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2019年09月08日

高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その2。相加平均と相乗平均。

高校数Ⅱ「式と証明」。不等式の証明その2。相加平均と相乗平均。

今回は、相加平均と相乗平均の話です。
言葉がまず少し難しい印象ですね。
相加平均は、小学生の頃からお馴染みのいわゆる「平均」です。
加は、加法の加。
つまり、たし算の平均が相加平均。
n個の数の和をnで割ったものです。
一方、相乗平均は、n個の数の積のn乗根となります。
乗は、乗法の乗。
つまり、かけ算の平均が相乗平均です。
ただ、まだ「指数関数・対数関数」の単元を学習していませんので、この「n乗根」というのが厄介です。
今回の学習内容では、そこまで話を拡大する必要がありませんので、2つの数の積の平方根に限って話を進めましょう。


2つの数に限定して説明すると、
相加平均は、2数aとbとの和を2で割ったもの。つまり(a+b)/2。
相乗平均は、2数aとbの積の平方根。つまり、√ab です。

a≧0、b≧0のとき
(a+b)/2≧√ab
等号はa=bのとき成り立つ。

これが、相加平均≧相乗平均の定理です。
証明もそんなに難しくありません。
左辺-右辺をやってみましょう。
左辺-右辺≧0 となれば、左辺≧右辺 を証明できますね。

(a+b)/2-√ab
これをまず通分します。
=(a+b-2√ab)/2
中3で学習した因数分解の公式が使えそうです。
=(√a2+√b2-2√ab)/2
=(√a-√b)2/2≧0
よって左辺≧右辺となり、(a+b)/2≧√ab です。
等号は√a-√b=0、すなわち a=b のとき成り立つ。

相加平均≧相乗平均 の定理は、分数のままだと使いにくいので、両辺を2倍して、
a+b≧2√ab
の形で利用することが多いです。
では、実際に利用してみましょう。

問題 a≧0、b≧0とする。
(a+1/a)(b+1/b)≧4 を証明せよ。

左辺の( )内がそれぞれ和の形になっています。
文字の並びからして相乗平均したら右辺のように文字が消えて数字だけが残りそうです。
これは、相加平均≧相乗平均 の定理が使えるでしょう。

相加平均≧相乗平均 より
a+1/a≧2√a・1/a
a+1/a≧2 ・・・①
同様に、
b+1/b≧2 ・・・②
①×②をすると
(a+1/a)(b+1/b)≧4
等号はa=1/a かつ b=1/b すなわち、a=b=1のとき成り立つ。

見た目は似ているようでも、全ての問題で相加平均≧相乗平均を使うわけではありません。

問題 a≧0、b≧0のとき、√2(a+b)≧√a+√b を証明せよ。

左辺全体に√ がかかっているものとして読んでください。

これも、相加平均≧相乗平均 を使うのだろうかと悩む高校生がときどきいますが、試しに使ってみると、すぐに式がグチャグチャになってきて行き詰まることがわかると思います。
相加はあっても相乗がなさそうな式には、この定理は使えないのです。

とはいえ、それが見抜けないと言う人もいます。
そういう人は、あれこれ悩む前に、可能性を感じるのならやってみたら良いと思います。
手は動かさないのに、「どんなときに使うの?どうやって見分けるの?」と質問する高校生は多いのですが、手を動かし、試行錯誤すれば、見分けがつくようになります。
そうなる前に説明だけ聞いて見分けようとしても、その説明が長くしかも細かくて何を言っているのかわからないということが起こりがちです。
しかも、見分け方だけ聞くとなぜか安心するようなのが、見ていて恐ろしい。
見分け方だけ聞いても、実際にそれで見分けられるようには、なかなかならないです。
選択肢の1つとして、常に相加平均・相乗平均のことを頭においてください。
そのほうが良いです。

さて、相加平均・相乗平均の定理を使わないのなら、どうやって解くのか?
上の式はa≧0、b≧0ですので、左辺も右辺も正の数であることがわかっています。
ならば、それぞれ2乗しても大小関係は変わりません。
だから、それぞれ2乗してみましょう。
√2(a+b)と√a+√bの2乗の差は、
2(a+b)-(√a+√b)2
=2(a+b)-(a+2√ab+b)
=2a+2b-a-2√ab-b
=a-2√ab+b
=(√a-√b)2≧0
よって√2(a+b)≧√a+√b
等号は√a-√b=0 すなわちa=b のとき成り立つ。

今までのところを整理しますと、不等式を証明するには、左辺-右辺≧0 を示すのが基本ですが、そのためには、
①平方完成する
②相加平均≧相乗平均 を利用する
③全体を2乗する
などのテクニックがあります。
これらのうちのどのテクニックを使うかは、その問題ごとに自分で判断します。
判断がつかないうちは試行錯誤してみましょう。
数学の問題を解いていて一番楽しい時間は、この試行錯誤の時間だと思うのです。
一番意味のある時間でもあると思います。



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