たまりば

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2018年10月19日

数A「整数の性質」平方根の利用。


高校数Aの最後の単元は、「整数の性質」です。
前半の学習内容は、約数・倍数、平方根の利用、約数の個数や約数の総和の求め方など、小学校・中学校の復習内容が多いです。
平方根の利用は、例えばこんな問題です。

問題 √120n が整数となるときの自然数nを小さいものから3つ求めよ。

これは中3で学習する内容です。
高1になると数Ⅰの「式の計算」の単元で復習します。
そして、数A「整数の性質」でも、再度復習します。
その都度、ガツッとつまずく子がいます。
どうにも納得できない。
何のことか呑み込めない。
そういう状態に陥ってしまいます。

120=2・2・2・3・5
よって、最小のnは、2・3・5=30

これの理解が最初の課題です。

n=2・3・5とすると、
√120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
=√(2・2・3・5)2
=2・2・3・5
=60
と無事に整数になります。

√ の屋根の中に、同じ整数が2つあれば、それが1組みのペアとなり、整数となって√ の外に出ることができます。
硬い説明では伝わりにくいかと思い、「屋根」とか「ペア」とか、柔らかい言葉遣いをするのですが、それで余計にわからないと言われ、普通の言葉に直して説明しても、やはりわからない。

√120n=√(2・2・2・3・5)×(2・3・5)
と分けて書けばわかりやすいかと思い、そうしてみると、
「なぜ( )でくくるんですか?」
「・と×は何が違うんですか?」
と些末な疑問がさらに増えてしまうだけの様子で、やっぱりわからない。

根本の原因は、平方根というものがよくわかっていないこと。
これに尽きると思います。

√a・a・b=a√b
このシステムが理解できていないのだと思うのです。
√75=5√3 など、平方根を整理することは一応できるようになっていても、作業手順として覚えているだけで、その意味をあまりわかっていない子がいます。
だから、5√3=5×√3 と書き換えただけでうろたえてしまいます。
そういう意味だと知らなかったと言うのです。

応用問題以前の、平方根の計算でも、例えば、
√21×√3 といった計算で、
=√63
としてから、素因数分解をして、
=3√7
という解き方しかできない子は、平方根の意味が根本的には理解できていない可能性があります。
√21×√3
=√7・3 ×√3
=3√7
と解くことができないのです。

この解き方が上手く理解できない人は、平方根の根本が理解できていない可能性が高いです。
平方根とは何のことかよくわからないのに諦めて、作業手順だけ覚えてごまかしてきた可能性はないでしょうか?
基本がわかっていないと、応用問題の理解は難しいです。
まず基本に戻ったほうが、遠回りのようで近道です。

でも、平方根は中3のときから苦手だったし・・・・・。
そうやって諦めてしまう人もいますが、中3のときは、初めてのことに抵抗感が強く、処理しきれなかっただけかもしれません。
寝て起きたら何となく理解できていたということもあるように、脳には新しい情報を勝手にどんどん整理していく力があります。
高校1年になって、中3の「平方根」の勉強をやり直すと、案外スルッと理解できるかもしれません。
何であんなにわからなかったのだろう?
むしろ、それが逆に不思議というくらいに、理解できることがあります。
10代の脳は年々成長しますから。
応用問題だけ無理に理解しようとしないで、まず基本に戻って復習すると良いと思います。

もう1つのわからない原因は、指数法則のようです。
n=2・3・5とすると、
√120n=√2・2・2・3・5・2・3・5
=√(2・2・3・5)2
=2・2・3・5
=60
これの、
2・2・2・3・5・2・3・5
=(2・2・3・5)2
のところが理解できないのは、指数法則がわかっていないからでしょう。

aabb=(ab)2

中1から学習していることですから高校生にはもう説明不要と思っていると、高1になっても指数法則は意味不明、という子は案外います。
(ab)2を展開してみると、
(ab)2=ab×ab=aabb
なのですから、
aabb=(ab)2
です。
と説明しても、納得した顔をしない子もいます。
さらに根本には、2乗とはかけ算のことだということが、心の底に沁みて理解できていないのが原因なのかもしれません。
(ab)2=ab×ab だということが、わかっているつもりでわかっていない。
だから、aabb=(ab)2
と言われると、ちょっと不安になってしまい、本当にそうかな?と感じてしまうことがあるようです。

a2b2=(ab)2
という書き方をしても、これは同じことです。
そのあたりのルールに不安を感じるのは、
a2b2=a×a×b×b
だという根本に揺らぎがあるからかもしれません。

中1の頃、2乗と2倍の違いがわかっているようでもふっとわからなくなり、
32=6
といった誤った計算を繰り返してきた記憶が頭をよぎり、指数法則をすっきりと理解することができない。
頭が晴れ晴れとクリアーな日は理解できるが、頭の中がよどんでいるように感じる日は理解できない。
そんなことがあるようです。

(a2)3=a6
a2×a3=a5
こうしたことに対し、
「え?え?え?」
といつまでも不安を感じてしまう・・・。

わからなくなったら、全部書いてみましょう。
(a2)3
=(a×a)×(a×a)×(a×a)
=a6

a2×a3
=(a×a)×(a×a×a)
=a5

これで理解できれば大丈夫です。
これでも理解できず、
a×a×a×a×a=a5 なんですか?初めて知った・・・・。
と言った高校生もかつていましたから。
累乗はかけ算だということを心の底に沁みるほど理解できるまで、自分で繰り返し繰り返し、これを具体的にやってみると良いと思います。


さて、√a・a・b=a√b という仕組み、そして指数法則は理解できるようになったとして。
だから、最小の自然数nを求めるだけの問題なら解けるようになったとして。
実はnは1つではなく無数にあるという話になると、今までの理解も吹っ飛ぶほどにわからなくなる人もいます。

例えば、n=2・3・5・2・2とすると、
√120n
=√2・2・2・3・5・2・3・5・2・2
=√(2・2・2・3・5)2
=2・2・2・3・5
=120

やはり、整数になります。

nは120の中のペアのいない素数の積2・3・5だけとは限らず、nの中に2の2乗を含んでいても良いわけです。
したがって、n=2・3・5・2・2=120 としても大丈夫です。

次のnは、もともと必要な2・3・5の他に、3・3を含む数。
すなわち、n=2・3・5・3・3=270とすると、
√120n=√2・2・2・3・5・2・3・5・3・3
=√(2・2・3・3・5)2
=2・2・3・3・5
=180
これも整数になります。
よって、n=30、120、270です。


「整数の性質」という単元は、このようにこれまでの復習内容から始まる、というよりも、小学校や中学校で十分に理解できなかった急所を突いてくる単元なのかもしれません。
理解できないまま、まあまあまあ、この単元さえやり過ごせば、とごまかしてきたことが濃縮された単元。
つまりはそれだけ、数学的な考え方や数理の根本を問う単元と言えるのかもしれません。
復習内容が終われば、この単元は、「合同式」そして「不定方程式」の学習に入ります。
斜め上どころか、火星方向からやってきた論理が金星方向に抜けていくような凄まじいアサッテ感との闘いとなるかもしれません。
1問の解説を聞き終わったときには、もう最初のほうがわからなくなっている・・・・。
論理的に正しいはずのことが、どうしてこんなに淡雪のように儚いのだろう・・・・。
正しいことなのだろうに、なぜ、こうも確信がもてないのか・・・・。
大袈裟でなく、そんなふうになってしまうかもしれません。
しかし、それも、初めて学ぶ、脳に全く道筋のない学習内容だから抵抗感が強いせいだと思います。
繰り返し学習することで、頭を慣らすのが、何より特効薬と思います。




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