たまりば

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2018年11月30日

数A「整数の性質」に関する証明問題。


数A「整数の性質」の学習の続きです。
いよいよ難しいところに入ってきました。
例えば、こんな問題です。

問題 自然数aとbが互いに素であるとき、a+2bと3a+5bも互いに素であることを背理法を用いて証明せよ。

問題を解く前に解決すべき点が2つあります。
「互いに素」とは何なのか?
「背理法」とは何であるか?

「互いに素」は、今回初めて学ぶ内容です。
定義はこうです。
2つの整数a、bの最大公約数が1であるとき、aとbは互いに素であるという。
うわあ、これだけでは何を言っているのかわからなーい。

例をあげて考えてみましょう。
例えば、15と28について考えてみます。
素因数分解すると、
15=3・5
28=2・2・7
それぞれの素因数の中に共通のものがありません。
この場合、15と28の最大公約数は1となります。
このように、共通の素因数を持っていない関係が「互いに素」です。
これは今回だけ出てくる内容ではなく、この先、不定方程式を解く際にも使用します。

では、「背理法」とは何でしょうか?
これは、数Ⅰ「数と式」の単元で学習しました。
高校生に、「何か数学でわからないところはある?」と質問すると、
「背理法がわからない」
という答えがすぐ返ってくるほど、もう圧倒的にわからないところのようです。

背理法は、証明すべき結論をまず否定します。
その否定を根拠に論を進めていくと、しかし、矛盾が生じます。
矛盾が生じたのは、根拠が間違っているからです。
否定したから、矛盾が生じた。
これは否定してはいけない内容だった。
だから、結論が正しいことが導かれる。
そういう証明方法です。

こういう論理の進め方が肌に合わない人もいるようです。
「だって、さっき結論は否定したのに、何で結局それでいいことになったの?」
と、論理展開に追いついていない反応もあれば、
「矛盾が生じたからといって、間違っているとは限らないんじゃないの?」
という懐疑にとりつかれてしまう子もいます。
矛盾は抱えつつも、一概に間違っているとは言えないのでないか、と考えてしまうようです。
「否定すると矛盾が生じるから、否定は間違っているのだというところまではわかる。でも、だから、肯定する、というのがわからない」
と言う子もいます。
否定が間違っているのなら、肯定は正しい。
そうとは言い切れないのではないか?
否定も間違っているが、肯定も間違っている可能性もあるのではないか?
肯定と否定との間に「隙間」を感じてしまい、気になってしまう・・・。
気持ちはわからなくもありません。
しかし、否定も肯定も間違っているって、どんなことなのでしょう。
有理数でなければ、無理数。
そのような単純な二択に絞り込めることで利用するのが、背理法です。

そうした悩みはないけれど、実際に問題を解くことに悩んでいる高校生も多いです。
背理法の論理の構造は理解できるけれど、実際に何をどうやって矛盾を指摘すれば良いのか自力で発想できないというのです。
こうした子は、実はかなり優秀です。
そんなのは初学者なんだから当たり前で、典型題のテクニックを自分のものとして蓄積していく以外に方法はありません。
1題2題解いたくらいで背理法を自力で操れるようになるわけがありません。
学校の定期テストで背理法の証明問題が出題される場合は、典型題ばかりです。
有理数・無理数に関する問題などが大半ですね。

さて、話を戻し、もう一度上の問を見てみましょう。
これを背理法で証明するのですから、まず結論を否定した仮定を立てます。

a、bが互いに素であるとき、a+2bと3a+5bは互いに素ではないと仮定する。
互いに素ではないということは、1より大きい最大公約数が存在するということ。
つまり、共通因数があるということです。
その1以外の最大公約数を自然数gで表します。
他に、k、L(本当は小文字で表しますが、ネットでは1と区別がつきにくいので大文字にしました)を自然数とすると、
a+2b=kg ・・・①
3a+5b=Lg ・・・②
と表すことができます。

さて、上の仮定を突き崩し矛盾を指摘するのですから、これを用いて、aとbが互いに素ではないことを示せば良いのです。
では、とりあえず、連立方程式のようにして、a、bについて解いてみましょう。
共通因数が出てくれば、aとbは互いに素ではないことになりますね。

①×3-②
  3a+6b=3kg
-)3a+5b=Lg
       b=g(3k-L) ・・・③
①×5-②×2
  5a+10b=5kg
-)6a+10b=2Lg
  -a    =g(5k-2L)
        a=g(2L-5k) ・・・④

おや?
③、④より、aとbは、gという1以外の共通因数を持つことになります。
これは、aとbが互いに素であることに矛盾します。
何でこんな矛盾が生じたのでしょう?
それは前提とした仮定が間違っていたからです。
「aとbが互いに素であるとき、a+2b、3a+5bは互いに素ではない」という仮定が間違っていたのです。
したがって、aとbが互いに素であるとき、a+2b、3a+5bも互いに素です。

これが背理法による証明です。

「そんなの、gという共通因数を勝手にあることにしたからこうなったので、gが残るのが当たり前。こんなのインチキだ」
と、どこかで思考がねじれてしまうかもしれませんが、落ち着いて、式の1行1行を読み飛ばさず見ていくことが大切です。
gが残るのは、当たり前ではありません。
消えるかもしれなかったのです。
でも、残ってしまった。
それは、仮定に矛盾があったからです。
a+2bと、3a+5bには、初めから、共通因数gなど存在しなかったのです。

とはいえ、やはり難しいですね。
1回目の学習で難しかったら、しばらく放置しておくのも1つの手です。
次に復習するとき、案外、スルッと理解できることもあります。
最初は脳が慣れていなかった。
ただそれだけのこと。
そんなこともありますから。





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