たまりば

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2018年12月23日

英語字幕で映画を見る楽しみ。『クリスマス・キャロル』。

英語字幕で映画を見る楽しみ。『クリスマス・キャロル』。


『クリスマス・キャロル』は、イギリスの作家チャールズ・ディケンズによって書かれ、1843年の12月、美しい挿絵を含む豪華な装丁のクリスマスブックとして発売された、クリスマスを祝福する物語です。
近代市民の内面が深く描かれていることを小説の定義とするならば、この物語は小説とは呼べないのかもしれません。
登場人物は物語の中で果たすべき役割しか与えられていません。
ストーリーも単純です。
強欲な金貸しスクルージは、クリスマスイブの夜、過去・現在・未来のクリスマスの精霊の訪問を受け、これまでの自分の悪行を悟り、生まれ変わる。
非常にわかりやすいので、原作を簡単な英語にリライトしたサイドリーダーが、私立中学などの冬休みの宿題として出されることがあります。

ボリュームのある英文を読む場合、映画で先にストーリーを知っておくのは、読みにくさを解消する良い方法です。
とはいえ、『クリスマス・キャロル』は、近年の作品というとアニメーションばかりで、しかも、アニメーションですら退屈で最後まで見ていられないかもしれません。
ストーリーが単純すぎるので、面白くないのですね。

そうした中でイチオシなのが、1970年英米合作のミュージカル映画『クリスマス・キャロル』(原題『SCROOGE』)。
古い映画なので今見ると特撮が稚拙だという難はありますが、舞台は19世紀のロンドンですから、古い映画であることがむしろ雰囲気作りに成功してもいます。
11曲のクリスマス・ソングの1つ1つが上質で、単調なストーリーを飽きずに見られのも有難いです。
主演アルバート・フィニーのファンキーな演技のおかげで、強欲な金貸しスクルージは、とても偏った人物だけれど、そんなに悪い人間に見えてこないのも良いところです。
脚本の良さもあって、原作にない人間味が人物像に奥行きを与えていると感じます。
DVDは今でも通販などで購入可能。
しかもとても安いです。

最初は冬休みの宿題対策のためにしぶしぶ見るのであっても、クリスマスが近づくとまた見直したくなる大好きな映画になってくれると嬉しいです。
そして、2度目に見るときは、勿論、英語音声・英語字幕で。
ヽ(^。^)ノ
イギリス英語なので、発音が明瞭で聴き取りやすいのです。

冒頭、スクルージの事務所での甥や事務員とのやりとりはそんなに難しくないものの、しかし、彼が事務所を閉め、外に出たあたりから、英語が聴き取りづらくなります。
まずは、年末の寄付を求める紳士2人との会話。
事務所の看板には、昔の共同経営者マーレーの名前もまだ記されてあるので、紳士たちは、スクルージに、あなたはミスター・マーレーか、あるいはミスター・スクルージかと尋ねます。
スクルージの返答。
Mr Marlyey has been dead for seven years. Seven years ago this very night he died.
この辺はまだ聴き取りやすいですね。
1つ目の文は、現在完了の例文として丸暗記したいような文です。
「彼が死んで7年になる」
これを5通りに表現できますか?
上の文は、その中でも英語特有の表現を含む重要文です。
2つ目の文の very は、「まさにその」という強調の形容詞。これも大事ですね。

物語的には、ここで共同経営者のマーレーが亡くなっているという情報が自然に提示される上手い展開に、感心するところでもあります。

ところが、この後、寄付をするのしないのという議論は、早口でかなり聴き取りづらくなります。

It is more than usually desirable that we make some provision for the poor.
―I wish to be left alone ,sir. I don't make merry at Christmas and cannot afford to make idle people merry.

弾丸スピードの議論を何とか聴き取って、息をついた後、しかし、絶望が襲います。
その後、スクルージが歌い出す、I hate people という歌の歌詞がほとんど聴き取れないのです。
字幕を見ても、知らない単語が並ぶ・・・。
というのも、この歌は、スクルージが人々へ悪罵を投げつけている歌なので、否定的な意味の形容詞、動詞のオンパレードなのです。
・・・こんな英語は、学校で習わないなあ。
私は、この映画を初めて英語字幕で見たとき、自分の英語力の偏りに気づいて仰天しました。
そうか。私は、英語で悪口を言うことはできないんだ。
そういうボキャブラリーを持っていないんだ。
そんな発見があります。

でも、その後、また聴き取りやすくなるので、諦める必要はありません。
家に戻ったスクルージを、マーレーの幽霊が訪問します。
この会話は、とてもゆっくりで聞き取りやすいのです。

