たまりば

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2019年09月27日

高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その5。とにかく解こうという気持ち。

高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その5。とにかく解こうという気持ち。

さて今回はまずこんな問題から。

問題 a+b=4 のとき、3a2+b2≧12 を証明せよ。

a+b=4 という新しい種類の条件が提示されましたが、この使い方は何となくわかるような気がします。
おそらく、代入して、文字を1種類に整理するのでしょう。
a+b=4 より b=4-a 
これを代入して、
3a2+b2
=3a2+(4-a)2
=3a2+16-8a+a2
=4a2-8a+16
ここで平方完成してみましょう。
=4(a2-2a)+16
=4(a-1)2-4+16
=4(a-1)2+12

右辺と同じ12が出てきましたね。
これで証明できました。
(a-1)2≧0 より 
4(a-1)2+12≧12

等号はa=1のときですね。
ならば、bも決定します。
b=4-a=4-1=3
よって、等号成立は、a=1、b=3のとき。


前にも書きましたが、不等式の証明を学習していて、よく受ける質問に、
「どのやり方で証明するのか、判断がつかない」
というものがあります。
パッと見た瞬間に、この問題はこのやり方、あの問題はあのやり方で証明する、と判断する基準は何なのか?
それを質問する高校生は多いです。

しかし、とにかく試行錯誤してみるのが、力をつけるには一番良いのです。
「どのやりかたを使っていいのかわからないから、イライラする。解くのが苦痛だ」
ではなく、
「どのやりかたを使うのかわからないから、色々試してみる。それが面白い」
だと思うんです。
数学を楽しむ態度とはそういうものではないでしょうか。

正解に至る簡単な見分け方を教えてほしいと思ったり、それがわからないから解けない、とすぐに諦めたり。
そういう傾向は、高校生になって突然現れるものではありません。
小学生のときから、そういう傾向はあります。


例えば、こんな問題。

問題 14/15 : 35/36 を簡単にしなさい。

これは、小学校6年生が学習する「比」の問題です。
教科書で学習する内容よりはやや難しいです。
しかし、「解けない」と諦めてしまうようなレベルの問題ではないと思うのですが、中学受験をしない小学生で、この問題を正答できる子は意外なほど少ないのです。

まず、第一段階として、分母の通分が上手くできない子が多いのです。
小学校では、「連除法」は教えません。

3 ) 15  36
     5  12

3×5×12=180 と、このように最小公倍数を求める方法が連除法です。

現行の教育課程で、学校でこれを学ぶのは、高校1年数A「整数の性質」です。
小学生にこれを教えないのは、この解き方の意味を理解できる小学生が限られているからでしょう。
素因数分解を実感として理解できない状態でこの解き方だけを教えても、それは、単なる解き方の作業手順を教えるだけです。
意味のわからない作業手順の丸暗記を、学校が率先して指導するわけにはいきません。
公倍数とは何なのか。
小学生が最初に学習するときは、その本来の意味を理解することを優先したほうがいい。
意味が明瞭な解き方をしたほうがいい。
というわけで、学校では、15と36の公倍数を求めるときには、それぞれの倍数を書き出していって、共通のものを見つけるやり方を教えるのが普通です。
15、30、45、60、75、90、・・・・
36、72、108、・・・・
というように並べて書いていきます。
これが面倒で、途中で諦めて、分母の15と36を通分できない子が多いです。

上のやり方でもいいけれど、大きい数のほうが、1倍、2倍、3倍、・・・と数がすぐに大きくなっていきますから、書き出していくのは大きい数だけのほうが早いよね、と塾では助言します。
大きい数を1倍、2倍、3倍、・・・していって、その数が小さい数の倍数にもなっているかどうか確認していけば、最小公倍数は早く見つかります。
36、72、108、144、180、・・・
「72は、15の倍数?違うね。108は、15の倍数?これも違うね」
そう声をかけて、つきっきりで面倒を見ると、誰でも、180という最小公倍数を見つけることができます。

しかし、作業自体はそんなに難しいことではないのに、宿題に出したり、独りで演習させると、15と36の最小公倍数を見つけられる子は本当に少ないのです・・・。
180は、36の5倍でしかありません。
たった5個目に答えがあるのに、そこに至る前に諦めてしまう子が大半なのです。
算数・数学ができない理由の第一は、それだと思います。
諦めが早すぎるのです。

では、なぜ、そんなに簡単に諦めるのか?
それは、暗算が苦手なことが第一の原因でしょう。
36を1倍、2倍、3倍、していくことが苦痛なのだと思います。
しかも、その結果が、15の倍数であるかを確かめるのもつらいのでしょう。
いちいち筆算しないとそれができない計算力の子もいます。
36×2=72 を筆算して、それから72÷15を筆算して、という作業をしないと公倍数であるかどうか確かめられない計算力では、15と36の最小公倍数を求めるのは、難行苦行です。
頭の中でかけ算・わり算することが容易であれば、この問題は諦める必要なく解いていけるのです。

