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2019年09月15日

高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その3。いろいろな問題。

高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その3。いろいろな問題。

さて、今回は、不等式の証明に関する少し難しい問題をいくつか解いてみましょう。

問題 不等式 x2-6xy+10y2≧4y-4 を証明せよ。

x と y と文字が2つあり、両方とも2次で、しかも、xy の項もあるので、文字ごとに別々に平方完成することはできない問題です。
さて、どのように解くか?
これは、まず x を優先し、xを含んでいる項で平方完成してしまいましょう。
いえ、y を優先しても別に構いません。
とにかく、どちらかの文字をまず優先するという考え方で処理していきます。

左辺-右辺
=x2-6xy+10y2-4y+4
x2 と-6xyを優先して平方完成します。
=(x2-6xy+9y2)+y2-4y+4
=(x-3y)2+y2-4y+4
後半の3つの項も平方完成できますね。
=(x-3y)2+(y-2)2≧0
よって、
x2-6xy+10y2≧4y-4
等号成立は、x-3y=0 かつ y-2=0
すなわち、x=6、y=2のとき。


問題 不等式 (a2+b2)(x2+y2)≧(ax+by)2 を証明せよ。

文字が4種類もあるわりに、これは単純に解いていけそうな予感がします。
左辺-右辺
=(a2+b2)(x2+y2)-(ax+by)2
=a2x2+a2y2+b2x2+b2y2-a2x2-2abxy-b2y2
=a2y2+b2x2-2abxy
=a2y2-2abxy+b2x2
=(ay-bx)2≧0
よって、
(a2+b2)(x2+y2)≧(ax+by)2
等号成立は、ay-bx=0 すなわち、ay=bx のとき。

同様に、
(a2+b2+c2)(x2+y2+z2)≧(ax+by+cz)2
も証明可能です。
これらは、コーシー・シュワルツの不等式と呼ばれているものです。


問題 x>0のとき、x+16/(x+2)の最小値を求めよ。

急に最小値と言われても、2次関数ではなさそうなのに、どういうことだろう?
このように問題の目先が変わると、何をどうして良いか全くわからなくなる人もいると思います。
「どういうふうに考えるんですか?」
と相談されることが多いのです。
分子と分母にxがある場合、相加平均・相乗平均が使える可能性があるよね?と問いかけると、
「だから、そういうことをどう発想するんですか?」
と問われます。

最小値・最大値という文字を見たら、まず2次関数かな?と考える。
そうでなかったら、あれ?では不等式かな?と発想する。
何もないところからいきなりその発想をもてないということは理解できます。
ならば、発想のストックを自分の中にもっておくことをお薦めします。

では、不等式をどう使うのでしょう?
最小値というのは、とりうる値の中で最小の数。
x+16/(x+2) はいくつ以上なのだろうと考えると、あ、これは不等式なんだなと気づくと思います。

後半の分母が x+2 なので、前半も x+2 にしてみます。
それなら、相加平均・相乗平均の定理が使えるでしょう。

相加平均・相乗平均の関係より、
x+2+16/(x+2)≧2√(x+2)・16/(x+2)
右辺の√ は、式の最後までかかります。
x+2+16/(x+2)≧2√16
x+2+16/(x+2)≧8
x+16/(x+2)≧6
よって最小値は6とわかりました。
ところで、このときのxはいくつでしょう。
それも求めましょう。
相加平均・相乗平均の関係より、
等号成立は、x+2=16/(x+2) のとき。
よって、
(x+2)2=16
x+2=±4
x=-2±4
x=-6、2
x>0より 
x=2
よって、
x=2のとき最小値6

これが最終解答となります。


問題 x>0、y>0 のとき、(3x+2y)(3/x+2/y) の最小値を求めよ。

これも、相加平均・相乗平均を利用するんだろうなあと、一度上のような問題を解くと、発想のヒントが見えてくると思います。
問題を解く経験を積む。
発想の源は、経験であることが多いのです。

とりあえず、与式を展開してみましょう。
(3x+2y)(3/x+2/y)
=9+6x/y+6y/x+4
=13+6x/y+6y/x
ここで、相加平均・相乗平均の関係より、
x/y+y/x≧2√x/y・y/x
x/y+y/x≧2
よって、
13+6x/y+6y/x≧13+6・2
13+6x/y+6y/x≧25
等号成立は、x/y=y/x のとき。
x>0、y>0 より
x2=y2 すなわちx=yのとき。
よって、
x=yのとき、最小値25

