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2019年05月10日

高校英語。助動詞その1。基本の助動詞。

高校英語。助動詞その1。基本の助動詞。

今回は、助動詞の学習です。
助動詞というと、まずは基本の助動詞の意味を覚えきれていないためのミスが多く出るところです。
基本助動詞とは、can , may , should , must の4つです。
この4つの助動詞の訳し方を1種類しか知らない、あるいは1種類しか覚えていないために、助動詞の問題を正答できなくなっている場合があります。
自分の知らない用法が文法テキストの問題に載っているので何かモヤモヤするものの、何となく見過ごしてテストを受けてしまう・・・。
英語が苦手な人は、そんな人が多いのではないでしょうか。
中学で初めてその助動詞が出てきた段階で知識が固定され、その先に進んでいないようなのです。

すなわち、
can は「~できる」
may は「~してもよい」
should は「~するべきだ」
must は「~しなければならない」

その意味しか知らないし、それ以上は覚えられない・・・。

こうしたことを避けるために、まずはその助動詞が持つ根本のニュアンスを理解しましょう。

can のイメージは、「可能性」。
その気があれば実行できる可能性がある。
状況次第で起こる可能性がある。
そういう可能性を意味するのが、この助動詞です。
よって、訳し方は、
「~できる」
「~してもよい」
「~でありうる」

may のイメージは、「容認」。
そうしてもしなくても構わないという容認。
そうであってもなくてもおかしくないと思う容認。
よって、訳し方は、
「~してもよい」
「~かもしれない」

should のイメージは、「正当性」。
そうであるのが当然だという正当性。
それが正しいことだという正当性。
よって、訳し方は、
「~すべきだ」
「~のはずだ」

must のイメージは、「必然性」。
そうでないとおかしいという必然性。
そうに決まっているという必然性。
よって、訳し方は、
「~しなければならない」
「~に違いない」

このイメージの中で、訳し方は2系列があるとわかると、基本助動詞の意味はさらに把握しやすくなると思います。
つまり、「許可・義務」系の流れと、「推量」系の流れです。

「許可・義務」系の流れだけまとめると、
can は、「~できる・~してもよい」
may は、「~してもよい」
shouldは、「~すべきだ」
must は、「~しなければならない」

「推量」系の流れだけまとめると、
can は、「~でありうる」
may は、「~かもしれない」
should は、「~のはずだ」
must は、「~に違いない」

こうしてまとめると、それぞれの助動詞の意味が見えてくると思います。
中学英語の知識で止まっている人は、上の「許可・義務」系の意味しか把握していないことが多いのです。
下の「推量」系の意味もそれぞれの助動詞がもっているのだと認識すると、理解の幅が広がります。
当然ですが、高校の定期テストや大学入試に多く出題されるのは、「推量」系の意味のほうです。
テストに出るとわかっているところをみすみす見逃してしまう状況が、助動詞という単元でも起こりやすいのです。

なぜ英語が苦手な人は、そういうことを見逃してしまうのでしょうか。
どうやら、1つの単語には1つの意味しかない、という思い込みが原因のようです。
それは、1つの日本語の単語には1つの英単語が必ず1対1で対応しているはずだという思い込みでもあります。
だから、1つの英単語がいくつも意味を持っていることが理解できない。
許せない。
覚えない。
そういう狭量な学習姿勢になってしまうことがあるようです。

とにかく英語が嫌いで、英語を勉強しない口実を探したい。
英語に難癖をつけたい。
そういう意識が根底にあると、そうなってしまうのかもしれません。

英語と日本語は2000年以上もの間、全く関係ない離れた土地でそれぞれ発達した言語です。
文法も語法も異なります。
単語の意味が1対1の対応であるはずがないのです。
世界の全ての言語は日本語と同じ構造であるべきなのに、英語はそうじゃないから許せない。
嫌いだ。
そうした主観的な思い込みを捨てましょう。

意識を変えましょう。
英語の嫌なところを探している間は、得意にはなれないです。
英語ができるようになりたいのなら、英語の嫌なところを探して難癖をつけることを自分に禁じましょう。


助動詞は、これだけでは終わらず、覚えることがもっと沢山あります。
でも、まずは基本助動詞4つの2系統の意味を把握するのが基本です。


個々の助動詞の訳し方を覚えられない、という人がいます。
その日本語の意味をあまり正確に理解できないというのです。
「~しなければならない」と「~すべきだ」は、どちらが強制力が強いのか、わからない・・・。
「~のはずだ」とか「~に違いない」とか、意味の違いがよくわからない・・・。

そういうときは、意味の強弱で把握すると理解しやすいと思います。
「許可・義務」系の意味では、should と must の間に had better という熟語の助動詞があります。
must > had better > should
という意味の強さの順を知っておくと目安となるでしょう。
must は強い義務を表します。強制・命令的な意味があります。
had better は、忠告を表しますが、命令的な感じを与える忠告です。「~したほうがいい」という訳が与えられているため、弱い印象がありますが、意味はかなり強く、目上の人に使うべきではないとされています。
should は、当然そうするべきだという意味を表しますが、「正当性」というのは主観的なものなので、強制力はそれほどありません。

20年くらい前からでしょうか、今もよくあるのですが、日本の英語教育は間違っている、現代英語はそんなふうではないといった内容の本が出版されるようになりました。
「間違いだらけの学校英語」という内容の本です。
同じ頃、日本にALTのネイティブ講師が、それまでと比べて急激に増え、日本の英語教育を多くの英語ネイティブの人が目撃するようにもなりました。
そこで注目されたのが、had better と should の日本語訳は、現実の英語と逆なのではないかということでした。
「~したほうがいい」と「~すべきだ」では、「~すべきだ」のほうが意味が強いが、英語では、had better のほうが意味が強い。
日本の英語教育は間違っている、というのです。

それを受けて、had better は「~すべきだ」、should は「~したほうがいい」と訳している文法テキストや、両方を併記しているテキストも一時期あったのですが、そうしない参考書や問題集も多くありました。
大学の入試問題、特に過去問は、「~すべきだ」は should なのですから、そこをいじると受験生が混乱します。
また、別の機会に書く予定ですが、「~すべきだったのに」という表現は、やはり should を用います。
結局、無駄に混乱するだけなので、had better は「~したほうがいい」、 should は「~すべきだ」という訳のまま、しかし、had better のほうが意味は強いということを教えるという形で今は安定しています。

日本の英語教育は、勿論、今も間違っているところがあるかもしれませんが、ネイティブの助言を受け入れて進化しています。
ガラパゴス化したまま変な英語教育をしているわけではありせん。
指摘されたことの妥当性を確認するのに多少時間がかかるというだけのことです。
日本の英語教育は間違いだらけだ、といった内容の本にかぶれて、学校の英語の授業を軽視し勉強するのをやめるのは、リスクだけを自分が負うことになります。
本を売るために先鋭的な口調で日本の英語教育を攻撃している本もあります。
その本に書いてあることが本当に正しい保証はありません。
気をつけて。

明治時代の英語教育では、
To be or not to be. That is the question.
を、「あります。ありません。あれが質問です」と訳したという逸話があります。
ハムレットは何に悩んでいるのか、これでは全くわからない・・・。
その時代から考えれば、英語教育は進歩しました。
ラジオ講座は、ネイティブ講師が日本語で授業をしてくれるものが増えました。
映画を見れば、生きた英語がそこにあります。
日本の英語教育はそんなに大きくズレているわけではありません。
ズレたままでいられる世の中ではありません。
安心して、学校英語を学びましょう。





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