たまりば

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2018年10月31日

方べきの定理。



高校数A「図形の性質」の重要定理、最後は「方べきの定理」です。
上の画像の左図を見てください。
円の2つの弦、AB、CDの交点をPとすると、
PA・PB=PC・PD

これが方べきの定理の基本です。
交点Pが円の内側にあるときが左図。
真ん中の図は円の外側に交点があるときですが、式は同じです。
PA・PB=PC・PD

この2つの図は、交点と弦の両端との線分同士をかけるのだというイメージを大切にすると共通のイメージを持ちやすく覚えやすいです。
これの特殊な例が右図で、1つは弦、もう1つは円の接線となっている場合です。
弦ABと接線PTとの場合は、
PA・PB=PT2

パターンは、この3つです。
証明は、いずれも、三角形の相似を利用します。
左図の場合は、
△PACと△PDBにおいて、
対頂角は等しいから、
∠APC=∠DPB
等しい弧の円周角は等しいから、
∠CAP=∠BDP
2組の角がそれぞれ等しいので、
△PAC∽△PDB
よって、PA:PD=PC:PB
内項の積=外項の積なので、
PA・PB=PC・PD

他の2つも、三角形の相似を利用する流れは同じで、角が等しいことを示すための根拠が上の証明とは異なるだけです。
円に内接する四角形の定理だったり、接弦定理だったり。
共通の角だったり。

方べきの定理は、その名称に違和感を抱く人もいます。
チェバの定理ならば、どうせチェバという数学者が発見したんだろう、で済ますことができますが、「方べき」と日本語で言われると聞き慣れない言葉なので違和感があるのですね。
「方」は平方、立方などの「方」。
累乗を意味します。
「べき」は「冪」と書き、これは箱を意味する語。
等しい面積の長方形の2辺の長さを示す定理。
ある正方形と等しい面積の長方形の2辺の長さを示す定理。
そのようにイメージしておくと、名前と定理の内容が一致しやすいと思います。

方べきの定理は、覚え間違えてしまうことが案外多いです。
3つの図とも交点Pから式が始まるという共通点を強く意識するのがポイント。
そこを意識せずに別々に覚えると、覚え間違えてしまう可能性が高まります。
左の図を、AP・PB=CP・PDというイメージで覚えてしまい(これ自体は間違いではないです)、その影響で、真ん中の図を、PA・AB=PC・CDと間違って記憶してしまう人がいるのです。

こういうことは、ちょっとした覚え方が大きく影響します。
繰り返しますが、方べきの定理は、全て、交点Pから式が始まります。
その共通点を強く意識すれば、3つのパターンは、全く別のものではなく、根本は同じものであることが見えてきます。

方べきの定理は、センター試験でよく用いる定理です。
センター過去問などを解いていて、方べきの定理を使うと知ると、
「あー、方べきかー。気づかなかったー」
とつぶやく子は多いです。
円に関する問題を解く際に、方べきの定理を使う可能性は極めて高いです。
方べきの定理が、いつも使える状態で頭の中にあるでしょうか?
自力で発想できる状態、使える武器の状態で方べきの定理が頭の中に存在していれば、気づくことができると思うのです。

図形が苦手な子と一緒に問題を解いていて、
「どういう定理を使える可能性がある?間違っていてもいいから、何でも思いつくものを言ってみて」
と声をかけても、何も出てこないことが多いです。
「使える使えない関係なく、知っている定理の名前を全部言ってみて」
と声をかけても、やはり何も出てきません。
残念ですが、その状態では解き方を発想できる可能性はほとんどないと思います。
とにかく、定理の名称を言えと言われたら、学習した定理の名称をズラズラと並べたてられるようになるまで暗唱してください。

高校数Aで学習する定理のうち、重要なものは限られています。
三角形の五心に関する定理。
角の二等分線の定理。
接弦定理。
チェバの定理。
メネラウスの定理。
方べきの定理。

それに、数Ⅰで学習している三角比の正弦定理や余弦定理、中学で学習済みの三平方の定理など。

それらが頭の中に列挙されるなら、
今回はどれを使う?
どれなら使える?
と、吟味できます。
図形の解き方は、空から降ってくるように発想できるわけではありません。
頭の中にある定理を吟味するのです。
図形問題が得意な人は、そんなことをしていないように見えますが、それを瞬時に、ほぼ無意識にやっています。
この作業に慣れているため、吟味していることを本人が自覚することもないほどのスピードで使える定理を選び出し、すぐに解きだしているのです。

もう 1つ。
現行のセンター試験では、図形問題の図も自分で描く場合があります。
その図が下手過ぎて、解き方が発想できない。
そう嘆く人が多いです。

図が実際と異なってしまうのは、3辺の長さから鈍角三角形であるとわかるのに、鋭角三角形を描いてしまっているなど、描き出しのミスのため、その後の全てに無理が生じていることが多いです。
そんなに厳密に指示通りの長さで描く必要はないですが、あまりに指示と異なる長さや角の大きさで描かないほうが後が楽です。
また、正確な図を描こうとして、デッサン的なヒゲ線の多い図を描いてしまう人や、ぐりぐりとなぞってしまう人もいます。
シンプルな1本の線で円や直線を描いたほうが見やすいです。
余計な線は、見るときに邪魔です。
フリーハンドでは円や直線が描けない、とひるまないで。
上の画像は、私がフリーハンドで描いたものです。
こんなもんで大丈夫です。
これくらいなら、誰でも描けるはずです。
あとは、図の大きさ。
私は、円は直径5cmくらいのものを描きます。
どうせ、問題が進むにつれてごちゃごちゃとさらに線分が加わるのはわかっています。
直径3cmの円では、追加の線分に耐えられないかもしれません。
線分が重なり、角が明確に見えてこなくなります。
あるいは、どの線分も平行に見えてきたりします。
結局、大きく正しく描く自信がないので図が小さくなるのだと思いますが、下手でも大きく。
ヒゲ線抜きで、下手でも大きく。
使える図は、そういう図だと思います。
また、追加の線分に自分の図が耐えられないと感じたら、もう1枚描きましょう。
例えばメネラウスの定理を使うとわかったら、使う三角形と線分だけ抜き出して描いてみても良いと思います。
そんな時間はない?
図をサッと描ければ、時間はかかりません。
1本の線で短時間でサラッと正確な図を描く。
図を描くのに時間のかかる子の様子を見ていると、円を正確に描けない、真っ直ぐな線を引けないということにこだわりが強く、幾度も線を引き直しています。
こだわりが強いわりに練習不足なのだと思います。
こだわりを捨てるか、練習するか。
こだわりを捨てたほうが早いと私は思います。




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