これが最終解答です。
相加平均・相乗平均を利用したときの等号成立のところが何だか飛躍しているようでよくわからない人いるでしうか。
これは、相加平均・相乗平均の定理を使っているだけなのです。
a+b≧2√ab
等号成立は、a=bのとき。
この定理を利用して、等号成立のときを判断しているだけです。
その都度計算しているわけではないのです。
前に学習したことをスルッと使われて解説されると、よくわからない・・・。
そういうことは、直前で学習したことでもすぐに起こります。
モヤモヤしたら、定理に戻って確認しましょう。

また、すぐ上の問題では、
x/y=y/x のとき、
x>0、y>0 より
x2=y2 すなわちx=y
というところがわからない、という人もいるかと思います。
両辺が分数の式のとき、互いの分母×分子は等しいということを知らない人は高校生になっても多いです。
三角比の正弦定理の式も、それを用いて整理すれば簡単になります。

a/b=c/d のとき、ad=bc
分数の基本に戻って考えましょう。
通分・約分するときの基本の考え方ですが、分母・分子に同じ数をかけても、分数全体の大きさは変わりません。
だから、a/b=ak/bk は常に成立しています。
この式の、左辺の分子×右辺の分子は、abk。
右辺の分子×左辺の分子も、abk。
よって、両辺が分数の式は、たすきにかけたような形に簡単に整理できるのです。
それで上の x/y=y/x も、x2=y2 と変形できるのです。


それで思い出したのですが、最近、別の塾で「比」を学習した小学生が、こんな解き方をしました。
2/15 : 1/5=15 : 10=3 : 2

・・・うん?
何をしたの?
「x攻撃すると、簡単なんだよ」
と、その子は、知らないなら教えてあげるというような、謎の上から目線で教えてくれました。
しかし、この問題の正解は、2 : 3 です。
その子は、左の項の分母と右の項の分子をかけて、15×1=15。
左の項の分子と右の項の分母をかけて、2×5=10。
だから、15 : 10=3 : 2 としてしまったのでした。
それは、逆です。
そういうやり方をするのなら、左の項の分子と右の項の分母の積が先、左の項の分母と右の項の分子の積が後。
比は、順番が大切。
逆に書いたら、それは誤答。
「xにかける」のは一見簡単そうですが、どちらを先に書くのか曖昧になったら、そのやり方は失敗します。

2/15 : 1/5=2/15 : 3/15=2 : 3
という普通の解き方でなぜいけないのか?
この解き方のほうが、どういう解き方をしているのか、その意味も明確で、間違える可能性も少なく、解く手間も上の解き方と同じです。

ところが、小学生は、このような「x攻撃~」的な解き方が好きです。
その解き方は間違える可能性が高いから普通に通分しなさいと助言したのですが、「嫌だ」の一言で却下されました。
比なんて、どんなに気をつけても順番を逆に書いてしまうことが多い単元。
それにさらにこんな不確定要素が加わったら、この先、まともに正解が出る気がしません・・・。
この先の受験算数は、ほとんど全て比を使います。
「速さと比」「割合と比」「面積と比」「つるかめ算と比」「平均と比」と、比ばかりなのに・・・。
算数が苦手な子には理解しづらいところで、ただでも大変なのに、x攻撃をやめさせるという余計な負担が1つ増えました。
ただ今、その方向に向けて努力中です。

x攻撃。
この解き方を教える際に、ただし順番には注意することという指示があったのかもしれません。
しかし、「順番に注意」といった細則はすぐに頭から抜け落ちていくのが子どもです。
算数が苦手な子どもたちのために、楽しい解き方を教えてやろう。
それは善意から出たものでしょうが、その子は、分数比を簡単な整数の比に直す作業の正答率は常に五分五分のリスクを一生かかえる可能性があります。
この解き方は、リスクが高いです。

それと混同されやすく、誤解される可能性がありますが、両辺が分数の式を分母と分子の積の形に直すのは、どっちが先でも後でも、必ず等式が成立します。
一見、上のx攻撃と似ていますが、誤用のリスクはありません。
誤用のリスクのある解き方は、算数・数学が苦手な子に教えないほうがいい。
意味がわかる基本の解き方を丁寧に実践することのほうが、結局、子どものためになる。
これは不文律とすべきだと、改めて感じました。




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