たまりば

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2018年10月24日

11月10日(土)、大人のための数学教室を開きます。


10月20日(土)の大人のための数学教室は延期となりました。
次回は、3週間後の11月10日(土)に開催予定です。

さて、授業が進みませんでしたので、今回も余談です。
今回は対称式の話。
対称式とは、文字式で、文字の値を入れ替えても式全体の値が変わらないものをいいます。
例えば、x2+y2などがそうです。

対称式の問題は、多くの単元に登場します。
平方根と対称式。
三角比と対称式。
虚数と対称式。
新しい事柄を学習する度に、それとからめて対称式の値に関する問題を演習します。
しかし、対称式の問題を苦手とする高校生は多いです。

対称式の計算は、発展的なテキストでは中学3年から登場します。
例えば、こんな問題です。

問題 x+y=3、xy=2であるとき、x2+y2の値を求めよ。

x2+y2
=(x+y)2-2xy
=32-2・2
=9-4
=5

上の式の1行目から2行目への転換がわからないという子は案外多いのです。
無いものを足して、その後同じものを引いて辻褄を合わせる、その考え方が難しいのだろうと私は思っていました。

実際、この考え方を利用する2次関数の平方完成でも最初は苦労する子がいます。
例えば、2次関数 y=x2+4x+7 を、
y=(x2+4x)+7
=(x+2)2-4+7
=(x+2)2+3 
と平方完成する際にも、最初は何をやっているのか理解できず、かなり補助が必要な子はいます。

しかし、習得まで時間がかかることはありますが、2次関数の平方完成に関しては最後まで理解できないということは少なく、大抵の高校1年生ができるようになる作業です。
平方完成に関する練習問題は豊富にあるので、自力でできるようになるまで練習できるから、ということもありますが、それだけでなく、対称式の値に関する問題ほどの激しい抵抗感を示さずに理解するのです。

この2つは、わかりやすさという点で、何が違うのでしょう?
不思議です。
つまずきやすい理由がわかっていれば、事前にそこを強調し、
「そこに石がある。そこにつまずくから注意して」
と促していけるのです。
しかし、教える側には、平らな道に見えるところでつまずく子がいるように感じることがあります。
平らな道なのにそこでつまずく子が多いことだけは現象としてわかっているのです。
なぜなのかはわかりません。
目を凝らしても、つまずく石は見えない。
教えることの難しさの1つです。

これは以前、中学3年生に理科を教えたときのこと。
「塩化銅水溶液が青く見えるのは、あるイオンが原因です。そのイオン名を答えなさい」
という問題を解いたときのことです。
正解は銅イオンです。
その子の誤答は「水素イオン」でした。
しかし、その子は納得しませんでした。
「水素イオンじゃないんですか?水素イオンは必ずあるって学校で言われた」
「・・・・水素イオンは水溶液中にあるけど、青く見える原因ではないですよ」
「酸性は青いって学校で言われた」
「うん?どういうこと?」
「・・・・銅イオンが青いのは、覚えなければならないことですか?」
「まあ、そうですね」
「何だよ、いちいち覚えるのかよ。学校では、理科は暗記するなと言われた」
「・・・・うん?」
その子の言うことは一言一言の飛躍が激しく、あっという間に怒り出していました。

彼の中で、いくつかの知識が頭の中で癒着し、妙なつながり方をしているようでした。
水溶液の中には水素イオンがある。
水素イオンがあるものは酸性。
酸性は青い。
最後の「酸性は青い」が特に謎なのですが、とにかくこの論法でいくと、塩化銅水溶液を青く見せているものの正体は水素イオンということになってしまうのでした。
この誤解を解くのはかなり大変でした。

「わからない」というのは、論理を追えないことではないのかもしれません。
少し複雑な論理だから途中で迷子になっているのだろうとこちらは思い、ゆっくり説明したり繰り返したりしても、生徒の理解が進まないときがあります。
「どこからわからない?」と質問します。
板書の1行ずつを示しながら、あるいは、論理を細かく段階に区切りながら、「ここまではわかる?」と確認しようとします。
どこからわからないのか、どこから説明すればいいのか。
しかし、こうした指示に反応してくれず、生徒が何か別のことをずっと言い続けることがあります。
論理の癒着がその子の中で起きている場合に、そうなることが多いようです。
他人にはその論理は追えません。
でも、その子は論理的なことのつもりで話しているので、私が怪訝な顔をすればするほど、むしろ私を説得しようとします。


対称式の問題でも、先日、そんなことが起こりました。

問題 x+y=3、xy=2のとき、x2+y2の値を求めよ。

x2+y2
=(x+y)2-2xy
=32-2・2
=9-4
=5

「それ、最初に入れたらダメ?」
この問題を解説していたとき、そう質問されたのです。
最初に入れる・・・・?
「最初に入れるって、どういうこと?」
「最初に2乗したらだめ?」
「うん?どういうこと?式を言ってみて」
具体的な式を言ってくれれば、最初に入れる、最初に2乗するとは何をすることなのか、わかるかもしれません。
しかし、それには答えてくれず、何かをずっと説明しているのですが、よく意味がわからないのです。