しかも、この問題が解きにくい原因は、これだけではありません。

14/15 : 35/36=168/180 : 175/180=168 : 175 

ここまで解いたとしても、これをさらに簡単にすることができない子が多いのです。
ここから、さらに、同じ数で割って比を簡単にするのですが、その数、つまり168と175の公約数を見つけることができないのです。
暗算力のある子は、この2つの数を眺め、頭の中でちょっと暗算しているうちに、「あ、7で割れる」と気がつきます。
しかし、そうした作業が苦痛で、強要されない限りそんなことは絶対にしない子たちは、7を見つけることができません。

この問題の公約数は7という1桁の数なので、実はまだ見つけやすいのですが、17や19などのときは、もっと苦労することになります。
しかし、このような場合にも、公約数を発見する方法はあります。
168と175と、どちらからアプローチしても良いのですが、175からやってみたほうが簡単そうです。
175を割ることのできる数を考えます。
つまり、素因数分解するのです。
すぐに思いつくのは、5です。
175÷5=35
35は、さらに5で割れます。
35÷5=7
つまり、175=5×5×7 です。
これは、175は、5や7で割り切れる、という意味でもあります。
一方、168という数の中には、5という要素(因数)は絶対ないと見た目でわかります。
だとすれば、168を割れる可能性のある数は、7です。
試してみると、確かに割ることができる。
そういう作業をすれば、共通に割ることのできる数、すなわち公約数を発見することができます。

このやり方も、小学校では学習しません。
教科書にある公約数の見つけ方は、それぞれの約数を全て書き出し、共通のものを見つけるやり方です。
1、2、3、4、7、8、12、14、21、24、42、56、84、168
1、5、7、25、35、175
全部書き出すと、最大公約数は、7だとわかります。
この解き方でしか公約数が見つけられない子は案外多いのです。
そして、この解き方の作業時間が長くとても面倒くさいので、公約数を見つけることをすぐに諦めてしまうのだと思います。
教わったやり方から一歩も外れることができないのは、なぜそれで解けるのか、本質を理解していないからでしょう。
学校で教わったものより少しだけ高度な解き方の意味を理解することができず、あるいは、理解できたとしても、自分で問題を解くときに活用することはできないのです。

14/15 : 35/36=168/180 : 175/180=168 : 175=24:25
これが正解です。

この問題が解けない子たちに欠けている力は何なのか?
1つには計算力。
特に、整数が他の整数の積の形に見えているかどうか、です。
175=5×5×7 という形に見ることができるかどうか。
こうしたことは、小学校で教える内容ではありませんが、教わらなくても理解している子もいるのです。
175が、5で割り切れるなら、175÷5の商である35でも、175は割り切れる。
35で割り切れるということは、35=5×7だから、175は、7でも割り切れる。
そういう、かけ算とわり算の関係を理解していると言い換えても良いです。
それは、「わり算の検算」という学習で小学校でも一応触れているのですが、その内容の重要性に気づかず、頭の隅にも残さない子も多いです。
しかし、算数が本当に得意な子たちは、理解しています。
かけ算・わり算を沢山やっていく中で自然に獲得している知があるのです。
数の体系を、数理の根本を、教わらなくても理解している子たちが、算数・数学で高い能力を発揮します。
一方、計算のやり方などの実務的な学習事項に目を奪われ、論理的なことの重要性に気づかず聞き流す子たちも多いのが現状です。

また、1つには、理解力と応用力。
小学校の教え方は、最大多数の子が理解できるようにと考えられた教え方です。
だから、公倍数の求め方も、公約数の求め方も、とにかく地道です。
最初はそれで良いのですが、本質を理解したら、もっと早く求める方法があります。
それを活用できない子が多いのです。
塾で教えても、そのときは理解した顔をしますが、自分のものにできない子が多いです。
家庭でご両親が教える場合も、数学が得意な人が教えるほど、むしろ子どもが全くついてこられず喧嘩になってしまうということは多くあると思います。
私も、その子の理解力次第で連除法も教えるつもりでいるのですが、ちょっと無理だなと判断する場合が多いです。
せめて、大きいほうの数を1倍、2倍、3倍して、早く最小公倍数を見つけることくらいは身につけてほしいと思っても、結局いつも小さいほうの数を1倍、2倍、3倍し始めて、いつまでも数が大きくならず、なかなか公倍数に至らず、諦めてしまう子が多いのです。
なぜ、小さいほうの数を1倍、2倍、3倍するのか?
おそらく、問題に最初に書いてあるのは、小さいほうの数だからでしょう。
あるいは、片方の数だけ1倍、2倍、3倍していけば良いということをすぐに忘れ、学校の解き方に戻ってしまうので、まず小さいほうの数の倍数を書き出しているのでしょう。
算数の問題を解く作業が、学校で教わったことを教わった通りに機械的に再現するだけになっていて、考えて作業をする気配がない・・・。
学力そのものが低いわけではないのに、そのようになってしまっている小学生が多いです。

