たまりば

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2018年12月07日

高校数A 合同式とは何か。


今回の学習内容は「合同式」です。

2つの整数a、bを自然数mで割ったあまりが等しいとき、aとbをmを法として合同であるといい、a≡b(mod m)と表す。
このような式を合同式という。

定義は上のようにシンプルで、難しい言葉は何1つなく、込み入った論理も何1つないのですが、多くの場合、数学の授業史上一番の停滞となります。
新課程になったばかりの頃は、「発展」として一応教科書に載っているこの内容を教える高校は多かったのですが、今は、私立高校や都立中高一貫校でも、教えない学校が増えてきました。
あまりにも理解が進まないので、先生たちも匙を投げたかもしれません。
苦労して時間をかけて教えても、入試にほとんど出ないですし。

合同式を解説する難しさの1つは、具体的に説明すれば理解してもらえるとは限らず、その具体例に縛られて混乱したり誤解をしてしまう子が多いことにあります。
それでも、具体例で説明しないわけにいきません。

例えば整数を7で割った余りで分類することを考えてみましょう。
7で割ると1余る数。
こういう数には、1、8、15などがあります。
これらは7を法として合同と言い、8≡1(mod7)と表すことができます。
15≡1(mod7) でもあります。

7で割ると2余る数はどうでしょうか。
2、9、16などがあります。
これらはこれらで、7を法として合同です。
9≡2(mod7) 、16≡2(mod7) となります。

あるいは、整数を4で割った余りで分類したらどうでしょうか。
例えば、4で割ると2あまる数。
こういう数には、2、6、10などがあります。
これらは4を法として合同です。
6≡2(mod4)、10≡2(mod4) と表すことができます。

ルールの基本はおわかりいただけたでしょうか?ヽ(^。^)ノ


ぱっと感覚的に理解できれば何も問題ないのですが、最初に上手く呑み込めないと結局最後まで何だか納得できないという感情が尾をひくことになるようです。
それは理解力の問題ではなく、何か固定観念があり、このことの理解を阻んでいるものがあるせいなのかもしれません。

それが何であるのか、新課程にこの単元が登場し教えるようになってから、私はずっと不思議に思っています。
混乱は、例えば「1は7で割ると1あまる数である」ということを知らなかった、あるいは納得できない、という小さいことからも起こります。
1÷7=0あまり1
商は0でも良いというのは単なる知識ですが、初めて知ると、これだけでも衝撃のようです。

自然数に限っての話でもなかなか大変なのですが、合同式は整数全体、すなわち負の数も含んで考えます。
例えば、6で割った余りで整数を分類してみましょう。
6で割ってあまり0。
自然数の範囲では、6、12、18、・・・・
6≡0(mod6)、12≡0(mod6)。
これはもう大丈夫でしょうか?
次に負の整数を含めて考えると、-6も-12も6で割ってあまり0の数です。
すなわち、-6≡0(mod6)、-12≡0(mod6)。

同様に、6で割った余りが1の数を考えれば、
・・・・-17、-11、-5、1、7、13、・・・・
という数列が見えてくると思います。
この数列に出てくる数は全て法を6として合同です。
-5=6・(-1)+1
-11=6・(-2)+1
-17=6・(-3)+1
どの数もあまりが1になるのがわかります。
よって、-5≡1(mod6)、-11≡1(mod6)、・・・。

これでいかがでしょうか。ヽ(^。^)ノ

「いや、わからない。-5=6・(-1)+1って、何ですか?」
そういう質問を受けることがあります。
高校ではわり算の式は基本書きませんので、上のようにかけ算の式で表すのですが、それがそもそも納得できない、意味がわからないという声を聞くことがあります。
(わる数)×(商)+(あまり)=(もとの数)
こういう、わり算の検算の式と同じ構造ですよ、小学校3年生でやっていますよ、と説明しても、知らない、教わったことがない、と言う高校生もいます。
習っていることなのですが、全く覚えていないようです。

「次のわり算をしなさい。検算もしなさい」
という問題の後半を全部見落として解いたことがない。
あるいは、暗記した通りに検算の式を書くだけで済ませて、本当に検算したことがないので、身についた知識になっていない。
そういうことかなと想像したりもします。

中学の方程式の利用でも、この考え方は使っています。

問題 37をある数で割ると商が5、あまりが2となった。ある数を求めよ。

という文章題で、この考え方を利用します。
ある数をxとすると、
5x+2=37
という式を立てることができます。
これも、(わる数)×(商)+(あまり)=(もとの数) という検算の式を使っています。

こう説明するとやったことがあると思い出す子もいますが、中学の方程式の文章題でも、わり算の検算の式を使用するこのタイプの問題は自力で解いたことがなく、定着しないまま高校生になってしまった子もいて、首を傾げたままということもあります。
かけ算とわり算との関係を理解しないまま、それぞれを無関係にただ暗記し、作業手順だけ覚えてきた子の場合、合同式の理解は確かにかなりつらいものがあるのかもしれません。