授業はここで膠着するか?
でも、この件に関して、以前に、私は大人のための教室で、重要なヒントを得ていました。

x2+y2
=(x+y)2
=32
=9

私はそう板書して、その子に問いかけました。
「こういうこと?」
その子の顔がパッと輝きました。
「そう!そういうこと」
「・・・うーん。これは間違っています。どこが間違っているか、わかりますか?」
「えっ?」

その子は、何を誤解していたのか?
x2+y2=(x+y)2
だと思っていたのです。
x2+y2
=(x+y)2
=32
=9
と、最初に数字を入れて2乗すれば済むことなのに、なんでまわりくどい計算をしなければならないのかと、それを訴えていたのでした。

x2+2xy+y2=(x+y)2 です。
因数分解の公式ですから、当然わかっていると教える側は思いこんでいます。
しかし、当人は、x2+y2=(x+y)2 
だと、そのときはなぜか思いこんでいるので、対称式の問題の説明が理解できません。
x2+y2=(x+y)2 
とすれば済むことを、なぜまわりくどい変な解き方をしなければならないのかと不思議に思い、正しい解き方が理解できないようなのでした。

x2+2xy+y2=(x+y)2
という因数分解の公式は知っているのです。しかし、同時に、
x2+y2=(x+y)2
だとも思っている。
知識が二重構造になっていて、上の2つのことが頭の中に同時に存在している。
それはそれ、これはこれ、になってしまっているようでした。

乗法公式を学習する前の、例えば文字式を学習し始めたばかりの中学1年生に解かせたら、
(x+y)2=x2+y2
としてしまうと思います。
そうしてしまう感覚が、乗法公式を学習した後も残ってしまうのだと思います。

(x+y)2=x2+y2 ではありません。
数字を代入してみるとわかります。
(3+2)2=52=25 です。
32+22=9+4=13 
とは異なります。
しかし、そう説明しても、
それは、最初に(  )の中の3と2を足してしまうからそうなるので、別々に計算すれば、違う結果になるのでは?
小学生ならそう思ってしまう子もいるかもしれません。

ルールに従っている限り、どこからやっても同じ結果になる。
それが数理の根本です。
いや、そうではないことがあった気がする。
自分はそうではなかった場合を経験している。
変だなあと思ったけれど、まあ仕方ないと諦めた気がする。
数学に対して、こうした根本の不安定さや不信感がある子は、案外多いのだと思います。

このことは、大人のための数学教室で私が教わったことでした。
大人のための数学教室では、2次式ではなく、
x3+y3=(x+y)3
という思い込みがもとで、3次式の解と係数の関係に関する問題が理解できない場面があり、長いやりとりの末、この誤解が発見されました。
そうではないことも知っている。
しかし、そうだとも思っている。
あるいは、そのときだけふっとそう思ってしまう。
そのときだけは、そう思い込んでしまっていた。
そういうことだったようです。

しかし、2次関数の平方完成では、普通、そのような誤解が顔を出しません。
x2+6x+7
=(x+3)2-9+7
=(x+3)2-2
という作業は誰でも比較的すんなりと理解できるのです。
xと数字なら大丈夫だが、xとyだと誤解が顔を出す。
同じことなのですが、違うように見えるようです。
xと数字なら、xが主体で、数字は添え物的な見方になるが、xとyだと、対等の印象があり、見え方がまた違ってくるのでしょうか。
そうした見え方の偏りが、数学のわかりにくさの正体なのかもしれません。

x2+y2
=(x+y)2-2xy

この解き方の理解を妨げるものの正体。
それは、この解き方の難しさにあるのではなく、本人が何か間違った思い込みをしているため、正しい理解が妨げられている。
つまり、間違った思い込みが解消されれば、この問題は解けるようになるのです。

難しいから、わからないのかなあ・・・・。
教える側が勝手にそう思い込んで諦めてしまうことの多くの中に、こうした単純な障壁さえ取り除けば簡単に理解できることがあるのかもしれません。

次回の数学教室のお知らせです。
◎日時  11月10日(土)10:00~11:30
◎内容  数Ⅱ「図形と方程式」を続けます。p.48例題14の解説から。
◎場所  セギ英数教室
       三鷹市下連雀3-33-13
         三鷹第二ビル 305
       春の湯さんの斜め前のビルです。
◎用具   ノート・筆記用具
◎参加費 2,000円
       当日集めさせていただきます。
◎予約  私の携帯メールかLINEに、ご予約をお願いいたします。









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