You don't believe in me , do you ?
―No,I don't.
Why do you doubt the evidence of your own eyes ?

belive の後にすぐに目的語がつくときは、「~を信じる」。
belive in ~のときは、「~の存在を信じる」。
付加疑問文とその答え方の生きた例でもありますね。
「おまえは私の存在を信じていないな?」
「ああ。信じていない」
文法・語法の知識が聴き取りに生かされて、ちょっと嬉しくなります。

さて、夜も更けて。
午前1時の鐘とともに、過去のクリスマスの精霊がやってきます。
これが、上品そうな老貴婦人。
予備知識がなくても名優なのだろうとひと目でわかる貫禄の、イーディス・エヴァンス。
スクルージに、淡々と過去のクリスマスを見せていきます。
孤独な少年時代。唯一の味方だった妹。
しかし、働き始めると、スクルージは、良い雇用主に恵まれ、幸せな青年時代を送っています。
雇用主夫妻とその友人・近所の人たちとの幸福なクリスマス・パーティーの場面。
それをつくづくと眺めるスクルージは、かつての雇用主を褒めます。
What a marvellous man!
それに対し、過去のクリスマスの精霊は、むしろ否定的です。
―What's so marvellous? He's merely spent a few pounds of your mortal money. Three or four. Why is that deserving of so much praise?
しかし、スクルージは譲りません。
You don't understand. He has the power to make us happy or unhappy. To make our work a pleasure or a burden. It's nothing to do with money.
守銭奴スクルージが、「金は関係ない」と断言する。
それを過去のクリスマスの精霊は黙って聞いています。

この映画があまり説教臭くないのはそういうところだと思います。
大切なことは全てスクルージ自身の口から語られるのです。

午前2時に現れた現在のクリスマスの精霊。
直視できないほどにまぶしい巨人。
神のイメージに近い造形です。
この巨人が見せる現在のクリスマスの1つは、スクルージの甥の家でのクリスマス・パーティー。
そして、物語の冒頭に登場した甥は、スクルージの妹の忘れ形見であることが明かされ、見る者は、この甥への好感をさらに深めていきます。
この甥の存在は、この物語のハッピーエンドへの道しるべです。

英語学習的に興味を引かれるのは、そのパーティ内のゲームでしょうか。
cat の前に、m がお題なら m で始まる形容詞をつけて言っていかなければならないゲーム。
英語の形容詞はやはり膨大です。
うわあ、こんな形容詞知らないわ、まだまだ勉強しなくちゃと思ったり。
知っている形容詞が出てくると嬉しかったり。

英語的に面白いところはなおも続き、重要表現が沢山出てくる映画です。
しかし、これ以上は長くなり過ぎますので、ここで英語を離れて。

この映画を英語と関係なく他人に薦めるとき、私は3つの見どころを言います。
1つ目。
イギリスのハナ肇が出てきます。
お正月番組の「銅像」感があるんです。
イギリスでは有名な喜劇役者なんでしょう。
どこに出てくるかって?
ひと目でわかります。

2つ目。
イギリスの市村正親が出てきます。
30代くらいの、ミュージカルの舞台で主役を張っていた頃の、キレッキレの市村正親さん。
イギリスでは有名なミュージカルスターなのでしょう。
どこに出てくるかって?
ひと目でわかります。

3つ目。
イギリスの「ええじゃないか」を見ることができます。
この映画は、ラスト20分の圧巻のフィナーレを見るために、それまでの全てがあるのかもしれません。
映画前半の多くのナンバーがここで意味を変えて繰り返されます。
あの群衆がなぜ突然同じ歌詞で歌えるのかとか、なぜ同じ振りでダンスができるのかとか、そういうつまらないことは言ったらダメですよー。
「借金帳消し、ええじゃないか」と歌い踊る群衆を、映画館の大画面で見たかったものです。
公開当時、まだ洋画を見に行く年齢じゃなかったですから。

この映画の素晴らしいイメージが崩れるからやめなさいと、ファンに叱られそうですが。
あと、若い子には、全く通じない話ですね。

とはいえ、私が一番好きなのは、ラストシーンです。
群衆から離れ、家に戻ってきたスクルージは、自分に忠告してくれたマーレーに語りかけます。

I don't know whether you can hear me, and I don't know whether or not I imagined the things I saw, but between the pair of us we finally made a merry Chrismas, didn't we ?
そして、続けます。
I have to leave now. I must go and get ready. I'm going to have Christmas dinner with my family.

甥と約束したクリスマスの食事。
大勢の人々からの感謝とともに、彼にとってそれがどれほどの幸福であるかが切実に伝わる、良いラストシーンです。

皆さまも、メリークリスマス。



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