上の式の意味が一応は理解できても、-5が6で割って1余る数であるというのがピンとこない子もいます。
そうした子は、-5は、6で割って5不足する数ととらえることならギリギリできます。
そうです。ヽ(^。^)ノ
整数を6で割るとき、すなわち、6を法とするとき、「1余る」ということと「5不足する」ということは、同じことなのです。
例えば7は、6で割ると1余る数ですが、6で割ると5不足する数ととらえることも可能です。
1も、6で割って1余る数ですが、6で割って5不足する数でもあります。
ですから、-5は、6で割って5不足する数であると同時に、1余る数ととらえることができます。

何年か前、大人のための数学教室では、授業はここで長い長い停滞を迎えました。
繰り返し繰り返し同じことを説明しても、理解が深まる様子が全く見られない・・・・。
しかし、ようやく理解してくださった参加者の発言は私には大変興味深いものでした。
「あっ。わかった。商は何でもいいのね」
「・・・・・・?」

え?
・・・・そうですよ?
最初から余りの話だけをしていますよ?
割る数と余りの数だけに注目していますよ?

そのとき、ふっと見えたのです。
商が重要だとずっと思っていらっしゃったんだ。
高校生がこの単元を全く理解してくれない原因もそれかもしれません。

わり算の式を立てるとき、立てた本人は商を求めるために立てている感覚があります。
求めているのは商だから、それが何より大切だと思ってしまうのかもしれません。
子どもの頃から、算数はとにかく答えを出すことが大事、式なんかより答え、と思い込んでいる子は多いです。
そういう思い込みがあると、「整数をある数でわった余りによって分類しています」と幾度説明しても、その部分を聞き流す。
あまりがいくつであるかが大切なので、商なんか問題にしていない。
しかし、本人は、商にしか目がいかない習慣があるので、その説明が頭に響かない・・・。
思い込みのせいで重要な情報を聞き流す不思議な仕組みが人間の脳にはあるようなのです。
商なんかどうでも良くて、割る数と余りの話をしています。
しかし、それが普段の計算の常識とは異なるために、そこに立ち位置を移せない高校生は多いのでしょう。


「あまりと不足に関する問題」は、中学受験の受験算数の単元の1つです。
しかし、何回復習してもこの問題を解けるようにならない子がいます。
高校生でも大人でも理解してくれないので、小学生が理解できないのは無理からぬところがあります。

例えばこんな問題です。
例題 4で割ると3あまり、6で割ると1不足する数のうちで100にもっとも近い数を求めなさい。

4で割ると3あまる数は、言い換えれば4で割ると1不足する数です。
ですから、この問題は、4で割っても6で割っても1不足する数を求めます。
ならば、まずは4で割っても6で割っても割り切れる数を考えます。
それは4と6の最小公倍数の12で割り切れる数です。
100÷12=8あまり4
12で割り切れる数で100に一番近い数は、上の式から、12×8=96であるとわかります。
それは、上の式から100-4=96と求めることもできます。
では、12で割って1不足する数は?
96-1=95。
よって、問題の答えは95となります。

この問題、スラッと理解する小学生もいますが、幾度解説しても、何度同じ問題を解いても、全く解けるようにならない子も多いです。
何がそんなに難しいのか教える側として疑問だったのですが、何だか少しわかった気がします。
あの子どもたちも、あまりや不足に着目するより、商のことばかり考えてしまうのかもしれません。
4で割って3余るということは1不足するということ。
しかし、その言い換えをするときには商が変わるだろうに、それを無視する姿勢が理解できない。
商が変わればそれは同じ計算ではないのに、同じだと言っている神経が理解できない。
そもそも、商を無視して、余りだ不足だばかり言っている姿勢が理解できない。
そういうことなのでしょうか?

「あまりと不足」に関する問題が解けない小学生たちは、こんなふうに思っているのかもしれません。
「算数の問題を解くって、そういうことじゃないでしょう!」
「式を立てて、計算して、答えを出すんでしょう!」
「商が問題の答えでしょう!」
「算数の問題はそうでなければならないよ!」

子どもたちの無言の中に、実はそんな心の抗議があったのでしょうか?
しかし、それはあまりにも頭が硬い。
ガチンゴチンです。
子どもの頭というのは大人がびっくりするくらい石頭で、妙な思い込みに凝り固まっているものですから、そのように頑固でも驚くに値しませんが。

でも、1つ言えること。
子どもの石頭は一度割ることに成功すれば、そこからは柔軟です。
新しい考え方を受け入れ、無限に伸びていきます。
子どもには、それだけ成長する力、生命力があります。

高校生は、どうでしょうか。
硬い頭をやわらかく。
商なんてどうでもいいから、余りによって整数を分類する。
ある数で割って、同じ余りである数は、その数を法として合同な数。
合同式は、それさえ理解できれば、そんなに難しくありません。




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