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2019年02月07日

数A「整数の性質」不定方程式。互除法の利用。

数A「整数の性質」不定方程式。互除法の利用。


今回も「不定方程式」の学習です。
前回は、比較的係数の小さい不定方程式を解きました。
不定方程式は、具体的な x と y の整数解を1組見つけることができれば解いていくことができるのでした。
係数の小さい不定方程式なら、頭の中でちょちょっと代入して、暗算で求めることができました。

しかし、暗算ではなかなか見つけられない場合もあります。
そんなときは、「互除法」を利用して整数解を1組求めます。

問題 43x+13y=1 の整数解を全て求めよ。

これは暗算では整数解をなかなか見つけられそうにないです。
こんなときは、互除法を利用します。

43と13に互除法を用いてみましょう。
43÷13=3あまり4
これを後で利用しやすいように変形しておきます。
4=43-13・3
これは、余り=もとの数-割る数×商 という変形です。

この変形で苦労する高校生がときどきいます。
形だけ真似ることはできても、よく意味がわからないようなのです。
おそらく、小学生の頃から、加減乗除の関係の理解が完全ではなかったのだと思います。
小学4年生でわり算の筆算を学習したとき、検算もあわせて学習しますが、なぜそれで検算できるのか、実は理解できなかったのかもしれません。
検算しろと言われたから、公式通りに代入して検算した形にした。
でも、本当は、なぜそれで検算になるのか、意味はわからなかった。
あるいは、意味など考えなかった。

☐を使った式の変形などでも、かなり苦労する小学生がいます。
例えば、
☐-3=5
などの☐を求める式を上手く立てることができないのです。

中学生になって方程式を解くときにも、加減乗除が理解しきれていないことは影響したはずです。
移項をするとき、なぜ符号が変わるのかわからないまま、「そういうものだ」と作業手順だけ覚えて済ませてしまったのかもしれません。
あるいは、意味が理解できなかったわけではないけれど、作業手順だけを頭に残してきた。
手順だけを覚え、作業の意味を忘れてしまう繰り返しの中で、算数・数学の根幹への理解が痩せていってしまったのかもしれません。
いちいち意味を確かめながら作業していたら時間がかかるので、作業は自動化しがちです。
自動化の中で、意味は無用のものだから記憶から消去してしまった。
そして、意味がわからなくなった。
数学が苦手な子の典型の1つです。

中学受験の受験算数では、しつこいくらい「逆算」の計算問題が出題されます。
上の、☐を使った計算です。
中学生になったら使うことのない逆算を、なぜそんなにしつこく問うのかといえば、加減乗除の関係を正しく理解できている子を入学させたいからでしょう。
表面的には逆算を使用することは中学入学以後はないけれど、加減乗除の関係が定着している子でないと、その上に何を積み上げていっても不安定です。
不安定な基礎の上に無理に数学を積み上げていっても、やがて何も積み上がらなくなってしまう。
中学側は、数理の基礎を理解している子を入学させたいのでしょう。

小学校でもっと、☐を使った計算を沢山やれば良いのに、と思わないでもありません。
しかし、それをやると、過半数の子は上手く解くことができないかもしれません。
小学校で、過半数が解けない問題を扱えば、授業が成立しないでしょう。
小学校は、皆が解ける問題を勉強する場所。
勉強に関して絶望させない場所です。
☐を使った計算は、深追いできないでしょうか。

その一方、高校数学には絶望が存在する。
わからな過ぎて、授業中に涙を流す高校生が存在します。
本質的には小学校の算数が身についていないのですから、無理ないのです。
目の前のことがわからないのではない。
そのはるか手前でつまずいているのです。
そのことに自覚的になるだけでも、高校数学を攻略する道が見えてくると思います。


不定方程式に話を戻します。
43と13に互除法を用いて、
43÷13=3あまり4 より 4=43-13・3
13÷4=3あまり1 より 1=13-4・3

ここで、余りが1となりました。
与えられた不定方程式の右辺と一致しました。
ここから、変形しておいた式を代入して、復元作業をしていきます。
1=13-4・3
 =13-(43-13・3)・3
 =13-43・3+13・3・3
 =13-43・3+13・9
 =43・(-3)+13・10

すなわち、
43・(-3)+13・10=1 ・・・②

43x+13y=1と同じ形になりました。(*'▽')
つまり、x=-3、y=10 は、この方程式の整数解の1つです。
これが互除法を利用した整数解の1組の求め方です。
途中、何をどう代入しているのかわからなくなる人。
わかるつもりなんだけど、自分でやってみると、この通りにならない人。
そういう人が多く出るところです。
1人でできるようになるまでは、補助があると良いですね。
目標は、与えられた式、43x+13y=1 と同じ構造にすること。
そこへ向かって、道筋を誤らないようにします。
慣れないうちは、符号ミスが出やすいですし、計算しないでおくべきところをすぐに計算してしまって、訳がわからない見た目になったりしがちです。


後は、前回解いた問題と同じ解き方です。
与えられた不定方程式・・・① から、今求めた式②を引きます。
  43x    +13y  =1
-)43・(-3)+13・10=1
  43(x+3)+13(y-10)=0

移項すると、
43(x+3)=-13(y-10) ・・・③
43と13は互いに素だから、
x+3=13k (kは整数)
これを③に代入すると、
43・13k=-13(y-10)
13(y-10)=-43・13k
y-10=-43k
y=-43k+10
よって、答えは、
x=13k-3, y=-43k+10 (kは整数)

これで、係数が大きい不定方程式も解けます。
途中でわからないところがある人は、前回の、不定方程式の基本のところに戻って見直してみてください。
ヽ(^。^)ノ



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    Posted by セギ at 12:03│Comments(0)算数・数学
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