たまりば

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2019年05月15日

数A「整数の性質」n進法。

数A「整数の性質」n進法。

数A最後の学習内容は、「n進法」です。

n進法は、中学受験の受験算数でも出題されることがあります。
容易に理解できる小学生もいれば、高校生でも全く理解できない子もいる単元です。

理解できない子は、10進法の仕組みの根本を理解できていない可能性があります。
10進法の仕組みは、子どもの頃から慣れ親しみ過ぎて自明の理のようになっていて、むしろ意識しにくいということはあります。
しかし、n進法を学ぶことで10進法の仕組みが逆に照射され、それが絶対のものではないことに気づかされます。
そのとき、頭の中が一瞬揺れるような快感があるはずなんです。

数が10集まったら上の桁に上げることは、絶対のことではない。
他の可能性もあるのだ。

n進法を学ぶ最大の意義は、これに気づくことではないでしょうか。

当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではない。
そういうルールを皆で守っているだけで、自明の理のわけではない。

そのことに気づくもう1つの単元というと、これも受験算数で出題される「約束記号」があります。
しかし、こちらも、理解できない子は、見ていて不可解なほどに理解できません。

まず、そちらから見ていきましょう。
なぜn進法の理解が進まないか、原因をさぐる一助になると思います。

問題 A◎B=A+A×B-B とする。3◎19を計算しなさい。

何も難しくないはずなんです。
問題に書いてある通りに代入して、
3+3×19-19=41
と解答するだけです。

ところが、この問題、理解できない子は全く理解できません。
小学生だけではありません。
中学生でも、高校生でも、この種の問題には全く対応できない子がいます。
「問題が何を言っているのか、わからない」
異口同音にそう言います。

この問題のときだけ、◎に計算記号の意味をもたせる。
そのことが理解できないようです。
そんなことをしていいはずがない。
あり得ない。
だから、全く理解できない。
そういうことなのだろうかと想像するのですが、想像の域を出ません。
本人が、明確に言葉にして表現することがないからです。

このことが理解できない子は、大抵うろたえています。
どこがわからないのか問い返しても、絶句している場合が大半です。
解き方や正解を教えても、動揺は消えません。
説明の仕方を変えても、類題を解いても、動揺したまま、理解が進みません。

「割合」がわからないとか、「速さ」がわからないという場合は、何がどうわかりにくいのか、教える側が推測できる余地があるのですが、約束記号がわからない場合は、違う種類の断絶がそこにある気がします。
大袈裟に言ってしまえば、世界観が違うのかもしれないというほどの断絶がそこにあります。

+、-、×、÷なんて計算記号は、単なる記号で、絶対のものではありません。
そう決めて、その通りに使っているだけです。
世界中でそうしているので、その記号を使えば便利だから今後も使い続けるでしょうが、絶対のものではありません。
だから、今だけ◎に計算記号の意味あいをもたせても何も悪くありません。
勿論、それはその問題だけの約束で、一般には通用しません。

小学生でも一瞬でそうしたことがわかり、パッと顔の輝く子がいます。
当たり前だと思っていたことは、何1つ当たり前ではない。
頭の中がグラッと揺れる快感がそこにあります。
数学を学ぶ快感の1つだと思います。


n進法も、そのような単元です。
小学生でも理解できる一方、高校生でも理解できない子がいます。
思い込みにしばられると理解しにくいようです。

2進法を例にとって考えてみましょう。
便宜上10進法と同じ数字を使いますが、本当は全く別の文字や記号を使っても良いのです。
受験算数では、むしろ数字を使わない2進法の問題のほうが多く出題されるくらいです。

10進法と同じ数字を使って2進法で数を表す場合、使える数字は、0と1の2種類だけです。
これで全ての数量を表します。
10進法の1にあたる数は、2進法でも、1です。
10進法の2にあたる数は、2進法では10と表します。
10進法の3にあたる数は、2進法では11です。
10進法の4にあたる数は、2進法では100です。
10進法の5にあたる数は、2進法では101です。
10進法の6にあたる数は、2進法では110です。
10進法の7にあたる数は、2進法では、111です。
10進法の8にあたる数は、2進法では、1000です。
それぞれの桁で2つ数がたまると、上の桁に上げていくということです。

