たまりば

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2018年07月12日

時制に関する問題が苦手な子。中学生の場合。



初級英語は、be動詞の文、一般動詞の文、名詞の複数形、人称代名詞などを学んだ後、時制の学習に集中していきます。

現在形・三単現・現在進行形・過去形。
1つの時制を学ぶたびに、それまでの時制と混ぜて問題が出されますので、その見分けが重要になります。

現在の習慣や現在の状態を表す文は、現在形で表します。
文末に書いてある「時」の表現としては、every day とか、on Sundays とか。

今行っている動作を表すのが、現在進行形。
文末には now がついていることが多いです。
前後から判断して、現在行っている動作であるときは、nowがついていなくても現在進行形ということはあります。
それは他の時制でも同様です。
文脈判断ということですね。

過去のことならば、過去形。
文末に yesterday や、last week など、過去を表す言葉がついていることが多いです。

以前は、この説明で十分でした。
もちろん、テスト本番になるとうっかりして、三単現のsをつけ忘れたり、過去形の否定文なのに、動詞にedをつけてしまったりと、ミスはいくらでもあるものですが。

5年ほど前からでしょうか。
練習しているときに、何だか思うように定着しないなあ、と感じることがあるのです。
しかし、何回かやると、正解を出すので、わかっているようでもあります。
時制ミスをしてしまうのは、ケアレスミスなのだろうと。

しかし、違いました。
もっと、根本がわかっていない子がいるのです。
時間には、「過去」と「現在」と「未来」がある。
そうした時間軸を意識していない子どもがいるのでした。

初めて遭遇した子は、中学受験をして私立中学に通っている子でした。
当然、ある程度の学力はありました。
数学を教えている限りは、さほど違和感は覚えませんでした。
お母様の話では、小学生の頃から国語が苦手で、だから英語も苦手なのかもしれないということでした。
だからといって、何で現在形と現在進行形と過去形でこんなに混乱しているのだろう?
時制の使い分けの問題では、正答率は5割以下でした。

「yesterday と書いてあるじゃない。この文は過去形でしょう?」
秀才に対して、単なるケアレスミスを指摘するような感覚で説明しても、話が通じませんでした。
「yesterday と書いてあったら、過去形なの?」
「・・・・」
この反応は、ちょっとおかしいな?
見分け方のコツを説明すれば済むようなことでないのかもしれないと感じました。
「過去の動作や状態を述べている文は過去形にするんですよ」
「え?」
「日本語でも、そうでしょう?過去形という言い方はしないけれど、過去の文には~た、~だ、をつけるでしょう?」
「え?」
「現在本を読んでいるのなら、『読んでいる』でしょう?過去に読んだのなら『読んだ』でしょう?難しく言うと、過去を表す助動詞『た』『だ』をつけることで、日本語の文は過去形になるんだね」
「え?」
「・・・知らなかった?」
「え?何それ?何それ?」
「・・・・・・」

その子が、時間をどのように把握していたのかはわかりません。
昨日と今日は違う日だということことくらいは勿論わかっていたでしょう。
ただ、日本語が、過去と現在と未来とを分けて語っているということが意識できなかったのだと思います。
「現在」のことを言うときと、「過去」のことを言うときとでは、日本語でも表現が変わるということに、気がついていなかったのです。
無意識に日本語を使っていますから、自分が時制を区別して言い分けていることに自覚がなかったのです。
だから、英語がやたらに現在進行形だの過去形だのと時制を区別するのが理解できなかったのでしょう。
時制の区別は日本語でも普通のことだと理解できず、区別する基準がわからなかったようなのです。

驚愕しました。

能力的には、特に問題はなく、むしろ優秀な部類の子でした。
しかし、国語が苦手というのは、既にこういう状態のことなのでした。
現在のことを言うときと、過去のことを言うときとでは、日本語の表現はこう変わる、英語もそうだ、と改めて説明しなければ理解できない子がいます。

国語の授業で日本語の文法をやるのが意味わかんない、とそういう子は言います。
日本語は話せるから文法なんか別にいいのにと思っているようです。
しかし、彼女たちは、本当に日本語をわかっているのでしょうか?
日常会話は可能でしょうが、本当に、日本語の仕組みを理解しているのでしょうか?
口語文法に時間をかけるのは、以前は、文語文法を理解する準備のためという意味あいが大きかったと思います。
今は、本気で口語文法を教えないとちょっとまずい時代のようです。
勉強が必要な子ほど、口語文法を毛嫌いするのではありますが。


言語に対する意識が希薄なのが前提ですが、時間に対する意識が希薄だという問題もあるのかもしれません。
数年前、『君の名は。』というアニメが評判になりました。
何回も同じ映画を見に行く若者が多かったようですが、自分の好きなシーンを何度でも見るためという普通の目的の他に、意味がよくわからなかったからもう一度見に行ったというつぶやきをTwitterでいくつか見ました。
地上波で放送されたときには、「これでやっと意味がわかる」や、「1回で意味のわからない人に向けてネタバレ覚悟で説明すると」といったツイートも目にしました。

あの映画、1回では意味がわからない子がいるのですね。
時間のからくりがわからないのでしょうか。
主人公2人の実際の年齢差が理解できないようなのです。
それは理解力の問題なのか。
時間に対する認識が薄いせいなのか・・・・。

現代の若者が全員アホだという話ではありません。
少し古くなるけれど『時をかける少女』というアニメは、今も熱くひっそりと現代の若者に支持されています。
時間のからくりで言えば『君の名は。』よりも『時をかける少女』のほうが難しい。
何より、あの抒情を感じとるにはセンスが必要だと思います。
時間に抵触する物語に不可欠な、あの抒情。
抒情という点では『君の名は。』は、ちょっとダサいかなあ。
ともあれ、『時をかける少女』を理解し推す若者たちがいる限り、若者との共通言語は存在すると感じます。

時間ということ。
過去・現在・未来ということ。
それぞれの時制に応じて表現は変わるということ。
時間に対する思いが強ければ、時を表す表現が異なることにも気づくのではないでしょうか。
それとも、それとこれとは別でしょうか。

情報伝達という意味でも、それが過去のことなのか現在起きていることなのかを区別して語らなければ、正確な情報は伝わりません。
時制の区別は、必要なことです。
テストで点差をつけるために文法の隅をつついているというのとは次元の異なることです。

時間というものへの意識。
言葉に対する意識。

過去と現在と未来とは、日本語でも言い分ける。
英語も、過去と現在と未来とでは、語り方が異なる。
それを理解していないのに、識別のためのちょっとしたコツである文末の時の表現を丸暗記しようとして覚えきれず、訳がわからなくなっている子はいないでしょうか。

あまりにも時制の識別ができない子に対しては、そもそも時制ということが本当に理解できているかを確認したほうがいいかもしれません。
「こんなの、引っ掛け問題だよ!」
と認識の甘い発言をする子も含めて。
引っ掛けでも何でもない。
時制は、言語のど真ん中の問題です。
引っ掛けだ、と過小評価するから、いつまでもいつまでも時制ミスがなくならないのかもしれません。




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