づいた子から順番に成績が上がっていきます。
読解力があれば、数学はできる。
国語ができれば、数学もできる。

しかし、それも万能ではありません。
勿論、基本的な読解力もない状態では、どの科目も成績が伸びていくのは難しいです。
しかし、国語ができれば、必ず数学もできると言えるか?
それが言えるのは、高校入学までではないでしょうか。
高校数学は、問題文の文字情報が極端に減っていきます。
読解力よりも、純粋に数学力が問われるようになっていきます。
少なくとも、今まではそうでした。
来年度から実施される予定の大学入試共通テストがそれをかき乱すのかどうかは、まだ、今のところよくわかりません。
文章がやたらと長いだけの粗悪な文章題が、純粋に数学が得意な子の進路を阻むことがなければ良いのですが。

「新傾向問題」と称する、数学なのにやたらと文章や図表による説明の長い問題は、急に世に出てきたものではありません。
そんな「新傾向問題」は、戦後の長い教育史の中で、度々現れては効果が疑問視されて潰れてきました。
都立高校入試も、20年ほど前は、そんな「新傾向」の文章題が出題されていたのです。
やたらと長い文章と図や表を読んで、方程式を立てたり、規則性を見抜いたり、確率を求めたりする問題でした。
今も、都立入試の大問2にその気配は少し残っていますが、悪問だった「新傾向」は大きく改訂され、文章は短くなり、質は高くなり、高校数学に確かにつながる数学力を試す良問となっています。

数学の「新傾向問題」は、実施されて数年を経ると、こんな問題では数学力は問えないという批判が沸点に達し、中止になる。
その繰り返しです。
子どもの読解力が心配なのはわかりますが、それは他の科目で問うことができますので、数学でやらなくても良いのです。


そんなこんなで、さて、もう一度上の問題を見直しましょう。
新傾向でも何でもない、従来からの問題です。

問題 2次方程式 x2-(a-1)x-2a=0 の解の差の平方が17のとき、aの値を求めよ。

「解の差の平方」のあたりは多少読解力が問われますが、その他の情報としては、これは2次方程式の問題であるらしい、というだけです。
問題文を読んでも、どう解くのかピンとこない。
そうした問題のほうが、高校数学らしい問題だと感じます。
読解力ではなく純粋に数学力の勝負になってくるのが高校数学といえるかもしれません。

問題集を解いていてこの問題を目にするのならば、ここは「解と係数の関係」のページだから、解と係数の関係を使うのだろうと考えることもできます。
しかし、こういう問題が実力テストや模試に出ている場合、何の単元の何に関する問題で何を利用したらいいかわからない高校生は多いと思います。
その結果、答案を1行も書き出せない・・・。
数学の答案は、1行目の書き出しが一番難しいですから。
発想の原点が書かれているのが1行目なのですから。

2次方程式が与えられて、解がどうのこうのと言われたら、とりあえず「判別式」か「解と係数の関係」が使えるのではないか?
そう発想できるように、頭の引き出しにいつも使える形で定理を入れておく必要があります。
結局、定理がすぐに使える状態で頭に入っているかどうかです。

では、解と係数の関係だろうと判断し、この問題を解いてみましょう。
この2次方程式の2つの解をα、βとします。
解と係数の関係より、
α+β=a-1 ・・・①
αβ=-2a ・・・②
また、「解の差の平方が17」なのですから、
(α-β)2=17 ・・・③
です。
このように、作れる式をまずは作れるだけ作ってみます。
文字が3通り、式が3本作れました。
この連立方程式は、解けますね。

解いてみましょう。
③より、
α2-2αβ+β2=17
(α+β)2-4αβ=17
これに①、②を代入して、
(a-1)2-4・(-2a)=17
a2-2a+1+8a=17
a2+6a-16=0
(a+8)(a-2)=0
a=-8、2
これが解答となります。


問題 2次方程式 4x2-2x+a=0 の解がsinθ、cosθであるとき、定数aの値を求めよ。

さて、三角比が登場しました。
三角比を見ると動揺が走り、ノートに直角三角形を描き出す人もいるかもしれませんが、この問題は、そのような三角比の最初の定義に戻る必要はないのです。
ここでは、単にsinθ、cosθというのはある数値なのだと理解しておけば大丈夫です。
その2つの数値が、与えられた2次方程式の2つの解です。
ところで、今回、x2の係数が4ですので、そこにも注意します。
解と係数の関係は、
2次方程式 ax2+bx+c=0 の2つの解をα、βとすると、
α+β=-b/a 、αβ=c/a です。
x2の係数の a=1 のときは、α+β=-b、αβ=c となりますが、この問題では a=4 であることに注意が必要です。

解と係数の関係より、
sinθ+cosθ=1/2 ・・・①
sinθ・cosθ=a/4 ・・・②
とりあえず、2本の式は立ちました。
ても、これだとわからない値がaを含めて3種類なのに、式は2本。
これでは、解けないですね。
もう1本、式が必要です。
ここで、三角比の相互関係の公式を思い出せれば、この問題は解けます。
sin2θ+cos2θ=1 という式がありました。(2は指数です)

よし、解きましょう。
①を2乗して、
(sinθ+cosθ)2=1/4
sin2θ+2sinθ・cosθ+cos2θ=1/4
sin2θ+cos2θ+2sinθ・cosθ=1/4
三角比の相互関係の公式より、
1+2sinθ・cosθ=1/4
2sinθ・cosθ=-3/4
②を代入して、
2・a/4=-3/4
2a=-3
a=-3/2
これで答えが出ました。

ああ、やはり、純粋に数学的な問題のほうが、良い問題が多いなあ・・・。
読めと言われれば新傾向の文章題でも何でも読みますが、どうせ読むのなら、香り高い文学作品とか、エッジの効いた評論とか、そういうものを読みたいです。
お正月は、そういうものを読んで過ごそうかなあ。
というわけで、皆さまも良いお年を。




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