それは、10進法で、それぞれの桁で数が10個たまると上の桁に上げていくということと対応しています。
10進法では、1が10集まると、十の位に数を上げて、「10」と表します。
10が10集まると、百の位に数を上げて、「100」と表します。
同じように、2進法では、1が2集まると「10」と上の桁に上げます。
2が2集まると「100」と上の桁に上げます。

10進法では、各桁を「一の位」「十の位」「百の位」と通常呼びますが、それは指数を用いて「1の位」「10の位」「10の2乗の位」「10の3乗の位」と呼ぶこともできます。
同じように、2進法では、「1の位」「2の位」「2の2乗の位」「2の3乗の位」となります。
さらに言えば「1の位」は「2の0乗の位」、「2の位」は「2の1乗の位」と表しても良いですね。
n進法と連動させると、指数法則がより明確になってきます。

しかし、10進法の説明自体を10進法を基盤として行わざるを得ないという皮肉もあり、理解できない子は全く理解できないということが起こります。
「数字が10個集まると、十の位に上げて、10と表す」
説明の中に既に10が出てくるので、何のことやらわからない、ということになりがちです。

「10進法で使う数字は、0から9までの10個でしょう?2進法では、0と1の2個の数字を使うんですよ」
と説明すると、
「10進法で使う数字は10個じゃない」
と言う子がかつていました。
9の次は、10だし、次は11だし、12だし、数字は無限にあるんだから、数字は10個じゃない。10進法じゃない。
そう言うのです。

これが、n進法が理解できない根本の原因だと思います。
核心が見えた瞬間でした。
n進法を理解できない原因を言語化できず、ただ動揺する子が多い中で、それを言語化できる。
言語能力は高いが数学がよくわからない子とのこういう対話は、興味深いです。
こちらが学べることが沢山あります。

11は、「11」という数字ではなく、10と1です。
12は、「12」という数字ではなく、10と2です。
そのことは、小学校の低学年から幾度も幾度も勉強しています。
例えば、
475=100×☐+10×☐+1×☐
といった穴埋め問題は、新しい桁の数を学ぶ際に、小学生が繰り返し練習させられることです。
あるいは、
475は、100が☐こ、10が☐こ、1が☐こ集まってできた数です。
といった問題もあります。
この穴埋め問題は簡単に正解できる子が大半です。
しかし、この問題が何を伝えようとしているのか、その本質を理解できないまま通り過ぎてしまう子が多いのだと思います。
小学校で学んでいる数理の本質は、あまりにも本質なため、言葉にすると難解になり、子どもに伝えにくい内容です。
しかし、子どもは、難解なことを言語化されなくても本質的に理解できる能力があります。
それに頼って繰り返されるこうした問題。
ここから数理の本質を理解した子と、何も気がつかなかった子と。
n進法の理解についての根本の差は、そうしたところから生まれているのだと思います。

就学前、あるいは小学1年生が数を数えると、まだ10進法のルールを理解していないことがあります。
「1、2、3、・・・・・、9、10、11、12、13、・・・19、100」
19の次がもう100になってしまう子が、たまにいます。
12くらいまでは耳慣れているので、その流れで19までは知っているのですが、その先の数の仕組みがどうなっているのかわからないので、19の次は100になってしまうのです。
10が2個たまったら100にしているので、十の位だけ2進法になっているのです。

10が10個たまると、100になる。
このように幼い段階で正しい10進法へと導びかれているのですが、そのことがあまりにも無意識のレベルに沈み込み、意識されないようです。
小学校で、大きい数や小数へと数が拡張されていく度に、上述のように桁に対して正しい理解をしているかを確認する問題が出されているのですが、何を確認されているのか、意識できないのです。

それは、10倍、100倍、あるいは1/10、1/100する際に、桁移動で処理できることが身につかない子の中にも見られます。
÷100の計算を、真面目に筆算してしまう子がいます。
×100の計算も同様です。
桁を移動すれば良いと助言すると、「あ、そうだった」と言うのですが、100倍するのに3桁移動してしまう子も多いです。
そのやり方を教わったことがあるのを覚えているだけで、意味を理解していないのだと、そうした様子から気づきます。
そのまま高校生になって、n進法に出会い、愕然とする。
どうしてもどうしても理解できない。
そういう人がいるようです。

どうか頭を柔らかく。
小学生のときにはわからなかったことでも、高校生の今なら理解できるかもしれません。
数字の桁の仕組みについて、改めて考えてみる、良い機会です。



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