もう1つは、粘り強さ。
学校で教わった地道な解き方だって、いつか答えは出るのです。
何かやっていけば必ず答えが出せる問題で、なぜ諦めるのか?
なぜ、36の5倍すらやってみようとしないのか。
なぜ、その前で諦めるのか?
180がみつからなかったとして、いっそ36の10倍の360ではどうかと考えてみることも、なぜしないのか?
後で整理すれば良いのだから、それでも良いのです。
そういう、ダメでもいいからやってみる強い気持ちに欠け、諦めてしまうのです。


14/15 : 35/36 を簡単にしなさい。

さすがに高校生になれば、この程度の問題で諦めてしまうことはないと思います。
それは、高校生の学力で小学生の問題を見ているからです。
しかし、その関係は、そっくり、高校生の問題にスライドできるのではないでしょうか。
高校数学の問題の解き方がわからないとすぐに諦めている高校生は、比を簡単にする問題を諦めている小学生と同じように見える、という視点も存在するのではないでしょうか。
そして、解けない原因も、共通するものが多いのではないでしょうか。
1つには、計算力。
高校数学の問題をあれこれ試行錯誤するためには、自在に計算する力が必要です。
計算自体が億劫なので、試しに計算してみることができない、ということはないでしょうか。
また1つには、理解力と応用力。
問題の目先が変わると解き方がわからないのは、基本問題の意味を本当はわかっていなくて、解き方の作業手順を丸暗記しているだけだからではないでしょうか。
理解することをおろそかにし、作業手順の丸暗記で済ませてはいないでしょうか。
そして、もう1つ大切なのは、粘り強さ。
あと一歩粘れば解ける問題を、途中で諦めてはいないでしょうか。
わからない。
簡単に解き方のわかる方法を知りたい。
と思う前に、あと一歩、粘るだけで実は答えは出るのではないでしょうか。

色々考えるのが数学の楽しさです。
粘って、何時間も考えるから、数学は面白いのです。


さて、次の問題。

問題 a>1、b>1、a+b=1 のとき、不等式 ax2+by2≧(ax+by)2 を証明せよ。

まずは、これも代入して、左辺-右辺≧0を証明することを考えてみましょう。
a+b=1 より b=1-a
左辺-右辺 
=ax2+by2-(ax+by)2
=ax2+(1-a)y2-{ax+(1-a)y}2
=ax2+y2-ay2-a2x2-2axy(1-a)-y2(1-a)2
=ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2(1-2a+a2)
=ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2+2ay2-a2y2

うわあ・・・・。
この先、やりようがあるのかもしれませんが、ちょっと迂回したくなってきました。
これは、1回戻って考え直したほうが良さそうです。
バラバラにしたのが良くなかったのかもしれません。
代入前に戻って整理してみます。
中学の数学の、文字式の値を求める問題も、まず整理してから代入するのが鉄則でしたものね。
x について降べきの順に整理してみましょう。

ax2+by2-(ax+by)2
=ax2+by2-(a2x2+2axby+b2y2)
=ax2+by2-a2x2-2axby-b2y2
=(a-a2)x2-2abxy+(b-b2)y2
=a(1-a)x2-2abxy+b(1-b)y2

あ、これは対称式です。
対称式というのは、文字を入れ替えても値の変わらない式のことです。
ここで、あっとひらめくのです。
a+b=1より、1-a=bですし、1-b=aです。
この両方をそれぞれに代入してはどうでしょうか。

=a(1-a)x2-2abxy+b(1-b)y2
=abx2-2abxy+aby2
=ab(x2-2xy+y2)
=ab(x-y)2≧0
よって、ax2+bx2≧(ax+by)2
等号成立は、x-y=0、すなわちx=yのとき。

・・・そんなやり方、思いつかないよ。
最初はそういう感想で当然だと思います。
こんなのは自力で発想できなくても良いのです。
ただ、このテクニックは、頭の引き出しに入れておきましょう。
そして、類題を解くときに使えるようにしておくのです。
テクニックを頭の引き出しに入れておくことは、作業手順の丸暗記とは違うのです。






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